こんばんはManachanです。5日間にわたる香港、タイ、カンボジア出張を終え、日本への帰途につくところ。いまマレーシア、クアラルンプールで乗り継ぎ中。
私はアジア、欧州、北米、大洋州…世界中の不動産物件を視察、研究して回る泥臭い仕事をしてますが、どの国、どの都市であっても、不動産の基本はそう変わるものではありません。
不動産とは土地、住居、或いは店舗、オフィス、倉庫といった、人間の暮らしや経済活動の舞台となる「モノ」ですので、それが誰かに使われる限り、経済的価値を持ちます。
不動産には、それを保有、運営することで現金を得たり、富を殖やす効果があります。不動産を得るには当然対価が必要で、私たち投資家は経験的に、「不動産投資の成功失敗は8割以上、入り口で決まる」ことを良く知っています。つまり、
-不動産が本来持つ価値より安く買えれば、まず失敗はしない。
-割高な価格で買ってしまうと、挽回するのが難しい。
分かりやすい話でいうと、日本国内の「新築ワンルーム投資」でお金持ちになった人を私は知りません。特に信販ローン組んで業者の言い値で買っちゃった人の場合、多くは保有時のキャッシュフローもトントンかマイナス、売りに出した時の価格は大きなマイナス。資産形成どころか富を毀損する結果にしかなりません。
それは、新築ワンルームの販売価格に業者利益がたっぷり乗って、物件が本来持つ価値よりずっと割高なものを買ってしまったからです。資産形成だと思って投じたお金が「ワンルーム業者や金融機関の養分」になるだけで、決して自分のお金にはならないのです。
これまで日本で売られてきた海外不動産物件にも、少なからず、それと似た構図があります。特に東南アジア新興国のプレビルド(予約販売)物件に典型的ですが、
-完成したらすぐ、いくらで貸せますよ
-値上がりしてすぐ売れますよ
-年間いくら上がりますよ
そんな業者トークを信じて物件買って、数年後、「こんなはずじゃなかった」と後悔する人は多い。手放したくても損切りしないと売れない。その時初めて、現地相場より割高な価格で買ってしまったことを悟るのです。
なぜ、セールスマンは売る時に現実のマーケットとかけ離れた煽りトークをしてしまうのか?
たぶん、悪気はないです。「物件所在国のマーケット未成熟」に、「不動産業者としての知識スキル不足」が重なると、どうしても煽りトークになっちゃうのです。典型的な例は、
– 東南アジア、特に後発の新興国では、不動産の相場そのものがあやふやな形でしか存在せず、売値も賃料も「言い値」で決まる面がある。
– そういう国では、建築原価の3〜4倍もの業者利益を上乗せして販売するデベロッパーが少なからずいる(その価格で買っちゃうと最初から投資物件として成り立たない)。
– また、現地デベロッパーの担当者は、想定賃料を聞かれるとものすごく強気な数字を言う傾向にある(そもそも、彼らに賃貸管理の経験がないので、数字に根拠も妥当性もない)。
– 上記のような物件を日本向けに売る業者も、自らの不動産経験が浅いと、「本来の価値より割高なので投資物件として成り立たない」構図を見抜けない。
そういう状況が重なってしまうと、誰にも悪気がないのに、「客に対して結果的に嘘をついてしまう」ことになってしまいがち。だから海外物件を買うにあたって、業者トークを鵜呑みにするのは危険。むしろ、上記の構図に気づいた上で情報収集、判断する必要があると思います。
ちょうどタイムリーなインタビュー記事があったので、引用します。
(Interviewer)海外不動産で、信頼できるエージェントの見極め方は何かありますか?
(Manachan)不動産の十分な知識があるかどうかを含めて、やりとりしながら見極めていくしかないですね。海外不動産を扱う日本人エージェントは、不動産歴がないか、参入して間もない方が多いように思います。
やっぱり「餅は餅屋」。私は15年ぐらい不動産買ったり売ったりしてきたので、まだ業歴1~2年ぐらいの方に知識がないのは、やり取りしてすぐ分かります。
「キャリアがない」ことの何が問題かというと、要は不動産が値上がったり値下がったり、家賃が取れたり取れなかったり、いろんな問題があったり、そういう諸々が判明するのは買ってから長い時間がかかりますよね。
日本の不動産マーケットでいえば2004〜07年にミニバブルがあり、2008〜09年リーマン・ショック余波でドーンと下がって、2012年以降アベノミクスで上がってます。そういう1つのサイクルを経験するのに10年ぐらいはかかる。私はそういう浮き沈みを一通り体験したけど、業界キャリアや投資歴の少ない人って、その経験がないんですよ。
たとえばベトナムの物件売っているエージェントの中には、ベトナムがいま値上がってる事しか知らない者がいます。「これから値が崩れたらどうなる?その時どうすればいい?」みたいな事を想像したことがないのです。
その意味で、エージェントが信頼できるかどうかは、結局パーソナリティとスキルの問題に帰着しますね。その2つの判断軸で見ていくのが良いでしょう。
(Interviewer)スキルの部分でいうと、10年以上の不動産業界歴が目安でしょうか。
(Manachan)必須ではないけど、業歴10年あれば望ましいですね。実際、日本の不動産業界でプロとして仕事やってきた方ほど、いろんな意味で「分かってる」って思うんですよ。たとえばお客様に説明する時に、彼らは「これ値上がりますよ」とか「絶対大丈夫ですよ」って“言えない”んです。いろいろ見ちゃってるから。
むしろ、「この物件にはこういう良い面と、こういう悪い面があって、その悪い面はどこがリスクで、何が起こったらそのリスクに対処する必要があります。あとはお客様のご判断です」みたいな言い方になるんです。投資家として、そういう業者さんとお付き合いしたいですね。
最後に、まとめます。
– 煽りトークは、業者として未熟な証。
– 業者の誠実度は、人格とスキルの両方でみていくべき。
こんにちは、いつも拝読しております。
今回のブログ、
ちょっと気になったのでコメントしました。
新築ワンルームですが、基本的にはおっしゃる通り、業者利益たっぷり乗ってますので、儲けるのは難しいですが、考え方とタイミング次第です。
2000年から2003年ごろには都心、超都心、エリアでワンルーム2000万前後でした。フルローンで当時の金利でも持ち出し無しくらいでした。渋谷、松濤、青山、六本木、西麻布、銀座、赤坂、、、これら全てこのくらいの金額でした。
当時も今と同様にこんなの買うやつどうかしてる、といわれていました。
結果論といわれればそれまでですが、時代の波にどう乗れるかかと思います。
当時のワンルームはサラリーマン、公務員で4ー5部屋、医師の方等はその数倍持つのが普通でした。高い買い物だなんて、みなさんわかって買っています。
スーパーに行けばコーラペットボトル一本100円しないけど、コンビニなら1本160円、わかって買います。そんな感覚です。
購入当時40台半ばの方が多かったです。
昨年来の大相場でこれらは大量に市場で売られました。金額はお分かりかと思います。15年間で儲けた金額とすれば、本業の方からすれば小さな額ですが、サラリーマンで自己資金も使わず、ほぼ労力も使わず、これだけの儲けは大きいですよね。
はい、もちろん、業者利益がたっぷり乗っても、タイミング次第で投資家利益が出ることはありますし、新興国物件でもその構図は同じだと思います。
但し、いま東京で新築ワンルームマンション買っちゃうと将来どうかわかりませんが・・・