各国不動産事情

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「川向こうの下町」は豊洲になれるか?

おはようございます。Manachanです。バンコク滞在4日目、今日もいい天気で、普通に暑い。

日々、電車やタクシーを駆使して、バンコク各地を歩いて中古不動産を見まくっています。昨日行ったのは、バンコク都心部からチャオプラヤー川を渡った対岸の「トンブリー地区」。

ここは、いまのバンコク(タイ語名クルンテープ)がタイ王国の都になる直前の一時期、1767年から1782年にかけて都が置かれた場所。日本史でいえば、平安京に都が遷る前の「長岡京」みたいな場所ですね。その関係か、今でも古い街並みが残る「下町感」の強い場所です。

駐在員はもちろん、現地採用の日本人も滅多に住まない場所ですが、近年、都心部からモノレール(BTS)が延伸してきて通勤が便利になり、各駅前にコンドミニアムが建ち並ぶようになりました。

【トンブリー地区…低層住宅の広がるなかを、近代的なモノレールが貫き、駅周辺に高層住宅が建つ】

東京でいえば「江東区の湾岸ベイエリア」あたりをイメージしていただければ良いかと…もともと下町や工業地帯だったりして、エリアとしての評価が芳しくない場所に、都心から電車が来て便利になる。コンドミニアムや商業施設が出来て、通勤者のベッドタウンとしてにわかに評価が上がる、みたいなことになれば面白い。

その代表的存在が「豊洲」ですよね。あの辺は、ららぽーとができて、海のみえるタワーマンションが林立して、もう日本とは思えないくらい、近未来的にスタイリッシュに整備されました。坪380万円でマンションが分譲されても売れる位の強力な戦闘力を持つエリアになりました。

私はこの地区、特に、川を渡って二駅目のウォンウィアンヤイ(Wongwian Yai)駅に、タイ渡航前から注目していました。BTS利用でバンコク都心CBD(サラデーン駅)まで6駅15分で行ける上に、将来的に3路線の鉄道連絡駅になる予定だからです。

この駅を取材して書いたメモから抜粋します。

Wongwian Yaiの駅前からすぐに下町感の強い「ど・ローカル」エリアが広がる。手前のKhlong Thon Buri駅から数百メートルしか離れていないが、地域属性が1ランク落ちる感じ。

駅の北口から歩いて2分ほどのIdeo Blucove Sathornは、外見・内装とも小奇麗に整っているが、タイ人の下町おばちゃんが賃貸・販売を仕切っており、タイ語以外全く通じない。都心やSukhumvit沿線のIdeoシリーズでは英語の通じるプロフェッショナルっぽいスタッフが応対しているのと比べて好対照(やはり地域特性か…)

室内はバスタブも付いて清潔感もあり住みやすそう。1ベッド32㎡の賃料は月額13000バーツ前後。買うと300~350万バーツ前後とのこと。駅近で賃料が安く小綺麗なのでAir BnB経営には向くかもしれない。

その北隣がMy Condo Sathon Taksin.。平置きの駐車場があり、団地のような佇まい。配管むき出しの箇所もあった。1ベッドの賃料は1万バーツ前後とのこと。さらに北に進むと、The Seed Sathorn Taksinがある。My Condoよりは小奇麗に見えるが、家賃は1ベッドで1万バーツ程度とこちらも安い。さらに北に進むとローカル色の強い市場がある。

Wongwian Yai駅は、将来的にはパープルラインとの連絡駅になる予定なので、現状はアレだが今後、開発が進む可能性はありそう。

【下町とコンドミニアムが混在】

一方で、チャオプラヤー川の沿岸には、ホテル群と超高級コンドミニアムが連なる一画があり、周囲の下町から、ステータス的に隔絶した存在となっています。

【ホテルと高級コンドが連なるリバーサイド】

再度、取材メモから抜粋、

Khrong Thon Buri駅からチャオプラヤー川の方角に進むと、「リバーサイド」とよばれる高級コンドミニアム・ホテルが連なる地区がある。中でもThe Riverは、高級コンドミニアムの代名詞。2棟70階建て、7つのプール、自前のフェリー乗り場(30分毎にBTSのSaphan Taksin駅まで運航)、高級感のある商業施設を擁している。㎡単価は20万バーツを超え、国内外富裕層を購入ターゲットとしているよう。

全体として下町感の強いトンブリー地区にあって、The Riverは「超高層」、「高級」、「リバービュー」という分かりやすい特徴があり、オンリーワン物件として存在、周りと隔絶した平米単価で販売されている。また、リバーサイドには他にも超高層の高級コンドミニアムがいくつか建ち、Khlong Thon Buri駅周辺と比べると明らかにランクの高いエリアとなっている。

こんな感じですかね。トンブリー地区の開発は、リバーサイドや各駅前という「点」に限られており、豊洲のように「面的、エリア的」に開発されるまでは、まだ時間がかかりそうです。この辺はまだ、イケてるショッピングセンターもできてないもんね。

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私がバンコクにいる理由

おはようございます。Manachanです。バンコク滞在も3日目。気持ちの良い朝を迎えています。

冬のない国・タイランド、常夏の首都バンコクですが、今は雨期で、一年のなかでは比較的涼しい時期です。正午頃でも「暑いけど、日本の真夏よりはマシかな~」という程度。でも午後4時頃になると、強烈な西日がガツンと襲ってきて身体にこたえます。当地の太陽光線をなめてはいけません。

そんなクソ暑いなか、水を大量に飲みながら、朝8時過ぎから夕方近くまで、公共交通機関とタクシーを駆使して、バンコク各地の物件を視察しまわっています。夜はレポートのとりまとめで11時頃まで仕事してます。日本に居る時よりも忙しいかもなあ~。

昨日は、日本人に人気のBTSスクンビット沿線。いろいろ理由のあってチョイスした3駅…エカマイ(Ekkamai)、オンヌット(On Nut)、ウドムスック(Udomsuk)を中心にまわりました。今日は、チャオプラヤー川を超えた、たぶんタイ語しか通じない「ド・地元」エリアに足を踏み入れます。

今回、調査の鍵を握る駅のひとつ、On Nut駅

いま私がなぜ、時間とお金を使ってこんなことしているのかというと…自分自身を含めた、日本の不動産投資家への有益な情報提供のためです。日本人がタイを含む新興国の不動産を賢く買って、ちゃんと利益を上げるのに必要な「信頼性の高い投資情報」や「信頼できる現地パートナー」を含めた、「プラットフォーム」「道」のようなものを、投資家目線でつくっていきたいのです。

で、なぜバンコクなのか…私がこれまで4年以上、東南アジア新興国の不動産を見続けてきた感触からいうと、バンコクが一番、公共交通や不動産マーケット構造、ライフスタイルの面で、日本の都市部に最も近いからです。バンコクはシンガポールと並んで、東南アジアで一番早くから開けた大都会。公共交通網やインフラも比較的整い、人々の生活・通勤動線も、まだ不十分とはいえ公共交通網を軸に形成されそうで、

都心からの時間距離、駅からの徒歩距離、生活利便施設へのアクセスなどを主要ファクターとする、日本の都市の不動産価格形成のメカニズムが、一番、素直に応用できそうなのもバンコクだと思います。今後、東南アジア各都市で、投資家目線の不動産マーケット調査を実施していく上で、まず一番やりやすいバンコクを選び、ノウハウを蓄積したら、次はクアラルンプール、ホーチミン、ジャカルタ、マニラ(もう少し時間かかるけどヤンゴン、プノンペン)などにいきたいと思っています。

そのバンコクですが、日本人投資家が、現地の日系不動産会社から得られる情報は、現状では、極めて限られていると思います。なぜなら、

・日本人を相手とする、多くの不動産会社が、月額賃料2万バーツ以下、売買価格300万バーツ以下の物件を仲介したがらない。

一方、バンコク全体でみれば、一番ボリュームゾーンは月額賃料5000バーツ、売買価格100万バーツ台…のようです。投資家としては、そういう世界を含めた全体像を知っておかないと、「バンコクのなか上澄み」である日系不動産マーケットがどのような位置づけであるかも分からない。そこを調査したいと思ったのです。

また、

・一部の日系業者が、バンコク郊外(鉄道延伸区間)の100万バーツ台の安いコンドミニアムを日本人にたくさん売っており、入居づけや管理をはじめ、様々な問題が起こっている。

それも認識しています。とはいえ、一般的なタイ人が買うような100万バーツ台の安いコンドミニアムのなかにも、「勝つ物件」と「負ける物件」があるはずで、どのような条件が揃えば「勝てる」のか、それも、自分の足で歩いて、仮説を立てながら確かめてみたい。

…それが、私の出発点であり、問題意識です。この調査、日本語や英語が通じる世界を超えて、タイ語しか通じないローカルな世界にも大きく入り込んでいきます。私の能力でできることは限りがありますが、せめて足がかりをつかみたいと、これまで4か月間、一生懸命タイ語を勉強してきました。まだ極めて不十分ですが、それでも拙いタイ語知識が泥臭い現地調査には確かに役立っています。

これから、どんどん現地から報告出していきます。お楽しみに。

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台湾、鉄道の旅と文化

こんにちはManachanです。前回に引き続き、台湾ネタ。今回は「鉄道」の話題でいきますね。

私たちの住む日本は、質、量、テクノロジー、安全性…どれをとっても、世界一の鉄道の国だと思います。私も子供の頃から電車が大好きで、時刻表片手に日本全国を旅したものです。

私、もし今すぐ無人島に行かねばならず、そこに一冊だけ本を持っていいという話になれば、間違いなく「JR時刻表」を持っていきます。もし、明日には死ぬことが分かっていて、その前に本を1冊だけ読めるとなれば、やはり「時刻表」を選びます。時刻表は一日中眺めていても飽きない、その位、好きです。

世界に誇る、素晴らしき日本の鉄道と旅行の文化…それを継承する国が、日本の他に、ただ一つだけあります。それが「台湾」です。ここには、

・日本と同じく、「駅弁」の文化がある。
・日本と同じく、鉄道ファン(鉄っちゃん)が多い。
・日本と同じく、鉄道の旅をテーマとする雑誌がいくつもある。
・日本と同様、鉄道駅を中心に発達している都市が多い。
・「田中」、「追分」、「瑞穂」、「冨里」など、日本みたいな駅名が多い。

あと、台湾人の鉄道の楽しみ方も日本人と似ています。日本ではJR北海道、十勝地方の「愛国~幸福」の片道切符が縁起ものとして人気ですが、台湾でも、たとえば台南市の「保安」駅から「永康」駅の切符をあわせると中国語で「保永安康」というめでたい意味になり、この区間の片道切符が人気です。

今年10月には、大阪(関空)~台南の直行便が就航します。前述「保安」駅は台南空港から近く、「永康」駅は6月下旬のセミナーで紹介する物件の最寄り駅なので、関西在住の方は是非、縁起ものの「保安~永康」の片道切符をGETされてみてはいかが?

めざせ資産3倍!台湾不動産セミナー@東京
リンク→6/27(土)セミナー6/28(日)セミナー

台湾の鉄道、その原型の多くは大日本帝国が植民地時代につくりました。日本の敗戦後、中華民国に全島が接収された後も、東部幹線、南廻線をはじめ、いくつかの幹線や支線がつくられています。

日本のJRに相当する台湾鉄路局が管轄する路線は全長1100㎞強、延べ1億7000万人の年間利用。別会社が運営する台湾新幹線は全長345㎞、延べ4800万人の年間利用。日本全国とは規模が違いすぎて比べられませんが、「JR九州」とは同じような規模。台湾の国土面積が九州とほぼ同じことを考えると、鉄道は間違いなく、台湾人の生活に根づいていると言って良いでしょう。

台湾人、特に台北首都圏に住んでいる都会人たちは、本線から分岐して内陸に入り、台湾山脈に消えゆくような「盲腸線」の旅を好みます。台湾には「三大支線」というものがあって、

1)平渓線(台湾北部、新北市)
2)内湾線(台湾北部、新竹県)
3)集集線(台湾中部、南投県)

特に1)と2)は台北から行きやすいこともあり、多くの鉄道ファンや観光客を集めています。私は2)内湾線に揺られて、のんびり、終点の「内湾」駅まで行ったことがあります。

時刻表、オール漢字で分かりやすい

終点「内湾」は賑やかな街、特に昔の映画を上映する「内湾戯院」は観光名所

日本でいうと、愛媛県の「内子座」にそっくりだと思いました。

日本に似ていて、ちょっと違う。懐かしくて、昭和の香りがするけど、不思議な新しさもある。海と国境を隔てていても、鉄道を愛する文化を共有する不思議な隣人…台湾に行くことがあれば、鉄道の旅を、是非お楽しみください。

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新興国をまともな不動産市場に…

おはようございます。Manachanです。

一昨日の夜、都内で開催した「マレーシア物件管理&入居付けセミナー」は、近年まれにみる大盛況でした。

「マレーシア」をテーマとするセミナーで、ここまで盛り上がるのは、2012年以来のこと。当時は、ひたすら、「マレーシアのプレビルド(未完成予約販売物件)を売る」セミナーでした。今回は同じマレーシアでも「物件管理&入居付け」という、全く違う切り口のセミナーでした。

3年の歳月が経過し、当時日本人がマレーシアで買ったプレビルドが続々と完成している今、投資家のニーズも「プレビルドを買いたい」から「買った物件の管理を何とかしたい」に変わってきているのだと思います。

後知恵かもしれませんが、私、「日本における海外不動産ブームが東南アジアのプレビルドからはじまったことは、ある種の不幸」だったと考えます。

2011年の東日本大震災をきっかけとして、日本一国だけで資産形成することに対する疑問を、列島に住む多くの人が共有しました。日本のほか、海外でも資産形成をしたい。そのエネルギーの一部が「海外の不動産保有」に向かったわけですが、当時、大きく伸びたのが、「東南アジア新興国のプレビルド販売」でした。

私も当時、投資家のニーズに応えるかたちで、海外不動産紹介セミナーをたくさん企画しました。手持ちの情報量が乏しかったので、販売業者と連携することでノウハウを積んでいったのですが、当時コンタクトできたのは、見渡す限り、「マレーシア」、「タイ」、「フィリピン」のプレビルドを売る業者ばかりでした。

特に2011年から13年の前半にかけては、「マレーシア不動産」がブームで、大きく注目された時代でした。当時は今より、販売価格もずっと安く、かつ円高でした。プレビルドはいろんなリスクがありますが、それでも「この値段で外国の一等地の物件が買えるなら、お買い得じゃん」と思っていました。

しかし、2013年に入ると、「このまま、東南アジアのプレビルドばかり紹介していていいんだろうか?」という疑問が生じてきました。新興国不動産マーケットが余りにも未成熟で、「収益不動産本来のあり方」とかけ離れていると感じたからです。

このままプレビルド売りまくると、完成した後、大変な問題になってしまうと考え、次の文章を発表したのが、2013年2月27日でした。

2016年、ジョホール不動産ショック!

先日、マレーシア物件管理セミナーでご講演いただいた社長さんの言葉を借りると、

・不動産投資とは長期的運用が前提の金融商品であり、“購入”より“運用”の方がはるかに重要で難易度が高い

であるのにもかかわらず、

(完成後の物件・賃貸管理は)はっきり言って殆どの業者が目を背ける課題。

残念ながらそうなのです。その理由は、日本や欧米先進国と違って、東南アジア新興国は新築不動産の「販売」はできても、「物件・賃貸管理」がビジネスとしてほぼ成り立っていない環境だからです。

マレーシアでもタイでもフィリピンでも、新築を建てるデベロッパーはたくさんいて、完成前でもガンガン売る、「一戸売れたらコミッションいくら出す」用意もできています。そのシステムに乗って、日本人のお客を見つければすぐ商売になります。宅建業免許とかも必要ないから、誰でも、少ない元手で始められます。

それに比べて、管理は、儲かりません。東南アジアは、現時点で人々が管理サービスに対してまともに金を払わないマーケット。加えて、手間は想像以上にかかります。

・(日本に比べて)物件仕上がりのレベルは低く、修繕が必要な問題が頻繁に起こる。
・現地の人間を使って対応しようにも、(日本人から見て)まともに働かない
・にもかかわらず日本人顧客の要求レベルは概して高い

そんな状況を私は知っているので、東南アジアのプレビルドを販売した日本の業者の大多数が「管理から目を背ける」のを、責めることはできません。

でも、それを知りつつ、あえて「東南アジアで管理サービス」に乗り出す業者を、私は心から尊敬しますし、彼らこそ投資家の友だと思います

先ほどの社長さんの言葉を借りると、

・困ってる投資家がいる以上は参入する義務がある。
・正しい事をする事が事業の本質であり、マーケットから求められているからこそ収益を産むのである。

私はこのような志ある業者さんと、末永く提携していきたいと思います。

私たち「アジア太平洋大家の会」は、自分たちが「不動産大家」(Home Owner)である、その原点をとても大事にしています。

海外不動産の世界では、「アセット」とか「キャピタル」みたいな名前をつける会社・団体が多数ありますが、私たちはあくまで「大家」であることにこだわりたい。

「大家」だからこそ、「不動産の運用」と、そこから得られる「賃貸収益」を大事にしたい。そこをサポートしてくれる業者さんと良い連携をしていきたいと思っています。

日本の投資家と東南アジア不動産の関係がより幸せでありますように…

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資源国お買い得の時代は終わる

こんばんは、Manachanです。今回の日記は、私たちの生活に密接にかかわる「石油価格」と、「海外不動産投資」を関連づけてお話しします。

最近、ガソリン代が少し高くなったと思いませんか?うちの近所のガソリンスタンド、今年3月頃は130円を切ることもあったのに、最近給油すると138円くらいします。

そのカラクリはもちろん、国際的な原油価格の値上がりですね。原油価格の代表的な指標「WTI先物価格」は、昨年中盤の1バレル=100円超えから一気に暴落、今年3月にボトムの43ドルをつけた後、最近は復調傾向で、60円近辺まで値が戻っています。

産油国はとりあえずホッと一息、逆に日本など純輸入国は、原油価格上昇によって経済の下振れを心配しなくてはならない今日この頃です。

原油価格は、日本の貿易収支にも大きな影響を与えています。すでに慢性的な貿易赤字国になっている日本ですが、ここ半年ほど、原油価格暴落の恩恵を受けて赤字幅が縮小、原油価格が最安値になった今年3月には、ほぼ3年ぶりに単月度黒字を記録しました。ところが、原油価格が少し戻った4月には、再び赤字に転落してしまいましたが…

原油価格の上昇は、産油国・資源国に貿易黒字と通貨高をもたらします。「カナダドル」はその代表格の一つです。案の定、原油価格ボトムの時期は1円=92円近辺まで下がっていました。その後は原油価格上昇の恩恵(?)を受け、今や99円ほどまで値を戻しました。

今後、原油価格が1バレル70円近くまで回復するという見方も世の中に多く、そうなったら資源国通貨高が進み、カナダドルは確実に100円を超えるでしょう。豪ドル(現在95円)も100円に迫るかもしれません。そういうトレンドを前提に考えれば、

・資源国不動産が「お買い得」な時期は、間もなく過ぎそう
・カナダについていえば、今は1ドル=100円以下でカナダドル資産が仕込める最後のチャンスだろう

残り少なくなった「資源国不動産の旬な時期」…今週後半に、カナダ商業物件セミナーを3日連続で開催するので、今のチャンスを逃したくない人は是非来てくださいね。

「300万円から投資可!カナダ商業物件セミナー」(リンク集)

5月28日(木) 19時~ 東京セミナー

5月29日(金) 19時~ 名古屋セミナー

5月30日(土) 13時半~ 東京セミナー

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金持ちオーストラリアとの付き合い方

おはようございます。Manachanです。オーストラリア3泊(うち機中2泊)の弾丸出張から帰り、いま、成田空港にいます(家に帰るんじゃなくて、これから福岡に飛ぶんだよなあ…ああ忙しい)。

久しぶりのオーストラリア・シドニーでのセミナー講演は、とても楽しかったです。セミナーでたくさんの方との良いご縁ができましたし、また、シドニー在住の昔からの友人とも、旧交を温めることができました。8月には家族の里帰りで渡豪するので、またセミナーやりたいな。

私、オーストラリア(シドニー)で2000年から05年まで暮らしました。同国を離れてから、すでに10年経ったわけですが、この間、オーストラリアでも日本でも、いろんなことがありました。
一番、分かりやすい変化は、両国の経済的な立場が逆転したことですね。

私がいた頃(約10~15年前)は、物価や給料水準は日本の方が高かったのに、今では、オーストラリアの方が高くなっている。

私、2000年に移住した時点では、オーストラリアは「安月給で、物価も安い」印象でした。移住当時の為替レートは、今でも覚えてますけど、1ドル=63円。その数か月後、シドニーオリンピックが終わると豪ドル安がガツンと来て、1ドル=56円くらいの時代になりました。

当時の私は、シドニーのIBMで、IT技術者(ロータスノーツ開発者)として働いていましたが、日本と比べた時の安月給が悩みの種でした。年俸は6万5千ドル、税金は約33%もっていかれるので、手取りが4万4千ドル前後。日本円に換算して270万円前後。しかも会社までの交通費は自腹。

私、移住前は東京で働いて、残業代含めて年収600万円を超えてましたし、税率も安かったですから、オーストラリアの手取り給料安すぎ!と思いました。その安い給料から、毎年、日本への里帰り費用を捻出してましたから、やりくりが大変でした。日本の友達と居酒屋に行って、飲み食いして6000円くらいかかると、「100ドルも散財してしまった!」と、ちょっと暗い気持ちになったほどです。

その代わり、現地物価は安く感じましたね。チャイナタウンのフードコートで麺料理を食べると、5.5ドル位。円換算330円でそれなりに美味しいですし、自宅から会社の最寄り駅(Penant Hills)まで、28㎞を移動した電車賃も片道2.9ドル、約170円なので、現地物価で生活する分には不自由は感じませんでした…

そんな時代を、「遠い目」で思い出します…歳月が経ち、日本からみると今のオーストラリアは、状況が劇的に変わってしまいました。

あれから日本は、デフレが続き物価が上がらない状況が続く。一方、オーストラリアは好景気とインフレが続き、毎年、物価が上がる通貨も切りあがる。今では完全に立場逆転。

今の為替レートが1ドル=92円、日本からみると現地物価の上昇も著しく、スーパーで買うミネラルウォーターが3ドル(276円)、フードコートで中華めし食べても12ドル(1100円)以上、IBMまで片道の電車賃が8ドル(730円)以上、シドニーでホテル泊まると軒並み200ドル(18400円)以上、シドニー郊外で一軒家を買うと安くても60万ドル(5500万円)…という世界になっています。駅の自販機でポテトチップスやペットボトル飲料売ってますが、軒並み300円超えなので買う気が失せてしまいます。

【シドニーのスーパー、食べ物は昔は安かったけど、今は安くない】

物価高だから当然ですが、賃金水準も大いに上がりました。今では、私と同じレベルのITエンジニアの仕事すれば、年俸10万ドル(920万円)以上はいくでしょう。オーストラリアは今や、日本より給料も物価も高い国になったのです。

統計データでも、「日豪逆転」が、裏付けられています
(一人あたりの名目GDP、USドル)

そんなオーストラリアと、どうやって付き合っていくか?

日本の年金もらってオーストラリアで悠悠自適に過ごすとか、日本の給料稼いでホリデーでオーストラリア行くとかは、もう割に合わないですね。現地物価高すぎて…でも逆に、

・オーストラリアで稼いで、日本で使えば安く感じる。
・オーストラリア在住者を相手にビジネスすれば割が良いかもしれない!

なにしろ、日本の1.5倍くらいの物価で暮らしている人たちです。オーストラリアから日本に来れば何でも安く感じる上に、品質やサービスのクオリティはたいてい日本の方が高いから、ものすごいコスパの良さを感じるはずです。不動産でいえば、「億」が当たり前の国ですから、東京の不動産でさえ「すげー安い」と感じるはずです。

そうした物価格差を、上手にビジネスに結びつけたい…それが私の、「古巣オーストラリアとの新しい付き合い方」。

普段、物価の安くてクオリティの高い日本で暮らし、金持ちオーストラリアのお客様を相手に商売して、豪ドルを稼ぎたい。だから、今後も「オーストラリア詣で」を定期的に続けるつもりです。

そして何より、日本を経済的に豊かにしていく上で、私らしいの貢献をしたいと思います。私は普段、世界中の国々を回っています。どの国も素敵なところがたくさんあり、嫌いな国は一つもありません。

でも、自分にとって一番大事な国は「日本」、これは生涯変わりません。私は日本のメシを食って大きくなり、日本の教育を受けてきた人間なのですから…日本のために、何ができるのか?私の得意とする「海外」「不動産」「ビジネス」をキーワードに、日本に海外のマネーパワーを引き込んで、もっと元気で活発な国にしていきたいと思います。

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タイ語4ヶ月学習戦略

こんばんは、Manachanです。

今日から、東京・飯田橋の専門学校でタイ語を学ぶことになりました。タイ人講師とマンツーマン授業、30時間分の枠を一気に取り、当面の学習を進めることにしました。

なぜタイ語なのか?いま手掛けているプロジェクトの関係で、今年7月下旬~8月上旬にかけて、私はバンコクでたくさんの不動産調査をしなければなりません。

国際都市バンコクでは、日本語や英語の通じる世界も確かにあります。でも、これらの言葉だけ使っていては、都心部の一角しかアプローチできません。どうせやるなら、バンコク住民の圧倒的大多数を占めるタイ語生活者の世界に入り込めるようになって、価値ある取材をしたい。

プロジェクトメンバーのなかで、タイ語エリアの担当は私…通訳を使うにせよ、自分がある程度、言葉分からないと仕事になりません。「バンコク渡航までの4ヶ月間、集中して学習することによって、自力でタイ語を何とか使えるようになる」のが、私の至上命題です。

ここで「何とか使えるレベル」というのがミソ…わずか4ヶ月で、タイ語で流暢に会話できるとか、タイの企業で働いて電話受けができるレベルを目指しているわけではありません。そこまで到達するのは、4ヶ月ではとても無理。かといって旅行会話程度では、仕事にはなりません。

では、どこまでできるようになればいいのか?自分がやる仕事の内容に基づいて、具体的にイメージしてみました。

「タイ語で書かれた不動産広告(マイソク)を読めるようになる」

「タイ語で書かれた不動産雑誌記事を、辞書を引きながらなんとか解読できるようになる」

「タイ語でメールを書いて、アポイントが取れるようになる」

「通訳を介さずに、タイ人と収益不動産に関する基本的な会話ができるようになる」(駅やバス停からの距離、築年、売買価格、賃料、駐車場の有無、利回りなど…)

だいたいの感覚でいうと、自分の母語である日本語のレベルを100とすれば、7月までにタイ語レベル30程度に到達すれば良いと思っています。

私のこれまでのタイ語学習は全くの独学。約20年前のバックパッカー時代、タイ各地で安宿に泊まり、安いローカルバスに乗るためにタイ文字を解読したり、英語分からない現地の人と片言のタイ語で会話したり…そんな程度なので、現在のタイ語レベルは良くて5か10でしょう。それを、4ヶ月で30までレベルアップするのが目標です。

今日は、飯田橋の学校で、初めてのレッスンを実施。その前に次のような教材を買ってきて、数日間、予習してました。

タイ人講師と、直接のレッスンを受けた結果、

私のタイ語レベルは「中級」だと言われ…

中級の、難しそうな教材が私の目の前に並びました…その中から、私が選んだのはビジネスマン向けの「職場で使えるタイ語会話」。

いきなりタイ語で電話じゃん!

結構難しいけど、やるしかない!頑張ります。この教材、全部こなせるようになったら、たぶんタイ語レベル30くらいまで行くよね。

最後に…娘ソフィアが見つけてくれた、タイ語学習のiPhoneアプリ「Tic Tic」

Tic Ticという女の子が話すタイ語を真似て、発音練習するアプリです

正しく発音できると、Tic Ticが反応してくれます♪

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フィリピン不動産融資の変化

こんばんは、Manachanです。今回はフィリピンねた…一昨年から毎月連載しているHome’s不動産投資コラムで、辛口の文章を書きました。

フィリピン融資トラブル発生

私自身が体験したトラブルだけに、客観的にフェアに書こうと思いつつも、どうしても辛口になってしまう面はあります。この文章でお伝えしたかったことは、

新興国でプレビルドを買うにあたっては、「融資の仕組みがあやふやである」というリスクの存在を知ろう。

日本と違って「融資特約つけずに買う」わけだから、完成時に融資が下りない場合、現金を全額揃えて払うか、最悪、これまで払った頭金を捨てる事態も想定しよう。

ま、融資など受けずに全額キャッシュ払いしちゃえば問題ないんだけどね。

フィリピンは、同じ東南アジアのマレーシアやタイと比べて、外国人オーナーに対する銀行融資を出したがらない国、というイメージがあります。

マレーシアでは、2~3年前に、外国人にも物件価格の85%や90%まで融資出してた時期があり、実際、ものすごく売れたわけですが、その結果、地元の人が買えないレベルまで不動産価格が高騰したので、引き締めに入っています。今だと外国人は頑張っても50~60%しか融資ひけないでしょう。

フィリピンはマレーシアの経験に学んだのかどうか知りませんが…・ここ2~3年は外国人に対する融資オプションをほぼ与えず、不動産マーケットは地元のフィリピン人やキャッシュ買い客中心の状況だったように思います。

日本人が買う場合は、東京に支店があるPNB銀行位しか融資の選択肢がなかった。だからこそ数年前のマレーシア不動産のような爆発的な価格の伸びは見られず、その分安く買えていたともいえるでしょう。

ただ、同国でも外国人に対する融資が、だんだん、緩くなる方向に向かっているのは間違いないと思います。

・BDOなど、日本に拠点を持たないフィリピンの銀行が、日本人向けに貸すようになった。

・日本の金融機関による「フリーローン」の類もいくつか出てきた。

フィリピンの融資制度、現時点ではまだあやふやな面も多く、実際それがリスクでもあるわけですが、近い将来、仕組みが整備されて、各行から外国人も使えるローン商品がどんどん出るようになれば、同国の不動産市場も劇的に変わるのかもしれません。

いま、アジア大平洋大家の会では、セブ島の投資用ホテルセミナーを開催しています(2/27東京2/28福岡)。講師の佐藤大悟さんは、「現時点ではまだ、フィリピンの銀行融資があやふやなので、物件代金を自分でつくる方策を考えるべきです」とセミナーで言います。良心的だと思います。

数年前なんか、今よりもっとあやふやだったのに、「銀行融資つきます!」と言ってた業者が多かったもんなあ…そういう業者の多くは、もう、市場から姿を消してしまいました。商売というものは、時間かかっても誠実にやるべきなのでしょうね。

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注意喚起系セミナーの毒

こんにちはManachanです。数日ぶりのブログ更新になります。

昨日、東京・品川で開催した「フィリピン物件売却セミナー」…15~17時は業者向けセミナー、18~20時は一般投資家向けセミナーと、ダブルヘッダーの長丁場でした。これ、良い意味で我々「アジア大平洋大家の会」らしいセミナーだったと思います。

私たちのミッションは「海外不動産にフォーカスした、個人投資家の育成」であり、その趣旨から、二つのタイプのセミナーを行っています。

・販売系セミナー
 厳選した海外不動産投資機会の紹介

・注意喚起系セミナー
 海外不動産投資で失敗しない(or失敗してもリカバリーする)ための情報提供セミナー

セミナー主催者の視点から、上記二つを比べると、「販売セミナー」の方が難易度が明らかに低く、「注意喚起系セミナー」はかなり難しい。実際、自分が痛い目にあってないと(或いは、痛い目にあった人を講師として連れてこないと)、この種の内容は語れませんから…

また、こういうセミナーやっても、お金にはなりません。私たちの会は、海外不動産を扱う業者からセミナー開催費用をいただいて、その予算内で集客・会場手配することが多いですが、当然ながら皆、「不動産の販売」が目的であり、「注意喚起」みたいな内容にお金を出す業者はいません。

ですので我々も、一人2000~3000円くらいの参加費をいただいて、その範囲内で会場費や資料代を出して、自分の時間を使って「手弁当」でやっています。ただ、こういうセミナーは会員にとって有益だと思うので、喜んでやっています。

昨日のセミナーは、私がフィリピンのコンドミニアムを買った後、2013~14年にかけて、入居づけと売却で苦労した体験談を、皆さんとシェアしました。

本当に大変でした…自分の経験値が足りなかったのもありますが、入居に8ヶ月、売却に5ヶ月、足かけ1年以上かかりましたもんね。私は2011年に、とある業者からセミナー受けて物件買ったんです。当時、その業者は「いつでも簡単に売れますよ」と言ってたんですが、実際やってみると全然違うじゃんかよ!

しかし、この経験、無駄だとは思っていません。苦労・試行錯誤した分だけ、自分の海外不動産投資スキルを向上させることにもつながるし、今こうやってセミナーで、皆さんと経験談をシェアすることもできてるわけですから。

できれば、海外不動産を購入する前に、こういう話を聞いて、賢い選択をして欲しいものですよね。「良い子のみなさん、真似しちゃだめよ」みたいなことを、かつての私は結構やってますので…

でも興味深いことに、こういうセミナーやると、参加者の皆さんの表情が暗くなるんですよ!

私はとても楽しんで話しているんですが、やっぱり、毒が効きすぎたというか…「これから海外で物件買おうぜ!」みたいな高揚感は、注意喚起系のセミナーにはないらしい。人間の心理って、そういうものなんでしょうね。

でも一部、参加者のなかに「洗練された海外不動産投資家」がいました。「こりゃ、いいこと聞いた。あと半年後に、海外物件の叩き売りする日本人が大量に出るはずだから、今から軍資金貯めておこう!」と…こういう人って、賢いと思います。

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ゲートのある国、ない国

こんばんは、Manachanです。北米出張から無事帰国しました。カナダ3泊、アメリカ1泊、機中1泊…ハードなスケジュールでしたが充実した日々でした。出張を支えてくれた現地パートナーに感謝!

今回の日記は、「アメリカとカナダの違い」について書きますね。

アメリカからカナダに行くと、正直、別の国に来た気がしません。どちらもクルマ社会、右側通行だし、ロードサイドの大型商業施設だって似たような感じ。そもそも、両国ともアメリカ資本の店ばっかりだし…

もっとも、ファストフード店に少し違いがあります。アメリカのBurger Kingが、カナダに行くとTim Hortonsになる。そういえば、以前住んでたオーストラリアでは、Burger KingのロゴなのにHungry Jackっていう名前だった。あれと同じようなもんかな?

雑駁なイメージですが、アメリカは国民性も街のつくりも派手好きで陽性、一方カナダは概して地味。日本でいえば、アメリカが関東なら、カナダは北陸地方のイメージに近い。

私が北陸出張する時、関東では見かけない「8番ラーメン」の看板をみて、「北陸に来たなあ~」と実感する。アメリカ人がカナダ行ってTim Hortonsでハンバーガー食ったら、同じように思うのかもしれません。

たぶん、アメリカとカナダで一番大きな違いがあるのは、高級住宅地の風景かもしれませんね。

都市にもよりますが、アメリカの金持ちは、自分の居住区をゲートで囲って、24時間警備をつけて、外界から隔絶したがる。ゲートの中にゴルフ場やテニスコートをつくって、そこに住める人だけの特権を楽しむことが多い。こういう地区を「ゲートコミュニティ」(Gated Community)と呼びます。

同じ北米でもカナダに行くと、ゲートコミュニティはほぼ見かけませんね。カルガリーで一番の高級住宅地で数億円の豪邸が並んでる地区を見ましたけど、誰もが自由にアクセスできるようになっていました。

そういえばオーストラリアもカナダと似ていて、私、5年も住んでて、この国でゲートコミュニティの話は聞いたことがありません。シドニー湾に面した静かな入江で、金持ちが豪邸建てて、敷地内にプライベート桟橋つくって、クルーザーを横付けしてましたけど、少なくとも彼らの家に行く道は公道で、誰でもアクセスできました。

もっとも、オーストラリアの金持ち連中は庶民や貧乏人が自分たちの居住区に入ってくるのを嫌うらしく(当たり前か…)、主要道路からの進入路を入りにくくしたり、他の地区と鉄道で直結する計画に反対運動起こして頓挫させたり…程度のことはやってましたね。

「アメリカ型のゲートコミュニティ」 VS 「カナダ・オーストラリア型のアンチ・ゲートコミュニティ」…これらのコンセプトが太平洋を渡ってアジアに行くと、各国でそれぞれの発達を遂げます。

アジアのなかで、アメリカ型のゲート・コミュニティが発達している国といえば、真っ先に「フィリピン」と「インド」が思い浮かびます。

フィリピンの首都マニラ、都心部のマカティと新興都市ボニファシオの間に、金持ちのすごい豪邸が並ぶ一角があって、そこは当然、ゲートのなか。セブ(マクタン島)の東海岸、Crimson Resortなど五つ星ホテルが並ぶ近辺にも金持ちの戸建住宅街があって、当然ゲート付き。

インドのハイデラバードでは、もっと凄いものをみました。Kukatpallyという、富裕層の戸建や集合住宅が並ぶ、人口1万人と呼ばれる巨大ゲートコミュニティ。おそらく世界最大規模かもしれません。

インドもフィリピンも貧富格差が大きく、金持ちが庶民と自らを隔絶したい意識が強い国のように思います。だからこそ住宅開発も、アメリカ型の発展を遂げたのでしょうね。

一方で、アンチ・ゲートコミュニティの国としては、真っ先に「日本」「中国」「タイ」が思い浮かびます。特に日本は、カナダ・オーストラリアを超える、究極のアンチ・ゲートコミュニティの国だと私は思います。

日本で金持ちが住む地区といえば、東京だと田園調布、松濤、番町、城南五山。少しレベル下がって成城学園か…どこもゲートなんか無いぞ!誰でも自由にアクセスできるばかりか、庶民と金持ちが隣り合わせに住んでる状態。

しかも東京が凄いのは、金持ち居住区の最寄り駅から、鉄道で首都圏全域とどんどん直結させること。今や「代官山」「田園調布」駅からサイタマの和光市や所沢まで、数分おきに電車が直通し、埼玉庶民が一日何万人も押し寄せるナイスな事態に!

「やんごとなき人々」が、自らの居住空間をお金の力で「下々の者」と隔絶することは、少なくとも東京では不可能。日本の社会は、それを許さないのです。

中国やタイも、日本ほどではないけど、基本、金持ちエリアに誰もがフリーアクセスできる社会のようです。もっとも、中国には城壁文化があるけど、タイにはなさそうで、より日本に近い感覚ですね。

ゲートコミュニティの国と、アンチの国…どちらが良いのかは、各人の価値判断次第でしょう。

フィリピンあたりのゲートコミュニティで育った人は、塀のなかで、気心の知れた隣人たちと共に住むことで安心感や、コミュニティの一体感を得られるでしょう。彼らが日本に来たら、ゲートがない分、怖くて街を歩けないかもしれません。

一方、私は日本で育ったので、ゲートコミュニティの良さを体感したことはもちろんありません。もし運命のいたずらで、私が大金持ちになって、25億くらいの豪邸に住める身分になったとしても、ゲートコミュニティに住みたいと思うか?…それは、分かりません。正直、想像が及ばないので。

ただ、ゲートがあってもなくても、どの国でも、高級住宅地って素敵だなと思います。

アメリカ・ラスベガスの高級住宅(ゲート内)

カナダ・カルガリーの高級住宅(ゲート無し)

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