こんにちは、Manachanです。バングラデシュ・ダッカでの、2泊3日の不動産視察を終え、帰国の途についたところです。
バングラデシュ…日本の約4割しかない国土に、日本を2割も上回る約1億6千万人が暮らす世界一の過密国家。独立して40年余り、平均年齢も若く、本格的な経済成長が始まって間もない段階で、伸びしろ抜群…この類まれなるスペックは世界中のビジネスマン、投資家を魅了して余りあります。
特に、「平均年齢20代の人口が、1億6千万人もいて、まだ増えている」という状況は、居住・ビジネス需要をおカネにしたい不動産投資家にとってはまさに垂涎の的。その意味では、こんな素晴らしい国、世界中探しても滅多にありません。
もっとも、「儲かりそう」と「住みやすそう」は、全く別の話です。遠い将来はともかく、現時点でバングラデシュの首都ダッカは、逆立ちしても「万人に住みやすい」環境とはいえません。快適、衛生、安全アメニティといった言葉とは、おおよそ対極にある、概ねどこもカオスでゴミだらけの状態。整備された富裕層エリアでさえも、一歩外に出れば生ごみとスパイスの臭いの混じった、「生ぬるい微妙な風」から逃れる術はありません。
清潔、衛生にこだわる人にとっては、間違いなく「超絶住みにくい」環境です(私は、汚さや臭さに免疫がある体質なので無問題ですが…)。
そのダッカで、平均的な日本人がなんとか許容できるレベルの近代生活をしようとすれば、かなりのお金がかかります。具体的には、グルシャン、ボナニ、バリダラ、ウッタラなどモダンな街の、近代的なコンドミニアムに住み、スーパーマーケットで輸入食品を買い、クルマ・運転手付きという生活。そのコストは少なくとも、バンコクやクアラルンプールよりはるかに高くつくでしょう。下手したら東京より高いかもしれません。なぜなら、
1)移動するために車と運転手コストがかかる。
今のダッカは、近代的な電車もない(屋上に人が鈴なりになる超満員バングラ国鉄ならあるけど…)、タクシーも滅多にない、交通機関はリキシャ(人力タクシー)、CNG(天然ガスタクシー)とローカルバス(ベンガル文字読めないと乗れない)だけなので、結局、自家用車ないと満足に身動き取れません。
しかも、4車線の道路に平気で6列並び、隣の車と隙間10㎝くらいですれ違うカオスな交通状況なので(ボコボコに凹んでる車多し)、自分で運転は論外。結局、運転手コストがかかるわけです。
2)衛生的な食事を求めるとコストがかかる。
安いストリートフードが豊富なバングラデシュ。でも衛生的とは言い難く、あれを抵抗なく食べられる日本人は少ないでしょう。一方、近代的なスーパーマーケットで買うと輸入品が多く、値札は日本の感覚とほとんど変わりません。外食で日本料理も食べられますが、バンコクあたりと比べてバラエティ少ないし値段も張ってしまいます。
バングラデシュを含め、ミャンマー、カンボジアなど、後発の新興国に共通する傾向として、モノ・サービスの価格が極端な二重構造になりやすい。低所得の一般ピープル向けの物価は激安な一方、富裕層や外国人の求める近代的・文化的生活に必要なモノ、サービスの供給が圧倒的に足りないし、インフラ整ってない分も価格に転嫁されるので、結果的に高くなってしまう。
バングラデシュと比べて、日本人にとって圧倒的に馴染みやすい環境のミャンマーやカンボジア、ラオスも、「物価の二極分化」が起こっている点ではほぼ同じ状況です(バングラと経済レベル似てますからねえ…)
一方、タイやマレーシアぐらい経済発展してくると、近代インフラが整備され、そのインフラを使ったモノ、サービスの提供も多く価格競争も起こるので、結果的に「安くて、それなりにまともなもの」が多くなります。タイ、マレーシアが日本人ロングステイ人気で上位の常連なのも、「まともなクオリティのモノが安い」ことが大いに影響しているのでしょう。
近年のバングラデシュが経済発展しているのは間違いないです。勢い、スピード感も十分。特に、ダッカ都心部のグルシャンあたりの景観は、近代的なビルやマンションが林立するエリアが延々と続き、極めて都会的。巨大ショッピングセンターがいくつもありますので、ミャンマーやカンボジアの一等地よりさらに都会でしょう。
でも、グルシャンの超都会なロータリーから2分歩くと、未舗装の道路に牛やヤギが闊歩して、糞をたれまくったり、大量のゴミが投棄されたりしているのです。
バングラデシュ(ダッカ)が、今のタイ、マレーシアのレベルで住みやすくなるためには、まだ道遠し。インフラ整備やモラルの改善含め、少なくとも10~20年の時間がかかるでしょう。ですが、その「出遅れ」こそ、不動産投資の意味では美味しかったりするのです。
面白いことに、バングラデシュには、「投資用マンション」なるものが、現時点でほとんど皆無です。これは、ASEAN諸国と著しく違う特徴でしょう。
マンション自体は、ダッカ都心部を中心に、たくさん建っています。というか、この街は驚くほど集合住宅だらけで、ものすごい密度です。で、ほとんど全てが実需用なのです。バングラデシュの人々が、自分で住むために買ってるのです。そこには、この国特有の事情があります。
1)外国人がほぼ流入していない。
バングラデシュに入国する外国人は、年間50万人に満たない数。2000万人来ている日本と比べると、40分の1…東京の街で、一見日本人に見えても実は中国人、韓国人、ベトナム人だったというケースはたくさんありますが、ダッカの街で見かける地元民はほぼ全てバングラデシュ(ベンガル)人と言って差し支えないでしょう。
2)人口大国なので内需が十分ある。
バングラデシュは、人口1億6千万人。その大人口が職やチャンスを求めてダッカに集まるため、すでにダッカ都市圏は2000万人近くが暮らすメガシティ・・・住宅供給が人口増加に追いつかず、ガンガン建てても人がすぐ住みます。
モノ・サービスの価格が極端に二極化しているのと同様、今のダッカでは、住宅市場も二極化しています。お互いに隔絶した「富裕層向け住宅」と「庶民層向け住宅」の二つのマーケットがあり、平気で価格差10倍以上する世界。
その富裕層向け住宅地は、ダッカ中心部~北部の、便利で整備された場所に集中しています。彼らの多くはマンションに住み、建坪150~250㎡の、4~5部屋の大きな部屋を好んで買います。価格は場所によりますが、いま絶賛開発中の「ボシュンドラA~D地区」の場合、分譲価格1500~3000万円がボリュームゾーン。
一方で庶民層は、家など買えません。よしんば買えても価格はその10分の1以下でしょうから、まさに「貧富の隔絶した世界」があるのです。そして、富裕層の住宅マーケットは、年々、成長しています。
富裕層の実需住宅が、投資物件として出回ることは、まだ一般的ではありません。出回ったとしても賃貸利回り低いですから、投資妙味はありません。でも逆にいえば、
・土地を仕込んで、上物を建てて、富裕層の実需住宅を売る「デベロッパー」が、個人投資家の資金レベルでできる。
という、「一番美味しいとこ取り」ができるのが、今のバングラデシュなのです。言い換えれば、
日本の個人投資家が、いわゆる「不動産投資」ではなく、「不動産事業」をやって大きな利幅が期待できるのが、今のバングラデシュ。
タイとかマレーシア、いやベトナムでさえも、今から住宅をデベロップするには、大きな資金が必要となります。それは個人投資家の手の届くレベルではありません。だから多くの日本人投資家は、デベロッパー利益がたっぷり乗った価格で「プレビルドのコンドミニアム」を買わざるを得ないのです。
しかしバングラデシュは、まだ「不動産投資以前の段階」ですから、 自らがデベロッパーになって、数千万円~1億円程度の初期投資額で「不動産事業」を行い、平均40~50%といわれる「デベ利益」を取りにいくことができる・・・それが、他国にはない大きな魅力といえましょう。
では実際、バングラデシュでどんな不動産事業ができるのでしょう?次回に続きます。
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