日本人ファーストを選挙スローガンとして大躍進した政党がいます。今こういうスローガンが選挙で受けるのは理解できます。アメリカでトランプは選挙に勝ち、欧州各国でも反移民スタンスの政党が大躍進してます。日本でも外国人労働力という名の実質的な移民が増えています。つい最近まで基本的に日本人ばかりだった地域社会が変わり、外国人住民がいつの間にか大いに増えた。そして外国人ツーリストは日本の津々浦々どこでも見かけるようになった。地域によっては日本人と外国人のパワーバランスが崩れたように感じる人、居心地の悪さを感じる人も増えている。参政党が打ち出した日本人ファーストはそういう人々の心に刺さって、参院選の比例で700万票以上を獲得、野党第一党をうかがうまで大躍進したのも、日本の文脈を考えるなら社会現象として理解はできます。
いまさら欧米や日本で「多文化共生」なんてもはや政治的に力を持たないことは受け入れざるを得ない。その反対の日本人ファーストのポジションをとった方がずっと票になる。でも、国際結婚家庭を営んで暮らす私にとって「日本人ファースト」なるスローガンが気持ち悪いという感覚は、少数意見だと分かりつつも動画で訴え続けます。動画をきっかけに一人でも理解、共感してくれればよいと思うのでやり続けます。
「日本人ファースト」を心酔する人たちに対して私が感じる気持ち悪さは、余りにも他者の眼差しに対する意識が無いこと、大人としてあり得ないレベルで無邪気すぎることです。
我が家は国際結婚ファミリーで、私は日本人ですが妻は外国人です。2人の子供たちは日本国籍を持ちますが所謂ハーフです。そういうバックグラウンドを持ちながら、みんな日本に住んで、立派に社会生活を営んでいます。日本人ファーストという言葉は、増え続ける外国人にやられている、負担を強いられていると感じているローカルな一般ピープル日本人をもっと優先しろという考え方だと思う、その政治的立場は分かるし、外国人が増える日本で、外免切り替えの厳格化とか、安全保障を根拠にした外国人土地取得の規制とか、税金の滞納を在留許可と連動して運用するみたいな合理的な規制はどんどんやるべきですけど、
我が家みたいな日本在住の国際結婚家庭からみると、日本人ファーストはたった4人しか居ない我が家を分断する考えだと私は直感的に感じますし、国籍を問わず日本社会を支えている生活者を分断する考えだと感じます。日本人ファーストを支持するのはいいけれど、それに違和感を持つ私みたいな者は日本社会のなかに少数だけど居るはずで、日本人なら誰もが同意できる考えじゃないのだという想像力と知識を持って欲しいです。そして日本人ファーストという便利な言葉を使って票を集めておきながら、ヘイトじゃない、外国人差別には反対みたいなことを平気で言う政党に、論理的に考えておかしいでしょという感覚を持って欲しい。
特に私が違和感を覚えるのは、民間企業の経営者として結構成功しておられる方のなかに、参政党や日本人ファーストを手放しで称賛する人が少なからずいること。彼らに共通するのは、ビジネスという経済活動で成功している。つまりお客様や得意先の信頼はしっかり勝ち取っているけど、これまで政治や社会にはそんなに興味を持ってこなかった。あまり深く考えて無かった。いわゆる人文科学、リベラルアーツに興味が無かったタイプの人が多い。
で、最近参政党が出てきて、日本人ファーストというスローガンを出してきた。ようやく自分の心を代弁する政党が現れたということで熱烈に支持する、SNSでそれを公言する。政治思想はもちろん個人の自由だけど、本当にそれでいいの?立派な経営者なのに日本人ファースト大賛成みたいな無邪気さを公に出しちゃっていいの?と私は感じます。だって、経営者って社会のなかにいろんな人が居ることを前提にビジネスをやっているんでしょう?発言において他者の眼差しに対する意識は必要なはずです。良い歳をした大人が無邪気だったり、日本の政治や社会について当たり前の知識が欠けていることをさらけ出す発言をするって、客観的にみてそんなに褒められたことじゃないと思います。
参政党ってこれまでいろんな主張をしてきました。反ワクとか自然農法とか、ジャンボタニシとか、いろんな言説を繰り出してきましたが、結党以来、一本筋が通っているのは反グローバリズムという、この一点のみ。この反グローバリズムがビジネスの自由とどこまで共存できるか分かりません。まだ未知数です。
確かにいま参政党や保守党が躍進してます。支持者は当然、日本人ファースト政策の実行を支持者が期待するでしょう。合理的な政策なら私も賛成しますけど、それだけで済むでしょうか?日本人ファーストやってくれよ、外国人来ないようにしてくれよ、という支持者の声にこたえて、インバウンド旅行客の総量規制とか、永住権や帰化の禁止とか、言ってくるかもしれません。
参政党って、自分でつくる、DIYを身上としてますね。日本国憲法原案も自分でつくる・・その意気込みはいいんだけれど、これまで人類が蓄積してきた知見とか、そこで得られた常識とかをハナから無視することが多い。リベラルアーツに無関心、というか無知…それが参政党の特徴だと思います。参政党の憲法草案を読みましたが、言っちゃ悪いけど憲法の体をなしていない、たたき台にすらならないと感じました。
あと核武装が安上がりだと言った参政党の議員も居ましたね。別にどんな考え方を持っても自由ですが、戦後のNPTつまり核拡散防止条約の歩みと日本が果たしてきた役割を踏まえるなら、いまの日本にとって核武装が現実的なプランなのか、例えばNPTを脱退する覚悟があって、そのリスクを想定した上で言っているのか、そこまで言えないと国会で議論するレベルにはならないでしょう。
先日の予算委員会だって、参政党の神谷党首がこんなことを主張しました。日本国はトランプ政策を真似してSDGs政策の廃止、パリ協定を含む脱炭素政策の廃止、WHOの脱退、ウクライナ支援の見直し、DEI政策の廃止などをやることで関税交渉で有利な条件を勝ち取れみたいなことを言いましたが、日本は独立国家だからそんなことは一切しませんと石破首相に一蹴されてました。私は石破首相が嫌いですがこの一件に関してはさすがに石破首相に分があると思いました。
つまり参政党はこれまでの人類の知見を無視する政党だから、何を言ってくるか分からない。常識の無さから、アンチビジネスなことを言ってくるかもしれない。そういうところが私は気持ち悪いと感じるし、参政党を支持するなら経営者としてちゃんと考えるべきだと私は思います。














最近のコメント