今回は、地方再生と日本経済復活というテーマを、私のテイストを加えて語っていきます。

私はいま54歳。顔に似合わず実は大学院まで出てまして、卒業したのが1994年。東京で就職しましたが、すでに日本はバブルがはじけて就職氷河期に入り、それから何十年にわたる経済低迷の時代を迎えることになりました。つまり私は、日本が景気良い時代を社会人として全く経験していない最初の世代というわけです。

その後の私は、なかなかユニークな人生を歩むことになります。まず国際結婚のご縁があり、その関係で西暦2000年、妻の住む国オーストラリアの永住権をとって移住しました。到着直後からシドニーで就職活動をして、3ケ月後、ITエンジニアとして採用されました。オーストラリアで5年働いた後、仕事のご縁があって中国に渡り、大連で2年間働き、娘もそこで生まれました。2007年、7年ぶりに日本に戻り、38歳にして東京で再就職。44歳までサラリーマンやって、その後は不動産業者として独立起業。社長業を10年ほど続けて今に至ります。

海外で働いて痛感したのは、現地の景気の良さでした。私がオーストラリアに居た2000年前半、あの国は経済黄金時代と呼ばれていました。給料も物価も普通に毎年上がる、凄いのは確定拠出型年金の運用利回りが最低8%、普通は18%出ると言われたことです。なるほど黙ってても老後資金が殖えるのね、日本でそんな経験したことないので羨ましく思った一方で、私もオーストラリアでちゃっかり不動産を買って資産を殖やしました。

次に行った中国はもっと凄くて、2005年から07年にかけての時期はまさに高度経済成長期。GDP成長率はどの地域でも普通に10%とか20%伸びる、たぶん人類が経験したことのないスピードと規模で経済が拡大していきました。私が就職したIT系の会社ではもともと社員数350名だったのが、2年後には3倍増、1000名を超えていました。採用に次ぐ採用の連続で、私も日々、面接に忙殺されていました。

そんな景気の良い外国で働くなかで、母国・日本がいつまでも経済を伸ばせず、国際的地位をどんどん落としていく、アジアのビジネスの中心は中国やシンガポールに移り、日本はどんどん無視されていく・・・それを歯がゆく、悔しく思ってきました。私自身は英語も中国語もできるし、世界に通用するビジネス人材だし、東アジア経済の中心が中国に移ったところで個人的に何の損もしません。でも心のなかで、母国の経済低迷は、いつまでも心にひっかかっていました。

オーストラリアに住んでた頃、現地の友人が、無邪気にこんな言葉を口にしました。「オーストラリアは日本より未来が明るい」と言ったのです。本人に悪気はないのは分かってますが、でも私は、心の中で静かな闘志を燃やしていました。

お前らに、いつまでも、そんなこと言わせねえぞ

俺ら日本人の力と頑張りで、未来の日本を明るくしてみせる。・・・と。

あれから15年以上が経ちました。日本に戻った私は自分のビジネスを興して10年。日々、国内外を駆け回っています。その私が思うに、日本経済を復活させる鍵は、ずばり「地方のポテンシャルを開花させること」だと思います。別に東京がダメだと言ってるわけではありません。日本のなかで東京が引き続き国際都市として力強くこの国を引っ張るのは必要なことです。一方で、日本列島の津々浦々、各地に豊かな地域資源があるのに、それが経済価値として実現されず、ビジネスや雇用になっていない、だから人も金も全部東京に吸い寄せられる。地方の優秀な才能や若い力が旧態依然とした大企業や役所にばかり集まり浪費されている。そんな構図を、新しい発想で変えていきたいです。言い換えれば、東京や世界と繋がりつつ、地域資源を活かした地方発の優良なビジネスを次々とつくる、その結果、都市規模は小さくとも世界に評価される地方都市が日本各地に次々と生まれる、その先に日本経済復興の道筋が描けると私は思います。

日本なら、いや日本だからこそ、それができるはずです。なぜそう思うのか?私は不動産の商売をしているので、街の価値、場所の価値とは何かを、常に考えながら仕事をしています。私の意見では、人類にとって唯一無二の価値を持つものというのは、3つの条件があります。

1)再生産できないもの

2)稀少性があり、代替が難しいもの

3)知名度やブランド価値があるもの

たとえばの話、最先端のハイテクの粋を集めた工作機械よりも、600年以上の歴史を持つフランスの家族農場でつくられたワインの方が高値で取引されることは多いです。それは当然です。最先端技術は真似されることもありますが、何百年もかけてワイナリーを守ってきた家族の歴史は再生産できないからです。つまり真似できない、世界でオンリーワン、そしてブランド価値がある。だからものすごい値段がつくのです。

その観点でいえば、日本という国は、リアルで宝の山です。コロナ禍で数年間、海外に行けない日々が続いた時期、私は国内のいろんな地方に出かけましたが、そこで各地が持つ観光資源の豊かさに圧倒されました。まさに驚きと感動の連続。特に西日本であれば、どの地域もゆうに1500年以上の歴史がある。島国で戦乱が少なかったおかげで古い建物や文化財が多く残り、地域独特の食べ物や調理法も残っている。その文化景観もさることながら、温帯に位置し、南北に細長い、自然災害のデパートといわれる列島だけあって、自然景観も極めてユニークでバラエティ豊か。要は日本自体が自然の面でも文化的にも、ものすごくユニークで、他に真似されない、代替されない高付加価値資源の宝庫なのです。

さらに日本の持つ大きな財産は、ブランド価値。つまり、外国からみたイメージが良く、知名度が高く、文化的影響力もあるということです。私はこれまで世界中50ヶ国以上に出かけてますが、日本人というだけで、ものすごく親切にしてもらった経験を、数限りなくしてきました。私の外見は、他の東アジアの国民と変わりませんけど、日本人というだけで信頼してもらえる、家も借りやすくなる、ビザなしで入国させてもらえる、世界中どこでもポケモンやスラムダンクの話で盛り上がれる等々。もちろん、私がいいヤツだから良くしてもらえる面もありますが、もし日本以外の東アジアの国民だったら、たぶんここまで良くしてもらうことはなかったでしょう。あと知名度も抜群ですよね。日本はもちろん、東京、京都、大阪、広島を知らない人は世界的にみても少ないです。

稀少性、代替困難、ブランド価値…日本という国は全てを備えています。つまり、高付加価値ビジネスをつくる基盤がすでに揃っているわけです。あとは私たち現役世代が、かたちにすればいいのです。特に日本のなかで、地方のポテンシャルが大きい。素晴らしい地域資源を持っているのに、全然ポテンシャルが活かされず、若い人口が流出している、銀行も金を貸さない、地域の金持ちも地元にお金を落とさない、みたいな地域は数多くありますが、私たちが上手に仕掛ければビジネスを創れる場所は多い。なお、地域ビジネスを大きく成長させるには多分二つの才能の掛け合わせが必要です。一つは「地元で頑張って汗をかく人たち」、もう一つは「東京など大都市でビジネスマンとして第一線で活躍する人たち です。」

私はそのモデルとして「産地直送ビジネスプラットフォーム」という概念をつくり、2021年から広島県、沖縄県、宮城県、千葉県、東京下町など各地で実践しています。

この図のなかで、私の役割は「コンシェルジュ」というて、地方に居る事業者と、国内外の富裕層・投資家のお金をつなぐ仕事をしています。これは地方事業者の悩みと、都市在住のお金持ちの悩みを一気に解決することでもあります。地方サイドでは、地域資源を活かしたビジネスをやりたいけどお金がない、銀行が貸してくれないという悩みがあります。一方でお金持ち側には税金の悩みがあります。あと、自分のお金の一部でも地方の経済復興に活かしたいという気持ちもあります。その両者の間に立ち、収益や節税効果のバランスをとりながら、地方各地で同時並行的に、税金を一銭も使わない、民間資金による事業を次々と立ち上げていく。よみがえれ日本経済というビジョンを心に抱きつつ、地方興しのシリアルアントレプレナーとして頑張っていきたいと思います。

そして、産地直送ビジネスプラットフォーム試みを始めて2年。今では確かな手ごたえをつかみつつあります。お金は後でいいから、とにかく鈴木さん一緒に夢のある仕事をしたい、納得できる働き方をしたいという方が、続々と弊社の門を叩いてきています。皆さんビジネスマンや投資家として活躍した方だけあって、とても優秀です。もちろん地方各地の事業家からも続々とお声がかかっていますし、また事業に成功してひと財産つくった経営者さんからも、鈴木さんの商売を応援したい、民間ビジネスの力で日本の将来を明るくしたい、日本をもっとよくして子供たち世代に残したいという篤志家の方からのお声がけもいただくようになりました。このムーブメントのなかで仕事できる私は幸せ者です。皆様の熱い思いと実力、もちろん課題は多いけど、日本の将来はきっとバラ色だと感じています。

作者への連絡先はこちら(国際不動産エージェント社)
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作者との面談予約URL:https://ipag.youcanbook.me/

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