業者主催の新興国数か国同時セミナーに思う…

おはようございます。Manachanです。日曜日ですね。大型台風近づいてますが、とりあえず今日の東京は涼しくて快適。家族水入らずで過ごしてます。

昨日は、東京・大手町「第4回 世界の資産運用フェア」で、カナダ不動産のブースを終日手伝ってました。このイベント、前回は台湾とカナダのブース手伝ったり、パネルディスカッション頼まれたりと、毎回必ず駆り出されてます。

昨日のイベントは出展企業数減った割に来場者数は過去最高だったよう。カナダブースは私含めて3名しかおらず、終日、休む間もないほど多忙でした。来場者の「海外で不動産投資始めたい」真剣度も年々上がっておりますが、購入に際してはできるだけ多くの情報を仕入れて慎重に判断したい人が多く、セールスマンに求められる知識とコンサル能力は上がる一方。仲介業者にとって決してラクな業況ではないと思います。

顧客は慎重、予算も有限、海外不動産の価格も上昇中…ということで、必然的に求められるのが「海外不動産に融資を出す国内金融機関」の存在。特に昨今、「政〇金〇公庫」や「〇リ〇クス銀行」の積極的な融資姿勢は、海外物件を扱う業者にとって神、救世主という他ないでしょう。

 

最近は、東南アジア新興国物件を扱う業者が数社集まって、「日本円融資付き、ASEAN数か国同時セミナー」の開催が流行っているようです。一言でいうと、

・タイ、カンボジア、ベトナム、フィリピン、マレーシア等、ASEAN数か国の不動産物件を同時紹介。
・融資コンサルが登場し、〇策〇融公庫等の海外不動産賃貸事業融資スキームの概要説明。
・個別相談やって、さあ、買いましょう。

…というフォーマットのセミナー。「海外物件売りたい業者」と「優良顧客リストを得たい金融機関」、「低金利の融資受けて海外物件GETしたい客」、三者の思惑から必然的に生まれた、今風のセミナー形式といえましょう。

 

私は、セミナー主催側の人たち、ほぼ全員と知り合いだし、彼らの商売を邪魔する気はありません。まだ未成熟な業界を盛り上げるため、共に手を携えていくべき仲間だと、基本的には思っています。

とはいえ私は、海外不動産で資産を増やしたい「投資家」のスタンスで活動しています。その観点からいうと、売りたい側の視点が反映された「新興国数か国セミナー」からの情報収集は、気を付けるべきだと思います。こういうセミナーに参加するのは良いけど、海外不動産投資に関する、ある程度のリテラシーを身につけてからにした方が望ましい。なぜか?

 

私は、セミナーでこんな話になることを、危惧しています。

1)日本円で、金利2%で融資が引ける
2)東南アジア新興国で、物件を買って賃貸に出せば、8%で回る想定
3)差し引き6%、お金が残るじゃん!

 

ま、1)は良いでしょう。属性が良い、現金たくさん持っている、担保に出せる物件がある…そんな人に、日本の金融機関は喜んで貸すでしょう。

一番の問題は2)です。東南アジア新興国、特にプレビルド(=数年後に完成する物件の予約販売)の場合、業者がいう「8%の利回り」で本当に回るかどうか、精査が必要です。その利回りが実現する可能性もあるでしょうが、一般的に、「いくつかの幸運」が重ならないと、実現できない数字だと私は考えます。「幸運」とはずばり、下記3つのリスクを回避できること…

 

a)「過剰供給リスク」… 完成時に、周辺にマンションがボコボコ経って、過剰供給になったら、目標利回りの実現はまず無理。

b)「入居者層の限定リスク」… 想定する家賃が、現地の一般人に手が出ない価格帯の場合、「外国人」という、極めて狭いマーケットで入居者を見つけなければならない。このマーケットで競争力がなければ、目標利回りの実現はまず無理。

c)「インフラ未整備リスク」… それ以前に、建物が予定通りの期日に建たないかもしれない。よしんば建っても、引き渡しの時点でプール等共用施設がまだ工事中だったり、携帯電話の電波が届かない等、環境的な問題で賃貸に出すのが困難かもしれない。ドアの建て付けや水回りの不具合を直すのに想像以上の時間かかるかもしれない、このうちどれか一つが起こったら、目標利回りの実現はまず無理。

 

私は6年前から東南アジア物件買ってきて、上記を全て経験しました。これらのリスクは新興国に特徴的で、「欧米先進国」では明らかに低いといえます。不動産市場のガバナンスが欧米的なら「a)過剰供給」は起こりにくいし、一般ピープルの所得水準が高いので「b)入居者層の限定」も普通は起こらない。近代インフラが一通り整備済なので「c)インフラ未整備」が起こるとも考えにくい。

だから、「フィリピンやカンボジアで想定7%利回り」と「カナダやオーストラリアで想定7%利回り」とは、表面的な数字は同じでも意味合いは全く違うのです。後者は、かなりの確率で目標通りの収益性が実現されると想定されるに対し、前者は「実現できればラッキー」くらいの意味合いなのです。なお、新興国でも中には、確度の高い利回りが実現できる案件もありますが、それは「特殊な賃貸ニーズ」とか「オンリーワン立地・企画・管理体制」など、特殊な要因があってはじめて実現するものですので、それが何であるのか、見極めが必要です。

3)も問題ですね。日本円でローン返済しなければならない一方、家賃収入は外貨(タイバーツ、ベトナムドン、マレーシアリンギット、フィリピンペソ…よくて米ドル)になる。つまり投資家が為替リスクを負うわけです。現地通貨が円に対して上がればいいけど、その逆に動いた場合、現地からの家賃収入で返済できず、持ち出しになる可能性があります。あと、ハードカレンシーとは言えない東南アジア通貨を、日本円に適宜変換できるかという問題もありますね。米ドル等と違って両替手数料も高く取られますし。

 

海外物件を融資受けて買う場合、一番リスクが低いモデルは、「想定利回りが相当信頼できる先進国の物件を、その国の通貨で融資をひいて買う」ことだと思います。それをやれれば、2)と3)のリスクがほとんどなくなるから…

逆に、「想定利回りの信頼性に劣る新興国の物件を、日本円の融資を受けて買う」リスクは決して小さくない。このことを、海外不動産投資を志す人は、ぜひ覚えるべきだと思います。

ぶっちゃけ言うと、「オーストラリアの収益物件、想定利回り5%、豪ドル融資で利率4%」と、「フィリピンの収益物件、想定(?)利回り7%、日本円融資ひければ利率2%」と両方並べてみて、後者の方が割が良いから買おうと即断してしまう人は、海外不動産の基本的なリテラシーが欠けているのです。

 

以上、新興国系の業者様には厳しいことを言ったかもしれませんが、投資家としては上記を十分理解した上で、「新興国数か国同時セミナー」に参加して、納得できれば買えば良いと思います。経済成長中の新興国には、「今はダメダメでも、時間が解決してくれる」面も多分にありますから、長い目でじっくり取り組めるなら、短期的なリスク承知であえて買うのもアリですね。あるいは、東南アジアが本当に好きで、将来は自分で住みたいとか、多少の損があっても、不動産オーナーとして国と一緒に成長していきたい方は、自分の好みでどんどん買えば良いと思います。

Share on Facebook

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*