こんにちはManachanです。今回は久しぶりの育児エッセイでいきます。
私自身も、娘ソフィアも、それぞれ日本の学校には不適応な面を抱えつつ育ってきました。娘は現在中学1年生で不登校中。一方、私の小中学生時代は不登校自体が許されず(当時は「登校拒否」という犯罪者めいた言葉で呼ばれていた)、担任の先生にも毛嫌いされつつ日々登校しましたが、さすがに高校生になると自我が芽生えて、自分の意志でしっかり不登校するようになりました。
余談になりますが、加計学園問題で国会証人喚問されて、時の人となった文科省の元事務次官・前川喜平氏。出会い系バーや天下り斡旋問題もあって賛否両論の人物かと思いますが、彼、実は日本の不登校問題における偉大な功労者なんです。
・1980年代「登校拒否」児が増えた時期。当時の学校は「登校しないと卒業証書ださないぞ!」と保護者や子供を脅すことが横行し、無理な登校がさらに悲劇を大きくするトラブルが続出。そこで文部省は「卒業証書必ず出しなさい」指導を出した。その結果、今では完全不登校の状態であっても中学校から卒業証書が出るようになった。
・1992年に、「登校拒否」ではなく「不登校」という言葉を通知で使い、不登校は誰にも起こること、当たり前のことだと認識を改めた。その上で、民間施設等で学校復帰を前提とする指導を受けている場合、在籍学校での出席扱いにする方針を出した。
・2016年、馳浩文科大臣ら議員有志と協力して、「教育機会確保法」の実現に尽力した。
娘と同様、かつて日本の学校で不適応を経験した父の視点でみると、不登校児童に対する教師の理解や支援体制は、今なお課題が多いとはいえ私の小中学校時代と比べれば格段に整ってきたと感じます。これも前川氏や馳議員をはじめ、多くの方々の功労があってこそです。
ところで、同じ学校不適応でも、私と娘とは、違うタイプの性格ゆえ、それぞれ別の苦労をしています。
私は、空気が読めない。だから、集団行動でさまざまな問題を引き起こす。
逆に娘は、空気を読みすぎてしまう。表面的には集団行動で全く問題ないようにみえるが、実は相当疲弊している。
いずれも、病気ではなく、人類に一定の割合で存在する「脳の性質」です。私のは「自閉症スペクトラム」とか「アスペルガー」とか呼ばれるもので、娘のはおそらくHSP(Highly Sensitive Person、高敏感性・高感受性)かと思いますが、いずれも少数派であり、多数派の児童や先生に最適化された学校社会において様々な不適応を起こしやすいのです。
それぞれ、どんな問題を起こすのか?私の場合は、集団行動のなかで自分が何をすべきなのか、ちゃんと言ったり書いたりしてくれれば理解できるけど、それ以外の非言語的コミュニケーション(空気読み、人の気持ちを察する等)が極めて苦手で、それができて当然と考えるグループのなかでは誤解や齟齬が起こりやすい。この性質のせいで、社会人になっても、また家庭生活でも苦労しています。
一方で、娘の場合は、集団行動のなかで自分がすべきことを、他の人より知りすぎてしまう。空気を読みすぎ、同調圧力も必要以上に感じてしまう。人間関係だけでなく、大きな音や匂いにも極めて敏感で、処理する情報が質量ともに多すぎるために、学校で起こる物事にすぐ圧倒されてしまう。表面的には他人とうまくやる能力があるので、問題行動は起こさないが、実は相当な無理をしているので、結局、自分を守るために不登校や引きこもりになるのです。
言い換えれば、非言語的な情報に「鈍感すぎる父」と「敏感すぎる娘」…ともに、学校など集団生活では苦労するという共通点を持っています。
でも、学校という閉じた社会で不適応を起こしても、実社会ははるかに複雑で多様なので、鈍感な父も敏感な娘も、どちらも、社会のなかで居場所をみつけることはできるはず。その意味で私は、娘の将来を楽観しています。
私の場合は、非言語コミュニケーションは極めて苦手でも、言語コミュニケーションは人一倍得意で、ブログやコラム執筆、外国語習得などの分野で能力を発揮し、それを仕事に活かしています。他人のペースで動かされるのは絶望的に不得手ゆえ接客業などは無理でしょうが、得意分野に特化して自分のペースで動くのは得意なので、「海外不動産投資」という圧倒的な得意分野に特化して、情報発信と組み合わせてビジネスをしています。
一方、娘の場合は、感受性が人一倍強いという特性を生かした職業で輝けると思っています。例えば、デザイナーとか、カウンセラーや精神科医、あるいは、本人が多人数と付き合うストレスを克服する方法を見つけたなら、それこそ「学校の教師」になれたら良いと思います。不登校が一向に減らない今の教育現場では、一人ひとりの子供に好奇心を持ち、心でつながれる教師が切に求められているからです。
最後に、私と娘の性格は相性良いです。多くの刺激を受けすぎて疲れてしまうHSPな娘にとっては、たぶん鈍感すぎる人間の方が気が楽でしょう。
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