「学校適応が難しい子」と「担任教師の無理解」による厄災を防ぐ方法

こんばんは、Manachanです。今回は子育て、学校教育ねたでブログ書きますね。

うちの近所にお住まいで、お子様を評判の良い公立小学校に通わせている友人から、残念な報告が入りました。学校で小3のお子さんと担任教師がトラブルになり、身体的な威嚇まで受けたにも関わらず、その教師は何らの処分も受けずに他校に転籍、どうしても納得いかないので不本意ながら裁判沙汰にするという…

そのお子さんは「集中できない、落ち着きがない」性格で小さい頃から発達障害の傾向が見られたので、お母さんは学校選びにものすごく気を遣い、自宅から距離のある学校まで日々、行き帰りの付き添いもしてきました。それで小1~小2は理解ある教師に恵まれ順調にいけたのですが、3年の担任教師がとにかく性格が合わず、お子さんも教室に怖くて入れず、強いストレスを感じると暴発したりして、「〇君が暴れて他の子に迷惑かけてます」と言われて何度も学校に呼び出されたようです。

 

まだ親の言い分しか聞いてないですが、私はお子さんに同情しますね。まだ小3、学校生活がどれだけ怖くて、不安だったことか。登校しても教室に入れなかったのはなぜなのか、教師として、もっと子供に寄り添って懸念を理解できなかったものなのか?暴発という問題行動を起こしたのも、おそらく「感情の高ぶりをどうコントロールしてよいか分からない」というスキルの問題である可能性が高く、もしそうなら罰を与えても全く意味がない。この子に足りないスキルが何で、どういう理由・きっかけで起こるのかを、子供を預かるプロ教育者として考えられなかったものなのか?

その観点でいうと、間違いなく、担任教師のスキルが足りなかったのでしょう。問題の初期から親を巻き込んで解決策を練るような機転もきかず、「迷惑」という言葉で物事を断じ、結局親とも全面衝突して裁判沙汰にまでなってしまったわけです。さらに言うと、その教師を処分せず、他校転籍というかたちで「臭いものに蓋」した学校側のマネジメント能力も大いに問題ありだと思います。

間違いなく言えることは、こうした一連の出来事で、最もつらい思いをしているのはお子さん本人だということです。

 

振り返ると、私自身が、ある種の発達障害を抱えた子供だったので、この一件は身につまされます。我が小中学校生活は、まさにジェットコースター、担任によって天国にも地獄にもなりました。よく理解してくれる担任のもとで順調な一年を送っても、学年が進んで担任が変わると、また一から振り出しに戻ってしまうのです。

さらに言うと、当時は今以上に、「子供が変なのは母親のせい、子育てのせい」にされる世の中でした。学校の先生も周囲の親たちも、私の奇行の数々(青っ洟を垂らして汚い、忘れものが酷い、身なりが酷くだらしない、言葉で気持ちを表現できない、授業態度は最悪だけどテストの成績だけは良い等々…)を、家庭でしつけができてない問題だと解釈し、私の母親のせいにするのでした。

確か小5でしたか、通知表にこんな所見が書いてあったのを今でも覚えています。

 

「基本的な生活習慣ができてないので、周囲の子に軽視される傾向があります。家庭でのしつけを徹底してください」

 

それをもらった私は、悔しくて切なくて、母親に涙ながらに訴えました。

 

「いまの先生は、僕のこと、全然分かってくれないんだよ」、
「それなのに、みんながお母さんを悪者にするんだ、すごく悔しいよ…」

「そうか、分かった。マナブは、お母さんのために泣いてくれたんだね。ありがとう!」

 

そして、歴史は繰り返す。今度は私自身が大人になって、不登校児を抱えて子育てすることになりました。中1の娘ですが、この子は私よりも困難が見えにくく、学校では全く問題行動を起こさずフツーに見えるのですが、登校が難しく、自宅で育つ生活を何年も続けています。

娘も私の子供時代と同様、担任によってジェットコースターみたいに運命が変わる学校生活を送ってきました。小学校の6年間で、理解のある担任の先生にあたったのが2回、あとの4回は彼女にとってベストとはほど遠く、担任との相性や理解度が不登校に直結するわけです…困難を抱えた子供の学校生活というものは、かくもデリケートで、壊れやすい。

 

周りを見渡せば、娘のように学校生活に適応できない子が何人もいます。我が家は国際結婚ファミリーですが、両親とも日本人の家庭でも当たり前にそういう子はいます。そして、学校と子供の適応というテーマは国を問いません。以前ブログで書きましたが(不登校児、どの国で育てても大変)、オーストラリアで知り合いの男の子(両親とも豪州人英語ネイティブ)が、小学校を2回変わっても適応できず、校長・副校長先生の教育方針にも合わずに、現在はホームスクール(自宅学習)しながら育っています。

「当たりはずれ」(Hit and Miss)は人生につきものとはいえ、もう少し何とかならんものでしょうか?まだ幼い子供が学校で適応困難になったら、親も教師も大変な思いをするし、それ以上に子供が辛い。教師との相性の良し悪しは避けられませんが、相性の悪い教師に当たってもリカバリー確率を高める方法論や体制をつくれないものでしょうか?

 

私思うに、学校内に「子供の代理人」(Advocate)的な教師が居て、早期に適切な介入ができれば成功確率が断然高まると思います。私は小学校の2年(前半のみ)と6年で、娘は3年と6年で、自分を理解し、高く評価してくれる担任教師に当たりましたが、仮にそうでないタイプの教師が担任になってしまった場合も、相性の良い大人に引き合わせてくれたり、相性の悪い担任から上手に引き離してくれるような役目をしてくれる誰かが居てほしい。

それが「生活指導(不登校対応も含む)の担当教師」なのか「保健室の先生」なのか、「スクールカウンセラー」なのかは学校によって違うでしょうが、少なくとも子供の気持ちをよく汲み取ってくれて、かつ学校内の教師の性格やスキルをよく知り、かつ担任に勇気を持ってNO!と言える方が望ましいと思います。

 

娘の場合は、奇しくも、在籍中学校にある「にほんごくらぶ」の先生(外国出身で日本語が不自由な児童が授業についていけるようサポートする専門教師)に救われつつあります。たまたま、その先生が言葉の問題含めて学校適応に苦しんでいる生徒をたくさん見てきたから子供の代理人になれるわけです。さらに踏み込んで言うと、私たちの暮らす東京江東区が外国出身者を一定数抱える多文化の社会になりつつあり、それに対応しようとする学校側の動きが結果的に娘を救っている面があるわけです。

学校適応に困難を抱える児童は、担任の無理解によって大きなダメージを受けてしまうハイリスクな存在ですが、仮にそれが起こったとしても、問題行動を起こす前に「子供の代理人」によるタイムリーで適切な介入ができる体制を、各学校で考えてもらいたいと思います。

 

最後に、私は子供時代に辛い思いをした経験と、娘の不登校問題を活かして、日本の公教育の現場で教師の方々と協力して有益なインプットをしていきたいと思います。

私立に行くとか、インターや外国留学に行くみたいな、「教育をお金で解決する」アプローチを私は好みません。日本の国庫に少なからぬ不動産譲渡益税や法人税を払ってる納税者なんですから、その税金で運営される公立の学校に子供を通わせたいし、かつ、税金が十分活かされるように、保護者の立場から先生の能力を開発し、よい仕事をしていただく上で貢献したいと思います。

 

世界中を見渡すと、今の日本の教育現場で「先生が真面目で熱心」なのは、何にも代えがたい財産だと思います。公立学校の先生がロクな給料もらえない国、教師の副業や怠業が当たり前の国、それを嫌気した富裕層が子供を私立や外国に逃がす国なんて、世界中にたくさんありますもん。少なくとも日本では、普通の公立学校で、一定レベル以上の教育を受けた先生が熱心に職務に勤しんでますし、地域の保護者と対話しようという意識も高い。日本人の特性か、相手の立場に立った共感能力の高い教師も少なくない…客観的にみて大変恵まれた国に住んでいると思います。

個人差はあれど先生方が真面目で勤勉だからこそ、ポテンシャルも大きいと思いますし、日本社会に貢献する次世代を育むのに絶対不可欠な条件「どの子にも教育の機会を与える」という理念にも共感してもらえると信じます。もし、困難を抱えた児童が相性の良くない担任に当たり、タイムリーで適切なケアができなかった結果、「その子に教育の機会を失わせてしまう」のはもちろん良くないし、それを防ぐために学校側で何ができるのか、保護者と一緒に考えましょうという提案にもご理解いただけるはずと思います。

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