おはようございます。Manachanです。
私、今でこそ気楽な「一人会社の社長」稼業ですが、昨年2月までは、外資系のIT企業でサラリーマンをやっていました。
私は社会人になって18年間のうち、15年間を、主に米国系の企業で過ごしました。この期間中、何度も転職しましたが、複数の勤め先で、人事部主催の「ハラスメント研修」を受けたことがあります。どんな内容なのかというと、
「社内の人間関係のなかで、意識的、あるいは無意識のうちに、相手(同僚や部下)を不愉快にさせてしまう言動がある。これをハラスメントと呼ぶ」
「ハラスメントの多くは、主観的に傷つける意図がなかったにもかかわらず、不適切な言動によって相手が傷つくことで起こる」
「ハラスメントの代表例は、相手の性別や出身地、国籍、宗教、思想信条に対するコメントや、同僚との職務能力の比較・・・などである」
「あと、自分の属する文化では当然のように許容されることでも、別の文化圏ではハラスメントになりうることもある」
「ハラスメントが起こると、社員の健康状態や労働意欲に影響するので、会社としても特に注視しつつ、社員の啓蒙につとめていきたい」
この研修は、私の日常業務に役立ちました。自分が管理職やプロジェクトマネジャーとして、何人もの部下を持ち、かつ、それぞれが違う国籍、出自の人たちでしたから・・・
たとえば、上司がインド人、部下が日本人、インド人、中国人、韓国人の混成部隊であった時期もあれば、上司がアメリカ人、部下が中国人、フィリピン人、インド人という時期も長かった。
責任ある立場です。常に、メンバーの士気を良い状態に保っておかないといけません。そんななかで、ハラスメントは大敵です。自分の部署でハラスメントを極力起こさず、仮に起こった場合に直ちに対処するよう、細心の注意を払ったのはいうまでもありません。
そんな環境で、長年、仕事をしてみると、日本の社会というものは、ハラスメントに対して寛容というか、悪く言えば「不感症」的だと感じます。
ま、日本でハラスメントという言葉ができて、まだ日が浅いですからねえ・・・
ここ10年ほどで、セクハラ(セクシャル・ハラスメント)、パワハラ(パワー・ハラスメント)みたいな言葉は一般的になってきたと思いますが、その他にもいろんなハラスメントがあるはずです。大阪医大のウェブサイトによると、
ハラスメントの定義:
他者に対する発言・行動等が本人の意図には関係なく、相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を与えることを指します
私思うに、
特定地域に対するハラスメント
が、もっと注目されるべきだと思います。特に震災後、「福島」という地域に対する、「放射能関連」のハラスメントが相変わらずエグい、と感じるからです。
「本人の意図には関係なく」相手の尊厳を傷つけるのが、ハラスメントのポイントですね。語り手の意図自体は、往々にして、「放射能から子供を守りたい」、「福島で何が起こっているか(他地域の人に)伝えたい」という、ご立派なものですが、それが結果的には裏目に出て、福島に暮らす人たち(特に農業者や漁業者)の気持ちを傷つけてしまう・・・
分かりやすい例を挙げます。著名なグルメ漫画「美味しんぼ~福島の真実編」(ビッグコミック・スピリッツに連載中)に出てくるひとこま。
マンガのなかで、山岡士郎、海原雄山といった架空の人物にまじって、井戸川氏(元双葉町長)という、実在の人物が出てきて、彼に、「鼻血が出る」、「福島では同じ症状の人が大勢いる」と明かす」と言わせているのがポイント。
これが、福島を中心に大きな物議をかもし、全国主要マスコミにも取り上げられる騒ぎになりました。
原発取材後に原因不明の鼻血描写 人気漫画「美味しんぼ」に批判相次ぐ(産経新聞)
漫画「美味しんぼ」、福島原発訪問の鼻血描写に批判 (日経新聞)
「福島周辺で鼻血出る人が続出」 「美味しんぼ」で編集部コメント発表も炎上止まず (J-Cast)
作者、雁屋哲氏が、この作品を書くために、1年間、福島で取材を続けたこと、渾身の力作であること・・・そのことを、私は否定しません(雁屋哲ブログ「美味しんぼの福島の真実篇」について)。
しかし、雁屋氏本人や編集部が意気込めば意気込むほど、福島の人々の心は離れていく・・・
この作品が、福島現地で歓迎されているという話を、私はあまり聞きません。「美味しんぼ 福島」でGoogle検索してみれば、惨憺たる結果が出てくるはず。
「典型的なハラスメント」だと、感じた次第・・・
私は「関東で一番、放射能ハラスメントを受けた街」の出身者なので、美味しんぼに違和感を覚える、福島の人々の気持ちがよく分かります。もちろん、福島の方々が受けるハラスメントの総量は、私などの比ではないでしょう。
「風評被害」という言葉は、以前からありましたが、震災後は「風評加害」という言葉まで、一般化してきたようです。善意に敷き詰められた、心無いコメントの数々。放射能や健康被害に対する驚くべき無理解や誤解に満ちた言説が、地元の意図に反して、全国的にばらかまれる。
もう「お腹いっぱい」、「これ以上やめて!」・・・てな感じですね。
「地域ハラスメント」(チイハラ?)
「福島ハラスメント」(フクハラ?)
そんな言葉が、日本社会のなかで、もっと一般化して、「自浄作用」を働かせてもらいたいと切に願います。たとえば・・・
上に出てきた、漫画のひとこまを例にとると、ビッグコミック・スピリッツの編集部が、
「雁屋先生、まずいです。このページ載せると、まじで、フクハラ(福島ハラスメント)
認定されちゃいますよ。別のものに差し替えてください!」
そんなふうに・・・問題あるコンテンツの掲載を未然に阻止できるようになれば良いと思う。スピリッツが、福島県内のコンビ二に並んでからでは遅すぎるから。
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(最後に・・・作者のつぶやき)Webみる限り、「福島ハラスメント」(フクハラ)という言葉をブログで使ったのは、俺が最初みたいね。商標登録しようかな?いや、この言葉、全国の人々に使って欲しいな。