ハプニング欲しい、アクシデントいらない

こんばんは、Manachanです。

波乱万丈のベトナムから、一昨日、マレーシアに戻りました。ホーチミンからクアラルンプールまで、わずか2時間足らずのフライト。距離は近いですが、マレーシアはベトナムに比べて近代的に整備されて、しかも国際的。時計が15年くらい進んでいるようにみえます。

今回のブログは、昨日のブログネタ「4・1レンタルバイク盗難事件」を、もう少し深掘りしてみます。

 

旅先では、いろんなことが起こります。予期せぬ出来事は、それはそれで、旅の良い思い出になるものです。そういうものを「ハプニング」と呼びます。

但し、ハプニングが楽しい思い出になるのは、自分がなんとかコントロールできる状況にあればこそです。コントロールきかず、勝手知らぬ環境下、誰かに運命を握られてしまうと、楽しいどころではなくなります、それを「アクシデント」と呼びます。

旅という非日常体験、多くの人は「ハプニング欲しい、アクシデント要らない」と願うことでしょう。ただ、ハプニングとアクシデントの境界線は微妙で、旅人のスキル・経験値によっても変わってきます。

 

私は、長年バックパッカーやってきた男。世界各国でハプニングもアクシデントも、たくさん経験しています。

私がこれまで経験したアクシデントのなかで最悪のものは、「1989年12月、フィリピン・マニラ滞在中にクーデターが起こり、自分の居場所の1㎞先で銃撃戦。結局2週間も足止めを食らい、かつ混乱のなかでパスポートが破損。日本に帰れなくなった」ことですね。あの時は、在マニラの日本人神父さんにお金を借りて、日本大使館でTravel Documentを発行してもらって、命からがら、帰国したものです。

あと、インドでは1989年初にA型肝炎もらったり、2008年に凄い頭痛で救急車で運ばれたこともありました。ああいう、身体がきかない状況になると、自力ではどうにもならないので、確実に「アクシデント」ですね。

 

一昨日体験した、「4月1日エイプリルフール、レンタルバイク盗難事件@ホーチミン」(詳細はこちら)ですが、これ、同じ場所で同じことが起こっても、人によっては「ハプニング」で済み、人によっては「アクシデント」になりうる、典型的な事例だと思います。

この事件、一言でいうと、「海外(マレーシア)への出発を5時間後に控えたタイミングで、パスポートが手元にない状態で、レンタルバイクを盗まれた」、「レンタルバイクを返すか、弁償するか、いずれかをしないと、パスポートが取り戻せない」という状況でした。

 

後知恵になりますが、事件前に、私が犯したミスや改善ポイントはいくつかあります。まず、「バイクを借りる時にパスポートを預けてしまったこと」…他の方法、例えばパスポートのコピーとデポジットの現金だけ預けてバイク借りる方法があるかどうかを、検討することはできたかもしれません(もっとも、自転車じゃなくて比較的高価なオートバイなので、デポジット預けるにしてもかなり高額になっていたはず。ベトナムは保険とか普及してなさそうだし…)。

もう一つは、「夜中11時にバイクを停める際に、ホテルではなく近くのお店の前(路上)に停めてしまったこと」…バイクドロボウの多いホーチミンの事情を考えれば、これは間違いなく軽率な行動であり、弁解の余地ありません。

ですので、次回、ホーチミンでバイク借りるなら、「パスポート預ける以外の方法で借りる」、「面倒臭くても絶対に有料駐車場に停める」ことは心がけますが…でも今回、私の言いたいことは、それじゃありません。

 

SHIT will happen even if I do nothing…. 人間、どんなに気を付けていても、望まない出来事は起こります。世の中、リスクゼロはありえません。

リスクを予見して、備えることは必要ですが、悪いことが起こった時に、いかにリカバリーするか…その知恵や胆力の方がずっと大事だと思います。

 

私、バイクがなくなった時に、本能的に、こう思いました。「これは、アクシデントではない。ハプニングだ」。「ハプニングだから、必ず解決できるはず」、「解決の過程で、面白いことがたくさん起きるはず。それも楽しみ!

 

とはいえ客観的にみて、事件発生時に、問題解決に必要なリソースが、私に決定的に欠けていたことは事実です。事件発生場所は、ベトナム・ホーチミン。私はバイク盗難の際、ベトナムの人々がどのように処理するのか知識が全くないし、ベトナム語も片言しか話せない。身分証明書(パスポート)は手元にないし、しかも5時間後に出発が控えている。時間もない。

何もかも手探りな状態で、まず、何をしようと思ったのか?「何でも良いので、手がかりを探そう」、「まずは動いてみて、事件解決に必要なヒントを探そう」…それが、私の本能が出した答えでした。

 

もちろん、最悪の事態も想定しました。それは、「パスポートを失うこと」。オートバイ弁償するお金なんて、どうってことない。でも、パスポートだけは何とか取り戻さないと、当面ベトナムから出られない。だから、パスポート奪回を、当面の目標に据えました。

たぶんそのためには、警察のお世話にならなければならない。身分証明書もない、現地語もろくに話せない、無力な外国人が何を言っても、現金以外に何も信用してもらえないだろう。でも警察という公権力の力を借りれば、レンタルバイク屋にうまく話してくれるかもしれない。

 

そう思っているところに、現れたのが、バイクで通りすがりのベトナム人男性。彼は少しだけ英語が話せます。彼が信用できる人物かどうか分からないが、少なくとも「日本語で話しかけてくる怪しげな現地人」ではないし、当の本人が、「まず、盗まれたバイクを見つけて、そのあと警察に届けにいこう」というプランを提示してくれたので、それに乗ることにしました。

結果論からいうと、彼の提示したプラン通りに物事は運ばず、結局、1時間半後に手切れ金2000円位渡して別れたわけですが…こんな少額な出費で、「バイクドロボウ市マーケット」なる、むちゃくちゃ面白いもの見せてもらったので感謝しています。

彼と別れた後に、出会った人間がことごとく正解でした。「英語を流暢に話す女性商店主」、「英語話せて仕事ができる若い警察署員」、「宿泊先ホテルの英語コミュニケーター」…運が良かったです。彼らの力を借りつつ、警察に事案を処理してもらった結果、12時頃に無事、バイクが発見され、パスポートも手元に戻すことができたのです。

 

時は前後しますが、10時を過ぎた時点で、13時25分に予約していたマレーシア行きのフライト搭乗は絶望的と判断。それを放棄して夕方16時20分の便を予約する方針に変え、事案解決に必要な「時間」というリソースを得て、心に余裕ができたのも良い判断だったと思います。

これまで、旅先での数々のトラブル経験から身につけたスキルこそが、落ち着いた心で物事をコントロールし、一歩間違えれば「アクシデント」になりかねない出来事を「ハプニング」にとどめたのだと思います。結果的には、「マレーシアへの片道フライト代1万円」+「撤去手数料&手切れ金5000円」、わずか1万5千円の出費で、むちゃ面白い体験ができたので得した気分です。

 

最後に、今回の事件が起こった時、私一人の単独行動で良かったです。この非常事態にビビッてしまう同行者がいたら、ここまで落ち着いて短期解決はできなかったことでしょう。

いや、違う、同行者の資質にもよるのかも…たとえば、一昨年11月、香港国際空港で起こったハプニング。同行者I氏と二人でいた時、モンゴル・ウランバートル行きの便がキャンセルされて、視察が不可能になるかどうかの瀬戸際で、「とりあえず北京に飛び、そこでウランバートル行きの深夜便にキャンセル待ちで乗る」という荒業を考え、北京の空港職員に4400元握らせて見事、翌朝ウランバートル入りに成功したことがありますが、それができたのは、同行者I氏が「なんとかなるさ~」と、楽観的に構える性格だったからですね(ブログ日記はこちら

 

・想定外の事態に対するストレス耐性

・「なんとかなるさ~」という、楽観、自信

 

その二つが揃えば、旅先のトラブルに冷静に対応する基礎体力ができるのだと思います。逆に、想定外ストレスに耐えられず、「万が一のことがあったらどうするんだ?」と血相変えてビビる人や、「何重にも保険をかけて安心を得たい」人の場合は、厳しいですね。健全なリスクを取って行動することを知らない人たちは、本来ハプニングで済むことをアクシデントにしてしまったりするのです。

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