カネ余り融資狂想曲

こんばんは。Manachanです。

アベノミクスと二期連続の経済成長率マイナスを受けて、ブログ3部作を書いています。

第1部「GDPマイナスは政権のせいなの?」では、アベノミクスをめぐる政治言説を整理・論評しました。

第2部「非正規社員にマイホーム~究極の景気拡大策」では、アベノミクスで持続的に景気拡大するための住宅政策の提言を行いました。

今回は最終回となる第3部「カネ余り融資狂想曲」…日銀が福沢諭吉を何十兆円も刷りまくる時代に、新規融資先の開拓ノルマを与えられて苦闘する金融マンの姿を描きます。倍返しだっ!

私が不動産業者として独立したのが今年1月。それ以来、夥しい数の「飛び込み営業」「電話営業」「FAX営業」を受けました。これまで特に多かったのが、

1)マンション建売業者からの、「首都圏の建設用地求む!」営業
2)収益物件販売業者からの、「都内の区分マンション買い取ります!」営業
3)保証会社からの、「保証料お安くしますので他社から乗り換えませんか?」営業
4)店舗仲介業者からの、「空き店舗借りませんか?」営業

どこの馬の骨とも分からん新興弱小業者に飛び込む位だから、余程、自社の商品が売れてないんだろうな…どことなく、悲壮感が漂う営業ぶりでした。なかでも切実度が高いのが1)ですね…実需系のマンション建売業者は、「首都圏の地価高騰」「円安&人手不足で建築コスト高騰」「エンド価格に転嫁できない」の三重苦でバタバタ潰れてますから。

そして、ここ数か月、増えてきたのが、

5)銀行員の飛び込み営業

特に、10月末に日銀が追加緩和やってから、信販系ノンバンクのみならず、読者の誰もが知ってる有名銀行の行員まで、私みたいな弱小零細業者に飛び込み営業かけて来るのですよ!REINS(業者間データベース)に物件情報掲載すると、最初の2~3日は不動産業者から物件確認の電話がかかってくるものですが、最近は銀行員が直接問い合わせてくる。すごい時代ですね~。

日銀が福沢をガンガン刷って、各銀行に割り振られ、お札の山が積み上がる。支店長や行員には当然、新規融資先開拓ノルマが与えられているのでしょう。

最近は、地元密着の地銀・信金の熱心さが目立ちますね。S信金とか、埼玉と東京のローカル案件ばかり扱っているかと思いきや、なんと海外進出セミナーまでやってる!ミャンマーのオフィス建築事業にも融資出すという話もある位。

【貸出残高推移…低迷する都銀を横目に、地銀の頑張りが目立ちます】

あとノンバンク系も、あの手この手で新商品開発と顧客開拓やってますね。例えばSF社は全国対応、追加担保なし、1億までの不動産融資ローンを、通常4.8%のところ、アベノミクス特価で3.8%で出してきてるし(注.2015年1月までの期間限定)、

また、追加担保があればの話ですが、MLF社は耐用年数度外視で、最長30年まで、3.9%でフルローンまで出す。しかも外国籍で日本永住権なくても融資OKという…商機を活かすべく、各社頑張ってますね。

ところで、融資ひいて物件を買う投資家の立場からいうと、

「耐用年数の壁」
「融資エリアの壁」
「現住所の壁」

という三つの壁にいつも悩まされてきたわけですが、このうち「融資エリア」に関しては、金融緩和を受けて、大きく動く可能性があるように思います。

どの銀行も支店の有無とか、支店からの時間距離などを考慮しつつ、融資するエリアとしないエリアを分けています。大体の傾向でいうと、

メガバンク:「全国どこでも対応」が基本
地銀:「地元の県」および「隣接県」と、「東京都」を対応することが多い
信金:地元の県のなかでも、特定エリアや沿線に融資を絞ることが多い

でも詳しく聞くと、融資エリアの設定はかなり恣意的で、ロジカルではないことが多い。たとえば、高属性サラリーマンの一棟マンション購入でよくお世話になるO銀行は、関東の融資エリアとして東京、神奈川、千葉を比較的重視していますが、埼玉県内に関しては、土地柄や交通便から考えて「??」な、不思議な設定をしているようです。たとえば、

「吉川市OK なのに 三郷市NG」
⇒三郷市の人口は吉川市の二倍、都会度や賃料水準はどうみても三郷が上。特に新三郷の駅前は他県から買い物客呼ぶほど、商業施設が超充実しているのに、なぜNGなの?

(東武東上線)「上福岡駅OK なのに ふじみ野駅NG」
⇒ふじみ野の方が東京に近く、しかも急行停車駅だから各停しか止まらない上福岡よりは明らかに上なのに、なぜNGなの?

融資エリアって、戦略とか理屈というより、「経営陣の好き嫌い」とか「たまたま案件が出た」みたいな理由で決まることが多いみたいです。金融機関ではないけれど、弊社に営業かけてきたマンションデベで、こんな例がありました。

物件仕入れエリア:「東武伊勢崎線は春日部までOK、常磐線は松戸までOK(柏NG)」

「首都圏全域で土地仕入れてる御社が、春日部OKで柏がNGというのは、何か理由あるんですか?どう考えても、春日部に比べれば柏の方が都会だし人口多いし、マンションの平米単価も高くとれるじゃないですか?」と私が聞くと、

以前、柏のマンション開発で失敗したことがあって、経営陣が嫌がるんです」というつまらん理由…それって、俺みたいな柏出身者の力をうまく使わなかったからじゃないの?柏市内に分譲マンション建てても売れないエリアたくさんあるよ。変な場所選んで地雷踏んだんじゃないの?

何はともあれ、金融緩和で新規融資先開拓が急務の金融機関にとって、会社で決まった融資エリアに囚われていては商売を伸ばせない。これから、どんどん緩和されていくのでしょうね。好ましい傾向だと思います。

先日、じーんと感動する出来事がありました。収益不動産の世界では誰もが知ってるS銀
行の若い行員さんが、弊社訪問に来ました。同行の収益物件融資は、すでに全国対応しているとはいえ、もともと静岡県を地盤とするため、神奈川など首都圏南西部方面に強く、北や東の方角には弱い。

茨城県まで北上すると「水戸市に限る」位、エリアが狭まってしまいます。私の手持ちの物件は、水戸市から20㎞ほど北に行った「常陸太田市」にあり、そこは同行の融資エリア外に指定されていますっが、この担当者、物件情報をものすごく真剣にヒアリングして、資料一式持ち帰ったあと、

「なんとか、上と掛け合って、融資出すよう努めます!頑張ります!」

この「商売っ気」が、収益物件市場を、大いに盛り上げてくれることを期待します。若さと発想力で、頭の固い経営陣の方針をどんどん変えてしまえばいい!

最後になりますが、来月は解散総選挙ですね。アベノミクスに対しても、今のタイミングで選挙することに対しても、当然賛否両論ありますが、

「脱デフレ・経済成長を目指す」と表明して、選挙で選ばれて2年間、曲がりなりにも公約を果たすべく努力してきた政権が、「これから数年、成長に引き続きチャレンジしますか?」と国民に信を問う…言行一致、まともな民主主義国の選挙になったことを、私は素直に喜びたいと思います。

また、多少の議席は失うにしても、安倍政権が予想通り政権の座にとどまった暁には、一事業者として、日本経済の成長にコミットするとともに、私が政治に最も期待すること=第三の矢「成長戦略」の着実な実施を、厳しい目で見守っていきたいと思います。

日本経済がずっと不調なのは、人口減るから、老化するから…ではなく、今の時代に合わない、古い仕組みで経済活動しているからでしょう。かつて日本が、日露戦争の勝利体験をひきずったまま、第二次大戦に突入して敗れたのとよく似た構図。

日本の経済社会をつかさどっている「OS」(法制度、規制、商慣習)を、21世紀的にアップグレードすることにより、そして、新しいOSのもとで、人々が活き活きと働くことにより、この国が再び成長の時代を迎えることは十分可能だと思います

それには、「現状を変える政治」が不可欠だし、我々一般国民の「やる気」も大事。日本人の商売っ気を引き出せるのであれば、金融緩和も大いに結構ではないでしょうか?

日本の未来は、明るいはず。「常陸太田に融資出すよう、上司と掛け合います!」と、力強い言葉を吐いた若き金融マンと共に、活力あふれる日本を創るべく、共に歩んでいきたい。これからも、この国でずっと、生きていくのだから…

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コメント

  1. ふみ より:

    1. コメントさせてもらいます!
    明日がお休みなので、今日はいろんなブログを見まわっていました☆他の人の記事をみると意外な発見とかあっていいですよね!感謝です!ブログに関してはまだまだ未熟者ですが仲良くしてください!おじゃましました♡
    http://ameblo.jp/701935181/

  2. ふみ より:

    2. お初です☆
    こんにちは♪先ほどブログ楽しく拝見させて頂きました(・∀・)♡共感できる所が幾つかみられいい時間でした。ブログに関してはまだまだ未熟者ですが仲良くしてください!おじゃましました♡
    http://ameblo.jp/701935181/

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