東南アジア不動産の放置プレイ問題に思う

こんにちはManachanです。今回は海外不動産、特に「東南アジアのプレビルド(青田買い)物件」に関して、かなり辛口の意見を書きます。

先日、マレーシアの不動産で困ってる友人(物件オーナー)の相談に乗りました。マレーシア、タイ、フィリピン、カンボジア…東南アジア不動産購入後の問題で私が相談に乗った回数はすでに1ダースを超えました。

私を頼ってきた十数名の相談者が困惑し、憤っているポイントは、ほぼ共通しています。

『まだ完成前なのに、販売業者がろくにサポートしてくれない!』

なぜ満足なサポートが受けられないのか?これは、「プレビルド物件販売」という商売の構造的な問題と関わっています。プレビルド(Pre build)とは、東南アジアなど新興国に多い不動産販売の形態で、まだ更地の(多くは建築許可も取れてない)段階で、数年後の完成・引き渡しを条件に、現地デベロッパーが客に「青田売り」する物件を指します。

プレビルド自体は新興国だけでなく、イギリス、カナダ、オーストラリアといった先進国にもあります(こちらはOff the planと呼ばれます)が、先進国での販売時期は通常、完成1~2年前であるのに対し、東南アジア等では完成3~5年前という早期から売り出されることが多いです。なぜなら、

・東南アジア新興国の金利水準は概して高い(調達金利10%/年以上も多い)。

・現地デベロッパーの工程管理スキルが乏しく、許認可面でも不透明さが多いため、工期が予定より半年~2年ほど遅れるのが当たり前。

・デベロッパーとしては、工期遅れで有利子負債を抱えるよりは、完成前のできるだけ早い段階で客に売って、資金回収したい。

・その販売インセンティブとして、完成前の段階で販売価格を徐々に値上げして、「早く買った方が得する」状態をつくって売る。

例えばの話、4年後の完成時に1000万フィリピン・ペソ(約2200万円)で売値を設定する物件なら、完成4年前に750万ペソ、3年半前に800万ペソ、3年前に850万ペソ…みたいに、徐々に売値を上げていくのです。

通常、この手の物件を一番早いタイミングで安く買えるのは、「デベロッパーの関係者・縁故者」。彼らは完成前に転売して利ざやを抜きます。次に地元のエージェントが扱う。時が経ち、販売ペースが鈍ってきたな~と思った頃に、日本人を含む外国の販売会社に声がかかります。日本の販売会社は、その値段に3%とかのサポート料を乗せて、日本でセミナーやって客に売るのです。

時系列でいうと、だいたい、こんな感じになります。

2013年  デベロッパーが現地国で販売開始。

2014年  日本の販売会社が日本でセミナーやって客に売り、サポート料を回収。

2017年  物件完成・引き渡し

ここで問題は、「販売会社の利益確定(サポート料回収)」と、「物件引き渡し」との間に、3年ものタイムラグがあることです。

販売会社からすれば、2014年の時点でサポート料を回収しちゃえば、とりあえず「一丁あがり、次の客に売ろうぜ」モードになる。その後、2015年、16年、17年と、忘れた頃に客から質問やリクエストが来ても、すでにお金を回収しているからやる気にならないし、売った責任上、時間かけて真面目に対応したところで、経営視点からはどうしても「金食い虫」に見えてしまう。

でも客の立場からすれば、2014年時点では「購入の権利を得る」だけの話で、不動産のかたちになるのは2017年。それに先立ち、不動産登記やら保険加入やら鍵受け渡しやら、いろんなメールや郵送物が英語で来るので、ここで、販売業者にしっかりサポートしてほしいわけですが、

すでにその時点で、販売業者はサポート業務を他社にアウトソースしたり、もっと儲かる国に「国替え」してたり、酷い場合は転業・廃業してたりするわけで、買った客が期待するようなサポートができなくなっている…

その結果、東南アジア各国で、満足なサポートを受けられず、放置プレイされた大量の完成物件が出る。オーナーは困惑し、私みたいな人間に助けを求めてくるのです。

私の意見…問題の本質は、「販売業者の利益確定タイミング」と「客がサポートを必要とするタイミング」が何年もずれていることにある。そのタイミングを一致させる方法を考えないと、業者と客がWin-Winの関係にならないし、海外不動産の評判も悪いままでマーケットが広がらない。

そこで、私は下記を提唱します。たとえば、今から3年後の2020年に完成予定の東南アジアのプレビルド物件を売る場合、

・2017年の販売時(売買契約サイン時)に、業者がサポート料の50%を回収

・2020年の引き渡し時に、業者がサポート料の50%を回収

こうすれば、売り側買い側、お互いにとってフェアだと思いますし、販売業者も長期的視点に立って客にサービスする経営姿勢になるでしょう。また、業者が引き渡し前にしっかりサポートして客の心をつかめば、人情として「次の物件買いたい」となるので、海外不動産のマーケットが健全に発展することにもつながると思います。いかがでしょう?

そもそも、「完成の数年前にサポート料とって後は知らん」みたいな業者は、不動産の仕事しているとは到底言えない。そんな業者が自然に淘汰されるような、真っ当な海外不動産マーケットをつくりたいです。

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コメント

  1. 石川 より:

    その通りですね。

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