日本不動産

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お金かけずに中国人顧客を集客する方法

こんにちは、Manachanです。

近年、日本へ旅行に来る外国人観光客数が爆発的な伸びを見せ、「インバウンド旅行ビジネス」が、話題に上るようになってきましたね。私たち不動産業界の一部も、「海の向こうからやってきた需要」の恩恵を受けています。

私も、世の中に先駆けてインバウンド不動産ビジネスを仕掛けていきたい。その一環として、4月16日(土)に、中国の首都・北京で日本不動産セミナーを行うことになりました。

Facebookページ
https://www.facebook.com/events/994423023928450/

Weibo(微博)ページ
http://www.weibo.com/5872842257/profile?rightmod=1&wvr=6&mod=personnumber&is_all=1

 

北京は、中国を代表する大都市で、富裕層も大勢いるのにも関わらず、中国市場を狙う日本の不動産業者の間では、上海に比べると注目度がいまいち低いようで、わざわざ北京に行ってセミナーやろうという日本の業者は、私の知る限りほぼ皆無。

だったら、まず私がやってみようと考え、ビジネスパートナーを説得して4月にセミナーやってみることにしました。たとえ、すぐ商売に結びつかなくても、一度セミナーを経験すれば北京の雰囲気も分かるし、また現地のお客様との人脈ができるし、経験値が積める。こういう世界は、やる前にあれこれ考えるより、とにかく「先にやった者勝ち」ですよね。

 

セミナーやる上で、まず最初のチャレンジは、集客。「北京で、いかにセミナー客を集めるか?」…現時点で私は、北京にビジネスの拠点もありませんし、友人もほとんどいません。たいていの業者は、海外でセミナーやる際は、現地の広告会社などにお金を払って、新聞やWeb広告を出してもらって客を集め、ホテルの会議室とか借りてやるわけですが、それには大きな費用がかかるし、またお金をかけただけの効果があるかどうかも分からない。

それよりも、私は「アジア太平洋大家の会」などを主宰するなかで、ホームページ、ブログ、Facebook、メルマガなどを通じて、ほとんど費用をかけずに、自分の文章力とITスキルを使ってセミナー集客することを身上としています。この経験・テクニックを北京の集客にも使えないか?

それ不可能ではないですが、中国ならではの課題が浮上してきます。最たるものが、ネット環境の違い…特に中国名物「アクセス禁止」は、同国に渡航するビジネスマンが皆、悩むことです。私も悩んできました(中国の使えねえネットの話)。

・中国では、FacebookやGoogleが使えない。LINEさえ使えないことがある。
・日本で使っているウェブサイトが、中国ではアクセス禁止になることもありうる(fc2ブログなど)。

 

郷に入れば郷に従え・・・中国で集客するには、中国製のツールを使わないといけません。基本は、

・Facebookではなく、Weibo(微博)を使う
・LINEではなく、Wechat(微信)を使う

 

セミナーが1か月後に迫る今、私も急ごしらえで、Weiboアカウントをつくり、「日本幸福房産」と名付けました。3月4日にアカウント作成、本格的に使い始めたのは3月8日からです。

 

Weibo「日本幸福房産」
私の顔写真に、後光がさしております。

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Weiboアカウントは、使えば使うほど、経験値が上がるほど、「等級」がレベルアップする仕組みになっています。

 

使い始めて10日、私はいま「レベル5」です。
レベルアップすると、何か良いことあるんだろうか?

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Weiboアカウントのトップには、Twitterと同じく、Follow数、Follower数が表示されます。私の記事を読んでくれるのはFollowerの方々なので、とにかくたくさん集めたいですね。

 

3月17日、Follower数が150になりました!

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このWeiboアカウントのトップページに、4月16日のセミナー紹介記事を載せました。

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ただ、それだけだと飽きられてしまうので、私がこれまで書いてきた、中国語で書いた日本不動産のブログ記事を、一日ひとつづつアップしています。

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このブログ記事ですが、そのままのURLだと微博に貼れないので、URL短縮ツールを使わなければなりませんが、ここでも中国製のツールを使わないといけません。

 

私は新浪網の短縮ツール(sina.lt)を使っています。
こちらはちゃんと機能します。

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間違っても、Googleのツール(goo.gl)を使ってはいけません。
中国からだとアクセスできないようです。

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こんな感じで、私が一生懸命集めたFollowerですが、アカウント名をみる限り、多くは株の投資家とかコンサルタントみたいです。辛抱強く、不動産投資家を集めたいと思います。

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地道な努力の甲斐あって、私の「微博」ページをみる人数は増えています

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ページビューも着実に増えています

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これを、セミナー集客に結びつけていきたいですね。引き続き頑張って、開拓していきます。

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春日部市の人口減少に歯止めを!不動産屋の知恵

おはようございます。Manachanです。今回は、国内不動産ねた。舞台は、東京のベッドタウン「埼玉県春日部(かすかべ)市」。

 

春日部の有名人といえば、この人

「ドラえもん」、「ピカチュウ」と並ぶ、日本が生んだ世界のヒーローは、春日部出身!

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春日部は、交通アクセスに恵まれた都市

東武スカイツリーラインで、東京都内直結。野田線(アーバンパークライン)で大宮、柏方面にも行ける。

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柏市出身の私にとって、春日部は身近な街です。そこは、家族で東北道方面にドライブへ行く時、岩槻インター乗るために必ず通る場所であり、また、東武電車で日光方面に行く時に、必ず乗り換える駅でした。

私の子供時代、柏から東武野田線に乗って、一面の原野だった七光台駅(野田市)を通り、江戸川を渡って春日部駅で乗り換える家族旅行。母が、「この街は、空が広いねえ」と言っていたのを覚えています。当時、柏の駅前には「そごう」、「高島屋」、「丸井(ファミリかしわ)」などの百貨店が並んでいたのに対し、春日部の駅前は高い建物がなく、長閑な雰囲気でした。

あれから30年…柏の駅前は、さらに「丸井本館」、「高島屋ステーションモール別館」など、百貨店がさらに増えたのに対し、春日部の駅前は、目に見える変化がありません。南隣の越谷市が、「レイクタウン」や「南越谷VARIE」など、劇的な商業発展を見せたのと比べると、春日部市は良くも悪くも、(ロードサイドは別として)「昔と変わらない」たたずまいを見せています。

 

この春日部市、首都圏ベッドタウンであるにも関わらず、平成13年(2001年)をピークに、人口が減少傾向にあります。現市域(旧春日部市+旧庄和町)の人口は、2001年に24万2千人を数えたのが、今は1万人減って23万2千人前後。人口が微増する年もありますが、基本的には減少トレンドに、歯止めがかかっていません。

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春日部市の周囲をみると、西隣の「さいたま市」、南隣の「越谷市」が増加傾向。東隣の「千葉県野田市」でさえ微増なので、ある意味、「春日部一人負け」の印象さえあります。

この課題に対しては、「かすかべ未来研究所」による秀逸なレポートがありますが、そこから引用すると、人口減少の主な原因は、「近隣市への転出超過」(=社会減)。

平成 17 年(2005 年)から平成 22 年(2010 年)の間 移動が多い地域は、越谷市、さいたま市岩槻区、草加市、足立区、野田市と、東武スカイツリラインや、東武野田線沿線の自治体が多い状況となっている。そして、ほとんどの自治体に対して転出者数が転入者数を上回る転出超過となっている.

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で、ここからが本題になります。

私たち不動産業者からみると、「今のままでは、春日部市の人口減って当然」だと思います。なぜなら、「春日部市は道路後退(セットバック要件)が厳しくて建物が建てにくい」のです。

 

建築基準法によれば、幅員が4m未満の道路(法42条2項道路)に接する敷地に、建物を建築する際には、道路の中心線から水平距離で2mの位置まで敷地を後退させなくてはなりません。この後退が「敷地のセットバック」といわれるものです(詳しい解説はこちら)。

道路後退の位置は2mないし3m(つまり幅員が4mないし6m)と定められ、どちらにするかは自治体が決めて良いことになっています。春日部市の場合は道路後退3m(幅員6m)を原則としています。市のホームページから引用しますと、

市内の道路を利用しやすいよう、また緊急車両の通行がスムーズに行えるよう道路の幅員を6メートルにしていきます。建築基準法の道路の種類により、幅員が6メートル未満の道路は建物の建替え時に中心線から3メートルの後退が必要です。

 

確かに道路交通の観点からいえば、幅員を6m確保するのは望ましいでしょう。ですが人口減少に悩む春日部市の場合、この厳しい基準が人口流入を抑制しているような気がしてなりません。人口過密で狭い街路も多い首都圏では、セットバック2m(幅員4m)で良いと定める自治体が多いので、春日部市が相対的に厳しくなっているのです…

 

先日、私が取引しようと思った春日部市内の土地で、こんな事例がありました。東武野田線の駅から徒歩5分、(かつては賑やかだった)商店街もある主要道路に面した、28坪の古家つき土地です。接道は2面あり、敷地前面は主要道路(幅員6ⅿ)、後ろが生活道路(同4.2ⅿ)に面しています。

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28坪しかないので、戸建の建売業者に売るにもギリギリの当落線上(この地域では、戸建の敷地は普通40~50坪)。ただ、敷地の形がよくて駅近なので、28坪でも何とかなるだろうと思っていたら、甘かった。

 

春日部市は、敷地後面の生活道路から、道路後退3ⅿを要求するのです!
その結果、セットバック後の有効宅地面積が25坪になってしまう!

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「えっ、まじで!」・・・私は耳を疑いました。確かに、行政が生活道路の幅員を6ⅿにしたいのは分かる。でも、この敷地を含め、地域の住民は皆、商店街のある幅員6ⅿの主要道路を使っています。後ろの生活道路なんて利用する人もほとんどいないし、日本中が財政難の折、こんな優先順位の低い道路を6ⅿに拡幅する工事が、私の目の黒いうちに実現するとは思えない。

この地域で、有効宅地25坪に削られたら、買ってくれる建売業者がいるかどうかも微妙だし、仮にあっても、クズ土地価格並みに買い叩かれるでしょう。都内とか川崎横浜なら25坪でも戸建用地として十分成り立つでしょう。でもここは埼玉の春日部、しかも都心直結でもない「ギリギリ首都圏」なのです。28坪と25坪の違いは、宅地として使い物になるかどうかのボーダーラインに関わるので、極めて重大です。

 

私がオーナーなら、間違いなく絶句するでしょう。

一体だれのために、何のために、こんな施策をするの?
せっかくの、駅5分の土地が死んじゃうじゃん!
国民の資産価値を何だと思ってるんだよ!

 

もっとも、明るい材料もあります。先に紹介した「かすかべ未来研究所」のレポートでは、市の人口減少に対する健全な危機感が見てとれます。大事なので、太字で引用しますと、

人口を増加させていくためには、地域競争に勝ち抜いていく必要がある。選ばれる自治体となり、地域競争に勝ち抜いていくためには、周辺地域との差別化を図っていく必要がある。そのためには、本市の現状をしっかりと調査し、分析することにより、何を実施していけばよいか検討していくことが重要である。

そこで、当研究グループでは、本市の現状、そして近隣自治体の状況を調査し、本市に適した事業として、「定住応援サイト」の開設と、「若者定住支援」の2つの事業の提案を行った。

 

「定住応援サイト」と「若者定住支援」は、是非やるべきでしょう。それに加えて、私たち「不動産業者の知恵」を活用して、宅地取引の実態把握や、道路後退制度との関連を研究した上で、首都圏ベッドタウン春日部市として「あるべき地域のデザイン」を描くことを、強くおすすめします。

 

不動産業者のセンスでいうと、春日部市が人口減少を防ぎ、地域の魅力を取り戻すために取り組むべきことは、二つ。

・駅徒歩圏エリアの規制緩和(道路後退を2ⅿにする、駐車場附置義務撤廃、建ぺい容積率緩和等)と、人口集中のための施策

・それ以外のエリアの成長管理施策(「地主の土地活用」と称した、無秩序な建売アパート建設等に対する予防的規制と厳格な運用)

 

21世紀、大都市ベッドタウンとしての生き残りは、「選択と集中」、「コンパクトシティ化」が基本。駅近エリアには人とインフラを集中させ、商業・医療などの利便施設を集中させる。それ以外の地域はスプロール化を防ぎつつ、計画的に整備していく。

もし春日部市が、人口減少を防ぐために何かしたい、不動産業者の声を聞きたいのであれば、いつでもご連絡ください。私、喜んでお手伝いいたします。数年前、同じ埼玉県で、八潮市の市民大学の方に呼んでいただき、市長はじめ行政職員・議員さんの前で、「つくばエクスプレス開通と街づくり」をテーマに講演したこともありますので…

 

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「チャイナ爆買い」はまだ続く…

おはようございます。Manachanです。

まもなく「春節(旧正月)休暇」が始まりますね。東京、富士箱根、京都、大阪といった日本の観光地に、アジア近隣諸国から、大量の観光客が押し寄せる時節になりました。その主役はもちろん「中国(大陸)人」。

「上海―関空便」は、普段はLCC価格で片道8000円程度なのに、春節休暇はピーク時20万円になる。それでも満席になるとか…恐るべし中国人の旅行熱。

昨年(2015年)は、日本の観光業界にとって、記録づくしの1年でした。訪日客数(インバウンド)が前年比47%増の1973万人に爆増。日本人の出国数(1621万人)を45年ぶりに上回りました。韓国とシンガポールを一気にゴボウ抜き、いまの日本は中国、タイ、マレーシアに次ぐ、アジア第4位のインバウンド観光大国です。

年間50%近くも海外の観光客が増えたおかげで、国内観光地のホテル業界は空前の活況。場所によっては、稼働率95%超、宿泊料も50%上げても、それでも客が入るという…逆に、私が大阪あたりに出張行っても梅田に宿取れないので苦労しますし(中津駅のさらに先、淀川べりで泊まったりします…)、地方の会員が東京のセミナーに来ても東京駅や品川駅近辺に宿取るのは難しく、蒲田や大森のビジネスホテルで妥協する有様。

都市部のホテルが満杯で宿泊料も高いので、当然、「民泊経営」(エアビー)が大ブームになります。余りにブームになりすぎて、近隣住民トラブルが頻発、行政が介入する事態になっています。これも、「外国人観光客の流入」が日本社会にもたらした変化といえましょう。

秋葉原、私もよく行ってますけど、街歩いてる人の過半数は日本人じゃないし…銀座4~8丁目も同様の状態。

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2014年と15年を比べてみると、中国人の増え方(241万⇒499万、107%増)が半端ないですね。

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2015年に、「爆買い」という言葉が生まれ、ブームになりました。誰が考えたんだろ、良い言葉ですね。「爆買い」という動詞の主語は、暗黙で「中国人」だと決まっています。

その中国ですが、昨年から株価はじめ経済状態の雲行きが怪しくなってきました。人民元も対ドル、対円で切り下がりはじめ、ピーク時の1元=20円から今は18円前後・・・こうした動きから、「爆買い特需」はもう期待できないのではないかという懸念が生まれていますが、私、それは杞憂だと思います。なぜなら、

 

中国人が日本に行きたがるのは、彼らが心の底から、日本品質を求めているから・・・

本国では得られない、安心できる品質と、きめ細かなサービスを体感するために日本に来ているから・・・

 

中国の都市住民は、すでに経済的に豊かになり、消費者としての品質要求は毎年、上がっています。でもって、中国の産業界がそれに十分応えきれてないという問題がある。

私も中国に住んでいたので分かりますが、店で買った電化製品がすぐ壊れる、返品しようとしたら店員に逆ギレされて口論になる…そんな体験を、死ぬほどたくさんしてきました。昔よりはマシになってますけど、それでも、消費者の安心・安全の要求に応えられるモノやサービスが満足に得られる環境ではまだない。

だから、日本のミルクが売れる、日本の化粧品が売れる、日本の電化製品が売れる、日本のコメやリンゴが売れる・・・これからは、日本品質でつくられた住宅が、間違いなくバカ売れするでしょう。

中国人消費者の少なからぬ割合の人が、それを求めているから。すでに、「日本製品のレベルじゃないと満足できない」人が多いから…

 

彼らが日本に旅行に来れば、やはり中国と違うことを実感する。日本にもいろんな問題がありますけど、それでも清潔な売り場、きめ細かいサービス、礼儀正しい店員、安心できる品質がある…その良さが分かれば、日本旅行のリピーターになる。

台湾人で、日本に毎年数回行ってショッピングしないと気が済まない人がたくさんいますが、中国大陸人のなかでも、そういう人がどんどん増えるでしょう。「爆買い」のイメージよりは、もっと「自分のこだわりを追求する」先進国型の消費パターンになっていくと思いますが、それでも、日本品質が彼らの要求に十分応えられる限り、ビジネスチャンスは今後ずっと続いていく。

 

私たち、インバウンド不動産ビジネスに関わる人々にとっても、中国人の消費行動や価値観の変化は大きなチャンスだと思います。外貨規制をはじめ、いろんな問題や難しさがありますけど、彼らの要求に応え、ソリューションを出し続けていけば、必ず、大きなビジネスに育てていけるはずです。

 

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勝負する土地、普通の土地、クズ土地

こんばんは、Manachan@福岡出張中です。今回の日記は国内ねた、「土地の利用価値」というテーマで書きますね。

不動産売買の仕事をやっていると、日本全国いろんな方から、売却や査定の依頼を受けます。売却したい理由の多くは「相続」や「資産整理」ですが、売主様にヒアリングすればするほど、「財産をめぐる一族の確執」をはじめ、複雑な事情が垣間見えます。そして、「相続の現場で暗躍するアパート建売業者」の影も…最近、こんな相談がありました。
――――――――――――――――――
立地:千葉県流山市、東武野田線某駅から徒歩2分
地積:約80坪(セットバック後、約75坪)
用途地域:一種住居
建ぺい容積:60/160
地勢:平坦、整形地、接道約15m
売却希望価格:3500万円
売主様意向:売却するか、或いは収益物件を建てて賃料から生活費を捻出するか、両パターンを検討したい。キャッシュは乏しいので、後者の場合フルローンが前提。
――――――――――――――――――

 

わたくしの地元・千葉県東葛地区。東京通勤圏の駅近。商店と住居が混在する雑然とした環境で道路も狭いですが、賃貸住宅用地としての適性は比較的高い土地といえます。郊外の小さな駅ゆえ、商業・オフィスの需要は高くありません。この土地の活用方法、誰が考えても「アパートかマンション」が思い浮かぶでしょう。

そんな土地のオーナーゆえ、当然、アパマン建売業者からアプローチを受けています。私のところに相談に来る前に、結構大手の会社から、こんな提案を受けていたようです。

 

――――――――――――――――――
建物:鉄骨3階建、ワンルーム中心12室
建築外構価格:約10,000万円
諸経費:約1,000万円
満室時賃料収入:約75万円/月
満室時手取収入:約20万円/月 (ローン返済、管理費、諸税等差引後)
融資:諸経費込フルローン、30年 元利均等 1%台後半
備考:10年間賃料保証のサブリース、残債で買い取りも可能。
――――――――――――――――――

 

「いかにもありがち」な提案ですね。この土地の上で、都市計画・建築基準法上建築可能かつ、フルローンが出る最大限の建物を建てるプラン。建築業者の売上・利益がMaxになります。ただ、それがオーナーにとって良い提案かどうかは、精査してみないと分かりません。ちなみに日本中どこにでもあるような、特色に乏しい鉄骨アパでした(当該土地のすぐ近くに、すでに築古鉄骨アパが数棟建ってましたね)。

私は売主様に、次のようにお伝えしました。

 

このプラン、中長期的な賃貸経営上のリスクは「中~高」だと考えます。駅近なので、家賃設定さえ間違えなければ最初の10年間の入居はおそらく良いでしょう。ただ10年以上経つとその限りではありませんし、修繕費も嵩んできます。また、近隣にライバル物件が多数建ったり、近隣ターミナル駅の空室や賃料下落が波及することもありえます。金利が上昇して収益を圧迫するリスクもあります。

その結果、目論見通りの利益が得られず、最悪手放すことになった際、土地の価値と残債の比率がどうなるかを考えなければなりません。このプランだと、稼働10年後の残債が7500万超、15年後でも約5500万。これに対して土地の価値は現在と変わらないとしても3500万。市況にもよりますが、一般的に土地建物を手放して現金を得ることは難しいでしょう。

であれば、思い切ってダウンサイズして、5000~6000万の、ワンルーム8戸か、1LDKを混ぜて6戸くらいの木造アパ―トにして、10年後の残債が土地値程度になるプランを検討されてはいかがでしょう?10年後以降の賃貸経営に苦労しても、築15年時点で残債も2500万強に減ってますので、3500万の土地値が維持されれば、土地建物を手放しても現金は残る。また身軽な分、金利上昇や空室・家賃下落リスクにも比較的強いし、木造なら解体撤去費用も安い。最悪更地にすれば、建売アパート業者や戸建パワービルダーが市場価格で買うでしょう。

(注記.ダウンサイズすると、当然、賃料収入も減ります。鉄骨アパ12戸プランの手取り20万が、木造アパ6~8戸だと13万円程度になる計算。ただこのお客様の場合、他に戸建をお持ちで、それを貸し出すことで「合計20万」が実現可能なので、土地活用・新築プランは比較的リスクの低いものが良いと思います。)

 

なお、私が上記を提案したのは、流山市という東京郊外ベッドタウンの「身の丈に合った」プランだと思うからです。これが、東京都心近くの収益性高い土地なら、戦略は当然違ってきます。私がそんなワンダフルな土地を得た暁には、容積率目一杯使って、銀行から目一杯借りて「男、一世一代の勝負」をします♪

ところで私は日本国内の土地は、収益性からみて「勝負する土地」、「普通の土地」、「クズ土地」の3つに分類されると考えています。
「勝負する土地」(大都市の都心タイプ):日本中いや世界中の個人・法人バイヤーが狙う一等地。容積率は最低300%、高度利用が進み、中高層建物が当たり前、地価は「一種○○万円」という用語で語られる世界。需要は極めて旺盛で、金融緩和や容積率緩和の時代になれば、地価がモロ上がる「含み益ガンガンお宝土地」。

「普通の土地」(大都市郊外&地方中堅都市タイプ):地元民や個人投資家、戸建・アパマン業者が狙うゾーン。実需・賃貸の住宅用地として十分成立するが、一部を除いて土地の高度利用は進んでいない。容積率の差はあれど結局戸建か低層アパマン位しか建たないので、地価は「坪○○万円」という言葉で語られる。アベノミクスみたいな金融緩和やっても地価は緩やかにしか上がらないが、安定した住宅需要があるため、大幅な下落もしない。「最悪、土地あれば逃げ切れる」世界。

「クズ土地」(田舎タイプ):地元民しか狙わないゾーン。地価は非常に安いが、需要も極めて限られるので、実勢の取引価格が固定資産税評価額以下、最悪値がつかないことも珍しくない世界。長期保有しようにも、将来時点で住宅用地として成立するのか、行政がインフラを供給してくれるのかどうかのレベルで微妙なので、条件が良ければ戸建用地、それ以外は太陽光や風力発電用地として取引される。せっかく不動産相続しても出口のない「負動産」扱いされることが通例。

 

でもって、だいたいの目安としては、「実勢の売買価格」と「固定資産税評価額」の比率で考えています。

「実勢価格」が「評価額」の2.5倍以上→「勝負する土地」である可能性が高い。

「実勢価格」が「評価額」の1~2.5倍→「普通の土地」である可能性が高い。

「実勢価格」が「評価額」未満→「クズ土地」である可能性が高い。

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もちろん、個別にみれば、実勢価格が固定資産税評価額以下なのに、ちゃんとした用途が想定され「普通の土地」レベルの土地も少なくないし、またその逆のパターンも当然あります。私思うに、それぞれの土地に最適な利用方法としては、

「勝負する土地」→容積率目一杯使って、高い建物建てて、オフィスビル、レジ、シェアハウス、民泊として運営。収益を最大化する。

「普通の土地」→戸建かアパートを建てて、賃貸経営。築年数建って苦労しても土地で逃げ切れるような安全度の高いプランを考える。

「クズ土地」→早期売却・処分を考える。

 

前掲の事例(流山市)は、「普通の土地」レベルなので、土地の実力に合うと思われる利用方法を提案したわけです。千葉県内だと、勝負できる土地はごく限られ(船橋、柏、津田沼の駅前なら勝負しますけど…)、圧倒的大多数は「普通の土地」か「クズ土地」だと思います。

 

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東京~福岡、移動コストの研究

こんにちは、Manachanです。私は東京に住み、国内外のいろんな都市に出張に行きますが、福岡市は、出張頻度の高い都市のひとつ。この1か月間で、3回も行きましたし、来年1、2月にも出張予定があります。

福岡の友人に会うと、よく言われるのが、「鈴木さん、こんなに何度も来て、飛行機代がかなりの出費になってるんじゃないですか?」・・・でも実は、皆さんが想像するほど、お金かかってないんです。そこで今回は、「東京~福岡間の出張費」にフォーカスして、書いてみますね。

 

東京~福岡間は、飛行機の直線距離で911km、陸路(新幹線)だと1,069km離れています。長距離ゆえ「羽田/成田~福岡」間の航空機利用がほとんどですが、私の場合、福岡出張を九州他県や山口県の用事と組み合わせることも多く、これまで、いろんな方法で、福岡入りしてきました。

・羽田から北九州空港に飛んで、西鉄バスor乗り合いタクシーで福岡市入り
・羽田から山口宇部空港に飛んで、高速バスで福岡市入り
・成田から大分空港に飛んで、レンタカーで福岡入りして、福岡空港で乗り捨て
・JAPAN RAIL PASSを使って、東京駅から長駆、新幹線ひかり号で博多入り
・豪州メルボルンから成田経由のジェットスター便で福岡入り
等々…

 

また、私の場合、出張頻度の関係でJALマイレージが簡単に貯まるので、マイル使って福岡へ移動することもしばしば。そんななか、東京~福岡間を航空券を買って単純移動したのは、今年だけで8回あります。

【福岡~羽田】
14,990円 SKY
13,500円 SKY
12,390円 SKY
20,500円 SKY
20,170円 SFJ
―――――――――
合計81,550円 (フライト平均 16,310円)

【福岡~成田】
8,200 JET
7,200 JET
5,600 JET
―――――――――
合計21,000円 (フライト平均 7,000円)

全8回 103,550円 (フライト平均 12,944円)

 

羽田発と成田発が混じってますが、平均すれば、「片道13,000円弱、往復26,000円弱」という、「東京~京都間の新幹線自由席往復」と同程度のコストで移動できています。

安い!と思われたかもしれませんが、私に言わせれば、「2年前と比べて、ずいぶん贅沢に、金かけてる」印象です。2013年、起業したての頃は本当にお金がなくて、とはいえ福岡出張は多いから、「成田発早朝便使って、片道7,000円以上かけない」方針でやってきました。東陽町を早朝4:58の始発で出て、6:28に成田空港第二ビルに着き、ダッシュでジェットスターに飛び乗る、みたいな生活。あの頃に比べれば、今は半分以上が羽田発着だし、自宅を朝9時や10時に出る余裕あるスケジュールが多い。贅沢(?)になったものです。

 

でも、東京出張が多い福岡の会社や、福岡出張が多い東京の会社の多くは、おそらく、社員の出張に「片道2万5千円、往復5万円」以上かけてると思います。急に出張が決まって、JALやANAを使って予約すると、どうしても、その位の値段してしまいますよね。

 

「東京~福岡間」の航空券移動を、安くあげるためのTips

ステップ1: まず、「成田~福岡」のジェットスター便(JET)を使えるかどうか、チェックする。
ステップ2: 成田利用が難しければ、次に「羽田~福岡」のスカイマーク便(SKY)を使えるかどうか、チェックする。
ステップ3: スカイマークが難しければ、次に「羽田~福岡」のスターフライヤー便(SFJ)を使えるかどうか、チェックする。
ステップ4: それでもダメなら、はじめて、JALかANAをチェックする。

これをやるだけで、平均の片道移動コストは2万円を下回るはずと思います。なお、スカイマーク経営危機が顕在化した後、「羽田~福岡」に関しては同社のフライトが一番安くなった印象があります。

関東の地理に詳しくない方には、成田空港から東京都心まで、恐ろしく遠くて金がかかる印象を持たれる方もいるかと思います。確かに近くはない(約70㎞)ですが、安く移動する方法はあります。

成田~東京間は、「片道1000円の東京シャトル」を使うのが基本! (事前予約なら800~900円ですよー!)

 

なお、上級者向けのマニアックなTipsとしては、(疲れるので、良い子は真似しないように・・・)

「成田~佐賀」の春秋航空(Spring)を使えるかどうかチェック。
「羽田~北九州」の深夜便や早朝便が使えるかどうかチェック。

 

佐賀空港や北九州空港から福岡市内への移動は西鉄バスが使えるし、九州在住の方ならマイカーを空港駐車場に停めてしまう手があります。佐賀空港の駐車場は無料、北九州空港も24時間520円と激安です。また、関東在住の方が「佐賀空港から、24時間1000円の激安レンタカー利用して福岡入り」する手もあります。

 

最後に、交通費を節約したい会社経営者にアイデアを一つ・・・私なら、次のようにします。

・「福岡~東京間」の標準的な片道移動費を、22,000円と設定する。
・もし、20,000円以上かかったら、実費を精算させる。
・もし、社員が航空券を20,000円以下で予約できたら、旅費精算の際に、報奨金として2,000円を渡す。

 

今は航空券のウェブ予約が当たり前の時代。社員に2,000円のインセンティブを渡せば、皆さん頑張ってスカイマークやスターフライヤーの安い航空券を予約しようとするはず。結果的に、会社にとっても旅費軽減効果が表れると思うのですが・・・いかがでしょう?

 

こちらも併せて読んでみよう!

北九州徹底活用マニュアル (2014/11/14)

春秋航空、佐賀空港、成田LCC (2014/12/2)

 

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福岡交通戦争:「貝塚」を制する者、九州を制す!

こんにちは、Manachanです。今日は「福岡市」ねたで書きますね。

先週末の福岡出張で、収益アパートをひとつ仲介しました。場所は、福岡市東区の筥松(はこまつ)。福岡市の中心地(博多や天神)から、北へ約4kmという至近距離。最寄り駅は市営地下鉄と西鉄の乗換駅「貝塚」と、JR鹿児島本線の「箱崎」です。ここは、筑前国一宮かつ日本三大八幡宮のひとつ「筥崎宮」(はこざきぐう)の門前町として、1000年以上もの間、栄えてきた場所でもあります。

この一帯は、私が福岡市で一番注目している場所です。なぜなら、

 

・42ヘクタールに及ぶ「九大キャンパス跡地の再開発」の中核エリアである。

・政令都市の都心部でこの規模の再開発は、全国でもほぼ類例がない。

・しかも、博多港、福岡空港、九州自動車道I/Cという「陸海空の幹線交通」が、6㎞以内に全て揃い、追加投資なしにこれらを利用できる。

 

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箱崎・九大跡地の再開発は、福岡、九州のみならず、日本人全体にとっても、大きな意味を持つかもしれません。なぜなら、

 

東京・首都圏が激甚災害に見舞われた際、国家機能を維持するための「首都バックアップ機能」が、この地に設けられるかもしれない。

 

「3・11」を経験し、今後30年間の大震災リスクも高いとされる首都・東京。近隣国との外交関係も必ずしも安泰というわけではありません。首都圏外に緊急時の行政機能を設け、万一の緊急事態の際も日本国が機能し続けられるようにするのは大事な政治課題。

「首都バックアップ」候補地として、関西、北海道(札幌)、群馬、栃木・福島など、各地域が名乗りを上げていますが、福岡市も立候補しており、その用地として「箱崎の九大跡地」が想定されています。福岡最大のウリは、「東京と同時に被災するリスクの低さ」。日本が想定しうる最悪の自然災害である「南海トラフ大地震&大津波」で、東京とともに名古屋、大阪が被災するリスクが想定されるなか、日本海側に位置する福岡はそのリスクとは無縁だと…

また福岡サイドは、「東京が被災した際、アジア近隣各国と機動的に連携できる立地のメリット」も強調しています(もっとも、「朝鮮半島に近すぎる」福岡の立地がマイナス査定される可能性もありますが・・・)。仮に福岡が首都バックアップ都市(のひとつ)に選ばれれば、「箱崎地区」は日本人全体が関心を持つ地域になるでしょう。

 

そこまで大きな話ではないですが、福岡都市圏全体の交通インフラを考えた時に、「箱崎」は大きな意味を持つエリアです。特にフォーカスすべきは、同地区北端にある「貝塚駅」。この駅は、福岡市営地下鉄2号線と、西鉄貝塚線との連絡駅。福岡でも重要度の高い「交通の要衝」のはずですが、その割に、駅のたたずまいは長閑そのもの。

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この貝塚駅、首都圏出身者からみて「ありえない」と思うのが、この駅を境に地下鉄と西鉄が直通運転できる条件が揃っているにも関わらず、しかも30年以上もの間、議論されているにもかかわらず、まだ実現していないことです。

 

これが、貝塚駅の市営地下鉄改札口

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こちらが、同駅の西鉄貝塚線の改札口

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これ、同じ位置で撮ってますので、両改札口は30メートル程度しか離れていません。ホーム同士の距離も、せいぜい50~100m。しかも高低差もないなぜ、線路つなげて乗り入れしないの?・・・遠く埼玉や神奈川の、西武池袋線や東武東上線、東横線、みなとみらい沿線から、誰もが渋谷、代官山、新宿伊勢丹に直通できる東京圏に住む身としては不思議で仕方がない。

福岡市が人口減少中の衰退都市であるなら、追加のインフラ投資が難しいのは分かる。でも実際は、福岡市・福岡都市圏とも、人口増加率では東京圏をも上回る、「日本一元気な人口爆増都市」。特に、貝塚駅のある福岡市東区はじめ、それ以遠の新宮町、古賀市、福津市・・・すべてが人口増加中。日本中が羨む活況なのに、なぜやらないの?

 

ここ30年間、「貝塚駅での西鉄・地下鉄直通運転」という投資をやらなかったツケを、いま一番多く払っているのは、「西鉄」だと思います。そこには、福岡市の2大都心「天神vs博多の争い」というファクターが絡んできます。

天神(福岡市中央区)・・・西鉄のターミナル駅。

博多(福岡市博多区)・・・JR九州のターミナル駅。

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西鉄は、「天神」をターミナルとする通勤路線・西鉄大牟田線や、九州各地とつなぐ天神発着の高速バス網を擁しており、天神地区および沿線の住宅・商業開発を大規模に行っています。対するJRは、「博多」をターミナルとする新幹線やJR鹿児島本線を擁し、阪急や東急ハンズのある「JR博多シティ」運営や沿線住宅開発を行います。一言でいうと、「天神が栄えるほど、西鉄は儲かる」、「博多が栄えるほど、JRは儲かる」という構図になっています。

もし、過去30年のいずれかの時点で、貝塚駅での西鉄・地下鉄乗り入れ・直通運転が実現していたなら、「福岡市東部~宗像~北九州にかけての商圏人口200万を、電車経由で天神に引き寄せる」結果になっていたと思います。なぜなら、

・北九州や宗像に住む人が、博多を経由せず、千早で乗り換える「ショートカット」が実現する。彼らを博多に流出させずに、天神に誘導することができる。

そして、

・貝塚以遠の西鉄沿線(千早、香椎、和白、新宮)の住宅開発で増えた人口を、天神商圏に引き寄せることもできる。

 

こうした、戦略的投資をやらなかったツケが、いま、西鉄に回ってきています。

・2010年代、博多の勃興と、天神の相対的衰退

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そして、極め付けは、

2018年以降、貝塚にJRの駅が新設される

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JR九州は賢いですね。西鉄と市営地下鉄が直通運転しなかったことに付け込んで、貝塚エリアに新駅をつくって、博多まで3駅、約8分(快速停めれば5分)で結んでしまおう。そして将来、箱崎エリア再開発で生じる旅客需要や購買需要を、ごっそり博多に運んでしまおうという戦略。

西鉄も困るけど、市営地下鉄はもっと困るだろうな。ただでさえ利用低調な「貝塚~天神」間の旅客需要の数十%を、JR経由で博多に持っていかれてしまうのですから…かくして、福岡市の東部・北部では、完全に「JR」>「西鉄」の構図が定着してしまいました。西鉄が早い時期から直通運転で天神とつないで、貝塚以北でまともな沿線開発やってれば、こんなことにはならなかったのに…

 

JR九州は、過去5年間だけで、福岡郊外部に「新宮中央」、「ししぶ」の2駅を新設。住宅開発や商業施設誘致で成果を上げています。より都心に近く、再開発で化ける可能性のある「貝塚新駅」設置の効果は、さらに大きなものとなるでしょう。

天神・博多の二極からなる福岡都市圏、その交通網の構造をみるにつけ、「貝塚」は、日本史における「関ケ原」ともいえる戦略的価値を持つはずです。駅は小さいながら、まさに「貝塚を制するもの、福岡を制す。九州を制す」・・・それを踏まえて適切な行動をとったJRが利を得るのは当然でしょう。

 

こちらも、併せて読んでみよう。

福岡サバイバル不動産投資 (2012/5/24)

福岡県糟屋郡新宮町 (2013/4/29)

 

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北千住に住んで富裕層になろう!

こんにちは、Manachanです。いよいよクリスマス、年の瀬ですね。皆様いかがお過ごしでしょうか?この一週間、我が家4人のうち3人が「マイコプラズマ感染症」の診断を受けて結構大変で、ブログ更新もしばらくお休みしてしまいました。今回のブログは、「居住エリアと生活コスト」の話題でいきますね。

 

不動産や資産づくりのコラムニスト、最近はふるさと納税の専門家としても名高い金森重樹氏が、数日前、なかなか面白いエッセイを発表してましたね。共有します。

「低収入の街」が次の富裕層を育てる

 

内容を簡単に要約しますと…

・所謂「高級エリア」に住むと、付き合う人間や消費生活のレベルも上がる。結果、生活費も高くついてしまい、お金が貯まりにくい。

・逆に「非高級」な「下町」エリアに住めば、生活費が安くあがり、お金が貯まりやすい。

・東京なら「足立区の北千住」のような、生活費が安い割に利便性の高いエリアに賃貸暮らししながら、投資・ビジネスのための「種銭」をつくるのがおすすめ。

 

折しも、こんな記事が出ていたので、タイムリーだったかも・・・

コストかけすぎるアッパー層 無自覚な「転落予備軍」

 

金森氏のコラム、当然賛否両論あるでしょうが、私は「不動産投資家のはしくれ」として、彼の議論に共感いたします。

私自身を含め、大家さん・不動産賃貸経営者のカルチャーは、概して「地味」で、「顕示欲的な消費をしない」傾向があります。なぜなら、日本で不動産投資をする場合、基本は「賃料収入」という、「毎月定額の固定収入」が生活の糧になるからです。

「紙の資産」や「ビジネス収益」と違い、「賃料収入」は1年で2倍や3倍になったりしません。むしろ、築年が経つと賃料も下がる可能性の方が高いです。日本で不動産収入を上げたい場合は、「保有物件を増やす」しかありません。多くの場合、融資を組むわけですから、「物件数・部屋数が増える分、リスクも大きくなる」のが通例です。

「よくて現状維持」、「先細りが当たり前」、「アブク銭とは無縁」の世界に生きる不動産賃貸経営者。そんな商売ですから、当然、消費生活も質素に、地味になりがち。ネット物販の人、ITの若手経営者、あるいは不動産の世界でも情報商材やってる人たちは概して「派手好き」で、ゴルフコンペや高級ワイン試飲会とかやったりしますが、所謂「大家の会」で、ゴルフコンペやるのは少数派だし、忘年会や新年会も普通の居酒屋で安上がりにやることが多いです。

そんな人たちだから、「北千住あたりに住んで、生活費を倹約しながら、次の物件取得のための種銭を貯める」というコンセプトは、心情的にしっくりくるわけですね。相当な財をなした投資家であっても、居住エリアは結構地味で、生活も質素だったりします(資産10億あるのに南砂町に住んでる・・・みたいな)。

 

実際、私も、「収入の割に生活費の安いエリアに住む」のは大好きで、昔からやっています。もちろん、世界規模で・・・

これまでの人生で、一番、お金が貯まりやすかったのは、2005~07年に、中国の大連でサラリーマン(ITエンジニア)やっていた頃でした。当時、大連の平均月収は2000元くらいだったところ、私は手取りで、余裕で12000元以上もらっていました。

当時の為替レートは、1元=16円くらいなので、円換算すれば手取り19万2000円、ガチで薄給に見えてしまいますが、現地物価で生活している限り、薄給という感覚は全くありません。だって、3元(48円)のラーメンや、6元(96円)の「韓国風ピリ辛犬鍋スープ」みたいなものを普段食っているのですから、そして、リヤカーで果物売りに来る農家のおじさんから買う、3元(48円)の巨峰ブドウをデザートにしていたのですから、

正直な話、「お金、いくら使っても、なくならない」、「給料日になっても、半分くらい残ってる」みたいな、すごい生活感覚でした。口座に溜まった人民元は、家族のお楽しみ「日本里帰り♪」に費やされたほか、「2008年、福岡市でのワンルーム購入」の種銭にもなりました。

 

なお、我が家の大連での豊かな消費生活は、語学力にも支えられたものでした。当時、大連には3000名を超える日本人が暮らしていましたが、彼らの多くは「中山区」の「日本人集中エリア」に暮らし、中国語も不自由ゆえ付き合う人も日本人が中心でした。

そうなると、日々、日本食レストランに行って、一食200元もする和定食を食べたり(俺が普段食ってるラーメンの67倍じゃん!)、日本語が通じる居酒屋、カラオケ屋、マッサージ屋に行くような生活。駐在員の方々の給料は、現地採用の私ごときの倍以上は軽くいってるでしょうが、それでも、「おカネがいくらあっても足りない」と、ピーピー言ってる。その暮らしぶりが、約10㎞離れた「沙河口区、ソフトウェアパーク」に住む我々の耳にも聞こえてきたものです。

その点、我が家は普段付き合う人々が、月収2000元とか4000元とかの「フツーの中国人」だったから、全く、高い消費をする必要がありません。食事するにもその辺の安食堂行ったり、餃子を自分でつくってパーティー・・・みたいな感じで、全然、お金がかかりません。

あと、いま私が世界で一番住みたい街は「タイのバンコク」ですが、それも、「生活費が安い」ことが大きな魅力になっています。バンコクの生活利便性は東京並みにすごいし、タイ語覚えれば生活費も安くあがるよね・・・

 

日本の東京で住む場合、さすがに、物価が大連やバンコク並みというわけにはいきませんが、足立区・北千住あたりに住む場合(私も20代後半の頃、住んでました・・・)、確かに東京の他地区に比べて物価は安いです。

たとえば、足立区には「ABS卸売センター」みたいな、ローカルの激安スーパーがたくさんあります。大手資本が参入してきても、生き馬の目を抜く安売り競争で地場のスーパーに全く歯が立たないのです。焼き鳥一串30円とか、「驚愕の北千住価格」で出す外食店も豊富。商売するにはすごく辛い土地だと思いますが、住んでる者には天国。

それに、北千住駅は交通の要衝で、東京メトロ日比谷線、千代田線、半蔵門線のトリプルアクセス、都心(大手町)に15分程度に出られる場所です。職場や習い事で都心方面に出る必要があっても、わずか15分の乗車で片道200円位ですから、全く問題ありませんね。都心の雇用・教育機会に容易にアクセスでき、その割に生活費安い・・・という意味で、コスパは東京有数かもしれません(赤羽と並ぶ存在でしょうか・・・)。

北千住の人気上昇を反映して、家賃も、最近上がっているようです。北千住良いけど、ちょっと高い・・・という人には、東武スカイツリーラインで1駅2駅下った「小菅」、「五反野」あたりに住むのがおススメですよ~。「ママチャリ」で、「商店街の銀ダラ」買ってるおばちゃん達を横目に、生活費切り詰めて、賢く投資して、近い将来、富裕層をめざそう。

 

Manachan北千住エッセイも、併せてどうぞ。

SKYな街・北千住の躍進 (2015/3/26)

北千住―焼肉の旨い街 (2012/6/9)

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大家塾 vs 大家の会

こんばんは、Manachanです。今回は、日本各地にある「大家・投資家の会」について書きますね。

先週土曜日、「いばら喜大家の会」のセミナー&忘年会に行ってきました。実は私、いばら喜大家の会の会員なんです。ここは文字通り、「茨城県の大家が集まる会」なんですが、参加資格を特に設けておりません。私などは、茨城在住でもなければ茨城県内に物件持ってるわけでもないのに、会員にさせていただいてます。そして、二年連続で、茨城県つくば市で開催される忘年会に参加しております。

ここの会、とても居心地がいいんです。まったりとして、自由闊達な雰囲気。代表の柴山さんのお人柄に負うところも大きいのでしょう。ここに顔を出すと、「良い雰囲気の会運営」という意味で、とても良い勉強になります。

 

私は仕事柄、全国の大家団体と付き合いがありますが、大きくわけて、二つのタイプに分かれるように思います。

・「大家塾」的な団体

・「大家の会」的な団体

 

「大家塾」の特徴・・・会の代表として、絶対的なリーダー・指導者がいる。彼(彼女)は大家スキルも高く金融機関との付き合いも多く、会員の不動産購入や融資づけをコンサルしようとする。人間関係は「先生対生徒」のようなタテ型の関係になる。

「大家の会」の特徴・・・会の代表は絶対的リーダーではなく、「皆のまとめ役」みたいな立ち位置。会員が三々五々集まって、気さくな雰囲気のなかで自由に交流・情報交換する。人間関係はフラットなヨコ型の関係。

 

私自身が、「アジア太平洋大家の会」という団体の代表をしていることもあり、全国の大家団体の代表ともいろいろ付き合いがありますが、つくづく思うことは、

・「大家塾」の代表と、「大家の会」の代表とは、キャラクターが全く違う。

・したがって、「大家の会」の代表をやってる人間が、「大家塾」をやりたいとは思わない。その逆も然り。

 

たとえば私は、「大家の会」をつくって、運営してますが、「大家塾」を運営したいとは全く思いません。「俺のキャラクターに似合わない」と思っているからです。前述「いばら喜大家の会」、柴山代表が大家塾を志向しないのも、おそらく同じ理由でしょう。

最近、岡田斗司夫さんの「カリスマ論」(ベスト新書)を読みましたが、そこに、「カリスマ的リーダー」、「教祖的リーダー」、「メンター的リーダー」など、いろんなタイプのリーダーが出てきます。その整理によると、

・大家塾の代表は、「メンター的リーダー」・・・つまり、会員(塾生)と濃密な人間関係を結び、コーチとして指導することで、その成功にコミットしようとする。当然、自分の面倒みれる人数には限りがあるので、大家塾は比較的クローズドな団体になる。

・一方、大家の会の代表は、「カリスマ的リーダー」・・・一言でいうと、「来る者拒まず、去る者追わず」のスタンスを好む。会員との濃密な関係を好まず、広く浅く、フランクに付き合おうとする。彼(彼女)会を運営すると、必然的に出入りの激しい、オープンな団体になる。

 

これでいくと、私は明らかに「カリスマ的」に属する人間でして・・・「アジア太平洋大家の会」でいろんなセミナーやって、日本の投資家〈会員)が海外投資案件に出会う機会をつくろうとしていますが、それで成功するかどうかは、結局のところ会員次第だと思っており、自分が深くコミットする気はないんですよね(サポートはしてますけど…)。

会の代表とはいえ、海外不動産で勝つ方法論を確立してるわけじゃないし、大成功してるわけでもない…そんな奴が、先生面して人様を指導するのは荷が重い。それよりも、お互いフラットな関係で、楽しく学びたい、情報交換していきたいと思っています。

だから「大家の会」やってるんですよね・・・

 

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千葉県、ちばらぎ県、茨城県

看板娘は「ちばらぎの星」⇒

おはようございます。Manachanです。今年前半から、「うちナビ」の看板スタッフに鈴木奈々さんが起用されて以来、都内各地で、あの看板を見る機会が増えました。

私からみて、彼女は一応、「ご当地アイドル」…実家は、茨城県竜ケ崎市の佐貫ですが、小学生の頃から、常磐線に乗って柏に遊びに来て、高校生時代は柏駅前のVAT館でアルバイトしていた時期もあるので、茨城県だけど「柏の人」みたいなもんですね。

 

鈴木奈々さんのように、利根川を越えて、茨城県から千葉県へ遊びや働きに来る。逆に、千葉県の人が通学やドライブで茨城県に行く・・柏や竜ケ崎あたりでは、こういう行動は日常的に行われています。あまりに近いので、お互いの県が違うことも意識しないし、アウェイ感も全くない。対岸に来ても「地元」みたいなもの。

千葉と茨城が接する利根川沿いの地域は、平将門の昔から交流が非常に盛ん。地域としてほぼ一体化しているので、この地域は「ちばらぎ県」と認識するのが妥当だと思います。

 

「ちばらぎ県」(Chibaragi Prefecture):関東東部に存在するバーチャルな地方自治体(?)

面積 約 2800 km2
人口 約300万人
千葉県側の中心都市・・・柏、成田、銚子
茨城県側の中心都市・・・つくば、土浦、鹿嶋

 

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首都圏で「ちばらぎ」というと、ヤンキー、ださい田舎のイメージ、蔑称のニュアンスさえありますが、それでも「ちばらぎ県」の住民は、自発的に「ちばらぎ」を名乗ることがあります。例えば、

 

千葉県佐原の銘菓「ちばらぎ」

千葉県香取市(佐原)と、対岸の茨城県潮来市を中心にマーケティングされています。

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千葉県柏市の「ちばらぎ塗料」

千葉県柏市と、対岸の茨城県守谷市を中心に店舗展開しています。

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千葉県側、茨城県側を問わず、ちばらぎ県に共通するカルチャーは、

 

・県都に無関心なこと

「ちばらぎ」の千葉県側で一番大きい都市といえば、柏や松戸ですが、どちらも県都「千葉市」には全く無関心で、別に行く用事もありません。また、茨城県側の最大都市は、絶賛発展中の「つくば市」ですが、こちらも県都の「水戸市」に対する関心は限りなくゼロ。

 

・所属県のカルチャーに違和感を覚えていること

千葉県を盛り上げるために、県のプロモ―ションビデオをつくると、どうしても、「千葉市目線」あるいは、千葉の中心である「市川~船橋~千葉の総武ライン」の視点が支配的になり、結果、「マザー牧場」や「千葉マリンスタジアム」、「東京湾アクアライン」みたいな施設を前面に押し出すことになります。が、「ちばらぎ県民」目線でいうと、「どれも、俺らには関係ないじゃん!」という冷めた感覚になります。茨城県側でも事情は一緒で、「県都・水戸市目線」でつくられた、「偕楽園、大洗、納豆イチオシ」のプロモーションを出したところで、「ちばらぎ地帯」のつくば・牛久、あるいは鹿島・神栖あたりの人間からみれば、一言、「俺らに関係ないし、別に興味もない」。

 

・自分が、どの県に属しているのか、時々分からなくなること

「ちばらき県民」の住まいから遠からぬところに、利根川があって、その対岸は別の県になりますが、誰もが日常的に行き来する同一生活圏なので、そのうち、別の県という感覚が麻痺してきます。高校野球の季節になると、柏の駅前に、千葉県代表校と茨城県代表校の垂れ幕がかかります。もし茨城代表が常総学院や霞ヶ浦、藤代高みたいな近場の学校で、かつ「千葉vs茨城」対決になったら、どちらを応援するか迷ってしまいます。まるで、「東京・神奈川の境にある町田状態」

 

最後に、ちばらぎ地帯での不動産投資をお考えの方へ・・・この地域での「県境を越えた人口移動のパターン」を知っておいて損はありません。広大な「ちばらぎ県」は、大きく分けて3つの地域交流圏があります。西から順に「東葛‐土浦圏」、「成田‐稲敷圏」、「東総‐鹿嶋圏」です。

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東葛―土浦圏:常磐線と「ろっこく」(国道6号)で柏へ直行

「ちばらぎ県」のなかで最大の人口規模を持つ「東葛―土浦圏」は、JR常磐線と国道6号という幹線交通網が結ぶ地域。江戸の昔から「水戸街道沿い」の一体化した地域をつくってきました。この地域での人口移動は、基本的に「茨城県⇒千葉県」の流れが優勢で、行き先は「柏市」。具体的には「柏駅前の商業施設群」になります。

土浦、牛久、竜ケ崎、取手といった茨城県内の都市から、「常磐線上り電車」(ときわぶね)に乗って、若い世代が柏を目指すわけですが、彼らは「隣の県の街に出かける」という意識は希薄で、「この辺で一番使える街は柏だから、遊びにいく」という、半ば地元感覚の移動です。

 

成田―稲敷圏:利根川を超える成田イオンタウンの求心力

日本を代表する国際空港「成田」は、茨城県と比較的近い場所にあります。この地域には国道6号のような幹線道路がなく、これまでお互いの行き来は多くありませんでした。ですが近年は、巨大SC「成田イオンタウン」や、隣の印西市の「イオンモール千葉ニュータウン」の出現により、「茨城県⇒千葉県」への客の流れが生じています。こちらはファミリー層が中心。

 

東総―鹿嶋圏:銚子大橋を超えてリッチな神栖市へ

「ちばらぎ」最東端の「東総―鹿嶋圏」は、前述二地域とは逆に、「茨城県側の方が栄えている」地域。人口減少中の千葉県銚子市や香取市から、利根川を超えて鹿島コンビナート地帯へ。なかでも繁栄を極める「神栖市」の商業施設への移動が目立ちます。近年では、銚子市民が利根川を超えて、財政・福祉の良い茨城県神栖市へ「移住」する現象も起こっています。銚子も神栖も、同じ「ちばらぎ文化」なので、「別の県に移住する」感覚はありません。

 

是非、「ちばらぎ」へお越しいただき、「銘菓ちばらぎ」を食べてみてくださいね。

 

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宮崎市郊外、恐怖の4.1%新築木造アパ

こんばんは、Manachanです。

九州・宮崎市に実家のある友人から、親が業者に新築アパートをすすめられたので、内容チェックして欲しい・・・という依頼がありました。その場所は、宮崎市とはいっても中心部ではなく、2010年の市町村合併で宮崎市に編入された郊外ベッドタウン。土地は、こんなスペックです。ショッピングセンター、駅、病院に至近距離、地元では比較的環境の整った住宅地だそうです。

――――――――――――――――――――――――――――
地積  323平米(97.83㎡)
一種住居、角地、建ぺい70%/容積200%
土地代 約2000万(坪21万)
――――――――――――――――――――――――――――

でもって、提案してきたのは、誰もが名前知ってる会社。「地主向けに賃貸アパートを販売する、管理戸数日本一の会社」といえば、それ以上説明の必要はないでしょう。「35年一括借上」「新築後10年間の家賃保障」などをうたった驚異のクロージング営業力で、全国に賃貸アパートを建てまくっています。

私、噂だけは聞いてましたけど、ガチで提案書を見るのは初めてです。で、見た瞬間、絶句!こんな提案でした。

――――――――――――――――――
2階建木造アパ―ト 2DK~2LDKx4戸 (45.77㎡)
駐車場 8台付
建物代(税込) 4104万
諸費用 270万
総事業費 4374万
――――――――――――――――――

地方で駐車場必須とはいえ、角地で98坪もある土地に4戸しか建てないのはなぜなんだろう?あと、建築費が坪74万というのも、全国で同じタイプを量産してる割には高いよねえ。私、福岡市で、天井高4mのプレミア賃貸住宅建てたことあるけど、坪58万だったもんな。

 

すごいのは、賃貸経営指標。今回は地主が土地提供して、その上に収益物件を建てる想定なのですが、仮に土地代2000万円がコストとしてかかると仮定して、利回り計算すると、

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
満室想定賃料 24.2万/月 (5.7万x2室、5.2万x2室、駐車場0.3万x8)⇒年収290.4万
保証賃料(10年)20.7万/月(居室18.5万+駐車場2.2万)⇒年収248.0万

満室想定利回 4.7%
保証利回り  4.1%(保証ベース)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

新築アパ建てて、満室で、かつ駐車場全部埋まっても4%台の利回りしか出ないって何それ?

東京都心の一等地なら分かるけど、地方都市の郊外ベッドタウンでその数字は、ギャグとしか言いようがない・・・

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さらに言うと、この満室想定賃料自体が意味ないほど、地域相場からみて過大な数字になっている可能性もあります。一室あたり5.2~5.7万/月で貸せる事業計画になっています。保証賃料も築後10年間、平均4.6万/月で設定していますが、これが10年経って、家賃保証がはずれるとどうなるか?

 

【こんな間取りのようです】

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同地域、1DK月額2.3~3.0万円、2DK4万台そこそこ、のマーケットのようです。しかもゼロゼロ物件の嵐!

表面4%台の利回りが、築11年目から維持できないかもしれない、場所は宮崎市郊外・・・これギャグかよ!

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しかも恐ろしいことに、この提案書、4000万円の30年ローン(年利1.9%)をセットでつけてきてます。こういうの借りて建てちゃったら最後、

・11年目から、キャッシュフローが確実に赤字転落

・その時点で、残債は約3000万円残っている

・土地で売っても、せいぜい2000万円くらいしかならない。

 

私は心から確信をもって、『絶対にこれ建てちゃいけない』とお答えしたのは、言うまでもありません。

それにしても、すげえ商売だなあ。地主を食い物にして、えげつないの極みだぜ・・・俺も、一応商売人だけど、ここまで鬼になれないよ~。

 

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