各国不動産事情

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メルボルンがシドニーを追い越す日

こんにちは、Manachan@ケアンズ滞在中です。今日も元気にオーストラリアねたでブログ執筆。今回のテーマは、同国二大都市「シドニーvsメルボルン」のライバル関係。

シドニーもメルボルンも、都市としての歴史は、英国人の入植地になってから始まります。その時期は、シドニーが1788年(オーストラリアで初)で、メルボルンは1835年(同4番目)。その後、ゴールドラッシュでメルボルンが大発展して最大都市になり、20世紀初頭にシドニーが大発展してメルボルンを追い越し、そのライバル関係は今日でも続いています。

オーストラリア連邦の首都はシドニーでもメルボルンでもなく、その中間のキャンベラに定められ、二大都市は今日でも、シドニーらしく、メルボルンらしく、発展・拡大を続けています。そして、いずれの都市も、夏季五輪開催の経験があるなど、国際的に高く評価されています。

 

今はどうなのか?シドニー圏の人口が500万人、メルボルン圏の人口が460万人と、シドニーが8%ほど上回っていますが、その差は年々、少しづつ縮まっています。直近の人口成長率は、シドニーが1.7%に対して、メルボルンが2.1%と上回り、ざっくり言うと、「毎年、シドニーが約9万人増えて、メルボルンが10万人増える」傾向が続いています。

この傾向が今後ずっと続けば、メルボルンの人口は21世紀中盤にシドニーを追い抜くのではないかと予測されています。その時期は識者によって2053年とも、あるいは2036年とも言われています。もっとも、人間にそんな先のことを予測する能力があるはずないので、私は話半分に聞いていますが…

ただ、シドニーの方がメルボルンに比べて、都市の拡大が難しい構造的要因は、確かにあります。それは「地形」。

 

シドニーは、東側を海、北側と南側を山(国立公園)に囲まれた、起伏の激しい地形で、平地が豊富ではありません。都市が拡大しようとすれば、都心近くを高層化するか、都心から遠く離れた西部郊外の平地(Cumberland Plains)を、新興住宅地として開発する以外にありません。すると、都心近くでは不動産価格高騰、西部郊外では都心まで40~50㎞以上の長距離通勤と渋滞が、ボトルネックとなってきます。

一方メルボルンは、南側こそ海ですが、それ以外の方角は平坦地が続き、都心からみてどの方向にも新興住宅地を開発できる状態にあります。

 

日本でいうと、メルボルンの地形は関東平野に似ていて、南側の海(東京湾)以外は神奈川にも多摩にも、埼玉にも千葉にも、どの方角にも住宅地を拡大できる状況なのに対し、シドニーの地形は大阪平野に似ていて狭く、海や山に遮られて住宅地拡大の余地があまりないのです。

シドニーは、その地形的要因もあって住宅価格や家賃が高く、海外からの移民はたくさん来ますが、オーストラリア国内ではメルボルンやブリスベンに人口を流出させています。高学歴・高収入の人を含めて、シドニーの一部の人々は、より安く広い家が買えるメルボルンやブリスベンに引っ越していくのです。

 

最大都市の地位を、いずれ失うのではないかという、シドニー側の不安と焦りは、この文章からみてとれます。

Why Sydney is on course to lose its status as Australia’s biggest city

 

作者Matt Wade氏の問題意識は正しいと思います。彼が指摘する通り、

・シドニー圏のなかで、都心(CBD)の位置は、遠く東に偏りすぎている。

・地形的要因により、シドニーの住宅地は西に広がるしかないが、西部郊外に住む人にとって、遠いCBDへの通勤は辛いし、大きな損失になっている。

・したがってシドニーの西部に、専門的職業を含む雇用を沢山つくる必要があるが、現時点でシドニー全体の金融、ビジネスサービスの雇用に占める西部の割合は17%に過ぎない。

・西部の中心都市パラマタ(Parramatta)をCBD並みに大開発して都心機能をつくり、リバプール(Liverpool)やペンリス(Penrith)のビジネス機能を発展させ、「雇用機会の東西格差」を解消することが、都市シドニーの発展には欠かせない。

greatersydney

 

まさに、そうなんです。シドニーの将来は「西」にしかないし、パラマタはじめ西部の都市を発展させない限り、いずれ、メルボルンに追い越され「第二の都市」に甘んじてしまう…前からそれが分かっているから、シドニーのあるニューサウスウェールズ州政府は、巨額の公費を通じて、10年前からパラマタを「西の副都心」として整備してきたのです。

最近、その成果がようやく出て、西部でパラマタだけは大発展し、ホワイトカラー中心に9万人の雇用を生み出すビジネス都市になりましたが、交通インフラ含めて、未だ建設途上。その他の西部の都市は、正直言って微妙。特にリバプールとか、本来もっと発展すべきなんだけど…

シドニー第二空港が、西部のBudgerys Creekに建設が決まったので、空港のゲートウェイとなるリバプールやペンリスが大発展して、今のパラマタ位の都市レベルになることを望みます。それができて初めて、シドニーは「東シドニー」と「西シドニー」の二枚看板になり、21世紀の国内最大都市の座をめぐるメルボルンとの競争で、初めて優位に立てるのだと思います。

 

一方メルボルンですが、地形的に恵まれ、都心(CBD)から通勤圏内にいくらでも住宅開発できる事情もあって、都市の命運をかけて第二都心を建設する必要には迫られていません。

しかし近年は、住宅価格が高騰し、特に南東側は50㎞以遠のPakenham, Cranborneあたりまでベッドタウンが広がってきた関係で、CBDまでの長時間通勤、渋滞が問題になってきました。

近年では、メルボルンCBDから南東へ30㎞郊外の中心都市ダンデノン(Dandenong)を、副都心らしく整備しようとする動きもみられます。将来、ダンデノンが第二都市になれば、それ以遠の郊外に住む、100数十万人に職場を提供することで、CBDまでの渋滞も緩和されるからです。

greatermelbourne

 

ダンデノンをパラマタと同様のモデルで、メルボルン圏の第二都市に育てようと主張する識者もいます。

Develop Dandenong as 2nd CBD

 

確かに、今のダンデノンは、「大きい街だけど、垢抜けない、イメージも良くない」という意味で10~15年前のパラマタによく似ているし、ヴィクトリア州政府はここ2年で、ダンデノンの駅近くに「税務署」や「裁判所」を新設するなど、かつてのパラマタを意識した都市開発を行おうとしているようにも見受けられます。

とはいえ、ダンデノンが10年後に、今のパラマタみたいに大発展するのかは、まだ未知数です。土地に余裕のあるメルボルンは、シドニーほど切実に、「第二都市」を必要としていないと思うからです。また、ダンデノンよりさらに都心寄りに、ボックスヒル(Box Hill)という、大きな街もあるため、州政府がダンデノンに集中投資するのかどうかも未知数。

関東平野に似た地勢から、将来のメルボルンは東京首都圏のように、「都心」と「5つか6つくらいの副都心」からなる都市構造になるのではないかと、私は予想しています。もちろん、ダンデノンやボックスヒルが「副都心」のひとつになるのは確実でしょうが…

 

最後に余談。千葉県・松戸駅の駅ビルは「ボックスヒル」という名前ですが、その由来はメルボルン郊外の「ボックスヒル」なんですよ。ボックスヒルを含むホワイトホース市が、昔から松戸市と姉妹都市なんですよね…

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民族別、不動産の意味と価値

こんばんは、Manachanです。

オーストラリア・ケアンズ、妻の実家での滞在も、あと1週間足らずになりました。静かな生活も良いですがそろそろ物足らなくなって、東京でバリバリ活動したくなってきた…

 

ここオーストラリアで、私は積極的に物件を買い進めてます。不動産投資にはとても良い国なんですが、日本と国情が違いすぎて、日本でセミナーやっても、良さがなかなか伝わらない面があります。特に、日本在住の方がなかなかイメージできないのは、

1)今後30年以上、確実に人口が増え続け、都市圏が拡大を続けるという状況

2)世界中から移民が来て、それぞれの思惑で不動産を買っているという現実

 

今回のブログでは、2)について書いてみたいと思います。

東京は、日本ではダントツの国際都市。その東京で、私の住む江東区は、比較的コスモポリタンな地区。住民に占める外国人比率は約5%(23区平均は3%台)。区役所の住民課には各国語を話す職員やボランティアが常駐し、小学校のクラスに2、3名は外国籍の親を持つ児童がいます。

しかし、それがオーストラリアの都市になると、桁違い。州都で外国生まれ比率が一番低いアデレードで26%、一番高いシドニーでは39%。小学校のクラスで数名が外国籍、みたいなレベルじゃなくて、クラス全員の両親の出身国を地球儀にプロットするだけで世界地図ができてしまう状態。

 

そんなコスモポリタンの国の不動産市場がどうなるのか、日本の生活から想像するのは難しいですが、一言でいうと、「いろんな国から来た連中が、それぞれの思惑で不動産を買ったり、売ったり」します。その「思惑」に、それぞれの国民性や民族性が影響するのです。もちろん、個人差もありますが、誤解を恐れずに一般論で言うと、

 

1)欧米人にとって、住宅は生活を楽しむ舞台である。

この国の人口の大部分を占める欧米系白人は、「ライフスタイル」を何より最重要視します。海の近くに住みたい、あるいは都心近くに住みたい、子供ができたから庭つきの広い家に住みたい、子供が独立したから手間のかからないマンションに住みたい等々…人生のステージや好みに応じて引っ越しし、持ち家を何度も買い替えるのが彼らの常識。また、家賃収入や値上がり益を得たい、節税したい等の理由で、不動産投資も彼らの間では盛んです。

 

2)日本人にとって、住宅は終の棲家でありマイホームは一生の買い物である。

この国に移住して長い歳月が経ち「オージー化」した人ならともかく、移住してまだ間もない人は、日本での常識である「マイホームは一生の買い物」、「一度買ったらずっとそこに住み続ける」という観念に基づいて行動する人が多い。日本人のなかで不動産投資をする人の割合は少なく、かつ「家を買う場所」=「自分が住む場所」ですからこだわりも強く、住宅価格の高騰した都市では「いつまでも買えずに賃貸暮らし」の方も多いです。貯蓄が得意で住宅取得の頭金を欧米人以上に持ってるケースが多いですが、「虎の子を損したくない」気持ちから不動産購入には概して慎重です。

 

3)中国人にとって、住宅の所有権は生きていく上での必需品である。

この国に移住する中国人は日本人の10倍以上いて、近年はマネーパワーも絶大なので、彼らの購入行動がオーストラリアの不動産市況に大きく影響します。そんな彼らは、欧米人や日本人とはかなり違う原理で行動します。「メリットがあるなし以前に、とにかく家の所有権が欲しい」、「家を買ったら豪州籍を取りたい」…激動の中国社会で権力に翻弄されながら生きてきた人々にとって、「住宅所有権」や「国籍」は、自らの身を守るための手段なので、利回り云々以前にとにかく買うし、また「中国人は絶対に買う」ことを前提にした住宅販売が極めて盛んです。

余談ですが、中華系以外の多くの国では、都心の良い場所でも不動産の賃貸利回りは通常グロス3%位に落ち着き、それ以下になるとバブルが懸念されるものですが、中華系諸国の都市では「身を守るための採算度外視購入」や「値上がり益目当て」の思惑購入が当たり前なので、賃貸利回りが1~2%みたいな極端に低い数値になるのが「常態」となっています。また、彼らが大挙して海外移住する時、その独特な住宅購入行動と巨額なマネーが不動産マーケットを大きく変える(地元民にいわせれば「壊す」)ことも多く、それはオーストラリアも例外ではありません。

特にシドニーで起こった、ここ数年の大幅な住宅価格高騰は、現オーナーにとってはウハウハですが、これから住宅取得する層にとっては恨めしい以外の何者でもなく、「中国人がバカスカ買うせいで値上がってしまった」という観念も根強く存在します。昨年あたりから中国人のマネーパワーが落ちてきて、シドニーのマーケットも平常時に戻りつつあるように感じます。

なお余談ですが、中国人をはじめ東アジア人は教育熱心ゆえ、彼らの多く住む地域の学校のレベルが上がる…そんな意味でも、オーストラリア社会に大きな影響を与えているといえます。

 

なお、オーストラリアでは「インド人」も大きな勢力として存在します。資源や食料の輸出先としても、また移民や労働力の供給元としても、大国インドがオーストラリアに対し、末永く大きな影響を与え続けるでしょうが、インド人が大量に流入してきても、中国人のような現象にはなりません。それは、

 

4)インド人にとって、住宅は大家族の生活の舞台である。

オーストラリアに移住したインド人、シドニーの場合はブラックタウンを中心とする、西部郊外の住宅地に大勢住んでいますが、彼らの場合は、住宅購入の動機は「大人数が住むための、大きな庭付きの家の実需買い」なので、中国人のように投機的な動きにはほぼなりませんし、「インド人が来たから値上がった」みたいな言説は聞いたことがありません。

昨今、インド人のプレゼンスは大きく、メルボルンではほぼ全域にインド系住民が暮らしている印象、シドニーでも西部郊外に向かう電車ではインド系の乗客が半数近くを占めることがあります(もいろんな人種が乗ってるなかで、インド人が多くて目立つ…という意味)。ボリウッドの俳優を呼んで盛大にフェスティバルなどをやったりします。

あと、インド人は英語力が高いおかげで、オーストラリア社会に自然に馴染む者が多いですね。専門的職業の世界でもインド人の存在感大きいです。

 

このように、オーストラリア都市部の不動産市場は、この国を構成するいろんな民族が、それぞれの思惑で買ったり売ったりする…それを踏まえて、正しく、等身大で理解したいものですね。

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メルボルン物件買います

こんばんは、Manachan@ケアンズです。

一昨日まで、メルボルンに居ました。メルボルンでは、今後のセミナーで扱う商材を探すために物件視察したのですが…紹介された物件が余りに魅力的すぎて、一気に、買い付けを入れてしまいました。「衝動買い」に見えるかもしれませんが、先ほどまで、妻とじっくり話して、メルボルンに投資することの理解・許可を得ました。

私は投資家なので、冷徹にお金の計算はしますが、それでも人間なので、「いいな!」と思ったものを買います。今回の物件、私の心を動かした要素は、「メルボルンの街並みの、半端ないかっこよさ、センスの良さ」でした。

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メルボルンのカッコよさを語る前に、オーストラリア各都市の特徴を語っておきましょう。同国の人口の大部分は東海岸に集中しており、都市の規模順に、シドニー、メルボルン、ブリスベンという「三都」があります。

 

シドニー(ニューサウスウェールズ州の州都)は、日本でいえば東京みたいな都市。オセアニアにおける国際ビジネスの中心地で、マネー溢れるパワフルな都会。文化はフェアでビジネスライクで、コスモポリタン。国内外の多くの人が気軽に参入できるので、移民の多くは、まずシドニーを目指す。悩みの種は住宅価格の高さ。

メルボルン(ヴィクトリア州の州都)は、日本でいえば関西圏に相当する。ヨーロッパの文化と雅(みやび)を色濃く残す街で、ビジネスよりもライフスタイルを楽しむ街。カフェ文化やファッションなど、オーストラリアのトレンドを先導する街。住居費はじめ生活コストがシドニーより安く、産業も一通り揃っているので、この国の生活に慣れた人がシドニーから越してくることも多い。悩みの種は変わりやすい天気と、陰鬱な冬。

ブリスベン(クインズランド州の州都)と、隣りのゴールドコーストは、日本でいえば九州に相当する。少し田舎っぽいけど、あふれる陽光と自然環境に恵まれた地で、寒いメルボルンやシドニーに暮らす人々が、老後の住まいとして夢見る場所。住居コストは安く、普通の収入レベルで広い家に住める。悩みの種は仕事の少なさだが、近年は産業が徐々に充実しつつあり、オーストラリア全土から移住者を集めている。

 

シドニーとメルボルンは、昔も今も、オーストラリアを引っ張る両輪として、良きライバルであり続けています。歴史をみれば、シドニーの方が発展していた時期と、メルボルンの方が発展していた時期と、どちらもあり、現在は良い勝負をしています。でも、街のカラーは大きく違います。

シドニーの方が、「華」と「知名度」がありますね。紺碧の海にハーバーブリッジとオペラハウスの風景、ボンダイビーチの佇まいは、どちらも世界的知名度。それに比べてメルボルンは地味で、皆に知られるランドマークが比較的乏しい。

その代わり、メルボルンの良さは、「さりげない街角の風景」にあります。日本でいえば、たとえば京都の東山や嵐山、神戸の北野はそれぞれ魅力的な街ですが、メルボルンの中に、個性的で魅力的な街が、綺羅星のように並んでいます。

 

今回、私が物件を買うことに決めたMoonee Pondsもその一つ。メルボルン都心から北へ6㎞余り、都心のSouthern Cross駅から4駅目の駅の周りに、端から端まで歩いて5分くらいの商店街があって、そこにショッピングセンターとカフェ、レストラン、ワインショップ、本屋、銀行の支店、不動産路面店、ギフトショップなど、雑多な店が並んでいますが、とにかく、風景のどこを切り取ってもおしゃれで、センスがいい。メルボルンの風土が生んだ奇跡としか思えない、かっこいい街並みと、人々の楽しい賑わいがある。そして、トラム(市電)がある風景もいいですね。

理屈抜きで、この街を買いたい」と思いました。メルボルンらしい良さのある街に、メルボルンらしいスタイリッシュな建物…そりゃ、欲しいっす。持ってるだけで楽しいもん。

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それ以上に、購入の決め手になったのは、物件案内と説明をしてくれた、デベロッパー側の女性。彼女は、物件を売るだけじゃなくて、自ら、何十室も持っています。そして、頻繁に物件の売り買いを繰り返しています。なぜ、この物件を今買うのか、いつ、どのように売るのかというロジックも単純明快。

話しているうちに、同じ「投資家」としての匂いを感じたし、彼女は自らデベロッパー(予約開発業者?)として、「投資家」に最適化した物件をつくっていると感じました。

投資目線で良い物件をつくり、広告費全然かけないで売ってるようでした。知り合いだけ、口コミだけで、どんどん売れていく…物件の内容が良くて、価格が適正だから、売れるの当たり前ですよね。

 

あと、メルボルンのあるヴィクトリア州は、オーストラリアの中では飛び抜けて、不動産投資家にフレンドリーな制度を持っており、私も驚きました。

・印紙税の支払い時期は、完成時で良い(他州では、完成前に支払うのが一般的)

・完成前の名義変更は費用なしで可能(他州では無理)

 

この制度で、何ができるのか?たとえばの話…

・売り出し初期の安い時期に買って、完成前に、それより高く売ることも可能。

・たとえ融資づけに失敗しても、完成前に売り抜ければ、それまでに払った手付金が無駄にならない。

・上記のことを、印紙税負担なしでできる。

極めて「撤退しやすい」というか、「失敗しても、リカバリーが低コストでできる」ところが、投資家にとって大きな魅力ですね。

 

最後に、この物件のすぐそばに、CHIBAという日本料理屋があります。それも、かなり高級そうな店構え。千葉県出身者としては、少しだけ誇らしい。でも、なんでCHIBAなんだろうね?

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シドニー版「ヒルズ族」のプライドと不動産考察

こんにちは、Manachanです。2泊3日滞在したシドニーを後に、次の目的地メルボルンに向かうところです。今回はシドニー不動産ねたで書きますね。

 

世の中、「賑やかな都会や繁華街」が好きな人と、「ハイソ感のある落ち着いた郊外住宅地」が好きな人がいますよね。これは個人の好みの問題で、都会派に言わせれば郊外住宅地は「不便な田舎」に見えるし、ハイソ住宅地派の価値観からすると、賑やかな繁華街は「ごちゃごちゃしてガラの悪い場所」に見えます。

好みが違うだけならまだしも、そこに「社会経済的地位」(socio economic status)の問題が絡んでくると、別の地区を見下したり、馬鹿にする態度につながることがあります。この現象は「プチ・リッチなアッパーミドル層の住宅地」を中心に、社会各層に存在します。

日本でいえば、首都圏の東急沿線の、アッパーミドルな住宅地が分かりやすい例かと思いますが、

 

– 東急田園都市線(田都)の沿線は、溝の口駅でJR南武線と交差するが、一般に田都沿線は南武線エリアよりハイソでステータスが高いという価値観が存在する。

– したがって、鷺沼、たまプラーザといった田都の駅を生活圏とする人々は、南武線の通る「溝の口」駅や「川崎」駅エリアを、ガラ悪いとかいって見下すことがある(注.南武線でも武蔵小杉は別格ゆえ見下されない…)

– 逆に、「川崎」駅エリアに住む人からすると、田都住民に見下される価値観が理解しがたい。交通も買い物も、川崎駅の方がはるかに便利で都会なのに、なぜ?…となる。

 

こうしたミクロな地域対立は、他地域からみて滑稽に映ることがあります。たとえば、東京の山手線内側や城南地域の住民に言わせれば、「所詮、神奈川のレベルで、なに争ってるの?」と一笑に付されたりするわけです。

また、ここに価値観や感性の違いも関わってきます。上述「田都沿線vs川崎駅」のステータス争いの場合、私は川崎駅を断固支持します。なぜなら私は柏の駅前育ちで、都会や繁華街が好きな利便性重視の人間。天下のJR東海道線が通り、東京駅へ直結20分、ラゾーナはじめ商業施設充実した川崎駅の方がどうみても格上じゃん、という価値観なのです。でも、万人が同じように考えるとは思いません。同じ柏エリアでも、柏の葉や、流山おおたかの森のような、新興住宅地を選んで移住してきた方々の間では、多分、田都沿線を支持する意見が多いと思います。

これは日本だけでなく、ここオーストラリアでも多分にあります。比較的若い国で、本国イギリスほど固定した階層がまだないし、移民も多く流動している社会であるがゆえ、「俺らは、〇〇に住んでる人間よりは格上だぜ」みたいな、ミクロな地域ステータス競争に走りやすい国民。その点は日本人と比較的似ていると思います。

 

で、シドニーのなかで、一番分かりやすい例が、都心から25〜40km離れた郊外、緑豊かな新興プチリッチ住宅エリアとして発展中のNorthwest地域です。

ここは丘陵地で、Pennant Hills, Castle Hill, Rouse Hillなど、「なんとかヒルズ」な地名が多いため、Hills Districtとも呼ばれます。地形的にも社会的ステータスの面でも、首都圏の田都沿線とカラーの良く似たエリアといえますね。

で、このHills Districtに住まう人々が、いつしか「ヒルズ族」と呼ばれるようになりました。

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シドニー在住日本人の間でも、近年はヒルズ族が増加中。日本人は昔も今もChatswoodやNeutral Bayを中心とする、裕福層の多いNorthshore(所謂「ノース」)地域を好んで住む者が多いのですが、近年、このエリアの賃料や不動産価格が高騰したので、

彼らはChatswood から西へ進み、North RydeやEppingを経て、Castle Hill方面に移り住むトレンドが続いています。その結果、「ヒルズ族な日本人奥様」が増殖中な今日この頃なのです。

東京でいうと、「本当は世田谷区の用賀やニコタマに住みたいけど無理なので、多摩川を渡って田都沿線の青葉台や藤が丘に住む」ようなもんですね。

 

しかし、神奈川県民になった彼らもプライドを維持しなければなりません。それを支える強烈な武器が「田都沿線ブランド」と「横浜市青葉区アドレス」。

一方、シドニーのヒルズ族にとっては、NorthWestとかHillsという地域名が、プチブルなステータス感やプライドを支える根拠になっています。ここに「North」が含まれているのが大事なポイント。

「私たちはWestじゃなくてNorthWest住みなのよ。ノースが入っているのよ…」

という地域プライド。それを維持するために、パラマタ(Parramatta)を中心とするWest地域を見下すのが、ヒルズ族のお約束。ここで「ノース」という単語が水戸黄門の印籠のような役割を果たすのは言うまでもありません。

 

ところで、私はパラマタに住んでいました。ここはWest地域で最大の都市にして、シドニー圏でもシティに次ぐ第2位の規模と雇用者数を誇る副都心。駅直結の巨大ショッピングモールに、大企業のオフィス林立、警察本部に裁判所、総合病院に大学、名門高校、何百軒のレストランやカフェ…駅徒歩圏で何でも揃う都会です。「ヒルズ」に住んでパラマタの職場で働いてる人はたくさんいます。

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しかし面白いことに、ヒルズ在住で都会なパラマタを馬鹿にする人が結構多いのです。正確に言うと、パラマタを中心とする広大なWest地域を、貧乏だのガラ悪いだの言って馬鹿にするわけですが…

それは、ノースの成分の入ったNorthWest地域のプライドを維持するための「ヒルズ族」の自然な生理なのだと、私は理解しています。人間って良くも悪くも、誰かを下に見ないと、ステータスやプライドが維持できない生き物だよね。

でもって、そういうヒルズ族のプライドが、この地域の不動産価値やアッパーミドルな土地柄を維持している面もあると思います。日本でも、埼玉の浦和が大都会な大宮より不動産価値高いのは、文教地区のプライドのおかげだよね。

 

最後に、都会派パラマタ住人の私から、一言いわせて下さい。

「ヒルズ族が、プライド維持のために俺らを馬鹿にするのは分かるけど、自分の住所と分際をわきまえようね」

「ヒルズでもPennant Hillsあたりの住民に言われるなら、まあ納得するけど、Baulkham Hillsとかに住んでパラマタを馬鹿にするのは、恥ずかしいからやめようね。あなたたちの住んでる場所は、ヒルズの名前がついてるだけで、実質はパラマタ郊外でしょう?」

 
このように、居住地と社会ステータス競争は、どの国でもあります。不動産に関わる上で避けては通れないトピックなので、さらに考察を深めていきたいと思います。

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動くオージー、動かない日本人(?)

おはようございます、Manachanです。いまシドニー郊外の友人宅に滞在中。

昨日、シドニーでの「世界の不動産セミナー」は、とても良かったです。メディア広告なし、わずか一週間前からのメルマガ、FBでの告知だけだったにもかかわらず、9名の方にお集まりいただきました。セミナーの後、The Rocksの日本料理屋でオフ会やりましたが、主催者含めて7名、楽しく盛り上がりました。

セミナーご来場の方、オーガナイズしていただいた鶴さん、講師として熱いトークで盛り上げてくれた市川さん、ありがとうございました。

 

ところで、昨日のセミナーに来ていただいた方は全員日本人でシドニー在住、オーストラリア永住権を取り、英語と専門知識を駆使して、それぞれの職業分野で頑張っておられます。頼もしいですね。でもって、来場者の半分近くが、

 

クイーンズランド州(ブリスベン、ゴールドコースト)での投資・移住に興味がある。

 

と、答えていたのがとても印象的でした。

オーストラリア人や、この国の永住者は、「シドニーの住宅価格が高くなったから、まだ安いブリスベンに家族で移住する」といった行動を、比較的躊躇なく行います。それも、人口統計にはっきり現れる位、大量の人間が移動するため、産業や不動産市場にも大きな影響を及ぼします。

たとえば、「シドニーで土地付き4ベッドルームの家を買うのはもう無理だけど、ブリスベンなら可能、だから引っ越す」という行動を、個人も企業も平気で取るし、いまブリスベン・ゴールドコーストの人口が増えているのは、シドニー圏からの移住が寄与している面もあります。

Interstate Migrationをみると、シドニーのあるNSW州は一貫して転出超過、ブリスベン・ゴールドコーストを擁するQLD州は一貫して転入超過になっていますね。

 

で、これと同じ現象が、日本でも起こるのだろうか…と考えてみる。たとえば、

 

東京に住む人間が、住居費や生活コストの比較的安い名古屋、福岡、札幌といった都市に大量に移動するのか?

 

というと、なかなか難しいような気がします。上にあげた3都市のなかでは、福岡市が比較的、外来者にオープンなイメージがあり、首都圏からの移住者も多少はいるのでしょうが、人口統計をみる限り、「福岡⇒首都圏」への移動の方が明らかに多い(その代わり、九州各地から福岡市に移住する人間がもっと多いので、それで同市の人口が増えてるわけですが…)。

日本では、「地方の農村・中小都市⇒地方中核都市」、「地方中核都市⇒首都圏」といった、都市に向けての人口移動が主流で、その逆の動きは、一般論として起こりにくい。それは何故なんだろう?

 

1)日本人は土着性が強く、家族や地域のしがらみがあるからなのか?

2)日本では不動産の価値が下がるから、他地域に引っ越して当面生活する費用を捻出するのが難しいからなのか?

3)圧倒的に、首都圏に雇用機会が集中しているからなのか?

 

等々…様々な理由があるのでしょうが、現時点の日本では「東京から地方への人口移動」による不動産価格や産業の移動が、オーストラリア等と比べて起こりにくい状況だとは思います。

(もっとも、一棟アパートやワンルーム等、投資不動産マーケットでは、東京の人が地方都市に積極的に投資するし、融資もガンガン出るから、東京の値上がりは地方に波及しますけどね…実需マーケットだと人口が移動しないと変化は起こらないでしょう。)

近い将来、団塊世代が大量にリタイア、老齢になって、「介護・医療難民」として地方に流出するなら状況も変わってくるのでしょうが、果たしてどうなるのでしょうね?

 

では、同じ首都圏内の人口移動は、これからどうなっていくのか?…と考えてみる。

東京23区でも都下でも、神奈川、埼玉、千葉の東京寄りでも、同じ「東京の雇用機会」にアクセスできる状況下で、今後、人々はどこからどこへ、移動していくのか?たとえばの話、

 

・東京都心に生まれ育った人が、より広い土地と安い住宅価格を求めて郊外に出るのか?

・郊外で生まれ育った人が、より便利でトレンディな暮らしを求めて都心を目指すのか?

 

もし、上記のシナリオで人々が動くなら、将来の東京・首都圏の人口・社会構造、産業、不動産市場にも大きな影響を及ぼすでしょう。極めて興味深い。

まず、人々の動きに影響を与える要因を考えなければなりません。交通体系、雇用機会、教育・医療サービスへのアクセス、結婚・就業などライフスタイルの変化、不動産価格、人々の価値観…等々。

将来、どうなるか分かりませんが、現時点で考えると、

 

・東京都心近くで生まれ育った人は、たぶん、郊外に出たがらないだろうな。結婚して家庭を持っても、都心からできるだけ近くて、かつ家が買えるエリア(例.江東区、墨田区、台東区など)を目指すだろうな。

・郊外で生まれ育った人で、都心に住みたい人は結構多いけど、それができる経済背景の人は多くないし、結局、多くは地元で所帯を持つか、あるいは同じ沿線でちょっと都心寄りの街を目指すだろうな(例.埼玉県の大宮以遠の人が大宮か浦和に住むとか)。

 

私は東京郊外30㎞圏、千葉県柏市の出身で、今は都内江東区に住んでいます。生まれ育った柏は大好きだけど、でも土着性が全くない人なので、地方都市や、遠く海外まで、平気で引っ越しする。今住んでる場所も、結局は「仮住まい」感覚。でも、柏出身者のなかで、私みたいな人はたぶん多くない。

柏エリアで育った、私の同世代の知り合いが、いまどうしているか、感覚的にいうと、

・7割以上は、柏エリアに住み続けている。
・約1割は、都内に住んでいる。
・約1割は、首都圏の他地域(千葉市とか神奈川県)に住んでいる。
・首都圏を離れた人は、1割もいない。

 

横浜とか、さいたま市とか、都下の立川・八王子などの出身者でも、たぶん状況は柏と似たようなものかと思います。地元から東京に通えて家が買えるのなら、やはり、多くの人が実家から遠からぬ場所に住むのでしょう。

逆に都心近くに育った人は、たぶん郊外に出ない。であれば、都心近くて住居コストが比較的安い城東下町方面が、これからホットであり続けるのだろうなと愚考します。

 

そう考えると、東京を取り巻く産業・雇用などの諸条件が変わらない限り、首都圏の不動産市場は、鉄道駅や都心への時間距離を中心に決まるんだろうなと思います。でもこれは極めて興味深いテーマで、一生追求し続けたいです。

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業者の値付け間違いでお値打ち物件GET(豪州編)

おはようございます、Manachanです。いまブリスベンのホテルに滞在中。当地は今日もいい天気♪

昨日で、ブリスベン各地の不動産視察で明け暮れました。いろいろ物件みた後、私が昨年10月に買ったブリスベン西郊の戸建建設用地を見に行きました。

その場所は、ブリスベン都心から南西方向へ30㎞、副都心として発達中のスプリングフィールドからはわずか5㎞、Redbank Plainsという人口急増地帯。現地は、多摩ニュータウンの開発当初よろしく、道路インフラと住宅、商業施設が絶賛開発中でした。右の写真は、来年オープン予定のスーパー「ウールワース」。

 

そのスーパーから一番近い(徒歩1分!)分譲区画、Lot737を、私は買っております。現在は更地ですが、251平米の長方形の土地は、想像以上に大きく見えました。

lot737

 

あと3~4週間後に、この土地に「戸建2戸」の建設が始まる予定です。完成すれば写真のように、「前方に1部屋の戸建」と「後方に3部屋の戸建」が誕生します。標準的な工期は14週間(3か月半)との話。

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2つの戸建は住宅として独立しており、2家族が住みます。したがって、2家族から賃貸収入が得られます。ほとんど空室リスクのないエリアで、2戸とも賃貸できた場合の表面利回りは想定7.0%。これオーストラリアでは破格の高さになります。

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この区画を、土地建物込みで、私は39万9900ドル(約3100万円)で買っております。この価格は「ブリスベンのマーケットから考えてちょっと安すぎる…」と、誰もが言いますし、私も同感です。地域属性や賃料、地価水準から考えて、44~45万ドルくらいする物件だと思います。

どうしてこの価格で買えたのか、現地を歩いて、理由がようやく分かりました。一言でいえば、

 

業者の値付け間違い!

 

だったようです…この価格は、住宅分譲地デベロッパーであるDevine社がつけたもの。同社は、北米のウォルトン社と同様、広大な土地を安く仕入れて開発許可を取って、ビルダー(住宅デベロッパー)に転売する会社です。逆にいえば、建物をつくることを専門とする会社ではありません。

Devine社は広大な分譲地にMountviewという名前をつけ、住宅開発に乗り出しましたが、経験・ノウハウに乏しいため赤字を出し途中で撤退、現在は住宅専門デベロッパー二社に土地を売って引き継いでいます(Devineは土地の転売で利益あげてるからいいんだけどね…)。

 

もし、住宅専門デベロッパーが、この住宅地に値づけしていたら、当然、地域相場を熟知してますから、2戸つきなら相場の44万ドル近辺で売り出していたはずです。でも、住宅相場をよく知らないDevine社が値付けしたおかげで、40万ドルを切る激安価格で分譲してしまった…

でも、これ買えた投資家にとってはラッキーですよね。昨年、私もこの価格をみて、「まじで…この価格で買えるの?」と驚きましたもん。もちろん、速攻で買付入れて、現地を見に行きました。今振り返っても、良い買い物だったと思います。

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【英国不動産便り】4)老人ホームが投資物件として成り立つ理由

おはようございます、世界を旅する不動産ブロガーManachanです。先ほど、英国エジンバラからロンドン経由、東京羽田まで、15 時間近い空の旅をこなしてきました。で、休む間もなく、これから成田に移動し、10時間かけて、オーストラリアはメルボルンまで移動します。まだ先は長い。

英国不動産シリーズ4回目は、「10年間利回り10%保証」など魅力的なパッケージで、日本人も含め世界中の投資家が買っている「英国のケアホーム(Care Home)」に焦点をあてて書きます。

 
ケアホームとは、要は「老人ホーム」です。東京周辺には、暮らし向きに余裕のある老人が、月額30万とか40万とか払って入居する、医療介護機能つき老人ホームが多数ありますけど、それの英国版だと思っていただければ良い。

今回私が見学したのは、英国中部、人口16万人の地方都市ハダーズフィールド(Huddersfield)に完成したばかりの施設と、その近郊シセット(Scissett)にある建設予定地です。

 
ところで、このハダーズフィールド、素晴らしい場所でしたよ。平坦なイングランドにあっては珍しく、ハダーズフィールド一帯は起伏の多い丘陵地帯。絵画のように鮮やかなパッチワークの緑の丘、点在するポプラの樹…北海道の富良野や美瑛を思わせる美しい景色の連続で、車窓からも歓声が止まない程でした。

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こじんまりとしたハダーズフィールドの街を車で回りましたが、どこみても端正に整っていて、小汚い場所、治安の悪そうな場所が全く見当たらない。民家も大きく立派で、暮らし向きが良さそうでした。

当然ながら、英国地方都市の全てが、ハダーズフィールドのようではありません。雑駁な工業都市やガラ悪い街、寂れて活気のない街も少なからずありますので、ここは例外的に恵まれた「幸福な街」なのでしょうね。

 
ハダーズフィールド一帯の豊かな生活を支えるのが、強力な産業基盤。ここな古くから毛織物産地として名高く(英国屋スーツの故郷)、大学など教育産業も発達。しかも25km東方には、英国第2位の金融都市リーズ(Leeds)があり、45km西方には英国屈指の産業都市マンチェスター(Manchester)がある。両都市への鉄道、高速アクセスも完璧で通勤も可能姉妹。

日本にたとえれば、「名古屋近郊に匹敵する裕福さと、富良野美瑛の景色」を併せもったのが、このハダーズフィールドなんですね。そういう場所にいま、老人憩いの介護施設ケアホームが続々と建てられています。

 
私たち日本の視察団9名は、完成済ケアホームを、現地マネジャーの英国人女性の案内を受けながら見学しました。彼女はケアホーム運営キャリア6年。いくつかの現場を掛けもつなかで、ハダーズフィールドは最初から企画に関われるのでやる気満々のようでした。

彼女曰く、施設には比較的元気な老人も、介護を必要とする老人も、認知症の方々も含めて、色んな方が来るので、誰もが寛げて、home(自分の家)を感じられる施設づくりを心がけているとのこと。全館、段差のないバリアフリーで、全てカーペット敷き。談話室、シアタールーム、ダイニング、家族の待合室などの共用施設も充実。庭には植栽を施し、どの窓からも豊かな緑が見えます。

個室は見た目25平米ほどでゆったりつくってあり、全室バストイレつき。認知症老人の部屋は、トイレやクロゼットを混同しないようにはっきりと色分けするなど、細部にわたって配慮が行き届いていました。

 

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なかなかいいじゃん。とはいえ、日本の同様の施設と比べて特別にすごいことをしているようにも思いませんでした。日本各地にある「ちょっと高級っぽい老人ホーム」という印象かな。

 
現地でヒアリングできた数字関係は、下記の通り、

– 入所者の平均家賃負担額は、週700ポンド(98000円)
– 介護職員の時給は、時間7.5ポンド(1060円)。東欧などから来た移民看護士も多いよう

 

だったら結構、儲かりますね。なぜなら、

 

– 月40万円くらい払える裕福な老人に入居してもらって
– 介護職員には時給1000円ちょっとで働かせてるんですから…

 
ざっくり計算すると、「運営側が4分の3とって、投資家に4分の1返しても、満室近い稼働なら利回り10%くらい出る」話…なるほど、これなら投資案件として、ちゃんと成立しますね。

地域に、月40万円払える老人が相当数いることが前提になりますが、ハダーズフィールド一帯が「名古屋レベルの裕福度」であるなら問題なさそう。実際、暖かい5〜9月頃に募集開始すれば、入所希望者の確保には苦労しないそうです。

あと、月40万円をまるまる個人負担にしないよう、地方政府から補助金もいろいろ出るそうです。

 

英国のケアホーム…なかなか良くできた不動産投資商品ですね。日本でも似たようなもの、つくれるかな?たぶん、以下の理由で難しいと思います。
-金利環境…日本は安い金利で資金調達できるので、投資家に8%とか10%のリターンを返すことに、事業者のインセンティブが働かない。

-経営環境…日本の老人ホーム、介護施設で、リターンを返せるだけ儲かるところは少数。健保の点数制とか、都市部の土地取得コストとか、耐震基準をクリアした建物を作らなきゃならない等、いろいろな要因がある。

 
その点、英国は地震ないし、土地が安い割に住民が裕福な地域が結構あるし、それに何より、金利が高い(ケアホーム建てる際の資金調達金利が6〜7%だそうで…)。消費税率も20%とかあるので、地方政府も補助出せたりする。そういう社会経済の土壌があって、英国でケアホームという不動産投資商品が成り立つんでしょうね。

 
ケアホームのリスクって、何だろう?将来、ケアホーム過剰供給になって老人取り合いになったら困るけど、それには相当な時間がかかると思うし…あと、ローカルな老人サービス需給の問題なので、EU脱退みたいなマクロ経済の話とも余り関係ないし、

思うに、「事業運営会社の倒産」と、「法規制の変更と、それによる追加投資で利益が圧迫される」ことが、当面想定される最大のリスクのような気がします。でも将来はどうあれ、いま「10年間10%保証」みたいな商品を買ってしまえば、その10年間のリスクは会社倒産位に限定されるので、相対的にみて低リスクの商品だと思います。

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【英国不動産便り】1)古城の街ギルフォードにて

こんにちは、Manachanです。

昨日、ロンドン・ヒースロー空港に着いて、市内に向かわずに、一気にギルフォード(Guildford)の街にやってきました。

 

ギルフォードは、大ロンドンに隣接するサリー州(Surrey)州にある、人口7万5千人の小さな街。ロンドン都心から43km離れており、一応、ギリギリ通勤圏とされます。

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ギルフォードは、富裕層の街。この街に暮らす住民は、ロンドンで活躍する銀行家やスポーツ選手などを含め、経済的に余裕のある方々が多いようです。

古城と、石畳の落ち着いた町並みが、英国のリッチな方々に人気です。日本でいえば「鎌倉」に似た、ブランド力のある住宅地ともいえるでしょう。街を歩いているのは、9割以上が白人で、アジア人、アフリカ人は珍しい。

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ギルフォードの街には、安く買える家、安く借りられる家はありません。不動産屋は、ものすごくたくさんありますが、私のみた中で、

一番安い売買物件が、23万ポンド (3220万円)
一番安い賃貸物件が、月900ポンド(12万6千円)

いずれも、1ベッドルームの小さな区分マンションです・・つまり、ここの不動産、「億超え」が当たり前の世界です。

すてきな邸宅も売りに出ています・・・軒並み3~5億円。。

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ギルフォードは古くから栄えた街で、一般住宅でも築200~300年が当たり前。古いレンガの家を、皆、大事にメンテしながら暮らしています。

賃貸物件の広告結構多いけど、月1000ポンド(14万円)以下のものは滅多にありません。

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街をくまなく歩いてみましたが、住宅の新規供給はほぼゼロですね。新築デベロッパーにとっては地獄の環境でしょう。その代わり、古くてボロに見える物件が、かなりの値段で売買・賃貸されています。

このギルフォードが英国の平均値とは思えませんが、これからどんどん、いろんな街を見ていこうと思います。

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ハワイの凄さを知る・・・

おはようございます。Manachanです。

一昨日は、東京・渋谷で「ハワイ不動産セミナー」を開催。集客期間わずか1週間強、しかも客の集まりにくい日曜日午後にも関わらず、セミナー会場は満員。参加者数の急増と、会場のキャパを考えて、Facebookでの周知を途中で止めたほどです。

しかも、2ヵ月後に開催される大阪のハワイセミナーにも、続々と申し込みが入っています。こうなると改めて実感しますね。

 

ハワイに対する世間の関心って凄いんだな!

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かくいう私は、つい2週間前(6月23~28日)、セミナー準備も兼ねてハワイ出張に行ってました。人生で2度目のハワイ。しかも前回の訪問は1998年でしたから、なんと18年ぶり。

18年前、妻と二人で訪れたハワイのワイキキ界隈は、静かでシンプルな場所でした。長閑さの漂うビーチと、ホテル建ち並ぶカラカウア通り、一本奥に入ったクヒオ通りは、ロコ(ハワイ地元民)が暮らす普通のアパートが多かった。

今や、世界の百貨店とブランドショップが建ち並び、すっかり都会風になったワイキキ中心部から、18年前の情景を想像するのは難しい。でも、そこから歩いて10分ほど東に行った、マリオットやパシフィックビーチホテルあたりは静かな環境で海も近く、「18年前のワイキキって、確かこんな感じだったよなあ」と思い出します。

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何はともあれ、ハワイに2回しか行ってない私が、皆様の前で知った顔してセミナー講演するのは、少し気がひける面があります。参加者のなかには、それこそ、毎年ハワイで過ごすような常連さんがいたりするからです。

ハワイの不動産に関することならともかく、ハワイ全般に関しては、講師の私より受講者の方がずっと詳しいだろうなと思いつつ・・

 

もともとバックパッカー上がりの私。いや、47歳になった今でも、大阪~東京間を1800円の激安夜行バスで行き来する「おっさんバックパッカー」ですが、

私を含めて、バックパッカーのカルチャーを持つ人間は、ハワイのような「万人受けするオールマイティなリゾート地」を、意識的に避けるところがあります。なぜなら我々は、

・安い宿、安いめし大好き。

・多少汚くても、臭くても平気。

・陸路国境超え大好き。

ですので、物価高くてキレイで快適な島国のハワイは、我々バックパッカーの旅行先リストになかなか上がってきません。

 

また、旅人としての私の「強み」(?)は、

・途上国の屋台で、危なそうな油で揚げた得体の知れないものを、手当たり次第食っても腹を壊さない、強靭な胃袋。

・旅先で、見知らぬ言葉や文字に出会っても、滞在10日も経てば現地の文字を解読し、地元民となんとか話せてしまう、不思議な語学習得力。

・旅先でA型肝炎にかかって数週間入院しても、「これでA型肝炎の免疫ができた、やったぜ!」と思い、せっせと次の旅支度をはじめる、めげない旅人魂。

その強み(?)が、ハワイのような快適で日本人にやさしい環境ではなかなか発揮できないという面もあります。やはり私には、東南アジアやインド、アフリカ方面の、ハードコアな環境がお似合いなんですけれども・・・

 

ただ、海外不動産セミナーを日本で開催する点でいうと、「ハワイの知名度、ブランド力」は、やはり外せない。これは実感しましたね。

また、「旅人としての私」でなく、「不動産投資家としての私」の目からみた場合、ハワイの知名度、万人受けする魅力は、もちろん検討に値するわけです。

 

今回、ハワイに行って実感したのは、「観光地としての総合力の高さ」です。

・観光
・グルメ
・海でのアクティビティ
・陸地(山など)のアクティビティ
・ショッピング

これらの要素が、オアフ島ワイキキ界隈を中心に、コンパクトに揃っており、老若男女、誰でも楽しめる、その懐の深さがハワイの良さでしょう。

 

ビーチの綺麗さだけなら、ハワイよりも沖縄、グアムの方が上かもしれません。ただ、グアムには海とショッピング以外の観光要素が乏しいし、沖縄でも、ショッピングの楽しい那覇・国際通り周辺と、ビーチリゾートホテルが並ぶ海沿いのエリアとが、物理的に遠く離れています。その点、ハワイなら全て近距離に揃っている。そして、何回もリピートしないと遊び尽くせない位のネタはある。

こういうオールラウンドな観光地は、日本周辺には、ハワイの他にあまりない。加えて、日本からの適度な距離感と、日本語が適度に通じて、しかも適度にアメリカンで海外旅行の気分も味わえる・・・

「憧れのハワイ航路」以来の、海外旅行の「元祖」としてのブランド価値、TVでの露出、芸能人が毎年ハワイで過ごす等・・・今も昔も日本人にとって、ハワイは「別格」な存在であり続けています。

そして、不動産投資先としての期待も「別格」・・・ハワイ不動産セミナー、ただでさえたくさん人集まりますから、それに相応しいクオリティのセミナーをお届けするよう、頑張ります。

 

今後のハワイ不動産セミナー

9/2(金)18:30~ 大阪

9/3(土)16:00~ 名古屋

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台湾の物価と給料の不思議

 

おはようございます、Manachanです。台湾への日帰り講演出張から帰ってきました。

私にとって、とても思い出深い出張になりました。今回、私が演壇に立った場所は、台北の世界貿易センター(世貿)でしたが、この場所は、今から25年前、台湾への語学留学中に、私がアルバイトに通った場所だったのです。当時、玩具の会社を経営する台湾人の友人がここでブースを出してまして、私は会場設営やサンプル補充などのお手伝いしてアルバイト代をもらっていました。

25年前の台北は、今でいう、ベトナムのホーチミン市みたいなもんで、人々の移動手段はバイクと市内バスしかありませんでした。日々、ものすごい数のバイクが街に繰り出し、空気も悪く、私は排ガスにまみれながら278番のバスに乗って世貿のアルバイトに通ったものです。

今の台北は、地下鉄網が四通八達して、「台北101」みたいなランドマークもできて、大きく様変わりしましたね。

 

講演では、大勢の方に来ていただきました。とても楽しかったです。台湾のみなさんありがとう。

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ところで、ここ20~25年ほど、台湾に足を運び続けて、思うこと・・

台湾の物価は、不思議だ・・

 

なぜなら、

20年前には考えられなかった高級レストランやバーの類がものすごく増えた一方で、庶民の屋台フードの値段は20年前とほとんど変わらない。

 

いまの台北は、一食何千元もするようなオサレなレストランが星の数ほどあって、高度消費文化が花開いています。

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一方で、下の写真のような、屋台フードも健在で、こういう場所では、一食30元とか50元とかで食べられます。この類のメシの値段は、20年前とほとんど変わりません。

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散髪屋も、100元くらいの安いものが多く、これも、20年前とほぼ変わらない感覚です。

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台湾のモノの値段で、20年前と比べて、一番劇的に変わったのは、不動産価格でしょう。留学当時、私が住んでいた台湾師範大学近辺でマンションを買うと㎡あたり9万元と言われてましたが、今では100万元を軽く超えています。20年余りで10倍以上に膨れ上がったのです。

 

逆に、全然上がらないのは、人々の給料。私の留学当時、台湾でサラリーマンやって月給3万元もらえばまあ暮らせると言われていましたが、20年以上経った今でも、3万元以下の月給で働いている人が、たくさんいます。

昨日、台北市内の「カルフール」に食料買い出しに行った時、求人広告が出てましたが、提示されている給料のあまりの安さにびっくりしました。確か、月給2万2000元(71000円)、時給110元(370円)みたいな数字で、「20年前より、逆に下がってるんじゃないの?」と思いました。

で、ウェブサイトを調べたら、台湾カルフールのレジ打ちの給料は、16年前と比べて明らかに下がっているようです。

1999年 25,800元
2015年 21,000元

http://www.cmoney.tw/notes/note-detail.aspx?nid=42309

 

経済統計をみてみましょう。台湾の一人当たりGDPは、ここ20年で2~3倍になっています。私の留学当時は7500USドル位でしたが、今では22000USドルで先進国レベル。

【台湾の一人あたりGDP推移(1987~2016年、USドル換算)】

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台湾の消費者物価も、近年は上昇率がマイルドになっていましたが、それでも、ここ20年で1.5倍くらいにはなっています。

【台湾の消費者物価の推移(2011年=100)】

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これらを総合すると、次の仮説が導き出せるかと思います。

・ここ20年間、台湾の給料や物価が、極端に二極化してきている。

・経済成長の恩恵にあずかった人々は必ずいたはず。不動産オーナー、ビジネスオーナー、サラリーマンでも、ITとか外国語などのスキルを必要とする専門職の給料は上がってきたはず。

・一方で、経済成長の恩恵に全くあずかれなかった層も確かに存在する。単純労働者、社会人経験のない若年労働者などの給料は全く上がらず、かえって下がる傾向もみられる。

 

そう考えると、いま台北で「1食何千元もするオサレなレストラン」と「1食30~50元程度の屋台フード」が共存する理由も納得がいきます。

・何千元の食事代を払える層が確かに存在し、おそらく年々拡大している。

・一方で、50元以下の食事しかできない層も存在し、こちらも多分、年々拡大している。

 

私が講演した不動産博覧会に来て、海外に資産を置こうという人たちは間違いなく前者で、台湾や中国大陸の経済成長の波に乗って資産を増やした人たちですよね。一方で、そういう生活とは全く無縁な、安給料と生活苦にあえぐ台湾人もたくさんいる、ということだと思います。

 

最後に、台湾はすでに、日本と同じく「低成長、デフレ」の時代に入っています。20年前の台湾は、今のフィリピンやベトナムよろしく、年6%以上の成長を続けてきましたが、今では1~2%成長がせいぜいで、3%いけばいい方。中国経済減速の影響もありますが、直近の3四半期は「マイナス成長」かつ「消費者物価上昇率もマイナス」という、明らかなデフレ状態。

【台湾の経済成長率推移(1987~2016年)】

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すでに先進国レベルの所得水準に達し、のびしろが少なくなっているのと、日本以上のスピードで少子高齢化が進んでいること、電子部品以外に高収益を叩き出す産業が乏しく、中国大陸メーカー等との価格競争に巻き込まれやすいこと…これらが、台湾経済の重石となっているようです。彼らの悩みの多くは、日本とも共通しています。

台湾は日本と比べて国内市場が小さく、人口2300万人しかいない上に、月収7万円程度の低賃金労働者が相当数いる状況では、国内消費も盛り上がりにくい。今後は中国大陸やASEANとの貿易や投資で成長を追求していくのか?あるいは衰退を受け入れて、「経済成長しなくても人々がそれなりに豊かに暮らせる」社会を目指すのか?…日本と同じチャレンジに直面するのだと思います。

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