新興国をまともな不動産市場に…

おはようございます。Manachanです。

一昨日の夜、都内で開催した「マレーシア物件管理&入居付けセミナー」は、近年まれにみる大盛況でした。

「マレーシア」をテーマとするセミナーで、ここまで盛り上がるのは、2012年以来のこと。当時は、ひたすら、「マレーシアのプレビルド(未完成予約販売物件)を売る」セミナーでした。今回は同じマレーシアでも「物件管理&入居付け」という、全く違う切り口のセミナーでした。

3年の歳月が経過し、当時日本人がマレーシアで買ったプレビルドが続々と完成している今、投資家のニーズも「プレビルドを買いたい」から「買った物件の管理を何とかしたい」に変わってきているのだと思います。

後知恵かもしれませんが、私、「日本における海外不動産ブームが東南アジアのプレビルドからはじまったことは、ある種の不幸」だったと考えます。

2011年の東日本大震災をきっかけとして、日本一国だけで資産形成することに対する疑問を、列島に住む多くの人が共有しました。日本のほか、海外でも資産形成をしたい。そのエネルギーの一部が「海外の不動産保有」に向かったわけですが、当時、大きく伸びたのが、「東南アジア新興国のプレビルド販売」でした。

私も当時、投資家のニーズに応えるかたちで、海外不動産紹介セミナーをたくさん企画しました。手持ちの情報量が乏しかったので、販売業者と連携することでノウハウを積んでいったのですが、当時コンタクトできたのは、見渡す限り、「マレーシア」、「タイ」、「フィリピン」のプレビルドを売る業者ばかりでした。

特に2011年から13年の前半にかけては、「マレーシア不動産」がブームで、大きく注目された時代でした。当時は今より、販売価格もずっと安く、かつ円高でした。プレビルドはいろんなリスクがありますが、それでも「この値段で外国の一等地の物件が買えるなら、お買い得じゃん」と思っていました。

しかし、2013年に入ると、「このまま、東南アジアのプレビルドばかり紹介していていいんだろうか?」という疑問が生じてきました。新興国不動産マーケットが余りにも未成熟で、「収益不動産本来のあり方」とかけ離れていると感じたからです。

このままプレビルド売りまくると、完成した後、大変な問題になってしまうと考え、次の文章を発表したのが、2013年2月27日でした。

2016年、ジョホール不動産ショック!

先日、マレーシア物件管理セミナーでご講演いただいた社長さんの言葉を借りると、

・不動産投資とは長期的運用が前提の金融商品であり、“購入”より“運用”の方がはるかに重要で難易度が高い

であるのにもかかわらず、

(完成後の物件・賃貸管理は)はっきり言って殆どの業者が目を背ける課題。

残念ながらそうなのです。その理由は、日本や欧米先進国と違って、東南アジア新興国は新築不動産の「販売」はできても、「物件・賃貸管理」がビジネスとしてほぼ成り立っていない環境だからです。

マレーシアでもタイでもフィリピンでも、新築を建てるデベロッパーはたくさんいて、完成前でもガンガン売る、「一戸売れたらコミッションいくら出す」用意もできています。そのシステムに乗って、日本人のお客を見つければすぐ商売になります。宅建業免許とかも必要ないから、誰でも、少ない元手で始められます。

それに比べて、管理は、儲かりません。東南アジアは、現時点で人々が管理サービスに対してまともに金を払わないマーケット。加えて、手間は想像以上にかかります。

・(日本に比べて)物件仕上がりのレベルは低く、修繕が必要な問題が頻繁に起こる。
・現地の人間を使って対応しようにも、(日本人から見て)まともに働かない
・にもかかわらず日本人顧客の要求レベルは概して高い

そんな状況を私は知っているので、東南アジアのプレビルドを販売した日本の業者の大多数が「管理から目を背ける」のを、責めることはできません。

でも、それを知りつつ、あえて「東南アジアで管理サービス」に乗り出す業者を、私は心から尊敬しますし、彼らこそ投資家の友だと思います

先ほどの社長さんの言葉を借りると、

・困ってる投資家がいる以上は参入する義務がある。
・正しい事をする事が事業の本質であり、マーケットから求められているからこそ収益を産むのである。

私はこのような志ある業者さんと、末永く提携していきたいと思います。

私たち「アジア太平洋大家の会」は、自分たちが「不動産大家」(Home Owner)である、その原点をとても大事にしています。

海外不動産の世界では、「アセット」とか「キャピタル」みたいな名前をつける会社・団体が多数ありますが、私たちはあくまで「大家」であることにこだわりたい。

「大家」だからこそ、「不動産の運用」と、そこから得られる「賃貸収益」を大事にしたい。そこをサポートしてくれる業者さんと良い連携をしていきたいと思っています。

日本の投資家と東南アジア不動産の関係がより幸せでありますように…

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