おはようございます。Manachanです。日本帰国後、2日目の朝を迎えています。
昨日、台湾不動産セミナーで講演した後、新宿駅のキオスクで東洋経済の「中国人」特集を買いました。日本で出版される中国・韓国関連の雑誌記事は内容が粗悪なものが多いですが、さすが東洋経済、至極まともな記事が並んでいました。
中国人の性格、行動原理を手っ取り早く知りたいなら、まずこれを買うべし
この雑誌、42~45ページに「中国人を動かす10の行動原理」というコラムがあります。上海在住の人事コンサルタント田中信彦氏の執筆、「典型的中国人」に関する、なかなか正鵠を得た分析が載っています。
その1:リスクヘッジこそが人生だ
その2:好意の先払いがカギ
その3:「自分は他人より優れている」と思わせる
その4:ルールは「力」と一体
その5:「人脈」と「コネ」は「知り合い」とは違う
その6:「おカネの量が行動を規定する」
その7:「トラブル対応は得意。予防は苦手」
その8:発信は2倍に、受信は半分に
その9:自分が「できること」しかやりたがらない
その10:「仕組みに頼らず、人を頼る
私、このコラム読んで、笑っちゃいました。
なんだか、俺のこと言われてるみたいだな…
特に、「中国人」を「私(Manachan)」と言い換えてもしっくりくる部分を引用します。
中国人の生き方の根っこにあるのはリスクヘッジの発想だ。国家や会社は頼りにならない…ひとつの組織や派閥、思想といったものにどっぷりつかると変化に対応しにくいから、中国人は物事を分散させ、集中させないことでリスクを減らそうとする…中国人は自分の人生のハンドルは最後まで自分で握っていないと安心しない人たちなのである。
自分の力を世間に認めてもらいたいという欲求は中国人の生きる原動力であり、モチベーションの源泉みたいなものなのだ。
中国人の発想では、ルールとは「誰かが自分に都合の良いように決めるもの」である・・だから中国人がルールを守るかどうかの判断基準は二つ。一つはそれを守ると自分にメリットがあるか。もう一つは守らなかった場合、どのような不利益があるかだ。
中国は不確実性の高い社会である。何が起きるか分からない。何事も予定どおりには進まない。人々はそういう状況へのストレス耐性ができていて、突発的な状況変化、予期せぬトラブルへの対応は得意とするところだ。一方、緻密な計画を立ててもあまり意味はないと思っている。
中国人は「会社」を信じない。信じるのは自分を雇ってくれた「人」であって、会社ではない…メディアのニュースを信じない。地図や案内板をよく見ない。説明書を読むのが嫌い。それより直接「人」に聞く。
私は中国(大連)で2年間働き、台湾滞在(1年)を含めて中国語圏での生活経験が3年、今でも、不動産ビジネスで中国と日本をつなぐ仕事をしています。
その仕事をするなかで、「日本の社会や組織に本音レベルで馴染めず、違和感を感じる自分」と、「個人レベルでは中国人と極めてウマがあう自分」に気づきます。それも、「自分の気質が中国人に似ているから」ということで説明はつきそう。例えば、日本人ばかりの大手企業サラリーマンは、気質的につとまらんですね。
もっとも、日本社会で嫌われてしまってはビジネスもうまくいかないので、「素の自分が出てもOKな仕事を選ぶ」ことには、十分気を使っています。
日本人と中国人の文化、一見正反対なようでいて、実は似ている部分はかなり多いと思います。特に、
・現世利益重視、人間社会にしか興味がない。
・本音と建前が全く異なり、本音の方を信じる。
・宗教を本気で信じる人は少ないのに、クリスマスにはパーティー、お盆と葬式は仏式…
上記は日中だけでなく、広い意味での「中国文明圏」に属する韓国やベトナムにも共通する側面だと思います。
中国文明自体、「人間を超越する神は存在しない」、「人間こそが全て、人間の知覚できる現世こそが全て」という前提で構築されており、その影響を長年にわたって受け続けてきた韓国、日本、ベトナムも、その意味では「中国文明の子」といえるのかもしれません。
但し、中国と日本の文化が決定的に違う面が、「公」(おおやけ)の存在だと思います。
・中国人の世界には「公」そのものがないが、日本人には「お上」という「公」がある。
・日本人は「お上」に対する信頼感が強く、「お上」が国をうまく治めてくれるという期待をもっている。一方、中国人にとっては「国家」「皇帝」「共産党政権」といえども権力者の私物に過ぎないので、心底信じない。パワーがあれば従う、なくなれば離反するだけ。
・「お上」中心の秩序がうまく回っている間、日本人の集団としての凝集力やパフォーマンスは高いが、逆に個人としての変化対応力に劣る面がある。逆に、中国人は凝集力は弱いが、「公」のない世界で鍛えられている分、個人として変化に対応する能力は優れている。
最後に、中国勤務時代の2005年12月、「中国人とクリスマス」というエッセイで、「中国文明のかたち」を考察したことがあります。興味ある方はぜひ。
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