「アベノ開国エコノミー」人口減に挑む

こんばんは、Manachanです。いつもご愛読ありがとうございます。今回は、「日本の将来人口と安倍政権の政策」という、大きなテーマでブログ書きます。

2012年末以来、安倍晋三首相率いる内閣は、計4回の改造を経たとはいえ、戦後まれにみる長期政権となりました。スキャンダル等で支持率を落とす局面はありましたが、客観的にみて諸外国に比べれば安定した政権といえるでしょう。

 

彼の名を冠した経済回復策「アベノミクス」。登場4年半を経ましたが、よく言って、まだ道半ばの感があります。在任中に消費税増税という不利なイベントがあったとはいえ、経済成長率とかインフレ率といった指標をみれば、目標数値をなかなか達成できません。でもフェアにみて、20年もの長きにわたって経済不振に悩み、かつ世界に例をみない急速な少子高齢化と人口減少に悩む国ですので、どの指導者が何をやっても、成果が出るまでに相当時間がかかると思います。

なお、近未来の経済成長につながりそうな、構造変化的な兆しはいくつか出ています。「失業率低下(=ほぼ完全雇用)」と「有効求人倍率の高止まり(=かなり深刻な人手不足)」は、労働者の賃金上昇や正社員増加を想起させます。自殺数もなぜか劇的に減っています。また、日本を訪れる観光客は爆発的に増え、アジア有数の観光立国に変貌を遂げつつあります。

そして何より、「日本の総人口が、当初予想されたより減っていない」ことが、経済を下支えしている面は大きいとと思います。

 

安倍首相が、ガチガチの国粋主義者というイメージを抱く人は相当数居るでしょう。一部マスコミがそう喧伝してますし、また憲法改正をめぐる彼の言動が、国粋主義を連想させる面もあるでしょう。でも、経済政策の面でいえば、国粋主義のイメージとは全く逆です。統計数字を解析する限り、私は、次のように理解しています。

 

・近年の歴代政権のなかで、今の安倍政権ほど、外国人の入国・定住に対して開放的な政権は例を見ない。

・今の政権は、たぶん日本の歴史上初めて、外国人を日本に呼び込んで、経済発展につなげる開国政策に舵をきった政権として、後世に記憶されると思う。

 

統計数字でみてみましょう。安倍政権が発足したのが2012年末。その翌年から、「海外からの日本の人口純流入」がいきなり「プラス」に転じて、今日まで拡大を続けています。前任の民主党政権(菅・野田首相)と比べると一目瞭然。

民主党(菅・野田)政権下
2011年マイナス78,984人、2012年マイナス78,885人

自民党(安倍)政権下
2013年プラス14,378人、2014年プラス38,686人、2015年プラス94,438人、2016年プラス133,892人

 

外国人の純流入が増えた結果、どうなったか?日本総人口の年間減少数が、民主党政権下では「20万人台」だったのが、安倍政権になってから「10万人台」に緩和されているのです特に2016年は、外国人流入が日本人減少の約半分を補った計算になります。

民主党(菅・野田)政権下
2011年マイナス233,119人、2012年マイナス241,476人

自民党(安倍)政権下
2013年マイナス178,769人、2014年イナス176,605人、2015年マイナス142,405人、2016年マイナス161,973人

 

安倍政権下で、短期の観光以外の在住資格を得て来日した外国人数は急増しています。政権発足当時と2016年を比べると「3年間で約16%増」。2016年の動態を一言でいうと、「323万人が入国、309万人が出国して、差し引き14万人が日本国内に新たに定住した」ことになります。

民主党(菅・野田)政権下
2011年2,764,665人、2012年2,835,515人

自民党(安倍)政権下
2013年2,782,006人、2014年2,874,802人、2015年2,985,346人、2016年3,227,596人

在日外国人の存在は、急速に高齢化する日本の人口構成を、少しだけ若返らせています。日本人の平均年齢46歳に対し、在日外国人は20代と30代が圧倒的に多いのです。性別でみると女性の方が多く、出産適齢でもあるので、結果的に日本生まれの外国籍者を増やしています。あと高齢者の割合が少ないため、外国籍の出生数は死亡数の2倍以上になります。

2016年の数字が象徴的ですが、この年は、「日本人の出生数が100万人を割った」ことがニュースになりました。でも数字をよく見ると、日本人の出生数は987,747人、外国人が日本で出生した数16,321人を合わせると1,004,068人。在住外国人のおかげで出生100万人を辛うじてキープしたことになります。

なお2016年は、「外国人が日本に定住しているだけで、年間1万人が自然に増える」時代の幕開けになりました。外国籍者は日本で1万6千人生まれ、6千人死ぬから、差し引きプラス1万人です。安倍政権になってから、外国人の日本での出生数はさらに加速しています。

民主党(菅・野田)政権下
2011年11,702人、2012年12,714人

自民党(安倍)政権下
2013年13,245人、2014年14,376人、2015年14,638人、2016年16,321人

 

ここで閑話休題。ここ数年、来日する外国人観光客が爆発的に増えて、東京大阪のホテル不足や民泊ブーム、爆買い景気などを引き起こしましたが、これも今の安倍政権下で起こった現象といえます。訪日外客数データを、長期スパンでみると一目瞭然

自民党(小泉・安倍・福田・麻生)政権下
2001年477万人、2002年524万人、2003年521万人、2004年614万人、2005年673万人、2006年733万人、2007年835万人、2008年835万人、2009年679万人

民主党(鳩山・菅・野田)政権下
2010年861万人、2011年622万人、2012年836万人

自民党(安倍)政権下
2013年1036万人、2014年1341万人、2015年1974万人、2016年2404万人

 

安倍政権の4年間で、観光立国戦略で先行した韓国を一気にゴボウ抜きしたのは記憶に新しいですね。なお、2017年は北朝鮮の不穏な情勢を受けて韓国への観光客が激減した一方、日本へのインバウンド観光は好調なので、日韓間はダブルスコアの差がつきました。日本はすでに中国、タイに次ぐ、アジア第三位の観光立国と言ってよいでしょう。

 

ところで、読者の皆様は2014年5月に、こんなニュースが出たのを覚えておられますでしょうか?

 

人口、50年後に1億人維持 政府が少子化対応で初目標

 

このまま日本の人口が減るに任せていると、2060年時点の推計で8674万人まで人口が激減し、国際的な地位や国民生活の水準が低下し、財政破綻を招くと懸念されるため、政府が2020年までに少子化対策を集中的に進め、同年の人口を1億人以上(10545万人)に維持するという、極めて野心的な内容でした。

詳細な内容については、紙幅の関係で割愛しますが、統計数字を分析した私が思ったことは、

 

・安倍首相は、マジ本気で、日本の人口減と経済衰退に歯止めをかけたいと考えており、その一環として「在留審査緩和による外国人受け入れ」を、事実上の国策として推進していると思われる。

・もちろん、少子化対策の本命は現役子育て世代への政策的支援による出生率向上だが、その効果が出るには時間がかかる。政権執行部は、私がブログで分析した数字等は百も承知で、「日本社会が許容する範囲で、外国人をどう受け入れるか?」を、極めて現実的に考えているはず。

・一時的な落としどころは、おそらく、「日本人の自然減の半分を外国人の受け入れで補う」あたりかと…そうすれば、目に見える出生率改善が起こらなくても、2060年に人口1億人以上は維持できる計算になる

・その目算がついたからこそ、安倍首相は2014年の時点で、「人口1億人キープ宣言」をした可能性があると思う。実際、彼は宣言後2年で、「日本人自然減の半数を外国人流入で補う」状態を実現している。

 

なお、「事実上の移民受け入れをするなら、まず、日本国民にその是非を諮って欲しい。議論を深めて欲しい」という意見もあるかと思います。私は欧米の社会で長年暮らしてきたので、特にそう願っています。でも、日本の政治社会の現実を考えるに、多分それは無理な相談なのだと思います。

 

・日本社会は、指導者が理想の将来像を打ち出して、国民各層がその実現に向かって進んでいくというかたちでは動かない。

・善悪や、あるべき論ではなく、いま日本に暮らしている人々の気分や情緒で物事が決まる社会。だから、国民が移民受け入れの気分にならないうちに、首相がそれを打ち出したところで、政治的に墓穴を掘る結果にしかならない。安倍首相の立場からすれば、政敵に攻撃の口実をつくるリスクにしかみえない。

・だから、物事を表面化するよりは、「ビザ運用緩和による外国人定住促進」という、国民に見えにくい場所で人口を維持する努力をしていると考えられる。

 

私自身は、日本の経済や国民の生活水準、国際的地位や安全保障、財政の観点から考えて、日本の人口水準はできるだけ維持すべきと考えます。なぜなら、人口が減る、急速な高齢化が進むと、誰もが考えている社会で、積極的な設備投資やイノベーションは起こらないし、将来不安から消費マインドも委縮して、後はもう沈むだけになってしまうからです。日本はこんなに素敵な国なのに、子供たちに仕事も夢もない経済衰退国家を残したくありません。我々現役世代が、日本衰退を運命だと諦めず、それに極力抗うべく、果敢にチャレンジすべきだと思います。

その観点から私は、現実的な手段を駆使して人口の維持に努める安倍政権「アベノ開国エコノミー」を評価します。そして何より、我々国民は安倍自民党を選挙で選んでるわけですから、好き嫌いや評価はどうあれ、現政権が何を目指して行動しているかを、正しく理解すべきだと思います。

 

【関連ブログ記事】

外国人受け入れと首都圏再集中の構図(2017/5/5)

実はあまり減らなかった日本の人口(2017/1/4)

 

【参考資料】(※誰もがアクセスできる、簡単な統計だけを使って分析しました。)

総務省統計局、人口推計

日本政府観光局、訪日外客数統計

韓国観光協会、Korea, Monthly Statistics of Tourism

Share on Facebook

SNSでもご購読できます。

コメント

  1. 土屋昭彦 より:

    勉強になります、ありがとうございます。

コメントを残す

*