こんにちは、Manachanです。常夏のバンコクから真冬の東京に帰ったばかり、高温に慣れきった身体を気温差20〜30℃に順応させるべく苦闘中。しかも家族はインフルエンザ、でも仕事の関係で風邪もひけない。
休めない理由は、今週2本、セミナー講演の予定が入ってるから…仕事の多くは他人に任せられますが、講師だけはさすがに代わりがききませんので(以前、カンボジア不動産セミナーで頼んだ講師が、直前でインフルエンザで倒れ、大急ぎで講演資料切り貼りしてピンチヒッター登壇したことを思い出します…)。
講演といえば…主催会社から講師を頼まれるものと、アジア太平洋大家の会で独自企画するものと両方ありますが、ごく稀に、主催会社と私が大喧嘩して決裂することもあります。つい最近もこんな事件がありました。
その主催会社(A社)は金融投資商品を扱っており、隣接領域である不動産投資界にも顧客層を広げようとしています。そこで彼らが考えたのが、「不動産の世界で人気の講師を呼んでセミナーを開催し、そこに来る参加者を新規顧客にしていく」方式。当然、私にも声がかかり、昨年から何度か講演協力しました。
「セミナーで新規顧客開拓」モデル自体に問題はありませんが、これをやるには、二つの課題をクリアしなければなりません。
1)講師を見つけて、講演をお願いすること
2)集客できる人に、お客を呼んでもらうこと
「講演」と「集客」は、その性質からして全く別物ですので、主催会社が集客を担当し、講師には講演だけを依頼するのが通常の姿。主催会社に集客ノウハウがない場合は、新聞雑誌メディアに掲載するとか、ネット集客会社やアフィリエーター、ブロガーに広告を頼むなど、それなりの費用を払って集客することになります。
しかしA社は、「上記の集客費用を払わず、講師の知名度だけでセミナー集客してしまおう」と考えました。つまり、講師に「講演と集客」の両方をやってもらうわけです。例えば最近、
「セミナー集客数に応じた講師料」体系を打ち出したらしい・・
集客数0~4名 ⇒ 講演料 2万円
集客数5~9名 ⇒ 講演料 3万円
集客数10~29名 ⇒ 講演料 5万円
集客数30~39名 ⇒ 講演料 6万円
集客数40名以上 ⇒ 講演料 7万円
この手法は、私の知る限り、かなり異例です。一見合理的に見えて、個人的には、賢いやり方とは思いません。なぜなら、
・講演の内容はどうでも良くて、とにかく「人がたくさん呼べれば良い」という方向になりがち
・集客ノルマがある分、主催会社から講師に、やれブログで紹介しろFBのトップに載せろだの、矢のような催促になりがち。
・良質な講師ほど、それに嫌気がさして逃げてしまう。
・結果的に、このやり方に馴染むのは、「所謂セミナー屋」と「名前を売りたい無名講師」だけになってしまい、当然、セミナーのクオリティが落ちる。
「客呼べれば講師など誰でも良い」考えの主催会社と、講師の私が、ガチでぶつかったのは、つい2日前のこと。発端はこのメールでした。
A社「今回、弊社で在日中国人向けの不動産投資セミナーを開催したいんですが、鈴木さんのお知り合いで、不動産投資に積極的に取り組んでいらっしゃる中国人の講師の方をご存じでしたら、ご紹介いただけないでしょうか?」
私、これ読んで、私以外の人間がこの役をやるのは難しいと思いました。なぜなら、
1)日本に住んでいて、
2)中国人で
3)日本の不動産投資に積極的に取り組んでいて、
4)人前に出て、中国語で講師ができる人
という、4つの条件を満たす人は、私の交友関係でも滅多に居ないからです。逆に、2)の条件を外せば、私がその役を果たすことができます。そこで、こう返事しました
私「私が中国人向けに中国語でセミナー講演できますけど。台湾、香港、上海、北京、シドニー…何度もやってます」
そしたら、こんな返事が返ってきた。
A社「それは存じあげております。ただ中国人向けの集客ツールが弊社で持っていないものですから、中国人の講師の方のほうが中国人向けに告知いただけるかな、と思っておりまして・・もしいらっしゃったら教えていただければ幸いです。」
私、これ読んで、カチン!ときました。私が中国語で講師できるって言ってるのに、まだ、私以外の人間に頼もうとするからです。ぶっきらぼうな口調で、こう返しました。
私「私、中国人向けの集客もできますけど…」
そしたら、こんな返事が!
某社「では〇月△日のセミナーにも中国人を呼びいただけませんでしょうか?」
私、ここでブチ切れました。勢いで、こんなメールを書いた。
私「結局、御社が何がしたいのか、私がどうお手伝いすれば良いのかが、分かりません。私は中国人向けの講演ができる。中国人向けの集客ノウハウもある。この仕事を、もう何年もやっている。中国人のファンもたくさんいる…それが分かっているのなら、中国人向けのセミナーやるので、鈴木さんのお知恵を借りたい、っていうなら分かるし、喜んで協力しますが、でも最初から、私以外の中国人講師を紹介して欲しい、中国人向け集客ツールがないから私以外が良いと決め打ちで言われるのは正直、不快です。はっきり言って失礼です」
その後もやりとりしましたが、結局、決裂しました。「1.担当者の失礼な発言」、「2.講師を集客手段として利用する姿勢に賛同できない」、「3.私のビジネスや顧客満足につながらない」、3つの理由から、私は御社とはこれ以上仕事できないと宣言しました。
私の怒りが頂点に達したのは、このメール。
A社「ご無理を言うつもりはなかったのですが、我々が企画するセミナーでは鈴木様のご講演料よりも低い金額でご登壇いただいているかたがほとんどで、皆様、集客のご協力を熱心にしていただいていたものですから鈴木様にも同じようにお願いさせていただきまして、大変申し訳ございませんでした。」
私「そういう問題じゃないよ!専門家の講演を、集客のコスト&パフォーマンスで考えること自体が、そもそも間違い。だったら、ネット集客業者にでも頼めばいいじゃん。俺は集客マシンじゃないぞ‼︎あなたとはもう金輪際、やり取りしたくありません。別の担当者を立てて下さい。」
講師として、「人寄せパンダ」の役を期待されるのは、本意ではありません。不動産投資のセミナー講演は、自分の投資体験や人生かけて編み出した手法を人様にさらけ出すことで、余人に真似ができません。良質な講師ほど、その内容に誇りを持っているものです。そこに、「集客数に応じた講演料」という考えはなじまない。要は「客呼べれば、講師は誰でもいい」、つまり、「自分が講演する理由が特にない」ということだから。
私、自分がやる理由のない仕事は、お引き受けしません。いくらお金積まれても、気持ちよくないし、時間の無駄ですから…
あと、セミナーのクオリティを上げたいのであれば、「講師には、講演だけを依頼する」、「集客は講師以外のチャンネルを使う」のが大原則だと思います。