香港滞在、2日目を迎えています。
香港は、観光地としても、ビジネス拠点としても、極めて魅力的な土地で、行かれたことのある方も多いでしょうが、皆さん、これは知っていましたか?
香港の、合計特殊出生率は、1.04で、世界最低(日本は1.39)
香港の平均寿命は、男性79.8歳、女性86.1歳。日本と並んで、世界最高
香港の平均年齢は、41.7歳。アジアで40歳を超えているのは、日本と香港のみ
つまり、日本と並ぶ、世界一の少子高齢化社会、それが香港なのです。しかも、少子高齢化のスピードは日本を上回ります。
世界最低の出生率は、香港でも社会問題になっており、最近読んだ当地の新聞でも、「香港は、国をあげて少子化対策に取り組む日本に学ぶべきだ」という社説がありました。日本でもいろいろ問題多いですけど、その日本でさえ見本になるのね。
しかし、香港の特殊な地理的要因によって、少子高齢化対策の内実も、日本とはまるで様相を異にします。
香港の場合、隣接する、「人口13億・中国大陸」の巨大な存在と、そことの「社会制度や生活水準の格差」という現実があります。
香港で生まれる子どもの約4割が、大陸籍だという・・・
旧英連邦である香港は、出生地主義をとっており、大陸人の妊婦が香港で子どもを産んでも、一定要件を満たせば、その子は香港籍を得られる。
香港籍があれば、(大陸籍と違って)世界各国へノービザで自由に行ける身分が手に入る。
・・・ということで、香港で出生したがる大陸人が後を絶たないという。
その一方で香港人は、世界最低の出生率にも関わらず、産院のベッドがろくにないと、怒っている者も多いそうです。
香港人夫婦から生まれる子どもが少ないのに、一方でベビーラッシュという、奇妙な現象が起こる。日本では考えられませんね。
香港当局も、少子高齢化解決の方策として、日本のように「長年かけて、コツコツと、子どもを増やす方向に誘導する」よりも、「大陸人に対する法制度を上手に緩和」すれば、自ずから解決すると考えているのかもしれませんね。
もっとも、少子高齢化が解決されても、必ず、別の社会問題が起こるでしょうから、舵取りは難しい問題でしょうけど。
出産事情と同様、香港の不動産事情を語るにも、「大陸との交流人口」というファクターの分析がかかせません。
日本で、不動産投資をやっていると、「少子高齢化の、不動産市場への影響」の話題がよく出てきます。その思考の前提として、
・日本には、日本人の夫婦から生まれた子どもだけが存在する。
・日本で生まれた、日本人だけが、不動産の賃借人になりうる。
・日本の出生率が下がる⇒日本人が減る⇒賃貸住宅に対する需要が減る⇒収益還元法で、不動産価格も下がる
という考え方があると思いますが、香港では、上記はまるで当てはまりません。
香港は、人口700万人
香港を訪れる、中国大陸人は、1年間で2800万人
総人口の4倍もの人間が、毎年押し寄せるのです。
日本の人口規模に換算すれば、毎年「5億人」の中国人が訪れる・・・その位のインパクトある話です。
毎年、来訪者数が2800万人もいれば、全員が観光だけして、大人しく大陸に帰るわけではありません。
香港で商売する者、香港で間借りする者、不動産投資する者・・・いずれも相当数いるわけで、それが香港の不動産価格に、大きな影響を及ぼします。
香港の不動産価格は、すでに、世界最高水準です。東京より高い。
このグラフが分かりやすいですが、香港で取引される不動産物件(ほとんどが、区分マンション)の平均フィート当たりの値段が、
一般住宅で、1フィートあたり6000香港ドル
豪華住宅で、1フィートあたり12500香港ドル
香港と日本とは、住宅の面積計算方法も違いますが、日本の100平米ファミリーマンションは香港では1300フィートと換算、為替レートを、1香港ドル=11円で計算すると、
香港の一般住宅 :平均8580万円
香港の豪華住宅 :平均1億7875万円
実際には、豪華住宅だと、その倍くらいの面積があるのが普通ですから、平均3億円くらい、当たり前にするわけです。
昨年、「アジア太平洋大家の会」でも、香港で「9億円マンション」の視察をやりましたが、上には上がいるもので、昨年は、「大陸人の富豪が、香港島で55億円マンションを買った」ことが話題になりました。
ま、香港はそれ位、住宅価格の値が張るわけですが、
それ以上に、私が強調したいのは、香港みたいな土地では、足元の少子高齢化が不動産価格に影響するというよりも、
「大陸との交流人口」という外的なファクターによって、不動産価格が左右されてしまう側面が大きい・・・ということですね。
ところ変われば、不動産の常識も、大きな違いが出てくるものです。
最近のコメント