日本不動産

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やりたい仕事、やるべき仕事

おはようございます。Manachanです。

私が、解雇という不本意なかたちで、サラリーマン生活に終止符を打ったのが2013年2月14日。あれから、もう2年が経ちました。現在は、気楽な一人会社の社長として、日々、楽しく仕事しています。

自営、という働き方のメリットは、何といっても「自由」なこと。特に、

「勤務時間の自由」:一日の時間を自分の自由に使える。
「勤務地の自由」:好きな場所で仕事や商談ができる。

あと、自営業主を選んだからには、下記の自由も行使したいと思っています。

「業務内容の自由」:自分のやる仕事、やらない仕事を自由に決められる。
「人選びの自由」:一緒に仕事するパートナーや社員を自由に決められる

フェアにいうと、自営業主は上述の「自由」を手にする代わりに、生活のプレッシャーも背負うことになります。実際、売上ゼロに近い月もありますし、「余暇」も失ってしまいます(私も土日昼夜問わず、四六時中働いている感じですしね…ま、好きなことやってるからいいんだけど)。

食っていくために、やむなく大きな会社の下請けになって、「業務内容」や「人選び」の自由を失う自営業主も少なくありません。

ただ、私はお金が続く限り、自由、独立独歩を貫きたいと考えています。特に「業務内容」は自分の自由にしたい。サラリーマン時代はやりたくない仕事多かったけど、今はやりたい仕事だけやりたいもんね。

私の場合、やりたい仕事は、「自分のやるべき仕事」とほぼ同義です。やるべき仕事とは、何か?

1)私が働いた結果、誰かを幸せにできる仕事
2)他の業者よりも、私がやった方がより上手に、効果的にできる仕事
3)他の誰もやっていないニッチな領域の場合、私の時間と資金を投入してやるだけの価値、社会的意義がある仕事

この3つの基準が、お互いに衝突することもあります。たとえば、「都内の新築ワンルームマンション(表面利回り4%台)を外国人に売る」という仕事があったとしましょう。

私は中国語と英語ができますし、不動産投資経験もあるので海外投資家と効果的に会話できます。その意味では、「2)他の業者よりも、私がやった方がより上手に、効果的にできる仕事」なのかもしれません。

しかし、「1)私が働いた結果、誰かを幸せにできる仕事」なのかというと、そうは思えない。ロクにキャッシュフロー出ない、土地の含みもない単なる区分物件、値上がりも期待できない…私、日本の友人にこういう不動産投資をお勧めできませんし、海外の客にもそれをやりたくありません。

ま、近隣アジア諸国の場合、不動産が高騰し過ぎて表面利回り1~2%という世界のようですから、日本円の家賃収入が入ってかつ4%台なら悪くないのかもしれませんが、お金を殖やすのが目的なら日本国内にもっと魅力的な不動産投資機会はたくさんあるし、東南アジアのコンドミニアム、北米の戸建…東京の新築ワンルームよりお勧めしたいものは、世界中にたくさんある。

だから、私のポリシーとして、「利回りの低い東京の新築ワンルーム販売」はやらないと決めています。仲介業者以外の誰もハッピーにしないと思うからです(※中古ワンルームで6~7%以上回って、おカネが残る見込みあるなら取り組むこともあります…)

そうした基準で「自分のやるべき仕事」を考えた時、インバウンド(外国人の日本不動産買い)ビジネスでは、次の分野に注力しようと決めました。

日本に住みたい外国人向け、ビザサポート付き不動産紹介

詳しくは、私の会社ホームページ「日本で不動産購入&移住」に書きましたが、一言でいえば、こういうことです。

なぜ、私がこういう仕事を選ぶかというと、何といっても「お客をハッピーにする喜び」…成功した時の感謝され方が全然違います。

日本は、大抵の日本人が思う以上に魅力的な国です。特に東アジア、東南アジア諸国では、「私財をはたいて日本に移住したい。環境の良い日本で子育てして、日本の教育を受けさせたい」と切望する人々が多い。

私、これまで中国・黒竜江省出身の3家族を、投資経営ビザで日本に来日させた経験があります。皆、日本に来れて大変喜んでいますし、真面目にビジネスをやって、納税義務を果たしています。

是非日本に来たい、住み続けたいと思う人ほど、在留資格を大事に扱いますし、ビジネスも真面目にやる傾向があると感じます。彼らの営みは結果的に、日本の国を強く、豊かにすることにつながっていきます。

そんな彼らをサポートする仕事と、「日本に住む気のない金持ち外国人の投資不動産購入サポート」を比べた時、どちらが満足度高いか、感謝されるか、自分のため日本のためになるか…それを考えた時、私は前者を選びたい。

せっかく、自由な働き方を手に入れたのですから、客と仕事は自由に選びたい。それを通じて、自分の人生を豊かに、楽しくしていきたい…だからこそ、この仕事、やる意味があると思いました。

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平塚(神奈川)は神!

おはようございます。Manachanです。

私、関東圏で投資アパート建売業者向けの土地仕入れの仕事もやってます。所有権の土地仕入れて、2階建ての木造デザイナーズアパートつくって利回りを出す想定なので、土地の仕入れ価格は抑えなければなりません。東京23区内は地価が高すぎるので、近県に目を向けることになります。

近県とはいえ、田舎すぎて賃貸需要が少ないところはNGだし、サラリーマン向けの金融機関が融資エリアとして認めないところも買えない。そうなると、「都心30㎞圏内、国道16号線沿いの埼玉県か千葉県で、駅徒歩圏」あたりがスイートスポットになりますが、実際にやってみると、結構難しい

・駐車場附置義務がある自治体はNG (無駄な土地代かかって採算取れない)
・一種低層地域だらけの自治体もNG (建蔽40%、容積80%とかだと戸数が取れない)
・起伏の激しすぎる地域もNG (擁壁やりかえとか、何かとコストがかかる)
・その他、条例で規制が厳しすぎる自治体もNG

この仕事を1年ほど経験するなかで、土地の仕入れやすいエリアが、大体分かってきました。

埼玉県なら、「さいたま市北部(北区、見沼区)」
千葉県なら、「柏市」

これらの地域は、賃貸需要旺盛、土地代安い、その割に賃料とれる、地勢も平坦、駐車場附置義務緩い、中高層地域多い、一応「東京圏」と認められるエリアだから銀行融資も出やすい…全てにおいてバランスが取れているので仕入れしやすいんですね。

今回のブログでは、「土地仕入れ好適地域」を一つ追加いたします。それは、

神奈川県なら、「平塚市」

神奈川県って、我々千葉県出身者からみると「土地代高い」イメージがありまして…実際、川崎市とかは東京23区みたいな地価の場所が多いし、横浜市も市街地は高い。相鉄や京急の奥の方だと安いけど、鬼のように起伏が多くて建てられないケース多し。

地価や地勢を考えると、「相模原市」をはじめとする「県央地域」に目が向くわけですが、そこでもなかなか条件にあう土地が見つからなくて、「神奈川って難しいなあ…」と思っていたころに、救世主が現れた!

それが「平塚」…実に面白い場所ですね。

・「湘南」地域にあって、東京から東海道線で約一時間、通勤時間帯の始発も多い。
・でも保養地観光地としての「いわゆる湘南」のイメージではなく、どちらかといえば商工業都市
・それゆえ、地価に「湘南プレミア」が乗っておらず、結構お手頃(さいたま市北部や柏市とほぼ同じ価格帯)。
・商工業都市ゆえ、地域に雇用も賃貸需要も豊富。駅近くでは結構な家賃がとれる。

サザンの歌に茅ヶ崎、江の島、横浜は良く出てきても、「平塚」が出てくることはない。同じ湘南でも文化が違う?

何より心洗われるのは、「地形が平坦」だということ…横浜あたりで安い土地探すと、たいてい傾斜地、がけ条例、擁壁みたいな面倒なファクターがありますが、平塚なら普通に探せば平坦地。

しかも、「人口26万の都市なのに鉄道駅が1つしかない」のは実にやりやすい。さいたま市北部で土地仕入れやる場合、「宮原駅」(JR高崎線)と「日進駅」(JR川越線)、「東大宮駅」(JR宇都宮線)と「大和田駅」(東武野田線)の距離・位置感覚を頭に入れないと仕事になりませんが、平塚は「平塚駅」オンリーだから極めてシンプル。

東京から結構な距離があり(約60㎞)、通勤圏としては限界かもしれませんが、それでも地方の中堅都市としては十分成立する。東海道線と海がある限り、衰退するリスクは少ないでしょう。

面白いことに、さいたま市北部は「大宮アルディージャ」、柏市は「柏レイソル」、平塚市は「湘南ベルマーレ」のホームタウン。賃貸アパートとJリーグは結構相性良い?

【平塚、さいたま、柏…地価水準は似たようなもん】

【平塚駅近くだけ狙えば十分ね…】

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浜松と豊橋のあいだ…

こんばんは、Manachanです。

所謂「アベノミクス」で、「東京だけが潤って、他の地方はさっぱり…」という人が多いのですが、私の見聞する限り、東京の他にもう一つ、好景気に沸く地域があります。それが「東海地方」

私、不動産セミナーで名古屋に行く機会が多いのですが、ここ数年感じること、

「行くたびに、名古屋駅の人通りが増えている!」


愛知県東部から静岡県西部にかけて、豊田市から岡崎、豊橋、浜松へとつながる工業都市群。この一帯はリーマンショックで大きな痛手を受けましたが、最近は円安の恩恵もあり活気を取り戻しつつあります。

この地域で賃貸経営する友人も、わずか5~6年前、派遣切りで入居者が一斉に消えた「あの出来事」が嘘のように、今では満室になっても、入居希望者がまだ列をつくって待っている状態だと言っていました。

雇用統計をみると、案の定、私の「実感」を裏付ける数字のオンパレード。

【日本を引っ張る、東京と愛知の雇用】

【リーマン以降の、雇用の回復ぶりがすごい!】

【愛知県のどの地域も上向いている】

愛知県を中心とする東海地方は、今も昔も「日本一の工場雇用集中地帯」。製造業の工場は大量の人手を必要としますから、好況時には東海近県のみならず日本全国や海外から労働者を呼び込みます。

こんなエピソードがあります。私、北海道の旭川へドライブ旅行に行った時に、地元の求人誌を立ち読みして驚きました。

・旭川近辺には、正社員の雇用がほぼ皆無。額面の給料20万円を超える職も数えるほどしかない。

・求人誌に「道外の職コーナー」があって、ほとんど愛知・静岡の求人広告で埋め尽くされている。月給は軒並み30万コースで、道内で働くのに比べて軽く1.5倍もらえる。

北海道のみならず、東北、九州、中四国…日本の多くの地域に比べて、東海地方の雇用は豊富で給与水準も高い。それを求める人々が「期間工」として、愛知や静岡の現場で働く。彼ら全員が寮に入れるわけではないので、多くは民間アパートに入居する。期間工を全国から送り込む人材派遣会社も多い。

地元民のほかに、「期間工需要」がある程度見込めるのが、愛知工業都市での賃貸経営の特徴といえましょう。

今回、不動産の仕事で偶然、「静岡県湖西市」という土地と縁ができました。ここは静岡県の最西端で、「浜松」と「豊橋」の間に位置する小都市。人口は約6万人。

地図でお分かりのように、浜松と豊橋の間には「浜名湖」が横たわり、湖西市はその西側にあるため、「浜松」と同じ静岡県に属するにもかかわらず、自然地理的には愛知県「豊橋」との一体感が感じられる場所です。

湖西市に関して、私はほとんど知識を持っていませんでしたが、今回、ご縁をいただいていろいろ調べるうちに、賃貸経営上、非常に面白い場所だということに気づきました。

【全国屈指の工業都市】

湖西市は人口6万の小都市ながら、製造品出荷額は1兆6千万円を超え、全国市町村ランキングで堂々の「23位」。人口10万以下の都市で比べるとダントツの全国トップ!トヨタやスズキの工場や関連企業が集結しています。

製造品出荷額等[百万円]ランキング

23位…錚々たる全国の工業都市を向うに回して、この位置は立派!

【財政が良い】

リーマン前、不交付団体だった頃より数字がやや悪化したとはいえ、今でも静岡市や浜松市を上回る、県内屈指の財政力指数を誇っています。

平成26年度 財政力指数(静岡県市町分)

あと、私が不動産投資家として魅力をそそられるのは、雇用・産業がしっかりしている割に「誰も注目しない穴場」だということ…豊橋に近く、「実質はほぼ愛知県なのに静岡県に所属」ということも、大いに影響しているでしょう。盲点になりやすいのです。

こういう場所で、地元民を主、期間工を従とするかたちで、地元の良い管理会社と組んで賃貸経営できるのなら、賃料設定と仕入れ値さえ間違えなければ、末永く安定経営できる可能性高いような気がします。

あと特に、東海地方の製造業は為替への連動性が高いようにも感じます。

円安なら、地域製造業・雇用にプラス
円高なら、地域製造業・雇用にマイナス

これから円安に向かうと考えている人も多いようですが、そういう人が国内不動産で賃貸経営やるなら、東海地方の工業都市(たとえば湖西市)は十分、注目に値すると思います。

円安にヤマ張るならば、(為替の関係で)割高な海外資産を買うのも良いが、円安メリットを受ける日本国内の地域の不動産を使って安定したキャッシュフローを得るのも、同じくらいアリな話でしょう。そう思うなら、

浜松~豊橋間に針路を取れ!

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外国人納税代行

こんばんは、Manachanです。

先ほど、東京の京橋税務署(グランシャトーがある京橋じゃなくて…)で、台湾人顧客の確定申告を済ませてきました。

昨年6月末、台湾人のお客さんが東銀座の中古ワンルームマンション買った際、私の会社で売買仲介をやりました。その流れで、賃貸管理と納税代行業務を私が引き受けています。これらの業務は、日本語が不自由な大多数の外国人バイヤーが、100%間違いなく必要とするものです。

・賃貸管理業務:日本での入居者募集、退去時リフォームの実施、賃貸借契約の締結・更新、入出金管理、管理組合とのやり取り…全てが日本語能力を必要とします。外国人オーナーは通常、歯が立ちません。

・納税代行業務:不動産取得税や、固定資産税・都市計画税の納付通知は、日本語で書かれている上に、日本国内の銀行や郵便局などで納付しなければなりません。外国に住んでいては手も足もでず、日本に居る誰かに納税代行を依頼せざるを得ません。

伝え聞くところによると、日本で物件買っても固定資産税等を長期間滞納する外国人バイヤーが少なくないようです。間に入る仲介業者が、ちゃんと指導してないのでしょうね。外国住まいなら税金払わずバックれることも十分可能でしょうが、滞納やりすぎると物件差し押さえになるケースもあるそうです。財産を守りたければちゃんとした日本人に納税代行頼むべきですね。

それに外国人バイヤーの場合、納税代行を頼む大きなメリットがあります。それは、

・外国人非居住者の場合、源泉所得税として家賃の20.42%を税務署に納付しなければならない(国税庁タックスアンサー#2885参照)。

・納付した源泉税を、確定申告で取り返すことは可能。

前述の台湾人顧客の場合、昨年度、源泉所得税として6万8千円ほどを、入居者(法人)が税務署に納付しました。それを私が京橋税務署で確定申告して、払った税金を全額取り戻すことに成功しました。どのようにするかというと、

Step 1 : 自分が、台湾人顧客の納税管理人になる届出をする(書式)。

Step 2 : 毎年12月か1月に、源泉税支払調書を入居者から取得する。

Step 3 : その支払調書を使って、納税地の税務署で確定申告する。

【源泉税支払調書の例】

なお、非居住者の確定申告の場合、現時点ではe-taxによる電子申告はできず、納税地の税務署に書面で提出することになります。具体的な手順は次の通り、

Step 3-1 : 不動産取得の収支内訳表を作成する(e-taxの作成コーナーでつくれる)

Step 3-2 : 税務署に行って、「申告書B」に収支内訳表を転記し、支払った源泉税を記入して完成させ、窓口に提出。

それだけやれば全て完了です。毎年、自分の不動産物件を確定申告している方なら、簡単にできる作業です。私も今回、レシート類の取りまとめ、収支内訳表作成、税務署で申告B作成…全部で3時間もかかりませんでした。もっと慣れてくれば1~2時間で一丁あがりでしょう。

シンプルな作業ですが、外国人客にとってはかけがえのない大事な仕事

しかも、現時点ではライバルの非常に少ないニッチな仕事です。確定申告作業は日本人ならできる人が多いでしょう。でも、台湾人顧客とのコミュニケーションには中国語が必要なので、日中バイリンガルでないと、この仕事はできません。また、日本人のほか中国人スタッフを抱えているような大手企業であっても、納税代行みたいな小さな仕事をやるほど小回りがききません。

中華系バイヤーが増える一方の日本の不動産市場において、彼らを相手とする納税代行の仕事は今後、間違いなく伸びるでしょう。私、ライバル不在のまま、この仕事を増やしていけそうだと思っています。

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横浜市特別扱いに物申す

こんばんは、Manachanです。久しぶりに不動産ネタでいきますね。

収益不動産、特に一棟物件の価格は、融資がつくかどうかで決まる面が大きいです。「不動」産という名の通り、場所を動かせないものなので、立地は非常に重要。物件が、どの区市町村に所在するかによって、融資の付けやすさも変わってきます。

日本のなかでは、物件が「東京23区」にあれば、融資エリアという意味でダントツ最強。全国区のメガバンクはもちろん、地方の銀行、信金信組も大抵、東京に支店を出してるので23区物件には融資出やすい。それとノンバンク、最近では外銀の非居住者向けローンなるものも出てますが、どの商品も23区は融資エリアに入るはず。

ただ、融資対象エリアを23区に限ってしまうと、「じゃ、吉祥寺はどうなるの?」、「横浜は?川崎は?」、「立川じゃだめなの?」みたいな、東京圏内の都市を含めるかどうかの議論が必ず出てくる。そこで銀行によって、

「東京23区+武蔵野市のみ対象とする」とか、

「東京23区+横浜市+川崎市まで対象とする」とか、

「東京、神奈川、埼玉、千葉の一都三県を対象とする」

みたいに、融資エリアを拡大していくわけです。今回はこの話題で書いてみます。

私の出身地は、千葉県柏市…東京圏にたくさんある衛星都市のひとつです。千葉県のなかでは一応、五大都市に入ります。そういう土地で育った者の多くは、「首都圏人特有の世界観」を持っています。

・「東京」こそ、首都圏全体に君臨する王者である。

・「東京」とは基本的に23区を指す。多摩地区は東京都であっても「郊外」でありチバサイタマと同カテゴリー

ここで「吉祥寺」の扱いがやや厄介ですが、ま、ここは素直に東京に含めていいんじゃなかな。行政的には武蔵野市だけど、何分か歩けば杉並区だし、渋谷新宿にすぐ出れるし、下手な23区の街よりカッコいいし…でも、吉祥寺以外は却下したいな。

次に扱わなきゃならないのが、「横浜市」…ここは神奈川県とはいえ人口370万人、大正時代の初めから「日本六大都市」に数えられた経緯もある。柏市はもちろん、さいたま市や千葉市と比べても別格扱いしなきゃならない大物。それでも、

・横浜市は、東京圏の都市のなかでは別格とはいえ、それでも我々チバサイタマと同カテゴリーの「東京郊外」であることには変わりがない。

横浜は確かに、日本を代表する大都市としての風格を持っている。横浜駅や桜木町、みなとみらいのスゴさは認めますよ。でも、それ以外の横浜市って、俺らのチバサイタマと変わんないじゃん。相鉄線乗ったらマイルドヤンキー色満載だし、泉区の奥の方はすごい田舎だし…

みなとみらいの高層階から横浜の街を見下ろしても、東京みたいな高層ビル群ないし、基本、住宅街ばっかりだから結局、柏ステーションモールから見下ろす景色とそんな変わらないぞ(ま、横浜の方が家が多くて高密度だけどね…)。

ま、そんな感覚を持ってる首都圏人としては、銀行の融資エリアに「横浜市」や「神奈川県」が含まれて、「千葉県」や「埼玉県」が含まれていない時、軽い違和感を覚えます。横浜の物件に融資するんなら、俺らの千葉埼玉もエリアに入れてよ、同じ一都三県でしょ…みたいな。ただ、世間様はそう見ないのかもしれませんね。

東京の港区とか品川区など、城南地区に拠点を構える金融機関は多い。私も五反田にオフィスを構えて思ったのですが、

「川崎横浜にはすぐ出れる」
「埼玉千葉がとても遠く感じる…」

私は千葉県にルーツがあるから抵抗ないけど、神奈川とか東京以西にルーツをもつ人が、わざわざ都心超えて埼玉や千葉に行くのは相当かったるいんだろうな。特に行く用事もないだろうし、あの方面に関して知識が多いわけでもないでしょう。

千葉県の柏や船橋の駅前が、横浜駅前には敵わなくても上大岡よりはデカくて栄えてる…そういう知識もない銀行上層部が、「うちはチバ、サイタマみたいな糞田舎の物件には融資しない」みたいに決めてるのかもしれないな。

この状況、どうすればいいんでしょ?一つの方策としては、「市町村メガ合併」かな。たとえば葉県では「千葉市97万+船橋市62万+市川市47万+松戸市48万+柏市41万+習志野市16万+浦安市16万+鎌ヶ谷市10万+流山市17万+八千代市19万」…全部あわせると人口373万人で、ちょうど横浜市と同規模になる。

そうして生まれた「大チバ市」が、横浜と並ぶ、日本を代表する大都市として世間に認識されれば、もうちょっと何とかなるかな?

でもまあ…無理でしょう。そもそも、同じ千葉県でも総武沿線と常磐沿線は文化も違うしお互いに疎遠だし、一緒になってもぐちゃぐちゃになるだけかも。たぶん俺ら、マツコデラックスにこんなこと言われるよね。

千葉や船橋と一緒になって茨城扱いされるよりは、東京都に編入してもらった方が数億倍マシだぜと思う、県民意識ほぼゼロの私でした。

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円はどこまで下がる?

おはようございます。Manachanです。今年もFacebookやメールで、新年のご挨拶をたくさんいただいたので、先ほどまで返事してました(本来なら、私からご挨拶すべきでしたが…なかなか手が回らなくてすみません)。

あと10日足らずで、カナダとアメリカ出張に出かけます。真冬のカナダ訪問ということで、ユニクロで防寒衣類一式を買い込んできましたね。

海外出張で気になる為替レートですが、円は相変わらず弱くて、1米ドル=120円、1カナダドル=102円くらい。円換算だと現地物価が高く感じられるだろうな。アメリカに置いてきた米ドル使おうっと。

最近、私は雑誌メディアから、海外不動産関係の取材を受ける機会が多く、「これから日本円はどこまで下がりますか?」みたいな、為替関係のコメントを求められることが増えました。

私、世界各国で不動産投資をしている関係上、為替には強い興味と利害を持っておりますが、今後どうなるか?というのは、正直、分かりません。為替の変動にはいろんなファクターが錯綜しますし、そもそも思惑で動きますから、何らかの「材料」が出れば一気に変わってしまいますし…

また私の性分として、分からないことを分かったような顔で言うのが嫌いなので、一言、「分からん!」と突っぱねたいところですが、コメントを求める取材側の意図も分からんことはないので、最近は次のように答えています。

・短期(向こう1~2年)では、世界の政治経済情勢に大きな変動がなければ、1米ドル=115~120円位を想定しています。

・この期間中に、中東情勢、ロシア・ウクライナ情勢、エネルギー価格下落と資源国危機…何らかの大きなニュースがあった場合は「リスクオフ⇒円高」傾向になり、1ドル=110円を超える円高も想定します。

・中長期(2年以上後)に関しては、正直、分かりませんし、私ごときが予測しても無駄だと思います。その時になって考えます。

・そもそも、不動産投資は利益確定まで2年以上かかる中長期のものなので、為替変動で大きな損をしないよう、米ドル、豪ドル、円をはじめ、いくつかの通貨に分散しています。

私がコメントできるのは、せいぜい、ここまで。金融為替の専門家でもありませんし、趣味でグローバル不動産投資やってる単なるアマチュアでしかありません。

仮に私がこの分野の専門家になったところで、ある程度の妥当性を持って予測できるのは、せいぜい2~3年後まで、しかも既存の経済・金融秩序が保たれ、平常運転している間だけじゃないのかなあと思います。

仮に世界大恐慌、第三次世界大戦、大国の経済崩壊みたいな大変動が起こったら…その渦中では「平常運転」じゃなくて「危機管理」のフェーズになるはずで、そのなかで米ドルがどうなる?円がどうなる?…みたいなことを、それなりの妥当性や精度をもって予測することが果たして人間にできるのだろうか?

ほぼ無理だと私は思います。できることは、過去の類似事例を引っ張ってきて現状に当てはめる位でしょうか?「傾向」や「トレンド」くらいは分かるかもしれませんが…想定外の経済状態でパニックになった人々の経済行動は、あらゆる専門家の知見やロジカルな想定を軽く超えそうな気がしています。

そんななかで、私たちの多くが一番気にする通貨「日本円(JPY)」が、今後どうなっていくのでしょうか?

世の中、いろんな人が、それぞれの思惑で、いろんなことを言います。中には平気で、日本の財政デフォルトやハイパーインフレ、東京直下地震や南海トラフ地震みたいな材料を使って、「円の価値は今から10分の1以下になる」と言う人もいます。

私、大震災や財政デフォルトの可能性は否定しませんけど、それでも「10分の1以下に下落」みたいな超円安は、明らかに現在の世界経済からロジカルに導き出せない「異常系のシナリオ」であり、そもそも、人間が予測できる領域なのだろうかと思う…

予測不能なことを、断言に近い口調で言う人ほど、疑ってかかるべきでしょう。よくあるパターンは、次の3つのうちのいずれかでしょう。

・非科学的な予言
・知ったかぶりの専門家(Smart Ass)
・金融商品売らんがためのセールストーク

ただ、人生は長いので、そういう異常系の事象が日本に起こった時に、経済社会がどうなりそうかを、頭のなかで考えておくことは損にはならないでしょう。ここでは分かりやすく、「壊滅的大震災」と「財政デフォルト」シナリオだけ考えておきましょうか?

この二つはロジカルに連動しています。政府が大赤字垂れ流し状態の時に大震災が起こって、インフラ・都市機能の復旧に必要な財源が、赤字国債をもってしても調達できない。当然、調達金利が上がり、いくら緊縮財政やっても償還不能になる…そんなシナリオ。

私、当然ながら、危機系のシナリオで円相場の「予測」はできません。何となくの感覚でしかものを言えませんが、近未来の日本で壊滅的危機が起こっても、一気に10分の1以下みたいなハイパー円安の状況になる可能性は低いと考えます。その理由として、

1)日本社会は、壊滅的な大震災が起こっても、秩序が保たれる可能性が高いと思うから。

2)日本の財政が立ち行かなくなった際は、公共事業のみならず、公務員、年金や健康保険を大幅に削る以外なく、一時的には大不況になるでしょうが、日本人や日本社会の特性として、「皆が一緒に損すれば納得する」ので、苦しくとも短期間に混乱は収まり、秩序が回復する可能性が高いと思うから(ついでに言うと、アルゼンチンとかギリシャなどと違って、日本国債は圧倒的に日本人が買ってるから、財政危機が外交問題にまで発展する可能性も低い)

3)危機が表面化して一時的に大幅な円安になるとしても、日本の鉄道・道路インフラ、都市、生産設備の多くが温存されているなら、秩序が回復さえすれば、円安に乗じて海外から投資が一気に入り、円安トレンドがどこかで止まるはずと思うから。

【壊滅的な震災が起こっても、すぐに、こんな標語が復活するはずです】

要は、「危機が起こった後の秩序の回復」こそが鍵を握るはず…秩序が戻ら
なければ「ハイパー円安」もあり得るかもしれませんが、幸か不幸か、日本の秩序回復力、危機克服力は世界でもピカイチだと私は思っています。

危機が起こって、日本に住みづらくなっても、海外に逃げられる日本人は富裕層を含めて少数。そもそも日本語しか話せない人がほとんどです。どんなに損しても日本の国土の上で頑張る人が圧倒的多数でしょう。その彼らが秩序を守るはずです。日本人とはそういうもの。

私、日本円がこれからどんどん上がるとは思いませんが、一気にむちゃくちゃ下がるとも思っていません。日本の経済社会が老いて衰えても、「腐っても鯛」、日本であるがゆえの安定感、安心感も感じるので、日本国内での資産づくりもやめるつもりはありません。

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大阪への渡航費用

おはようございます、Manachanです。

(私のブログにしては)ここ数日、大作が続いたので、今回はかる~いノリでいきます。

最近、LCC(格安航空会社)台頭のおかげで、ここ東京から国内遠隔地(九州、北海道、沖縄等)やアジア近隣諸国への移動費用が、以前と比べて大いに安くなりました。たとえば、最近1年間の国内外への出張で、私が支払った飛行機代はこんな感じです。

東京(成田)~福岡  ジェットスターで片道4990~8990円
東京(成田)~札幌  バニラエアで片道7000~8000円
東京(成田)~香港  バニラエアで片道12010円(運賃+諸税諸費用)
東京(成田)~バンコク  アジアアトランティックで片道13000円(同上)
東京(羽田)~クアラルンプール  エアアジアで片道15000円(同上)
バンコク~福岡  ジェットスターで片道10400円(同上)

こんな低価格にすっかり慣れてしまった私、成田~福岡のジェットスターが片道9,990円とかすると「たけー!」と絶叫する身体になってしまいました。

札幌(新千歳)へ飛ぶのも、成田発の場合、期待値はもはや片道8,000円以下ですね。たまにエアドゥに9,900円とかで乗りますが、あれは羽田発着だから許す、という感覚。

そんな私にとって、少し頭が痛いのは「大阪への渡航費用」…金券ショップ使っても新幹線で片道13,000円、往復26,000円。フツーの値段ですが、最近は不当に高く感じるのです。

というか、大阪まで片道13,000円かけるなら、同じ値段で香港まで行けちゃうじゃん、という感覚なのです。

【この街までの移動費用は結構高い】

なお、東京~大阪間という中途半端な距離が、かえってコストを割高にしています。

・名古屋と違って、高速バス使うには遠くてかったるい(8時間かかる…)
・とはいえ、成田発関空着のピーチエアで行くのも、東京~成田間、関空~大阪間の移動が億劫すぎる

これが福岡とか札幌に行くのなら、どっちみち遠くて飛行機しか選択肢ないので、成田までの移動時間とコストは許容できる。でも大阪の場合、東京駅から新幹線で2時間半でいけるし便利すぎるから、割高であっても新幹線を選択してしまうのです。

ま、皆がそういう選択をするからこそ、東京~名古屋・大阪の東海道新幹線はドル箱なんでしょう。JAL、ANAみたいに、新幹線でも「特割」(二か月以上前にネット予約したら30%引き)みたいな商品つくって欲しいけど、多分やらないだろうなあ。

私の場合は、海外(オーストラリア)の永住権持ってるので、「ジャパン・レールパス」買って、新幹線ひかり号で大阪に行く手があります。1週間で29110円、2週間で46390円…東京~大阪単純往復でだいたいモトがとれてしまう。同じ週に大阪のほか、名古屋や仙台で講演が入るような時は、これを買って使います。

但し、ジャパンレールパスでは「のぞみ」が使えないので、スケジュールがタイトな時は、微妙に不便です。「ひかり」号は本数が少ない上、名古屋以西で、岐阜羽島で5分、米原で5分みたいな停車時間を取ることも多く、移動時間も結構かかります。

なお、私がジャパンレールパス持って日本国内を移動すると、アジア系外国人トラベラーだと思われて、JRの駅員さんにMay I help you? と、下手な英語で話しかけられることが結構多いです。

近い将来、羽田~伊丹間を、5000円くらいでLCCが頻繁に運行するようになれば、大阪への出張費用も劇的に安くなると思いますが、まだまだ先の話なんだろうなあ。

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日本経済は成長できる!-前編

おはようございます。Manachanです。

2014年も、あと残すところ4日となりました。つい2週間前には、総選挙があったばかり。他の選択肢の乏しさにも助けられて、「アベノミクスと経済成長」を掲げた自公政権が3分の2以上の議席を得て、あと4年、安定政権を維持できる可能性が高まりました。

現代日本では得難い「長期安定政権」を手にした以上、国民に約束した「経済成長戦略」を、是非とも実行に移して欲しい。日本の国で我々事業者がビジネスしやすい、富を得やすい環境をつくって欲しいと、私は切に願います。

日本政府が考える「成長戦略」は、このリーフレットに分かりやすくまとめられています。政府官邸のつくる資料も、ここ数年でずいぶんユーザーフレンドリーになったものですね。

読むと、私が日本の経済成長のために必要だと考える内容の多くが盛り込まれています。実行できるかどうかは別として、いまの政府、成長戦略やる気はあるし、問題意識もおおむね正しいと感じます。

ただ言うまでもなく、経済成長は民間の活動の総計であり、政府が数字をつくれるわけではありません。我々民間事業者やサラリーマンが、どれだけ夢と情熱をもって仕事に取り組み、付加価値をつくることができるか、その努力にかかっています。

その民間が、「日本はどうせこれから経済成長しないしぃ~人口減るしぃ~先行き暗いしぃ~頑張っても無駄じゃん!」と思ってたら、いくら政治が音頭を取っても経済成長は無理、それだけは断言できます。

実際、いまの日本はそういう悲観論で溢れているわけですが、海外で長年暮らしてきた者の目からみると、違和感ありまくり。私の本音を言うと、

日本に、経済成長の伸びしろは十分ありますよ。

というか、こんなにポテンシャルだらけの国で、なぜ、もう成長できないとか考えるのか?

これまで良質な教育を受け、高い知識と見識を持つ日本人ビジネスマンでさえも、経済成長に関しては悲観論に傾く。その気持ちも何となく理解できます。主な理由の一つは、「かつて日本が経験した高度経済成長期やバブル以前のような経済成長をイメージしているから」だと思います。

あれは、「新興国タイプの経済成長」という、貧しい国が豊かな国にキャッチアップする過程で実現する急成長局面でした。ここ20年ほどの間、中国やインドが経験したものと同じですね。日本を含めて、先進国レベルの成熟度に達した経済社会で、あの勢いを再現するのはほぼ無理だと、私も思います。

【新興国の経済成長率は、先進国より何倍も高い】

私がいまイメージしているのは、「まともに経済運営できている先進国が実現する、実質で年2~3%の着実な経済成長(イメージ的には、名目3%、実質2%程度)」です。たとえば、アメリカ、スウェーデン、オーストラリアの、ここ20年の経済成長率をグラフにしてみました。

【欧米の先進3ヶ国…デフレが続いた日本との差は歴然ですね】

(※欧州内でも経済運営が順調でなかった国が多く、ドイツ、イタリアなどと比べてみると、過去20年は日本の経済成長率と大差なかったりします)

いま、日本政府が目指している成長戦略も、このレベル(年2~3%)の着実な経済成長を目指していると思います。デフレを脱却し、管理された適度なインフレ状態をつくり、経済成長を通じて税収アップを計る、同時に公務員改革と社会保障改革やって国家財政を持続可能にする…誰が政権をとっても、日本がソフトランディングするにはその道しか残されてないでしょうね。

そこまでクリアになれば、「先進国型の、年率2~3%の経済成長が今後の日本で達成可能かどうか?」が、争点になります。私は十分達成可能だと思っていますが、半信半疑の人も多いでしょう。

こういう時は、Out of box thinking(既存の枠組みに捉われない)思考をするのが良い。実現できるかどうかは別として、いま日本に、どれだけ「伸びしろ」が残されているのか?分かりやすい例として、政府も推進している「外国人観光客数」を挙げてみましょう。

世界観光ランキングの統計をみると、2013年の国際観光客到着数は、第一位はフランスで8500万人、第二位アメリカ6977万、第三位スペイン6066万人と続きます。日本はというと、1036万人で第27位。もっとも2014年は円安とビザ緩和の効果もあって1300万人到達が確実視されており、アジアでは韓国を抜いて、中国、タイ、マレーシアに次ぎ、シンガポールと並ぶ位置に来ると予想されます。

訪日観光客数が、今後どこまで伸びる可能性があるのか?…それが「日本経済の伸びしろ」を考える良い題材になります。私は、日本の持つ豊富な観光資源と、所得が伸びるアジアに位置することを考えると、現在、世界第五位にある「イタリア」(4770万人)の座は十分狙えると考えます。

(2013年の統計ベースで)現状1036万人が、4770万人まで増えたとすると、「伸びしろ」は3734万人。日本滞在中、一人あたり平均10万円使ったとすると、この分野で日本のGDPが3.73兆円増える余地があるわけです。

実際、2013年でイタリアが得た国際観光収入は439.12億ドル、日本は149.34億ドル。その差が290億ドル(約3.48兆円)あるわけですから、3.73兆円増えるという試算は、そう的外れではないですね。

もう一つ、ケーススタディーをしてみましょう。「外国人の日本移住」による経済成長余地。現在、日本に中長期滞在する外国人数
は約200万人ですが、仮に日本への移住希望者が全員移住できたとすると、東・東南アジア出身者を中心に、1000万人まで増えるという試算があります。現状では、「日本を出たいと思う日本人」よりも、「日本に住みたいと思う外国人」の方がはるかに多いのです。

外国人の移民というのはセンシティブな話題ですが、日本政府自身が成長戦略のなかで、高度な技能をもつ外国人や研修生に対するビザ緩和に言及してますし(リンク)、「今後50年で1000万人の移民を受け入れる」という本も出ています。さらに、外国人が1000万人になっても日本の総人口に占める割合はせいぜい8%。移民国はもちろん、欧州先進国のほとんどで外国人比率8%超えていますので、あながち非現実なシナリオともいえません。

(※2012年の外国生まれ人口比率ドイツ13.3%、フランス11.9%、イタリア9.4%…余談ですが最近、私の携帯は、中国人&東南アジア人の日本移住相談で凄いことになってますよ。皆さん、環境と治安の良い日本に住んで、子育てしたいんですね。)

仮に、日本の外国人登録者数が200万人から1000万人まで増えたとすると、800万人の人口純増になる。仮に彼らが一人あたり300万円稼ぐとすると(注.日本人平均は約400万円)、日本のGDPは24兆円増える余地があるわけです。

そうやって、GDPの増加余地をひとつひとつ積み上げて検証していけば、「日本はポテンシャルだらけ、経済伸びしろありまくり」ということが分かります。

皆さん覚えているでしょうか?民主党政権時代の2009年12月に「新成長戦略」なる文書が発表されたことを…骨子は、2020年度までの平均でGDP名目3%、実質2%を上回る成長率とし、2020年度の名目GDPを650兆円程度、中期的な失業率を3%台へ低下することを目指す…というもの。

民主党に政策実行能力がまるでないので、当時から、誰も見向きもしませんでしたが、「日本経済の伸びしろ」という側面をみると面白い。リーマンショック直後の2009年、GDPが473兆円に落ち込んだのを、11年後には650兆円にする話ですから、「伸びしろ」は合計177兆円

その数字は、カナダやオーストラリア一国のGDP、あるいはタイのGDPの5倍、みたいな規模ですから、膨大なものです。日本が11年で、タイ経済を新しく5つもつくることができるのであれば、世界経済にとって超・朗報、莫大なインパクトがある話です。

ですので、日本の経済成長戦略というのは、世界経済全体からみても、全く馬鹿にできません。いやむしろ、世界中が日本の復活を期待してますし、それが可能だと考えている外国人も多い。私からみると、ひとり日本人だけが、デフレ・マインドセットの罠にはまって、勝手に悲観しているようにも見える。

そして極めつけは…民主党や自民党の成長戦略で全く言及されていませんが、日本の不動産市場にこそ巨大な宝の山が埋まっているということ。それを後編で詳しくお話しします。

後編につづく。

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日本経済は成長できる-後編(住宅国富論)

前編の続きです。

日本経済にまだ伸びしろがあるとすれば、政府はまだ目をつけてないようけど「中古住宅市場」こそ金脈だろうと、私は考えています。

それを語るために、以前のブログ非正規社員にマイホームをでおなじみ、この人物に登場してもらいましょう。

1985年生まれの松戸ナルドくんは、現代日本に典型的な若年層ワーカー。ワープアとまではいかないけれど、経済的には決して豊かとはいえません。親世代が元気なうちはいいけど、亡くなった後はどうするの?という問題もあります。

そんな松戸ナルドくんでも、今後、日本の不動産市場を使って資産づくりができるのか?それを考えるヒントが、内藤忍先生のブログにありました。

年収300万円で、200平方メートルの新築戸建に住むアメリカ人

さすが広大なアメリカ(アリゾナ州)。素敵なおうちですね。これ買った夫婦の年収は、一人あたり300万円程度だそうです(もちろん共稼ですが)。

ま、松戸でこの住環境を手に入れるのは困難だと思いますが、でも、日本の中古住宅市場がまともであれば、例のアメリカ人と同様、不動産市場で資産を増やすことは十分可能なはず。だって、収入レベルは大差ないんだし…

仮に…ですが、松戸ナルドくんが今後、次のような人生を歩んだとしますね。

【松戸ナルド一家創生期(28~36歳)】
・2013年(28歳)、結婚を目前にして、千葉県松戸市の重量鉄骨分譲マンション「八柱エメラルドパレス」(3DK、築10年)を住宅ローンで購入。頭金は親からの贈与で捻出。「デキ婚」ゆえ、翌年初めには女児誕生。

・2016年(31歳)、松戸のマンション暮らしのまま、男児誕生。生活は苦しく、「子供はもう二人で打ち止めにしよ」と決心。

・2021年(36歳)、二人の子供が小学生にあがる年齢になり、松戸マンションが手狭になり、隣の柏市で分譲戸建購入を検討する。

ここで、松戸ナルド一家の収入が20代の頃と大差なければ、36歳で柏市での戸建購入(2戸目取得)に踏み切れる人は少ないでしょう。しかし、仮に日本の中古住宅市場が欧米諸国並みに「まとも」であったなら、それができる可能性は断然高くなります。

「まとも」な中古住宅市場とは…

・中古物件が新築同様、市場で当たり前に取引される。
・どれだけ築年数が経っても、銀行の評価額が下がらない。
・どれだけ築年数の経った中古住宅を買っても、住宅ローンがひける
 

欧米諸国では、住宅取引のシェアは完全に中古が中心になっています。当然、中古物件の担保評価の仕組みが整い、かつ、何十年、場合によっては百年以上、建物を大事にメンテして使うのが当たり前なので、住宅検査や履歴管理システムも普及しています。

誰もが中古住宅を当たり前に買って、中古から中古へ買い替える、市場が整っているから、築年経っても価値も下がらないのです。アメリカ人の多くは、「持家ステータスを維持したまま、一生で平均7回引っ越しする」といわれます。子供が大きくなったら大きな家に住み替える(アップサイズ)、子供が巣立った後、老夫婦で小さな家を買う(ダウンサイズ)が当たり前なのです。割高な新築住宅を買って一生ローンに縛られる人生とはほぼ無縁です。

でもって、松戸ナルドくんの住む国「日本」で、まともな中古住宅市場を整備できれば、次のようなライフスタイルも視野に入ってきます。

【松戸ナルド一家発展期(36~41歳)】
・2021年(36歳) 隣の柏市で、土地付きの木造新築分譲住宅「柏ベルサイユの森」(リンク)を住宅ローンで購入(2戸目取得)、一家で引っ越す。松戸のマンションは賃貸に出す。

・2023年(38歳) 勤め先の運送会社の経営が傾き、九州の同業会社に買い取られる。その関係で一家で福岡市へ移住せざるを得なくなった。最初は当然、賃貸住まい。翌年、柏の住宅は賃貸に出す。

・2026年(41歳) 九州暮らしにも慣れ、この地に根付くために、福岡市東区千早で、家族で住める4DK木造戸建を築15年で購入(3戸目取得)。購入資金捻出のため、松戸のマンションは売却。

なぜ、所得が高いとはいえない松戸ナルド一家が、36歳で2戸目、41歳で3戸目と、立て続けに住宅を購入できるのでしょう?

中古住宅の担保評価が毎年上がる状態の国に住んでいれば、年数を経るごとに、1戸目(松戸のマンション)、2戸目(柏の戸建)の担保価値が上がって、それが次の物件取得のための購買力に直結するからです。

下記の想定で計算してみます。


第一号物件「松戸八柱エメラルドパレス」
重量鉄骨造り、区分マンション3DK、築10年で購入
購入時の価格(=担保評価)1800万円

第二号物件「柏ベルサイユ分譲住宅」
土地43坪カーポート付戸建、木造2階建て4LDK、新築で購入
購入時の価格(=担保評価) 3500万円 (土地1500万円、建物2000万円)

第三号物件「福岡千早住宅」
土地58坪駐車場付戸建、木造2階建て4DK、築15年で購入
購入時の価格(=担保評価) 2500万円 (土地1500万円、建物1000万円)

仮に、新築・中古問わず、毎年平均1%づつ、担保評価が上がっていったなら、将来どうなるでしょう?

【担保評価年1%増⇒58歳時の評価合計7317万円】

あるいは、評価額がプラスマイナスゼロで推移すれば、どうなるしょう?

【担保評価増減なし⇒58歳時の評価合計6000万円】

保有物件の担保評価が上がる、もしくは下がらない状態で、ローン残債は着実に減っていくから、エクイティは年々、積み上がっていくのです。だから、次の物件が買えるわけで…

しかしながら、現実の日本では「木造建物は築22年で全額償却」「重量鉄骨造は築34年で全額償却」というルールがあるので、年々、担保評価額は急速に下がっていきます。図にみるように、こんなに急速に担保価値下がるなら、2戸目取得なんて、ほとんどの人は怖くてできないし、それ以前に銀行融資がひけません。結果、都市部に住む多くの日本人が「割高な新築住宅買って、ローンで一生縛られる」ことになります。

【日本の現行ルール⇒58歳時の評価合計3000万円】

高度成長期の住宅不足の時代なら、まだそのルールで良かったと思いますが、日本がここまで経済成熟して、空家が800万戸以上もあるのに、未だに古いルールで動いているのです。その結果、恐るべきことがおきました。

バブル以降、500兆円以上の国富が住宅市場で消えた!

中古住宅市場と担保評価の仕組みが整ったアメリカは、住宅投資額に見合った住宅ストック評価額を積み上げてきたのに対し、日本は古いルールのまま運営した結果、バブル以降だけで500兆円以上が毀損してしまった!

私、この状態を放置しておいて、成長戦略もクソもないと思うのです。

わずか20年間で500兆円以上のキャピタルロス!その環境下で暮らす、デフレマインドで萎縮しきった日本人が、どうして経済成長できるのでしょう?

今すぐ、住宅市場で、国富が着実に積み上がるようなルールに変えないといけないと私は思います。役所(国土交通省)だって、同じような問題意識を持っています。

中古住宅流通促進 中古住宅流通促進・活用に関する研究会(平成25年6月)

自民主導の安定政権下で、まともな中古市場と住宅評価のルールが整備されることを私は期待します。そのことで、日本人が得られる利益は巨大だと思います。これぞ、究極の成長戦略でしょう。

・(改革しなかった場合と比べて)今後20年で、日本のGDP1年分相当する、約500兆円の国富創出に直結します。

・財産ストックが積み上がる安心感から、人々がデフレマインドから脱却し、より積極的にモノやサービスを買うようになることが期待できます。

・都市部住民の多くが、新築住宅買って一生ローンに縛られるライフスタイルから脱却し、ライフスタイルに合わせた柔軟な住み替えができるようになり、多様な生き方、住まい方が実現します。

最後になりますが、「年1%、住宅評価額が上がる日本」に暮らす松戸ナルド一家は、58歳になってなんと、「夢の東京都心持家ライフ」を手にすることになります。

それまでに積み上がった、「柏ベルサイユ住宅」と「福岡千早住宅」の担保評価額が7317万円になったので、それを使って、東京の中央区に2LDKのマンションをローンで取得できたのです。

その世界は決して夢物語だとは思いません。私が2002年オーストラリアで買った住宅の担保評価額は、12年で66%増になりました。年率平均5%上がってきたのです。年率1%増なら、適切ルールさえ整備すれば、日本でも実現可能だと思います。

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インフレの足音

おはようございます。Manachanです。

いま東京に住んでいますが、最近、身近な生活用品の物価が微妙に上がっているように思います。子供の学用品からして値上げが相次いでますし、

あと、松屋、すき家、幸楽園…これまで「200円台で牛丼やラーメン」食えてた店が、軒並み値上げ。今は「プレミア牛丼」なるものを、350円位で出すようになりました。スナック菓子も、値段据え置きでもちゃっかり量が減ってたりしますね。

スケールは違いますが、不動産の現場にいると、建築コストがうなぎ上りになっているのがよく分かります。資材費と人件費、ダブルで上がってるから、結局、新築企画しても割に合わないケースが多い。

いま値段下がってるのはガソリン、灯油位ですかね。ま、これは世界中で下がってるわけだけど…

物価上昇やインフレが体感できる…日本では、最近20年、ほぼ見られない現象でした。いま1000円で買えるものが、来年も、再来年も、1000円で買えると予想できたのが、バブル崩壊以降の日本の暮らしでした。そういう時代は、過ぎ去ったのかもしれませんね。

でも、よく考えてみると、年率数パーセントで生活物価が上昇する現象は、日本以外のほとんどの国で当たり前に起こっていることです。

たとえば、私は2000年の5月、オーストラリアに移住しました。移住当時、フードコートの中華めしが5.5ドル位で食べられました。が、翌年には6ドルに上がり、4年後には7ドル以下の値札がほぼなくなりました。

私がいただく給料も、デフレ日本では考えられませんが「ベースアップ」的なものがあって、職種やレベルが変わらなくても、毎年の年俸改定で3~4%は当たり前に上がったものです。会社の業績が良い時は平均8%ほど、額面の給料がアップした時期もありました。

ただ、不動産価格の上昇は、給与の伸びをずっと上回っていました。普通に給料もらって貯めてるだけではマイホームがどんどん遠くなるから、皆、無理してでも買っていたものです。

私が、2000~05年のオーストラリアで体感したような「マイルドなインフレ」は、同時期の米国でも英国でもカナダでも、大陸欧州の多くの国でも、起こっていたはずです。先進国、新興国を問わず、近代経済において適度なインフレは当たり前で、むしろデフレが異常。俗に言う「物価が安定している」という状態は通常、物価上昇率がプラスで、かつ名目の経済成長率より低い状態を指すわけで、「物価が全く上がらない」状態を指すわけではありません。

【消費者物価上昇率(インフレ率)の推移…日本以外は、どの国もマイルドインフレ】

ですので私の感覚では、物価が少し上がるのは、「当たり前の経済状態に戻った」ような気がしています。

もちろん、いまの日本では、名目賃金の伸びが伴っているとはいえないし、俗にいう「悪いインフレ」や「スタグフレーション」(例.円安で輸入物価上昇⇒消費者価格に転嫁される⇒給料上がらないのに物価上昇)の可能性も高いので、もちろん、手放しで喜べるわけではありません。給与収入しかないサラリーマンや、年金生活者にはインフレは有り難くないですね。

でも長い目でみれば、日本がデフレから脱却するのは好ましいことだと思います。

私、デフレが嫌い!…個人的な好みはさておき、デフレの好ましくない点として主要なものは、

・物価が上がらないから、人々がいま、おカネを使う理由がなくなる。
・おカネを使わないから、企業側でも新たな設備投資をしなくなる。
・当然、給料も上げられない。購買力上がらない。
・今後、経済が良くなる気がしなくなり、マインドが萎縮してしまう。
・企業が若い人を採用しなくなり、産業社会で必要なスキル・経験を積めない人を大勢つくってしまう。
・国際関係でいうと、経済成長する隣国との差がどんどん開き、パワーバランスも崩れる。

これがインフレになると、人々の行動パターンも逆回転すると思われます。良い悪いは別として

・物価が上がるから、おカネ使うなら将来より今の方がメリットが大きくなる。
・収入が変わらなければ購買力下がるから、やる気と実力のある人は企業内での昇進や副業、起業を志向する。

年率数%のインフレというのは、「何もしなければ生活水準が下がる」局面といえます。いまの時代、副業禁止の職場に勤めていたり、或いは日常業務だけで疲労困憊している人や、高齢ゆえ年金しか収入源がない人にとっては辛い。彼らにとってはデフレの方がまだまし。

しかし、やる気とパワーがあって、私みたいに起業した人間や、サラリーマンやりながら副業して収入を増やせる人にとっては、インフレ率を上回る収入を上げて、生活水準を維持・向上できる可能性は十分あると思います。

以前のブログにも書きましたが、東京・五反田の我が事務所の来客、最近はとみに「シニア層の副業相談」が増えてきました。

物価が上がる、子供の教育費は上がる、住宅ローンもまだ残ってる、とにかく俺がもっと稼がなきゃならない、でも会社の枠組みでは給料上がらない…そんな人が副業、副収入のきっかけをつくるために、私や共同経営者に相談に来るのです。

彼らのチャレンジが成功するどうかは、各個人の能力や才覚、あるいは「出会い」に左右されると思いますが、インフレ時代のとば口にいる日本で、やる気と能力にあふれた「シニアの副業」を私は応援します。

デフレよりはインフレの方がいい(ハイパーインフレは困るけど…)。インフレの世、日本経済を元気にする主役は我々なのだ…という使命感と適度な金銭欲を胸に、来たるべき2015年の年明けを楽しみにしています。

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