おはようございます。
今日は、朝6時前に目が覚めました。まだ外は暗いし、出勤まで時間があるので、ブログ一本、書いてしまいます。
皆さんは、「アービトラージ」(Arbitrage)という言葉を、ご存じですか?
日本語訳は、「裁定取引」、あるいは「サヤ取り」・・・これで、ピンとくる方もいるかもしれません。
アービトラージで、一番分かりやすい例は、為替レートの違いを利用した「サヤ取り」でしょう。
例えば、直物為替レートがニューヨークで1ドル=110円、東京で1ドル=109.90円であった場合、東京市場でドルを買ってニューヨーク市場で売れば、1ドルにつき10銭(110-109.90=0.1)の差益が手に入ります。
あるいは、スポーツが好きな方には、地域による「賭け率」の違いを利用した、アービトラージもよく知られています。
例えば、今年の日本シリーズ。福岡の人は、ソフトバンク・ホークスの優勝に賭ける人が多く、名古屋では、中日ドラゴンズの優勝に賭ける人が多い。すると、福岡と名古屋のブックメーカー(賭け屋)で、オッズ(賭けの倍率)が違ってきます。
福岡のブックメーカー:ホークスの勝ち 1.25倍 ドラゴンズの勝ち 3.9倍
名古屋のブックメーカー:ホークスの勝ち 1.43倍 ドラゴンズの勝ち 2.85倍
とした時に、名古屋のブックメーカーでホークスが勝つ方に10,000円、福岡のブックメーカーでドラゴンズが勝つ方に3,667円を同時に賭けるとします。(賭け金額は計13,367円)
ホークスが勝つと名古屋のブックメーカーから得られる配当は14,300円で、利益は14,300-13,467で833円になります。ドラゴンズが勝つと、福岡のブックメーカーから得られる配当は14,301円で、利益は14,300-13,467で834円になります。
この賭けにおいては結果がどちらに転んでも、13,367円の元手に対して最低833円の利益が保証されているということになります。
このように、アービトラージは、地理的や時間的な違いによる「市場の歪み」に着目した、「原理的に、絶対儲かる」取引なわけですね。
しかし、私たち一般庶民が、為替やスポーツのアービトラージで、実際に儲けられるでしょうか?
絶対儲かる、損しない取引であるならば、誰もがやりたい。ライバルが無数にいるのです。
特にNYや東京の為替市場などは、巨額のお金を動かすプロの機関投資家が、大勢、参入しており、米ドル/日本円間の為替レートに歪みがあれば、それこそ瞬時に、調整されてしまいます。
その「瞬時」が、例えば0.2秒であるならば、「0.2秒で絶対儲かる方法論」を編み出した者だけが、儲けられる世界なわけです。
スポーツブックのアービトラージは、そこまで「瞬時」の世界ではないかもしれませんが、今や日本にも世界にも、この取引をやる人は大勢いて、ソフトウェアも、多く開発されています。その誰もが、サヤ抜こうとしてますから、
この世界で、絶対儲かる方法論の開発は、やはり簡単ではないわけです。途上国の安い労働力を大量に投入して、人海戦術で継続的な利益あげている会社もありますが、この方法、一般人にはなかなか難しい。
要するに、必ず儲かる取引なんだけど、儲けられる期間(時間差)が、どんどん短くなっている。それをどう克服するかが、ミソなわけですね。
私思うに、アービトラージで利益を出す、一番美味しい市場は、「不動産」だと思います。
不動産市場は、金融市場と違って、取引の個別性が強いし、取引主体がプロじゃなくてほとんど素人 だし、市場の歪みが瞬時に調整されるものではない・・・だから、今後末永く、利益をあげられる余地が大きいのです。
しかも、日本の不動産市場は、構造的に歪みがあります。「実需用」と「投資用」、全く違うマーケットが共存しており、一物一価ではありません。
・実需で、自分が住むために買う人は、高いお金を喜んで払う。利回りなど、考えない。
・投資用で買う人は、利回り・収益計算して、できるだけ安く買おうとする。
・だから、同じ物件でも、実需用と投資用で、全く違う値がつく。
・実需で買った人は、一生に一度か二度しか、不動産買わないから、「投資用で買っとけば、もっと安く買えた!」ということに、気づく人は少ない。
・したがって、実需用と投資用、二つのマーケットはいつまでも共存し、市場の歪みは、半永久的に温存される。
次回は、日本の不動産市場で、どの地域が、不動産アービトラージに最も適しているのかについて、書いていきます。お楽しみに。