標準語は方言を駆逐する

こんばんは、Manachanです。

今日のブログは、久々に、「方言・訛り」ネタでいきます。

私たちはよく、「誰が訛ってる」、「あの地方の言葉は訛ってる」とか、よく言いますが、そもそも、「訛り」って、何でしょう?

日本語の世界では、首都圏や、在京マスコミで使われる言葉を「標準語」と呼び、他の地方で話される言葉は「方言」や「訛り」であると、上から目線で呼ばれることが多い。

英語の世界では、米国人や英国人の話し言葉が「標準」で、オーストラリアやニュージーランドの人間がしゃべる英語は「訛ってる」とされることが多い。

言うまでもなく、訛りは、相対的なもの。同一言語内で、ある地域・都市の言葉を基準に考えた時、そこから比べた語彙、言い回し、イントネーションの乖離があれば、「訛り」とみなされる。

私は一応、標準語(首都圏語)話者ではありますが、関西弁や広島弁を基準に考えたら、自分の言葉はたぶん、「すげー訛ってる」ことでしょう。

どの地域の言葉も、それぞれ、ユニークなはずなのに、ある言葉が「標準」で別の言葉が「訛り」とされる、その背景には必ず、「力関係」がある。人口とか経済力とか、政治とか…そういうものが、人為的に「訛り」という概念をつくるのだとも思います。

いま、日本のなかで圧倒的な力を持つ「東京」を擁する関東地方。そこの人間が話す言葉に、どういう現象が起こっているのか?

大東京の膨張に伴い、ここ50~60年、ものすごい勢いで、「言葉の均一化」が進んでいます。

もともと関東地方は、方言の宝庫でした。

それが今では、元からあった方言があらかた消え、北関東の東半分を除き、「首都圏語」(いわゆる「標準語」)が席巻しています。

分かりやすい例で言うと…SMAPの中居くんは、神奈川県藤沢市の出身、キムタクは、千葉市美浜区育ち。二人の話し言葉は、基本的には同じ「首都圏語」。

東京、神奈川、千葉、埼玉の、首都通勤圏であれば、県が違っても、同じ語彙、イントネーションを共有する「首都圏語」の世界になります。その話者人口、約4000万人!間違いなく、日本で一番メジャーな「方言」です。

その関東のなかで、首都圏語に同化されない方言のグループがあります。それが「栃木弁」と「茨城弁」。

お互いに、よく似た方言です。他地域の出身者には、たぶん区別つかないでしょう。話者人口、両県あわせて約400~500万人。

栃木・茨城弁は、イントネーションが、首都圏語とあまりにも違いすぎて、同化されようがないのです。どれ位、違うのかというと(ネタですが…)

振り込め詐欺と茨城弁 (byイバラキング青木先生)

ふだん標準語を話している人が、付け焼刃で茨城弁を習得しようなんて考えが甘すぎです。

東京の人がマネする茨城弁は茨城県民にはすぐにバレます~(中略)~振り込め詐欺の電話で、茨城弁の真似をして話そうものなら、「てめぇ、俺のごどバガにしてんだっぺ!このごじゃっぺやろが!」と怒鳴られ

あるいは…磯山さやか嬢の、強烈な茨城訛りを、ご堪能ください。

しかし、「関東の方言王者」茨城といえども、県南部の東京に近いエリアは、ここ30年、ものすごい勢いで標準語化が進みました。

私は、茨城からすぐ近い千葉県の出身。幼い頃、利根川の対岸は、取手、守谷を含めて、茨城弁一色の世界だったと記憶しています。

しかし今では、取手、守谷は、完全に首都圏語エリアになり、この地で茨城弁を聞くことはほぼなくなりました。

それもそのはず…取手から、JR常磐線で上野まで40分。守谷に至っては、つくばエクスプレス快速で秋葉原までわずか32分。当然、東京の郊外住宅地となり、他地域から移住する人が、地元民の数を軽く上回ってしまうのです。

移住者は、日本の各地からやってきて、誰もが、東京の言葉をしゃべろうと努めます。移住者が多数を占めれば当然、小中学校の言葉も標準語が主流になり、加えてTV、ラジオもオール標準語。両親とも茨城出身「いばらきっ子」でさえも、茨城弁を維持するのが難しくなる。

東京通勤圏が拡大するとともに、取手、守谷、つくば、竜ケ崎、牛久、土浦…標準語と茨城弁の境もどんどん北上していくのです。

東京から松戸、柏を通って、茨城県に至る「JR常磐線」は、今も昔も、首都圏不人気路線の代表格。昔は、敬遠された理由の一つに、「常磐沿線に住んで、子供に茨城弁が伝染ったら嫌だ」というのがありましたが(私、個人的には、標準語と茨城弁のプチ・バイリンガルになれたら素敵だと思うけど…)

今では、常磐線に乗っても、土浦より北に行かない限り、茨城弁を聞くことはほぼありません。基本、オール標準語の世界になってしまった。

茨城県内で東京に一番近い「守谷」で、「守犬」(もりけん)という、茨城弁をしゃべるキャラクターが登場したようです。でも、いま守谷に住んでる人間の大部分は、標準語話者のはずだから、「守谷で、いまさら茨城弁しゃべってもねえ…」という気がしないでもない。

水海道より北であれば、基本、みんな茨城弁しゃべるから、それなりにサマになるけどねえ。

このようにして、標準語は方言を食っていくのか…

でも一方で、標準語が茨城(&栃木)弁の影響を受けている面もあり、特に最近の若者の話し言葉は、イントネーションが尻上がりで、まるで茨城弁のよう。

言葉って、生き物。だから面白いですね。

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コメント

  1. イマイ より:

    バブル期は土浦まで延びた通勤エリアは、取手まで狭まった。
    都心に近い所でも手が届くようになり、共働きの増加でアクセス重視になる。
    さらに最近は、少子化・未婚化の影響が出始めている。

    加えてつくばエクスプレスにより、取手も衰退傾向・・・
    新住民の子供世代は、北千住辺りにマイホームを買ったりする。
    ※だから、方言が復活もあるのかな?
    すでに通勤圏は我孫子まで、逆につくば・守谷は通勤エリアとして人気上昇。

    1. mana33chan より:

      確かに東京通勤圏は縮小しましたね。常磐線だと取手でさえも通勤きつい感じです。でも茨城弁復活あるのかなあ?こないだ、ひたちのうしく界隈歩きましたけどオール標準語でした。

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