日本へUターン起業のすすめ(2)

(この話はフィクションです)

201X年2月 東京・溜池山王にて…

オーストラリア移住して10年暮らしたAさん、関西出身。今は慣れないTokyoでサラリーマンをやって、約5か月が経ちました。まだ2月、気温6℃。日枝神社の方から、ビルの谷間を抜けて、寒風が吹きこんできます。

いま、家族の居るオーストラリア・メルボルンは真夏。今年は熱波が来て40℃超えの日もあったという…そろそろ、子供の学校が終わりスクールホリデイに入る頃、いよいよ、4月の小学校編入入学を目指して、一家が東京に集結する日が、間近に迫ってきました。父親ひとり単身赴任生活も、いよいよ終止符が打たれます。

 

Aさんが、10年ぶりに日本の居住者になった際、場所選びに葛藤がなかったといえば嘘になります。妻は九州出身、どっちみち田舎で仕事がなく地元に帰るつもりはないのですが、一方Aさんは関西出身。できることなら、大阪勤務で関西暮らしに返り咲きたかったのですが、一方で、仕事や待遇の面で妥協する気もありませんでした。

曲りなりにも、オーストラリアの英語環境で、プロフェッショナルなエンジニアとして10年働いた男。40歳で日本にUターンする今、自分の経歴やスキルを真に必要としている会社で働きたい、年俸もそれに見合ったレベルでいただきたい。

 

そうなると、日本企業のほとんどは候補から外れます(実際、40歳で海外から出戻りを中途採用する日本企業は少なく、応募しても一次選考でほぼ落とされた…)。逆に、日本に進出する英米系外資なら引く手あまたで、年俸も「1本立つ」(1000万円)レベルなので申し分ない。その代わり、どの求人票みても勤務地は東京23区…

自分のスキルが活かせて待遇も良い求人は、極端に東京一極集中していました。感覚的に「東京80%、関西15%、その他5%」といった感じ。たまに関西の求人があっても、リクルーターが東京に出てきて人探ししている状況を目の当たりにしたAさんは、「日本へUターンするためには、とりあえず東京で働くしかない」ことを悟りました。

 

東京で働く覚悟を決めたら、内定はすんなり決まりました。実は一次、二次面接をオーストラリアのメルボルン事業所でやって、最終面接は東京支社の上司(英国人)と電話会議やって、翌週には内定が出ました。オファーレターには年俸1020万円(固定給850万円+業績連動給170万円)と書いてあり、いまメルボルンでもらっている9万豪ドル(当時のレートで720万円)より大幅UPになります。

9月、妻と二人の子供をメルボルンに置いて、Aさんは残暑の残る東京でスーツ(クールビズ)姿のサラリーマンを始めました。上司や英国本社とは英語、同僚や客先では日本語を使い、セールスと一緒に技術仕様の説明や、客先での据え付け・調整やユーザー教育をする毎日。少人数だし忙しいし、残業もありますが、自分が必要とされていることに満足感とやりがいを感じる毎日。

 

仕事にも東京暮らしにもある程度慣れた翌年2月、Aさんは狭いマンスリーマンションを引き払い、4人家族で住めるよう、湾岸ベイエリア某所にUR住宅を借りました。広いリビングの2LDKプラス納戸、80㎡、築7年のマンション4階部分、ベランダ付、家賃17万円という条件。UR住宅は礼金とか保証料みたいな、訳分からない出費がなく、敷金3か月分だけ払えばいいので、オーストラリア暮らしが長い自分にも理解しやすい明朗会計。

職場までの通勤はドアドアで45分。メルボルン時代はクルマで職場まで片道45分かかっていたので似たようなもの。ただ、日本の場合は暑い日も寒い日も、自宅から駅まで歩く、地下鉄ホームまで階段上り下り…みたいな運動を強いられるので、メルボルンの方が身体はラクでしたね。

 

日本で働きはじめたAさん、最初は税金の安さに驚きました。でも、それは日本の住民税が後払いシステムになっていて、働き始めた初年度はかからない、でも翌年からはしっかりかかるのです。あと健康保険料など、トータルで考えれば日本の税金そんなに安くないことに気づきました(でもオーストラリアより少しマシかな)。

あと、自分が日本を離れた10年前と比べて、外国人の住民が増えたことにも驚きました。東京でも、関西の地元でも、コンビニやスーパー、居酒屋はアジア系外国人が働いているのが当たり前。街を歩けば、普通に中国語が聞こえてくる毎日…逆に、メルボルンで毎日聞いてた「英語」は、職場以外であまり聞く機会がありません。。

 

Aさん来日(?)当初は、見るもの聞くもの全てが新鮮で、コンビニのおにぎりの包み紙を手を汚さずに開けられるとか、コーンスープのパックがこぼれない親切設計になっている等、一つ一つに「おお!日本すげえ!」と感動していたものですが、在住5か月も経てば全てが当たり前になり、新鮮さが薄れてきた頃に、家族が合流することになり、Aさん一家の新たな冒険(?)が始まることになりました。

 

次号(第3回)に続く…

前号(第1回)にもどる…

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