各国不動産事情

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「なんちゃって日本語」業者にムカつく理由

こんばんは、Manachan@北京出張中です。

ここ北京では、エキサイティングな仕事と、素晴らしいグルメで充実の日々を送っておりますが、その話題は次回以降に回して、今回は「日本語コミュニケーション能力」のテーマで書きます。

海外不動産関連の仕事をしていると、普段使う言葉は英語か、物件所在地の現地語になることが多いですが、たまに、日本語が使えるケースがあります。不動産仲介業者、管理会社、弁護士…といった人々が海外在住の日本人だったり、あるいは日本語堪能な外国人であった場合がそれです。

「海外なのに相手が日本語使ってくれるなんてラクじゃん」と一瞬思うけど、甘い!彼らと日本語でメールのやりとりをしばらくすると、結構な違和感を感じます。端的にいうと「ムカつく」んです。

お互いの立場としては、彼らが「業者」で、私が「客」あるいは「客の代理人」としてやりとりすることが多いですが、彼らは日本の民間事業者なら「ありえない」レベルの、相手に嫌われるコミュニケーションをすることがあります。典型的なパターンは3つ。

1、「客の言い分を聞くより先に、自分の言い分を言う」
⇒(独白)そんなのお宅の事情で、客の知ったことじゃないだろ!と思う。

2.「自分が客に対してできることを言う前に、最初から”できません”を言う」
⇒(独白)いろんな制約があるのは分かるよ。でもそれ以前に、客のために何かできるのを考えるのがおたくらの仕事でしょ?と思う。

3.「相手に要求する時に、ストレートに言う」
⇒(独白)日本では「大変申し訳ありませんが、かくかくしかじかの事情で、~していただけたら幸いです」と前置きをするのが普通。内心で申し訳なく思ってなくても、相手に受け入れられるためのそれが最低限のマナー。

上の内容を、日本語じゃなくて、英語で言ってたら、多分そんなに問題はないのですよ。

私も英語圏で長年仕事してましたけど、業者が客に対して「自分の言い分から先に言う」、「要求をストレートに言う」のは普通だったし、最低限の礼儀ある言葉さえ使えば問題にはならない。

でも、業者が日本語を使って日本人客と話した瞬間、「磁場」が変わります。自動的に「日本の業者と客」の関係になり、TPOや相対的立場に応じたコミュニケーション能力が求められ、その観点から判定されて、好かれたり嫌われたりするのです。

業者側には日本社会で当然に求められる配慮や言葉遣いが、暗黙のうちに要求され、それができないと「使えねえ業者」、「失礼な業者」の烙印を押されるのです。

その点の機敏を、海外に長年住んだ方は、分からないことが多い。他の言語圏で暮らしている以上、仕方ないことではありますが、せっかく日本語を使ってサービスしても、日本語を適切なレベルで使いこなせないことのマイナスが目立ってしまうのです。

とはいえ私は、日本式のコミュニケーションが他の文化圏のそれより良いとか、優れているとかは、これっぽっちも思っていません。特に業者と客の関係になった時、日本のコミュニケーションはフェアじゃないと感じる面も多い。

日本語には、いろんなお作法があって、いろんな配慮をしなくちゃならず、面倒くさい。これが英語や中国語だったなら、どんなに楽だろうかと思うことも多々あります。

ですが、日本人を客としてビジネスをすると決めた以上、特にサービス業の場合、日本語コミュニケーションを高いレベルでこなす能力は、欠かせません。

サービス業は、人と人とのやりとりを通じて、価値が実現される産業です。言いかえると、相手を満足させて、良い気持ちにさせて、お金をもらう性質の仕事です。だから、貧弱なコミュニケーションで下手こいたら致命傷になる可能性がある。その点は極めてシビア。

〇「日本語で用件が伝えられるスキル」と、「日本語のやりとりを通じて相手を満足・安心させるスキル」とは、レベルが違う。

〇サービス業をやる場合は、暗黙のうちに、後者のレベルが求められる。前者のレベルしかないと、トラブル、クレームのもとになる

私は海外に長年住んだあと、日本に帰って客先常駐のプロジェクトマネージャーをやって、わがままで横暴な客とのやりとりに、かなり苦労しました。悔しい思いもたくさんしてきました。

その原体験があるから、声を大にして言いたいのです。コミュニケーションスキルが足りなければ、問題を直視して、克服しなければならないことを…
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タイの文化と人々が面白い…

おはようございます、Manachanです。いつもは不動産投資の話題ですが、今回は趣向を変えて、「語学と文化」ねたで書いてみます。

 

私は昨年4月に、東京・飯田橋の学校で、タイ語のプライベートレッスンを始めました。学習のきっかけは、昨年7月にバンコク、今年1月にパタヤ・シラチャーで不動産マーケット調査をするにあたって、タイ語の基本的な読み書き会話ができた方が便利という理由でした。実際、むちゃくちゃ役に立ちました。バンコク都心を少し外れると英語がほぼ通じない、タイ文字ばかりの世界になりますから。

で、蓋を開けてみれば、タイでの不動産マーケット調査が終わっても、相変わらず学習を続けています。先生にも恵まれ、楽しいから続けているんですよね。私は出張多い身ですけど、東京にいる時は、1~2週間に1度のペースで、2時間のレッスンを受け、その事前学習に2~3時間くらい費やしています。

40代半ばを過ぎると、記憶力が落ちてきて、「単語4つ覚えて、3つ忘れる」みたいな効率の悪さですが、自分のペースで学習続けていると、頑張れば文章もそれなりに読めるようになるものです。

 

私のタイ語は、いま中級レベル。「読み」を中心に学習しています。普段は、日本で出版されている「中級タイ語総合読本」と、

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タイ本国で外国人向け学習教材として出版されている「UTL (Unity Thai Language Shool、ユニティタイ語学校)」のプリントを併用しています。

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「中級タイ語総合読本」の方は、少し古風な教科書といった感じの読み物、タイの地理、気候、民族、観光地、家屋、結婚、家族、葬式など、スタンダードな内容を、当たり障りのない言葉で扱います。私が読むと、ちょっと退屈…

一方、UTLの方は対照的に、「生きたタイ語の読み物」。タイ人ライターが、皆さんの関心あるトピックについて、いま普通に使われているタイ語で書いた、1500字位のエッセイで構成されています。こちらの方は、読んでてとても面白い。ブロガーの知識欲、文章表現に対する興味を、十分満足させてくれる内容です。

これまで読んだUTLのエッセイのなかで、一番好きな文章がこれです。思い切り意訳して日本語で書きますね。

 

タイのやくざとヤンキー」(นักเลงโต)

昔、タイの農村ではどこも、「盗賊」が悩みの種でした。特に裕福な村では、いつ盗賊に襲われて大事な財産を盗られるか分からず、不安で夜も安心して眠れませんでした。警察など、ろくになかった時代でしたから、どの村にも、壮健な若者からなる「やくざ組織」があって、暴力には暴力で対抗することで、村人の財産を守っていたものです。

当時、タイの村々にいたやくざ者は、命知らずでケンカが滅法強く、人々の畏敬の的でした。また、子分や仲間がたくさんいて、ケチケチしない「気前の良さ」が身上でもありました。当然、暴力は振るいますが、村に欠かせない大事な役割を果たしていたのです。

時代は下り、社会が都市化・組織化されてくると、「古き良きやくざ者」の居場所が、だんだんなくなっていきました。今日のタイ農村では、「やくざ者」は単なる「チンピラ」「ヤンキー」の類に成り下がり、単に乱暴な連中というネガティブなイメージになりました。農村の生活は退屈で、若い身体を持て余してしまいますから、ヤンキーの兄ちゃんたちは、スリルと興奮を求めて、隣り村の水牛を盗むなどの悪さをします。なお、タイの近隣諸国でも、同じような「やくざ者」はたくさんいます。

 

読んだ感想…何だか、日本とよく似てますね。タイのやくざ者気質は、日本の「任侠の世界」を彷彿とさせます。「堅気には迷惑かけねえ」、ご近所に優しい「その筋の方々」は、今日でも日本各地にいますよね。

現代だと法律が整備されるので、彼らはどうしても「反社」指定されたりして、居心地が悪くなるものです。タイ版「農村ヤンキー」も、構図的には日本と似てますね。日本の田舎ヤンキー、さすがに水牛は盗まないけど、改造したバイク乗り回したりして、退屈な日々にスリルを求めようとしているわけで…

 

あと、この文章も好きです。

 

タイ人の教育」(การศึกษาของคนไทย)

昔、タイの農村には学校がありませんでした。子供たちは、掃除洗濯、炊事、野菜の育て方、家畜の扱い方など、生きていく上の知恵や技能を、親や年長者から自然と学んだものです。

当時は、「お寺」が教育機関の役割を果たした面もあります。タイは仏教の国ですから、仏教寺院はどの村にもあり、読み書きのできる「僧侶」がいます。男の子はお寺に住み込んで、お寺の仕事を手伝いながら、読み書きや礼儀作法を習うこともありました。なお、これは男の子だけの特権でした。女の子はお寺に住み込むことは許されず、読み書きを習う機会もほぼありませんでした。

ラーマ3世の時代(1850年頃、江戸時代末期)に、タイで初めての学校ができました。これは皇都バンコクの王宮内に設置され、王族の子女しか学ぶことはできませんでした。時代は下り、ラーマ5世の時代(1900年頃、明治後期)になって、王族だけでなく一般人男女にも学校教育の機会が開放されましたが、結局、子供に学校教育を受けさせるのは経済力のある家庭に限られました。

今のような現代的な学校制度が確立したのは、1960年頃です。今日のタイでは男女の区別なく、誰もが学校に通い、読み書きができて当たり前という状況になりました。

 

感想…教育をめぐるタイの話を聞くと、やはり、日本の風景とダブってみえます。学校制度の確立以前、農村のお寺が教育機関の役割を果たしたのも、また、教育機会が男の子に偏重していたのも、日本と似てますし、また、タイで学校制度が確立した時期や、発達の経緯も、日本と大きな差がないですね。

 

あと、「石油の値上がりで生活が苦しくなった時、学校の先生が子供たちと一生懸命エネルギー節約の方法を考える話」とか、「タイ人が憧れる職業の話」とか、「タイ人の敬愛を一身に集める王室の話」とか、「庇(ひさし)を貸して母屋をとられた話」など、UTL教材には他にも良いエッセイがいろいろあります。

これ読めば読むほど、タイの文化や人々が、自分にとって身近な存在になってきますね。西洋の読み物も好きですが、タイの場合、田畑とかお寺とか、お祭りとかがいつも出てきて、日本の風景と似ているからイメージしやすい。王室(天皇)を敬う心とか、農村が都市化されて近代住宅になっていく風景とか、どんどん複雑になっていく今日の社会、現代ならではの人々の悩みとか…いろんな意味で、タイは日本を映す鏡と言っても良い。

 

チャオプラヤー河に、上流から椰子の葉や実が流れ来る、常夏の国タイ。日本から遠く離れて気候風土も違うけど、水田農耕をベースにした、同じアジアの国で、仏教や王室など共通点も多い。タイの言葉を学んでみると、「我々に似ているんだなあ~」と、さらに親近感がわいてきます。これからも学習を続けようと思います。

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金融商品みたいな海外不動産物件が流行る理由

おはようございます、Manachanです。今回も定番の海外不動産ネタで。

 

私、2011年以来、海外不動産セミナーを200回以上開催してきましたが、最近の傾向としては、

・東南アジア等、新興国の物件は、余程の特徴がないと売れにくい。

・先進国物件のセミナーの方が、来場者の真剣度が高い。

・ただ、先進国では住宅物件の価格が高いため、売れるのに時間がかかる。快速償却取れる木造戸建か、少額で投資できる金融商品チックなものがよく売れる。

 

金融商品系プロダクト(?)の場合、最近の売れ筋は、すごくはっきりしています。

・1000万円くらいで区分所有できる、英国学生寮、ケアホーム

・100~500万円くらいで持分所有できる、北米のランドバンキング

 

上記のタイプの物件に、よくある特徴としては、

・最初の〇年間、△%利回り保証

・事業会社による買取保証付き

 

なお、先進国でありませんが、昨年、私が関わったなかで一番売れたものは、「モンゴル、ゲル地区再開発マンション」。こちらも、「米ドルで1年後に十数%増える」という、金融商品チックな話でしたね。

なぜ、海外だとそういうものが売れるのか?について、考察を加えたいと思います。

 

その前に、そもそも「金融商品チックな不動産」って、何なのでしょう?よく考えれば不動産だって、金融商品の一種ではないですか?

確かに、不動産は「投資」や「収益」が成り立つものなので、広い意味で金融商品ですよね。よく聞く話ですが、金融商品カテゴリを横軸に並べて「預貯金=低リスク、低リターン」、「不動産=中リスク、中リターン」、「株式=高リスク、高リターン」だと…見方によっては、そういう整理もアリでしょう。

 

ただ、私のような「なんとかの一つ覚えみたいに不動産ばっかりやってる」者からみると、不動産(特に住居系)は他の金融商品と著しく違う特徴があると思います。特に重要なポイントは、

「保有中の運営」によって、収益が大きく左右される。つまり、どの場所にどんな建物が建つかと同時に、誰がどういう運営するかによって、収益は段違いに変わりうる。

 

たとえばの話、東京23区内の駅近だって、腐った建物たくさんありますよね?オーナーが長年放置プレーして、メンテもろくにせず、誰も住まず、相続税におびえるだけの「負」動産が…でも、それを再生して、エアビーとか使って短期貸しして、利回り20%出してる賢いオーナーだってたくさんいるわけです。つまり、同じ場所・建物でも、誰がオーナーやるか、どんな管理手法をとるかによって、ぶっちゃけ、収益が0~20%の幅で変動する。

…そんな「典型的不動産」の世界で暮らしている、私のような者からみると、「利回り保証、買取保証」つきの不動産投資商品は、たとえ土地建物の権利があっても、不動産らしくみえない。なぜなら、「誰がオーナーになっても、収益は一緒だから…」。

 

いま、ちょうどカレーが食いたいので、カレーでたとえてみますね。

金融商品チックな不動産を選ぶことって、例えば「ココイチ」に行って、メニュー見て、「牛メンチかつカレー」にしようかな~、「鶏つくねと根菜の和風カレー」しようかな~と、思案するようなもの。

「牛メンチかつカレー」を頼めば、愛知でも東京でも、全国どの店舗でも、基本的に同じレシピの食べ物が出てきます。それを美味しいと思うか、いまいちと思うかは各人次第ですが、商品自体は同じです。

 

一方で、通常の住宅不動産を選ぶことは、ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ、豚小間切れ肉、カレールーといった材料を渡されて、自分で調理するようなものだと思います。

カレーの作り方は、大雑把なレベルでは、食材を柔らかく煮てカレールーを混ぜてじっくり煮る…という基本は同じでも、材料の切り方、火加減、調理時間によって、味が全く違ってしまう。つまり、誰が物件選ぶか、誰が保有・運用するかで、全く結果が違ってしまう。

 

どちらが良いかは、個人のセンス・価値観次第です。手間かけずに定額をチャリンチャリンが良いなら、金融商品系プロダクトが良いでしょう。一方で、私みたいな不動産ラバーは、「誰が保有しても同じ収益、みたいな物件は面白くない」と感じます。

あと、不動産ラバーであるほど、「出口の時期を自分で決められないことにストレスを感じるものです。だから我々は通常、買取保証とかよりも、二次マーケット(=いつでも売れる旺盛な売買需要)の分厚さを考えて投資判断をします。

 

そろそろ本題に戻りますが、なぜ、海外不動産は金融商品チックなものが売れるのか?

それは、「海外において、いわゆる不動産運営の敷居が高い」と思っている方が多いからだと思います。海外不動産のオーナーとなるのは(お金があれば)簡単だけど、言葉も違う商習慣も違う、土地勘もない、管理会社だって心もとない…そんな環境下で、どうやって物件を運用して、収益をあげるのか?

海外に物件持ってみたいけど、不安に苛まれたくないし、損もしたくない。であれば金融商品的な方が話が分かりやすいし、大手の実績ある会社が買い取ってくれる方が、自分が運営するより収益も高そうだし安心だ…ということなのでしょう。

 

つまり、情報とスキルの問題なのでしょうね。金融商品チックなものと通常の住居物件、どちらも良し悪しがありますし、どちらを選んでも良いでしょう。ただ、日本で「不動産ラバー」として楽しく収益を上げておられる方は、海外でも「不動産ラバーの遊び心」をガッツリ満足させる、通常の住居物件を選んだ方が、たぶんハッピーになれると思いますが、現時点ではそういう情報が質量ともに足りていないのです。

海の向こうで、本当に物件運用できるのか?できます!私はこれまで11年、世界各国で収益不動産運用をやってきて成果もあげてきました。これからも続けますし、情報もシェアし続けます。不動産ラバー仲間の海外展開のために、道をつくっていきたいですから…

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海外不動産は現地国の融資を優先すべし

こんにちはManachanです。ここ2日間、「東京→大阪(セミナー講演)→名古屋(宿泊)→東京(セミナー講演)→静岡(商談)→名古屋(セミナー講演)→東京」と、 新幹線で西へ東へ大移動。仕事が一段落して自宅に帰ったら、家族がハムスター2匹買ってきてました♪

今回の日記は、「海外不動産購入と融資づけ」のテーマで書きます。

 

私自身を含め、ブログ読者の多くが「日本国籍の日本在住者」という前提で書きますが、私たちが海外(日本以外)の不動産を購入する際に、果たして銀行融資を使えるでしょうか?不動産の所在国別に考えてみましょう。

 

☆英米圏先進国の場合、

一定水準以上の価格帯(目安は3000~4000万円以上)なら、現地国の金融機関から融資が受けられることが多く、日本人投資家の利用者も多い。現時点では、

・オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、イギリス…物件価格の60~65%程度まで融資が利用可能。金利3~5%。期間20~30年位まで。
・アメリカ…物件価格の50%程度まで融資が利用可能。金利4~5%。期間20~30年位まで。

 

☆東南アジア新興国の場合、

物件によっては、現地国の金融機関から融資受けられることもあるが、日本人投資家で利用者は少ない。主な理由は、融資制度の未発達と、金利水準の高さ(年6~10%以上)。

 

なお、物件所在国が先進国、新興国の如何を問わず、日本国内の金融機関で、海外不動産購入に対して融資を出すところがいくつかあります。なお、日本の銀行は海外不動産の担保評価をしないので、要は借り手の個人属性や資産背景を総合的に評価した上での融資になります。現時点では、次の3つが知られています。

 

☆政策金融公庫…日本国内で不動産賃貸経営の実績ある者に対して融資。物件担保の有無に関わらず金利は1%台と安い、融資期間は通常15年まで。2000万円までなら比較的借りやすい。

☆オリックス銀行…日本国内で十分な空き担保のある物件所有者に対して融資。担保必須。金利は2%台前半。

☆スルガ銀行…日本国内で十分なサラリーマン給与収入がある者に対して融資。金利7%前後だが、フリーローンで手軽に借りられる。融資期間は通常10年。

 

したがって、購入者(日本人投資家)からみると、こうなります。

 

☆英米圏先進国の物件を買う場合

・3000~4000万円以上の価格帯なら、「現地金融機関」と「日本の金融機関」どちらも使える
・それ以下の価格帯だと、「キャッシュ買い」、あるいは「日本の金融機関」を使う。

 

☆東南アジア新興国の物件を買う場合

・価格帯を問わず、「キャッシュ買い」、あるいは「日本の金融機関」を使う。

 

現実的にいえば、「先進国のまともな価格の物件」を買う場合のみ、「現地国の金融機関」か「日本の金融機関」の両方から選べるということになります。

その場合、今後のことを考えると「できるだけ現地国の融資を優先すべきだと私は思います。なぜか?

 

理由はシンプルです。どの国、どの都市の、どの銀行も、「取引実績」を重視します。もし、物件オーナーが遠方に住んでいればなおさら、「地元」(物件所在地)での融資・返済実績や口座の入出金履歴が、銀行にとっては大事な判断基準(稟議書のネタ)になります。

日本国内だって、東京在住の人が、札幌の収益物件を融資受けて増やす場合は、普通、札幌市や道内の金融機関との継続的なお付き合いを大事にしますよね?なかには、札幌に法人立てたり、一時的に住民票移してまで、地元の信金信組から融資ひく「つわもの」もいます。

物件が日本国外にあっても事情は全く同じです。例えば、日本人がオーストラリアの物件を買う場合は、たいてい、同国の4大銀行(NAB、ANZ、Westpac、Commonwealth)のいずれかから融資引くことになると思いますが、たとえ遠い外国在住であっても「オーストラリアの銀行から融資を引いた実績」が、次の物件取得につながるのです。

 

また、「現地国の物件担保ローン」をひくことが、後々、大きな意味を持ってきます。物件の担保価値が上がる場合は、価値上昇分がそのまま「エクイティ」(Equity、自己資金)になりますし、かりに価値上昇しなくても元本を返していけば、残債減少分が「エクイティ」として評価されます。

英米圏先進国では、「エクイティ」ができれば、それを使って次の物件取得もできるし、或いは、より有利な融資条件を求めて、他の銀行に乗り換えることもできます(※私はオーストラリアで、3回もローン借り換えました)。また、「ドローバック」(Drawback)といって、これまで返した残債の一定割合(80%程度)を、銀行から借りることもでき、緊急にお金が必要になった時に便利。

あと、マイナス金利の日本と違い、オーストラリアやニュージーランドでは、預金金利が年1 ~2%とかつきます。物件担保ローンと預金を同じ口座で同時にやれば、「オフセット」(Offset)といって、「預金金利稼いだ分を、そのまま無税で、金利分の支払いに充当する」ことができます。

 

何が言いたいのか?・・・現地国の金融機関から融資を引くと、「実績」になるほか、副産物として「値上がり分の自己資金充当」や「他行への借り換え」、「一時借り入れ」や「預金金利を使った返済金利負担軽減」までできてしまう。一方、日本の金融機関から融資受けた場合、こうしたメリットが一切受けられません。要は、日本で借りても、海外で資産増やす上でのレバレッジにならないのです。

あと、為替リスクもありますね。日本でお金借りると当然、日本円での返済になりますが、海外物件の家賃収入は当然、海外通貨建て。為替が円高に振れれば、それだけで金利負担が重くなります…そうした為替リスクを、借り手が負わなければなりません。

 

こうしたをもろもろを知っていれば…たとえばオーストラリアの不動産購入に際して、下記二つの融資オプションがあったとして、

・現地の金融機関で、豪ドル融資、金利4%台、期間20年

・日本の金融機関で、日本円融資、金利2%台、期間15年

 

これらを比べて、「日本の方が金利安くて有利じゃん!」と飛びつくことは、なくなるはずです。少なくとも私は、上の条件なら100%間違いなく豪ドル融資を選びます。

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俺みたいな不動産投資はするな!

こんにちはManachanです。いまセミナー講演のため、新幹線で大阪へ向けて移動中。

9/2(金)18:30~20:30 大阪セミナー(ハワイ不動産)
9/3(土)10:30~12:30 東京セミナー(カンボジア不動産)
9/3(土)16:30~18:30 名古屋セミナー(ハワイ不動産)

…という動線なので、新幹線大活躍なのですが、こういう時はJapan Rail Pass使って、旅費をものすごく低く抑えています。外国永住者の特権になりますが、7日間で29,100円、新幹線も特急もほぼ乗り放題という破格値。これを使って、アジア太平洋大家の会の地方セミナーを3回位やる。私が新幹線移動しても、会に請求する旅費が非常に安く済む…「究極のローコスト運営」に大いに役立っています。

 

今回も海外不動産投資ネタでいきます。私はこれまで200回以上の不動産セミナーを国内外各地で開催してきましたが、主催者として、結構困惑するのが、

 

「Manachanはこの物件買ってるの?

Manachanが買うなら俺も買う!

 

…みたいな会話。もちろん、初めての海外不動産投資は不安でいっぱい、判断するの難しいから私みたいな経験者の真似したい、という気持ちは痛いほどよく分かるのですが、それでも、

 

私が買ったかどうかという行動を、皆様の購入判断の基準にして欲しくありません!

 

これだけは、はっきりお伝えしたいです。私は不動産において、「俺も買うからみんなで買おう!」みたいなトークが嫌い。突き放したような話で恐縮ですが、これには2つの理由があります。

 

1)一人ひとりの資産背景やリスク選好は違う。私にとって最善だと思って買った物件が、他の方にとっても最善だとは限らない。

そして、

2)私は「良い子のみなさん真似しないでね」と言いたくなるような、ファンキーな物件を買うこともある。

 

1)は当たり前の話ですね。例えば、海外生活の長い私は、「犬肉のスープ」とか「蒸したカイコ」、「羊のペ〇ス」みたいな変な料理を好んで食べますが、日本在住の皆様が、これらを美味しいと感じて食べることは多分ないと思います。つまり、私にとっての最適解が、他人にとっての最適解とは限らないわけだし、

そして、投資で思うような収益が上がらなかった時、「Manachanを信じて買ったのに、こんなことになるなんて…」みたいな文句を言われても困るのです。誰が何と言おうと、投資は自己責任。あの「寅さん」も言ってたでしょう?

 

俺とお前は別の人間なんだぞ!早え話が、俺がイモ食えばテメエの尻からプッと屁が出るか

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2)については、もう少し詳しく話しますね。私は投資家のみならず、「海外不動産のプロモーター、マーケッター」という顔を持つがゆえ、「資産形成」目的以外にも、いろんなかたちで不動産に手を出しております。

 

・私は日々、世界中のいろんな投資案件に参画しませんかと、各方面から声をかけられています。それに「ちょっとお付き合い」するかたちで、海外の物件を買うことがあります。

・海外不動産の共同投資も、いろいろやっています。たとえば、「45万ドル集めたけど、5万ドル足りないからManachan一口買って!」とか、「投資グループのまとめ役がいないから、少しお金出して参画して!」とお願いされることがあり、時々、そういう話に「乗る」こともあります。

 

こういう話、私はブログで発表したりはしないんですが、海外不動産売りたい業者さんが、「Manachanも買ってる物件です」と言っちゃうこともあるし、私も懇親会などの場で、話の流れで言っちゃうこともあるし…

でも、そういう類の投資話は、「投資先の国がすごく好きな数名のグループ」だったり、「特殊なリスクを背負えるファンキーな投資家の集まり」だったりするので、一般にはあまりお勧めできないものなんですよね。私が買ってるからといって、良い子の皆さんは、まぢで、こんなの真似しないで欲しいです。

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それを分かった上で、あえて、どうしても私の真似して買いたいというなら、「日本」と「オーストラリア」だけにしてください。

この2か国に関しては、私も10数年不動産投資続けてきました。無事、出口を迎えたものもいくつかあるし、不動産マーケットを読む方法、勝つ方法論も確立しているので、皆様の自己責任ながら、基本的に真似して買ってOK(その他の国に関しては、正直そこまで自信ないので私の真似は勘弁!)。

 

これって、「売却・利益確定を何度もやってる」から言えることなんですよ。日本国内の不動産投資だって、メンターにするなら「何度も利益確定している人」を選ぶべきでしょう?たまたま融資ひけて、1棟か2棟保有しているだけの人に師事すべきじゃないでしょう?それと同じことです。

さらに言えば、いまの海外不動産投資って、往々にして、「売却・利益確定まで経験したことのない」業者のトークを聞いて、投資家が判断するわけでしょう?その話が投資視点でどれだけ妥当性を持つのか、冷静に考えた方が良いと思いますよ。

「プレゼンのうまさ」や「会社の信用」よりも、「その国の不動産投資におけるトータルな経験」が、投資判断の材料としてより大きな価値を持つと思います。

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先進国利回り5%物件をスルーすべきでない理由

こんにちは、Manachanです。出張先、福岡市のビジネスホテルでブログ書いてます。

私、福岡市で2008年1月から不動産投資をしています。参入して8年半になるわけですね。長年ずっと見ていると、昨今、福岡市周辺での収益物件の利回り低下は顕著ですね。

 

「木造マンションで築浅なら表面6%台でもマシな方」
「RCで良い立地だと、表面4~5%が当たり前」
「郊外ロードサイド店舗でさえ、表面8%台いけば”神”に近い」

 

等々…「ここは東京23区内か?」と思うような低い数字が並びます。いまの福岡は全国の都市のなかでも、かなり利回りの低い(=賃料に対して売買価格が相対的に高い)部類に入るではないでしょうか。

そんな感じで、今やや過熱感のある福岡市マーケットですが、都市の実力と、売買価格と賃料のバランスが取れていれば、低い利回りもそう悪いことではないと私は思います。実際に高い価格でも買ってる客がいるわけですから、それだけ都市や立地の評価が高いともいえるわけです。

 

九州各地から人口が集まり、成長を続ける福岡市。全国的知名度があり、たぶん日本で唯一、「首都圏から移住者を呼び込める百万都市」でもあります。街の評価が高いのは当然でしょう。

ある意味、福岡を数十倍大きくしたのが「東京」で、そこは日本全国からの移住者をひきつける首都…その中心にある銀座、新宿、渋谷、六本木等の収益物件は、今なら利回り3%以下でも買う客はいくらでもいます。吉祥寺を2.5%で買う人もいる位だし・・

利回りの低さは、街の評価の高さ」であることを踏まえた上で、投資家としては、現在・将来の賃貸・売買需要や金利環境や税制を予測しながら、「いま福岡中心部のRCを5%で買うべきか?」という判断をしていくわけです。

 

東京でいうと、不動産におけるトップ立地は「銀座」や「丸の内」。次いで「3A」(赤坂、青山、麻布)、「渋谷~表参道」、「六本木」「虎ノ門」あたりまでは「一等地のなかの一等地」であり、世界的にはニューヨークのセントラルパーク周辺とか、ロンドンのシティ、香港の尖沙咀あたりと並び称される立地。

こういう「世界一流都市の一等地」は、賃貸に出した時の利回りがグロスで2~3%とかが当たり前。東京都心の不動産価格、日本では誰もが高いと思ってますけど、それでも、ロンドンやニューヨークの同等立地に比べて東京はまだ割安感があり、富裕層やファンドがガンガン買ってるわけです。

 

東京でも、新宿とか、さらには池袋まで行くと不動産価格もこなれてくるし、期待利回りも一等地に比べれば多少高まります(例.中古区分マンションで表面4%を切ると、表参道ならすぐ売れるけど池袋では売れない)。さらに、城東城北地区、都下神奈川埼玉千葉と、郊外に出るほど、リスクや出口不安が大きくなり、人々の期待利回りは4%⇒6%⇒8%⇒10%と、上がっていきます。

日本人の投資家なら、同じ首都圏でも「東京都心の利回り5%」と「千葉市の利回り5%」が同じだとは誰も思いませんよね。前者は「割安」だと皆が思ってるけど、後者はどうみたって「割高」で誰も買わない。それは、投資家の購入行動が「実際の利回り」と「エリアの期待利回り」との相対的関係で決まるからです。

 

で、本題に移ります。

「東京の利回り5%と千葉の利回り5%が同じではない」という常識が、なぜか、海外不動産の話になると、通用しない。日本国内の不動産投資で財産を築いた立派な投資家でさえ、いざ海外になると、

「英国の学生寮、利回り9%だから、買おう!」

「オーストラリアのレジ、利回り5%しかないから、スルーしよう!」

みたいな購入行動を平気でとるのです。

 

でも、不動産投資の基本は、世界中どこだって同じ。それぞれの都市、エリア毎に期待利回りが違い、それとの相対的な比較で判断すべき話で、

海外の収益物件が、いま5%で売られているとしても、もしその場所が「東京都心」クラスだったら超割安だし、9%出る物件があるとしても、それが「千葉市」レベルの立地なら「それなり…」の数字ですよね。要は、表面的な利回りだけで購入を判断すべきではない。

 

海外、先進国の大都市内の優良立地でグロス利回り5%回る物件なら、私はかなり割安だと感じますし、お金が増えそうな物件だとも思います。

たとえば、オーストラリア第3の都市ブリスベンで、利回り5%ちょっと回る、邦貨換算3000〜4000万円の物件を、明後日のセミナーでいくつか紹介します。この物件には融資もつけることができ、その条件は今のところ「物件価格の65%、豪ドル、金利4.77%、融資期間25年」です。

物件価格の35%、自己資金を出して買う。すぐ賃貸つけて、その賃料をそのまま返済に回すと、キャッシュフローがトントンか、わずかなプラスになる感じの不動産投資。

 

「海外の銀行で融資組んで、それでキャッシュフローがほとんど出ないんじゃ、意味ないじゃん」と判断する方は、ハッキリ言うと海外不動産投資のリテラシー不足。

オーストラリア不動産投資の醍醐味は、キャッシュフローではありません。「かなり確度の高い値上がり益期待」と、それによる資産拡大効果(B/Sでいう「資産の部」の数字改善)が主要テーマです。

 

  • ブリスベンの人口は、年率2%以上で増えている。同市の人口増加は、少なくとも今後30年以上続く見込み。
  • ブリスベンの平均空室率は2.7%。今回紹介するエリアだと1.5〜1.9%。需要に対する住宅供給不足は、少なくとも今後20年以上続く見込み。
  • ブリスベンの賃貸契約は普通、1年間。契約更新ごとに賃料が数%上げるのが常識。
  • ブリスベンから南へ飛行機で1時間の距離にあるシドニー(同国最大都市)と比べて、ブリスベンの住宅価格は戸建で50%、集合住宅で60%程度。一方で賃料はシドニーの約80%とれる。
  • その結果、シドニー不動産の平均利回りは3.0〜3.9%に対し、ブリスベンは4.4〜5.2%回る。
  • オーストラリアの経済成長率はやや不調とはいえ、人口増加を背景に年率2%は軽くいく。
  • 不動産ローンの金利は、今は4.0%前後。オーストラリア史上、最低水準を更新し続けている。
  • 今回セミナーで紹介する40万〜50万ドルの価格帯は、オーストラリアにおける住宅初回取得者(First home buyers)のボリュームゾーンであり、今なら彼らに対して2万ドル前後の補助金が出る。

 

…これだけの客観条件が揃ってて、今後値上がりしないと想像すること自体が難しいです。

現実的な線でいうと、「いま利回り5%で買って、5〜10年後に利回り4%で売却」でしょうか。仮にいま40万ドルで買って利益確定は7年後としましょう。いくらで売れるでしょう?家賃上昇率、控えめに年率2%と考えて…

 

1) 購入時

売買価格 400,000ドル

年額家賃20,000ドル

表面利回り5.0%

 

2)7年後の売却時

家賃 22,974ドル

表面利回り4.0%

→予想売買価格 574,350ドル

 

40万ドルで買って、57万4350ドルで売れるのなら、値上がり幅17万4350ドルになるわけです。売却コストを無視して、単純に年率換算すると、

 

1)値上がり益の年率

174,350 ÷ 400,000 ÷ 7年 = 6.23%

 

2)保有期間中の家賃収入(購入時価格換算)

購入時  5.00%、売却時 5.74%

→ 保有期間平均  5.37%

1)+ 2) = 11.60%

 

…となる。つまりこれは、値上がりを考慮すると年率11.6%でお金が増える優良投資案件であり、「9%で回る別の海外投資物件よりもさらに効率が良い」可能性が十分あるわけです。

 

ま、実際には取引コストとか金利負担とか節税効果など、いろんな変数を入れてシミュレーションしなければ優劣の判断はできませんが、

私のざっくりした感覚、経験からいうと、「ブリスベンの良い場所で、いま5%で土地つきの戸建やタウンハウス買えるなら、9%回るけど値上がり期待の余りない別案件買うより、もっとお金になる」と思います。

 

余談ですが、今月中旬に、私が視察中に「サプライズ衝動買い」しちゃったメルボルンMoonee Pondsのアパートも、実は頭のなかで同じ計算をしてました。

  • メルボルンの集合住宅平均の利回りは4.0%。これはシドニーより高くブリスベンより低い、「オーストラリア第二の都市」の実力を反映した妥当な数字。
  • でもって、今回内見したMoonee Pondsの物件、「メルボルン都心から6km、電車で4駅10分、駅から徒歩3分の賑やかな商店街の中」という、都市平均より明らかに良い立地なのに、利回りが4.7%出る。これは明らかに割安な買い物。

….だと判断して即買いしました。

 

1ベッドルームを397,800ドルで予約して、再来年の完成予定。これ、4.7%で買って、5〜7年後に3.7%で売れるならば、

売却時予想価格(家賃上昇なし)    397,800 × 4.7% ÷ 3.7% = 505,313ドル

売却時予想価格(家賃上昇2%/年) 397,800 x 1.02の7乗 ÷ 3.7 = 580,446 ドル

想定売却益  107,513〜182,446ドル

 

…ですので私は、この物件が50万ドル以上になれば売るつもりです。メルボルン都心近くの好立地で、「4.7%が3.7%になるのは簡単」と思いますが、さらに欲をかいて「3.7%が2.7%になることを期待するのは、メルボルンの実力を考えると難しい」と考えるからです。いや、今のシドニーみたいにバブれば、メルボルンでも2.7%はありうるでしょうが、非合理的な価格形成がされるマーケットでの売り抜けは、私の得意とするところではないし、

それよりも、「ブリスベンやメルボルンの都心近くで5%近く回れば割安だから買う、4%切れば売って利益確定」みたいな、不動産投資家として常識的な感覚を持ち続けたいと思います。

 

業務連絡) 8/31 13:00現在

9/1 ブリスベン&ゴールドコースト不動産購入相談会@東京半蔵門、あと2席ご案内できます。申込リンクはこちら(先着2名で締め切りますが、間に合わない場合は後日個別相談に応じます)。

http://goo.gl/o9jfTB

 

私の買ってるメルボルンのマンション、1ベッドルームが一室だけ40万ドル以下で残っています。購入検討したい方は私にメールを下さい(こちらは先着1名で締め切ります、売り切れてたらゴメンなさい)。

mana33chan@gmail.com

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新興国不動産の賢い買い方

おはようございます、Manachanです。昨日は日曜日、パパの家族サービスデイ。子供たち連れて映画見にいったりしました。今週からは泊まりがけの出張が多くなるので、今日ぐらいは家族と一緒にいないとね。

 

昨日の日記「業者主催の新興国数か国同時セミナーに思う」、蓋を開けてみたら物凄いPV数で、今年書いた文章のなかで第2位にランクイン。かなり専門的でマニアックな内容なのに、こんなに多くの方に読んでいただけるとは思わなんだ。

世の中、いろんな方がいるもので、読者のなかには、あの文章を「特定の国の不動産業者に対する中傷」だと解釈する方もいたようです。作者の私としては、特定の個人名や業者名を晒してるわけじゃないし、文章中にちゃんと根拠も示してるし、どうみても中傷ではないと思うんだけどな…

 

ブロガー・情報発信者として、私が常に大事にしている価値観は、3つ。

・不動産を心から愛していること

・グローバルな実践的不動産投資家として、各国で数々の経験を積み、それを皆様にフィードバックしていること

・常に投資家の方を向き、投資家利益の最大化のために仕事していること

 

海外不動産に関わる仲介業者の皆様とも、投資家利益にプラスになる仕事をしてくれる限り、良き友人としてお付き合いしますし、喜んでサポートします。但し、そうでない時は、噛みつくこともあります。私、業者からの評判はともかく、投資家仲間からの評判はものすごく気にする人間。その観点で、言うべきことはハッキリ言います。

 

で、今回の本題に入りましょう。

「海外不動産投資するなら、先進国と新興国、どちらが良いか?」

 

私、どちらかといえば先進国の方が好きです。でも、新興国の不動産もたくさん買ってますし、貸したり売ったり、あと不動産市場調査も精力的にやってきました。何だかんだ言って、ASEAN圏内の半分くらいの国に、自分のお金出して投資してますし、現在も進行中。

「新興国の不動産は、いろいろ問題があるけれど、攻め方を工夫すれば、十分アリ」

だと思ってます。

 

そういえば、こんなことがありました。1年ほど前にアジア太平洋大家の会のカナダセミナーに参加された方が、「あの当時、Manachanは、ベトナム不動産はダメと言ってた」というのです。

私が、どういう文脈でコメントしたのか、正直覚えていません。その方の投資目標をヒアリングして、「その目的実現のためにベトナム不動産はあまり適切ではない」と言ったのか?あるいはベトナム不動産の権利面のことを聞かれて、「外国人の不動産所有権に関して未確定な部分がある」と言ったのか?(その当時は、外国人の不動産所有権が事実上解禁される法律が施行されたとはいえ、細則がまだ決まってなかった…)

 

ただ、何の前提もなしに質問されて、私が、「ベトナム不動産はダメ」と断言することはありえません。なぜなら、

・どの国でも、「人間の住まい」や「事業活動の舞台」として、不動産が必ず存在するから。

・どの国でも、少なくとも自国民に対して、不動産に対する権利は、何らかのかたちで守られているはずだから。

・都市部では少なくとも、その権利が「経済的価値」を持つはずだから。

 

ベトナム不動産の話を、もう少し詳しくしますね。同国で外国人に対して不動産市場が事実上開放されたのはつい最近(2015年)ですが、そのはるか以前から、ホーチミン、ハノイの二大都市では、ベトナム人による「都市内の集合住宅居住」スタイルが一般化しています。

おそらく、ここ10年のことでしょうか。ホーチミンやハノイが拡大して市内の地価が大きく高騰して、一般の人が「土地付き一戸建て」を買って住むのが難しくなった。遠い郊外(下手したら隣県)からバイクで長距離移動する位なら、都市内の集合住宅で良いと思う人が増えた。そのニーズを追うように、地元民向けのマンション供給も大きく増えた。

今や、ホーチミン1区から半径5㎞以内で一戸建というのがそもそも珍しいし、10km圏でも集合住宅が爆発的に増えています。それを、地元のベトナム人が売ったり買ったり、貸したり借りたりして、彼らの間でマーケットがすでに形成されています。例えば、「ホーチミン10区ならマンション㎡単価いくら位」みたいな話も成り立ちます。

 

最近は、batdongsan.comtimnha.comなど、ベトナム不動産のポータルサイトも充実し、物件データ数も6万件を超えて、一応、ビッグデータ解析に耐えるようになってきました。そこにIT技術を駆使すれば、「ホーチミンやハノイ、各エリアの不動産売買・賃貸価格の㎡単価、平均値や中央値、標準偏差」が求められるようになっています。

 

【ベトナムでも、こんな方法でデータ解析できます】

vietnamdata

 

東京と同じように、ハノイにもホーチミンにも、それぞれのエリアの土地柄があり、地域毎に不動産相場が存在します。

【ハノイのハイバーチュン区は、下町。錦糸町・亀戸に相当】

hanoihaibatrung

 

【ホーチミンの9区は、高度成長期の埼玉に相当】

hochiminh9ku

 

「地域相場」が分かれば、いま売り出し中の物件が、それに対して割高なのか、割安なのか、という判定も可能です。いくつかの方法がありますが、私は「周辺事例比較法」と「偏差値」の概念をよく使います。

たとえば、日本人向けに売り出されたベトナム物件が、「地域における偏差値60」(トップ16%位)の値段で出ていたとします。この物件に「地域で偏差値60以上の立地、グレード、競争力」があるなら、不動産本来の価値より割安に買えるという判断になります。

私の分析データによれば、たとえば、「ハノイのTimes City」や「ホーチミンのLavita Garden」は、地域相場からみて「割安」の判定が出ました。こういう物件は、「長期保有」前提で、「現地で物件管理・転売サポートするしっかりした会社」があれば「買い」だと思います。

timescitylavitagarden

(割高判定が出た物件もあるけど、それ公開しちゃうと、また誰かから「中傷」だと言われかねないから、やめときますね。)

もし、「長期保有前提」でもなく、「現地で物件管理・転売サポートするしっかりした会社」もあやふやだとしたら、ベトナムあたり「外国人マーケットで競争力のある、すぐ出口の取れる物件」を買うべきでしょうね。

 

以上が、私の提唱する「新興国で割安物件をGETする方法」になります。この内容をセミナーで解説するには、私も何度かやりましたけど「都市の概要、各エリアの特性、交通網」から、「各エリアの相場データ」「割安・割高判定のその根拠」、「想定されるリスク」まで説明しなければならないので、ハノイ&ホーチミンだけでもたっぷり2時間近くかかります。

その経験があるから、私は「業者主催の数か国同時セミナー」には懐疑的なんです。各都市で説明時間が20~30分しかないと、頑張っても「物件説明」と「表面的な数字の説明」位しかできない。どうしても「売らんかな」になっちゃうし、投資家に十分な情報を与えて判断させることにならないから。

 

最後に、海外不動産を目指す日本の投資家に「十分な知識と判断力を与えて、より賢くする」ことに共感する業者様であれば、先進国、新興国を問わず、私は一緒に仕事したいです。

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業者主催の新興国数か国同時セミナーに思う…

おはようございます。Manachanです。日曜日ですね。大型台風近づいてますが、とりあえず今日の東京は涼しくて快適。家族水入らずで過ごしてます。

昨日は、東京・大手町「第4回 世界の資産運用フェア」で、カナダ不動産のブースを終日手伝ってました。このイベント、前回は台湾とカナダのブース手伝ったり、パネルディスカッション頼まれたりと、毎回必ず駆り出されてます。

昨日のイベントは出展企業数減った割に来場者数は過去最高だったよう。カナダブースは私含めて3名しかおらず、終日、休む間もないほど多忙でした。来場者の「海外で不動産投資始めたい」真剣度も年々上がっておりますが、購入に際してはできるだけ多くの情報を仕入れて慎重に判断したい人が多く、セールスマンに求められる知識とコンサル能力は上がる一方。仲介業者にとって決してラクな業況ではないと思います。

顧客は慎重、予算も有限、海外不動産の価格も上昇中…ということで、必然的に求められるのが「海外不動産に融資を出す国内金融機関」の存在。特に昨今、「政〇金〇公庫」や「〇リ〇クス銀行」の積極的な融資姿勢は、海外物件を扱う業者にとって神、救世主という他ないでしょう。

 

最近は、東南アジア新興国物件を扱う業者が数社集まって、「日本円融資付き、ASEAN数か国同時セミナー」の開催が流行っているようです。一言でいうと、

・タイ、カンボジア、ベトナム、フィリピン、マレーシア等、ASEAN数か国の不動産物件を同時紹介。
・融資コンサルが登場し、〇策〇融公庫等の海外不動産賃貸事業融資スキームの概要説明。
・個別相談やって、さあ、買いましょう。

…というフォーマットのセミナー。「海外物件売りたい業者」と「優良顧客リストを得たい金融機関」、「低金利の融資受けて海外物件GETしたい客」、三者の思惑から必然的に生まれた、今風のセミナー形式といえましょう。

 

私は、セミナー主催側の人たち、ほぼ全員と知り合いだし、彼らの商売を邪魔する気はありません。まだ未成熟な業界を盛り上げるため、共に手を携えていくべき仲間だと、基本的には思っています。

とはいえ私は、海外不動産で資産を増やしたい「投資家」のスタンスで活動しています。その観点からいうと、売りたい側の視点が反映された「新興国数か国セミナー」からの情報収集は、気を付けるべきだと思います。こういうセミナーに参加するのは良いけど、海外不動産投資に関する、ある程度のリテラシーを身につけてからにした方が望ましい。なぜか?

 

私は、セミナーでこんな話になることを、危惧しています。

1)日本円で、金利2%で融資が引ける
2)東南アジア新興国で、物件を買って賃貸に出せば、8%で回る想定
3)差し引き6%、お金が残るじゃん!

 

ま、1)は良いでしょう。属性が良い、現金たくさん持っている、担保に出せる物件がある…そんな人に、日本の金融機関は喜んで貸すでしょう。

一番の問題は2)です。東南アジア新興国、特にプレビルド(=数年後に完成する物件の予約販売)の場合、業者がいう「8%の利回り」で本当に回るかどうか、精査が必要です。その利回りが実現する可能性もあるでしょうが、一般的に、「いくつかの幸運」が重ならないと、実現できない数字だと私は考えます。「幸運」とはずばり、下記3つのリスクを回避できること…

 

a)「過剰供給リスク」… 完成時に、周辺にマンションがボコボコ経って、過剰供給になったら、目標利回りの実現はまず無理。

b)「入居者層の限定リスク」… 想定する家賃が、現地の一般人に手が出ない価格帯の場合、「外国人」という、極めて狭いマーケットで入居者を見つけなければならない。このマーケットで競争力がなければ、目標利回りの実現はまず無理。

c)「インフラ未整備リスク」… それ以前に、建物が予定通りの期日に建たないかもしれない。よしんば建っても、引き渡しの時点でプール等共用施設がまだ工事中だったり、携帯電話の電波が届かない等、環境的な問題で賃貸に出すのが困難かもしれない。ドアの建て付けや水回りの不具合を直すのに想像以上の時間かかるかもしれない、このうちどれか一つが起こったら、目標利回りの実現はまず無理。

 

私は6年前から東南アジア物件買ってきて、上記を全て経験しました。これらのリスクは新興国に特徴的で、「欧米先進国」では明らかに低いといえます。不動産市場のガバナンスが欧米的なら「a)過剰供給」は起こりにくいし、一般ピープルの所得水準が高いので「b)入居者層の限定」も普通は起こらない。近代インフラが一通り整備済なので「c)インフラ未整備」が起こるとも考えにくい。

だから、「フィリピンやカンボジアで想定7%利回り」と「カナダやオーストラリアで想定7%利回り」とは、表面的な数字は同じでも意味合いは全く違うのです。後者は、かなりの確率で目標通りの収益性が実現されると想定されるに対し、前者は「実現できればラッキー」くらいの意味合いなのです。なお、新興国でも中には、確度の高い利回りが実現できる案件もありますが、それは「特殊な賃貸ニーズ」とか「オンリーワン立地・企画・管理体制」など、特殊な要因があってはじめて実現するものですので、それが何であるのか、見極めが必要です。

3)も問題ですね。日本円でローン返済しなければならない一方、家賃収入は外貨(タイバーツ、ベトナムドン、マレーシアリンギット、フィリピンペソ…よくて米ドル)になる。つまり投資家が為替リスクを負うわけです。現地通貨が円に対して上がればいいけど、その逆に動いた場合、現地からの家賃収入で返済できず、持ち出しになる可能性があります。あと、ハードカレンシーとは言えない東南アジア通貨を、日本円に適宜変換できるかという問題もありますね。米ドル等と違って両替手数料も高く取られますし。

 

海外物件を融資受けて買う場合、一番リスクが低いモデルは、「想定利回りが相当信頼できる先進国の物件を、その国の通貨で融資をひいて買う」ことだと思います。それをやれれば、2)と3)のリスクがほとんどなくなるから…

逆に、「想定利回りの信頼性に劣る新興国の物件を、日本円の融資を受けて買う」リスクは決して小さくない。このことを、海外不動産投資を志す人は、ぜひ覚えるべきだと思います。

ぶっちゃけ言うと、「オーストラリアの収益物件、想定利回り5%、豪ドル融資で利率4%」と、「フィリピンの収益物件、想定(?)利回り7%、日本円融資ひければ利率2%」と両方並べてみて、後者の方が割が良いから買おうと即断してしまう人は、海外不動産の基本的なリテラシーが欠けているのです。

 

以上、新興国系の業者様には厳しいことを言ったかもしれませんが、投資家としては上記を十分理解した上で、「新興国数か国同時セミナー」に参加して、納得できれば買えば良いと思います。経済成長中の新興国には、「今はダメダメでも、時間が解決してくれる」面も多分にありますから、長い目でじっくり取り組めるなら、短期的なリスク承知であえて買うのもアリですね。あるいは、東南アジアが本当に好きで、将来は自分で住みたいとか、多少の損があっても、不動産オーナーとして国と一緒に成長していきたい方は、自分の好みでどんどん買えば良いと思います。

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オーストラリアで専門的職業に就く方法

おはようございます、Manchanです。ケアンズ滞在も残すところ、あと1日。明日には台風一過の東京に帰ります(結構楽しみ~、俺やっぱ東京でバリバリ仕事ライフ好きだわ~)。

 

4週間にわたるオーストラリア滞在中に、ひとつ嬉しいことがありました。メルボルン近くに住む、私のブログファンの方と一緒に、楽しく不動産視察したのですが(私が勢いで「物件買っちゃった」ところも目撃されてますが…)、その彼の言葉が嬉しかった。

Manachanのホームページは、オーストラリア移住して、現地で職業に就いてキャリアアップして頑張っている、日本人のロールモデルの一つとして、愛読していました

 

もうずいぶん昔のことで文章も残っていませんが、私は2000年から05年にかけて、ホームページ「Manachan’s Worldシドニー日記」で情報発信してました。主な内容は、

・「シドニー日記職業編」(職場で感じたこと、オーストラリア人の働き方や楽しみ方等)
・「シドニー不動産特集」(シドニーでの家探し、不動産投資関連)
・「ウェスタンサバーブうまいもの探検隊」(シドニー最深部エスニック地帯でのグルメ特集)
・「ラグビー熱烈応援日記」(地元チームParramatta Eelsを応援するページ。選手・チアガール特集など)
・「オーストラリア勝つ移住」(オーストラリア移住後、専門的職業に就いてまともな年収を得るための考え方と方法論。メールで移住相談も100件以上受けて、Q&A化していました)

今回の日記では、「オーストラリア移住後の就職と、専門職としてのキャリアアップ」にフォーカスを当てて書いてみますね。

 

私は3年前に独立起業しましたが、それ以前はサラリーマン稼業を19年続け、グローバル企業でのITエンジニアとして頑張ってきました。略歴はこんな感じ、

・1994~97年  大学卒業後、東京都内の環境ベンチャーの会社で勤務
・1997~2000年 ITエンジニアに転身、東京都内の米系コンサルティング会社でプログラマとして勤務
・2000~05年 オーストラリア移住、シドニーの米系IT企業で、ソフトウェア・エンジニアとして勤務
・2005~07年 同企業内で、中国・大連の事業所に転職。ソフトウェア開発・保守チームのチームリーダー。
・2007~09年 日本へ帰国、東京都内のインド系IT企業で、プロジェクトマネージャーとして勤務。
・2009~12年 東京でドイツ系印刷大手で、社内IT部長として勤務

 

勤務する国をいろいろ移ってきた関係で、額面の給料は上がったり下がったりですが、キャリア的には「プログラマ→SE→チームリーダー→プロジェクトマネジャー→社内情シス部長」と着実にレベルアップして、最終的な年収は新入社員当時の4.3倍になっていました。

「日本語、英語、中国語ができる、ITプロジェクトマネジャー」という希少価値なポジショニングで自分を売り込んできたので、どの国でも転職に苦労せず、比較的幸せなサラリーマン生活を歩んできました。日本からオーストラリア、オーストラリアから中国、中国から日本と移動はしましたが、「IT専門職のキャリアとしては一貫して伸びてきた」のが特徴だと思います。

 

移住する3年前から、私は、「オーストラリアでまともな給料のもらえる職」に就くために、準備を重ねてきました。「オーストラリアで需要の高いIT技術者のキャリアを積む」、「オーストラリアでも名の通った米系大手の会社で働く」等々…

それでも、移住当初は英語がたどたどしかったし、面接でもボロ出しまくりだったので、結局、就職活動は3か月かかり、11社落とされて、幸い12社目に拾っていただきました。就職して1年目は英語で苦労しましたが、2年目から慣れてきて、3年目からは通常勤務の傍ら若手社員を指導する立場になりました。

 

そのような戦略的準備をして、実績もあげてきた私からみると、当時シドニーにいた「日本人移住者」や「移住産業の人々」の見通しの甘さには、正直驚きました。(もちろん全員ではありませんが…)彼らに共通する点として、

・オーストラリアの暮らしやすさやライフスタイルを賛美し、日本を悪く言う。

・でもその割には、オーストラリアで大した職業に就いていない。

・現地人と混じって働くほどの英語力もない。

・遊んで暮らせるだけの資産があるわけでもない。

 

彼らの仕事は、日本人相手の飲食業とか、日系企業の現地採用とか、日本人相手の進出コンサルとか…当然、オーストラリアの生活も安定せず、日本へ「逆出稼ぎ」に行く者もいました。せっかく一家揃って移住したのに、結局自活できずに、奥さん子供だけオーストラリアに残して旦那だけ日本へ出稼ぎみたいな構図。

「そんなんじゃあ、話にならないだろ?」と、当時の私は思っていました。オーストラリアでは、英語が職業レベルでできないと、専門的な仕事に就けません。近所づきあいも、社会への参画もできません。英語できないと必然的に日本人だけで固まるライフスタイルになり、本国以上に「狭い世間」のなかで暮らさざるを得ません。それが本当に望んだことなんでしょうか?

 

当時の私がホームページで訴えたのは、「夢を煽るよりも、現実を見よう」、「我々オーストラリア移住者に必要なのは、英語力と専門能力(就職力)」、「この国に来た中国人もベトナム人も韓国人も、皆が努力してそれをやってるのだから、日本人にできないわけがない

シドニーで転職活動してた時、日系の就職コンサルの男性に食ってかかったこともあったなあ。「日本人が、現地の企業で就職なんか無理なんだよ」と言われて、「いえ、違うと思います。少なくとも俺は英米系に就職してみせます!」と…ちょうど2か月後に就職が決まりました。

 

当時の私が提唱したのは、具体的には、こういうことです。

・専門職に就いて、シドニーにおける、アッパーミドルになろう。

・アッパーミドルになれば、便利な場所にマイホームも買えるし、資産形成もできる。

・英語での職業能力とキャリアができれば、将来、他の英語圏での就労も可能になる。

 

なお、これはあくまで「移住先の社会でアッパーミドル」を目指す処方箋であり、それ以上の「富裕層」とか「グローバルエリート」を目指すものではありません。

 

所謂「オージーライフ」を楽しむためには、経済的基盤が必要で、

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世界中から集まった人たちに混じって…

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自分の能力をアピールして、人さまの役に立たなければなりません。

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ところで、次のブログ、いま結構影響力あるようですね。、曰く「グローバルエリート」になるには「白人」で「英語ネイティブ」でないと無理だから、アジア系として生きる現実的な線として「理系の専門家」を目指そうと言っています。文体は嫌いですけど、大雑把な内容はそう間違ってないですね。

海外移住・英語の落とし穴

 

なお、私の提唱した「専門職キャリアアップ」方法論の場合、ITエンジニアとしては「社内情シス部長」あたりが最終的なかたちでしょうね。それ以上の地位にいくには、白人エリートがトップに握る企業のなかでの社内政治能力が必要で、私はその能力に長けているわけではないしやりたくもないので、結局、独立起業の道を選びました。

今さら、サラリーマンに戻りたくはないですが、サラリーマンを19年間、やりきった満足感はありますし、貴重な体験をさせてくれたオーストラリアに対しては、感謝の言葉しかないですね。

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メルボルン郊外、街の将来を買う不動産投資

こんばんは、Manachanです。

リオオリンピック、いよいよ最終日です。日本代表のメダルラッシュすごかったですね。柔道も体操も、レスリングも水泳も、予想以上のパフォーマンス。さらに感動的だったのは、陸上男子400mリレーの銀メダル。100m9秒台の選手が一人もいないのに、技術とチームワークで勝ち取ったメダル…日本らしい戦い方で成果を出したと思います。4年後の東京五輪に向けて良い弾みがつきましたね。

一方、当地オーストラリアでは、現時点で金8個、メダル総数28個、世界9位の成績に不満な人が多いようで…ベスト10に入ってるんだからいいじゃんと私は思うけど、そこはコモンウェルスゲーム(英連邦大会)でメダル獲得数毎回1位のスポーツ大国のプライド、オリンピックでは最低ベスト5に入らないと不満なようです。

メダル競争でオーストラリアより上を行く日本の健闘も注目されています。同国キャンベラにあるオリンピック強化施設ACSをモデルに、10年前に建設されたJOC(東京都北区)での選手育成の成果が上がっているようだと、記事には書いてありました。

 

選手を地道に育成して、10年後に花開く…これは不動産投資でも同じ話かもしれません。

前回書いた「シドニーvsメルボルンの都市間競争」に関連していうと、例えばメルボルンの副都心の一つになる可能性のある郊外都市ダンデノン(Dandenong)が、注目に値すると思います。

 

【ダンデノンのいま。建物はそれなりに多いが、高層化は進んでいない】

dandenongnow

 

メルボルン都心から南東方30kmの距離にあるダンデノンは、もともとこの一帯の中心地にして、交通の要衝。ショッピングセンター、オフィスビル、病院、学校、行政機関…すでに、かなり大きく発達しています。メルボルン郊外でおそらく最大規模の街でしょう。ダンデノン周辺に大きな工業団地があって雇用も豊富だし、それ以遠の郊外も新興住宅地として開発され、すでに100万人以上の後背地人口がいます。

シドニーでは、ダンデノンと似たような状況にある郊外の中核都市パラマタ(Parramatta)が、すでに副都心(2nd CBD)として大発展しています。オセアニア地域で、郊外副都心として成功した事例は、今のところパラマタだけです。

 

【パラマタのいま。高層ビルが林立する一角】

parranow

 

【将来は、ニューヨークにも似たスカイラインになる??】

parraskyline

 

ダンデノンも、パラマタをモデルに、メルボルンの郊外副都心を、約10年かけて目指していくのでしょう。その前に、過去10年、パラマタのたどった軌跡を、おさらいしてみましょう。

1)もともと、パラマタは規模は大きいけれど垢抜けない、イメージも芳しくない街だった。当時はブルーカラーと移民が多く、ホワイトカラーの職場は少なかった。

2)2003年頃から、州政府管轄の警察署や裁判所、連邦政府の入管局など、公共機関がパラマタに移転してきた。

3)2004年頃から、パラマタ鉄道駅とバスターミナルの大改装が行われ、ショッピングセンターと駅が直結され、「駅ビル」化した。

4)2006年頃から、パラマタ中心街でグレードの高いマンション建設が始まり、シドニー内外のホワイトカラー、ヤングプロフェッショナルをターゲットにしたセールスが始まった。 宣伝文句は「歩いて職場にいこう」。

5)2006~07年頃、パラマタ市政府のホームページに「パラマタで働こう」(Work in Parramatta)と称する求人サイトができ、高給の専門職を含む地域の求人情報を掲載し、都心方面からプロフェッショナルを呼び込もうとした。

6)2007~08年頃から、パラマタ中心地におしゃれなカフェ、レストランが増えはじめ、シドニー全域に認知されるようになった。

7)2012年頃からオフィスビル、新築マンションの建設ラッシュになり、パラマタ都心と郊外を結ぶ新鉄道ライトレールの経路選定が始まっ

 

このように、一通りの都市機能があったところに、「公共機関」→「交通」→「住居」→「職場」→「文化娯楽施設」を整備することによって、徐々に「副都心」にアップグレードを果たしてきたのが、パラマタの成功モデル。その過程で州政府の予算も大量に投じられてきました。

ダンデノンに関していうと、現時点では2)公共機関の移転がすでに始まり、6)グレードの高い住宅建設も、2018年頃から登場予定。パラマタの10年前とちょうど同じ位ですね。不動産価格もまだ安く、一戸建の中央値が50万ドル、マンションの中央値が30万ドル…これも10年前のパラマタと同程度。

 

ダンデノンが、あと10年かけて、パラマタのように大発展するのか?もし、それが本当に実現すれば、10年頃、不動産価格は今の2倍にはなるでしょう。パラマタが過去10年で2.1~2.3倍の価格上昇を経験したように。

「今ダンデノンで買っておけば、10年頃、価格倍増」と言い切ることはしません。メルボルンとシドニーの都市構造は違います。また実際のところ、副都心をつくるには巨額の公共投資が必要で、ビクトリア州政府がダンデノンに対して本気で公費を継続的に投じ続けるのかは分かりません。

 

でも最低限、これだけは言えます。

「価格安いうちに、その地域で競争力ある人物件を買っておけば、まず失敗しない」

 

現時点でダンデノン、相当安いです。街の真ん中に建つ、ランドマーク的な建物の1ベッドルーム60平米が、31万ドル台から買えますもん。今のレートで2500万円いかない。今からオーストラリア不動産市場に参入したい方向きだと思います。

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10年後、成長する街と共に自分も豊かになる不動産投資。分かりやすいし、夢があっていいですね。ダンデノン、これからも応援しています。

 

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