二地域居住から民泊の時代へ…

こんばんは、Manachanです。

今は世界中どこへ行っても、「民泊」最盛期の時代ですね。AirBnB、途家、Booking.comなどポータルサイトを使って、民間住宅を貸したり借りたり、あるいは保有物件を短期貸しして高収益を上げたり…インターネット・スマホ普及のおかげで簡単にできる時代になりました。私も、海外にあるいくつかの物件を「民泊」運営したり、海外出張で「民泊」に泊まってみたりと、便利に使わせていただいてます。

ところで、民泊が普及する少し前の時代、「二地域居住」という言葉があったのを、覚えておられますか?多くの場合、都会の住人(多くは裕福なシニア層)が、地方の風光明媚な場所にセカンドハウスを持ち、「都会と田舎の二地域に住もう」という文脈で使われていた言葉です。たとえば、

 

・平日は東京の自宅で、週末は八ヶ岳の別荘で過ごす、みたいな「週末居住」パターン
・夏の間は北海道の大自然に囲まれた別荘で、雪が降る頃には東京の自宅で過ごす、みたいな「季節居住」パターン

 

2000年代まで、信州や伊豆、北海道などリゾート価値がある場所で、地元の人に余り売れないマンションや戸建分譲地を買い取って、東京のシニア層向けに別荘として売る商売が流行った時期があります。何を隠そう、実は私も、そういう物件を買っちゃったひとりです。

民泊を知る前の私は、二地域居住に憧れがありました。以前、オーストラリア・シドニーに住んでいた頃、身近な友人でセカンドハウスを持つ者が結構多かったのです。

近所に住む友人は、普段はシドニーで会社勤め、金曜日の仕事が終わると、ピックアップトラックに乗って一路南へ6時間、ヴィクトリア州との境にあるオルバリー(Albury)の別宅に行って、週末そこで過ごして、月曜日の仕事が始まるまでにシドニーに戻る…みたいな生活を続けていました。会社勤めを卒業したら、シドニーの家を賃貸に出してオルバリーに移住するんだと、楽しそうに語っていました。

シドニー住人の間で、セカンドハウスとして人気の場所は、車で3~4時間ほど離れた海岸沿いに多く、北のPort MacquarieやCoffs Harbour、南のKiamaやBatemans Bayには、シドニーやキャンベラに自宅を持つ者の別宅が数多く存在します。シドニーで海岸沿いの家は高くて買えませんが、別荘エリアなら平均的なサラリーマンでもなんとか手が出る価格で、海に近い土地付き住宅を買って住めることもあり、特に裕福な人やシニアでなくても、多くの人が「豪州版・二地域居住」を実践していました。

楽しそうな彼らをみて、「俺だって、いつかは、セカンドハウスを持つ!」という思いが、わが胸に去来したのは言うまでもありません。

 

でもって、2007年、日本にUターン帰国して東京で働くようになり、3年後の2010年、北海道千歳市にセカンドハウスを買ってしまいました。近い将来、季節に応じて住まいが選べるような身分になったら、夏は涼しい北海道を満喫したり、冬場にスキー・スノボを楽しむ拠点としたり、いわゆる「東京と北海道、二地域居住」をやってみたいと思ったからです(ブログ記事「輝く北の大地」2014/1/26)。

広々とした北海道、でっかい空、雲がごんごんと過ぎていく…過密都市・東京に住んでると、こういう風景には、やはり憧れますよねえ。

 

とはいえ、せっかく買ったセカンドハウスには、1週間ほどしか住んでおりません。普段、東京に住んでて仕事が忙しいし、サラリーマンやめて自営になっても世界中いろんな場所に行く仕事ゆえ、北海道に行く時間がなかなか取れないし…

結局、この家は地元勤めの方に貸しております。ま、安い値段で買ったし管理費も1万円以下なので、投資物件として一応成り立っています。入居者さんが退去したら自分で時々使おうかなあと思ってましたが、でも今は考えが変わりました。すでに民泊の世界を知ってしまった私、北海道で必ずしも自分の物件に住まなくても、好きな時に好きな宿に泊まればいいじゃん、という考え方になったのです。

よく考えれば、二地域居住という考え方は、「セカンドハウスのオーナーになる」ことで、「管理費や公租公課を払い、家のメンテナンスに責任を持つ」ことも要求されますから、私みたいなノマド人間には少し荷が重すぎるのかもしれません。民泊みたいに、誰かの家にスマホひとつで予約入れて、好きなだけ泊まる…みたいなスタイルの方がずっと気楽ですので。

 

二地域居住の負の側面が出ているのが、「リゾート地の二束三文マンション」かもしれません。特に新潟県湯沢町には、バブル時代のスキーブームで58棟、約1万5千室のリゾマンが建設され、その数、全国の約2割を占めるという超リゾマン銀座。でも今やスキー人口は激減し、バブル当時2000万円以上で分譲されたリゾマンが、今や10万とか30万みたいな激安価格で叩き売られてます。

画像見にくいですが、湯沢町苗場にある2DK47平米、10万円で売られてます。売値の坪単価6000円って何それ!(賃貸月額の坪単価みたいだ…)

 

こんなボロ安い値段で叩き売られるのは、地元に実需がない上に、リゾート仕様ゆえ管理費が高く(月額3万円程度)、投資物件としても成り立たないという事情があります。とはいえ最近では、東京でリタイアした高齢者が、余りに安い売値と大浴場に惹かれて、月額3万の管理費払っても定住する人が増えているようです。湯沢町によると、2016年4月時点の町民8144人のうち、1008人(約12%)がリゾマンに住民票を置いているとか…

とはいえ、湯沢町内で供給された15000室の全てに定住者が住んでくれるわけでもないので、全体としては状況厳しく、大部分が価値を持たない「負動産」になっちゃってるんだろうな。

 

私思うのですが、せっかく民泊の時代になったんだから、こういうリゾマンをオーナーとして区分所有するよりは、季節居住者や観光客に短期貸しする「民泊」として運用した方が、たぶん高い収益を上げられると思うし、不動産としての価値も出てくるんじゃないかな。

ふと、AirBnBで「湯沢、苗場」近辺の宿を検索してみると、リゾマンの部屋が結構な数、登録されてました。「湯沢と民泊の相性の良さ」に気づいてる人は、すでに商売にしているようです。

 

 

そう考えると、インターネット・スマホの普及が可能にした「民泊の時代」は、二地域居住やセカンドハウスに、新たな利用価値を与えたのだといえそうです。

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