2019年 4月 の投稿一覧

「北欧のラストランナー」伸びゆくエストニアと不動産

こんにちはManachanです。いつもブログご愛読ありがとうございます。今回は先週出張で行った「エストニア」について書きます。同国訪問は昨年9月に続いて2回目です。 エストニアは、九州程度の国土面積に人口わずか140万人という小国。バルト三国の一番北に位置し、首都タリンから狭い海(80km)を挟んだ対岸がフィンランドの首都ヘルシンキという、「ほぼ北欧」な位置にあります。またエストニア人は文化言語的にもフィンランド人と非常に近い「兄弟民族」であることもあり、彼らの地域アイデンティティは完全に「北欧」であるといえます。
エストニアはいま、「電子政府」や「IT大国」という文脈で日本に紹介される機会が増えていますが(ITどうなんでしょうねえ。タリンの街中でWIFIあんまりつながりませんし・・・)、私の視点からいうと、むしろこの国が、「スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、アイスランド」と同一カテゴリーに属する「6番目の北欧の国」であり、その6ヶ国のなかで一番、経済的に出遅れたおかげでポテンシャルが大きい、そこに魅力を感じます。 また、エストニアはバルト三国で唯一、自明な「北欧」ブランドを持っている意味も大きいでしょう。日本では知られていませんが、ヨーロッパ人にとってエストニアは、誰がみてもNordic Country(北欧の国)で、そこはヨーロッパのなかで、生活文化のクオリティが一番高いブランドイメージがあります。東アジアのなかで日本のブランドイメージが高いのと似て、ヨーロッパでブランド価値のある「北欧」の名を、エストニアは堂々と名乗れるポジションに居るのです。
昔から名実ともに北欧の一員だったエストニアですが、ソ連•共産主義陣営に組み込まれたことで、西側だった他の北欧5か国と経済的にかなり差をつけられました。1991年にソ連•ロシアから独立を果たした後、エストニア人は北欧とくにフィンランドの産業•生活水準に追いつくべく、地道な努力を続けてきました。また、北欧諸国もエストニアの産業やインフラのレベルを上げるために支援を続けてきました。 2004年にEU加盟、2011年ユーロ採用・・・独立から30年近く経って、エストニアがフィンランドに追いついたのかというと、たぶん「3分の2くらいは実現した」のだと思います。私は旧共産圏の国によく行きますが、エストニアはチェコ等と共に、経済的に一番成功したグループに入る印象です。バルト三国でいえば、ラトビア、リトアニアに結構な差をつけたトップランナーというイメージ。その差はたぶん、「北欧先進国からの投資・援助の差」という気がします。
エストニアが面白いのは、概して社会民主主義的、大きな政府を好む北欧文化圏にあって、唯一、「小さい政府」「自由放任的」な国であることです。税率が低いので起業や会社設立しやすいし、また、資産を置く場所としてもよく使われます。 また、エストニアの首都タリンは中世の面影を残す旧市街地が大観光地となっており、ヨーロッパやロシアからたくさんの人が訪れ宿泊需要も旺盛ですが、現時点でAirBnBに対する規制がまだありません。ヨーロッパの多くの都市が規制しているなか、ここにも自由放任的なエストニアの特徴がよく表れています。 あとエストニアが面白いのは、奇抜で斬新な建築デザインが目立つこと。他のヨーロッパ諸国と比べてもかなり「勝負した」 デザインの建物が、私たちの目を楽しませます。建築意匠に関する規制が緩く、新しいものに挑戦しやすいのかもしれませんね。とはいえ、北欧文化を受け継ぐ国だからか、とにかく「かっこいい」。どの風景を切り取っても「ダサさ」が全くありません。
不動産投資という意味でもエストニア面白いと思います。タリンは都心部コンドミニアムでも㎡単価が2000ユーロ台前半で、西欧主要国の首都の半額以下、旧共産圏のワルシャワ、プラハ、ブダペストに比べても安い。タリンより安く買えるEU・ユーロ圏の首都は、ラトビアのリガ、リトアニアのビリニュス位しかないと思います。 例えば、私が2019年3月に視察した、タリン中心地に建設中のKadrioru Plaza。内容的にも投資視点でも、なかなか素晴らしい物件と思いました。 – 1〜4階は商業施設とオフィス – 5〜9階は住居 – 100m先にバス停と電停があり、都心と空港に直行 – 住居部分は向きによって海か首相官邸か旧市街のViewあり – 1〜4階部分は各国料理レストランが入り、外に出ずに食事ができる – 物件の隣が大規模スーパーSeiver。普段使いの買い物はそこでできる 建物デザインが円形を基調にしており、断熱も完璧(ウレタン外断熱45cm +内断熱15cmは凄い!)、全室床下暖房だし、施工費用かかってると思いますが、価格はまだ安くて平米2400ユーロ。坪単価@99万円。 投資には65平米(1ベッド+リビング)タイプが良いと思います。お値段は€155,000。長期賃貸に出す場合は家賃€650/月なのでグロス利回り5%くらいですが、 現地の知り合いがエアビーの管理会社をやってて、清掃リネン予約管理含めて家賃の20%でやってくれるので、そこにお任せした場合、今の稼働率と単価ならネット7〜8%も狙えそう。
バルト海の眺望・・・
Kadrioru Plaza完成予想図
タリンの中心地でエリア良いし、これからフィンランドへ行く海底トンネルや、ドイツへ直行する高速鉄道などインフラ整備が進みそうなので、長期保有すればキャピタルゲイン期待も出てくると思います。 対岸、フィンランド・ヘルシンキの平均㎡単価が4962€なので、タリン側Kadrioru Plazaの2400€はざっと半額。ヘルシンキとの経済一体化が進めば、価格差も縮まってくることでしょう。 スタイリッシュで生活の質にこだわる北欧文化圏にありながら、まだ安い価格で不動産投資に参入できて、エアビーで運用しながら価格伸びしろも期待できるという意味では、エストニア・タリンはおすすめです。  
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不動産屋と地域偏見

こんにちはManachanです。いつもご愛読ありがとうございます、 今回のテーマ「地域偏見」…私が本業にしている不動産屋という職業は、地域偏見とガチで付き合う仕事といえます。 地域偏見とは何か? どの地域にも他者の主観的評価に基づく「評判」がありますが、そのうち良くないもの…例えば「治安が悪い」、「住民属性が低い」、「実はB地区」等々、その地域に有形無形の不利益を与える可能性のあるものを地域偏見と呼びます。 不動産屋はたぶん、世間一般の人々よりも、自分の担当する地域のミクロな偏見には詳しいでしょう。売買するなら職務として、土地や住民の来歴を知らなければなりませんし、所謂ヤバイ地域を避けたいお客様のために、先回りしてそれを知っておかなきゃいけない面もあります。 そうした、仕事で得られた知識を使って、特定地域に対する偏見を助長することもできてしまうのが不動産屋なのです。 例えば、私はサラリーマン時代、転勤で西日本の都市に移る際に、客として地元不動産屋に物件紹介してもらった経験がありますが、 こちらが頼んでもないのに、「あの地域はヤバイです、一見普通に見えますが実はB地区ですよ」みたいなことを平気で言ってました。たぶん親切心で教えてくれるんでしょうが、その地域にお住まいの方々の心情を考えると「微妙だなあ…」感は拭えず、 その都市に初めて住む者としていえば、ある地域に治安面の懸念があるならば当然教えて欲しいです(とはいえ日本国内だと、私が警戒するようなレベルの治安問題はほぼ存在しません。せいぜい「ガラが悪い」「自転車泥棒が多い」程度の可愛い話で…)。あとは自然災害リスクも知りたいですが今はたいていどの都市にもハザードマップがあるので見れば良いですし、 そんななか、B地区云々は首都圏出身の私にとって正直どうでも良い話です。首都圏にも当然、地域偏見はありますが、それを無意味にする程の凄い数の人口流入が毎年ある場所なので、賃貸で住む程度なら土地や住民の来歴など普通は気にしないのです。 近年は日本でも外国出身住民が増え、諸外国と同様、エスニック構成が地域イメージを形成しそうです。外国人はB地区云々よりは一目で分かりやすく、これからは、「駅の西側は◯◯人が多いから避けましょう」みたいなこと言う不動産屋が増えるでしょう。 私も国内外のいろんな地域の不動産を紹介するにあたって、そこの「外国人比率」について(多くはリスク回避の文脈で)聞かれる機会が増えてますので、当然、実感値も含めて知識を得てはおります。 でも、その知識をどう使うかについては、お客様の要望に添いつつも、自らの良心にも従いたいと思います。 外国人•移民は、大抵どの国でもセンシティブな問題。お金を落としてくれたり雇用をつくってくれる外国人も居れば、自国民の仕事を奪い厄介事を持ち込む外国人も居る。偏見含めていろんな考えや思いがあるなかで、私が常に心がけたいのが、 「(社会における)多数派の立場から少数者をレッテル貼りしたくない」 なぜなら、私が海外いくつかの国でマイノリティ(少数者)として長年暮らした経験があり、今なお、日本において妻が外国人というマイノリティな立場で日々暮らしているからです。 もっとも、日本という比較的裕福で対外イメージの良い国に生まれたおかげで、マイノリティとはいえ比較的恵まれた立場ではありました。それでも、お客さんが無邪気に「鈴木さんご紹介物件のエリアは外国人多いんですか?」「治安の問題ありませんか?」みたいに聞いてくると、警戒レベルが1つ上がります。 面と向かって言いませんけど、「外国人•移民で何が悪い?」という心の叫びが…かつて海外に移住し、生きるために英語や中国語を覚え、マイノリティとして地元の連中に伍して働き、社会生活を築き上げていく上で経験したもろもろが、衝動的にフラッシュバックするのです。 お客様に外国人•移民比率云々について聞かれれば正直にコメントしますけど、同時に、(その方が望むなら)不動産オーナーとして、外国人•移民とよりよく付き合うマインドセットを身につけるお手伝いをしたいです。 私は日本で数少ない、海外移住を経験した不動産屋。マイノリティの立場を経験したからこそ、地域や移民に対する偏見を助長するような方向で自らの知識を使いたくないです。
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