各国不動産事情

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台湾、政権交代前夜

こんにちは、Manachanです。現在、家族旅行中。今朝、台湾からタイまで移動し、今はバンコクのコンドミニアムでゆっくりしてますが、今回の日記は、台湾の話題でいきますね。

すでにニュースでご存知かもしれませんが、台湾は1月16日に、総統選挙を控えています。その選挙で、国民党→民進党への政権交代および、台湾初の女性総統「蔡英文」氏の誕生がはほぼ確実視されています(リンク)。その背景について、少し考察してみたいと思います。

 

台湾は、日本と同じく、議会制民主主義をとっています。そしてアジアでは珍しく、欧米に似た「二大政党制」が機能している社会といえると思います。

台湾の人々が、今の日本人と同じ意味で普通選挙権を持ってから、まだ20数年しか経っていませんが、すでに「国民党」と「民進党」の二大政党による、政権交代を何度も経験しています。投票率も日本やアメリカより明らかに高い、7~8割をキープしてきています。

2000年 国民党→民進党(陳水扁)への政権交代
2008年 民進党→国民党(馬英九)への政権交代

そして今年、2016年1月16日の選挙で、民進党への政権交代になれば、今世紀に入って3回目。ちょうど8年毎に政権政党が代わってきたことになりますね。

 

台湾でハッキリした二大政党制になっているのは、「中国大陸」の影響が大きいと思います。狭い海峡の対岸に、台湾と比べて面積200倍超、人口60倍の「中華人民共和国」があり、彼らと同じ言語・文化圏に属している。経済的なつながりも極めて密接。でも政治体制は違うし、軍事的な緊張関係も少なからずある。台湾人からみれば、巨大な隣人のプレッシャーを常に受けながら、

「中国大陸と協調していくか?」vs「台湾独自の路線でいくか?」

これが、台湾社会を運営していく上で一番大事なテーマだし、「政治的な対立軸」でもあるわけです。でもって、今のところは「国民党」が「中国協調路線」、「民進党」が「台湾独自路線」を強調するという、非常に分かりやすい構図…台湾が二大政党の民主制を維持できているのは、もちろん台湾人自身の努力も大きいけれど、「地政学的必然」がもたらした面も少なからずあると思います。

日本の場合は、台湾と同じ文脈での二大政党制が機能しにくい社会だと思います。国際関係で日本に最も大きな影響を及ぼすのはアメリカと中国でしょうが、地政学的に、また国民感情的に、どうしても「親米派」が優勢になるので、外交関係が政治的な対立軸になり得ない。

欧米の二大政党の国では「大きい政府」vs「小さい政府」という対立軸が比較的ポピュラーですが、日本の場合、自公政権も野党も「大きい政府志向」が強く、アメリカの「ティーパーティー」的な政党が出にくい風土でもある…自民党と公明党が連立する限り、どうしても「一強」vs「万年野党」の構図になりやすい。

 

アジアを俯瞰すると、(単純比較は難しいですが…)軍政の影響がなければ「日本タイプの政党構成」が多い印象があります(シンガポール、マレーシアなど、日本と似てるかも…)。台湾のようなハッキリした二大政党制はアジアでは珍しく、いろんな意味で興味深い。

 

ところで、台湾社会に関しては、政権交代で世の中がガラッと変わり、前向きな方向に進みそう…という風にはあまり見えません。すでに経済的には先進国レベルになり、「追いつけ追い越せ」モードではなくなり、むしろ、「グローバル競争のなかで労働者賃金が増えない」、「間もなく超高齢化社会を迎え、年金医療含めて先行き不安」といった閉塞感のなかでの選挙戦、という感じがします。

我々家族の滞在先は、台湾・桃園空港近く、人口37万の工業都市「中壢」。昨晩は賑やかな中?夜市に行きましたが、選挙2週間前ということもあり、街頭演説、挨拶、ビラまきの光景がみられました。

こちらが、「本命」民進党の候補者。シンボルカラーは緑。

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対抗する国民党の候補者。シンボルカラーは青

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あと、二大政党では拾えない政治ニーズがたくさんあるのでしょうか、ミニ政党がたくさん出現しているようです。「いつの間に、いろんな政党ができてるんだなあ」と驚きました。たまたま、「時代力量」(New Power Party)というミニ政党のパンフレットとポケットティッシュを配られたので、ホテルに戻って読んでみました。

台湾の選挙民は、「総統」、「選挙区」、「比例代表」の3つの投票権が与えられるようです。日本と似てますね。ちなみに「時代力量」が、「選挙区」で擁立している候補者は、台北都市圏と台中都市圏の一部のみ。「比例代表」で5%の得票を得て、議席獲得を狙う戦略のようです。

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党の候補者は、ざっとみたところ、女性の方が男性よりやや多く、少数民族の代表、大学教授、弁護士、社会運動家といった顔ぶれが多い。

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党のスローガンは「正義を国会へ」だそうな。掲げる政策は左派好みものが多く、「税制改革」、「年金改革」、「派遣労働の廃止」、「公共セクターによる幼児教育の拡大」、「都市アメニティの整備」等々…今ほどグダグダになってない、1990年代後半頃の社民党を思い出させますね。何となく、

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私はこういう政策を必ずしも好むわけではありませんが、台湾の国情をみる限り、彼らの主張も理解はできます。特に幼児教育の商品化とか凄いですからねえ。もう少し公共に寄ってもいいかもしれない。

 

台湾は日本にとって大事な隣人。親日感情が強く、かつ自由や民主主義の理念を共有する仲間でもあり、いろんな意味で世界にプラスの貢献をしている人々だと思います。2週間後の選挙で政権交代すれば、当然中国にも、そして日本を含むアジア全体にも影響が及んできます。台湾の人々が、これからも民主選挙制度を運用しながら、近隣国とも上手に連携してくれることを、願ってやみません。

 

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その正義感、迷惑につき…

こんにちは、Manachanです。大晦日ですね。世の中はすっかりお休みモードですが、今日もなんとなく仕事している私(汗…)

今回は、Let’s海外不動産投資という、有名なブログについて書きます。作者は、澤さんという投資家の方です。その最新のブログ記事で、アジア太平洋大家の会と、私が個人名で名指しされております。

業者主導の海外不動産投資の形態は時代遅れになっていく (2015/12/30)

 

口調は穏当です。言ってることに、妥当性もありますし、共感すべき部分もあります。澤さんに対しては投資家として尊敬する面もあります。しかしながら、ひとさまの社会的立場に配慮しない言動、無断での実在社名・人名の名指し、十分な事実確認をせずにWebで公表・拡散・・・自分の行動が、いかにビジネス道徳にもとるのか、無自覚さが余りに目に余るので、私、今回は批判の声をあげざるを得ませんでした。

なお、読者の皆さんに知っていただきたいのは、澤さんの主張する「現地売買価格との比較」は、私も調査中で、判明した事実を、順次、このページで公開しています。一つ一つ、提携業者と確認・同意をとりながらやってるので、どうしても時間かかりますが、確かな事実に基づいて発表していると自負しています。

アメリカ不動産~バリューアップ業者vs転売放置業者 (2015/12/25)

 

澤さんブログ記事に戻ります。「業者主導のセミナーは時代遅れになる」・・・ハイそれで結構です。私だって、いまアジア太平洋大家の会でやってる「業者主導のセミナー」が、究極のベストの形だとは思ってません。本音をいうと、「誰かが、もっと良いビジネスモデルをつくって、既存の業者主導セミナーを時代遅れにしてほしい」です。

例えば、海外不動産のネット直売とか、将来できればいいですよね。仲介業者が「中抜き」せず、現地のバイヤーズエージェントが、Webinar(Webセミナー)で説明会やって、日本の投資家のリクエストに応じて、現地の価格で買ってくれる。売買契約、所有権移転から、管理会社紹介、入居づけまで、全て、フェアな現地価格でやってくれるならいいなあ。

アメリカ不動産でいうと、たとえば社会保障番号や納税者番号を持たない日本人向けに、リーズナブルな値段で米国銀行口座開設してくれて、米国内に住所がないオーナーというイレギュラーな条件で管理会社にもOKとりつけてくれて、英語が堪能とは限らない日本人向けに、英語文書の説明までやってくれて、米国の確定申告も手配してくれて、日本税法に基づく減価償却や譲渡所得税の最適化、場合によっては日本法人での取得にも対応してくれて、米国LLC設立もやってくれて、その他、時差のある日本からの質問にもタイムリーに対応してくれて…そこまでやって、米国人が買うようなフツーの値段で買える方法を編み出してくれたなら、素晴らしい。

近い将来、そういう方法が確立できて、ビジネスとして成り立つのなら、日本で業者呼んでセミナーなんて、確かに時代遅れになるよね。投資家の立場からいうと、そうなって欲しいですよ・・・誰かがそれを、ビジネスとして、やり切れるのなら。

澤さんは、そういう仕事を、日本に住んでる日本人相手にやり切れるんですか?自分がやる想定で、発言されてますか?・・というのが、私の根源的な問いです。

 

私、日本で200回近く、海外不動産セミナーやってますが、上記の仕事が満足いくレベルでできる業者にお目にかかったことがありません。また、日本の投資家も、まだリテラシーがついてきてません。それに、日本に住んでいれば日本国内の資産入れ替え、節税、法人化といった課題を各人が抱えており、日本と海外の資産ミックスのなかで、最適解を見出していかなければなりません。国内外の基本的な不動産税制や、FP2~3級レベルのリテラシーは最低限必要。それらもろもろ考えると、結局、現時点では、「時間とコストがかかっても、日本でセミナーやって、業者利益乗せて売る」以外のビジネスモデルが確立してないんです。

このモデルが、究極のベストじゃないかもしれないけど、現時点で、ニーズは旺盛です。ここ数年、業者から「セミナーやって欲しい」リクエストは増える一方。我々アジア太平洋大家の会だけではさばききれないから、「オウチーノ社」と分担してる位。集客数も年々増える一方。むしろ、投資家の多様なニーズに応えられる業者が十分に育っていないので、育成が必要な段階といえます。

 

「本来、どうあるべき」という理想論ではなく、「客観的状況に即して、何を優先して取り組むべきか?」という現実論からいえば、「業者を呼んで日本でセミナー」という枠組のなかで、

「いかにして、投資家の知識・情報武装をサポートしていけるか?」

「まじめな業者を、いかに大きく育てるか?」

を、現時点では優先しています。「日本人が、もっと安く、早く、スムーズに海外物件を買って運営できる」次の時代を見据えながら、少なくともあと2~3年は、日本でセミナーを続けていかねばならないと思っています。

業者は叩くより育てよ (2015/12/16)

 

 

で、先程の本題に戻ります。澤さんが、「日本の投資家のために、低コストで米国不動産直売ビジネスやります」と言っても、私は彼と一緒に仕事することは多分ないでしょう。残念ながら彼は、ネット上で非常に悪質なことをやっており、私は正直、激怒しています。・・・特にこれが問題、

 

海外不動産投資で情報弱者が支払う対価について (2015/12/12)

 

私のコメント付きで、引用しますね。

今年より日本人向けにメンフィスの物件を紹介しているWIN/WIN Properties, LLCという会社があります。代表者は山崎美未、呉純子、柳原大輝の3名です。WIN/WIN Properties, LLCがセミナーで紹介されていた物件を元に上記3つの投資家にどのような違いが出てくるのか数字で比べたいと思います。

(Manachan)おっ、すげえ!いきなり社名名指し、実在の人名晒しですか…

 

WIN/WIN Properties, LLCで紹介されていた物件です。

物件タイプ:Single Family home
物件:大きさ約1000Sqft
想定家賃:$825
物件価格:$110,000
表面利回り:9%

(Manachan)この物件住所はどこでしょうか?いつの時点で販売されていたものでしょうか?それが示されないと、この情報の真偽自体判断できません。ちなみに、私がWINWIN社に問い合わせたところ、同社が取り扱った物件のなかで、上記の想定家賃・物件価格で売り出されたものはないそうです。

 

同じような物件を地元の不動産投資家/不動産会社は以下のように販売しています。

物件タイプ:Single Family home
物件:大きさ約1000Sqft
実際の家賃:$825
物件価格:$64,000
表面利回り:15.4%

(Manachan)この物件住所はどこでしょうか?どの業者が、いつの時点で販売されていたものでしょうか?

 

同じ条件の同じ物件でもWIN/WIN Properties, LLCから物件を購入した場合、現地の投資家達が購入する金額よりも$46000割高な金額になってしまいます(中略)$46000というと日本円で約560万です。

(Manachan) 「WINWIN社が46,000ドル、高く売っている」の具体的根拠が分かりません。だいいち、比較しているのが同じ物件なのか、かつ同じタイミングで販売されていたものなのか、基本的な事実が書かれてない以上、その正しさを判断する術がありません。

 

引用終わります。澤さん本人が「同じような物件」と言ってますので、おそらく、「似たエリアで、想定賃料ほぼ同じで、約1000SqtのSingle Family Home」を比較したんじゃないでしょうか?物件が違うのに、フェアな価格比較できるんですか?不動産はひとつひとつ違いますよね?この2物件は、間取りから設備から全く同じ状態なんですか?同じストリート?築年数は?入居の有無は?入居者属性は?市場価格同じはずと思う根拠は何?・・・統計学的に整理するやり方はアリだけど、それやるなら相当数のサンプルをとって比較しないと有意ではないはずと思いますが・・・

日本の事例で分かりやすくいうと、私は今月、「埼玉県内、同じ駅の北口と南口で、全く同じ賃料で出ている中古戸建2つ」を見ました。延床面積、間取りとも似たようなものです。でも、駅距離が違う(徒歩5分vs16分)、室内設備内容が違う(追い炊き付のユニットバスvsバランス窯)、室内コンディションも違うし、土地面積も接道条件も用途地域も全部違う・・・条件悪い方の戸建は、おそらく200万円以上の投資をしないと、同じ賃料で再募集できないし、更地にして売っても二束三文の状態でした。私、この二つの戸建を、顧客に「ほぼ同じ価値です」と言って売るのは、商道徳にもとると思いますし、仮に価値の高い方の戸建を、低い方の戸建より数百万円高く売る業者があっても、それはボッタクリとは思いません。

澤さんの言ってる「同じようなSingle Family Homeの価格」が、これと同じケースでないことを祈りますが、不動産が個別に違う以上、「別の物件を、ほぼ同価値である」と言い切るには、「積算法or再調達原価法or収益還元法による査定」か、あるいは「相当な客観的事実の裏付け」がないと無理があると思います。

また、私の確認した限り、澤氏からWINWIN社に、事実確認の照会は一切なかったようです。だから同社も、「何の物件のこと言われてるのか分からない」と困惑してました。それなのに46,000ドル高く売る、日本人をカモにするボッタクリ業者、という趣旨のことを言い切っている。

 

少なくとも世間で、こういうものを、調査とはいいません。デマ、風評、極端な誇張、悪意のある情報操作・・・のいずれかです。

 

投資家のために少しでも安く買える方法を提示したいという彼の「正義」は分かるし、ある意味共感できる。でも、正義感に駆られた彼の行動が、「日本人にとっての海外不動産マーケットを健全に発展させたい」私の立場からすれば、「至極迷惑」なんです。それ以前に、これ立派な営業妨害ではないですか?今の世の中、「某社は560万円もボッタクる」情報を、Webで不特定多数向けに公開すると、SNSを通じて不特定多数に拡散、バッシングされる可能性があります。私、WINWIN社に関しては、いま相当な時間をかけて調査やってますが、そういう「地道な事実の積み重ね」がいとも簡単に否定されて、「ボッタクリ業者」のレッテルや「560万円」という数字だけが独り歩きしてしまいがちなのが、ネット社会の恐ろしさ。

だから、Webにおけるひとさま名指しの批判は、相当の覚悟・説明責任が伴うはずです。ITの世界に明るい澤さんが、それをご存知ないわけはないと思うのですが…

 

善人面して、投資家利益を守るだの、立派なお題目を掲げながら、他人を、他社を叩く・・・分別ある大人なら、普通そういうことはしないと思いますが、

 

「自分の言ってることが正しい」という思い込み

「自分のやってることが正義」という自己正当化

「悪(ボッタクリ業者)を懲らしめる」快感(脳内麻薬の分泌)

 

これが揃うと、人間、結構エグイこともやれてしまうのです。だから、気を付けなければならない。正義感が過剰な人間ほど、目的達成のためには犯罪も辞さない、正義の達成のためには犠牲者が出るのも止むを得ないと思ってしまいがちなのです。たとえば、「地球を守れ!」を錦の御旗にして、漁業を妨害する、彼らが生活苦に喘いでも意に介さない環境保護団体だっています。焼身自殺、自爆テロだって、本人は正義を実践してると思ってるはずです。ポルポトだってビンラディンだって・・・

人間として社会生活する上で、「悪」は比較的対処しやすいけど、「正義」に対処するのは難しい。「正義」が、私たちに、誰かに危害を加える時、現代社会はそれに対処する方法を余り持っていないからです。だからこそ、「正義感のある批判には、反論が大事」・・・それが私の座右の銘。

最後になりますが、私は海外不動産マーケットの健全な発展を妨げる、ネット上の風評拡散行為に対しては、断固とした行動をとります。

 

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アメリカ不動産~バリューアップ業者vs転売放置業者

こんにちは、Manachan@福岡出張帰りです。当地・福岡市は、あと3ヶ月で、神戸市を抜いて、全国の政令市で人口第5位になるそうです(リンク)。福岡市の人口は、2011年6月に京都市を抜いたばかり(リンク)。わずか4年半で、関西の二都をゴボウ抜き・・・すごい勢いですね。

今回は、海の向こう、アメリカ不動産ねたでいきますね。

 

私がHome’s に連載している海外不動産コラム、今月号がリリースされました。タイトルは、

アメリカ物件資産価値のかんたん解読法

 

このコラムは、アメリカ不動産に興味のある投資家向けに、「Webでできる、資産価値の簡単な調べ方について」書いたものです。簡単にいうと、


・アメリカ不動産のポータルサイトZillowに物件住所を入力し、そこに出ている査定価格Zestimateを、ガイドとして使う。

・地域の平均より物件状態が良ければ、Zestimateより数十%上回る。

・地域の平均より物件状態が悪けれれば、Zestimateより数十%下回る。

zestimate

 

今回のブログは、視点を変えて、「業者側からみた、アメリカ不動産の価格構造」について書きます。

この日記を書いたきっかけは、我々「アジア太平洋大家の会」や「オウチーノ社」主催の米国不動産セミナーで何度か講師をお願いした、WIN WIN PROPERTIES社が日本人投資家向けに販売する価格について、ちょっとした疑義が起こったからです。

同社は、「日本人が現地の事情を知らないのを良いことに、高すぎる価格で売っているのではないか?」と、Web上で名指しで晒されてもいます。そのきっかけの一つが、前述Zillowサイトにある「Price/Tax History」という、売買価格履歴データでした。たとえばの話、

pricehistory

これを見た時に、「41,000ドルで仕入れたものを、業者が20,000ドル以上も乗せして、63,300ドルで日本人に売ったのではないか?」というふうに見えてしまいます。但し、Price Historyの見方には注意が必要です。なぜなら、ここでは「業者が、日本人に販売するためにかけた、修繕、入居費用、法務費用などの必要コス」が見えてこないからです。

私は2012~14年にかけて、投資仲間とともに、アメリカ・カリフォルニア州で、「ボロ物件を競売で仕入れて、バリューアップして転売」をやったことがあります。その時の経験からいうと、「Price History上では、私たちが51万ドルで買って、77.7万ドルで売った」ように見えますが、その間、修繕費が11万ドル以上、売却時エージェント費用が4万ドル以上、その他、借入金利、法務費用、PM費用など、もろもろのコストがかかり、結局、利幅はごくわずかでした。要は、「Price Historyで外からみえるほど、儲かっていないケース」が多々あるのです。

 

WIN WIN PROPERTIES社の件は、私もセミナー主催者の責任もあり、調査に乗り出しました。具体的には、我々やオウチーノ社のセミナー経由で成約した米国メンフィス物件の価格構造を詳細に分析しました。結論からいえば、

 

・私が判断する限り、同社は「シロ」。

・なぜなら、同社は物件をベストでない状態で仕入れてから、賃貸可能な状態にするために、修繕費入居費用はじめ、必要かつ適切なコストをかけているから。

・その上で彼らが得る業者利益も、適切な範囲内に収まっている。

 

もう少し、詳しく言うと、こうなります。米国物件を競売やショートセールで安く仕入れて、エンドの投資家に販売するまでの過程で、通常、次のコストがかかります。

 

beikokugyousha

 

1) 仕入費用

1-1 契約上の売買価格

1-2 上記に付随する費用(物上げ、インスペクション、取得保険費用   等)

2) 補修工事費用

2-1 補修業者に発注する工事費

2-2 上記に付随する費用(工事進捗管理、立ち合い費用 等)

3) 入居関連費用

3-1 入居者募集・現地案内費用

3-2 入居者審査費用

3-3 賃貸借契約および引越サポート関連費用

4) 外国人オーナー関連費用

4-1 ITIN取得関連費用

4-2 管理会社や関係者との追加的やりとりの費用

4-3 (Optional)融資コンサルティング費用

5) 業者利益

 

下記が、私が調査した範囲での、WinWinの費用・利益内訳になります(単位:USドル)

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(説明)

仕入費用=「Property contract price」+「Property Search Fee」+「Field Inspection」+「Acquisition Fee」+「Acquisition Insurance」

補修費用=「Construction」+「Construction Consulting&Estimate」+「Construction Monitoring」+「Work Complete Inspection」

入居関連費用=「Tenant Search」+「Tenant Showings」+「Tenant Background Search」+「Lease Completion」+「Security System」

外国人オーナー関連費用=「Pre Closing Support」+「Insurance Consultation」+「Management Company Coordination」+「Real Estate Investing Consultation」+「Tour Coordination Fee」+「Rent suppliment」+「Loan Support」+「Closing document completion assistance」+「Bank account opening support」+「ITIN assistance」+「All translations」+「Investment strategy consultation」+「Showing and explaining newer properties」

 

次に、エンド購入価格とローカル売買相場の比較。ここでは目安として、Zestimate(米国不動産ポータルサイトZillowの売買査定価格)を採用しました。Zestimateは、ざっくり言うと「地域の平均的な築年数や面積から算出された簡易的な査定額」ですので、修繕などで地域平均より良い状態になればZestimateを上回ると考えられます。

今回調査した5物件のエンド販売価格に比べて、Zestimate査定額は75%前後であり、「もし、物件の状態が地域平均と同程度であれば割高」といえそうですが、それなりのコストをかけて修繕し、賃貸可能な状態にしたのであれば、その限りではないと考えます。

zestimate

 

次に、賃貸収入に関する考察。今回調査した5物件の月額家賃平均は848ドル、対してRent Zestimate(上述Zillowが提唱する賃貸査定価格)は849ドルですので、相場通りで貸せているといえます。日本の投資家は平均97,238ドルで買ってますので、実現したグロス利回り平均は10.5%(=848 x 12/97,238)になります。

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日本でもそうですが、アメリカにも、いろんな業者がいます。私は便宜的に、2つのタイプに分けて考えています。

 

A)バリューアップ型業者「適正なコストをかけてバリューアップして、投資家が賃貸収益を得られるようにきちんと仕事する」業者。彼らは上記のうち、「(2)補修費用」、「(3)入居関連費用」、「(4)外国人オーナー関連費用」をかけた上で、エンドの投資家に手渡します。

B)転売放置型業者:上記の費用をほとんどかけずに、業者利益だけ乗せて投資家に手渡す業者

 

同じ米国の、同じ都市でも、A)バリューアップ型業者もいれば、B)転売放置型業者もいます。いま、日本人投資家絡みで、入居づけや、修繕がらみのトラブルが多いのは、B)タイプの業者から買ったケースだと思います。

WIN WIN PROPERTIES社の場合、販売価格の内訳を調べた限り、典型的な「A)バリューアップ型」であることが分かった・・・Price Historyでみえる売買価格の差額のうち、大部分が修繕、入居費用など、エンドの投資家にとって必要かつ適切な用途に使われており、それが資産価値、利回りに直結していると考えられます。

投資家からみれば、仲介業者が「(A)バリューアップ型業者」なのか、「(B)転売放置型業者」なのか、是非見極めたいところですね。100%正確でないかもしれませんが、簡単な見分け方が一つあります。

 

(A)バリューアップ型業者」なら、現地視察ツアーを企画して、「投資家がいま購入検討している物件」を内見させる。日本人に見せるわけだから、物件の状態は当然、「お金をかけて、キレイになって」いる。また時には、投資家の学習用に、あえて「修繕前、修繕中」の状態の家を見せることもある。

(B)転売放置型業者」なら、現地視察ツアーには消極的で、基本、「現地見ないで物件買う」人を相手にする。現地視察ツアーをやっても、そこで客に見せるものは「購入検討中の物件」とは限らず、たまたまキレイな状態な自社物件だったりする。

 

以上、アメリカ不動産投資を目指す方々の参考になればと…

 

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日本の当たり前を、東南アジアの当たり前に…

こんにちは、Manachanです。

私は国内外で不動産投資をしており、各地の大家・投資家コミュニティと交流があります。日本国内の不動産をテーマとする大家コミュニティの場合、知識・スキルレベルはピンキリですが、賃貸経営に関する情報やノウハウはそれなりに揃っており、かなり精度の高い議論も可能です。たとえば、

 

JR京浜東北線「川口」駅徒歩10分、築15年のRC、2LDK中心で現況満室、グロス利回り8.7%は買いか?

JR南武線「稲田堤」駅徒歩12分、償却の終わった築24年木造マンションで、土地の路線価3550万円のところ3800万円で出ていた、単身向けワンルームで現況満室グロス11.5%なら買いか?

 

といった、ミクロな賃貸市場分析に基づく議論がある程度できます。会のメンバーが、「川口駅徒歩圏なら、賃料がいくら取れて、空室率や築年による減価率はどのくらいで、隣の赤羽や西川口と比べてどうなのか?」・・これを、少なくとも概要レベルで理解しているからこそ成り立つ会話ですよね。

私は、このレベルの会話を、海外不動産の世界でも当たり前にしたいと思っています。たとえばタイのバンコクの場合、

 

BTSのMo Chit駅と、地下鉄Chatuchak Park駅、Phaholyothin駅が使えるエリアで、ラップラオのCentral Prazaからも近くて築2年のコンドミニアム、2DKの47㎡が、580万バーツで出たけど、これは相場からみて安いか?高いか?

このエリア・間取りで、業者は月25,000バーツで賃貸つくと言ってたけど、本当にそれができるのか?

 

舞台が海外、特に東南アジアになると、現時点ではなかなか、このレベルの会話が成り立ちません。なぜか?

賃貸経営の投資判断に必要なデータが、まだ整備されていないのです。

だから、業者トークの妥当性を、検証する術がないのです。

 

もう少し、掘り下げて考えてみましょう。私は、日本国内で収益不動産を買う際、最低限、次のデータは全て集めたうえで検討しています。

Ⅰ.ミクロ(地域)情報
 1)エリア賃料 (+面積、駅距離、築年数との相関)
 2)エリア売買価格 (+駅距離、築年数との相関)
 3)エリア空室率
 4)人口動態と賃貸人口比率
 5)売買価格の上昇率
 6)交通機関、利便施設、インフラ建設計画
 7)運営諸経費(管理費、修繕費、課税)etc… 

II.マクロ(地域)情報

 1)経済成長率、インフレ率
 2)人口ピラミッド
 3)不動産税制、融資環境

 

しかし現時点で、東南アジアに関していえば、信頼性あるデータがあるのは、「I.ミクロ情報の(5)~(7)」および、「II.マクロ情報」位でしょう。。だから、東南アジア不動産を扱う業者も、どうしても、「人口構成の若さ」とか「経済成長率」とか、マクロ経済のデータに頼って物件を売ろうとしてしまう。賃貸経営する上で、マクロ経済の情報なんて参考程度にしかならないのに…

東南アジアの不動産を、日本人が多く買うようになった現在、まともな投資判断ができるように、下記のデータの整備は急務だと考えます。

Ⅰ.ミクロ(地域)情報
 1)エリア賃料 (+面積、駅距離、築年数との相関)
2)エリア売買価格 (+駅距離、築年数との相関)
3)エリア空室率
4)人口動態と賃貸人口比率

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この種のデータを揃えるには、専門家の力が必要です。今年10月、私は東京・渋谷にある不動産コンサルティング「リーウェイズ社」に協力を要請しました。同社はデータの数理分析に基づく不動産評価に定評があります。技術力が優れているだけでなく、ITを通じて、不動産業界を前向きに変革していこうという「志」を持った会社でもあいrます。

リーウェイズ社ホームページ

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幸い、タイ・バンコクに関しては、不動産売買・賃貸のポータルサイトがいくつもあって、10万件を超えるデータが蓄積されています。その代わり、REINSのような不動産流通機構はまだありません。このような状況で、一番有効なのは、

 

・「クローラ・プログラム」を使って、タイのポータルサイトからHTMLデータを取得
・取得したHTMLデータに対し、Excel Macro等を使って抽出・分析

 

2015年10月7日、私が 「リーウェイズ社」に 「クローラ・プログラム」を使ったデータ取得と分析を依頼してから約1か月後、11月末に、分析データの抽出に成功したのです。

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分析データを整理すると、いろいろなことが分かります。例えば、各駅ごとの㎡あたり賃貸単価、売買単価、目安利回りなどが数字で把握できます(ここでは、賃貸単価だけ紹介します)。

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ただ、現時点では取得できるデータや信頼性の関係で、「できること」と「できない」こと、両方あります。バンコクに関していえば、「各駅、各市区別の賃貸・売買価格」は分かりますが、「築年数と価格との相関」、「駅距離と価格との相関」、「エリア空室率」などは、まだ分かりません。この辺のデータが揃ってくるまで、まだまだ時間がかかると思います。

 

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時間はかかりますが、「データをいち早く握った者が、不動産投資業界を制すことができる」と思います。私もリーウェイズ社などと協業しながら、海外不動産に関しては、常に時代の先頭を走っていたいと思います。日本の投資家が東南アジア不動産で確実に利益をあげられるようなデータ整備を、これからも続けていきます。

 

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ホーチミンから、プノンペンの将来を読む

こんばんはManachanです。ベトナム・ホーチミンを早朝出発、カンボジアは首都プノンペンでの日帰り出張を終え、先ほどホーチミンまで戻ってきました。

東南アジアの地図をみると、ホーチミンとプノンペンは非常に近く、陸路で250㎞しか離れていません。東京~浜松間とほぼ同じ距離です。これだけ近いので、国境超えのバスも数多く運行、イミグレを含めて6時間で行くことができます。東京~浜松間の高速バスが所要4時間プラス、イミグレで2時間みたいな「隣り町」感覚ですね。なお、この区間を飛行機で行くと45分しかかかりません。福岡~プサン間みたいに、上昇して、わずかな水平飛行のあと、すぐ降下・着陸してしまいます。

 

至近距離にあるとはいえ、ベトナムとカンボジア、あるいはホーチミンとプノンペンの間には、一目瞭然な国力の差、都市力の差があります。

前回(今年3月)は、この二都市間をバスで移動したので、両国間の格差がよく分かりました。ホーチミン市内からベトナム側の国境(モクバイ)までは立派な4車線道路が延々70㎞にわたって続き、常に交通量も多かったのに、カンボジア側の国境(バベット)から先は、プノンペンの直前まで、ずっと2車線(つまり片側1車線の対面通行)道路。特に夜だと、ベトナム側は明るいのに、カンボジア側は街灯も乏しくて真っ暗。

それでも今は、カンボジア側のイミグレ建物もずいぶんマシになりました。10年前のカンボジアイミグレは掘っ立て小屋みたいな粗末な建物だったので、「都落ち感」も今の比ではなかったことでしょう。

 

そのプノンペンはいま、外資を受け入れて急速に経済発展中。土埃や未舗装の道路も減り、コンクリ高規格道路が次々と完成しています。高層の建物も増え、「市バス」も登場するなど、絶賛グレードアップ中。あと何年で、今のホーチミンのレベルに追いつくかというと・・・「約10年」という声が多いようです。

ホーチミンに長年住んだ方の声を聞くと、「今のプノンペンは、10年前のホーチミンにそっくり」だそうです。逆にいうと、最近10年のホーチミンの歩みをおさらいしておくことで、プノンペンの今後の発展、をある程度予見できるのかもしれません。

 

プノンペンの新興戸建住宅地・・・人気が高い。

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不動産マーケットの面からいうと、プノンペンはホーチミンを10年の時差をもって後追いしているようにも見えます。
10年前ホーチミンは、中間層がまだ薄く、一握りの富裕層と、後は購買力のない庶民が多数の社会、ったそうです。今のプノンペンと似てますね。当時、ホーチミンに住むベトナム人は、高層のコンドミニアムに住む発想がなく、圧倒的に「土地付き戸建」志向だったとか…それも、今日のプノンペン住民と似てますね。今は、外資のお金で高層コンドミニアムがどんどん建っていますが、カンボジア人がほとんど住んでないですもの。

当時のホーチミンは、(庶民は無理でも)中間層がなんとか戸建を買えるほど、地価が安かったそうです。都心距離20km、9区あたりで、㎡単価300ドル前後・・・つまり100㎡の土地3万ドル。上物建てても7~8万ドル。その程度の値段なら、少し裕福なベトナム人なら買えるわけです。「戸建信仰」は安い地価に支えられていたといえます。

しかし、それから2004~08年のバブルを経て、ホーチミンの地価は数倍にはね上がり、中間層が市内で戸建を買うことはほぼ無理になりました。いや、土地付き住宅を買うことはできても、ホーチミンの名のつかない「ビンズン省」とか「ドンナイ省」みたいなアドレスになってしまい、「それなら、土地のない集合住宅でも職場に近い市内がいいや」と考える人が増え、コンドミニアム居住が一気に普及したそうです。

今のホーチミンは、以前より断然、中間層が分厚くなってきましたが、彼らが買うボリュームゾーンは、「ホーチミンの周辺区(8区、9区)あたりの、5~6万ドルのコンドミニアム」のようです。もっと裕福な人なら「土地付きの戸建、タウンハウスやビラ」が視野に入るでしょうが、一般ピープルレベルでは、コンドミニアム居住が基本形になったといえます。

(ホーチミンより所得水準の高い、タイ・バンコクでは、人々の所得する住宅の平均が8~10万ドル。2~3割の人は郊外の土地付きタウンハウスを買えますが、それでも6割がコンドミニアム購入層です。)

 

プノンペンの地価・・近郊ほど、上昇率が高い。

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まだ農業用途に使われている土地は安い。

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ホーチミン市南部、実需用コンドにアムが延々と並ぶ

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ホーチミン10年の歩みから、プノンペンの今後10年を占うと、どうなるか?

・今は、プノンペンの土地がどんどん上がり、戸建住宅地が郊外に広がっているが、実需向けには、まだ「土地付き戸建住宅」が売れる段階。(ホーチミンの2004~08年の状況)

・数年後、プノンペンの土地代が上がりきって、遠方でないと土地付き住宅が求められなくなると、今度は人々の目がコンドミニアム住まいに向かう。そうなれば、「都心近くの、中間層がお手頃価格のコンドミニアム」が売れる (ホーチミンの2008~15年の状況)

もっとも、プノンペンの状況がかつてのホーチミンと違うのは、「外資が建てた高級コンドミニアムが大量供給されている」点でしょう(ベトナムの場合は、外国人による不動産開発や購入が、これまで厳しく規制されていた)。近い将来、これらが大量に空室になると、その後どうなるのか?ロクな管理もされず朽ち果てるのか?あるいは、カンボジア人の購買力が追いついてきたときに、「お手頃価格のコンドミニアム」として実需転換されるのか?なかなか興味深いですね。

 

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ホーチミン10区に住んでみたい

おはようございます。Manachan@ベトナム滞在中です。

昨日、「ホーチミン10区」の物件を内見しましたが、このエリアがとても印象良くて、一人でじっくり歩いてみたいと思い、再訪してみました。

ホーチミン市は「1区」に都心機能が集約されていて、主要ランドマーク、観光名所も1区に集まっています。私が滞在しているホテルも1区にあります。1区から見て10区は、「3区」をはさんだ向こう側にあり、距離的にはそう遠くありません。

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特に、私のみた物件は、「10区」といっても「3区」との境界付近にあるのでさらに近い。この両区を分けるのが「2月3日通り」( Đường 3 Tháng 2)で、物件はそこから10区側に300mくらい入った場所。1区の「ベンタイン市場」からの距離は、わずか2.5km。

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2.5kmくらいなら、頑張れば歩けると思い、私は、午後5:30過ぎ、1区のホテルを出て、10区に向かいました。とはいえ、南国のホーチミンで、この距離を歩こうとする既得な人は滅多にいません(皆、バイクか車で移動)。特に5:30過ぎはバイクの帰宅ラッシュの時間帯。下の写真のような状態で、道路の横断は困難を極めました。いや横断以前に、歩道を歩いていても、バイクがガンガン歩道に乗り上げて飛ばしてくる、カオスな世界。

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「1区」から「10区」に行くには、必ず「3区」を通ります。3区は「準都心」、「準1区」と呼ばれるだけあって、街道沿いに商店、レストランがずっと続きます。交通量も多い。

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3区、10区は、ローカル感あふれる場所。中華系ベトナム人が多いようで、こんな本屋がいくつもありました。

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「2月3日通り」を超えると、3区を出て、10区に入ります。交通量もいくぶん少なくなり、落ち着いた雰囲気。「都心」から「住宅地」に出た感じですね。10区に入って、すぐ目に入るのが、この看板。写真でははっきり見えませんが、「Solution」という英語の教科書を開いた、頭の良さそうな男子生徒が出てきます。

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いわゆる「インター」。英語で教育する「中学校・高校」と、「小学校」が併設されていました。

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文教地区(?)には、でかい本屋が欠かせませんね。

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また、近隣には日産のディーラーがあり、「近郊住宅地」感を醸し出しています。

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文教地区(?)なのにラブホがある???

1時間 50000ドン
2時間 70000ドン

みたいな時間貸しのホテルが3軒ほど並んでいました。ベトナム人がどうやって使っているのかは不明。

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しかし、私的に、このエリアを魅力的に感じる要素が、「食い道楽」・・・野外の露天式でいただく、海鮮レストランが並んでいるのです。生け簀があって、デカい伊勢エビとか焼いてて、まじでうまそう。

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雨の日は露天式は厳しいけど、そんな時は、室内で海鮮をいただける店が、すぐそばにある。ベトナムの物価なら、こういうもの、毎日食いに行っても大した金額にならず、楽しめそう。

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「ウェディングレストラン」という、わけ分からんジャンルのレストランもありました。

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かっこいいカフェも、増えているようです。

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あと、「ベジタリアン・レストラン」なるものもあり、私はヘルシーに、「ベジタリアン・フォー」を注文。4万ドン(210円)、うまかった~。

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この辺は1区あたりに比べると、物価も安いようで…散髪は3万ドン(160円)でできるらしい。

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将来、ホーチミンに住むことがあったら、10区の、この辺に住んでみたいな。

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バンコク不動産アカデミー始動!

こんばんは、Manachanです。

今回は、うれしいアナウンス。私が昨年11月から、ずっと温めてきた企画「バンコク不動産アカデミー」。オウチーノ社のご協力を得て、ついに発表することができました。

11月16日から、年明け2月15日まで、3か月間にわたる、全6回のマラソン講演。私が最初から最後まで講師を務めます。有料セミナーになりますので、それにふさわしい、クオリティの高い情報をお届けします。

「20名限定」。そして、「10月15日までは早期申込割引」がききますので、興味のある方、お申込みはお早目に。

 

オウチーノ主催(アジア太平洋大家の会、協賛)

バンコク不動産アカデミーの詳細ページ

 日時  2015/11/16 19:00~
 会場  東京都港区東新橋2-14-1 コモディオ汐留8F
 定員  20名
 セミナー内容  バンコク都市圏全体を俯瞰したうえで、バンコク圏各エリアの地域特性、駅力・沿線力と不動産価値との関係をお話しします。
 受講者対象  海外不動産とくにタイの不動産に興味のある方。もしくはタイへの進出を考えている企業様。
 受講者特典  講師に合計2時間の相談が可能です。(鈴木またはオウチーノセミナー講師) ・欠席した方には、期限付きでWeb講義の視聴可能。資料はデータで送ります。
 受講料  30,000円(全6回一括払い 対象人数は1名とします。)
早期申込み割引25,800円( 2015年10月15日13:00 締切り ) *
購入リンク
6回の講義のテーマは、以下の通りです。この講演を全部消化したら、「バンコク不動産マーケットのプロ」も夢ではない!
第1回 2015年11月16日(月) 19:00 – 21:00
バンコク圏各エリアの地域特性、駅力・沿線力と不動産価値との関係

第2回 2015年11月30日(月)  19:00 – 21:00
バンコク圏各エリアでの売れ筋物件と売れない物件の考察

バンコク圏で営業する主なデベロッパーと不動産商品の特徴。各社のマネジメント、財務内容

第3回 2015年12月14日(月)  19:00 – 21:00
バンコク圏における外国人不動産マーケットの特徴と位置づけ(例 日本人マーケットとしてのスクンビット、中国人としてのラチャダー等)

バンコク圏における商業施設と不動産価値のとの関係
BTSスクンビット沿線各駅(延伸区間含む)の不動産マーケット詳細考察

第4回 2016年1月18日(月)  19:00 – 21:00
BTSシーロム沿線各駅の不動産マーケット詳細考察

MRT沿線各駅の不動産マーケット詳細考察

第5回 2016年2月1日(月)  19:00 – 21:00
今後開通する通勤新線(パープルライン等)各駅の不動産マーケット詳細考察

Airbnbなど、新しい賃貸経営手法の登場と今後に可能性、リスク

第6回 2016年2月15日(月)  19:00 – 21:00
郊外の電車未開通エリアのライフスタイルと不動産マーケット考察

 

このセミナーを皆様にお届けする上での、私の「思い」を、以下に書きました。

私は、そろそろ「海外不動産セミナー屋」を卒業したいのです。次のステップは、自分が海外の不動産現場を直接歩いて、投資家目線で「良質な情報をつくる」役割。つまり、日本の皆様が世界中で不動産投資を行うにあたり、投資判断に役立つ、確度の高い「情報」をお届けすること、それを通じて、海外不動産投資の成功者を、どんどん輩出していくこと

将来の夢は、「Manachanがいろいろ道つけてくれたおかげで、海外不動産投資が随分やりやすくなったね」と、日本各地の方々に思い出していただくこと…そんな、歴史に残る良い仕事がしたいのです。

第一回目の企画は、「バンコク」が舞台です。これをお届けするために、私は今年3月から、自分のお金と時間を使ってタイ語を学び、熱中症で倒れそうになりながらバンコク各地を歩いて現地調査をしてきたのです。バンコク在住の皆様の協力も得て、「データ」や「ニュース」は集まってきましたが、それだけではなく、「不動産投資家としての13年の経験」を活かした洞察で、「無機質なデータ」や「バラバラなニュース」を統合して、「有用な情報」に加工する・・・それを、セミナーでお届けいたします。

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バンコクの次は、来年、「ベトナム・ホーチミン」のアカデミーをお届けしたいと思います(私は今週土曜日からベトナム語学校に通います)。

 

バンコク不動産アカデミー開催にあたり、講師からのメッセージ

こんにちは。「アジア太平洋大家の会」会長の鈴木学です。
私は、自ら実践する不動産投資家として、東南アジアの不動産マーケットを見つめつづけてきました。バンコク、マニラ、クアラルンプールなど各国主要都市でこの5年間で起こったことは、

・確かに経済は成長し、都市人口は増え、地元民の購買力は増してきた。
・しかし、それ以上のスピードで、不動産物件が大量に供給されてきた。
・その結果、「勝つ物件」と「負ける物件」の二極化が進んできた。

これまで、日本で東南アジア不動産を扱う業界は極めて未成熟でした。「日本経済は伸びないし、破綻リスクがあるから、資産を外出ししよう」、「経済成長する東南アジアで不動産を買おう」みたいな、マクロな話ばかりが先行し、その業者の紹介する物件が、「ちゃんと貸せるか、売れるかどうかの見極め」は二の次でした。日本人投資家に、東南アジアの「ご臨終物件」(売れない、貸せない、損切り必至、買うとお金が減る物件)を売ってしまう業者も、未だに後を絶ちません。これから、東南アジアの不動産に投資する、あるいはお客様に不動産を販売するにあたって、他の何にも増して必要なスキルだと思うのが、

・「勝つ物件」と「負ける物件」を見極める能力

具体的には、

・地域の賃貸需要、購入需要を知り、物件がニーズにマッチしているかどうかを見極める能力

その能力を養うには、特に大都市であれば、ある程度の前提知識が必要です。例えば、

・東南アジア各都市の地理、産業構造、交通機関や商業施設の分布
・不動産価格を決める要因(沿線力、駅力、エリア力、物件力等)
・各地域における賃貸ニーズ、適正賃料水準
・デベロッパーや供給物件の特色
・国内外投資家の動向、投資ニーズ
・主な開発計画と実施可能性 等々…

第1回アカデミーのテーマは、東南アジアを代表する大都市「バンコク」。 私自ら、タイ語を学び、バンコク各地を歩いて市場調査し、お金と時間をかけて集めた情報を分かりやすく加工して、全6回(各回2時間)のセミナーでお届けいたします。 本講座は有料とさせていただきますが、このカリキュラムでしっかり学べば、「バンコク不動産通」になること請け合い。バンコクで不動産投資する上で、自信を持って物件選びをする選球眼が身につきます。あるいは、大事なお客様に「心からおススメできるバンコク物件」を選び、紹介することができるようになります。今回の「バンコク」を皮切りに、今後、東南アジア各主要都市を、優先順位の高い順に、取り組んでいく予定です。

私は、海外で勝てる日本の投資家や不動産業者をもっと増やしたいのです。しっかりした知識と投資センスを身につけて、物件オーナーをきちんと儲けさせる業者を大きく育てたい。そして、投資家に損させるような業者を淘汰したい。そのために必要な「情報」をつくる一人になりたい。

バンコク不動産アカデミー、熱い思いとともに、お届けいたします。

 

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フィリピン物件の損切り法

こんにちは、Manachanです。今日はフィリピン不動産ねたでいきますね。

日本人の不動産投資先として、いま東南アジアで一番盛り上がっている感のある国・フィリピン。マニラ首都圏だけでも、都心地区マカティ、新都心BGC(ボニファシオ・グローバル・シティ)、高級住宅街ロックウェル、アジア開銀の本部のあるオルティガス、カジノ開発ブームにわく湾岸地域など、いくつもの不動産投資適地を抱えています。その他、セブ島、ボラカイ島、パラワン島、タガイタイ高原など、リゾート系の投資物件も豊富で、当ブログの読者で、フィリピン物件を買っておられる方も、少なからずいらっしゃることでしょう。

とはいえ、フィリピン不動産、良いことばかりではありません。

☆ 期待したタイミング・価格でなかなか転売できない。

☆ 引き渡しを受けても、すぐに賃貸つかない。

☆ 分割払いにしていたら、フィリピンペソの為替が上がって負担が苦しくなった。

☆ 銀行融資が全然通らない。審査基準も全然納得できない。

☆ 内装の仕上がりがクオリティ低く、補修を依頼しても全然進まない。

☆ 登記に1年もかかると聞いてビックリ  等々…

 

投資家それぞれ、様々な悩みがあり、「こんな苦労する位なら、損切りしていいから、売ってしまいたい」と思う方も少なくありません。そんな皆様に、一つ、是非知っていただきたいフィリピンの法律があります。

 

Maceda(マセダ)法、別名「不動産の割賦購入者保護法」

 

概要は、このようなものだと、理解しています。

☆ フィリピン国内の住居用物件を、2年以上分割払いした者が購入をキャンセルした場合、

☆ これまで支払いした金額の50%(場合によってはそれ以上)が、デベロッパーから払い戻される。

☆ その他、支払い猶予期間、ペナルティ免除といった、購入者を保護する規定がある。

☆ デベロッパーと購入者が結んだ契約の内容にかかわらず、この法律の内容は強制的に適用される。

注)なお、商業物件等には適用されません。

 

この法律、投資家にとって極めて大事な内容が含まれているにもかかわらず、フィリピン物件を仲介する業者で、この法律をしっかり説明する会社は、私の知る限り多くありません。

また、法律の内容をしっかり解説するサイトがほとんどないので、先日、‘APHOC副会長たくちゃんと私が協力して、日本語訳しました。英語の原文と、日本語訳を併記しますね。

 

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REPUBLIC ACT NO. 6552

共和国法 第6552号

 

AN ACT TO PROVIDE  PROTECTION TO BUYER OF REAL ESTATE ON INSTALLMENT PAYMENTS

分割払いによる住宅購入者の保護について

 

Be it enacted by the Senate and House of Representatives of the Philippines in

Congress assembled:

この法律はフィリピン議会の上院および下院で可決されました。

 

SECTION 1. This Act shall be known as the “Realty Installment Buyer Protection Act.”

第1項、この法律の名称は「不動産の割賦購入者保護法」である。

 

SECTION 2. It is hereby declared a public policy to protect buyers of real estate on installment payments against onerous and oppressive conditions.

第2項、ここに、分割払いでの住宅購入者を「煩わしく」かつ「抑圧的」な条件から保護するための公共政策として宣言されています。

 

SECTION 3. In all transactions or contracts, involving the sale or financing of real estate on installment payments, including residential condominium apartments but excluding industrial lots, commercial buildings and sales to tenants under Republic Act Numbered Thirty-Eight hundred forty-four as amended by Republic Act Sixty-three hundred eighty-nine, where the buyer has paid at least two years of installments, the buyer is entitled to the following rights in case he defaults in the payment of succeeding installments:

第3項、不動産の割賦購入者への販売や資金調達に関する、すべての取引および契約において、購入者が少なくとも2年間の割賦を支払ったのちに支払い不能になった場合、購入者は以下の権利を有することとします。ただし、ここでいう「不動産」には住居用のコンドミニアムは含みますが、産業用の土地やテナントビルまた、共和国法6389号から改正された3844号に基づいたテナントへの売却は除外されます。

 

(a) To pay, without additional interest, the unpaid installments due within the total grace period for every one year of installment payments made; provided, That this right shall be exercised by the Buyer only once in every five years of the life of the contract and its extensions, if any.

(a)(通常の期限が過ぎても)猶予期間内に未払いの割賦金を支払った場合、(通常は利子がつくところ)追加的な利子負担を免除される権利が、契約期間内の5年間に1回、購入者に認められる。

 

(b) If the contract is cancelled, the seller shall refund to the buyer the cash surrender value of the payments on the property equivalent to fifty percent of the total payments made and, after five years of installments, an additional five per cent every year but not to exceed ninety per cent of the total payments made; provided, that the actual cancellation or the demand for rescission of the contract by a notarial act and upon full payment of the cash surrender value to the buyer.

(b)契約が解除された場合、売り手は購入者に対して、その物件に対するすべての支払いの半額と等しい金額を返金しなければならない。分割払いが5年を経過した後は、全体の90%を超えない範囲で毎年5%が追加される。ただし、上記の手続きに先立ち、公証手続きを伴う「実際の解約」や「契約解除の請求」および、購入者への解約返戻金の全額支払い(?)が必要

 

Down payments, deposits or options on the contract shall be included in the computation of the total number of installment payments made.

解約返戻金の計算のもととなる分割払いの総額には、頭金や保証金、その他のオプションに要した金額も含めなければならない。

 

SECTION 4. In case where less than two years of installments were paid the seller shall give the buyers a grace period of not less than sixty days from the date the installment become due. If the buyer fails to pay the installments due at the expiration of the grace period, the seller may cancel the contract after thirty days from receipt by the buyer of the notice of cancellation or the demand for rescission of the contract by a notarial act.

第4項、分割払いが2年未満の場合、売り手は購入者に対して支払いの期日から60日間以上の猶予期間を与えなければならない。もし、購入者がこの猶予期間内での支払いに失敗した場合、購入者から解約通知受領もしくは公証手続きを伴う契約解除の請求から30日間を経過した後に、売り手から契約解除することができる。

 

SECTION 5. Under Section 3 and 4, the buyer shall have the right to sell his rights or assign the same to another person or to reinstate the contract by updating the account during the grace period and before actual cancellation of the contract. The deed of sale or assignment shall be done by notarial act.

第5項、上記第3項および第4項に基づいて、猶予期間中(正式な契約解除の前)であれば、購入者は自分の権利を売却したり、他人に同じ権利を譲ったり、アカウントを更新することで権利復帰する権利を有する。その際、売却もしくは譲渡については、公証手続きを行う必要がある。

 

SECTION 6. The buyer shall have the right to pay in advance any installments or the full unpaid balance of the purchase price any time without interest and to have such full payment of the purchase price annotated in the certificate of title covering the property.

第6項、購入者は割賦の全額や未払いの残高、および登記簿に記載された金額の全てを、いつでも利息なしで前払いする権利を有します。

 

SECTION 7. Any stipulation in any contract hereafter entered into contrary to the provisions of Sections 3, 4, 5 and 6, shall be null and void.

第7項、いかなる契約上の規定も、上記第3項,第4項,第5項,第6項の規定に反して締結された場合は無効となる。

 

SECTION 8. If any provisions of this Act is held invalid or unconstitutional no other provision shall be affected thereby.

第8項、この法律の条項が無効または違憲とされた場合であっても、他の規定は、それによって影響を受けない。

 

SECTION 9. This Act shall take effect upon its approval. Approved August 26, 1972.

第9項、この法律は、1972年に承認されました。この承認に基づき、施行される。

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いかがでしょう?かなり使える法律だと思いませんか?

なお、APHOC会員でフィリピン不動産の購入をキャンセルした事例でいうと、

 

○DMCI社…既支払額の半額から、さらに「マーケティング費用、ペナルティ等」をひかれて、既支払額の35%ほどの返金額となる。

○Century社…ぺナルティ等は減額されず、そのまま「既支払額の50%」が返金されるが、6回の分割、先日付小切手での返金となる。

 

なお、デベロッパー、仲介会社によっては、Maceda法に基づく割賦金払い戻しを極端に嫌がる会社もあるようです。この件でご相談がある場合は、APHOC事務局にご相談くださいね。お問い合わせはこちら

 

タイで同じことやりたい場合、こちらも参考までに・・・

タイの不動産デベから返金を勝ち取る方法

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こんなはずじゃなかった…東南アジア不動産編

おはようございます、Manachanです。

このブログは、不動産投資がメインのテーマですが、ここ数日、他の話題が続きました。初心に返って、不動産の話題に戻りますね。

私がパートナーの坂口と、「アジア太平洋大家の会」を立ち上げた2011年頃、海外不動産といえば「東南アジア新興国のコンドミニアム」でした。特に、東日本大震災がきっかけとなり、日本の富裕層の間で「海外に資産を持ちたい」ニーズがにわかに高まった時期は、まずマレーシアのコンドミニアムがバカ売れしました。次いで、ブームはタイ、フィリピンへと移り、今ではカンボジアやベトナムの物件を買う人も増えてきました。

日本で販売される東南アジア物件の多くは、「プレビルド」とよばれる予約販売です。それも、3~4年後に完成する物件を「先物買い」するスタイルが主流です。私や坂口、そして数十名の会員は、2011~12年頃から、東南アジア各国のプレビルドを買ってきましたが、それが完成する時期は大体2014~15年になるわけです。

遠い海外で、3~4年も後に完成する物件を買う投資・・・買った当時は、何もない、更地だったわけですが、実際、建物が建って引き渡しを受けてみると、この種の投資の、いろいろな課題や問題点が見えてきます。

後知恵ではありますが、いま振り返ってみると、「東南アジアで、数年後を見据えて正しく投資判断するって、むちゃくちゃ難しいなあ」というのが正直な実感。

とにかく、変化が速い!建物ができるまでの3~4年間で、物件周辺の環境が激変してしまうのです。典型的な変化とは、ずばり、「数年後、自分の買った物件の周辺にコンドミニアムがバカスカ建ちまくって、ライバルだらけになる」…こんな感じで。

 

2011年、経済発展著しい東南アジア某国の首都でコンドミニアムをプレビルドで購入。周囲は貧相な低層住宅の広がるなか、超近代的なコンドミニアムが建つ予定。現状まだ更地だが、前途洋々に見える。完成は3年後、2014年の予定。

2012年、現地はまだ更地で、基礎工事さえ始まっていない。デベロッパーは、住戸が全部売れてお金を集めてから工事に着工したいようだが、果たして予定通りに建つのか、少し不安になる。物件周辺では、他デベロッパーによるコンドミニアム開発計画が、次から次へと発表される。

2013年、ようやく、基礎工事が始まる。周辺では、他デベロッパーによるコンドミニアムの工事があちこちで始まってきた。街のあちこちでクレーンがひっきりなしに動いている。

2014年、15階まで完成。しかし、本来ならすでに最上階まですべて完成&引き渡しのはずなのに、予定した工期から6~8か月は遅れている。周辺はすでにコンドミニアムだらけ。こんなに部屋つくって、需要はあるのかと不安になる。

2015年、予定より9か月遅れで、晴れて物件完成&引き渡し。それなのにプールやクラブハウスなど共用施設はまだ工事中で使えない。この状態じゃ、賃貸に出せない。共用施設が完成しても、周囲にライバル物件がむちゃくちゃ多くて、我が物件を選んでもらえるかどうか自信がない。

 

私も物件買ってる、タイ・パタヤを例にとってみましょう。私は2012年にプレビルドで買いましたが、2012~14年にかけてのコンドミニアム建設ラッシュで、パタヤ全域で住戸が大量に供給されました。2007年から通算すると181プロジェクト、6万3千戸の新規供給があったそうで(リンク)、パタヤの人口規模(30~50万人)を考えればまさに供給過剰。特に、パタヤ市街地からプラタムナックの丘を越えて、南側のジョムティエン地区での供給数が凄まじかった。

ジョムティエン地区は、静かなビーチと、あまり賑やかとはいえない中心街があり、そこを少し離れると、「えっ、こんな場所、誰が住むの?」と言いたくなるような何もない地区になりますが、土地の仕入れ値が安いのか、そういう不便な場所ほど、地域の実力に不釣り合いな高層コンドミニアムがバカスカ建ちまくるのが、新興国でよくある現象です。

すると、どうなるか?必然的な帰結は、「二極化」。勝ち組物件と負け組物件の差が激しくなるのです。街の中心部とか、郊外でも人々に選ばれる要素を持つオンリーワン物件に人気が集まり、そうでない物件は賃貸も転売も著しく苦戦するのです。

 

中心部はともかく、ジョムティエン地区で生き残れるコンドミニアムって、全体のどれ位あるんだろう?

pattayamap

 

マレーシアの首都クアラルンプールでも、ここ3~4年、都心部KLCC地域で、驚くべき数のコンドミニアムが供給されました。街のスカイラインが変わってしまうほどの豪快な建ちっぷり。確かに活気は感じますし、都心のコンドミニアムに住む人も増えていますが、問題は、需要以上の戸数が供給されてしまうこと。2013年7月に訪問した当時すでに、KLCCのコンドミニアム空室率は30%といわれていました。今でも続々と建ってますから、空室率はさらに上がっていることでしょう。

すると、どうなるか…都心部の過剰供給で家賃に下方圧力がかかると、それが郊外に波及するのです。

都心部コンドミニアム:想定家賃では貸せないが、下げればなんとか貸せる。

郊外コンドミニアム:家賃下げても貸せない。比較的安いコストで都心部に住めるから、郊外に間借りする意味がそもそもない。

KLCC周辺。確かに発展著しいが、ほとんど人が住んでないコンドミニアムも相当数混じっている。

kualalumpur

日本国内の事例でいうと、2005~07年のミニバブル期に、国内外のファンドが投資用ワンルームマンションを建てまくって過剰供給になった福岡市で、リーマンショックを機に家賃相場が大崩れする現象が起きました。

ミニバブル前は、福岡市都心部(天神、博多など)の相場家賃が月額5~6万円、それを高いと感じる人々が郊外(香椎、大橋など)で月3万円くらいで借りていたものですが、

リーマンショック後は、都心部の家賃が月額3万円台に下がりました。ファンドがお金かけて建てた、新築でオサレなワンルームが余りまくり、需給バランスが崩れて完全に借り手市場になりました。すると、郊外から中心部へ引っ越す人が増えたのです。3~4万の家賃で便利な都心に住めるなら、普通そうしますよね。

その結果、都心部は家賃相場下がったけどとりあえず埋まる。一方、郊外で特色のないマンションは、さらに空室・値崩れがひどくなったのです。西鉄井尻の駅前、「家賃1万円台激安ワンルーム」の募集広告が並ぶ不動産屋はまさに壮観。

 

国・都市は違えど、都心部で物件過剰供給が起こったら、2008年の福岡市と同じ現象が起こるのは明白。クアラルンプールでも、都心部から少し離れた郊外コンドミニアムの入居づけが、特に苦戦していると聞きます。投資物件である以上、想定賃料が下がれば、当然、売却価格も下がらざるを得ません。

もっとも、クアラルンプールの場合は、コンドミニアムに住める財力のない、平屋住まいの庶民が大半を占めており、彼らの経済力が上がれば郊外コンドミニアムにも住んでくれる時代が来るかもしれませんが、そこに至るまで、あと5~10年はかかりそうな気がします。融資組んで買ってる人も多いから、庶民の購買力が上がるまで待ってられない人もきっと多いよね。

マレーシア、タイに限らず、フィリピン、カンボジアなど、いろんな国で、同様の問題が起こっています。個別の事例をみていて、国は違えど、問題の構造は驚くほど似ていると感じます。

 

経済成長が続く東南アジアでも、不動産買うなら物件個別の見極めが大事なのは論を待ちません。将来的には、日本のように、ビッグデータの解析が進んで、「駅力分析」とか、「築年数と駅距離からみた適正相場」みたいなツールが開発され、投資判断もしやすくなるでしょうが、現時点では、まだデータも整備されていません。この面で、もっと日本の投資家のお役に立ちたい、歴史に残る良い仕事をしたいと、常に思っているのですが…

東南アジアの場合、現時点では、「失敗事例から学ぶ」というのが、物件選びを間違わないための、最も有効な方法のような気がします。皆様のお役に立てるよう、こんなセミナーも企画しました。ご興味ある方は是非。

10月9日(金)19:00~ 「海外不動産の失敗事例共有セミナー@東京

 

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世界一住みやすい街バンコクへ…

おはようございます。Manachanです。

「住みやすい国ランキング」、「住みやすい都市ランキング」とか、世の中たくさんありますよね。たとえば、

英モノクル誌で、東京が世界一住みやすい都市に
住みやすい国ランキング、シンガポールがトップに。Internation調査

これって、話のネタとか、アクセス数稼ぎには良いですけど、実利的な意味はないと思います。調査機関によって順位が全然違う上に、一人ひとりの嗜好も違う…という真っ当な指摘もありますが、それ以前に、

一人当たりの医療施設とか、公園の面積とか、生活利便施設の数とか、犯罪発生率とか、そういうものを基準に居住地を選ぶ人間はほとんどいない。

と思うからです。たとえば、日本の都道府県で住みやすいランキングの類が昔からあって、北陸地方の福井県、富山県、石川県がいつもトップクラス、首都圏の埼玉県や千葉県がいつも最下位クラスの定番なのですが、

じゃ、ランキング上住みやすいからといって、埼玉や千葉の人間が北陸に移住するのか?というと、話は全然別で、いまこの瞬間にも、北陸出身者が首都圏に移住して、埼玉県民や千葉県民になっているはずです。

1999年に、経企庁の「豊かさ指標」で最下位になった埼玉県の土屋知事が猛烈な抗議を行い、このランキングは翌年から発表されなくなった…という話もありましたね。

 

ま、そんな感じで、住みやすいランキングの意味はなく、一人ひとりの考えが大事だと思うのですが、私にとって、住みやすい街とは、どんなイメージなのかというと、笑っちゃうくらい機能的、物質的な基準でして…

・買い物が超便利。徒歩10分圏内で生活に必要なものが全て揃う。
・交通が便利。国際空港や鉄道のターミナル駅が近くにあって、世界中どこにでもすぐ行ける。
・物価が安い(月5万円くらいで便利な場所に家借りられるイメージ)
・外食の選択肢が豊富で、安くてうまい(東~東南アジアの都市は、どこも合格。南欧やトルコもOK。)

逆に、それさえあれば、公園とか福祉とか環境とかは二の次でいい、というのが私の感覚。便利な都会に住んで、交通機関使って自然豊かなところに行けばいいだけだもんね。

治安面だって、私は男なのであまり高い要求はありません。世界中の恐い場所たくさん行ってるので免疫もできてしまったし…

衛生面だって、バックパッカー上がりの野郎ゆえ、あまり高い要求はありません。ゴキブリが出るような小便臭い安宿にも平気で泊まれてしまいますし…あと、胃が丈夫で、新興国・途上国で屋台メシを手当り次第食っても、お腹を壊したことが人生で2回しかないので、この面での要求水準も高くありません。

日本語や英語が通じる…必要もありません。世界中どこに住んでも、私はしばらくしたら現地の言葉覚えて馴染んでしまう体質の人間ですので。

一方で、私は時間がない人ので、「買いたいものが、すぐそこで手に入る」、「行きたいところに、すぐ行ける」という意味での利便性はとても大事。こういう条件がなければ、いくら自然豊かで社会資本が充実してても、暮らせません。

 

上記の視点から、私にとって世界一住みやすいと思う街は、

タイのバンコク

です。とにかく便利ですもん。街中、どこを見てもコンビニだらけ、ATMマシンだらけ、スーパー、デパートたくさん、消費物資は豊富。電車もある、タクシーは安い、国際空港はワールドクラス。それに、ローカルめしはうまい、安い!

近隣諸国の首都、ヤンゴンとかプノンペン、ハノイあたりに比べても、生活利便性は雲泥の差ですね。シンガポールも便利ですけど物価はバンコクの方が断然安い。クアラルンプールやマニラあたりは魅力的ですが、便利さや、安くてうまいローカルめしの豊富さではバンコクに軍配があがる。

東アジアだと、東京、福岡、香港、台北あたりが好きですけど、バンコクの利便性はどの街と比べても遜色ない上に、物価の安さは群を抜く(余談ですが…バブル時代の東京より、今の東京の方が断然住みやすいと思う私。)

私にとっては、至高の価値を持つ都市・バンコクに、今晩、行ってきます。明日はバンコク市内ラチャダーの土地局で登記してきます♪

 

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