イスタンブール;暴動と不動産への影響について

こんばんはManachanです。イスタンブール2日目の夜を迎えています。

イスタンブールといえば、ここ数日の大規模デモ(暴動)で、日本でもニュースになっているかと思います。

今朝は早起きして、ホテルを午前4時半に出て、デモの中心地・タクシム広場まで歩いて行ってみました。この界隈は、早朝ながら、新宿・歌舞伎町の朝を彷彿とさせるように、若い男女がたくさん、歩いていました。

あいにくiPhoneの電源切れで、写真撮れなかったのですが、確かに、荒れてましたね。私の見たものは、

・燃されて黒焦げになったクルマ、約10台。
・タクシム広場を中心に、約1km四方にある商店は、スプレー、ペンキで落書きだらけ。
・窓ガラス割られてる商店もある。

今の日本にはない、荒っぽさがありました。しかし、あの壮絶な環境の中でもメシ屋とかは平気な顔で営業していて、皆、さりげなく食いに来てました。

面白いことに、タクシム広場を少し離れると、あの暴動がうそのように、平和で長閑な風景になるのです。例えば、地下鉄で隣のカバタシュ駅まで来れば平和そのもので、桟橋からフェリーがのんびりと出航し、路面電車には通学途中の高校生が乗り込んできまましした。

そして、外国人の観光客で賑わう旧市街地も、国際空港へのアクセス路も高校交通機関も、首都アンカラや隣国ブルガリアへ向かう幹線道路沿いも全く影響なし。要は、タクシム広場周辺さえ避ければ、そこにはイスタンブールのいつもの日常がありました。

その「日常」とは・・・今や都市圏人口1300万人を超え、ヨーロッパ最大級のメガシティとなった大イスタンブールの喧騒のなか、各地でマンションや大型商業施設の建設ラッシュ、道路や鉄道網のインフラ整備が急ピッチに進められ、新興国として力強く経済発展する姿です。

トルコは、人口7500万もいて、その60%が25歳以下という、若い国です。国の東部は、貧しい農業地帯で、そこから若い人々が、職とチャンスを求めて、イスタンブールをはじめとする、西部の大都市に続々とやってきます。

若い彼らは、とてもよく働きます。日本人に似て勤勉で、長時間労働も厭わない人々が多数。彼らがここ20年間、イスタンブールの成長を底辺から支えてきました。

それだけでなく、イスタンブールは、ヨーロッパ、中東、アフリカの結節点という、絶好の地理的位置ゆえ、必然的に、ヒト、モノ、カネが集まる都市となっています。

老化したヨーロッパからは、成長の機会を求めてビジネスや投資マネーが流れ込みます。

サウジ、カタールなど湾岸諸国からは、「同じイスラム圏ながら、酒も飲めて自由な雰囲気と、緑あふれる魅力的な自然環境」に魅せられた人々(お金も・・・)が流れこみます。

で、そのお金の多くは、建物やインフラに変わります・・・イスタンブールから、西へ、ブルガリア方面へ向かう幹線道路沿いを走ると、この都市が、外に向けてどんどん拡大を続けているのが、よく分かります。

では、なぜここでデモ・暴動が起こるのか?私思うに、いまトルコの社会は、急激な変化を遂げている最中で、「近代化、西洋化、グローバル化のトレンド」と、「伝統的、保守的価値観」との葛藤があるのでしょう。

トルコは、比較的戒律が緩いとはいえ、イスラム教・文化を基本とする国です。国内には、「近代化、ヨーロッパ化した西部の大都市」と、「伝統的価値観が残る東部の農業地帯」との、巨大な経済格差を抱え、そこにクルド人などの民族問題も絡んで、トルコの歴代政権は、国民の統合に苦慮しています。

そういう国の運営に、よく用いられるスタイルが、「開発独裁」。つまり、「経済成長を進めて、国民を豊かにして、大人しくさせる」。その一方で、「政治思想としては、伝統的な価値観を使い、民主的な自由を限定的にしか認めない」。

経済発展期には、たいてい、波に乗って裕福になれる少数の人間と、乗れずに取り残される多数の人間が生まれます。豊かになった側は、政治、宗教、言論の自由を求めますが、豊かになれない側は、昔ながらの伝統的価値観にすがります。

その際、国としては、「経済成長路線を進めて、裕福な国民をさらに裕福にさせる」一方で、「裕福になれない国民をケアするために、伝統的価値観に基づく政治を行う」必要があるわけです。

これは世界的にみれば、別に珍しいことではなく、中国、韓国、シンガポール、マレーシアなど、東アジアの多くの国で用いられてきた手法です。

トルコも、現エルドガン政権は開発独裁的な傾向が強い。経済開発は大好きで、大運河、国際空港をつくりまくる一方で、宗教的、政治的な自由を認めたがらない。Facebook、Twitterなどネットメディアに対しても極めて冷淡。

それが、イスタンブールなど西部大都市の、裕福で自由な雰囲気のなかで育った若い世代には、不満なのです。経済的には、ヨーロッパと遜色ない位、裕福になったのに、なぜトルコには、未だにヨーロッパ水準の宗教の自由、言論の自由がないのかと・・・

それが、タクシム広場のデモになり、政権の対応のまずさもあって、暴動に発展したのです。成田三里塚闘争みたいに、「外野」から、いろんな左翼系政治団体が参入して、大いに騒ぎました。

経済発展期の国が抱える、国の運営の難しさ・・・それが露呈したのだと思います。

しかし、この程度で、トルコ・イスタンブールの経済発展にブレーキがかかることはない、と私は考えます。

日々、どれだけ、東部農村地帯から、若いトルコ人男女がイスタンブールに流入しているのか?

日々、国内外から、どれだけの投資マネーが、イスタンブールに流入しているのか?

そのマネーと労働が、どれだけ、イスタンブール各地の道路や鉄道、マンション、ショッピングセンターに変わっているのか?

それを肌感覚で実感する限り・・・デモ・暴動程度で、経済の勢いは、止まりません。

不動産価格も、間違いなく、上がり続けると思います。

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コメント

  1. 高橋 陸@分析×冷静 起業家 より:

    1. コメントします^^
    突然ですが、失礼します。高橋と申します!ブログの記事を読んだのでコメントを残して帰ろうと思いました!僕は起業家として活動をしていることについて慣れない文章を一生懸命書いて頑張っています。また訪問させて頂きます!これを機に繋がれたら嬉しいです!
    http://ameblo.jp/silverbullet315/

  2. manachan より:

    2. Re:コメントします^^
    >高橋 陸@分析×冷静 起業家さん

    アメブロ読者と、FB友申請をしました。これから、つながっていきましょう。
    http://ameblo.jp/manachan2150/

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