おはようございます、Manachanです。昨日は子供を都内の英語補習校に連れていったその足で福岡に飛び、ダブルヘッダーでセミナー講演&講演会、JAL最終便で東京に帰りました。今日は自宅でゆっくりしてます。
今回のテーマは、語学の学習法。先日、友人から「外国語をマスターする秘訣は何かありますか?」と聞かれたので、私が普段考えていることをブログに書いてみます。
私は日本語環境で育ちましたが、海外で長年暮らしたおかげで、複数の外国語ができます。かつて5年間過ごしたオーストラリアでは職場で英語を覚え、中国・台湾では3年間暮らし、こちらも職場で中国語を覚えました。いずれの言葉もビジネスで使えるレベルになっています。
また、韓国語とタイ語に関しては日本で暮らしながら学習を進めており、まだビジネスレベルではありませんが、中級程度(自力で辞書をひきながら、文章を読んだり書いたり、ネイティブと簡単な会話ができるレベル)には達しています。
「中級」レベルまでできれば、とりあえず「〇〇語ができます」と言って良いと私は思っているので、その定義でいけば日本語を含めて「5ヶ国語ができる」状態になりました。
なぜ、言葉をそこまで覚えられたのかといえば、私自身、外国語学習が好きだし、また言語習得に適した脳を持っている…という面もありますが、
そこまで外国語が好きでも得意でもない人にも役立つ「言語習得の方法論」みたいなものは、多分あると思います。いろいろな言葉を覚えれば覚えるほど、外国語習得の上で何が効果的で、何が無駄なのかが、直感的に分かりますので…
ある言語で育った人が外国語を学ぶメカニズムって、どんな構造をしているのでしょう?ここでは、経営コンサルティング、マーケティング手法としてよく使われる「SWOT分析」の枠組みを使って、「見える化」してみましょう。
SWOTとは、何でしょう?一言でいえば、
「何らかの目的」を達成する上で、
S=Strength (自分の持つ)強み
W=Weakness (自分の持つ)弱み
O=Opportunity 機会(=好ましい外部環境)
T=Threat 脅威(=好ましくない外部環境)
この4つを整理し、やるべきことの方向性を導き出す手法です。
たとえば、「日本の電機産業が、いかにして、今後も継続的に発展していくか?」というテーマでいうと(一般論になりますが)、
主語:日本の電機産業
目的&動機:継続的な成長、競争力維持発展
S(強み)=技術力、資本力、豊富なビジネス経験
W(弱み)=人件費等コストの高さ、組織の意思決定の遅さ
O(機会)=新興国の購買力向上と、根強い「日本ブランド」信仰
T(脅威)=中国、韓国などライバルの技術力、資本力向上
上記の分析から導き出される方向性は、例えばこんな感じになります。
⇒S(強み)が活かせて、かつO(機会)が豊富な事業分野に特化する。
⇒W(弱み)であり、かつT(脅威)が多数存在する事業分野から撤退する。
⇒O(機会)が豊富だが、W(弱み)である事業分野の強化策を考える。
⇒S(強み)が活かせるが、O(機会)が乏しい事業分野の、市場開拓策ないし段階的な撤退策を考える。
SWOTの枠組を、「外国語習得」に応用してみると、会社・産業経営と比べれば、ライバルや同業他社を気にしなくても良い分、ずっとシンプルになります。ここでは、「外資系企業に勤め、人事異動で突然、英語を使う部署に配属された日本人課長Aさん」を例にとってみましょう。
主語:自分
目的&動機:業務レベルの英語習得(eg.メールや電話会議をこなせるだけの英語力の習得)
S(強み)=受験英語の経験がある。
W(弱み)=英会話の経験が乏しい。。
O(機会)=新しい部署で能力を証明できれば、社内での評価が上がる。
T(脅威)=日常業務に忙殺され、英語学習の時間がなかなかとれない。
こんな感じで英語学習の必要に迫られている方は、いま、かなり多いと思います。ここで、私からAさんにアドバイスするとすれば、
民間企業で働くビジネスマンなら、「業務を、期限までに仕上げなければならない」という行動パターンに馴染んでいますよね?それを、外国語学習にも活かすと効果が上がるはず。
ここで難しいのは、会社で馴染んだ業務と違って、英語(外国語)学習はキリがないこと…ですので今後、自分が英語を使うであろう状況をよく考えて、「どんなコミュニケーションを、どの程度までできるようになればOK」と決める。そして期限も設けた方が良いと思います。例えば、
今年7月までに、
・部署の担当業務や組織体制を、外国人上司に英語でプレゼンできるようになる
・想定される質問に対して、英語で受け答えできるようになる
・外国人のいる懇親会で、自分の家族や趣味、日本経済や東京五輪に関する会話を、英語でできるようになる
そういう具体的なイメージをした上で、目標に向かって一点集中型で学習を進めるのが良いでしょう。それ以外は大胆にバッサリ捨てる。流暢さとか発音文法の正しさにこだわるとかも枝葉末節なのでこれも捨てる。「あれも、これも」は、外国語習得の大敵だと思います。
また動機面に関していうと、「自分が英語できるようになりたい」気持ちの他に、「自分が英語使えないと部署の仕事が回らないから、皆のために頑張る」といった、他人視点の動機を加えるとさらにモチベーションが上がります。人間は社会的動物であり、「他人に役立つ、認められる」ことをエネルギーの糧にする生き物。「自分一人のため」なら自分に負けやすくても、他の誰かのためになれば多少辛くても頑張れるものです。その意味では、自分が英語学習を頑張っていることを、周りに「公言」した方が望ましいでしょう。
何事もそうですが、「得意分野を伸ばすこと」は、「苦手を克服する」よりも何倍も効率が良いし、楽しいものです。「英語が苦手」と思わず、「自分の得意分野にフォーカスして、そこに英語を乗せていく」という考えでいた方がずっと良い。
ビジネスマンなら誰でも、仕事の上で得意分野、知識の豊富な分野があるはず。例えば「会計経理の業務が得意で楽しい」と思える人なら、「当社の仕訳項目」とか「減価償却資産の実務上の計上ルール」とか「試算表の作成」などについては日本語で完璧に理解・説明できるはずです。そうした「すでに自分の頭に日本語で入っていること」を英語で表現してみることは、何か新しい英単語を学ぶよりずっと簡単だし、能力が発揮しやすいです。
今では会計経理用語の日英辞書は、Webでいくらでも見つかりますし、書籍もいろいろ出ています。実践の機会を得たければビジネス向けの英会話教室がたくさんあります。「書いて覚える」のが得意な人なら、自分のペースで学習しても良いでしょう。
最後に例として、いま私が取り組んでいるタイ語学習についてSWOT分析してみました。「できるだけ具体的に」、これが大事ですね。
主語:自分
目的&動機:7月中旬より、タイ・バンコクで不動産市場調査をすることになった。私はプロジェクトチームのなかでタイ語担当なので、7月までにタイ語の辞書を引きながら不動産広告や雑誌を読んで理解できるようになり、かつ不動産投資、売買賃貸に関する簡単な会話がタイ語でできるようになる必要がある。
S(強み)=英語、中国語、韓国語の学習に成功した体験がある。中国語の「声調」ができるのでタイ語の発音にそのまま使える。不動産用語を、日本語や英語で概念としてすでに理解している。
W(弱み)=タイ語を系統的に学習した経験がまだない。
O(機会)=エキサイティングなプロジェクトに携わり、かつ自分の語学能力が活かせるチャンスがある。
T(脅威)=日常業務に忙殺され、タイ語学習の時間がとれない可能性がある。
アクション)
・7月まで、タイ語のマンツーマンレッスンに通う。仕事が不定期なので、週2回、3~4時間を目途に、時間が空き次第レッスン予約を入れる。
・タイ語のレッスンは、「文法・語法」と「ビジネス会話」だけにフォーカスする。それ以外は捨てる。
・タイ文字を読まなければ仕事にならないので、とにかく文字をたくさん書いて身体で覚える。
・マンツーマンレッスンを活かして、タイ語の不動産用語をどんどん覚え、実践で使えるようにする。
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