「保有耐性」と「外国耐性」
保有耐性、少し分かりにくい言葉ですが簡単にいうと、「購入後、何年~何十年と負担感なく持ち続けられる物件を選んでいるかどうか?」です。
負担感なく持ち続けられる…たとえば、家賃収入が安定的に入ってきて、ローンを払ってもまだ手残りがあるとか、物件の価値が上がり、いつの時点で売ることになっても損しない等々。あるい多少の現金手出しが発生しても、手元の現金で十分対応できるとか…そういう状態なら安心ですよね。 特に物件が遠い海外にある場合、日本から現金を注入しなければ維持できない状態は悲しいので是非避けたいもの。私の場合、オーストラリアやアメリカの物件は大抵ローン組んで買ってますが、家賃収入から諸費用諸税、ローン返済を差し引いてもキャッシュフローが無理なくプラスになるよう、借入比率を抑え目(50~70%)にしています。 あと、海外保有物件のなかには民泊運用していたり、或いは東南アジア新興国のコンドミニアム等、家賃収入の安定感にやや劣るものがありますが、そういう物件は原則、現金で買ってます。収入が変動してもローン返済がなければストレスなく持ち続けられますから…このように私は、保有耐性が常に高い状態を保つよう配慮して、Happy Investingを続けています。逆に、お客様が不動産を買って不幸になるケースの多くは、保有耐性が低いことから起こります。
例えば、年収700万円のサラリーマンが1億円の地方中古RCマンションとかをフルローンで買って、手元の現金が数百万円しかない、みたいな状態は非常にリスキー。空室や修繕で少しお金が出ていけば破綻まっしぐら、売り逃げたくても買った値段では売れない。 私はそんな状態を知ってて物件購入を薦めることは絶対に無いですが、世の中にはそれを平気でやる業者やコンサルが少なからず居て、彼らの養分になっちゃう人も多いのが事実。バブル崩壊、スルガショック、アメリカのサブプライム危機、ユーロ危機…「保有耐性の低い客に、身の丈にあわない物件を売りつける」ことによる悲劇は、国内外の不動産の歴史でずっと繰り返されてきました。 幸い(?)にして、日本人が海外不動産を買う場合は、国内不動産みたいな過剰融資が起こりにくい分、救われてますが、それでも下記のケースでは保有耐性の問題が起こりがちですので注意しましょう。・日本国内の融資(政策金融公庫やインハウスローン)を引いて海外不動産を買う場合、海外で予定通りに家賃収入が入らなくても日本円で毎月返済しなくちゃならないので要注意。特に「海外学生寮」とか「海外民泊」みたいな「事業ありきの家賃保証案件」を日本のローン組んで買ったのに、業者が保証家賃を払ってくれなかったら悲惨。そういう物件は大抵、元本価値より割高に買わされてますから売り逃げもできません(私そういうものおススメしませんが、どうしても買いたいなら、せめて現金買いすべきだと思います)。
上記の「保有耐性」は国内外の不動産に通じる普遍的な原則だと思いますが、海外不動産の場合は、それに加えて「外国耐性」というテーマも出てきます。外国耐性とは何か?一言でいうと、「日本と違う外国の流儀に、お客様がどれだけ馴染めるか?」ということ。
これは、向き不向きの差がはっきり分かれます。「外国在住経験」があったり、「国際結婚」してたり、「海外旅行好き」だったりする方は大抵問題ないですが、逆に、そういう原体験がなく、日本の流儀しか知らず、外国ではそれが通用しないことを理解できていない方は、せっかく収益性や資産価値に優れた海外不動産のオーナーになれても、結果的に不幸になってしまう。たとえば、
・海外に物件持つことが「不安 」で仕方ないと言う人( 独白: 海外という不確定要素をデータや知識で克服できるなら喜んでお手伝いしますが、「海外だから何となく不安」という気持ちだと私では解決できません。)
・日本の不動産売買と同じ書類を、海外の不動産売買でも出せという人(独白:無理です!何十億円の大型物件お買いになるならしっかりデューデリレポート出ますけど、数千万円規模のフツーの物件なら現地の流儀に従うしかないです。)
私は、外国耐性のないお客様に対しては、大抵「無理して海外買わなくても良いんじゃないですか?」とアドバイスしています。そういう方が海外物件のオーナーになっても、ちょっとしたことで不安や怒りに苛まれるのが目に見えているから… 一つ補足しますと、外国耐性はマインドセットの問題で、(英語など)外国語スキルとは、あまり関連がありません。英語からきしダメという人でも、外国耐性を見事に備えている方もいれば、流暢な英語を話しても外国耐性に著しく欠ける人もいます。これは「良い、悪い」の問題ではなく「向き、不向き」の問題でして、シンプルに「自分に不向きな資産は持たない方が吉」ということです。 以上まとめると ・私は、海外不動産とお客様の幸せなご縁を取り結ぶ仕事をしたい。 ・その際に私が必ずチェックするのが、「保有耐性」と「外国耐性」が両方揃っているかどうか? ・どちらかが決定的に欠けている場合、私は海外不動産購入をおススメしない。 上記の原則を踏まえつつ、海外不動産と日本在住オーナー様との、良いご縁を結び続けたいと常に思っています。
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