フランダース戦略とその応用~前編

こんにちは、Manachanです。

我が家は子供2人つき、4人家族です。今は家庭での娯楽が多様化して、iPadありインターネットTVありWiiあり、何でもありという状況で、かえって「お茶の間+テレビで家族団らん」という図式になりにくいのですが、

私の子供時代は、テレビくらいしか娯楽がなかったので、家族全員が、同じ時間帯に同番組をみていたものです(チャンネル争奪戦が凄かった~)。

あの時代、「親が子供に見せたい番組」かつ「子供も楽しめる番組」として、「世界名作劇場シリーズ」が重宝していました。私、物心ついてから、高校生になるまでは、全作みてましたね。

1973年 「山ねずみロッキーチャック」
1974年 「アルプスの少女ハイジ」
1975年 「フランダースの犬」
1976年 「母をたずねて三千里」
1977年 「あらいぐまラスカル」
1978年 「ペリーヌ物語」
1979年 「赤毛のアン」
1980年 「トム・ソーヤーの冒険」
1981年 「家族ロビンソン漂流記 ふしぎな島のフローネ」
1982年 「南の虹のルーシー」
1983年 「アルプス物語 わたしのアンネット」
1984年 「牧場の少女カトリ」

このなかで、一番インパクト強かった作品といえば、何といっても「フランダースの犬」ですね。とにかく、主人公の「ネロ少年」が魅力的すぎて、そして、エンディングが可哀想すぎて…

生涯、不遇を極め、ついに力尽きたネロが、愛犬パトラッシュと共に、ノートルダム大聖堂の中に飾られた画家ルーベンスの絵の前で天に召されるシーンに、涙した方も多いのではないでしょうか。

名作劇場はどれも素晴らしいけれど、あのエンディングは、全ての作品のなかで白眉、といって良いでしょう。視聴率(関東地区)なんと30%を超え、歴代の世界名作劇場でダントツ一位だそうです。

「フランダースの犬」の舞台になったのは、ベルギー。当地でこの作品は不人気というか、ほとんど知られていないようです。

原作名”A dog of Flanders”- 1872年に初出版。英国人作家による、英語の作品です。地元ベルギーからみれば、外国人の作家が外国語で書いていることは、不人気の理由の一つかもしれません。かといって、英国でも知名度高いわけではありません。

面白いことに、この作品、世界中見渡しても、日本でのみ大ヒットしているのです!。1980年代、日本人観光客がベルギーのアントワープにある「ネロ少年とパトラッシュの像」目当てに大挙して押しかけた時は、地元ベルギー人もびっくり、だったそうです。

作者Maria Louise Raméさんは、1908年にイタリアで亡くなっています。晩年は不遇だったそうです。そして、フランダースの犬が、日本でアニメ化され、お茶の間で大ヒットしたのが1975年…自分の死後70年も経って、遠い極東の、文化も言葉も全然違う島国で、自分の作品が大きく花開くとは、まさか想像もしなかったでしょう。

なぜ、原産地ヨーロッパで好まれない作品が、遠く離れた日本でかくも深く愛されるのか?「ネロ」と「パトラッシュ」をキーワードに自分なりに考えてみました。

【ネロの考察】

原作では、ネロが亡くなった年齢は15歳だったそうです。すでに自活可能な年齢といえますね。その年齢になった少年が、いかに生涯不遇だったとはいえ、絵描き以外に自活の道を探ることなく、自ら命を絶った…その行為に関して、西洋人の目は厳しく、日本人は比較的寛容なのだと思います。

あと、日本人には「判官びいき」の心があります。人生で思いを果たせず、無念の死を遂げた者に対する限りない同情の心があり、その感情がネロにもたっぷり注がれたのでしょう。

あと、ネロは無垢で、まっすぐ、ひたむきな心を持った少年で、日本人好みのタイプだと思います。あれだけ不遇を極め、ひどい仕打ちを受けても、仕返しとか、人から奪って生き延びるみたいなことを考えず、ひたすら、絵のことだけを思い続けた…彼にそんな繊細さ、求道者っぽいところがあったからこそ、日本人が思い切り感情移入できたのでしょう。

【パトラッシュの考察】

司馬遼太郎さんの「オランダ紀行」に、興味深い考察があります。

~「パトラッシュは西洋流に鍛えられた」犬でなく、「主人に忠実なだけがとりえ」の「忠犬」であり、捨てられた所を助けられたという“恩返し”という「忠義の動機」も持っている、それが日本人に好まれる理由のひとつだろう~

確かに、渋谷駅前の一等地に「ハチ公の像」があるように、日本人は忠犬が大好き。犬じゃなくたって、「鶴の恩返し」とか「文福茶釜」、動物の恩返しの話をたっぷり聞いて育ってきた人たちですからねえ。一方、西洋人の感覚からすれば、パトラッシュは魅力に乏しい犬なのだと思います。

そして何より、忠犬パトラッシュが、「ネロの死の瞬間までつきあってくれた」…そこが、日本人の琴線に触れるのだと思います。

<<エンディングが悲しいから、ネロが可哀想だから、明るいオープニングテーマでも「泣けてしまう」…それが、日本人の心>>

「フランダースの犬」はヨーロッパが生んだお話ですが、ネタ的にはあまり西洋人が好みそうな感じではなく、むしろ、いかにも日本人・アジア人が好みそうなお話である。そこが興味深い。

それに目をつけて、「フランダースの犬」をいち早く、日本に持ちこんで、花開かせた人は頭いいと思う。

自分の持つ能力や作品が、自分の生まれ育った社会では評価されなくても、場所を変えれば、その地で大ブレイクするかもしれない。

これは、商売・貿易の基本でもありますね。たとえば、日本の廃棄物処理場で眠っている銅線は、日本では価値ゼロでも、ベトナムに持っていけば高値で売れる。

場所を変えて、新しい価値を生む「商売の原則」を、自分の人生にも応用してみたいと、私はつねづね考えてきました。ベルギーで生まれた「フランダースの犬」を日本に移し替えて、大ヒットさせた事例にちなんで、

「フラ
ンダース戦略」
と呼びます。

次号(後編)では、フランダース戦略の実践的応用例について、詳しく解説していきます。お楽しみに。

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コメント

  1. 靖子 より:

    1. 目を引くブログですね!!
    折角なのでコメントさせて頂きます。
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    2. 突然で失礼します
    楽しく読ませてもらいました
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