マレーシア不動産

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東南アジア不動産の放置プレイ問題に思う

こんにちはManachanです。今回は海外不動産、特に「東南アジアのプレビルド(青田買い)物件」に関して、かなり辛口の意見を書きます。

先日、マレーシアの不動産で困ってる友人(物件オーナー)の相談に乗りました。マレーシア、タイ、フィリピン、カンボジア…東南アジア不動産購入後の問題で私が相談に乗った回数はすでに1ダースを超えました。

私を頼ってきた十数名の相談者が困惑し、憤っているポイントは、ほぼ共通しています。

『まだ完成前なのに、販売業者がろくにサポートしてくれない!』

なぜ満足なサポートが受けられないのか?これは、「プレビルド物件販売」という商売の構造的な問題と関わっています。プレビルド(Pre build)とは、東南アジアなど新興国に多い不動産販売の形態で、まだ更地の(多くは建築許可も取れてない)段階で、数年後の完成・引き渡しを条件に、現地デベロッパーが客に「青田売り」する物件を指します。

プレビルド自体は新興国だけでなく、イギリス、カナダ、オーストラリアといった先進国にもあります(こちらはOff the planと呼ばれます)が、先進国での販売時期は通常、完成1~2年前であるのに対し、東南アジア等では完成3~5年前という早期から売り出されることが多いです。なぜなら、

・東南アジア新興国の金利水準は概して高い(調達金利10%/年以上も多い)。

・現地デベロッパーの工程管理スキルが乏しく、許認可面でも不透明さが多いため、工期が予定より半年~2年ほど遅れるのが当たり前。

・デベロッパーとしては、工期遅れで有利子負債を抱えるよりは、完成前のできるだけ早い段階で客に売って、資金回収したい。

・その販売インセンティブとして、完成前の段階で販売価格を徐々に値上げして、「早く買った方が得する」状態をつくって売る。

例えばの話、4年後の完成時に1000万フィリピン・ペソ(約2200万円)で売値を設定する物件なら、完成4年前に750万ペソ、3年半前に800万ペソ、3年前に850万ペソ…みたいに、徐々に売値を上げていくのです。

通常、この手の物件を一番早いタイミングで安く買えるのは、「デベロッパーの関係者・縁故者」。彼らは完成前に転売して利ざやを抜きます。次に地元のエージェントが扱う。時が経ち、販売ペースが鈍ってきたな~と思った頃に、日本人を含む外国の販売会社に声がかかります。日本の販売会社は、その値段に3%とかのサポート料を乗せて、日本でセミナーやって客に売るのです。

時系列でいうと、だいたい、こんな感じになります。

2013年  デベロッパーが現地国で販売開始。

2014年  日本の販売会社が日本でセミナーやって客に売り、サポート料を回収。

2017年  物件完成・引き渡し

ここで問題は、「販売会社の利益確定(サポート料回収)」と、「物件引き渡し」との間に、3年ものタイムラグがあることです。

販売会社からすれば、2014年の時点でサポート料を回収しちゃえば、とりあえず「一丁あがり、次の客に売ろうぜ」モードになる。その後、2015年、16年、17年と、忘れた頃に客から質問やリクエストが来ても、すでにお金を回収しているからやる気にならないし、売った責任上、時間かけて真面目に対応したところで、経営視点からはどうしても「金食い虫」に見えてしまう。

でも客の立場からすれば、2014年時点では「購入の権利を得る」だけの話で、不動産のかたちになるのは2017年。それに先立ち、不動産登記やら保険加入やら鍵受け渡しやら、いろんなメールや郵送物が英語で来るので、ここで、販売業者にしっかりサポートしてほしいわけですが、

すでにその時点で、販売業者はサポート業務を他社にアウトソースしたり、もっと儲かる国に「国替え」してたり、酷い場合は転業・廃業してたりするわけで、買った客が期待するようなサポートができなくなっている…

その結果、東南アジア各国で、満足なサポートを受けられず、放置プレイされた大量の完成物件が出る。オーナーは困惑し、私みたいな人間に助けを求めてくるのです。

私の意見…問題の本質は、「販売業者の利益確定タイミング」と「客がサポートを必要とするタイミング」が何年もずれていることにある。そのタイミングを一致させる方法を考えないと、業者と客がWin-Winの関係にならないし、海外不動産の評判も悪いままでマーケットが広がらない。

そこで、私は下記を提唱します。たとえば、今から3年後の2020年に完成予定の東南アジアのプレビルド物件を売る場合、

・2017年の販売時(売買契約サイン時)に、業者がサポート料の50%を回収

・2020年の引き渡し時に、業者がサポート料の50%を回収

こうすれば、売り側買い側、お互いにとってフェアだと思いますし、販売業者も長期的視点に立って客にサービスする経営姿勢になるでしょう。また、業者が引き渡し前にしっかりサポートして客の心をつかめば、人情として「次の物件買いたい」となるので、海外不動産のマーケットが健全に発展することにもつながると思います。いかがでしょう?

そもそも、「完成の数年前にサポート料とって後は知らん」みたいな業者は、不動産の仕事しているとは到底言えない。そんな業者が自然に淘汰されるような、真っ当な海外不動産マーケットをつくりたいです。

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資産を守る東南アジア投資、何それ?

おはようございます、Manachanです。

日本に海外不動産投資なる言葉がほとんど浸透していなかった2011年2月、私は東京で、「アジア太平洋大家の会」を旗揚げしました。奇しくも、その1ヶ月後に東日本大震災が起こり、計画停電や放射能騒ぎなど、いろいろゴタゴタがあって活動は2か月ほど休止。でも世の中が落ち着いてきた6、7月頃から、ものすごい勢いで会員数が増え、海外不動産セミナーを開催すれば、全く広告費かけずに30~50名は集客できる時代が来ました(あの頃は、我々のセミナー以外に選択肢が少なかったもんね…)

会を立ち上げて6年半になりますが、いま振り返っても、震災直後のあの頃ほど、「資産を外国に出したい」日本人富裕層の燃え盛る熱気を感じた時期は他にありません。

 

当時、隆盛を極めていた話が、「マレーシア不動産投資」でした。海外不動産で「旬」な国は、東南アジアの場合「マレーシア」→「タイ」→「フィリピン」→「カンボジア」→「ベトナム」と、目まぐるしく移り変わりましたが、2011~12年頃のマレーシア投資ブームは、その後のどの時代の、どの国の不動産ブームよりもはるかに凄かったです。

ジョホールバルの新築コンドミニアムが、2日間で600戸も日本で売れた」みたいな話があった位で、まるで中国人バイヤーを彷彿させる勢いがありました。あの頃は、1ドル=80円程度の超円高時代でしたら、それも大きな要因でしたね。

 

その頃、どんな宣伝文句で、日本人にマレーシア物件を薦めていたか…今振り返ると滑稽な話です。私、当時から違和感ばりばりでした。

 

【当時の典型的なセールスレター】

1)日本経済はほとんど成長しておらずデフレ状態が続いています。日本は少子高齢化が進み、労働人口が減る一方。いずれ日本の国債も破綻すると多くの経済学者も言っています。今の時代、日本円だけで貯蓄することは、安全な方法とは言えなくなっています。

2)そこで、日本円以外の外貨で資産を持つ事をお勧めします。単純に、日本円をアメリカドルなどに換えて、外貨として資産を持つのも良いでしょう。

3)ここでは、マレーシア不動産投資をお勧めしていますがマレーシアの不動産投資をするということは、外貨で資産を持つ事を意味します。

 

【私が感じたこと】

1)と2)は、分かります。要は、「資産を守りたい」。そのために、資産を各国・各通貨に分散させたいんですよね。それはセオリー通りの判断。

でも、なぜ3)なの?「資産を守る」という目的を達成する「手段」として、どうしてマレーシアの不動産を選ぶの?その選択のどこに妥当性があるの?

 

資産を守るために外貨に換える時、普通の人は、自国通貨より信用度が高い通貨を選びます。たとえば、ニュージーランドに住んでる友人は、NZドルが貯まると、すぐ豪ドルに換えてました。でもオーストラリア人が、手持ちの豪ドルをNZドルにせっせと換える…みたいな話は、聞いたことありません。

あと、世界中どこへ行っても米ドルはたいてい通用しますね。これはアメリカ人が旅行して金を落とすからというよりは、むしろ世界各国の人が、自国通貨を米ドルに換えたい根強いニーズがあるからです。資産保全の動機が強いのは言うまでもありません。

 

それを踏まえて、日本人が資産保全の目的で、日本円の他に持つべき通貨・資産は何なのかを冷静に考えた時、本命は「米ドル」になるはずです。対抗馬として「ユーロ」があり、資源国通貨「豪ドルかカナダドル」位は持っててもいいと思うけど…そこにいきなり、「マレーシア・リンギット」みたいな新興国通貨を持ってこられても、どうなんでしょうね?

マレーシア・リンギットは、マレーシア国内と、タイ深南部の一部都市でしか流通しません。日本に、リンギットをそのまま持ってきても、換金するのさえ難しいです。一方、日本円をマレーシアに持っていけば、どの銀行・両替商でも、かなり良いレートで換えてくれます。それが、現時点での円とリンギットの信用力・通用度の差といえます。

 

日本円の価値が今後どうなるか分からないとはいえ、現時点せっかく世界的な信用度の高い日本円の資産を持ち、かつそれを「守りたい」のに、業者に乗せられて、せっせと、マレーシアリンギットやタイバーツのリスク資産に換えるのって、賢明なんだろうか?

フェアにみて、マレーシアやタイは、現時点では、「経済成長の恩恵で将来大きく育つかもしれないリスクマネーを置く国」ではあっても、「資産を安全に守る国」とはいえないはずです。

あとそれ以前に、新興国では不動産市場が発展途上、取引データも未整備でガバナンスも弱い。建設の工期管理、完成後の賃貸管理、将来時点の売却…どれをとっても確度の高い予測が難しい。首尾よく上振れする可能性は否定しませんけど、常識的に考えて、新興国不動産は「資産を守る」手段としては選定されない投資対象だと思います。要は、「値上がり期待の投資」以外の何物でもない。

 

とはいえ、2011~12年頃は、「超円高」という、資産外出しに絶好のタイミングではありました。当時、思い切って外貨資産に換えて、いま、為替の利益でウハウハな人も少なくないでしょう。

そこで、当時、たくさんの日本人が不動産を買った、「マレーシア」、「フィリピン」、「タイ」の各通貨の対円レートがどう変わったか、みてみましょう。

 

1)マレーシア(通貨:リンギット)

2011年7月 26.89円
2012年7月 25.34円

現在(2017年7月) 26.08円

あまり為替でトクしてませんね。2013年以降に買っちゃった方は露骨に為替差損。

 

2)フィリピン(通貨:ペソ)

2011年7月 1.87円
2012年7月 1.91円

現在(2017年7月) 2.21円

地味に、じわじわ上がってきたので、2011~12年円高の時代に買ってればトクしたかも。

 

3)タイ(通貨:バーツ)

2011年7月 2.64円
2012年7月 2.54円

現在(2017年7月) 3.30円

ここ5~6年で、2割強、対円レートが上がっていました。2011~12年に買ってればよい選択でしたね。

 

でも、同じ期間中、対米ドルで比べると、マレーシア、フィリピン、タイ…いずれの通貨も価値を落としています。

1)マレーシア(通貨:リンギット)

2011年7月 0.332ドル
2012年7月 0.317ドル

現在(2017年7月) 0.233ドル

 

2)フィリピン(通貨:ペソ)

2011年7月 0.02317ドル
2012年7月 0.02398ドル

現在(2017年7月) 0.01986ドル

 

3)タイ(通貨:バーツ)

2011年7月 0.03266ドル
2012年7月 0.03173ドル

現在(2017年7月) 0.02944ドル

 

信用力の低い新興国通貨で資産を持つ唯一のメリットは、「将来、経済発展して上振れする可能性」位なんですが、米ドルに対するパフォーマンスをみると、これまで5~6年間は思わしくありませんでしたね。あと5年、10年後、どう変わっていくのかは分かりませんけど…

資産保全が主目的であるならば、円のほか、「主力は米ドル」を前提に、「お金に余裕があれば新興国資産を少々」程度で組む方が良いかと思います。

もっとも、マレーシアやタイが好き、行く用事がある、いざという時セカンドホームにしてもよい…という「実需」が念頭にある方や、「リスクを承知で、それでも東南アジアの成長に賭けて、大きく育てたい」と思う方は、その限りではありませんけどね。

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海外不動産レスキューのお仕事

こんばんは、Manachanです。いつもご愛読ありがとうございます。

いま羽田空港から、マレーシアに向けて飛ぶところ。最初の目的地は同国南端の都市ジョホールバル(Johor Bahru, 略してJB)。渡航の目的は、「JBで不動産を買い、いま入居付けや転売に苦労している会員のための、救済策の模索」です。

シンガポールに隣接、極めて戦略的な位置にあるJBでは、2010年以降、夥しい数の住居物件が供給され、日本人を含め外国人が何千戸、何万戸と買ってきました。でも悲しいかな、新興国の常として、購買・賃貸需要の見極めが十分ないまま、1プロジェクトあたり10000戸みたいなアホみたいに過剰な供給を各社が繰り返した結果、「住民いない、店舗も入らない、夜は真っ暗」廃墟コンドミニアムが各地に出現、今や「東南アジア不動産のやばい部分」を凝縮したような都市となっています。

マレーシア第2の都市・ジョホールバルが「廃墟化」するこれだけの理由…

でも、JBという街自体は、昔から個人的に好きなんです。大学時代以来、旅行で仕事で、6~7回訪れてます。きれいに整備され無菌状態みたいなシンガポールからJBに来ると、旅人としてはホッとしますね。国境の街特有の猥雑さが何ともいえず、良い感じ。食事や宿泊費はシンガポールの3分の1。ローカルな安メシがとにかく旨い。カレーラクサとか福建麺とか肉骨茶とか、シンガポールと同じメシ食っても、味はどう考えてもJBに軍配があがる。勤め人時代、シンガポールには、10回近く出張に来てますが、自由時間あれば国境超えのバス乗ってJBに行ってましたね。それ位好きな街です。

不動産投資の面ではいろんな問題がありますが、街自体は年々、発展してきているのは間違いないところですし、将来が楽しみなアジアの都市ですね。

JBでは、日本人オーナー向けの賃貸管理を頑張ってる会社の管理物件をいくつか見てきます。マレーシアリンギットの為替も安く、JBの不動産価格も下がってきている昨今、物件をちゃんと見極めて、しっかりした管理会社を見つければ何とかなるかもしれない…何とか、日本人オーナーが成功できる道を見出したいです。私の好きな街だから、日本人オーナーと幸せな関係をつくっていきたい。

ところで、私は「海外不動産にフォーカスした大家・投資家コミュニティ」というコンセプトで、「アジア太平洋大家の会」を、6年前に立ち上げました。

この6年間、日本各地で、海外不動産物件の紹介・販売セミナーをやってきましたが、今では活動内容の多様化・深化に伴い、「場を提供してセミナーやるだけでは不十分」だと感じています。なぜか?

創設当初と、今とでは、何が変わったのか?…一番重要な変化は、会員のなかで海外不動産オーナーが増えたことです。

すでに海外不動産を持ち、運営している人に対しては、販売サポートとは別次元のサポートが必要で、それが、切実に求められています。典型的なものは、

1)海外で購入した不動産の権利面に関するサポート(権利面チェック、登記手続き)

2)海外で購入した不動産の管理に関するサポート(入居付けできる管理会社、エージェントの紹介)

3)海外で購入した不動産の売却に関するサポート

海外物件買ったはいいが、業者から十分なサポートを得られず、言葉の壁もあって困っている会員がたくさんいます。そんな彼らのために、自ら海外出張してレスキュー・オペレーションをやることがあります。

昨年10月には、マレーシアの首都クアラルンプール(KL)で、会員所有物件の登記手続きと入居付けを、わずか2日の出張で全て成功させたことがあります。私に相談くる前、どんな状況だったのかというと

・会員がKL都心部に所有するコンドミニアムは、もともとホテル運営を行っており、定額の保証賃料が毎月振り込まれる状況だった。その収入で、ローンの返済をまかなっていた。

・しかし、そのホテル運営が急遽中止になり、空室になり、定期収入を失ってしまった。

・同時に、登記手続きも、実はまだ完了していないことが発覚。マレーシアの弁護士事務所や管理会社から、いろんなメールが来るも、十分理解できずに苦しんでいた。

困り果てていた会員から事情を聞いた私は、こう言いました。

一緒にマレーシア行けますか?2日くらいあれば、何とかなると思います。

この場合、会員がマレーシアに行かず、私に全て任せしても全く意味はありません。物件オーナーとして、当事者として、自らマレーシアに飛ぶ、そこに私も同行して現地の方々とのコミュニケーションをサポートする…そのモデルなら、一気にいろんなことが解決できます。

依頼を受けて、私が渡航前に何をやったかというと、

– 弁護士事務所、管理会社とのアポとり
– 入居づけできそうな現地不動産エージェントとのアポとり

渡航後は、現地で我々が動ける日を2日つくりました。その間に、空室になった部屋の内見、弁護士事務所でのペーパーワーク、エージェントとの管理契約締結、銀行口座の凍結解除など、すべてやって、帰国しました。

結果的には大成功でした。

渡航2週間後に入居づけに成功。家賃入金も確認。

登記も無事完了。

今後も、リクエストに応じて、会員の皆さんの海外物件レスキューでお役に立ちたいで

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業者主催の新興国数か国同時セミナーに思う…

おはようございます。Manachanです。日曜日ですね。大型台風近づいてますが、とりあえず今日の東京は涼しくて快適。家族水入らずで過ごしてます。

昨日は、東京・大手町「第4回 世界の資産運用フェア」で、カナダ不動産のブースを終日手伝ってました。このイベント、前回は台湾とカナダのブース手伝ったり、パネルディスカッション頼まれたりと、毎回必ず駆り出されてます。

昨日のイベントは出展企業数減った割に来場者数は過去最高だったよう。カナダブースは私含めて3名しかおらず、終日、休む間もないほど多忙でした。来場者の「海外で不動産投資始めたい」真剣度も年々上がっておりますが、購入に際してはできるだけ多くの情報を仕入れて慎重に判断したい人が多く、セールスマンに求められる知識とコンサル能力は上がる一方。仲介業者にとって決してラクな業況ではないと思います。

顧客は慎重、予算も有限、海外不動産の価格も上昇中…ということで、必然的に求められるのが「海外不動産に融資を出す国内金融機関」の存在。特に昨今、「政〇金〇公庫」や「〇リ〇クス銀行」の積極的な融資姿勢は、海外物件を扱う業者にとって神、救世主という他ないでしょう。

 

最近は、東南アジア新興国物件を扱う業者が数社集まって、「日本円融資付き、ASEAN数か国同時セミナー」の開催が流行っているようです。一言でいうと、

・タイ、カンボジア、ベトナム、フィリピン、マレーシア等、ASEAN数か国の不動産物件を同時紹介。
・融資コンサルが登場し、〇策〇融公庫等の海外不動産賃貸事業融資スキームの概要説明。
・個別相談やって、さあ、買いましょう。

…というフォーマットのセミナー。「海外物件売りたい業者」と「優良顧客リストを得たい金融機関」、「低金利の融資受けて海外物件GETしたい客」、三者の思惑から必然的に生まれた、今風のセミナー形式といえましょう。

 

私は、セミナー主催側の人たち、ほぼ全員と知り合いだし、彼らの商売を邪魔する気はありません。まだ未成熟な業界を盛り上げるため、共に手を携えていくべき仲間だと、基本的には思っています。

とはいえ私は、海外不動産で資産を増やしたい「投資家」のスタンスで活動しています。その観点からいうと、売りたい側の視点が反映された「新興国数か国セミナー」からの情報収集は、気を付けるべきだと思います。こういうセミナーに参加するのは良いけど、海外不動産投資に関する、ある程度のリテラシーを身につけてからにした方が望ましい。なぜか?

 

私は、セミナーでこんな話になることを、危惧しています。

1)日本円で、金利2%で融資が引ける
2)東南アジア新興国で、物件を買って賃貸に出せば、8%で回る想定
3)差し引き6%、お金が残るじゃん!

 

ま、1)は良いでしょう。属性が良い、現金たくさん持っている、担保に出せる物件がある…そんな人に、日本の金融機関は喜んで貸すでしょう。

一番の問題は2)です。東南アジア新興国、特にプレビルド(=数年後に完成する物件の予約販売)の場合、業者がいう「8%の利回り」で本当に回るかどうか、精査が必要です。その利回りが実現する可能性もあるでしょうが、一般的に、「いくつかの幸運」が重ならないと、実現できない数字だと私は考えます。「幸運」とはずばり、下記3つのリスクを回避できること…

 

a)「過剰供給リスク」… 完成時に、周辺にマンションがボコボコ経って、過剰供給になったら、目標利回りの実現はまず無理。

b)「入居者層の限定リスク」… 想定する家賃が、現地の一般人に手が出ない価格帯の場合、「外国人」という、極めて狭いマーケットで入居者を見つけなければならない。このマーケットで競争力がなければ、目標利回りの実現はまず無理。

c)「インフラ未整備リスク」… それ以前に、建物が予定通りの期日に建たないかもしれない。よしんば建っても、引き渡しの時点でプール等共用施設がまだ工事中だったり、携帯電話の電波が届かない等、環境的な問題で賃貸に出すのが困難かもしれない。ドアの建て付けや水回りの不具合を直すのに想像以上の時間かかるかもしれない、このうちどれか一つが起こったら、目標利回りの実現はまず無理。

 

私は6年前から東南アジア物件買ってきて、上記を全て経験しました。これらのリスクは新興国に特徴的で、「欧米先進国」では明らかに低いといえます。不動産市場のガバナンスが欧米的なら「a)過剰供給」は起こりにくいし、一般ピープルの所得水準が高いので「b)入居者層の限定」も普通は起こらない。近代インフラが一通り整備済なので「c)インフラ未整備」が起こるとも考えにくい。

だから、「フィリピンやカンボジアで想定7%利回り」と「カナダやオーストラリアで想定7%利回り」とは、表面的な数字は同じでも意味合いは全く違うのです。後者は、かなりの確率で目標通りの収益性が実現されると想定されるに対し、前者は「実現できればラッキー」くらいの意味合いなのです。なお、新興国でも中には、確度の高い利回りが実現できる案件もありますが、それは「特殊な賃貸ニーズ」とか「オンリーワン立地・企画・管理体制」など、特殊な要因があってはじめて実現するものですので、それが何であるのか、見極めが必要です。

3)も問題ですね。日本円でローン返済しなければならない一方、家賃収入は外貨(タイバーツ、ベトナムドン、マレーシアリンギット、フィリピンペソ…よくて米ドル)になる。つまり投資家が為替リスクを負うわけです。現地通貨が円に対して上がればいいけど、その逆に動いた場合、現地からの家賃収入で返済できず、持ち出しになる可能性があります。あと、ハードカレンシーとは言えない東南アジア通貨を、日本円に適宜変換できるかという問題もありますね。米ドル等と違って両替手数料も高く取られますし。

 

海外物件を融資受けて買う場合、一番リスクが低いモデルは、「想定利回りが相当信頼できる先進国の物件を、その国の通貨で融資をひいて買う」ことだと思います。それをやれれば、2)と3)のリスクがほとんどなくなるから…

逆に、「想定利回りの信頼性に劣る新興国の物件を、日本円の融資を受けて買う」リスクは決して小さくない。このことを、海外不動産投資を志す人は、ぜひ覚えるべきだと思います。

ぶっちゃけ言うと、「オーストラリアの収益物件、想定利回り5%、豪ドル融資で利率4%」と、「フィリピンの収益物件、想定(?)利回り7%、日本円融資ひければ利率2%」と両方並べてみて、後者の方が割が良いから買おうと即断してしまう人は、海外不動産の基本的なリテラシーが欠けているのです。

 

以上、新興国系の業者様には厳しいことを言ったかもしれませんが、投資家としては上記を十分理解した上で、「新興国数か国同時セミナー」に参加して、納得できれば買えば良いと思います。経済成長中の新興国には、「今はダメダメでも、時間が解決してくれる」面も多分にありますから、長い目でじっくり取り組めるなら、短期的なリスク承知であえて買うのもアリですね。あるいは、東南アジアが本当に好きで、将来は自分で住みたいとか、多少の損があっても、不動産オーナーとして国と一緒に成長していきたい方は、自分の好みでどんどん買えば良いと思います。

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生活コスト3分の1のオーストラリア

こんばんは、Manachan@マレーシアです。

3月26日の朝7時過ぎ、クアラルンプール国際空港に着くと、外気温すでに31℃。空港の外に出ると熱気と湿気がムワッと…我が家は今年1月にタイ・バンコクに行ったばかりですが、ここマレーシアもタイ同様、常夏の国。

でも高速道路で市内に向かうと、マレーシアの風景は隣国タイとは似ても似つかないことに気づきます。とにかく土地が広くて、樹林と未利用地が多い。人家が少なく、その割に車の交通量は多い。大雑把な風景のなかに時々、高層マンションや戸建住宅地、ショッピングセンター、ガソリンスタンドなどが出現する。

どこかで見覚えある景色だなあ…私が知る限り、ここと一番似ているのは、「オーストラリア」。そう、不思議なことに、マレーシアとオーストラリア、いろんなところが、やたら似ているんです。同じ旧英連邦で地理的にも近いので、オーストラリアの影響大きいんでしょうね。

 

クアラルンプール郊外の景色、これが「オーストラリア」といわれても、私は違和感ありません。

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ショッピングセンターからみる外の景色。緑地や空き地、建物の感じが、オーストラリアの都市近郊っぽい。

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クアラルンプール周辺は、分かりやすくいうと「ニュータウンの集合体」。プトラジャヤ、サイバージャヤ、ペタリンジャヤといった郊外衛星都市に、無数の、「港北ニュータウン」に似た地域が点在し、そこに学校、病院、商業・娯楽施設、高速道路I/Cなど、人々の生活に必要なものが計画的に配置されています。

今回はその一つ、プトラジャヤにある「IOIリゾートシティ」に行きました。港北ニュータウンというよりは、オーストラリアの住宅地にそっくり。

ショッピングセンターの設計、入居テナントからして、オーストラリア各地で展開する大手SC「ウェストフィールド」と景色がダブる…ウェストフィールドでよくみかける、Target、Priceline、Harvey Normanに瓜二つの店舗が、ここにある。飲食店のラインアップも、オーストラリアの中流層が好みそうな「オーガニック野菜と肉料理のモダンな西洋料理の店」とか、「ゆったりと広いカフェ」、「寿司バー」の類が目立ちます。

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フードコートの雰囲気も、オーストラリアとよく似ています。この写真だけ見せて、「オーストラリアのアジア系住民の多い地域のフードコート」だと言われたら、信じてしまうかも。

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さらに、値札もオーストラリアに似てますね。フードコート内のプロモーション(割引価格)で9.9。ジャパレスの「うどん」や「丼もの」の値段が10.9~14.9。

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ただ、決定的に違うのが、「通貨と物価」。オーストラリアだと、フードコートで食べる肉うどんの値段が「12.9豪ドル」。マレーシアだと「12.9リンギット」ですから、

1豪ドル=3リンギット
1豪ドル=84円、1リンギット=28円
肉うどん・・・オーストラリアで1084円、マレーシアで361円

 

食べ物に限らず、タクシーや電車の運賃、書店で売ってる本や雑誌の値段、スーパーで買う飲料の値段、家賃や民泊の宿泊料なども、おおむね、マレーシアとオーストラリアの値札は同じ。電化製品とか車はともかく、日常品においてマレーシアの生活物価はオーストラリアの約3分の1ということになります。

いろんなものがオーストラリアとそっくりで、かつ値段3分の1ならすごくお値打ち感がある…と思います。もちろん、日本からみても明らかに物価安いので、移住先、ロングステイ先としてマレーシアは人気があります。ロングステイ希望国ランキング、2006年から9年連続、1位ですからね。

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「1位マレーシア、2位タイ」という、アジアのツートップも定着してきましたね。日本から近くて行きやすい、住んでる人間が同じアジア人種だし、食べ物も米・麺ベースなので馴染みやすい。物価が安くて、その割にまとも…というのが人気の理由でしょうか。

(余談ですが、マレーシアに来ると私は、地元民だと思われます。それどころか、うちの家族は全員、英語か中国語で話しかけられるのに、私だけマレー語で話しかけられたりします。同胞だと思ってくれるのは構わんけど、早口のマレー語で話しかけてもSatuとかAndaとかBanyak-banyak位しか分からんぞ…)

近年、ヨーロッパ諸国が、ランキングからほぼ姿を消し、人気の国は東南アジアか英語圏先進国に限られてきましたね。そのなかでオーストラリアが若干、人気を落としているのは、「物価が高い」イメージのせいでしょうか。

 

マレーシアは、「一応、英語圏」なので、子供に英語を学ばせたい親たちにも人気があります。ここは多民族国家で、マレー系、中国系、インド系等、いろいろいますが、基本的に皆、英語を話しますすし(というか、種族間の意思疎通やビジネスのため英語は必須)、英語ベースのインターナショナルスクールの類も豊富にあります。

移住当初は、「マレーシア人が日本人にも聞き取りやすい英語で話してくれる」となかなか好評。中華系はともかく、マレー系住民の母語は日本語に似た音韻体系を持っていて(ほぼ「あいうえお」だもんね…)、ローマ字っぽい英語で話すので聞いて理解しやすい。

ただ、マレーシアの暮らしや英語教育に慣れてくると、ここが「なんちゃって英語圏」であることが分かり、物足りなくなってきます。皆、母語はマレー語や中国語であり、第二言語として英語を学んでいる。確かに英語は話すけど、ネイティブじゃないと…

そこで、「ホンモノの英語圏」で暮らしたい人、学業を続けたい人は、オーストラリアやニュージーランドとかに行くわけです。

とはいえ、日本人が英語や海外暮らしに慣れるための「ゲートウェイ」として、マレーシアの利用価値は大きいですよね。生活コストも安いわけだし…。

 

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マレーシア星ヶ丘物語

こんばんはManachanです。今朝、マレーシア・クアラルンプール(KL)に着きました。家族4人で、都心部のコンドミニアムに滞在しています。いわゆる「民泊」ですが、広くて、とても気に入っています。

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私たちが滞在する場所は、「KLの新宿」と呼ばれる繁華街ブキビンタン(Bukit Bintang)から、モノレールで1駅目Raja Chulanのすぐそば。ブキビンタンの駅から歩いても10分かかりません。

いまのブキビンタン、ものすごく都会的で、人出も多く賑やか。マレー系、中華系、インド系、中近東系、欧米系…世界中のいろんな民族が集まる場になっています。

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ブキビンタンには、世界主要都市の百貨店と比べてもひけを取らない超豪華な「パビリオン」をはじめ、ハイエンドな商業施設がいくつかある一方で、東南アジアらしい、怪しげな個店が集まる「スンゲイワン・プラザ」や「BBプラザ」等もあり、いずれも賑わっています。

私は「スンゲイワン・プラザ」大好き。いつもここで、DVDを買ったり、食材を調達したり、携帯電話のSIMロックをはずしたり、散髪したりしています。

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ブキビンタンという地名、Bukitが「丘」、Bintangが「星」の意味。日本風にいえば「星ヶ丘」。名古屋の地下鉄駅みたいで、おしゃれな名前ですね。

私が初めて、マレーシアを訪れたのは1992年。当時のKLは、大都会になった今からは想像もできないほど、小さく、シンプルな街でしたが、その時代から、星ヶ丘、もといブキビンタンはKL随一の商業中心地でした。

 

1992年当時は、アジアで先進国が日本だけしかなく、韓国、台湾、香港、シンガポールが「アジアNIES」とよばれる中進国、あとは全て発展途上国だった時代でした。

東南アジアでいうと、当時、近代的な都会といえばシンガポールとバンコク位しかありませんでした。マレーシアの首都KLは、「えっ、これでも首都なの?」と驚くほど、こじんまりとした、日本でいう「地方の県庁所在地」レベルの街でした。現在の「カンボジア・プノンペン」と似たような都市レベルだったと記憶してます。

 

・現在の都心CBDであるKLCC地区は、まだ開発前で更地だった。当然、「ペトロナス・ツインタワー」もなかった。
・セントラル駅の裏手は、一面の森で、「タマン・ラマラマ」(蝶々の公園)と呼ばれていた。
・セントラル駅からチャイナタウンまで、1~2㎞の間は一応、市街地が続いており、旅行者の多くはそこに泊まっていた(それ以外の選択肢がなかった)。この一帯の商業店舗といえば、見渡すかぎり個店ばかり。
・セントラル駅から5~10㎞も離れると、ゴムのプランテーションが広がっていた。

 

とはいえ、貧乏ではなかったです。マレーシアは昔から、少ない人口で豊かな資源を占有している国だから、街が小さくてシンプルとはいえ、他の東南アジア諸国にはない、生活水準の高さは感じました。当時の私は、KLを離れて、地方都市のテメルロー(Temerloh)やジェラントウット(Jerantut)にも足を運びました。そこには平屋建ての商業施設が一つあるだけ、みたいな状態でしたが、それでも皆さん、まともな家に住んで栄養も十分のようで、貧しさとは無縁のようでした。

でも、KLは一国の首都なのだから、マダムや娘さんがおめかしして行くような百貨店の一つや二つはあるはず。よく見たら、その機能はブキビンタンが一手に担っていました。

当時、ブキビンタンにあった「伊勢丹」が、KL、いやマレーシアで唯一、近代的な百貨店と呼べる代物でした。今のプノンペンでいう「イーオンタウン」みたいなものですね。伊勢丹を中心に、建ち並ぶいくつかの商業施設と、人々の賑わい…商都ブキビンタンがあるからこそ、KLはマレーシアの首都でいられるのだと思いました。

 

あれから20数年、KLはものすごく変わりました。KLCC地区は高層オフィスビルが林立して摩天楼と化してますし、大型百貨店、ショッピングセンターは、星の数ほど建ちました。商都ブキビンタンも、時代にあわせて進化・グレードアップを続けています。

活気あふれるブキビンタン。これからもKLを引っ張っていく存在でありつづけることでしょう。

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こんなはずじゃなかった…東南アジア不動産編

おはようございます、Manachanです。

このブログは、不動産投資がメインのテーマですが、ここ数日、他の話題が続きました。初心に返って、不動産の話題に戻りますね。

私がパートナーの坂口と、「アジア太平洋大家の会」を立ち上げた2011年頃、海外不動産といえば「東南アジア新興国のコンドミニアム」でした。特に、東日本大震災がきっかけとなり、日本の富裕層の間で「海外に資産を持ちたい」ニーズがにわかに高まった時期は、まずマレーシアのコンドミニアムがバカ売れしました。次いで、ブームはタイ、フィリピンへと移り、今ではカンボジアやベトナムの物件を買う人も増えてきました。

日本で販売される東南アジア物件の多くは、「プレビルド」とよばれる予約販売です。それも、3~4年後に完成する物件を「先物買い」するスタイルが主流です。私や坂口、そして数十名の会員は、2011~12年頃から、東南アジア各国のプレビルドを買ってきましたが、それが完成する時期は大体2014~15年になるわけです。

遠い海外で、3~4年も後に完成する物件を買う投資・・・買った当時は、何もない、更地だったわけですが、実際、建物が建って引き渡しを受けてみると、この種の投資の、いろいろな課題や問題点が見えてきます。

後知恵ではありますが、いま振り返ってみると、「東南アジアで、数年後を見据えて正しく投資判断するって、むちゃくちゃ難しいなあ」というのが正直な実感。

とにかく、変化が速い!建物ができるまでの3~4年間で、物件周辺の環境が激変してしまうのです。典型的な変化とは、ずばり、「数年後、自分の買った物件の周辺にコンドミニアムがバカスカ建ちまくって、ライバルだらけになる」…こんな感じで。

 

2011年、経済発展著しい東南アジア某国の首都でコンドミニアムをプレビルドで購入。周囲は貧相な低層住宅の広がるなか、超近代的なコンドミニアムが建つ予定。現状まだ更地だが、前途洋々に見える。完成は3年後、2014年の予定。

2012年、現地はまだ更地で、基礎工事さえ始まっていない。デベロッパーは、住戸が全部売れてお金を集めてから工事に着工したいようだが、果たして予定通りに建つのか、少し不安になる。物件周辺では、他デベロッパーによるコンドミニアム開発計画が、次から次へと発表される。

2013年、ようやく、基礎工事が始まる。周辺では、他デベロッパーによるコンドミニアムの工事があちこちで始まってきた。街のあちこちでクレーンがひっきりなしに動いている。

2014年、15階まで完成。しかし、本来ならすでに最上階まですべて完成&引き渡しのはずなのに、予定した工期から6~8か月は遅れている。周辺はすでにコンドミニアムだらけ。こんなに部屋つくって、需要はあるのかと不安になる。

2015年、予定より9か月遅れで、晴れて物件完成&引き渡し。それなのにプールやクラブハウスなど共用施設はまだ工事中で使えない。この状態じゃ、賃貸に出せない。共用施設が完成しても、周囲にライバル物件がむちゃくちゃ多くて、我が物件を選んでもらえるかどうか自信がない。

 

私も物件買ってる、タイ・パタヤを例にとってみましょう。私は2012年にプレビルドで買いましたが、2012~14年にかけてのコンドミニアム建設ラッシュで、パタヤ全域で住戸が大量に供給されました。2007年から通算すると181プロジェクト、6万3千戸の新規供給があったそうで(リンク)、パタヤの人口規模(30~50万人)を考えればまさに供給過剰。特に、パタヤ市街地からプラタムナックの丘を越えて、南側のジョムティエン地区での供給数が凄まじかった。

ジョムティエン地区は、静かなビーチと、あまり賑やかとはいえない中心街があり、そこを少し離れると、「えっ、こんな場所、誰が住むの?」と言いたくなるような何もない地区になりますが、土地の仕入れ値が安いのか、そういう不便な場所ほど、地域の実力に不釣り合いな高層コンドミニアムがバカスカ建ちまくるのが、新興国でよくある現象です。

すると、どうなるか?必然的な帰結は、「二極化」。勝ち組物件と負け組物件の差が激しくなるのです。街の中心部とか、郊外でも人々に選ばれる要素を持つオンリーワン物件に人気が集まり、そうでない物件は賃貸も転売も著しく苦戦するのです。

 

中心部はともかく、ジョムティエン地区で生き残れるコンドミニアムって、全体のどれ位あるんだろう?

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マレーシアの首都クアラルンプールでも、ここ3~4年、都心部KLCC地域で、驚くべき数のコンドミニアムが供給されました。街のスカイラインが変わってしまうほどの豪快な建ちっぷり。確かに活気は感じますし、都心のコンドミニアムに住む人も増えていますが、問題は、需要以上の戸数が供給されてしまうこと。2013年7月に訪問した当時すでに、KLCCのコンドミニアム空室率は30%といわれていました。今でも続々と建ってますから、空室率はさらに上がっていることでしょう。

すると、どうなるか…都心部の過剰供給で家賃に下方圧力がかかると、それが郊外に波及するのです。

都心部コンドミニアム:想定家賃では貸せないが、下げればなんとか貸せる。

郊外コンドミニアム:家賃下げても貸せない。比較的安いコストで都心部に住めるから、郊外に間借りする意味がそもそもない。

KLCC周辺。確かに発展著しいが、ほとんど人が住んでないコンドミニアムも相当数混じっている。

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日本国内の事例でいうと、2005~07年のミニバブル期に、国内外のファンドが投資用ワンルームマンションを建てまくって過剰供給になった福岡市で、リーマンショックを機に家賃相場が大崩れする現象が起きました。

ミニバブル前は、福岡市都心部(天神、博多など)の相場家賃が月額5~6万円、それを高いと感じる人々が郊外(香椎、大橋など)で月3万円くらいで借りていたものですが、

リーマンショック後は、都心部の家賃が月額3万円台に下がりました。ファンドがお金かけて建てた、新築でオサレなワンルームが余りまくり、需給バランスが崩れて完全に借り手市場になりました。すると、郊外から中心部へ引っ越す人が増えたのです。3~4万の家賃で便利な都心に住めるなら、普通そうしますよね。

その結果、都心部は家賃相場下がったけどとりあえず埋まる。一方、郊外で特色のないマンションは、さらに空室・値崩れがひどくなったのです。西鉄井尻の駅前、「家賃1万円台激安ワンルーム」の募集広告が並ぶ不動産屋はまさに壮観。

 

国・都市は違えど、都心部で物件過剰供給が起こったら、2008年の福岡市と同じ現象が起こるのは明白。クアラルンプールでも、都心部から少し離れた郊外コンドミニアムの入居づけが、特に苦戦していると聞きます。投資物件である以上、想定賃料が下がれば、当然、売却価格も下がらざるを得ません。

もっとも、クアラルンプールの場合は、コンドミニアムに住める財力のない、平屋住まいの庶民が大半を占めており、彼らの経済力が上がれば郊外コンドミニアムにも住んでくれる時代が来るかもしれませんが、そこに至るまで、あと5~10年はかかりそうな気がします。融資組んで買ってる人も多いから、庶民の購買力が上がるまで待ってられない人もきっと多いよね。

マレーシア、タイに限らず、フィリピン、カンボジアなど、いろんな国で、同様の問題が起こっています。個別の事例をみていて、国は違えど、問題の構造は驚くほど似ていると感じます。

 

経済成長が続く東南アジアでも、不動産買うなら物件個別の見極めが大事なのは論を待ちません。将来的には、日本のように、ビッグデータの解析が進んで、「駅力分析」とか、「築年数と駅距離からみた適正相場」みたいなツールが開発され、投資判断もしやすくなるでしょうが、現時点では、まだデータも整備されていません。この面で、もっと日本の投資家のお役に立ちたい、歴史に残る良い仕事をしたいと、常に思っているのですが…

東南アジアの場合、現時点では、「失敗事例から学ぶ」というのが、物件選びを間違わないための、最も有効な方法のような気がします。皆様のお役に立てるよう、こんなセミナーも企画しました。ご興味ある方は是非。

10月9日(金)19:00~ 「海外不動産の失敗事例共有セミナー@東京

 

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新興国をまともな不動産市場に…

おはようございます。Manachanです。

一昨日の夜、都内で開催した「マレーシア物件管理&入居付けセミナー」は、近年まれにみる大盛況でした。

「マレーシア」をテーマとするセミナーで、ここまで盛り上がるのは、2012年以来のこと。当時は、ひたすら、「マレーシアのプレビルド(未完成予約販売物件)を売る」セミナーでした。今回は同じマレーシアでも「物件管理&入居付け」という、全く違う切り口のセミナーでした。

3年の歳月が経過し、当時日本人がマレーシアで買ったプレビルドが続々と完成している今、投資家のニーズも「プレビルドを買いたい」から「買った物件の管理を何とかしたい」に変わってきているのだと思います。

後知恵かもしれませんが、私、「日本における海外不動産ブームが東南アジアのプレビルドからはじまったことは、ある種の不幸」だったと考えます。

2011年の東日本大震災をきっかけとして、日本一国だけで資産形成することに対する疑問を、列島に住む多くの人が共有しました。日本のほか、海外でも資産形成をしたい。そのエネルギーの一部が「海外の不動産保有」に向かったわけですが、当時、大きく伸びたのが、「東南アジア新興国のプレビルド販売」でした。

私も当時、投資家のニーズに応えるかたちで、海外不動産紹介セミナーをたくさん企画しました。手持ちの情報量が乏しかったので、販売業者と連携することでノウハウを積んでいったのですが、当時コンタクトできたのは、見渡す限り、「マレーシア」、「タイ」、「フィリピン」のプレビルドを売る業者ばかりでした。

特に2011年から13年の前半にかけては、「マレーシア不動産」がブームで、大きく注目された時代でした。当時は今より、販売価格もずっと安く、かつ円高でした。プレビルドはいろんなリスクがありますが、それでも「この値段で外国の一等地の物件が買えるなら、お買い得じゃん」と思っていました。

しかし、2013年に入ると、「このまま、東南アジアのプレビルドばかり紹介していていいんだろうか?」という疑問が生じてきました。新興国不動産マーケットが余りにも未成熟で、「収益不動産本来のあり方」とかけ離れていると感じたからです。

このままプレビルド売りまくると、完成した後、大変な問題になってしまうと考え、次の文章を発表したのが、2013年2月27日でした。

2016年、ジョホール不動産ショック!

先日、マレーシア物件管理セミナーでご講演いただいた社長さんの言葉を借りると、

・不動産投資とは長期的運用が前提の金融商品であり、“購入”より“運用”の方がはるかに重要で難易度が高い

であるのにもかかわらず、

(完成後の物件・賃貸管理は)はっきり言って殆どの業者が目を背ける課題。

残念ながらそうなのです。その理由は、日本や欧米先進国と違って、東南アジア新興国は新築不動産の「販売」はできても、「物件・賃貸管理」がビジネスとしてほぼ成り立っていない環境だからです。

マレーシアでもタイでもフィリピンでも、新築を建てるデベロッパーはたくさんいて、完成前でもガンガン売る、「一戸売れたらコミッションいくら出す」用意もできています。そのシステムに乗って、日本人のお客を見つければすぐ商売になります。宅建業免許とかも必要ないから、誰でも、少ない元手で始められます。

それに比べて、管理は、儲かりません。東南アジアは、現時点で人々が管理サービスに対してまともに金を払わないマーケット。加えて、手間は想像以上にかかります。

・(日本に比べて)物件仕上がりのレベルは低く、修繕が必要な問題が頻繁に起こる。
・現地の人間を使って対応しようにも、(日本人から見て)まともに働かない
・にもかかわらず日本人顧客の要求レベルは概して高い

そんな状況を私は知っているので、東南アジアのプレビルドを販売した日本の業者の大多数が「管理から目を背ける」のを、責めることはできません。

でも、それを知りつつ、あえて「東南アジアで管理サービス」に乗り出す業者を、私は心から尊敬しますし、彼らこそ投資家の友だと思います

先ほどの社長さんの言葉を借りると、

・困ってる投資家がいる以上は参入する義務がある。
・正しい事をする事が事業の本質であり、マーケットから求められているからこそ収益を産むのである。

私はこのような志ある業者さんと、末永く提携していきたいと思います。

私たち「アジア太平洋大家の会」は、自分たちが「不動産大家」(Home Owner)である、その原点をとても大事にしています。

海外不動産の世界では、「アセット」とか「キャピタル」みたいな名前をつける会社・団体が多数ありますが、私たちはあくまで「大家」であることにこだわりたい。

「大家」だからこそ、「不動産の運用」と、そこから得られる「賃貸収益」を大事にしたい。そこをサポートしてくれる業者さんと良い連携をしていきたいと思っています。

日本の投資家と東南アジア不動産の関係がより幸せでありますように…

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海外不動産、賃貸管理の時代に…

こんばんは、Manachanです。

「日本に海外不動産の魅力を伝え、健全な投資文化を根付かせたい」という思いから、3年以上頑張って活動してきた私のもとに、今日、うれしいニュースが飛び込んできました。

マレーシア不動産販売の国内最大手、フォーランド社が、ついに、マレーシア物件の賃貸管理サービスに乗り出すというのです。

フォーランド社は、Web・メディア戦略に優れ、日本中に富裕層顧客を抱える会社。昨年は、「一日平均一戸」という驚異のハイペースで、マレーシア、特に首都クアラルンプール(KL)の物件を売りまくり、一気に、業界最大手にのし上がりました。

私も、縁あって、フォーランド社とは良いお付き合いをさせていただいています。昨年前半から、同社の会長には、このように訴え続けてきました。

・マレーシアのプレビルド(未完成)物件をたくさん売ると、数年後、賃貸管理の問題が必ず出てきます。今から、業界に先駆けて、賃貸管理サービスを、早くはじめるべきだと思います。

・「海外不動産売るだけで、賃貸管理やらない」会社ばかりだと、2015~16年頃、物件が一斉に完成した後、何千人もの日本人が、貸せない、売れない、英語できない・・・間違いなく取り残されます。そして、社会問題になります。

・御社のような大手には、社会的責任があるのです。日本人が安心して海外不動産に投資できる環境づくりのため、そして業界発展のためにも、是非とも、賃貸管理サービスを始めてください。

昨年2月に書いた、「2016年、ジョホール不動産ショック」というブログエッセイをプリントアウトして、会長にも読んでいただきました。私の趣旨は、理解いただけたと思います。

その当時は、まだまだ時期尚早。日本人に売るようなマレーシア物件は、ほとんど完成してないから、管理すべき物件も皆無に近く、人を配置してコストをかける状況でもありませんでした。

あれから1年経ちました。完成物件もぼちぼち増え、マレーシア物件を実需で借りる日本人も増えてきました。そのタイミングをとらえて、いち早く賃貸管理サービスを始める…さすがですね。というより、私たち投資家の願望を具体的なかたちにしてくれて、有難いです。

まだ、サービス始まったばかりですが、しっかりしたウェブサイトを作って、査定・物件売却・賃貸管理サポート、内装・家具手配までやると、うたっています。

次のようなフォーマットで、物件賃貸希望も募るようです。フォーランド社の場合、既存顧客数が半端ないので、マレーシア物件に入居づけしたい人には、かなり使えるサービスかもしれませんね。

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|■年齢                     
|40才代                  

|■入居予定人数
|2~3名

|■希望ベッドルーム数
|1BR

|■希望月額家賃
|3000RM~4000RM

|■希望エリア・立地・環境
|KLCC ・ ブキビンタン

|■入居予定時期
|1ヶ月以内

|■長期滞在ビザ(MM2H)
|取得済み

|■ご要望など

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

フォーランド社に限らず、「使い勝手の良い、海外物件の賃貸管理サービス」を始める業者は、歓迎します。投資家のためになるサービスは、どんどん、やって欲しいですね。

言葉を換えれば…日本では、まだ草創期にある海外(新興国)不動産投資も、少し成熟して、「物件売るだけの時代」から、「賃貸管理や売却サポートの時代」に入りつつあるといえそうですね。

【マレーシアに建ちまくるコンドミニアム・・・上手に管理できる会社が勝つ!】

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マレーシアNEWSスタジオに出演

こんばんは、Manachanです。

仕事でお付き合いのある、フォーランド・リアルティ社からの招待で、今年7月、マレーシア・クアラルンプールに視察取材旅行に行った時の、動画が出来上がりました。

動画の出来は、素晴らしいの一言・・・プロの仕事って、凄いなあ。

本物のアナウンサーと、TV番組の編集している人たちを使って、かなりお金をかけて、つくってます。

私が出てくるのは、9分20秒あたりから・・・

Manachanブログ - 世界で不動産を買おう!

思い切り、実名が出ています(9分30秒)

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物件案内してくれたお姉さんのルックスに、照れ気味の私(10分48秒)

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後部座席で横になると、マグロみたいだなあ・・・(10分55秒)

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日焼けしすぎ!現地人の肉体労働者と間違われそう(11分25秒)

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このお兄さんの手の動きが、ホストっぽい♪(12分15秒)

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摩天楼のバックが、シビレますねえ・・・(14分22秒)

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とにかく、楽しい視察旅行でした。ああ、またマレーシア行きたいなあ。ナシルマ食いたい!

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9月28日(土)には、大阪に出張講演して、アツい「マレーシア不動産視察報告」をいたします。無料なので、どんどん申し込んでくださいね。

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『9月28日 基礎から分かるマレーシア不動産セミナーIN大阪』

■日時  2013年9月28日(土)13:30~16:30

■会場 第二吉本ビルディング・8階C会議室
(大阪市北区梅田2丁目2番2号/ヒルトンプラザウエスト・オフィスタワー8階)

■アクセスマップ http://yb2-kaigi.com/access/index.html

■参加料金:無料 

■詳細情報(申込リンク付) http://bit.ly/17OD7Wo

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