不動産業界は肉食8割、草食2割

こんばんは、Manachanです。いつもご愛読ありがとうございます。

私は、IT業界でサラリーマン・エンジニアを19年やった後、脱サラして全く異業種の不動産業界で独立し、5年の歳月を過ごしております。また、本業とは別に、個人投資家として15年ほど前から、世界各国の不動産に投資してきています。

今回のブログは、「個人投資家&IT業界出身者」の目からみた「不動産業界」の姿について、思うところを書いてみますね。

 

私が「不動産2-8(または8-2)の法則」と呼んでいるものがこれです。

不動産業界は、客の利益より自分の利益のために動く業者が大多数を占める。

まず客に儲けさせてリピーターを獲得する、長期利益志向の会社(草食系タイプ)は、業界全体の約2割。

客に儲けさせるより前に自分が儲けることを優先する、短期志向の会社(肉食系タイプ)は、業界全体の約8割。

※肉食系は別名、「初心者イーター系」(Eater→食い物にする)と呼ばれることもあります。

 

草食系と肉食系、分かりやすい例として、「賃貸アパートの家賃保証(サブリース)物件」を取り上げてみますね。

草食系業者が扱う家賃保証物件は主に、「売値に余分な利益を乗せず、賃貸収益のなかから売主に利回りを返す」物件です。

一方、肉食系業者が扱う家賃保証物件は主に、「売値に余分な利益を乗せて売り、上乗せ分を保障家賃の原資としている物件です。 」

 

なぜそうなるのか?それは、草食系と肉食系のビジネスモデルの違いに起因します。

肉食系業者は、「建て売り」または「売買仲介」で利益を取るモデル。つまり、客が購入する時点で利益確定できてしまいますから、売った後、客がどうなるかは関知しません。物件売るために、賃料相場の数字を人為的に操作することも頻繁にやります。

一方、草食系業者は、「物件管理」や「賃貸仲介」で利益を取るモデル。売った後も、自社で責任持って管理するので、売りっぱなしではないし、賃料相場の数字を人為的に操作して売ると後で自分が痛い目に遭うので基本的にやりません。

 

私自身を含め、不動産投資の基本知識ある投資家が、賃貸経営のパートナーとして選ぶのは通常、「草食系業者」です。

一方、「肉食系業者」は、我々経験者ではなく、投資リテラシーの低い初心者向けにアパート等の商品を販売し、「売り逃げ」することが通例です。彼らが好む顧客層とは、「地主」や「高給エリートサラリーマン」、「開業医」など、資産背景や社会的が高く、かつ不動産投資に素人な人々です。そして、販売チームには必ず、「アパート融資に積極的な金融機関」が加わります。

 

「地域の賃貸需要と賃料相場」、「想定空室率と家賃下落率」、「返済比率」、「修繕計画と想定コスト」などを聞かれても明確に回答できない不動産投資初心者にとって、肉食系と草食系を見分けるのは至難の業。なぜなら、肉食系業者は「サブリース契約」という、一見、草食系と同じプログラムを準備しているからです。

経験者なら、普通分かります。肉食系業者の出してくる「サブリース」なるものが、所詮、「新築アパート売るための方便」であり、「今後十年、二十年にわたって持続可能なものでないこと」を…でも、初心者はそこまで見抜けないのです。

 

たとえ、肉食系業者の説明した賃料水準が妥当なものであっても、建てて売ることで儲けている彼らは、地域の賃貸需要を無視して、同じエリアにガンガン、アパートを建ててしまい、後は野となれ山となれ~となってしまう。

うちの実家近く(千葉県の柏駅から約4㎞郊外)なんて、田畑の多い田舎で大した賃貸需要あるとは思えないのに、大〇、〇建、レ△パの農転&安普請アパートが量産されて凄いことになってます。社会的に必要とは思えない賃貸住宅が乱立する風景は、栃木県や三重県に行っても、沖縄本島に行っても、日本中、ありふれた風景になっています。

 

で、肉食系各社がたくさん建てまくった末路が、これです。

1)物件を多数、市場に供給すると入居率が下がる。
         ↓
2)家賃からサブリース賃料を捻出できなくなると、新築たくさん売って、デべ利益をサブリース賃料に充当せざるを得ない。

3)でも、入居率が下がると、銀行も融資を引き締める。

4)融資が閉まると、新築買える人が減り、デべ利益さえ出せなくなる。

 

いま、世間でも話題になってる、「レオパくん問題」(ガイアの夜明け、2017/12/26放送)

 

そして、シェアハウス「かぼちゃの馬車」で知られるスマートデイズ大地代表も、「ガイアの夜明け」放送の3日後に退任が決まっています。

 

2018年は、オーナー訴訟の嵐になるのかもしれませんね。

 

サブリースはオワコンか…と思いきや、これしきでくじける「肉食」陣営ではありません。彼らは次々と、悪知恵を働かせて新機軸を考え出します。ある意味感心しますが、

これなんか凄い話だよな。

ハウスメーカーを受託者にする商事信託スキーム

・オーナーは土地建物の登記上の所有者でなくなる。でも税法上の所有者ではあるので所得税、相続譲与税はガッツリかかる。

・銀行口座名義も信託会社の名義なので、オーナーの自由にならない。

・受託側はグループ会社で建築、サブリース、管理、仲介、リフォーム、信託報酬等、あらゆる所で利益を得られる。オーナーからみれば「蟻地獄」スキーム。

 

大手各社がこれに手を染めると、2019年には早くも、「サブリース」のみならず「信託スキーム」も世間からブラック認定されてしまう予感がしますねえ。こんなもん、早く淘汰されて欲しいです。

ま、肉食系会社の餌食になるのは、たいてい土地持ちとか、高収入得ているエリートサラリーマンでしょうし、方や肉食系会社の社員・関係者は世間的に高収入の部類ではないでしょうから、日本社会全体でみれば、アパート業界を通じて「持てる者から持たざる者(?)への富の再配分」をしてるのかもしれません。でも、彼らに乗せられた結果、財産を失ってしまった個人や家族からみればたまったもんじゃないよね。

 

投資は自己責任。肉食系業者が手を換え品を換え、初心者を食い物にしようとするのも「投資リテラシー不足」から来ているわけです。このブログを読んで、一人でも多くの方が知識・リテラシーを身につけ、不動産業界から悪貨を駆逐して欲しいと願ってやみません。

遠い将来のことになるでしょうが、日本の不動産業界が「草食系勢力8割、肉食系勢力2割」になったら、今と比べれば素晴らしいと思います。

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