フィリピン不動産

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東南アジア不動産の放置プレイ問題に思う

こんにちはManachanです。今回は海外不動産、特に「東南アジアのプレビルド(青田買い)物件」に関して、かなり辛口の意見を書きます。

先日、マレーシアの不動産で困ってる友人(物件オーナー)の相談に乗りました。マレーシア、タイ、フィリピン、カンボジア…東南アジア不動産購入後の問題で私が相談に乗った回数はすでに1ダースを超えました。

私を頼ってきた十数名の相談者が困惑し、憤っているポイントは、ほぼ共通しています。

『まだ完成前なのに、販売業者がろくにサポートしてくれない!』

なぜ満足なサポートが受けられないのか?これは、「プレビルド物件販売」という商売の構造的な問題と関わっています。プレビルド(Pre build)とは、東南アジアなど新興国に多い不動産販売の形態で、まだ更地の(多くは建築許可も取れてない)段階で、数年後の完成・引き渡しを条件に、現地デベロッパーが客に「青田売り」する物件を指します。

プレビルド自体は新興国だけでなく、イギリス、カナダ、オーストラリアといった先進国にもあります(こちらはOff the planと呼ばれます)が、先進国での販売時期は通常、完成1~2年前であるのに対し、東南アジア等では完成3~5年前という早期から売り出されることが多いです。なぜなら、

・東南アジア新興国の金利水準は概して高い(調達金利10%/年以上も多い)。

・現地デベロッパーの工程管理スキルが乏しく、許認可面でも不透明さが多いため、工期が予定より半年~2年ほど遅れるのが当たり前。

・デベロッパーとしては、工期遅れで有利子負債を抱えるよりは、完成前のできるだけ早い段階で客に売って、資金回収したい。

・その販売インセンティブとして、完成前の段階で販売価格を徐々に値上げして、「早く買った方が得する」状態をつくって売る。

例えばの話、4年後の完成時に1000万フィリピン・ペソ(約2200万円)で売値を設定する物件なら、完成4年前に750万ペソ、3年半前に800万ペソ、3年前に850万ペソ…みたいに、徐々に売値を上げていくのです。

通常、この手の物件を一番早いタイミングで安く買えるのは、「デベロッパーの関係者・縁故者」。彼らは完成前に転売して利ざやを抜きます。次に地元のエージェントが扱う。時が経ち、販売ペースが鈍ってきたな~と思った頃に、日本人を含む外国の販売会社に声がかかります。日本の販売会社は、その値段に3%とかのサポート料を乗せて、日本でセミナーやって客に売るのです。

時系列でいうと、だいたい、こんな感じになります。

2013年  デベロッパーが現地国で販売開始。

2014年  日本の販売会社が日本でセミナーやって客に売り、サポート料を回収。

2017年  物件完成・引き渡し

ここで問題は、「販売会社の利益確定(サポート料回収)」と、「物件引き渡し」との間に、3年ものタイムラグがあることです。

販売会社からすれば、2014年の時点でサポート料を回収しちゃえば、とりあえず「一丁あがり、次の客に売ろうぜ」モードになる。その後、2015年、16年、17年と、忘れた頃に客から質問やリクエストが来ても、すでにお金を回収しているからやる気にならないし、売った責任上、時間かけて真面目に対応したところで、経営視点からはどうしても「金食い虫」に見えてしまう。

でも客の立場からすれば、2014年時点では「購入の権利を得る」だけの話で、不動産のかたちになるのは2017年。それに先立ち、不動産登記やら保険加入やら鍵受け渡しやら、いろんなメールや郵送物が英語で来るので、ここで、販売業者にしっかりサポートしてほしいわけですが、

すでにその時点で、販売業者はサポート業務を他社にアウトソースしたり、もっと儲かる国に「国替え」してたり、酷い場合は転業・廃業してたりするわけで、買った客が期待するようなサポートができなくなっている…

その結果、東南アジア各国で、満足なサポートを受けられず、放置プレイされた大量の完成物件が出る。オーナーは困惑し、私みたいな人間に助けを求めてくるのです。

私の意見…問題の本質は、「販売業者の利益確定タイミング」と「客がサポートを必要とするタイミング」が何年もずれていることにある。そのタイミングを一致させる方法を考えないと、業者と客がWin-Winの関係にならないし、海外不動産の評判も悪いままでマーケットが広がらない。

そこで、私は下記を提唱します。たとえば、今から3年後の2020年に完成予定の東南アジアのプレビルド物件を売る場合、

・2017年の販売時(売買契約サイン時)に、業者がサポート料の50%を回収

・2020年の引き渡し時に、業者がサポート料の50%を回収

こうすれば、売り側買い側、お互いにとってフェアだと思いますし、販売業者も長期的視点に立って客にサービスする経営姿勢になるでしょう。また、業者が引き渡し前にしっかりサポートして客の心をつかめば、人情として「次の物件買いたい」となるので、海外不動産のマーケットが健全に発展することにもつながると思います。いかがでしょう?

そもそも、「完成の数年前にサポート料とって後は知らん」みたいな業者は、不動産の仕事しているとは到底言えない。そんな業者が自然に淘汰されるような、真っ当な海外不動産マーケットをつくりたいです。

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資産を守る東南アジア投資、何それ?

おはようございます、Manachanです。

日本に海外不動産投資なる言葉がほとんど浸透していなかった2011年2月、私は東京で、「アジア太平洋大家の会」を旗揚げしました。奇しくも、その1ヶ月後に東日本大震災が起こり、計画停電や放射能騒ぎなど、いろいろゴタゴタがあって活動は2か月ほど休止。でも世の中が落ち着いてきた6、7月頃から、ものすごい勢いで会員数が増え、海外不動産セミナーを開催すれば、全く広告費かけずに30~50名は集客できる時代が来ました(あの頃は、我々のセミナー以外に選択肢が少なかったもんね…)

会を立ち上げて6年半になりますが、いま振り返っても、震災直後のあの頃ほど、「資産を外国に出したい」日本人富裕層の燃え盛る熱気を感じた時期は他にありません。

 

当時、隆盛を極めていた話が、「マレーシア不動産投資」でした。海外不動産で「旬」な国は、東南アジアの場合「マレーシア」→「タイ」→「フィリピン」→「カンボジア」→「ベトナム」と、目まぐるしく移り変わりましたが、2011~12年頃のマレーシア投資ブームは、その後のどの時代の、どの国の不動産ブームよりもはるかに凄かったです。

ジョホールバルの新築コンドミニアムが、2日間で600戸も日本で売れた」みたいな話があった位で、まるで中国人バイヤーを彷彿させる勢いがありました。あの頃は、1ドル=80円程度の超円高時代でしたら、それも大きな要因でしたね。

 

その頃、どんな宣伝文句で、日本人にマレーシア物件を薦めていたか…今振り返ると滑稽な話です。私、当時から違和感ばりばりでした。

 

【当時の典型的なセールスレター】

1)日本経済はほとんど成長しておらずデフレ状態が続いています。日本は少子高齢化が進み、労働人口が減る一方。いずれ日本の国債も破綻すると多くの経済学者も言っています。今の時代、日本円だけで貯蓄することは、安全な方法とは言えなくなっています。

2)そこで、日本円以外の外貨で資産を持つ事をお勧めします。単純に、日本円をアメリカドルなどに換えて、外貨として資産を持つのも良いでしょう。

3)ここでは、マレーシア不動産投資をお勧めしていますがマレーシアの不動産投資をするということは、外貨で資産を持つ事を意味します。

 

【私が感じたこと】

1)と2)は、分かります。要は、「資産を守りたい」。そのために、資産を各国・各通貨に分散させたいんですよね。それはセオリー通りの判断。

でも、なぜ3)なの?「資産を守る」という目的を達成する「手段」として、どうしてマレーシアの不動産を選ぶの?その選択のどこに妥当性があるの?

 

資産を守るために外貨に換える時、普通の人は、自国通貨より信用度が高い通貨を選びます。たとえば、ニュージーランドに住んでる友人は、NZドルが貯まると、すぐ豪ドルに換えてました。でもオーストラリア人が、手持ちの豪ドルをNZドルにせっせと換える…みたいな話は、聞いたことありません。

あと、世界中どこへ行っても米ドルはたいてい通用しますね。これはアメリカ人が旅行して金を落とすからというよりは、むしろ世界各国の人が、自国通貨を米ドルに換えたい根強いニーズがあるからです。資産保全の動機が強いのは言うまでもありません。

 

それを踏まえて、日本人が資産保全の目的で、日本円の他に持つべき通貨・資産は何なのかを冷静に考えた時、本命は「米ドル」になるはずです。対抗馬として「ユーロ」があり、資源国通貨「豪ドルかカナダドル」位は持っててもいいと思うけど…そこにいきなり、「マレーシア・リンギット」みたいな新興国通貨を持ってこられても、どうなんでしょうね?

マレーシア・リンギットは、マレーシア国内と、タイ深南部の一部都市でしか流通しません。日本に、リンギットをそのまま持ってきても、換金するのさえ難しいです。一方、日本円をマレーシアに持っていけば、どの銀行・両替商でも、かなり良いレートで換えてくれます。それが、現時点での円とリンギットの信用力・通用度の差といえます。

 

日本円の価値が今後どうなるか分からないとはいえ、現時点せっかく世界的な信用度の高い日本円の資産を持ち、かつそれを「守りたい」のに、業者に乗せられて、せっせと、マレーシアリンギットやタイバーツのリスク資産に換えるのって、賢明なんだろうか?

フェアにみて、マレーシアやタイは、現時点では、「経済成長の恩恵で将来大きく育つかもしれないリスクマネーを置く国」ではあっても、「資産を安全に守る国」とはいえないはずです。

あとそれ以前に、新興国では不動産市場が発展途上、取引データも未整備でガバナンスも弱い。建設の工期管理、完成後の賃貸管理、将来時点の売却…どれをとっても確度の高い予測が難しい。首尾よく上振れする可能性は否定しませんけど、常識的に考えて、新興国不動産は「資産を守る」手段としては選定されない投資対象だと思います。要は、「値上がり期待の投資」以外の何物でもない。

 

とはいえ、2011~12年頃は、「超円高」という、資産外出しに絶好のタイミングではありました。当時、思い切って外貨資産に換えて、いま、為替の利益でウハウハな人も少なくないでしょう。

そこで、当時、たくさんの日本人が不動産を買った、「マレーシア」、「フィリピン」、「タイ」の各通貨の対円レートがどう変わったか、みてみましょう。

 

1)マレーシア(通貨:リンギット)

2011年7月 26.89円
2012年7月 25.34円

現在(2017年7月) 26.08円

あまり為替でトクしてませんね。2013年以降に買っちゃった方は露骨に為替差損。

 

2)フィリピン(通貨:ペソ)

2011年7月 1.87円
2012年7月 1.91円

現在(2017年7月) 2.21円

地味に、じわじわ上がってきたので、2011~12年円高の時代に買ってればトクしたかも。

 

3)タイ(通貨:バーツ)

2011年7月 2.64円
2012年7月 2.54円

現在(2017年7月) 3.30円

ここ5~6年で、2割強、対円レートが上がっていました。2011~12年に買ってればよい選択でしたね。

 

でも、同じ期間中、対米ドルで比べると、マレーシア、フィリピン、タイ…いずれの通貨も価値を落としています。

1)マレーシア(通貨:リンギット)

2011年7月 0.332ドル
2012年7月 0.317ドル

現在(2017年7月) 0.233ドル

 

2)フィリピン(通貨:ペソ)

2011年7月 0.02317ドル
2012年7月 0.02398ドル

現在(2017年7月) 0.01986ドル

 

3)タイ(通貨:バーツ)

2011年7月 0.03266ドル
2012年7月 0.03173ドル

現在(2017年7月) 0.02944ドル

 

信用力の低い新興国通貨で資産を持つ唯一のメリットは、「将来、経済発展して上振れする可能性」位なんですが、米ドルに対するパフォーマンスをみると、これまで5~6年間は思わしくありませんでしたね。あと5年、10年後、どう変わっていくのかは分かりませんけど…

資産保全が主目的であるならば、円のほか、「主力は米ドル」を前提に、「お金に余裕があれば新興国資産を少々」程度で組む方が良いかと思います。

もっとも、マレーシアやタイが好き、行く用事がある、いざという時セカンドホームにしてもよい…という「実需」が念頭にある方や、「リスクを承知で、それでも東南アジアの成長に賭けて、大きく育てたい」と思う方は、その限りではありませんけどね。

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海外不動産は、新興国vs先進国どっちがいい?

おはようございます。Manachanです。

海外不動産における私のビジネスパートナー、市川隆久氏による有料セミナー「海外不動産投資成功塾」が東京・半蔵門で行われていますが、次回勉強会のテーマ面白いですね。

 

第五回 10月07日(金)19:00~21:00「新興国VS先進国・徹底解説」

 

1回5000円しますが、非常に中身が濃くて実践的、洞察も深い。しかも市川氏は私と一緒に毎月、世界中回ってるので情報も新鮮。興味ある方にとっては、参加費以上の価値は確実にあると思います。

今回は、海外不動産投資における「新興国と先進国の違いやポイント」について、私の思うところを、ガッツリ本音トークいたします。

 

不動産は、言うまでもなく「個別論」の世界。同じ国、同じ都市、同じストリート上に、それぞれ全く違う築年、間取り、広さ、管理状態の物件が存在しますし、投資の効果も個々の物件スペックや運営方針次第。ですので基本的には「ミクロ」の視点で、個別に見極めできないと話になりません。

同時に、「マクロ」の視点も必要です。たとえばの話、上述の国・都市に、賃貸需要および売買需要がどれくらいあって、どの程度の価格、伸び率が期待できるのか?それを支える客観的条件(人口、産業、給与水準、空室率、法制度や商慣習…)は何なのか等々。

つまり、不動産投資は国を問わず、マクロとミクロ、両方みなければなりません。「先進国vs新興国どっち?」の議論は、言うまでもなく「マクロ論」が中心で、その観点から両者の特徴をいうと、

 

・先進国は、国民の平均所得が年間3万ドル以上の国がほとんどで、日本より給与水準や物価が高い国もたくさんある。一方で新興国は、平均所得水準が年間1千ドル~1万5千ドルと先進国より低く、かつ国・都市によってばらつきが大きい(例.同じASEAN新興国でも、マレーシアとカンボジアでは10倍程度の格差がある)。

・先進国では、平均的な賃金・物価水準が高いため、都心、郊外、地方を問わず、一般ピープルが日本と同程度かそれ以上の家賃を払えることが多い。一方新興国は、都市部の高価な物件になるほど、財力が低い一般ピープルを入居ターゲットにできず、外国人や一部の富裕層をターゲットにせざるを得ない面がある。

・今後の成長期待は、概して新興国の方が高い。先進国の多くは、移民流入が期待できる一部の新大陸国家を除けば、高齢化して人口の伸びも経済成長率も低い。一方で、新興国は人口も若く、現時点での所得水準が低いため「伸びしろ」も大きい。

 

ですので、「賃料と安定感の先進国」vs「成長期待の新興国」。それが一般的なマクロの理解になるわけです、が、ここで気を付けなければならないのが、「不動産であるがゆえにミクロ、個別論の世界」も併存していることです。この領域になるとどうしても、新興国不動産に対して厳しいことを言わざるを得なくなりますが、ハッキリ言います。

 

1)いま日本で売られている新興国物件が、現地の物価水準や賃貸・売買相場に対して割高になってないどうか、検証が必要。

いくら新興国の成長期待が大きいとはいっても、不動産には地域の相場というものがあります。それに比べて「高値掴み」をしてしまったら値上がり益を得るのは難しく、モトを取るまでに長い時間がかかります。

 

相場より割高な新興国物件が日本で紹介されやすい理由は、いくつかあります。

・平均的な所得水準や賃料水準がまだ低く、かつ賃貸、売買、管理もシステマティックになっておらず手間もかかるし、ローカル言語の能力も必要。だから、日本人業者が「一般ピープルをターゲットとする物件」を薄利多売しても商売として成り立たない。

・新興国は経済成長中で、デベロッパーも概して強気。「値段上げられるはず、上げても売れるはず」と信じ込んでいるから(というより彼らは、不動産価格が下がる局面を経験したことがないから)、分譲第一期、第二期…と進むほど、どんどん売出価格を上げてくる。その結果、市場価格と乖離してしまうリスクが高まる。

・売買・賃貸価格の客観的データも、新興国ではまだ整備途上なので、「実際、いくらで貸せるか?売れるか?」を、妥当性をもって判断する材料に乏しい。

(追伸…新興国主要都市では、CBREやSavills等、英語圏調査会社のデータはあるものの、多くの場合、調査対象が都心部の一部優良物件に限られ、そういう物件はすでに良い値段するので、日本で実際に売られている物件とはランクも収益性がそもそも違うことも少なくありません。)

 

もう一つの大事な論点は、

2)新興国の成長期待をおカネにしたい場合、実物不動産保有という手段が果たしてベストなのか、検証する必要もある。

成長期待の大きい新興国の投資でお金をつくるには、いろいろな方法があります。たとえば、

・ETFを買う

・国債や州債を買う

・代表的な大手企業の株式や社債を買

上記ような投資手法を「マクロベット」(Macro Bet)と呼びます。紆余曲折はあるものの、マクロでみて、その国が将来に向けて発展していく方に賭ける(Bet)上で、比較的確実性の高い投資方法といえるでしょう。

 

ここで、私の根源的な疑問は、新興国の成長期待に投資してお金を増やしたいなら、単純にマクロベットすればいいじゃん?そういう手段があるなかで、個別不動産を買う意味って一体何なんだろう?

たとえばの話、フィリピンでアヤラ(Ayala)という、日本を含むアジアで最古の歴史を持つスペイン系財閥があります。そのアヤラ財閥構成企業の一つ「アヤラランド」(Ayala Land)が、同国最大のデベロッパーで、かつダントツのブランド価値を持ちます。日本でいう「三菱地所」や「三井不動産」を彷彿させますが、フィリピンにおいての重要性はそれ以上でしょう。なにしろ首都マニラの都心そのもの(マカティやBGC)をデザインしてつくってしまう会社ですから…

そのアヤラランドが公開している、2015年のAnnual Reportをみると、全部53のプロジェクトを手掛け、1200億ペソ(邦貨換算2520億円)の売上があったようです。1戸あたりの平均が1000万円と仮定すれば、単純計算で25200戸を供給していることなります。

http://ir.ayalaland.com.ph/uploads/files/ALI%202015%20Annual%20Report.pdf

 

アヤラグループは住居系だけでなく、ホテル・リゾート、オフィス、商業モールなど幅広く手掛けています。そして、同社は毎年のように社債を数百億ペソ発行し、額面の利子率4~5%前後で売り出しています。

http://www.philstar.com/business/2016/07/08/1600535/ayala-corp-raises-p10-b-bond-issue

 

フィリピンや、アヤラランドの将来性について、私の考えはポジティブ。前途は明るいと思います。ここで投資家に問われてくるのは、目的と手段のバランス。

・年間何万戸供給しているリーディング企業の株式や債券を買うべきなのか?

・年間何万戸供給している中の1つを区分所有すべきなのか?

 

後者の場合、我々不動産投資家の「見極め」の領域になってきますが、新興国の区分所有は、前述したように客観的な賃貸・売買データが乏しい上、業界もシステマティックになってない分、運営の難易度が高い面がある。そして、一気に何百、何千戸供給されるから、ライバルも多い。

区分所有する場合、アヤラの平均パフォーマンスより上振れることも、下振れすることもあり、その振れ幅は大きいとみるべきでしょう。

 

その覚悟を持って、「長い目でフィリピンの成長に付き合う」ことのできる投資家とか、将来、自分で住む想定があるとか、エアビー等を使って工夫した運営をする投資家であれば、新興国の区分所有は心からおすすめできます

そうでなくて、単純に新興国の成長に乗ってお金を増やしたいというニーズであるなら、他の投資手段も併せて検討することをおすすめします。それをやった上で、個別不動産が良いということになれば、やればよい。

 

あと、日本の賃貸経営スタイルに似たノリで、賃料を得ていきたいという投資家なら、先進国の不動産を優先的に検討した方が良いと思います。先進国はとにかく賃貸・売買データが豊富、都市部では賃貸市場もしっかりしている。個別の戸建やマンションで「利回り5%」と公称される物件なら、上振れ、下振れしてもだいたい4~6%くらいにおさまるでしょう。要は投資指標が読みやすいし、ほぼ読み通りの数字が実現しやすい。

日本の新築ワンルーム投資だって、利回り低すぎて私はやりませんけど、それでも、「業者の示す想定賃料が大体そのまま実現する」という意味では先進国型だと思います。

 

でも新興国で同じことをやると、(バンコクBTSスクンビット沿線「オンヌットより都心寄りの駅近」みたいな鉄板な場所は別として)一般論として上振れも下振れも大きくなるので、確実に賃料収入を得ていきたい人には不向きかと思います。

むしろ、積極的に上振れチャンスを取りにいく方が面白いでしょうね。想定以上の上振れもありうるのが、新興国不動産の楽しさでもありますから。販売業者も、「国が成長しているから、この物件買ったら確実に値上がります」みたいなマクロなトークより、「この物件は、こういう理由で特殊ニーズを持つ人々に選ばれる、想定以上の利回りや転売益も期待できるかも」みたいなミクロなトークをした方が説得力あると思いますよ。

 

これを踏まえた上で、市川さんの「海外不動産投資塾」聞くと、十倍楽しめると思います。さあ行ってみよう!

第五回 10月07日(金)19:00~21:00「新興国VS先進国・徹底解説」

 

 

また、私が主宰する「アジア太平洋大家の会」でも、最近のビデオ対談で「先進国VS新興国の不動産投資」について語ってますので、興味あればこちらもご覧ください。

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業者主催の新興国数か国同時セミナーに思う…

おはようございます。Manachanです。日曜日ですね。大型台風近づいてますが、とりあえず今日の東京は涼しくて快適。家族水入らずで過ごしてます。

昨日は、東京・大手町「第4回 世界の資産運用フェア」で、カナダ不動産のブースを終日手伝ってました。このイベント、前回は台湾とカナダのブース手伝ったり、パネルディスカッション頼まれたりと、毎回必ず駆り出されてます。

昨日のイベントは出展企業数減った割に来場者数は過去最高だったよう。カナダブースは私含めて3名しかおらず、終日、休む間もないほど多忙でした。来場者の「海外で不動産投資始めたい」真剣度も年々上がっておりますが、購入に際してはできるだけ多くの情報を仕入れて慎重に判断したい人が多く、セールスマンに求められる知識とコンサル能力は上がる一方。仲介業者にとって決してラクな業況ではないと思います。

顧客は慎重、予算も有限、海外不動産の価格も上昇中…ということで、必然的に求められるのが「海外不動産に融資を出す国内金融機関」の存在。特に昨今、「政〇金〇公庫」や「〇リ〇クス銀行」の積極的な融資姿勢は、海外物件を扱う業者にとって神、救世主という他ないでしょう。

 

最近は、東南アジア新興国物件を扱う業者が数社集まって、「日本円融資付き、ASEAN数か国同時セミナー」の開催が流行っているようです。一言でいうと、

・タイ、カンボジア、ベトナム、フィリピン、マレーシア等、ASEAN数か国の不動産物件を同時紹介。
・融資コンサルが登場し、〇策〇融公庫等の海外不動産賃貸事業融資スキームの概要説明。
・個別相談やって、さあ、買いましょう。

…というフォーマットのセミナー。「海外物件売りたい業者」と「優良顧客リストを得たい金融機関」、「低金利の融資受けて海外物件GETしたい客」、三者の思惑から必然的に生まれた、今風のセミナー形式といえましょう。

 

私は、セミナー主催側の人たち、ほぼ全員と知り合いだし、彼らの商売を邪魔する気はありません。まだ未成熟な業界を盛り上げるため、共に手を携えていくべき仲間だと、基本的には思っています。

とはいえ私は、海外不動産で資産を増やしたい「投資家」のスタンスで活動しています。その観点からいうと、売りたい側の視点が反映された「新興国数か国セミナー」からの情報収集は、気を付けるべきだと思います。こういうセミナーに参加するのは良いけど、海外不動産投資に関する、ある程度のリテラシーを身につけてからにした方が望ましい。なぜか?

 

私は、セミナーでこんな話になることを、危惧しています。

1)日本円で、金利2%で融資が引ける
2)東南アジア新興国で、物件を買って賃貸に出せば、8%で回る想定
3)差し引き6%、お金が残るじゃん!

 

ま、1)は良いでしょう。属性が良い、現金たくさん持っている、担保に出せる物件がある…そんな人に、日本の金融機関は喜んで貸すでしょう。

一番の問題は2)です。東南アジア新興国、特にプレビルド(=数年後に完成する物件の予約販売)の場合、業者がいう「8%の利回り」で本当に回るかどうか、精査が必要です。その利回りが実現する可能性もあるでしょうが、一般的に、「いくつかの幸運」が重ならないと、実現できない数字だと私は考えます。「幸運」とはずばり、下記3つのリスクを回避できること…

 

a)「過剰供給リスク」… 完成時に、周辺にマンションがボコボコ経って、過剰供給になったら、目標利回りの実現はまず無理。

b)「入居者層の限定リスク」… 想定する家賃が、現地の一般人に手が出ない価格帯の場合、「外国人」という、極めて狭いマーケットで入居者を見つけなければならない。このマーケットで競争力がなければ、目標利回りの実現はまず無理。

c)「インフラ未整備リスク」… それ以前に、建物が予定通りの期日に建たないかもしれない。よしんば建っても、引き渡しの時点でプール等共用施設がまだ工事中だったり、携帯電話の電波が届かない等、環境的な問題で賃貸に出すのが困難かもしれない。ドアの建て付けや水回りの不具合を直すのに想像以上の時間かかるかもしれない、このうちどれか一つが起こったら、目標利回りの実現はまず無理。

 

私は6年前から東南アジア物件買ってきて、上記を全て経験しました。これらのリスクは新興国に特徴的で、「欧米先進国」では明らかに低いといえます。不動産市場のガバナンスが欧米的なら「a)過剰供給」は起こりにくいし、一般ピープルの所得水準が高いので「b)入居者層の限定」も普通は起こらない。近代インフラが一通り整備済なので「c)インフラ未整備」が起こるとも考えにくい。

だから、「フィリピンやカンボジアで想定7%利回り」と「カナダやオーストラリアで想定7%利回り」とは、表面的な数字は同じでも意味合いは全く違うのです。後者は、かなりの確率で目標通りの収益性が実現されると想定されるに対し、前者は「実現できればラッキー」くらいの意味合いなのです。なお、新興国でも中には、確度の高い利回りが実現できる案件もありますが、それは「特殊な賃貸ニーズ」とか「オンリーワン立地・企画・管理体制」など、特殊な要因があってはじめて実現するものですので、それが何であるのか、見極めが必要です。

3)も問題ですね。日本円でローン返済しなければならない一方、家賃収入は外貨(タイバーツ、ベトナムドン、マレーシアリンギット、フィリピンペソ…よくて米ドル)になる。つまり投資家が為替リスクを負うわけです。現地通貨が円に対して上がればいいけど、その逆に動いた場合、現地からの家賃収入で返済できず、持ち出しになる可能性があります。あと、ハードカレンシーとは言えない東南アジア通貨を、日本円に適宜変換できるかという問題もありますね。米ドル等と違って両替手数料も高く取られますし。

 

海外物件を融資受けて買う場合、一番リスクが低いモデルは、「想定利回りが相当信頼できる先進国の物件を、その国の通貨で融資をひいて買う」ことだと思います。それをやれれば、2)と3)のリスクがほとんどなくなるから…

逆に、「想定利回りの信頼性に劣る新興国の物件を、日本円の融資を受けて買う」リスクは決して小さくない。このことを、海外不動産投資を志す人は、ぜひ覚えるべきだと思います。

ぶっちゃけ言うと、「オーストラリアの収益物件、想定利回り5%、豪ドル融資で利率4%」と、「フィリピンの収益物件、想定(?)利回り7%、日本円融資ひければ利率2%」と両方並べてみて、後者の方が割が良いから買おうと即断してしまう人は、海外不動産の基本的なリテラシーが欠けているのです。

 

以上、新興国系の業者様には厳しいことを言ったかもしれませんが、投資家としては上記を十分理解した上で、「新興国数か国同時セミナー」に参加して、納得できれば買えば良いと思います。経済成長中の新興国には、「今はダメダメでも、時間が解決してくれる」面も多分にありますから、長い目でじっくり取り組めるなら、短期的なリスク承知であえて買うのもアリですね。あるいは、東南アジアが本当に好きで、将来は自分で住みたいとか、多少の損があっても、不動産オーナーとして国と一緒に成長していきたい方は、自分の好みでどんどん買えば良いと思います。

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フィリピン物件の損切り法

こんにちは、Manachanです。今日はフィリピン不動産ねたでいきますね。

日本人の不動産投資先として、いま東南アジアで一番盛り上がっている感のある国・フィリピン。マニラ首都圏だけでも、都心地区マカティ、新都心BGC(ボニファシオ・グローバル・シティ)、高級住宅街ロックウェル、アジア開銀の本部のあるオルティガス、カジノ開発ブームにわく湾岸地域など、いくつもの不動産投資適地を抱えています。その他、セブ島、ボラカイ島、パラワン島、タガイタイ高原など、リゾート系の投資物件も豊富で、当ブログの読者で、フィリピン物件を買っておられる方も、少なからずいらっしゃることでしょう。

とはいえ、フィリピン不動産、良いことばかりではありません。

☆ 期待したタイミング・価格でなかなか転売できない。

☆ 引き渡しを受けても、すぐに賃貸つかない。

☆ 分割払いにしていたら、フィリピンペソの為替が上がって負担が苦しくなった。

☆ 銀行融資が全然通らない。審査基準も全然納得できない。

☆ 内装の仕上がりがクオリティ低く、補修を依頼しても全然進まない。

☆ 登記に1年もかかると聞いてビックリ  等々…

 

投資家それぞれ、様々な悩みがあり、「こんな苦労する位なら、損切りしていいから、売ってしまいたい」と思う方も少なくありません。そんな皆様に、一つ、是非知っていただきたいフィリピンの法律があります。

 

Maceda(マセダ)法、別名「不動産の割賦購入者保護法」

 

概要は、このようなものだと、理解しています。

☆ フィリピン国内の住居用物件を、2年以上分割払いした者が購入をキャンセルした場合、

☆ これまで支払いした金額の50%(場合によってはそれ以上)が、デベロッパーから払い戻される。

☆ その他、支払い猶予期間、ペナルティ免除といった、購入者を保護する規定がある。

☆ デベロッパーと購入者が結んだ契約の内容にかかわらず、この法律の内容は強制的に適用される。

注)なお、商業物件等には適用されません。

 

この法律、投資家にとって極めて大事な内容が含まれているにもかかわらず、フィリピン物件を仲介する業者で、この法律をしっかり説明する会社は、私の知る限り多くありません。

また、法律の内容をしっかり解説するサイトがほとんどないので、先日、‘APHOC副会長たくちゃんと私が協力して、日本語訳しました。英語の原文と、日本語訳を併記しますね。

 

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REPUBLIC ACT NO. 6552

共和国法 第6552号

 

AN ACT TO PROVIDE  PROTECTION TO BUYER OF REAL ESTATE ON INSTALLMENT PAYMENTS

分割払いによる住宅購入者の保護について

 

Be it enacted by the Senate and House of Representatives of the Philippines in

Congress assembled:

この法律はフィリピン議会の上院および下院で可決されました。

 

SECTION 1. This Act shall be known as the “Realty Installment Buyer Protection Act.”

第1項、この法律の名称は「不動産の割賦購入者保護法」である。

 

SECTION 2. It is hereby declared a public policy to protect buyers of real estate on installment payments against onerous and oppressive conditions.

第2項、ここに、分割払いでの住宅購入者を「煩わしく」かつ「抑圧的」な条件から保護するための公共政策として宣言されています。

 

SECTION 3. In all transactions or contracts, involving the sale or financing of real estate on installment payments, including residential condominium apartments but excluding industrial lots, commercial buildings and sales to tenants under Republic Act Numbered Thirty-Eight hundred forty-four as amended by Republic Act Sixty-three hundred eighty-nine, where the buyer has paid at least two years of installments, the buyer is entitled to the following rights in case he defaults in the payment of succeeding installments:

第3項、不動産の割賦購入者への販売や資金調達に関する、すべての取引および契約において、購入者が少なくとも2年間の割賦を支払ったのちに支払い不能になった場合、購入者は以下の権利を有することとします。ただし、ここでいう「不動産」には住居用のコンドミニアムは含みますが、産業用の土地やテナントビルまた、共和国法6389号から改正された3844号に基づいたテナントへの売却は除外されます。

 

(a) To pay, without additional interest, the unpaid installments due within the total grace period for every one year of installment payments made; provided, That this right shall be exercised by the Buyer only once in every five years of the life of the contract and its extensions, if any.

(a)(通常の期限が過ぎても)猶予期間内に未払いの割賦金を支払った場合、(通常は利子がつくところ)追加的な利子負担を免除される権利が、契約期間内の5年間に1回、購入者に認められる。

 

(b) If the contract is cancelled, the seller shall refund to the buyer the cash surrender value of the payments on the property equivalent to fifty percent of the total payments made and, after five years of installments, an additional five per cent every year but not to exceed ninety per cent of the total payments made; provided, that the actual cancellation or the demand for rescission of the contract by a notarial act and upon full payment of the cash surrender value to the buyer.

(b)契約が解除された場合、売り手は購入者に対して、その物件に対するすべての支払いの半額と等しい金額を返金しなければならない。分割払いが5年を経過した後は、全体の90%を超えない範囲で毎年5%が追加される。ただし、上記の手続きに先立ち、公証手続きを伴う「実際の解約」や「契約解除の請求」および、購入者への解約返戻金の全額支払い(?)が必要

 

Down payments, deposits or options on the contract shall be included in the computation of the total number of installment payments made.

解約返戻金の計算のもととなる分割払いの総額には、頭金や保証金、その他のオプションに要した金額も含めなければならない。

 

SECTION 4. In case where less than two years of installments were paid the seller shall give the buyers a grace period of not less than sixty days from the date the installment become due. If the buyer fails to pay the installments due at the expiration of the grace period, the seller may cancel the contract after thirty days from receipt by the buyer of the notice of cancellation or the demand for rescission of the contract by a notarial act.

第4項、分割払いが2年未満の場合、売り手は購入者に対して支払いの期日から60日間以上の猶予期間を与えなければならない。もし、購入者がこの猶予期間内での支払いに失敗した場合、購入者から解約通知受領もしくは公証手続きを伴う契約解除の請求から30日間を経過した後に、売り手から契約解除することができる。

 

SECTION 5. Under Section 3 and 4, the buyer shall have the right to sell his rights or assign the same to another person or to reinstate the contract by updating the account during the grace period and before actual cancellation of the contract. The deed of sale or assignment shall be done by notarial act.

第5項、上記第3項および第4項に基づいて、猶予期間中(正式な契約解除の前)であれば、購入者は自分の権利を売却したり、他人に同じ権利を譲ったり、アカウントを更新することで権利復帰する権利を有する。その際、売却もしくは譲渡については、公証手続きを行う必要がある。

 

SECTION 6. The buyer shall have the right to pay in advance any installments or the full unpaid balance of the purchase price any time without interest and to have such full payment of the purchase price annotated in the certificate of title covering the property.

第6項、購入者は割賦の全額や未払いの残高、および登記簿に記載された金額の全てを、いつでも利息なしで前払いする権利を有します。

 

SECTION 7. Any stipulation in any contract hereafter entered into contrary to the provisions of Sections 3, 4, 5 and 6, shall be null and void.

第7項、いかなる契約上の規定も、上記第3項,第4項,第5項,第6項の規定に反して締結された場合は無効となる。

 

SECTION 8. If any provisions of this Act is held invalid or unconstitutional no other provision shall be affected thereby.

第8項、この法律の条項が無効または違憲とされた場合であっても、他の規定は、それによって影響を受けない。

 

SECTION 9. This Act shall take effect upon its approval. Approved August 26, 1972.

第9項、この法律は、1972年に承認されました。この承認に基づき、施行される。

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いかがでしょう?かなり使える法律だと思いませんか?

なお、APHOC会員でフィリピン不動産の購入をキャンセルした事例でいうと、

 

○DMCI社…既支払額の半額から、さらに「マーケティング費用、ペナルティ等」をひかれて、既支払額の35%ほどの返金額となる。

○Century社…ぺナルティ等は減額されず、そのまま「既支払額の50%」が返金されるが、6回の分割、先日付小切手での返金となる。

 

なお、デベロッパー、仲介会社によっては、Maceda法に基づく割賦金払い戻しを極端に嫌がる会社もあるようです。この件でご相談がある場合は、APHOC事務局にご相談くださいね。お問い合わせはこちら

 

タイで同じことやりたい場合、こちらも参考までに・・・

タイの不動産デベから返金を勝ち取る方法

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こんなはずじゃなかった…東南アジア不動産編

おはようございます、Manachanです。

このブログは、不動産投資がメインのテーマですが、ここ数日、他の話題が続きました。初心に返って、不動産の話題に戻りますね。

私がパートナーの坂口と、「アジア太平洋大家の会」を立ち上げた2011年頃、海外不動産といえば「東南アジア新興国のコンドミニアム」でした。特に、東日本大震災がきっかけとなり、日本の富裕層の間で「海外に資産を持ちたい」ニーズがにわかに高まった時期は、まずマレーシアのコンドミニアムがバカ売れしました。次いで、ブームはタイ、フィリピンへと移り、今ではカンボジアやベトナムの物件を買う人も増えてきました。

日本で販売される東南アジア物件の多くは、「プレビルド」とよばれる予約販売です。それも、3~4年後に完成する物件を「先物買い」するスタイルが主流です。私や坂口、そして数十名の会員は、2011~12年頃から、東南アジア各国のプレビルドを買ってきましたが、それが完成する時期は大体2014~15年になるわけです。

遠い海外で、3~4年も後に完成する物件を買う投資・・・買った当時は、何もない、更地だったわけですが、実際、建物が建って引き渡しを受けてみると、この種の投資の、いろいろな課題や問題点が見えてきます。

後知恵ではありますが、いま振り返ってみると、「東南アジアで、数年後を見据えて正しく投資判断するって、むちゃくちゃ難しいなあ」というのが正直な実感。

とにかく、変化が速い!建物ができるまでの3~4年間で、物件周辺の環境が激変してしまうのです。典型的な変化とは、ずばり、「数年後、自分の買った物件の周辺にコンドミニアムがバカスカ建ちまくって、ライバルだらけになる」…こんな感じで。

 

2011年、経済発展著しい東南アジア某国の首都でコンドミニアムをプレビルドで購入。周囲は貧相な低層住宅の広がるなか、超近代的なコンドミニアムが建つ予定。現状まだ更地だが、前途洋々に見える。完成は3年後、2014年の予定。

2012年、現地はまだ更地で、基礎工事さえ始まっていない。デベロッパーは、住戸が全部売れてお金を集めてから工事に着工したいようだが、果たして予定通りに建つのか、少し不安になる。物件周辺では、他デベロッパーによるコンドミニアム開発計画が、次から次へと発表される。

2013年、ようやく、基礎工事が始まる。周辺では、他デベロッパーによるコンドミニアムの工事があちこちで始まってきた。街のあちこちでクレーンがひっきりなしに動いている。

2014年、15階まで完成。しかし、本来ならすでに最上階まですべて完成&引き渡しのはずなのに、予定した工期から6~8か月は遅れている。周辺はすでにコンドミニアムだらけ。こんなに部屋つくって、需要はあるのかと不安になる。

2015年、予定より9か月遅れで、晴れて物件完成&引き渡し。それなのにプールやクラブハウスなど共用施設はまだ工事中で使えない。この状態じゃ、賃貸に出せない。共用施設が完成しても、周囲にライバル物件がむちゃくちゃ多くて、我が物件を選んでもらえるかどうか自信がない。

 

私も物件買ってる、タイ・パタヤを例にとってみましょう。私は2012年にプレビルドで買いましたが、2012~14年にかけてのコンドミニアム建設ラッシュで、パタヤ全域で住戸が大量に供給されました。2007年から通算すると181プロジェクト、6万3千戸の新規供給があったそうで(リンク)、パタヤの人口規模(30~50万人)を考えればまさに供給過剰。特に、パタヤ市街地からプラタムナックの丘を越えて、南側のジョムティエン地区での供給数が凄まじかった。

ジョムティエン地区は、静かなビーチと、あまり賑やかとはいえない中心街があり、そこを少し離れると、「えっ、こんな場所、誰が住むの?」と言いたくなるような何もない地区になりますが、土地の仕入れ値が安いのか、そういう不便な場所ほど、地域の実力に不釣り合いな高層コンドミニアムがバカスカ建ちまくるのが、新興国でよくある現象です。

すると、どうなるか?必然的な帰結は、「二極化」。勝ち組物件と負け組物件の差が激しくなるのです。街の中心部とか、郊外でも人々に選ばれる要素を持つオンリーワン物件に人気が集まり、そうでない物件は賃貸も転売も著しく苦戦するのです。

 

中心部はともかく、ジョムティエン地区で生き残れるコンドミニアムって、全体のどれ位あるんだろう?

pattayamap

 

マレーシアの首都クアラルンプールでも、ここ3~4年、都心部KLCC地域で、驚くべき数のコンドミニアムが供給されました。街のスカイラインが変わってしまうほどの豪快な建ちっぷり。確かに活気は感じますし、都心のコンドミニアムに住む人も増えていますが、問題は、需要以上の戸数が供給されてしまうこと。2013年7月に訪問した当時すでに、KLCCのコンドミニアム空室率は30%といわれていました。今でも続々と建ってますから、空室率はさらに上がっていることでしょう。

すると、どうなるか…都心部の過剰供給で家賃に下方圧力がかかると、それが郊外に波及するのです。

都心部コンドミニアム:想定家賃では貸せないが、下げればなんとか貸せる。

郊外コンドミニアム:家賃下げても貸せない。比較的安いコストで都心部に住めるから、郊外に間借りする意味がそもそもない。

KLCC周辺。確かに発展著しいが、ほとんど人が住んでないコンドミニアムも相当数混じっている。

kualalumpur

日本国内の事例でいうと、2005~07年のミニバブル期に、国内外のファンドが投資用ワンルームマンションを建てまくって過剰供給になった福岡市で、リーマンショックを機に家賃相場が大崩れする現象が起きました。

ミニバブル前は、福岡市都心部(天神、博多など)の相場家賃が月額5~6万円、それを高いと感じる人々が郊外(香椎、大橋など)で月3万円くらいで借りていたものですが、

リーマンショック後は、都心部の家賃が月額3万円台に下がりました。ファンドがお金かけて建てた、新築でオサレなワンルームが余りまくり、需給バランスが崩れて完全に借り手市場になりました。すると、郊外から中心部へ引っ越す人が増えたのです。3~4万の家賃で便利な都心に住めるなら、普通そうしますよね。

その結果、都心部は家賃相場下がったけどとりあえず埋まる。一方、郊外で特色のないマンションは、さらに空室・値崩れがひどくなったのです。西鉄井尻の駅前、「家賃1万円台激安ワンルーム」の募集広告が並ぶ不動産屋はまさに壮観。

 

国・都市は違えど、都心部で物件過剰供給が起こったら、2008年の福岡市と同じ現象が起こるのは明白。クアラルンプールでも、都心部から少し離れた郊外コンドミニアムの入居づけが、特に苦戦していると聞きます。投資物件である以上、想定賃料が下がれば、当然、売却価格も下がらざるを得ません。

もっとも、クアラルンプールの場合は、コンドミニアムに住める財力のない、平屋住まいの庶民が大半を占めており、彼らの経済力が上がれば郊外コンドミニアムにも住んでくれる時代が来るかもしれませんが、そこに至るまで、あと5~10年はかかりそうな気がします。融資組んで買ってる人も多いから、庶民の購買力が上がるまで待ってられない人もきっと多いよね。

マレーシア、タイに限らず、フィリピン、カンボジアなど、いろんな国で、同様の問題が起こっています。個別の事例をみていて、国は違えど、問題の構造は驚くほど似ていると感じます。

 

経済成長が続く東南アジアでも、不動産買うなら物件個別の見極めが大事なのは論を待ちません。将来的には、日本のように、ビッグデータの解析が進んで、「駅力分析」とか、「築年数と駅距離からみた適正相場」みたいなツールが開発され、投資判断もしやすくなるでしょうが、現時点では、まだデータも整備されていません。この面で、もっと日本の投資家のお役に立ちたい、歴史に残る良い仕事をしたいと、常に思っているのですが…

東南アジアの場合、現時点では、「失敗事例から学ぶ」というのが、物件選びを間違わないための、最も有効な方法のような気がします。皆様のお役に立てるよう、こんなセミナーも企画しました。ご興味ある方は是非。

10月9日(金)19:00~ 「海外不動産の失敗事例共有セミナー@東京

 

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フィリピン不動産融資の変化

こんばんは、Manachanです。今回はフィリピンねた…一昨年から毎月連載しているHome’s不動産投資コラムで、辛口の文章を書きました。

フィリピン融資トラブル発生

私自身が体験したトラブルだけに、客観的にフェアに書こうと思いつつも、どうしても辛口になってしまう面はあります。この文章でお伝えしたかったことは、

新興国でプレビルドを買うにあたっては、「融資の仕組みがあやふやである」というリスクの存在を知ろう。

日本と違って「融資特約つけずに買う」わけだから、完成時に融資が下りない場合、現金を全額揃えて払うか、最悪、これまで払った頭金を捨てる事態も想定しよう。

ま、融資など受けずに全額キャッシュ払いしちゃえば問題ないんだけどね。

フィリピンは、同じ東南アジアのマレーシアやタイと比べて、外国人オーナーに対する銀行融資を出したがらない国、というイメージがあります。

マレーシアでは、2~3年前に、外国人にも物件価格の85%や90%まで融資出してた時期があり、実際、ものすごく売れたわけですが、その結果、地元の人が買えないレベルまで不動産価格が高騰したので、引き締めに入っています。今だと外国人は頑張っても50~60%しか融資ひけないでしょう。

フィリピンはマレーシアの経験に学んだのかどうか知りませんが…・ここ2~3年は外国人に対する融資オプションをほぼ与えず、不動産マーケットは地元のフィリピン人やキャッシュ買い客中心の状況だったように思います。

日本人が買う場合は、東京に支店があるPNB銀行位しか融資の選択肢がなかった。だからこそ数年前のマレーシア不動産のような爆発的な価格の伸びは見られず、その分安く買えていたともいえるでしょう。

ただ、同国でも外国人に対する融資が、だんだん、緩くなる方向に向かっているのは間違いないと思います。

・BDOなど、日本に拠点を持たないフィリピンの銀行が、日本人向けに貸すようになった。

・日本の金融機関による「フリーローン」の類もいくつか出てきた。

フィリピンの融資制度、現時点ではまだあやふやな面も多く、実際それがリスクでもあるわけですが、近い将来、仕組みが整備されて、各行から外国人も使えるローン商品がどんどん出るようになれば、同国の不動産市場も劇的に変わるのかもしれません。

いま、アジア大平洋大家の会では、セブ島の投資用ホテルセミナーを開催しています(2/27東京2/28福岡)。講師の佐藤大悟さんは、「現時点ではまだ、フィリピンの銀行融資があやふやなので、物件代金を自分でつくる方策を考えるべきです」とセミナーで言います。良心的だと思います。

数年前なんか、今よりもっとあやふやだったのに、「銀行融資つきます!」と言ってた業者が多かったもんなあ…そういう業者の多くは、もう、市場から姿を消してしまいました。商売というものは、時間かかっても誠実にやるべきなのでしょうね。

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注意喚起系セミナーの毒

こんにちはManachanです。数日ぶりのブログ更新になります。

昨日、東京・品川で開催した「フィリピン物件売却セミナー」…15~17時は業者向けセミナー、18~20時は一般投資家向けセミナーと、ダブルヘッダーの長丁場でした。これ、良い意味で我々「アジア大平洋大家の会」らしいセミナーだったと思います。

私たちのミッションは「海外不動産にフォーカスした、個人投資家の育成」であり、その趣旨から、二つのタイプのセミナーを行っています。

・販売系セミナー
 厳選した海外不動産投資機会の紹介

・注意喚起系セミナー
 海外不動産投資で失敗しない(or失敗してもリカバリーする)ための情報提供セミナー

セミナー主催者の視点から、上記二つを比べると、「販売セミナー」の方が難易度が明らかに低く、「注意喚起系セミナー」はかなり難しい。実際、自分が痛い目にあってないと(或いは、痛い目にあった人を講師として連れてこないと)、この種の内容は語れませんから…

また、こういうセミナーやっても、お金にはなりません。私たちの会は、海外不動産を扱う業者からセミナー開催費用をいただいて、その予算内で集客・会場手配することが多いですが、当然ながら皆、「不動産の販売」が目的であり、「注意喚起」みたいな内容にお金を出す業者はいません。

ですので我々も、一人2000~3000円くらいの参加費をいただいて、その範囲内で会場費や資料代を出して、自分の時間を使って「手弁当」でやっています。ただ、こういうセミナーは会員にとって有益だと思うので、喜んでやっています。

昨日のセミナーは、私がフィリピンのコンドミニアムを買った後、2013~14年にかけて、入居づけと売却で苦労した体験談を、皆さんとシェアしました。

本当に大変でした…自分の経験値が足りなかったのもありますが、入居に8ヶ月、売却に5ヶ月、足かけ1年以上かかりましたもんね。私は2011年に、とある業者からセミナー受けて物件買ったんです。当時、その業者は「いつでも簡単に売れますよ」と言ってたんですが、実際やってみると全然違うじゃんかよ!

しかし、この経験、無駄だとは思っていません。苦労・試行錯誤した分だけ、自分の海外不動産投資スキルを向上させることにもつながるし、今こうやってセミナーで、皆さんと経験談をシェアすることもできてるわけですから。

できれば、海外不動産を購入する前に、こういう話を聞いて、賢い選択をして欲しいものですよね。「良い子のみなさん、真似しちゃだめよ」みたいなことを、かつての私は結構やってますので…

でも興味深いことに、こういうセミナーやると、参加者の皆さんの表情が暗くなるんですよ!

私はとても楽しんで話しているんですが、やっぱり、毒が効きすぎたというか…「これから海外で物件買おうぜ!」みたいな高揚感は、注意喚起系のセミナーにはないらしい。人間の心理って、そういうものなんでしょうね。

でも一部、参加者のなかに「洗練された海外不動産投資家」がいました。「こりゃ、いいこと聞いた。あと半年後に、海外物件の叩き売りする日本人が大量に出るはずだから、今から軍資金貯めておこう!」と…こういう人って、賢いと思います。

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真冬の北海道セミナー

こんにちは、Manachanです。

今年、日本の冬は、時々寒波が来たりして、けっこう寒い。

とはいえ、寒いといっても東京の場合、氷点下になることは稀。私は首都圏内陸で育ったので、ここ東京ベイエリアの冬は寒くない。むしろ生暖かく感じますね。真冬、小雪がちらつく埼玉とか行くと、丁度いいですね。「この風の冷たさ、柏と同じだ!」

とはいえ、明後日は札幌セミナー。北海道の冬の寒さは、当然、関東とは桁が違うわけで・・・・今朝、iPhoneで天気を調べてみると、

札幌、外気温マイナス11度、体感温度マイナス19度

マイナス11℃って、まじかよ~!一般の関東人にとって、未体験ゾーンの低温。ちょっとだけ、憂鬱な気持ちになりました。しかし幸い、私が北海道渡航する土曜日は暖かく、札幌で「最高2度、最低マイナス4度」とのこと。

私は、東京からの移動だから、まだしも、一緒に講演する長嶋修さんなんか、常夏の国、フィリピンのセブから一気に札幌へ移動だから、すげー温度差でしょうね。

私は今回、エア・ドゥの安いチケットで行くので、新千歳空港着が午前8時20分(寒そう~)。札幌でのセミナー開始が14時半で、それまで時間があるので、千歳市にある、私の物件(別荘風の区分マンション)を見にいってこようかな・・・・と思い、千歳市の気温を調べてみると、札幌より寒い。

千歳市、比較的暖かい土曜日の最高気温1度、最低マイナス9度

防寒の方針は、下着は上も下もヒートテック固め、肌を露出しないように、重ね着でいこうと思います。以前、中国・大連で、二回、冬を越したので、今回の北海道も、その時と同じような感じでいけるでしょう。

問題は、冬の北海道、室内が暖かい(というか暑い)こと。下手に防寒着を着込むと、室内に入ると、暑くて仕方ないから(大連も同じだったけど・・)、着脱容易にするしかない。

今回のセミナー、たくさんの人が来てくれるので、楽しみです。冬の北海道に、常夏のセブ島より、不動産話をお届けいたします。

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『日本人がつくるセブ投資用ホテルセミナー (1/25 札幌)』

【日時】1月25日(土) 14:30~17:00 札幌駅北口

【会場】札幌北口カンファレンスプラザ会議室B
(札幌市北区北9条西2丁目12-1 SANKO札幌駅前ビル)

【参加費用】3000円 (※APHOC有料会員は、無料でご招待)

【セミナー説明】http://bit.ly/19uPYg9

【申込リンク】http://asia-pacific.tv/pp/button.php?id=130&skin

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東京でも、長嶋さんのフィリピン不動産話を聞きたい!という方は、こちらからどうぞ。

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EXCEED-X主催 『セブ島不動産投資セミナー』(2/1 東京)

【日時】 2013年2月1日(土)13:00-15:00

【講師】長嶋 修 (株)アイランド 市川隆久

【場所】 渋谷区桜丘町29-24 桜丘リージェンシー さくら事務所
    ※道に迷ったら03-6455-001へお電話を

【申込リンク】http://www.fd-toushi.com/

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フィリピン貧民街の日々

こんばんは、Manachanです。

2013年、日本人が一番多く不動産を買った海外の国は、たぶん「マレーシア」でしょうが、来年以降は、「フィリピン」が前面に出てきそうな予感がします。

というのも、マレーシアで我々外国人が不動産を買う場合の「最低購入金額」が、来年早々から100万リンギット(3200万円)以上に引き上げられるので、富裕層以外の日本人には、なかなか買いにくくなるからです。

今後、日本人の一般ピープルが目を向けそうなのが、首都マニラ都心部でも700万円程度からコンドミニアムが買える「フィリピン」。

フィリピンはイメージ芳しくないけど、日本からとても近いし、マニラやセブへの飛行機は増便につぐ増便で便利になるし、700万円程度のコンドミニアム買って、(いろんな問題あるけど…)表面利回り8-10%、値上がりも堅いとなれば、人気出ない理由はないと思います。

すでに、「三菱商事」がフィリピンの不動産ブランドNo.1「アヤラ・ランド」と組んでマニラでコンドミニアム建てますし、投資用不動産大手「レーサム」もフィリピン不動産事業に進出するなど、日系の進出も著しい昨今、フィリピンでの不動産視察ツアーも、今後、倍々ゲームで増えるでしょう。

しかし、マニラで日本人連れて不動産視察ツアーやるにあたって、頭の痛いことがいくつかあります。

・マニラの空港がしょぼい (※ミャンマーのヤンゴン空港よりしょぼいかも)

・空港から都心部(マカティ地区)まで直結する鉄道がない (※国の首都なんだから、その位つくれよな!)

・都心部に到達するまでに、一見、みすぼらしい住宅街を通る

マニラ都心部、特にマカティとBGC(ボニファシオ・グローバル・シティ)を見れば、誰もが、その目覚ましい発展ぶりに驚きます。そして巨大ショッピングセンターに行けば、誰もが、尋常ではない人混みと、超・旺盛な消費意欲に驚きます。これらは、フィリピン視察のハイライト。

一方で、昔ながらの、貧乏臭い住宅街で満ち満ちている。スラムもあれば不法占拠者も多い・・・というのも、フィリピンの現実なのです。

マニラの平均的な住宅街、現代日本人の目には「貧民街」に映るあの情景に、「ひいてしまう」人々もいるでしょう。でも私は、

大学時代、マニラの貧民街に一時期、住んでいました。

ああいう世界が、大好きです!

20年以上前、フィリピンが今よりずっと貧しく、混沌としていた時代、私はバックパッカーとしてマニラを訪れ、「マラテ」(Malate)地区にあるフィリピン人の友人宅に、3週間ほど寝泊りしていました。

当時、ざっとみて、マニラの人口の8割くらいは、「スラム」に毛の生えた程度の、簡素で前近代的な、インフラもろくにない環境で暮らしていました。私の友人宅も、例外ではありませんでした。

そこが、どんな世界だったのかというと…


・都会のまんなかに、50戸くらいの家庭が、集落のように、肩を寄せ合って暮らしている。

・トイレも、水道も、シャワーも全て共同。

・どの家も、ものすごい子沢山!友人宅には子供が11人も。

・どの家も、寝室は1つしかなく、私は毎晩、11人の子供たちと、折り重なるように寝た。

・仕事のない男たちが、日がな一日、暇そうにしている。

・日中はトランプ博打くらいしか、やることがない。日本円で「1円、2円」みたいなお金をかけて、時間をつぶした。

・食べ物は、毎食同じ。「ご飯」に「釣り餌のゴカイ」みたいなものをかけて食べる。

ビジュアル的には、これと大差ないものを、メシにかけて食べるのです・・・

ま、グロテスクながら、一応、火は通してあるし、人間の食べる物だから、ま、いいかと思い、私も毎食、これ食べてましたが、何日も経つと、さすがに飽きてくる。

その貧民窟(もとい、平均的なマニラの住宅街)から、歩いて5分くらいすると、華僑の超リッチな友人が住んでいました。そこで、時々、メシ食わしてもらいにいきましたが、

・とにかく、肉、肉、肉・・・

・野菜ゼロ。米と肉しかない食事。

肉ばかりを食い倒す日々でした・・・

 
肉を買えるのは、富の象徴なんでしょうけど、若い女の子でも野菜ゼロの食生活はつらいよなあと思いながら、ちゃっかり、その家では肉を食い、飽きたら、貧民街の釣り餌メシを食いにいく・・・その繰り返しでした。

Manachan何を好き好んで、そんな生活を・・・と思われたかもしれないけど、マニラ貧民窟の生活、とにかく、楽しいんです。

・人々が、とても明るくて、優しい。

・子供たちの、目がキラキラして、とても可愛い。

・しわくちゃのお婆ちゃんでも、英語上手だから、会話が成立する。

近所のおばあちゃん、なぜか、日本語の「どろぼう」(Dorobo)という単語だけ知っていて、冗談交じりで、こんなこと言うんです。


You are rich. I am poor.
I will “dorobo” you.

そんな文脈で、「どろぼう」を使わなくてもねえ・・・

あと、近所の暇なおっさんたちとのトランプ博打で、私が大負けした日があって、仕方なく、40円くらいの「サンミゲル・ビール」を皆におごりましたが、むちゃくちゃ感謝されました。

たった40円で、そんなに喜んでもらえるとはねえ…

決して裕福とはいえない暮らしですが、それでも皆さん、「マニラでは普通の暮らしをしているぜ」的なプライドがあるらしく、

トンド地区(別名スモーキーマウンテン、マニラ最大のスラム街)には絶対に近寄るな!

と、口を揃えて言います。はたから見れば、大差ないと思うんだけどねえ…でも、本人たちにとっては、その「違い」が重要なんでしょうね。

長足の経済成長を遂げるフィリピン・マニラ、近代的なコンドミニアムも増えてきていますが、私が20数年前にみた「三丁目の夕日」以下の風景も、依然として健在です。

マニラに行かれて、そんな風景を目にした時、「汚らしい」と忌避するのではなく、そこに活き活きとした、人間の暮らしの営みがあり、底抜けに明るくて心優しい人々が住んでいることに、思いをめぐらせていただきたい。それは間違いなく、フィリピンの魅力の一つなのですから…。

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