2016年 8月 の投稿一覧

先進国利回り5%物件をスルーすべきでない理由

こんにちは、Manachanです。出張先、福岡市のビジネスホテルでブログ書いてます。

私、福岡市で2008年1月から不動産投資をしています。参入して8年半になるわけですね。長年ずっと見ていると、昨今、福岡市周辺での収益物件の利回り低下は顕著ですね。

 

「木造マンションで築浅なら表面6%台でもマシな方」
「RCで良い立地だと、表面4~5%が当たり前」
「郊外ロードサイド店舗でさえ、表面8%台いけば”神”に近い」

 

等々…「ここは東京23区内か?」と思うような低い数字が並びます。いまの福岡は全国の都市のなかでも、かなり利回りの低い(=賃料に対して売買価格が相対的に高い)部類に入るではないでしょうか。

そんな感じで、今やや過熱感のある福岡市マーケットですが、都市の実力と、売買価格と賃料のバランスが取れていれば、低い利回りもそう悪いことではないと私は思います。実際に高い価格でも買ってる客がいるわけですから、それだけ都市や立地の評価が高いともいえるわけです。

 

九州各地から人口が集まり、成長を続ける福岡市。全国的知名度があり、たぶん日本で唯一、「首都圏から移住者を呼び込める百万都市」でもあります。街の評価が高いのは当然でしょう。

ある意味、福岡を数十倍大きくしたのが「東京」で、そこは日本全国からの移住者をひきつける首都…その中心にある銀座、新宿、渋谷、六本木等の収益物件は、今なら利回り3%以下でも買う客はいくらでもいます。吉祥寺を2.5%で買う人もいる位だし・・

利回りの低さは、街の評価の高さ」であることを踏まえた上で、投資家としては、現在・将来の賃貸・売買需要や金利環境や税制を予測しながら、「いま福岡中心部のRCを5%で買うべきか?」という判断をしていくわけです。

 

東京でいうと、不動産におけるトップ立地は「銀座」や「丸の内」。次いで「3A」(赤坂、青山、麻布)、「渋谷~表参道」、「六本木」「虎ノ門」あたりまでは「一等地のなかの一等地」であり、世界的にはニューヨークのセントラルパーク周辺とか、ロンドンのシティ、香港の尖沙咀あたりと並び称される立地。

こういう「世界一流都市の一等地」は、賃貸に出した時の利回りがグロスで2~3%とかが当たり前。東京都心の不動産価格、日本では誰もが高いと思ってますけど、それでも、ロンドンやニューヨークの同等立地に比べて東京はまだ割安感があり、富裕層やファンドがガンガン買ってるわけです。

 

東京でも、新宿とか、さらには池袋まで行くと不動産価格もこなれてくるし、期待利回りも一等地に比べれば多少高まります(例.中古区分マンションで表面4%を切ると、表参道ならすぐ売れるけど池袋では売れない)。さらに、城東城北地区、都下神奈川埼玉千葉と、郊外に出るほど、リスクや出口不安が大きくなり、人々の期待利回りは4%⇒6%⇒8%⇒10%と、上がっていきます。

日本人の投資家なら、同じ首都圏でも「東京都心の利回り5%」と「千葉市の利回り5%」が同じだとは誰も思いませんよね。前者は「割安」だと皆が思ってるけど、後者はどうみたって「割高」で誰も買わない。それは、投資家の購入行動が「実際の利回り」と「エリアの期待利回り」との相対的関係で決まるからです。

 

で、本題に移ります。

「東京の利回り5%と千葉の利回り5%が同じではない」という常識が、なぜか、海外不動産の話になると、通用しない。日本国内の不動産投資で財産を築いた立派な投資家でさえ、いざ海外になると、

「英国の学生寮、利回り9%だから、買おう!」

「オーストラリアのレジ、利回り5%しかないから、スルーしよう!」

みたいな購入行動を平気でとるのです。

 

でも、不動産投資の基本は、世界中どこだって同じ。それぞれの都市、エリア毎に期待利回りが違い、それとの相対的な比較で判断すべき話で、

海外の収益物件が、いま5%で売られているとしても、もしその場所が「東京都心」クラスだったら超割安だし、9%出る物件があるとしても、それが「千葉市」レベルの立地なら「それなり…」の数字ですよね。要は、表面的な利回りだけで購入を判断すべきではない。

 

海外、先進国の大都市内の優良立地でグロス利回り5%回る物件なら、私はかなり割安だと感じますし、お金が増えそうな物件だとも思います。

たとえば、オーストラリア第3の都市ブリスベンで、利回り5%ちょっと回る、邦貨換算3000〜4000万円の物件を、明後日のセミナーでいくつか紹介します。この物件には融資もつけることができ、その条件は今のところ「物件価格の65%、豪ドル、金利4.77%、融資期間25年」です。

物件価格の35%、自己資金を出して買う。すぐ賃貸つけて、その賃料をそのまま返済に回すと、キャッシュフローがトントンか、わずかなプラスになる感じの不動産投資。

 

「海外の銀行で融資組んで、それでキャッシュフローがほとんど出ないんじゃ、意味ないじゃん」と判断する方は、ハッキリ言うと海外不動産投資のリテラシー不足。

オーストラリア不動産投資の醍醐味は、キャッシュフローではありません。「かなり確度の高い値上がり益期待」と、それによる資産拡大効果(B/Sでいう「資産の部」の数字改善)が主要テーマです。

 

  • ブリスベンの人口は、年率2%以上で増えている。同市の人口増加は、少なくとも今後30年以上続く見込み。
  • ブリスベンの平均空室率は2.7%。今回紹介するエリアだと1.5〜1.9%。需要に対する住宅供給不足は、少なくとも今後20年以上続く見込み。
  • ブリスベンの賃貸契約は普通、1年間。契約更新ごとに賃料が数%上げるのが常識。
  • ブリスベンから南へ飛行機で1時間の距離にあるシドニー(同国最大都市)と比べて、ブリスベンの住宅価格は戸建で50%、集合住宅で60%程度。一方で賃料はシドニーの約80%とれる。
  • その結果、シドニー不動産の平均利回りは3.0〜3.9%に対し、ブリスベンは4.4〜5.2%回る。
  • オーストラリアの経済成長率はやや不調とはいえ、人口増加を背景に年率2%は軽くいく。
  • 不動産ローンの金利は、今は4.0%前後。オーストラリア史上、最低水準を更新し続けている。
  • 今回セミナーで紹介する40万〜50万ドルの価格帯は、オーストラリアにおける住宅初回取得者(First home buyers)のボリュームゾーンであり、今なら彼らに対して2万ドル前後の補助金が出る。

 

…これだけの客観条件が揃ってて、今後値上がりしないと想像すること自体が難しいです。

現実的な線でいうと、「いま利回り5%で買って、5〜10年後に利回り4%で売却」でしょうか。仮にいま40万ドルで買って利益確定は7年後としましょう。いくらで売れるでしょう?家賃上昇率、控えめに年率2%と考えて…

 

1) 購入時

売買価格 400,000ドル

年額家賃20,000ドル

表面利回り5.0%

 

2)7年後の売却時

家賃 22,974ドル

表面利回り4.0%

→予想売買価格 574,350ドル

 

40万ドルで買って、57万4350ドルで売れるのなら、値上がり幅17万4350ドルになるわけです。売却コストを無視して、単純に年率換算すると、

 

1)値上がり益の年率

174,350 ÷ 400,000 ÷ 7年 = 6.23%

 

2)保有期間中の家賃収入(購入時価格換算)

購入時  5.00%、売却時 5.74%

→ 保有期間平均  5.37%

1)+ 2) = 11.60%

 

…となる。つまりこれは、値上がりを考慮すると年率11.6%でお金が増える優良投資案件であり、「9%で回る別の海外投資物件よりもさらに効率が良い」可能性が十分あるわけです。

 

ま、実際には取引コストとか金利負担とか節税効果など、いろんな変数を入れてシミュレーションしなければ優劣の判断はできませんが、

私のざっくりした感覚、経験からいうと、「ブリスベンの良い場所で、いま5%で土地つきの戸建やタウンハウス買えるなら、9%回るけど値上がり期待の余りない別案件買うより、もっとお金になる」と思います。

 

余談ですが、今月中旬に、私が視察中に「サプライズ衝動買い」しちゃったメルボルンMoonee Pondsのアパートも、実は頭のなかで同じ計算をしてました。

  • メルボルンの集合住宅平均の利回りは4.0%。これはシドニーより高くブリスベンより低い、「オーストラリア第二の都市」の実力を反映した妥当な数字。
  • でもって、今回内見したMoonee Pondsの物件、「メルボルン都心から6km、電車で4駅10分、駅から徒歩3分の賑やかな商店街の中」という、都市平均より明らかに良い立地なのに、利回りが4.7%出る。これは明らかに割安な買い物。

….だと判断して即買いしました。

 

1ベッドルームを397,800ドルで予約して、再来年の完成予定。これ、4.7%で買って、5〜7年後に3.7%で売れるならば、

売却時予想価格(家賃上昇なし)    397,800 × 4.7% ÷ 3.7% = 505,313ドル

売却時予想価格(家賃上昇2%/年) 397,800 x 1.02の7乗 ÷ 3.7 = 580,446 ドル

想定売却益  107,513〜182,446ドル

 

…ですので私は、この物件が50万ドル以上になれば売るつもりです。メルボルン都心近くの好立地で、「4.7%が3.7%になるのは簡単」と思いますが、さらに欲をかいて「3.7%が2.7%になることを期待するのは、メルボルンの実力を考えると難しい」と考えるからです。いや、今のシドニーみたいにバブれば、メルボルンでも2.7%はありうるでしょうが、非合理的な価格形成がされるマーケットでの売り抜けは、私の得意とするところではないし、

それよりも、「ブリスベンやメルボルンの都心近くで5%近く回れば割安だから買う、4%切れば売って利益確定」みたいな、不動産投資家として常識的な感覚を持ち続けたいと思います。

 

業務連絡) 8/31 13:00現在

9/1 ブリスベン&ゴールドコースト不動産購入相談会@東京半蔵門、あと2席ご案内できます。申込リンクはこちら(先着2名で締め切りますが、間に合わない場合は後日個別相談に応じます)。

http://goo.gl/o9jfTB

 

私の買ってるメルボルンのマンション、1ベッドルームが一室だけ40万ドル以下で残っています。購入検討したい方は私にメールを下さい(こちらは先着1名で締め切ります、売り切れてたらゴメンなさい)。

mana33chan@gmail.com

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新興国不動産の賢い買い方

おはようございます、Manachanです。昨日は日曜日、パパの家族サービスデイ。子供たち連れて映画見にいったりしました。今週からは泊まりがけの出張が多くなるので、今日ぐらいは家族と一緒にいないとね。

 

昨日の日記「業者主催の新興国数か国同時セミナーに思う」、蓋を開けてみたら物凄いPV数で、今年書いた文章のなかで第2位にランクイン。かなり専門的でマニアックな内容なのに、こんなに多くの方に読んでいただけるとは思わなんだ。

世の中、いろんな方がいるもので、読者のなかには、あの文章を「特定の国の不動産業者に対する中傷」だと解釈する方もいたようです。作者の私としては、特定の個人名や業者名を晒してるわけじゃないし、文章中にちゃんと根拠も示してるし、どうみても中傷ではないと思うんだけどな…

 

ブロガー・情報発信者として、私が常に大事にしている価値観は、3つ。

・不動産を心から愛していること

・グローバルな実践的不動産投資家として、各国で数々の経験を積み、それを皆様にフィードバックしていること

・常に投資家の方を向き、投資家利益の最大化のために仕事していること

 

海外不動産に関わる仲介業者の皆様とも、投資家利益にプラスになる仕事をしてくれる限り、良き友人としてお付き合いしますし、喜んでサポートします。但し、そうでない時は、噛みつくこともあります。私、業者からの評判はともかく、投資家仲間からの評判はものすごく気にする人間。その観点で、言うべきことはハッキリ言います。

 

で、今回の本題に入りましょう。

「海外不動産投資するなら、先進国と新興国、どちらが良いか?」

 

私、どちらかといえば先進国の方が好きです。でも、新興国の不動産もたくさん買ってますし、貸したり売ったり、あと不動産市場調査も精力的にやってきました。何だかんだ言って、ASEAN圏内の半分くらいの国に、自分のお金出して投資してますし、現在も進行中。

「新興国の不動産は、いろいろ問題があるけれど、攻め方を工夫すれば、十分アリ」

だと思ってます。

 

そういえば、こんなことがありました。1年ほど前にアジア太平洋大家の会のカナダセミナーに参加された方が、「あの当時、Manachanは、ベトナム不動産はダメと言ってた」というのです。

私が、どういう文脈でコメントしたのか、正直覚えていません。その方の投資目標をヒアリングして、「その目的実現のためにベトナム不動産はあまり適切ではない」と言ったのか?あるいはベトナム不動産の権利面のことを聞かれて、「外国人の不動産所有権に関して未確定な部分がある」と言ったのか?(その当時は、外国人の不動産所有権が事実上解禁される法律が施行されたとはいえ、細則がまだ決まってなかった…)

 

ただ、何の前提もなしに質問されて、私が、「ベトナム不動産はダメ」と断言することはありえません。なぜなら、

・どの国でも、「人間の住まい」や「事業活動の舞台」として、不動産が必ず存在するから。

・どの国でも、少なくとも自国民に対して、不動産に対する権利は、何らかのかたちで守られているはずだから。

・都市部では少なくとも、その権利が「経済的価値」を持つはずだから。

 

ベトナム不動産の話を、もう少し詳しくしますね。同国で外国人に対して不動産市場が事実上開放されたのはつい最近(2015年)ですが、そのはるか以前から、ホーチミン、ハノイの二大都市では、ベトナム人による「都市内の集合住宅居住」スタイルが一般化しています。

おそらく、ここ10年のことでしょうか。ホーチミンやハノイが拡大して市内の地価が大きく高騰して、一般の人が「土地付き一戸建て」を買って住むのが難しくなった。遠い郊外(下手したら隣県)からバイクで長距離移動する位なら、都市内の集合住宅で良いと思う人が増えた。そのニーズを追うように、地元民向けのマンション供給も大きく増えた。

今や、ホーチミン1区から半径5㎞以内で一戸建というのがそもそも珍しいし、10km圏でも集合住宅が爆発的に増えています。それを、地元のベトナム人が売ったり買ったり、貸したり借りたりして、彼らの間でマーケットがすでに形成されています。例えば、「ホーチミン10区ならマンション㎡単価いくら位」みたいな話も成り立ちます。

 

最近は、batdongsan.comtimnha.comなど、ベトナム不動産のポータルサイトも充実し、物件データ数も6万件を超えて、一応、ビッグデータ解析に耐えるようになってきました。そこにIT技術を駆使すれば、「ホーチミンやハノイ、各エリアの不動産売買・賃貸価格の㎡単価、平均値や中央値、標準偏差」が求められるようになっています。

 

【ベトナムでも、こんな方法でデータ解析できます】

vietnamdata

 

東京と同じように、ハノイにもホーチミンにも、それぞれのエリアの土地柄があり、地域毎に不動産相場が存在します。

【ハノイのハイバーチュン区は、下町。錦糸町・亀戸に相当】

hanoihaibatrung

 

【ホーチミンの9区は、高度成長期の埼玉に相当】

hochiminh9ku

 

「地域相場」が分かれば、いま売り出し中の物件が、それに対して割高なのか、割安なのか、という判定も可能です。いくつかの方法がありますが、私は「周辺事例比較法」と「偏差値」の概念をよく使います。

たとえば、日本人向けに売り出されたベトナム物件が、「地域における偏差値60」(トップ16%位)の値段で出ていたとします。この物件に「地域で偏差値60以上の立地、グレード、競争力」があるなら、不動産本来の価値より割安に買えるという判断になります。

私の分析データによれば、たとえば、「ハノイのTimes City」や「ホーチミンのLavita Garden」は、地域相場からみて「割安」の判定が出ました。こういう物件は、「長期保有」前提で、「現地で物件管理・転売サポートするしっかりした会社」があれば「買い」だと思います。

timescitylavitagarden

(割高判定が出た物件もあるけど、それ公開しちゃうと、また誰かから「中傷」だと言われかねないから、やめときますね。)

もし、「長期保有前提」でもなく、「現地で物件管理・転売サポートするしっかりした会社」もあやふやだとしたら、ベトナムあたり「外国人マーケットで競争力のある、すぐ出口の取れる物件」を買うべきでしょうね。

 

以上が、私の提唱する「新興国で割安物件をGETする方法」になります。この内容をセミナーで解説するには、私も何度かやりましたけど「都市の概要、各エリアの特性、交通網」から、「各エリアの相場データ」「割安・割高判定のその根拠」、「想定されるリスク」まで説明しなければならないので、ハノイ&ホーチミンだけでもたっぷり2時間近くかかります。

その経験があるから、私は「業者主催の数か国同時セミナー」には懐疑的なんです。各都市で説明時間が20~30分しかないと、頑張っても「物件説明」と「表面的な数字の説明」位しかできない。どうしても「売らんかな」になっちゃうし、投資家に十分な情報を与えて判断させることにならないから。

 

最後に、海外不動産を目指す日本の投資家に「十分な知識と判断力を与えて、より賢くする」ことに共感する業者様であれば、先進国、新興国を問わず、私は一緒に仕事したいです。

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業者主催の新興国数か国同時セミナーに思う…

おはようございます。Manachanです。日曜日ですね。大型台風近づいてますが、とりあえず今日の東京は涼しくて快適。家族水入らずで過ごしてます。

昨日は、東京・大手町「第4回 世界の資産運用フェア」で、カナダ不動産のブースを終日手伝ってました。このイベント、前回は台湾とカナダのブース手伝ったり、パネルディスカッション頼まれたりと、毎回必ず駆り出されてます。

昨日のイベントは出展企業数減った割に来場者数は過去最高だったよう。カナダブースは私含めて3名しかおらず、終日、休む間もないほど多忙でした。来場者の「海外で不動産投資始めたい」真剣度も年々上がっておりますが、購入に際してはできるだけ多くの情報を仕入れて慎重に判断したい人が多く、セールスマンに求められる知識とコンサル能力は上がる一方。仲介業者にとって決してラクな業況ではないと思います。

顧客は慎重、予算も有限、海外不動産の価格も上昇中…ということで、必然的に求められるのが「海外不動産に融資を出す国内金融機関」の存在。特に昨今、「政〇金〇公庫」や「〇リ〇クス銀行」の積極的な融資姿勢は、海外物件を扱う業者にとって神、救世主という他ないでしょう。

 

最近は、東南アジア新興国物件を扱う業者が数社集まって、「日本円融資付き、ASEAN数か国同時セミナー」の開催が流行っているようです。一言でいうと、

・タイ、カンボジア、ベトナム、フィリピン、マレーシア等、ASEAN数か国の不動産物件を同時紹介。
・融資コンサルが登場し、〇策〇融公庫等の海外不動産賃貸事業融資スキームの概要説明。
・個別相談やって、さあ、買いましょう。

…というフォーマットのセミナー。「海外物件売りたい業者」と「優良顧客リストを得たい金融機関」、「低金利の融資受けて海外物件GETしたい客」、三者の思惑から必然的に生まれた、今風のセミナー形式といえましょう。

 

私は、セミナー主催側の人たち、ほぼ全員と知り合いだし、彼らの商売を邪魔する気はありません。まだ未成熟な業界を盛り上げるため、共に手を携えていくべき仲間だと、基本的には思っています。

とはいえ私は、海外不動産で資産を増やしたい「投資家」のスタンスで活動しています。その観点からいうと、売りたい側の視点が反映された「新興国数か国セミナー」からの情報収集は、気を付けるべきだと思います。こういうセミナーに参加するのは良いけど、海外不動産投資に関する、ある程度のリテラシーを身につけてからにした方が望ましい。なぜか?

 

私は、セミナーでこんな話になることを、危惧しています。

1)日本円で、金利2%で融資が引ける
2)東南アジア新興国で、物件を買って賃貸に出せば、8%で回る想定
3)差し引き6%、お金が残るじゃん!

 

ま、1)は良いでしょう。属性が良い、現金たくさん持っている、担保に出せる物件がある…そんな人に、日本の金融機関は喜んで貸すでしょう。

一番の問題は2)です。東南アジア新興国、特にプレビルド(=数年後に完成する物件の予約販売)の場合、業者がいう「8%の利回り」で本当に回るかどうか、精査が必要です。その利回りが実現する可能性もあるでしょうが、一般的に、「いくつかの幸運」が重ならないと、実現できない数字だと私は考えます。「幸運」とはずばり、下記3つのリスクを回避できること…

 

a)「過剰供給リスク」… 完成時に、周辺にマンションがボコボコ経って、過剰供給になったら、目標利回りの実現はまず無理。

b)「入居者層の限定リスク」… 想定する家賃が、現地の一般人に手が出ない価格帯の場合、「外国人」という、極めて狭いマーケットで入居者を見つけなければならない。このマーケットで競争力がなければ、目標利回りの実現はまず無理。

c)「インフラ未整備リスク」… それ以前に、建物が予定通りの期日に建たないかもしれない。よしんば建っても、引き渡しの時点でプール等共用施設がまだ工事中だったり、携帯電話の電波が届かない等、環境的な問題で賃貸に出すのが困難かもしれない。ドアの建て付けや水回りの不具合を直すのに想像以上の時間かかるかもしれない、このうちどれか一つが起こったら、目標利回りの実現はまず無理。

 

私は6年前から東南アジア物件買ってきて、上記を全て経験しました。これらのリスクは新興国に特徴的で、「欧米先進国」では明らかに低いといえます。不動産市場のガバナンスが欧米的なら「a)過剰供給」は起こりにくいし、一般ピープルの所得水準が高いので「b)入居者層の限定」も普通は起こらない。近代インフラが一通り整備済なので「c)インフラ未整備」が起こるとも考えにくい。

だから、「フィリピンやカンボジアで想定7%利回り」と「カナダやオーストラリアで想定7%利回り」とは、表面的な数字は同じでも意味合いは全く違うのです。後者は、かなりの確率で目標通りの収益性が実現されると想定されるに対し、前者は「実現できればラッキー」くらいの意味合いなのです。なお、新興国でも中には、確度の高い利回りが実現できる案件もありますが、それは「特殊な賃貸ニーズ」とか「オンリーワン立地・企画・管理体制」など、特殊な要因があってはじめて実現するものですので、それが何であるのか、見極めが必要です。

3)も問題ですね。日本円でローン返済しなければならない一方、家賃収入は外貨(タイバーツ、ベトナムドン、マレーシアリンギット、フィリピンペソ…よくて米ドル)になる。つまり投資家が為替リスクを負うわけです。現地通貨が円に対して上がればいいけど、その逆に動いた場合、現地からの家賃収入で返済できず、持ち出しになる可能性があります。あと、ハードカレンシーとは言えない東南アジア通貨を、日本円に適宜変換できるかという問題もありますね。米ドル等と違って両替手数料も高く取られますし。

 

海外物件を融資受けて買う場合、一番リスクが低いモデルは、「想定利回りが相当信頼できる先進国の物件を、その国の通貨で融資をひいて買う」ことだと思います。それをやれれば、2)と3)のリスクがほとんどなくなるから…

逆に、「想定利回りの信頼性に劣る新興国の物件を、日本円の融資を受けて買う」リスクは決して小さくない。このことを、海外不動産投資を志す人は、ぜひ覚えるべきだと思います。

ぶっちゃけ言うと、「オーストラリアの収益物件、想定利回り5%、豪ドル融資で利率4%」と、「フィリピンの収益物件、想定(?)利回り7%、日本円融資ひければ利率2%」と両方並べてみて、後者の方が割が良いから買おうと即断してしまう人は、海外不動産の基本的なリテラシーが欠けているのです。

 

以上、新興国系の業者様には厳しいことを言ったかもしれませんが、投資家としては上記を十分理解した上で、「新興国数か国同時セミナー」に参加して、納得できれば買えば良いと思います。経済成長中の新興国には、「今はダメダメでも、時間が解決してくれる」面も多分にありますから、長い目でじっくり取り組めるなら、短期的なリスク承知であえて買うのもアリですね。あるいは、東南アジアが本当に好きで、将来は自分で住みたいとか、多少の損があっても、不動産オーナーとして国と一緒に成長していきたい方は、自分の好みでどんどん買えば良いと思います。

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真夏のオリンピックに日本の創意工夫を…

こんばんはManachanです。オーストラリア約1ヶ月の滞在を終え、日本に帰ってきました。明日から子供の学校が始まり、私も連日のセミナー、商談に泊りがけ出張と、普段の忙しい東京の生活に戻っていきます。

忙しいって、ありがたいことですね。予定表が埋まるほど、人々に必要とされてるわけですから。

東京では、2020年夏季五輪まで、残すところあと4年。

リオオリンピック閉会式での東京のプレゼンテーション楽しかった。あの「安倍マリオ」…首相がスーパーマリオの格好で土管から出てくるパフォーマンスは驚き。好みは分かれるでしょうが、我が家には大好評。とにかく分かりやすい。

あれをみた世界中の人々が、「是非トーキョウに行ってみたい」と思うような、ポップでハイテクでクールな、日本オリジナルな魅力と迫力に溢れた会心のショーだったと思います。

 

【オーストラリアのTVでリオ閉会式をみる子供たち】

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日本って大した国だな、と改めて思いました。マリオ、ドラえもん、キャプテン翼、ハローキティ…あえてポケモンとジブリ出さなくても、世界中が知ってるキャラクターが豊富。桜、寿司、着物、マウント富士、渋谷ストリートカルチャーだって、すでに世界的知名度。

さらに凄味を感じるのは、「日本発の文化コンテンツを世界中の人が知ってるのを前提に、ショーに仕上げてしまった」こと…オリンピック最終日、何億人がみているTVで、改まって日本文化の紹介なんてもはや必要ない。すでに五大陸のTV視聴者がマリオやポケモンで遊んでいて、それを日本人が知ってるからこそ、あのショーが成り立つわけです。

 

4年後の東京オリンピックが、凄く楽しみになってきました。世界に例をみないユニークで楽しい大会になりそうで…開会式セレモニーは、目くるめくロボットとハイテクのオンパレードで世界をビックリさせるのか?シンゴジラが登場して聖火台に点灯するのか?あるいは「わび、さび」を前面に押し出すシンプルでクールな式典になるのか?

一体何が出てくるのか、予想できないほど、日本の文化コンテンツは豊富で、懐が深い。

日本人が日本の国土で、日本語でいろいろ考えながら創り上げるモノは、とにかくユニーク。世界中の人が「日本にビックリされたい」と期待してきて、その期待値を常に上回ろうと努力するのが、日本人の文化なのだと思います。

ところで、2020年東京五輪は、7月24日から8月9日まで、日本列島が真夏の一番暑い時期に行われます。

1964年、前回の東京五輪みたいに、10月に行われていれば、快適な気候のもとで競技できて良いのですが、アメリカのTV放映権など大人の事情で、7月下旬〜8月上旬に決まってしまいました。この時期の東京はとにかく蒸し暑く、日本人にとっても厳しい時期。冷涼な気候の国から来た選手には過酷な環境でしょうね(逆に高温多湿な東南アジア出身の選手が活躍したりして…)。

もっとも、各国の選手団もコーチも、真夏の東京の気候を想定して、勝つために万全な準備をしてくるでしょう。でも、観客など一般ピープルはその限りでないので、運営側は熱中症などの健康被害を最小限にとどめるべく、知恵を絞らなければなりません。

でも、ベストでない時期のオリンピック開催は、逆に日本人の創意工夫を発揮するチャンスだとも思います。

 

– 競技会場から最寄駅の間で、適切な場所に緑陰やクーリングステーションの設置。地域住民に「打ち水」協力呼びかけ。

みたいな地道な方策はもちろん、

 

– タイのソンクラーン祭りみたいに、皆で水をぶっかけあうイベントの企画

をやっても良いでしょう。あるいはテクノロジーを使ったソリューションも面白い。

 

– 競技場内で、人感センサーを使って、観客に向けて集中的に涼風を送り込むシステムの開発
– 「太陽光パネル&顔面向け簡易扇風機」つき帽子の提供
– 体内計測データ等 から熱中症アラートを出すスマホアプリの開発

運営側や企業がいろいろ知恵をしぼった結果、たとえば最高気温が35℃を超える日でも熱中症被害がゼロ、みたいな成果が得らたならば、将来、タイとかシンガポールで「熱帯オリンピック」やる際の貴重なノウハウになるでしょうし、

あるいは、世界的に温暖化傾向の近年、東京オリンピックがきっかけで、日本発の暑さ対策グッズやテクノロジー、ファッションが世界中で売れて、新たな産業に育つかもしれません。

今からとても楽しみですね。私は五輪のお膝元、江東区在住で、オリンピックのボランティア(外国人向けの案内ガイド等)をやるつもりです。連日、真っ黒に陽焼けしながら、世界中の皆様が東京で快適にオリンピック観戦できるよう、微力ながら貢献したいです。

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海外で日本人街ができない理由


こんばんは、Manachanです。4週間にわたるオーストラリア滞在を終え、日本に帰るところです。

 

毎夏、私が滞在する妻の実家は、今年、オーストラリア移住40周年を迎えました。1976年に移住、翌年にはケアンズに来ましたが、当時は見渡す限り白人ばかりの世界。アジア系といえば香港出身者がわずかに居るだけでした。

妻の家族は台湾出身で、家族内言語は北京語でしたが、ケアンズに定着した後は英語はもちろん、香港グループと付き合うために広東語を覚えました。その後、1980年代後半になると日本人が大勢やって来て、彼らがケアンズのアジア系住民の多くを占めるようになりました。

大都市と違ってケアンズではチャイナタウンが形成されず、中国語の学校も皆無。一家は早々に中国語教育を諦め、妻を含めて子供たちは英語で育ちました。両親は地元の白人相手に中華料理レストランを開き、生計を立ててきました…

 

時代は下って、1995年。ケアンズで育った妻は大学卒業後、大都会シドニーで就職。それを追うように、私は2000年に当地に移住しました。

田舎町ケアンズで、マイノリティとしてたくましく生きてきた妻一家の生き様をよく知っている私は、シドニーに移住した翌日には就職活動をはじめました。

 

  • 我々は、この国では少数派なのだ。白人でもないし英語ネイティヴでもない、単なる移民。社会的弱者なのだ。
  • 最初からハンディがあるのだから、地元の連中(白人オージー)以上に努力しないとまともな生活できない。
  • 私の持つ武器として、日本でとった修士学位と、米系大手企業でITエンジニアとして3年のキャリアがあり、日本語と中国語ができる…その知的資本を活かして、シドニーで英語環境での職務経験を積み、数年後にオージーと互角以上の競争力を持つことを目指す。

 

上記を座右の銘として行動した私は、3ヶ月後に大手米系のIT企業に就職。そこで5年頑張って働きマイホームも投資物件も取得、妻も働いていたおかげで、この国における「アッパーミドルクラス」の暮らしを勝ち取りました。

 

シドニーにはかなり大きな日本人コミュニティがあります(世界の都市で第6位の規模らしい)が、当時の私は限定的なお付き合いしかしていませんでした。日本人の居住地域から遠く離れた西の方にマイホームを構えたことが大きいですが、

当時、シドニーでみた日本人、素晴らしい方もいましたが、「甘ちゃん」も多かった。英語力が不十分で良い仕事に就けない。専門能力やキャリアもあやふや、日系企業の不安定な職を渡り歩く人が多かった。でも当時からシドニーの日系企業は中国や韓国に押され、かじるスネは細くなる一方。

 

私からみて、彼らのマインドセットに問題が多いと感じました。英語にチャレンジしない、すぐ日本語に逃げる、自分が移民とか社会的弱者だという認識がない。

要は最初から、気持ちで負けてるんですね。たとえ英語苦手でも他のアジア系移民は頑張って、英語系の企業で働いたりちゃんと資産形成もしてるのに比べると、太刀打ちできるわけがない。

シドニーの日本人社会を発展させるためには、オーストラリア社会の第一線で活躍する日本人を大量に輩出しなければならないと、当時の私は考えてましたし、今でもそうです。

 

そんななかで、こんなブログを読みました。私からみて、「日本人らしい、負ける移住メンタリティ」の代表例だと思うので、紹介します。

 

海外に本格的な日本人街の建設を

 

要約すると、

  • 日本人が、震災放射能リスクのある母国だけでなく、海外で生活するという選択肢をつくりたい。
  • しかし、多くの日本人にとって外国語の習得は困難で、移住した日本人同士コミュニティも乏しいため、成功確率が極めて低い。
  • それを解決する方法として、海外における日本人街の建設が必要。これがあれば、就労や医療などで言葉の問題が一気に解消する。
  • 海外でチャイナタウンはじめ強いコミュニティをつくっている中国人に学ぶべきだ。

 

うーむ、書いてる人の気持ちは良く分かるんだけど、移住経験者としていえば、あまり感心する内容ではないですなあ。

たぶん、海外の社会でマイノリティとして生活したことない方が書いてるのでしょう。日本社会だけの生活経験と、海外に関する断片的な知識だけで世界観を構成すると、こんな風になる、という意味で良い教材だと思います。

 

「ひとさまの国に来て、日本語だけ使って暮らしたい」

でも

「外国で下層労働者になるのは嫌だ。日本と大差ない生活水準で暮らしたい。そのために日本人街をつくりたい。」

 

受け入れ国側からみれば、かなり身勝手な理屈ですよね。

日本と同様、受け入れ国には、それぞれ言語、文化伝統、社会のルールがある。それを尊重する態度や、社会にどう貢献するかという視点がない。本国の嫌なことから逃れたいから来る、 で、移住しても自分たちの言葉と流儀で暮らしたいと…

 

英語含めて、必死に、現地に馴染もうと努力して、ちゃんと職について、現地人と共に汗を流して、地域コミュニティにも貢献して、そこまでやって、後に続く日本の移民のために、セーフティネットとして日本人街をつくりたいと言うならわかるけど。

移住する前から、英語難しいから日本人街欲しいなんて、甘ったれたこと言ってるようでは、よしんば移住できても3年も経たずに日本に逃げ帰るのが関の山。

日本の社会で通用せず、海外に来てもダメで、結局日本に逃げ帰るしかない…私シドニーでそんな日本人をたくさん見てきました。

 

それに、誤解しないで欲しいです。世界中各地にあるチャイナタウンは大きいけれど、「中国語だけで暮らせる別世界」じゃないです。移住したての中国人には、そのように感じる面もあるかもしれませんが、

英語圏に移住した中国人は2世代目くらいから、英語の高等教育を受けて、専門的職業に就いてる者も多いし、地方政府の代議士も輩出して、お金もたっぷり拠出して中華街の門とかをつくっている。

中国人で現地社会で成功し、貢献した者がたくさんいる、そういうインフラがあるからこその中華街なのです。

chinatown

 

中国人も日本人同様、英語の学習は大変ですけど、英語大変だから中国語だけで暮らしたいと言う人、どの位いるのかな?ま、中にはいるんでしょうし、それやっても社会的には下層から抜け出せませんが、

でも、本気で永住する気で来てる中国人はマインドセット違いますよ。池袋北口とか横浜の中華街歩いても、商売する人は皆、日本語達者でしょう?

 

真面目な話、海外で日本語の通じる日本人街を新たにつくりたければ、英語圏は避けた方が良いと思いますよ。言語の力関係が日本語より強い英語の社会で、日本語だけのコミュニティは成立しにくいし、存在意義がアピールしにくいですから。

それより、同じアジアの非英語圏、タイとかベトナムみたいな国がいいんじゃないですかね。日本人が移住して、タイ語学ばなくても、タイ人が日本語しゃべってくれる期待がとりあえず成り立ちますから。

実際、日本語だけで暮らせる海外の日本人コミュニティで一番大きくて完成度が高いのは、ハワイを別とすれば、たぶんタイ、バンコクのスクンビット地区だと思います。トンロー、プロンポンの駅を中心とする一帯に、4万人以上の日本人が、老若男女問わず暮らしていて、何十年住んでてもタイ語読めない話せない日本人がゴマンといます。海外で日本語だけで暮らしたい向きには、英語圏なんかよりずっとパラダイスだと思いますよ。

thonglor

 

ところで、一部の例外を除き、なぜ、海の向こうで日本人コミュニティが育ちにくいのか?オーストラリアを前提に考えると、

 

– 退路を絶ってくる他国の移民と違い、日本人の場合は母国に帰る選択肢を残したまま移住する。他のアジア系の多くは出身国籍を捨てて豪州籍取るけど、日本人は日本国籍放棄を覚悟で豪州国籍を取る者がごく少数。
– 生活水準の要求が概して高い。言葉の不自由な移民の指定席「低賃金3K労働」に甘んじる人は、日本人ではほとんどいない。それやる位なら日本に帰る。
– 他の非英語圏出身者と同様、日本人にも言葉の壁があり、移住第一世代だと就職や社会階層の上昇が難しい。他のアジア系と違って3K労働に甘んじながら子孫のために歯を食いしばってオーストラリアに残る日本人は少ない。
– 上記の理由から日系コミュニティは入れ替わりが激しく定着率も低いから、日本人コミュニティはなかなか大きくならないし、まとまりも劣る。

 

これが良いのか、悪いのかは価値判断次第でしょう。私などは、「帰る母国のある日本人は恵まれている」と思いますけどね。オーストラリアと経済レベルの近い欧米先進国出身者も、移住後の行動パターンは日本人と似ていると思います。ドイツやフランスの出身者がオーストラリアでチャイナタウンみたいなものはつくりませんし、移住して生活水準が下がれば本国に帰りますので…

 

ただ、これから日本人の間でもシニア移住とか、両親呼び寄せとか、少しずつ増えてくるのかもしれません。年齢的に新しい言語の習得が難しい人の医療介護サポートなどが必要になってくるなら、当然、現地にしっかりした日本語のコミュニティがあった方が望ましいでしょう。

先ほどの文章でも、「移住先で長年にわたって一定以上の収入を稼ぎ続けられる日本人は稀」と書いてありました。幸い、私はそれができる人材の一人ですから、自分の能力やノウハウを活かして、日系コミュニティの充実に尽力するべきなのかもしれません。

 

ただ、移住前から英語やらない、外国でも日本語だけで通したいみたいなこと言ってる人の面倒を見る気は、正直ありません。

価値観やマインドセットの著しく違う人のメンターになっても結局徒労に終わりますので…

それより私は、移住先の言葉を覚えて、職を勝ちとり、社会に役立つ気のある日本人と共に歩んでいきたいです。

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オーストラリアで専門的職業に就く方法

おはようございます、Manchanです。ケアンズ滞在も残すところ、あと1日。明日には台風一過の東京に帰ります(結構楽しみ~、俺やっぱ東京でバリバリ仕事ライフ好きだわ~)。

 

4週間にわたるオーストラリア滞在中に、ひとつ嬉しいことがありました。メルボルン近くに住む、私のブログファンの方と一緒に、楽しく不動産視察したのですが(私が勢いで「物件買っちゃった」ところも目撃されてますが…)、その彼の言葉が嬉しかった。

Manachanのホームページは、オーストラリア移住して、現地で職業に就いてキャリアアップして頑張っている、日本人のロールモデルの一つとして、愛読していました

 

もうずいぶん昔のことで文章も残っていませんが、私は2000年から05年にかけて、ホームページ「Manachan’s Worldシドニー日記」で情報発信してました。主な内容は、

・「シドニー日記職業編」(職場で感じたこと、オーストラリア人の働き方や楽しみ方等)
・「シドニー不動産特集」(シドニーでの家探し、不動産投資関連)
・「ウェスタンサバーブうまいもの探検隊」(シドニー最深部エスニック地帯でのグルメ特集)
・「ラグビー熱烈応援日記」(地元チームParramatta Eelsを応援するページ。選手・チアガール特集など)
・「オーストラリア勝つ移住」(オーストラリア移住後、専門的職業に就いてまともな年収を得るための考え方と方法論。メールで移住相談も100件以上受けて、Q&A化していました)

今回の日記では、「オーストラリア移住後の就職と、専門職としてのキャリアアップ」にフォーカスを当てて書いてみますね。

 

私は3年前に独立起業しましたが、それ以前はサラリーマン稼業を19年続け、グローバル企業でのITエンジニアとして頑張ってきました。略歴はこんな感じ、

・1994~97年  大学卒業後、東京都内の環境ベンチャーの会社で勤務
・1997~2000年 ITエンジニアに転身、東京都内の米系コンサルティング会社でプログラマとして勤務
・2000~05年 オーストラリア移住、シドニーの米系IT企業で、ソフトウェア・エンジニアとして勤務
・2005~07年 同企業内で、中国・大連の事業所に転職。ソフトウェア開発・保守チームのチームリーダー。
・2007~09年 日本へ帰国、東京都内のインド系IT企業で、プロジェクトマネージャーとして勤務。
・2009~12年 東京でドイツ系印刷大手で、社内IT部長として勤務

 

勤務する国をいろいろ移ってきた関係で、額面の給料は上がったり下がったりですが、キャリア的には「プログラマ→SE→チームリーダー→プロジェクトマネジャー→社内情シス部長」と着実にレベルアップして、最終的な年収は新入社員当時の4.3倍になっていました。

「日本語、英語、中国語ができる、ITプロジェクトマネジャー」という希少価値なポジショニングで自分を売り込んできたので、どの国でも転職に苦労せず、比較的幸せなサラリーマン生活を歩んできました。日本からオーストラリア、オーストラリアから中国、中国から日本と移動はしましたが、「IT専門職のキャリアとしては一貫して伸びてきた」のが特徴だと思います。

 

移住する3年前から、私は、「オーストラリアでまともな給料のもらえる職」に就くために、準備を重ねてきました。「オーストラリアで需要の高いIT技術者のキャリアを積む」、「オーストラリアでも名の通った米系大手の会社で働く」等々…

それでも、移住当初は英語がたどたどしかったし、面接でもボロ出しまくりだったので、結局、就職活動は3か月かかり、11社落とされて、幸い12社目に拾っていただきました。就職して1年目は英語で苦労しましたが、2年目から慣れてきて、3年目からは通常勤務の傍ら若手社員を指導する立場になりました。

 

そのような戦略的準備をして、実績もあげてきた私からみると、当時シドニーにいた「日本人移住者」や「移住産業の人々」の見通しの甘さには、正直驚きました。(もちろん全員ではありませんが…)彼らに共通する点として、

・オーストラリアの暮らしやすさやライフスタイルを賛美し、日本を悪く言う。

・でもその割には、オーストラリアで大した職業に就いていない。

・現地人と混じって働くほどの英語力もない。

・遊んで暮らせるだけの資産があるわけでもない。

 

彼らの仕事は、日本人相手の飲食業とか、日系企業の現地採用とか、日本人相手の進出コンサルとか…当然、オーストラリアの生活も安定せず、日本へ「逆出稼ぎ」に行く者もいました。せっかく一家揃って移住したのに、結局自活できずに、奥さん子供だけオーストラリアに残して旦那だけ日本へ出稼ぎみたいな構図。

「そんなんじゃあ、話にならないだろ?」と、当時の私は思っていました。オーストラリアでは、英語が職業レベルでできないと、専門的な仕事に就けません。近所づきあいも、社会への参画もできません。英語できないと必然的に日本人だけで固まるライフスタイルになり、本国以上に「狭い世間」のなかで暮らさざるを得ません。それが本当に望んだことなんでしょうか?

 

当時の私がホームページで訴えたのは、「夢を煽るよりも、現実を見よう」、「我々オーストラリア移住者に必要なのは、英語力と専門能力(就職力)」、「この国に来た中国人もベトナム人も韓国人も、皆が努力してそれをやってるのだから、日本人にできないわけがない

シドニーで転職活動してた時、日系の就職コンサルの男性に食ってかかったこともあったなあ。「日本人が、現地の企業で就職なんか無理なんだよ」と言われて、「いえ、違うと思います。少なくとも俺は英米系に就職してみせます!」と…ちょうど2か月後に就職が決まりました。

 

当時の私が提唱したのは、具体的には、こういうことです。

・専門職に就いて、シドニーにおける、アッパーミドルになろう。

・アッパーミドルになれば、便利な場所にマイホームも買えるし、資産形成もできる。

・英語での職業能力とキャリアができれば、将来、他の英語圏での就労も可能になる。

 

なお、これはあくまで「移住先の社会でアッパーミドル」を目指す処方箋であり、それ以上の「富裕層」とか「グローバルエリート」を目指すものではありません。

 

所謂「オージーライフ」を楽しむためには、経済的基盤が必要で、

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世界中から集まった人たちに混じって…

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自分の能力をアピールして、人さまの役に立たなければなりません。

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ところで、次のブログ、いま結構影響力あるようですね。、曰く「グローバルエリート」になるには「白人」で「英語ネイティブ」でないと無理だから、アジア系として生きる現実的な線として「理系の専門家」を目指そうと言っています。文体は嫌いですけど、大雑把な内容はそう間違ってないですね。

海外移住・英語の落とし穴

 

なお、私の提唱した「専門職キャリアアップ」方法論の場合、ITエンジニアとしては「社内情シス部長」あたりが最終的なかたちでしょうね。それ以上の地位にいくには、白人エリートがトップに握る企業のなかでの社内政治能力が必要で、私はその能力に長けているわけではないしやりたくもないので、結局、独立起業の道を選びました。

今さら、サラリーマンに戻りたくはないですが、サラリーマンを19年間、やりきった満足感はありますし、貴重な体験をさせてくれたオーストラリアに対しては、感謝の言葉しかないですね。

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メルボルン郊外、街の将来を買う不動産投資

こんばんは、Manachanです。

リオオリンピック、いよいよ最終日です。日本代表のメダルラッシュすごかったですね。柔道も体操も、レスリングも水泳も、予想以上のパフォーマンス。さらに感動的だったのは、陸上男子400mリレーの銀メダル。100m9秒台の選手が一人もいないのに、技術とチームワークで勝ち取ったメダル…日本らしい戦い方で成果を出したと思います。4年後の東京五輪に向けて良い弾みがつきましたね。

一方、当地オーストラリアでは、現時点で金8個、メダル総数28個、世界9位の成績に不満な人が多いようで…ベスト10に入ってるんだからいいじゃんと私は思うけど、そこはコモンウェルスゲーム(英連邦大会)でメダル獲得数毎回1位のスポーツ大国のプライド、オリンピックでは最低ベスト5に入らないと不満なようです。

メダル競争でオーストラリアより上を行く日本の健闘も注目されています。同国キャンベラにあるオリンピック強化施設ACSをモデルに、10年前に建設されたJOC(東京都北区)での選手育成の成果が上がっているようだと、記事には書いてありました。

 

選手を地道に育成して、10年後に花開く…これは不動産投資でも同じ話かもしれません。

前回書いた「シドニーvsメルボルンの都市間競争」に関連していうと、例えばメルボルンの副都心の一つになる可能性のある郊外都市ダンデノン(Dandenong)が、注目に値すると思います。

 

【ダンデノンのいま。建物はそれなりに多いが、高層化は進んでいない】

dandenongnow

 

メルボルン都心から南東方30kmの距離にあるダンデノンは、もともとこの一帯の中心地にして、交通の要衝。ショッピングセンター、オフィスビル、病院、学校、行政機関…すでに、かなり大きく発達しています。メルボルン郊外でおそらく最大規模の街でしょう。ダンデノン周辺に大きな工業団地があって雇用も豊富だし、それ以遠の郊外も新興住宅地として開発され、すでに100万人以上の後背地人口がいます。

シドニーでは、ダンデノンと似たような状況にある郊外の中核都市パラマタ(Parramatta)が、すでに副都心(2nd CBD)として大発展しています。オセアニア地域で、郊外副都心として成功した事例は、今のところパラマタだけです。

 

【パラマタのいま。高層ビルが林立する一角】

parranow

 

【将来は、ニューヨークにも似たスカイラインになる??】

parraskyline

 

ダンデノンも、パラマタをモデルに、メルボルンの郊外副都心を、約10年かけて目指していくのでしょう。その前に、過去10年、パラマタのたどった軌跡を、おさらいしてみましょう。

1)もともと、パラマタは規模は大きいけれど垢抜けない、イメージも芳しくない街だった。当時はブルーカラーと移民が多く、ホワイトカラーの職場は少なかった。

2)2003年頃から、州政府管轄の警察署や裁判所、連邦政府の入管局など、公共機関がパラマタに移転してきた。

3)2004年頃から、パラマタ鉄道駅とバスターミナルの大改装が行われ、ショッピングセンターと駅が直結され、「駅ビル」化した。

4)2006年頃から、パラマタ中心街でグレードの高いマンション建設が始まり、シドニー内外のホワイトカラー、ヤングプロフェッショナルをターゲットにしたセールスが始まった。 宣伝文句は「歩いて職場にいこう」。

5)2006~07年頃、パラマタ市政府のホームページに「パラマタで働こう」(Work in Parramatta)と称する求人サイトができ、高給の専門職を含む地域の求人情報を掲載し、都心方面からプロフェッショナルを呼び込もうとした。

6)2007~08年頃から、パラマタ中心地におしゃれなカフェ、レストランが増えはじめ、シドニー全域に認知されるようになった。

7)2012年頃からオフィスビル、新築マンションの建設ラッシュになり、パラマタ都心と郊外を結ぶ新鉄道ライトレールの経路選定が始まっ

 

このように、一通りの都市機能があったところに、「公共機関」→「交通」→「住居」→「職場」→「文化娯楽施設」を整備することによって、徐々に「副都心」にアップグレードを果たしてきたのが、パラマタの成功モデル。その過程で州政府の予算も大量に投じられてきました。

ダンデノンに関していうと、現時点では2)公共機関の移転がすでに始まり、6)グレードの高い住宅建設も、2018年頃から登場予定。パラマタの10年前とちょうど同じ位ですね。不動産価格もまだ安く、一戸建の中央値が50万ドル、マンションの中央値が30万ドル…これも10年前のパラマタと同程度。

 

ダンデノンが、あと10年かけて、パラマタのように大発展するのか?もし、それが本当に実現すれば、10年頃、不動産価格は今の2倍にはなるでしょう。パラマタが過去10年で2.1~2.3倍の価格上昇を経験したように。

「今ダンデノンで買っておけば、10年頃、価格倍増」と言い切ることはしません。メルボルンとシドニーの都市構造は違います。また実際のところ、副都心をつくるには巨額の公共投資が必要で、ビクトリア州政府がダンデノンに対して本気で公費を継続的に投じ続けるのかは分かりません。

 

でも最低限、これだけは言えます。

「価格安いうちに、その地域で競争力ある人物件を買っておけば、まず失敗しない」

 

現時点でダンデノン、相当安いです。街の真ん中に建つ、ランドマーク的な建物の1ベッドルーム60平米が、31万ドル台から買えますもん。今のレートで2500万円いかない。今からオーストラリア不動産市場に参入したい方向きだと思います。

dandenong01

dandenong02

 

10年後、成長する街と共に自分も豊かになる不動産投資。分かりやすいし、夢があっていいですね。ダンデノン、これからも応援しています。

 

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メルボルンがシドニーを追い越す日

こんにちは、Manachan@ケアンズ滞在中です。今日も元気にオーストラリアねたでブログ執筆。今回のテーマは、同国二大都市「シドニーvsメルボルン」のライバル関係。

シドニーもメルボルンも、都市としての歴史は、英国人の入植地になってから始まります。その時期は、シドニーが1788年(オーストラリアで初)で、メルボルンは1835年(同4番目)。その後、ゴールドラッシュでメルボルンが大発展して最大都市になり、20世紀初頭にシドニーが大発展してメルボルンを追い越し、そのライバル関係は今日でも続いています。

オーストラリア連邦の首都はシドニーでもメルボルンでもなく、その中間のキャンベラに定められ、二大都市は今日でも、シドニーらしく、メルボルンらしく、発展・拡大を続けています。そして、いずれの都市も、夏季五輪開催の経験があるなど、国際的に高く評価されています。

 

今はどうなのか?シドニー圏の人口が500万人、メルボルン圏の人口が460万人と、シドニーが8%ほど上回っていますが、その差は年々、少しづつ縮まっています。直近の人口成長率は、シドニーが1.7%に対して、メルボルンが2.1%と上回り、ざっくり言うと、「毎年、シドニーが約9万人増えて、メルボルンが10万人増える」傾向が続いています。

この傾向が今後ずっと続けば、メルボルンの人口は21世紀中盤にシドニーを追い抜くのではないかと予測されています。その時期は識者によって2053年とも、あるいは2036年とも言われています。もっとも、人間にそんな先のことを予測する能力があるはずないので、私は話半分に聞いていますが…

ただ、シドニーの方がメルボルンに比べて、都市の拡大が難しい構造的要因は、確かにあります。それは「地形」。

 

シドニーは、東側を海、北側と南側を山(国立公園)に囲まれた、起伏の激しい地形で、平地が豊富ではありません。都市が拡大しようとすれば、都心近くを高層化するか、都心から遠く離れた西部郊外の平地(Cumberland Plains)を、新興住宅地として開発する以外にありません。すると、都心近くでは不動産価格高騰、西部郊外では都心まで40~50㎞以上の長距離通勤と渋滞が、ボトルネックとなってきます。

一方メルボルンは、南側こそ海ですが、それ以外の方角は平坦地が続き、都心からみてどの方向にも新興住宅地を開発できる状態にあります。

 

日本でいうと、メルボルンの地形は関東平野に似ていて、南側の海(東京湾)以外は神奈川にも多摩にも、埼玉にも千葉にも、どの方角にも住宅地を拡大できる状況なのに対し、シドニーの地形は大阪平野に似ていて狭く、海や山に遮られて住宅地拡大の余地があまりないのです。

シドニーは、その地形的要因もあって住宅価格や家賃が高く、海外からの移民はたくさん来ますが、オーストラリア国内ではメルボルンやブリスベンに人口を流出させています。高学歴・高収入の人を含めて、シドニーの一部の人々は、より安く広い家が買えるメルボルンやブリスベンに引っ越していくのです。

 

最大都市の地位を、いずれ失うのではないかという、シドニー側の不安と焦りは、この文章からみてとれます。

Why Sydney is on course to lose its status as Australia’s biggest city

 

作者Matt Wade氏の問題意識は正しいと思います。彼が指摘する通り、

・シドニー圏のなかで、都心(CBD)の位置は、遠く東に偏りすぎている。

・地形的要因により、シドニーの住宅地は西に広がるしかないが、西部郊外に住む人にとって、遠いCBDへの通勤は辛いし、大きな損失になっている。

・したがってシドニーの西部に、専門的職業を含む雇用を沢山つくる必要があるが、現時点でシドニー全体の金融、ビジネスサービスの雇用に占める西部の割合は17%に過ぎない。

・西部の中心都市パラマタ(Parramatta)をCBD並みに大開発して都心機能をつくり、リバプール(Liverpool)やペンリス(Penrith)のビジネス機能を発展させ、「雇用機会の東西格差」を解消することが、都市シドニーの発展には欠かせない。

greatersydney

 

まさに、そうなんです。シドニーの将来は「西」にしかないし、パラマタはじめ西部の都市を発展させない限り、いずれ、メルボルンに追い越され「第二の都市」に甘んじてしまう…前からそれが分かっているから、シドニーのあるニューサウスウェールズ州政府は、巨額の公費を通じて、10年前からパラマタを「西の副都心」として整備してきたのです。

最近、その成果がようやく出て、西部でパラマタだけは大発展し、ホワイトカラー中心に9万人の雇用を生み出すビジネス都市になりましたが、交通インフラ含めて、未だ建設途上。その他の西部の都市は、正直言って微妙。特にリバプールとか、本来もっと発展すべきなんだけど…

シドニー第二空港が、西部のBudgerys Creekに建設が決まったので、空港のゲートウェイとなるリバプールやペンリスが大発展して、今のパラマタ位の都市レベルになることを望みます。それができて初めて、シドニーは「東シドニー」と「西シドニー」の二枚看板になり、21世紀の国内最大都市の座をめぐるメルボルンとの競争で、初めて優位に立てるのだと思います。

 

一方メルボルンですが、地形的に恵まれ、都心(CBD)から通勤圏内にいくらでも住宅開発できる事情もあって、都市の命運をかけて第二都心を建設する必要には迫られていません。

しかし近年は、住宅価格が高騰し、特に南東側は50㎞以遠のPakenham, Cranborneあたりまでベッドタウンが広がってきた関係で、CBDまでの長時間通勤、渋滞が問題になってきました。

近年では、メルボルンCBDから南東へ30㎞郊外の中心都市ダンデノン(Dandenong)を、副都心らしく整備しようとする動きもみられます。将来、ダンデノンが第二都市になれば、それ以遠の郊外に住む、100数十万人に職場を提供することで、CBDまでの渋滞も緩和されるからです。

greatermelbourne

 

ダンデノンをパラマタと同様のモデルで、メルボルン圏の第二都市に育てようと主張する識者もいます。

Develop Dandenong as 2nd CBD

 

確かに、今のダンデノンは、「大きい街だけど、垢抜けない、イメージも良くない」という意味で10~15年前のパラマタによく似ているし、ヴィクトリア州政府はここ2年で、ダンデノンの駅近くに「税務署」や「裁判所」を新設するなど、かつてのパラマタを意識した都市開発を行おうとしているようにも見受けられます。

とはいえ、ダンデノンが10年後に、今のパラマタみたいに大発展するのかは、まだ未知数です。土地に余裕のあるメルボルンは、シドニーほど切実に、「第二都市」を必要としていないと思うからです。また、ダンデノンよりさらに都心寄りに、ボックスヒル(Box Hill)という、大きな街もあるため、州政府がダンデノンに集中投資するのかどうかも未知数。

関東平野に似た地勢から、将来のメルボルンは東京首都圏のように、「都心」と「5つか6つくらいの副都心」からなる都市構造になるのではないかと、私は予想しています。もちろん、ダンデノンやボックスヒルが「副都心」のひとつになるのは確実でしょうが…

 

最後に余談。千葉県・松戸駅の駅ビルは「ボックスヒル」という名前ですが、その由来はメルボルン郊外の「ボックスヒル」なんですよ。ボックスヒルを含むホワイトホース市が、昔から松戸市と姉妹都市なんですよね…

20080122115116

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民族別、不動産の意味と価値

こんばんは、Manachanです。

オーストラリア・ケアンズ、妻の実家での滞在も、あと1週間足らずになりました。静かな生活も良いですがそろそろ物足らなくなって、東京でバリバリ活動したくなってきた…

 

ここオーストラリアで、私は積極的に物件を買い進めてます。不動産投資にはとても良い国なんですが、日本と国情が違いすぎて、日本でセミナーやっても、良さがなかなか伝わらない面があります。特に、日本在住の方がなかなかイメージできないのは、

1)今後30年以上、確実に人口が増え続け、都市圏が拡大を続けるという状況

2)世界中から移民が来て、それぞれの思惑で不動産を買っているという現実

 

今回のブログでは、2)について書いてみたいと思います。

東京は、日本ではダントツの国際都市。その東京で、私の住む江東区は、比較的コスモポリタンな地区。住民に占める外国人比率は約5%(23区平均は3%台)。区役所の住民課には各国語を話す職員やボランティアが常駐し、小学校のクラスに2、3名は外国籍の親を持つ児童がいます。

しかし、それがオーストラリアの都市になると、桁違い。州都で外国生まれ比率が一番低いアデレードで26%、一番高いシドニーでは39%。小学校のクラスで数名が外国籍、みたいなレベルじゃなくて、クラス全員の両親の出身国を地球儀にプロットするだけで世界地図ができてしまう状態。

 

そんなコスモポリタンの国の不動産市場がどうなるのか、日本の生活から想像するのは難しいですが、一言でいうと、「いろんな国から来た連中が、それぞれの思惑で不動産を買ったり、売ったり」します。その「思惑」に、それぞれの国民性や民族性が影響するのです。もちろん、個人差もありますが、誤解を恐れずに一般論で言うと、

 

1)欧米人にとって、住宅は生活を楽しむ舞台である。

この国の人口の大部分を占める欧米系白人は、「ライフスタイル」を何より最重要視します。海の近くに住みたい、あるいは都心近くに住みたい、子供ができたから庭つきの広い家に住みたい、子供が独立したから手間のかからないマンションに住みたい等々…人生のステージや好みに応じて引っ越しし、持ち家を何度も買い替えるのが彼らの常識。また、家賃収入や値上がり益を得たい、節税したい等の理由で、不動産投資も彼らの間では盛んです。

 

2)日本人にとって、住宅は終の棲家でありマイホームは一生の買い物である。

この国に移住して長い歳月が経ち「オージー化」した人ならともかく、移住してまだ間もない人は、日本での常識である「マイホームは一生の買い物」、「一度買ったらずっとそこに住み続ける」という観念に基づいて行動する人が多い。日本人のなかで不動産投資をする人の割合は少なく、かつ「家を買う場所」=「自分が住む場所」ですからこだわりも強く、住宅価格の高騰した都市では「いつまでも買えずに賃貸暮らし」の方も多いです。貯蓄が得意で住宅取得の頭金を欧米人以上に持ってるケースが多いですが、「虎の子を損したくない」気持ちから不動産購入には概して慎重です。

 

3)中国人にとって、住宅の所有権は生きていく上での必需品である。

この国に移住する中国人は日本人の10倍以上いて、近年はマネーパワーも絶大なので、彼らの購入行動がオーストラリアの不動産市況に大きく影響します。そんな彼らは、欧米人や日本人とはかなり違う原理で行動します。「メリットがあるなし以前に、とにかく家の所有権が欲しい」、「家を買ったら豪州籍を取りたい」…激動の中国社会で権力に翻弄されながら生きてきた人々にとって、「住宅所有権」や「国籍」は、自らの身を守るための手段なので、利回り云々以前にとにかく買うし、また「中国人は絶対に買う」ことを前提にした住宅販売が極めて盛んです。

余談ですが、中華系以外の多くの国では、都心の良い場所でも不動産の賃貸利回りは通常グロス3%位に落ち着き、それ以下になるとバブルが懸念されるものですが、中華系諸国の都市では「身を守るための採算度外視購入」や「値上がり益目当て」の思惑購入が当たり前なので、賃貸利回りが1~2%みたいな極端に低い数値になるのが「常態」となっています。また、彼らが大挙して海外移住する時、その独特な住宅購入行動と巨額なマネーが不動産マーケットを大きく変える(地元民にいわせれば「壊す」)ことも多く、それはオーストラリアも例外ではありません。

特にシドニーで起こった、ここ数年の大幅な住宅価格高騰は、現オーナーにとってはウハウハですが、これから住宅取得する層にとっては恨めしい以外の何者でもなく、「中国人がバカスカ買うせいで値上がってしまった」という観念も根強く存在します。昨年あたりから中国人のマネーパワーが落ちてきて、シドニーのマーケットも平常時に戻りつつあるように感じます。

なお余談ですが、中国人をはじめ東アジア人は教育熱心ゆえ、彼らの多く住む地域の学校のレベルが上がる…そんな意味でも、オーストラリア社会に大きな影響を与えているといえます。

 

なお、オーストラリアでは「インド人」も大きな勢力として存在します。資源や食料の輸出先としても、また移民や労働力の供給元としても、大国インドがオーストラリアに対し、末永く大きな影響を与え続けるでしょうが、インド人が大量に流入してきても、中国人のような現象にはなりません。それは、

 

4)インド人にとって、住宅は大家族の生活の舞台である。

オーストラリアに移住したインド人、シドニーの場合はブラックタウンを中心とする、西部郊外の住宅地に大勢住んでいますが、彼らの場合は、住宅購入の動機は「大人数が住むための、大きな庭付きの家の実需買い」なので、中国人のように投機的な動きにはほぼなりませんし、「インド人が来たから値上がった」みたいな言説は聞いたことがありません。

昨今、インド人のプレゼンスは大きく、メルボルンではほぼ全域にインド系住民が暮らしている印象、シドニーでも西部郊外に向かう電車ではインド系の乗客が半数近くを占めることがあります(もいろんな人種が乗ってるなかで、インド人が多くて目立つ…という意味)。ボリウッドの俳優を呼んで盛大にフェスティバルなどをやったりします。

あと、インド人は英語力が高いおかげで、オーストラリア社会に自然に馴染む者が多いですね。専門的職業の世界でもインド人の存在感大きいです。

 

このように、オーストラリア都市部の不動産市場は、この国を構成するいろんな民族が、それぞれの思惑で買ったり売ったりする…それを踏まえて、正しく、等身大で理解したいものですね。

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メルボルン物件買います

こんばんは、Manachan@ケアンズです。

一昨日まで、メルボルンに居ました。メルボルンでは、今後のセミナーで扱う商材を探すために物件視察したのですが…紹介された物件が余りに魅力的すぎて、一気に、買い付けを入れてしまいました。「衝動買い」に見えるかもしれませんが、先ほどまで、妻とじっくり話して、メルボルンに投資することの理解・許可を得ました。

私は投資家なので、冷徹にお金の計算はしますが、それでも人間なので、「いいな!」と思ったものを買います。今回の物件、私の心を動かした要素は、「メルボルンの街並みの、半端ないかっこよさ、センスの良さ」でした。

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メルボルンのカッコよさを語る前に、オーストラリア各都市の特徴を語っておきましょう。同国の人口の大部分は東海岸に集中しており、都市の規模順に、シドニー、メルボルン、ブリスベンという「三都」があります。

 

シドニー(ニューサウスウェールズ州の州都)は、日本でいえば東京みたいな都市。オセアニアにおける国際ビジネスの中心地で、マネー溢れるパワフルな都会。文化はフェアでビジネスライクで、コスモポリタン。国内外の多くの人が気軽に参入できるので、移民の多くは、まずシドニーを目指す。悩みの種は住宅価格の高さ。

メルボルン(ヴィクトリア州の州都)は、日本でいえば関西圏に相当する。ヨーロッパの文化と雅(みやび)を色濃く残す街で、ビジネスよりもライフスタイルを楽しむ街。カフェ文化やファッションなど、オーストラリアのトレンドを先導する街。住居費はじめ生活コストがシドニーより安く、産業も一通り揃っているので、この国の生活に慣れた人がシドニーから越してくることも多い。悩みの種は変わりやすい天気と、陰鬱な冬。

ブリスベン(クインズランド州の州都)と、隣りのゴールドコーストは、日本でいえば九州に相当する。少し田舎っぽいけど、あふれる陽光と自然環境に恵まれた地で、寒いメルボルンやシドニーに暮らす人々が、老後の住まいとして夢見る場所。住居コストは安く、普通の収入レベルで広い家に住める。悩みの種は仕事の少なさだが、近年は産業が徐々に充実しつつあり、オーストラリア全土から移住者を集めている。

 

シドニーとメルボルンは、昔も今も、オーストラリアを引っ張る両輪として、良きライバルであり続けています。歴史をみれば、シドニーの方が発展していた時期と、メルボルンの方が発展していた時期と、どちらもあり、現在は良い勝負をしています。でも、街のカラーは大きく違います。

シドニーの方が、「華」と「知名度」がありますね。紺碧の海にハーバーブリッジとオペラハウスの風景、ボンダイビーチの佇まいは、どちらも世界的知名度。それに比べてメルボルンは地味で、皆に知られるランドマークが比較的乏しい。

その代わり、メルボルンの良さは、「さりげない街角の風景」にあります。日本でいえば、たとえば京都の東山や嵐山、神戸の北野はそれぞれ魅力的な街ですが、メルボルンの中に、個性的で魅力的な街が、綺羅星のように並んでいます。

 

今回、私が物件を買うことに決めたMoonee Pondsもその一つ。メルボルン都心から北へ6㎞余り、都心のSouthern Cross駅から4駅目の駅の周りに、端から端まで歩いて5分くらいの商店街があって、そこにショッピングセンターとカフェ、レストラン、ワインショップ、本屋、銀行の支店、不動産路面店、ギフトショップなど、雑多な店が並んでいますが、とにかく、風景のどこを切り取ってもおしゃれで、センスがいい。メルボルンの風土が生んだ奇跡としか思えない、かっこいい街並みと、人々の楽しい賑わいがある。そして、トラム(市電)がある風景もいいですね。

理屈抜きで、この街を買いたい」と思いました。メルボルンらしい良さのある街に、メルボルンらしいスタイリッシュな建物…そりゃ、欲しいっす。持ってるだけで楽しいもん。

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それ以上に、購入の決め手になったのは、物件案内と説明をしてくれた、デベロッパー側の女性。彼女は、物件を売るだけじゃなくて、自ら、何十室も持っています。そして、頻繁に物件の売り買いを繰り返しています。なぜ、この物件を今買うのか、いつ、どのように売るのかというロジックも単純明快。

話しているうちに、同じ「投資家」としての匂いを感じたし、彼女は自らデベロッパー(予約開発業者?)として、「投資家」に最適化した物件をつくっていると感じました。

投資目線で良い物件をつくり、広告費全然かけないで売ってるようでした。知り合いだけ、口コミだけで、どんどん売れていく…物件の内容が良くて、価格が適正だから、売れるの当たり前ですよね。

 

あと、メルボルンのあるヴィクトリア州は、オーストラリアの中では飛び抜けて、不動産投資家にフレンドリーな制度を持っており、私も驚きました。

・印紙税の支払い時期は、完成時で良い(他州では、完成前に支払うのが一般的)

・完成前の名義変更は費用なしで可能(他州では無理)

 

この制度で、何ができるのか?たとえばの話…

・売り出し初期の安い時期に買って、完成前に、それより高く売ることも可能。

・たとえ融資づけに失敗しても、完成前に売り抜ければ、それまでに払った手付金が無駄にならない。

・上記のことを、印紙税負担なしでできる。

極めて「撤退しやすい」というか、「失敗しても、リカバリーが低コストでできる」ところが、投資家にとって大きな魅力ですね。

 

最後に、この物件のすぐそばに、CHIBAという日本料理屋があります。それも、かなり高級そうな店構え。千葉県出身者としては、少しだけ誇らしい。でも、なんでCHIBAなんだろうね?

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