森を見て、木を見ず…海外不動産編

こんばんは、Manachanです。

私は、不動産投資関係の連載コラムを、月4本書いておりまして、ささやかながら生活費の足しにしております。「お金とって書く文章」を量産している分、文章力に自信はあるのですが、それでも「投資家けーちゃん」こと寺尾さんのコラムは、「分かりやすく、読ませる文章」という意味で、お手本にすべきクオリティ。

最近のHome’s不動産投資コラム「森を見て、木を見ず」も、素晴らしい文章ですね(リンク)。引用します。

>(森を見て、木を見ずの方々は)経済の動向や株価の推移、為替相場の見通しなどの大局的な知識や情報についてとても良く知っています。

そして、難しいお話をされた後で出てくるのは、

「不動産投資は●●●が一段落する数年後にスタートするべきではないかと思います」
「やはり東京23区内。できれば城南地区で購入したいです」
「●●県には将来性がありません」

のような結論です。日経新聞なんかのコラムみたいですね。

確かに、こういう方々は相当数いますね。賃貸経営という、ミクロな世界で勝負する事業に、過剰なほどマクロの視点を持ち込んで、ピントの外れた投資判断をしてしまう人というのは…

けーちゃんは国内不動産投資を念頭に置いて言っておられるでしょうが、私が関わっている海外不動産投資の世界だと、なおさらそうです。

そもそも、海外不動産のセミナーっていうのは、マクロ経済の話から始まります。やれ経済成長率だ、人口ピラミッドだ、国債の格付けアップだ、日本との比較がどうだ云々…そういう景気の良い話を繰り出して、勢いだけで不動産を売ろうとする業者も多いです。

でも、売り物が「紙の資産」ならともかく、「不動産物件」ですから、マクロの話だけで売るのはどう考えても無理あると思うんだけどな。

再度、けーちゃんの文章に戻ります。

>賃貸経営においてはもっと小さいところに目を向けていく必要があります

>国土交通省が発表している「住宅着工数」に注目する時間があったら、持ち物件の近所で新築の計画がないかどうかを気にするべきです。

>森全体の平均値を把握するのではなく、森の木を1本ずつチェックしておいしい果実がついている枝を探すような活動が、個人レベルの不動産投資で成功する方法ではないかと思います

まさに、100%同意。私自身、マクロでみれば値上がりしないといわれている日本国内、しかも地方圏や首都圏郊外の中古マンションで、6回中5回、転売益を上げてきました。

愛知県一宮市、山梨県甲府市、名古屋市、福岡市、千葉県柏市…各地域の賃貸マーケットや家賃相場を研究し、相場より明らかに安く売り出されたタイミングで買い、入居つけて相場通りの値段で売ったからこそ、家賃収入と転売益のダブルゲインを手にできたのです。

これが「東京23区の城南地区」だったら、同じモデルでは投資できません。日本中の人々が良いエリアだと思っている場所、かつ全国の金融機関が喜んで融資つけるエリアでは、市場参加者が多すぎて、相場より安い値段で仕入れるのは至難の業。利回りにしても再建不可や既存不適格、借地権でもない限り、ネット5%みたいな面白くない数字が並び、自己資金少なくてキャッシュフロー欲しい私には向きません。

確かにマクロ経済的にいえば、東京城南地区の方が、少なくとも柏市周辺よりはずっと「堅い」「安全牌」でしょうが、だからといって「目黒区の利回り5%」が「柏の利回り10%」より優れているとは全然思いません。物件が稼いでくれるのは同じ日本円なのですから…

さらに言うと、適正利回り「5%」のものが、相場通りの「5%」でしか買えない都内優良エリアの物件よりも、市場参加者がグッと少なくなる柏あたりの郊外で、「通常は8%」位のブツを、良いタイミングで「10%」で掴める可能性があるならば、そちらの方が確実におカネになると私は思います。

日本国内の不動産を扱うセミナーなら、講師も来場者も、なんとなく、それが分かっているから、マクロ経済的な話は余りせず、地域賃貸需要や周辺環境、物件の競争力とか、ミクロな話が多くなるはずです。それが、収益不動産本来の在り方だと思います。

でも、話が海外不動産になると、そういうミクロな情報が途端に分からなくなる。

日本人の場合、東京駅と神田駅、あるいは池袋駅と板橋駅…一駅離れただけで坪単価に差が出ることはなんとなく分かっても、

マレーシアのクアラルンプールで、都心のKLCC駅と一駅離れたKampong Bahru駅の立地の差がどれだけあるか、ほとんどの人はイメージさえできません(※ものすごい落差があります…)

だから、セミナー構成上、どうしてもマクロ経済の比重が高くなってしまうのはある意味仕方がないでしょう。

しかし海外であっても、売り物が不動産という、個別性の高い財である以上、マクロよりミクロが重要なことは変わりありません。

マクロ経済指標的に素晴らしい都市でも、ダメな物件はダメだし、逆にどんな衰退都市でも、お宝物件は探せば意外に見つかるものです。国を問わず、大抵どこでもそうです。

投資判断にとって大事なのは、「この物件がいつ、いくらで貸せるか?売れるか?」であって、「物件所在国の経済成長率や失業率、不動産価格の上昇率」ではないはずです。

業者が、そういう情報を的確に出せるようにするためには、地域の賃貸事例や売却事例をある程度データべ―ス化した上で、どんなバイヤーが何を期待して買う(借りる)のかを知らなくてはならない。

そうしたミクロな情報、日本と違ってアジア新興国ではほとんど揃っていませんが、いろいろな人の力を借りて、徐々に整備していきたいと思っています。

>森の平均値がどういう状態であっても、必ずどこかの木に果実はついているものです。

その通り!これこそ不動産の面白さ、素晴らしさだと思います。

類似団体も増えてきましたが、アジア太平洋大家の会では、これからも「不動産とミクロにこだわる」姿勢で会運営を続けていきたいと思います。


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