「日本語教育基本法」オリンピックに向け東京都江東区をモデル地区に

今国会中の成立に向けて、超党派議員有志が推進している「日本語教育基本法案」ですが、私は外国人住民が急増する東京都江東区に暮らす一人として、当法案の早期成立と、日本に定住する外国人子弟の日本語教育の拡充を切に望むものであります。

グラフにみるように、我が国の首都・東京23区の外国人比率は年々増加し、総人口の4.4%を占める上に、その増加数は23区全体の半分近くを占めるまでになっています。

私たちの暮らす江東区では2万8千人の外国人が居住し、総人口に占める比率は5.5%と、23区平均より高い数値になっています(私の妻も外国籍住民の一人です)。

江東区は再来年の東京オリンピック・パラリンピックで、競技会場が最も集中する地域となっていますが、実は以前より、オリンピックと外国人住民に縁の深い土地でした。1940年に開催が企画され、日中戦争の影響で消えた「幻の東京五輪」で、都内他地域からの移住を迫られた在日朝鮮人が区内の枝川(えだがわ)地区につくった街「枝川コリアンタウン」が所在し、長年日本人と調和して暮らしてきた街です。

区内で初めて、日本語を母語としない外国人児童のための補習教室「日本語クラブ」が設けられたのは、枝川と近隣地域の子供たちが通う「深川第8中学校」で、1984年の開講。現在も4名の先生方が、中国、韓国、フィリピン、タイなどから来た約20名の児童の日本語学習を支援しています(ウェブサイト)。

時代は流れ、江東区内では昔からいる在日朝鮮人に加え、大手企業から赴任で来た韓国人ビジネスマンや、インド人のITエンジニアが目立つようになりました。それを数倍する数の中国人、そしてベトナム人、フィリピン人など、多様な国籍・様々な職業に従事する外国人が、日本人と共存して暮らす多文化な街になりつつあります。

 

多文化社会へ変貌するなかで、様々な社会問題の萌芽が出てきていますが、私からみて最も深刻かつ喫緊の課題と思われるのは、「江東区に暮らす外国人の児童が、必要な日本語教育にアクセスできていない」という問題です。

人口51万人を抱える江東区には、区立の小学校が45、中学校が23ありますが、「日本語クラブ」が設けられているのは、私が確認した限り3校だけです。区内の在籍児童数は小学校24,309名、中学校7,906名、計31,215名いて、人口比から考えて1,000名以上の外国籍児童が学んでいると思われますが(区内どこでもクラスに23名居るのが当たり前です)、統計的把握はなされておらず、日本語教育ニーズの把握もこれからの課題です。

特に、区内で外国人人口が増えている亀戸(かめいど)や大島(おおじま)地区に日本語クラブが存在しないことが問題となっており、児童が転入してきた小中学校に日本語を教える機能自体がなく、多くはケアのないまま放置されています。

日本語クラブ空白地区の外国籍児童のために、江東区主催で今年9月から日本語補習クラスを開くことになり、募集を行ったところ、会場に入りきれないほど希望者が殺到したそうです。まさに日本語学習ニーズが「爆発」しており、区として地域として「すぐに何かしなければならない」状況です。

日本語教育基本法案の「目的」のところに、「日本語教育の推進に関する施策を総合的に推進し、もって我が国に居住する外国人との共生を通じて多様な文化を尊重した活力ある共生社会の実現」という記述がありますが、今まさにその具体的実施を喫緊に求められている自治体の一つが江東区なのです。

日本の一国民として、外国人を含む家庭で暮らしを営む父親として、この法案が成立することを切に望みますし、晴れて成立した暁に、何か具体的でシンボリックな事業をやるならば、その舞台の一つに「江東区」が選ばれるべきだと思っています。ここは2020年東京オリンピック・パラリンピックの主要な舞台であり、全世界の人々が注目する「日本のショーケース」になります。その場所で、「日本に暮らす外国人が満足に日本語の公教育にアクセスできない」状況が全世界に知られるのは恥ずべきことだと思いますし、日本国として「何とかする意志」を見せるべきではないかと思います。

同時に、江東区は外国人と日本人の長い共生の歴史、30年以上にわたる「にほんごクラブ」の活動など、日本における先端的な多文化社会の一つでもありますので、その蓄積を生かして有意義な事業を実施できる環境だと思います。

 

江東区における日本語教育モデル事業(案)

 ・ 区内在住外国人児童の実態、教育ニーズの統計的把握
  ・日本語コミュニケーション力到達度評価の手法開発・実施
 ・ 「言語保障から学力保証へ」、JSLJapanese as Second Language)教育プログラムの開発と実施
 ・ 日本語クラブの全区小中学校への段階的拡充
 ・ 専門人材(日本語教育、教育心理学等)の育成と活用
 ・ 地域に存在する多様な言語スキルを活かした、外国人児童や家族へのサポート

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