各国不動産事情

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ドイツ、ポルトガル、スペインの考察と活用法

こんにちは、Manachanです。ドイツ3泊、ポルトガル3泊、スペイン1泊、合計1週間余りのヨーロッパ出張のメニューを全部終え、スペイン・バルセロナから、長い帰国の途につきます。

ドイツでの不動産ツアーアテンドに加え、ポルトガル・スペイン市場の新規開拓ミッションを、ギリギリの日程で詰め込み、休む間もなく動き回ったので、正直、疲れがたまってますが、その苦労を上回る、素晴らしい出会いとビジネス上の収穫がありました。

ヨーロッパで仕入れた膨大な情報を、私なりに消化して、今後数か月かけて、日本の皆様にお伝えしていくわけですが、話を分かりやすくするために、今回訪問したドイツ(ライン・ルール地方)、ポルトガル(リスボン)、スペイン(バルセロナ)、各地域の特性を一言で解説し、それぞれ、不動産視点からみた活用法を考えてみます。

 

ドイツ(ライン・ルール地方)は、欧州製造業の中心地、日本でいう「愛知県&東海地方」のイメージ

大陸ヨーロッパの経済中心地として、誰もが認める存在が「ドイツ」。そのドイツのなかでも、産業が特に盛んな地域は首都ベルリンではなく、「ライン川流域」。今も昔も、ずっとそうです。

ドイツの父なる川・ラインの両岸には、支流も含めると、シュツットガルト、ハイデルベルク、フランクフルト、ヴィ―スバーデン、ボン(元首都)、ケルン、デュッセルドルフ、デュイスブルクなど、様々な領域で世界的競争力を誇る産業都市が並び、日本の「東海道ベルト地帯」を彷彿させます。

そのなかで、金融都市フランクフルト、ベンツやポルシェの本社があるシュツットガルトの知名度が高いですが、我々が不動産買付ツアーを行うライン・ルール地方(デュッセルドルフ~デュイスブルク)も、19世紀の昔から炭鉱や工業で栄え、仕事を求めて欧州中から労働者が住みついた場所。その関係で、ドイツのなかでは飛び抜けて外国人に寛容な、コスモポリタンな地域です。人口規模も密度もドイツで最大。

逆にいうと、ドイツは「働く場所」であって、「観光する場所ではない」…それが、ヨーロッパ中の共通認識でしょう。天気は陰鬱で寒い、食事のバリエーションは乏しい、観光資源も隣国に比べて見劣りする。フランス人やイタリア人がドイツにバカンスに行くことはまずないし、当のドイツ人からして、ドイツ国内で遊ぶ発想があまりない。休暇とれば陽光あふれるイタリアやスペインに行きたくて仕方ない人々なのです。

EU統合してから、ドイツの経済中心地としての地位は上がりました。欧州の他国に行くと、ドイツ銀行の支店がどこにでもあり、ドイツ車と、ドイツ製の機械や消費財であふれています。経済的な意味で「ドイツ帝国」イメージが増す一方で、雇用に乏しい南欧や東欧の人たちが働きに行く場所としての価値も高まっています。北海道や九州、四国の人が、地元を離れて愛知県の企業や工場に働きに行くイメージに近いかな。

力強い経済の国、ドイツですが、不動産投資は盛んではありません。賃借人保護の国策で、家賃があまり上がらないようにしており、その結果、不動産価格が上がりにくいのが主な原因でしょう。お国柄、リゾート物件の類も成り立ちません。ドイツの大きな書店に行っても、不動産ガイドや投資の本はほぼ見かけません(ガーデニングやインテリアの本はたくさんありますが)。その代わり、

 

・国民の過半数が一生賃貸住宅暮らし

・開発規制が厳しく新築が建ちにくい

・賃貸用住宅の供給が少ないおかげで、空室が非常に少ない  

・単価も安いので、投資家にも買いやすい。

 

したがって、家賃を稼ぐタイプの賃貸経営には向きます。我々の買付ツアーはネット7~10%回る、賃借人のいる物件を主に視察しています。私も、ドイツでファミリー区分をひとつ買ってみました。安いです。3部屋で79㎡あるのに500万円しません。利回りネット8.5%、グロスだと11〜12%いきますね。

 

 

ポルトガル(リスボン)は、欧州のはずれ、海に面した情緒あふれる坂の街、日本でいう「長崎」のイメー

ヨーロッパ大陸の南西端、人口1000万の小さな国、ポルトガル。

同国の首都リスボンは、コンパクトな街。サイズは日本の札幌市や福岡市位か、もっと小さいでしょうか。平地がほとんどなく坂道だらけの地形で、傾斜をうまく使って建物を上手に建てています。石畳の坂道にはレトロな市電がゆったり走り、その向こうに見える青く輝く海…その情景は、まさに日本でいう「長崎」のイメージですね。

同じ南欧のイタリアやギリシャ、スペイン東海岸は地中海に面していますが、ポルトガルの海岸線はほぼ全て大西洋に面しています。これが、大きな違いを生み出します。ポルトガルの誇る「魚食文化」です。

地中海と違って、大西洋側は漁場の宝庫。その環境で食文化を育んできたポルトガル人は、日本人と同じく、魚、貝、イカ、カニ、牡蛎、ホヤ…海からとれるものは何でも食べる。首都のオフィス街で地元の安い焼魚定食を毎日食べられる国は、欧州ではポルトガルだけかもしれません。

魚食の他にも、日本人を懐かしい気持ちにさせる要素が、ポルトガルには溢れています。巨漢の多い欧州にあって、この国の人々は小柄で、日本人に似た背格好。性格も実直で(サッカーの試合以外は)もの静か、やや物憂げな哀愁がみられる人たちで、情緒的にも日本人に通じるものがあります。ポルトガルの誇る民謡Fadoは、アコースティックギターとボーカルの肉声だけで聴かせる音楽。津軽三味線と謡曲の組み合わせに近く、異国情緒というよりは懐かしさを感じさせます。

 

あと、「大陸の端っこ」という地理的条件も日本と似てますね。ドイツやフランスと違い、ポルトガルは逆立ちしても欧州の中心地になり得ない。リスボンやポルトの観光価値は高いですが、端っこにある上、規模感やインパクト、世界遺産の数では隣国スペインに負けるので、どうしてもスルーされがち。

とても良い国だけど、遠くて無名なポルトガル。情報も少ないこの国を、皆さんに好きになってもらいたい、情報提供を通じて、ポルトガルの認知度を高め、ファンを増やす活動をしていきたいです。

不動産投資とマーケティングの方向性…ポルトガルは欧州で最高の気候に恵まれ、リスボン周辺では観光シーズンが3〜11月と長いこと、LCCの普及により欧州各地から片道数十ユーロでリスボンに飛べるようになったこと、大好きな国なので自分もたまに行って使いたい…等々を考えると、

私はリスボン周辺の良質なリゾート物件を狙っていきたいと思います。AirBnB運用か、あるいはホテル運用付き自分も年間何泊かできるものが良いかな。今回の視察では、

 

・リスボン近郊、素晴らしいオーシャンビューと海鮮グルメが楽しめ、ライバル物件がまず建たないオンリーワン立地で

・世界的に知名度の高いホテルブランドが運営し、

・11万ユーロ(1350万円)から投資できて、ネット利回り7〜10%が5年間確定する上に買取保証もついて、かつオーナーが年間14泊でき、

・新築プレビルドではなく、既存ホテルの改築ゆえ、今年中に確実に完成してキャッシュフローが見込める物件

 

欧州の首都近郊なのに11万ユーロ〜という安さは特筆もの。東南アジア各地で似たような価格帯、利回りのリゾート物件が日本向けに紹介されていますが、

「物件の過剰供給が起こりにくい欧州のガバナンス」、「新築プレビルドと違って完成時期が遅れるリスクがほぼ無い」、「国際通貨ユーロの資産」という意味でより価値が高いと、一投資家としては思います。

 

スペイン(バルセロナ)は、欧州の中心に近い、ブランド価値の高い観光都市。日本でいう「神戸」のイメージ

ポルトガルの隣国スペイン、リスボンからマドリードやバルセロナに飛んでも飛行機で1時間台の至近距離ですが、スペイン領内に入った瞬間、「欧州の中央に近いメジャーな国に来た」感覚になります。

首都マドリードは、欧州を代表する大都市の一つだし、第二の都市バルセロナはオリンピック開催経験もあり、ガウディの建築ありピカソの博物館あり地中海リゾートありバルサあり、世界的知名度の大観光都市。欧州では誰もが認めるメジャーリーグ的存在です。ここから車で2〜3時間も北に走ればフランス、高速鉄道でパリまで行ける、国際空港はリスボンの数倍でかい…南欧屈指の交通の要衝でもあります。

 

バルセロナの街並みは美しく端正で、完成度が極めて高い。海と山に挟まれ、緩やかに傾斜する斜面に都市が広がる。山の上に行けば行くほど高級住宅街になる。海岸沿いにはマリーナ、コンベンション施設、ホテルに加えて貨物港もみられ、工業都市的な面影もある。全体的なイメージは、日本でいえば「神戸」ですかね。リスボンからバルセロナに来ると、長崎から神戸に来るのと同様、ぐっと中央に近づくイメージですね。

スペイン、バルセロナ…知名度やブランド価値が高いので、リスボンと違って、私が一生懸命説明しなくても、国名、都市名を聞いただけでイメージわく人が日本にも多い。

その意味で、バルセロナはパリやロンドン、ミラノやローマ、アムステルダム、マドリードと同列の、欧州メジャーリーグ都市のひとつとして、リスボンとは違うマーケティングをしていきたいと思います。

私思うに、バルセロナで持つ価値のある物件とは、

 

・成功した大人の所有欲を満たす物件

 

かな。たとえば、「自宅の窓からガウディの建築が見える」、「散歩すればサグラダファミリアの工事現場からレンガやブロックを拾ってこれる」贅沢この上ないオンリーワン立地のアパートなら価値が高いし、売りたくなったら世界中の金持ちがすぐ買うでしょう。観光地ゆえエアビーも当然できますがやるべきじゃないっすね。別荘として使ったり、家族や友人に自慢したり、新進気鋭の画家やデザイナーに安く貸して創作活動してもらうのが最適な利用法でしょう。

ロンドンやニューヨーク、ワイキキと比べればバルセロナの住宅は断然安いです。サグラダファミリア至近のアパートだって3部屋120平米で68万ユーロ(約8000万円)。1部屋50平米弱だと30万ユーロ(約3600万円)を切るものもあります。

あと、将来欧州に移住したり、欧州を拠点にビジネス展開したい方は、スペインで不動産を買って永住権を取るのが日本人にはおすすめです。

 

・スペインで50万ユーロ以上の不動産を現金で購入することで、2年間の滞在ビザを申請できる。

・購入後、スペインに一度も来なくてもビザ更新できる。次の更新は5年間有効、更新手数料も安い(将来的に、スペイン入国が義務化される可能性あります)。

・2年+5年の滞在中、不動産を維持し続ければスペイン永住権を申請できる。

・スペインはEUの国なので、EU圏内どの国での居住、就労OK。

 

バルセロナ一等地で50万ユーロ以上の不動産買って、ついでに7年後、スペイン&EUの永住権をゲット。その時期に売ればキャピタルゲイン出る可能性も高い…なかなか良いプランだと思います。

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ドイツと日本の労働時間・生産性の話

こんにちはManachanです。ドイツ・デュッセルドルフ近郊での2日間の不動産買付ツアーアテンドの仕事が終わりました。

この仕事、特にツアー2日目は朝から晩まで、物件説明に加えて公証役場での委任状作成、銀行の口座サポート、会議通訳…昼メシ食う暇もない位忙しい。でも素晴らしい仕事ですね。ドイツで苦楽(?)を共にしたツアー参加者は皆仲良くなって、この機会に「一生の友」ができたりします。「大人の修学旅行みたい」で、純粋に楽しいです。

次回ドイツ不動産ツアーは4月上旬に企画します。数日後にアナウンスしますので、楽しみにしていてくださいね。

 

ここ3か月余りで3回もドイツに来てしまった私。いつも思うのは、

・意外に物価が安く、売ってるものの品質も良い。

・鉄道網が充実し、たいてい時間通りに来るし、無料の高速道路(アウトバーン)が網の目のように張り巡らされていて、移動コストが安くあがる。

 

ドイツ人の給与水準はヨーロッパのなかで中上位にあり、平均すると日本より少し高い位。それだけまともな収入がある国民が、この安い物価と利便性のなかで暮らせるドイツは、かなり生活水準が高いのではないかと。

その目安として、「一人当たりの購買力平価GDP」(物価水準を考慮した所得水準)がありますが、ドイツは約47,000USドルで世界20位前後、オーストラリアやスウェーデンと近い水準。同ランキング30位前後の日本(約38,000USドル)より常に高い水準を維持し、近年その差は開く傾向。

 

欧州三大国と呼ばれる、ドイツ、フランス、イギリスと比べてみても、ほぼ同じ傾向がみられます。常にドイツが一歩抜きん出て、差も広がっています。

 

しかも特筆すべきは、ドイツはこの高い生活水準を、世界最短の労働時間で実現していることです。ドイツ人の労働時間は年間1300時間台で、OECD30数か国のなかで、オランダと並んで一番短い部類に入ります。一方、日本の数字はOECD平均に近い1700時間台になります。

 

確かに、ドイツで不動産視察してても、クルマの通勤ラッシュが朝8~9時頃だし、帰宅ラッシュが夕方4~5時頃なので、残業しない人が大部分なんだろうなと思います。南欧方面に長期間バカンスに出かける方も多いし…

なぜ、ドイツは高い労働生産性を実現できて、日本にできないのか?その事実を指摘するだけでなく、自分の体験を踏まえて考察してみます。私思うに、

 

・ドイツでは、人々が長時間働かず定時に帰ることが、社会的、制度的に合意されている。

・そのことにより生じる不便や不都合も、社会が容認している。

 

今のドイツを見ていると、私が移住した西暦2000年頃のオーストラリア・シドニーを思い出します。当時のシドニーは、

・ショッピングセンターは通常、18時に閉店。

・しかも、職員が17時45分頃に帰り支度を始める。

・17時50分過ぎに買い物しようとしたら、レジのお姉さんに睨まれる!

 

買い物客の利便よりも、職員が定時に帰れることが優先されてたんですね。そうした方が誰もが得する制度になっていたのです。

・会社は、職員を残業させたら、制度上、割高な残業代を払わなきゃならない。

・会社はその出費を避けるため、残業代を払うよりも職員に午後出社を認めるか代休を与えることを選択する。

・職員の立場からすると、どっちみち残業代もらえないので、夜遅くまで残って残業代を稼ごうとする者は皆無。

 

当時私は、シドニーでサラリーマンしてましたが、毎日定時に帰れるのでラクでしたよ。残業しても最大1時間位だったかな。一方、顧客・生活者の立場でいうと、暮らしていて不便でした。お店が空いてる時間にダッシュで買い物しなくちゃならない、皆同じこと考えるから、渋滞にはまって結局間に合わなかったりする…

サービスも悪かったですね。システムがダウンするとモノ買えない、サービス受けられない、担当者が長期休暇だったりすると物事が進まない…それが日常茶飯事。

首都圏の便利な街(柏駅前)で生まれ育った私。自宅から500m以内にデパートあり商店街あり、スーパーありコンビニ沢山、何百何千のバラエティ豊かな個店あり。人生に必要なものは何でも、24時間いつでも買える。盆暮れ正月関係ない。サービスは素晴らしく良く、客のわがままに誠実に答えてくれる。

だから私、シドニーに移住したての頃は、「こんなクソ不便な、クソ田舎に住めるか!」と、悪態をついていたものです。でも1年も住めば、「だいたい、こんなもんさ~」と慣れてきて、逆に誰の気兼ねもなく、自由時間がたっぷりとれるオーストラリア暮らしの良さが分かってきました。

 

あれから15年。シドニーは大きく変わりました。一言でいうと、「日本みたいに便利な、眠らない街」にグッと近づいた。今では24時間営業のショッピングセンターさえあるし、深夜営業の飲食店やコンビニも増えました。昼夜構わず働くアジア系住民が増えたからでしょうね。利便性を求める社会になれば当然、ワークカルチャーも変わりつつあります。

一方、今のドイツ・デュッセルドルフは、15年前の静かだったシドニーによく似ています。日曜日はお店ほとんど閉まり、交通量もほとんどない。平日の夜、20時以降に買い物できる場所はスーパー、ディスカウントストア位に限られる。コンビニほとんどない。早朝も深夜も頑張って営業するのはトルコ・アラブ系のケバブ店くらいかな。

生活する上で必要なものは揃い、ドイツなりの文脈で利便性もまあ高い。環境も街並みも良い。自由時間がたっぷりあって、散策とか日曜大工、ガーデニングなど思う存分楽しめそう。でも、アメ横みたいに賑やかで猥雑でエキサイティングな場所が好きな私には、少し物足りないな~と感じる。ま、個人の好みの問題ですけどね…

 

ま、そんなことも含めて考えると、ドイツの労働生産性が高いのは当たり前ですね。仕事は定時で終わる前提の社会、多少不便でサービス悪くても、お客からはしっかりお金をとる、それがGDP統計に反映される。

日本の労働生産性が低くでるのも、当然でしょう。こちらは顧客の都合や利便性を優先する前提の社会。労働者が「サービス」提供に使う時間が長く、そのコストをお客に転嫁できないことによる「ただ働き」も多い。日本企業社会の競争環境も多いに影響しているのでしょう。逆にいうと、日本人はGDP統計に表れない利便性やクオリティ高いサービスを享受しているとも言えます。

 

企業経済活動や働き方に関して、日本が改善すべき点、ドイツに学ぶべき点は多いと思います。が、これらは「社会」の下部概念であり、社会のニーズや価値観と表裏一体であることを、まず知らねばなりません。

日本がドイツみたいに定時で終われるような社会をつくれるかどうかは、日本の人々が今後何を目指すかによります。極めてサービスを重視する今の価値観が少し変わり、多少の不便や自助努力を日本社会が容認するのであれば、ドイツに近づくのかもしれません。

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ポルトガルとアンゴラ・マネーの話

こんばんはManachanです。2016年の年越しは、柏の実家で家族とのんびり過ごしています。年越しブログ日記のテーマは、ヨーロッパの西の外れにある国「ポルトガル」。

 

年明け早々、私はヨーロッパ出張の予定があります。行先はドイツ、ポルトガル、スペイン…このうち、ポルトガルだけは行ったことないので、情報収集も兼ねて近所の「紀伊国屋書店」で関連書籍を探すも、旅行ガイド、紀行文、地誌…どのコーナーでも見つからない。

 

隣の「スペイン」の情報はたくさんありましたよ。バルセロナ、マドリード、アンダルシア地方、サンチャゴ・デ・コンポステーラ巡礼の旅…等々。その近くにポルトガルの情報もあるかと思ったら、全くないのです。紀伊国屋書店のレベルで書籍ゼロなのですから、ポルトガル情報は商用ベースにはほぼ乗らないということなのでしょう。

 

ポルトガルといえば、16世紀の日本に「鉄砲」を伝えた国。また、「ユーラシア大陸東端」千葉県銚子の犬吠埼には、「ユーラシア大陸西端」ポルトガルのロカ岬との友好記念碑があります。日本人にとってなじみのある国なので、もう少し盛り上げたいものですね。

 

でも、インターネット時代の恩恵で、スマホさえあれば、検索ワード「ポルトガル」だけで、いくらでも情報が仕入れられるのがいいですね。

 

また、インターネットの素晴らしさは、商用ベースに乗らなくても、低コストで情報発信できること。情報発信者の立場でいえば、いまポルトガル情報が商用ベースに乗らないのは、ライバルいないという意味でかえってチャンスで、ポルトガル情報のしっかりしたウェブメディアを運営できれれば、この領域でナンバーワンになれるかもしれない。

 

ウェブで調べると、ポルトガルという国に興味をそそられますね。クイズをひとつ。

 

ヨーロッパ外で、かつてポルトガルの植民地で、今日でもポルトガル語を公用語とし、かつ本国より人口、面積とも大きい国が、3つあります。それはどこでしょう?(ヒント:一つは南米、二つはアフリカにあります)

 

答えは、「ブラジル、アンゴラ、モザンビーク」でした。

 

ブラジルだけは知ってましたけど、アンゴラとモザンビークが元ポルトガル領とは初めて知りました。特に、アンゴラはすごく面白い国ですね。

 

アンゴラは、アフリカ南西部沿岸にある共和国。首都はルアンダ。1975年に独立した後、2002年まで内戦が続きましたが、それが終結した後、ここ10年余りは、石油はじめ豊富な地下資源開発で、世界でもトップレベルの急激な経済成長を遂げました。人口は2000万余りしかいませんが、すでにサハラ以南のアフリカで第三位の経済規模を持つ国に成長。

 

とにかく、スゴイ発展ぶりと、スゴイ給与水準なんだそうです。旧宗主国ポルトガルが、経済不振と高い失業率に悩むなか、高等教育を受けたポルトガル人エンジニアが、仕事と高給を求めて続々とアンゴラに移住してるんだそうです。アンゴラ在住のポルトガル人の数、2003年は2万1千人だったのが、2011年には10万人を超えたとか。その代わり、いろんな問題もあるようです。世界一高い物価、極端な貧富の差、治安問題等々・・

 

今では潤沢なアンゴラマネーが旧宗主国のポルトガルに流入する現象が起こっているようです。アンゴラ人が物価の安いポルトガルで豪遊したり高額不動産を買ったり、たいそう羽振りが良いそうで、外貨収入を切に必要とするポルトガルにとって、いま欠かせない存在になっているようです。

 

来週、ポルトガルの首都リスボンに3泊して、不動産をたくさん見てきます。ポルトガルの不動産を、いま、どの国の人が買っているのか?地元のポルトガル人、英独仏といった欧州の裕福な国だけでなく、アフリカの旧植民地の人も買っているかもしれない…そんな想像もしながら見てきます。

 

では、良いお年を。
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バンコクで売れる住宅地の条件

こんにちはManachanです。タイ・バンコク出張から昨日帰ってきました。

 

私は数多い海外出張をこなしてますが、バンコクはとても馴染みのある環境なので、ラクですね。いつもの定宿に泊まると、街が「おかえり~」と言ってくれてるようで、アウェイ感がほぼありません。

 

私、海外での仕事は大抵B to C(個人のお客様相手の仕事)ですが、今回は珍しく、B to B(企業様相手の仕事)でした。東南アジア、特にタイとベトナムはここ数年、日本の不動産関連企業の進出先として人気が高まっており、私が水先案内人として活躍する機会も増えています。

 

当然ながら、個人の投資家様相手の仕事と、法人企業様相手の仕事では、ポイントや進め方が大きく違います。平たくいうと、

 

・個人の投資家様の場合、数百万円~数千万円を投じて、タイ不動産を購入します。そのお手伝いをする場合、ポイントは、個人向け資産コンサルティング力。つまり、お客様が資産形成、資産保全する上でどんな課題があり、その解決策としてタイ不動産が活用できるかどうかの見極めと、説得力が決め手になります。

 

・法人企業様の場合、数億円~数十億円という大きな額を投じて、タイ不動産ビジネスに参入します。そのお手伝いをする場合、ポイントは、タイの不動産マーケット分析や民力分析。つまり、会社様が不動産商品・サービスをタイ国内で供給するにあたって、どんな顧客層にフォーカスすべきで、彼らはどの位のお金を払って買う可能性があるのかを、データに基づき分析・説明する能力が決め手になります。

 

また、日本の個人投資家がタイ物件を買う場合、成約事例の多くはバンコク都心部の外国人マーケット向けの高額物件になり、一般のタイ人が買うローカル物件を買う人は少ないですが、法人企業の場合は、タイ現地デベと組んでローカル物件の大量供給を狙ってくる会社が少なからずあります。都心の外国人向け物件と比べて、ローカル物件はたいてい郊外なので土地の仕入価格が比較的安く、短期間で多くの戸数を供給できるし、購入できる人が大量に存在するから、資金回収の面でも魅力的だからです。

 

つまり、法人企業様相手のB to Bの場合、B to Cとは比較にならない程、タイ人の収入水準、不動産購買力の分析が重要になってくるわけです。その分析・考察が不十分だと、せっかく良い物件つくっても想定した値段で売れず、利益を得られなくなります。

 

日本の例を使って分かりやすくいうと、「1戸5000万円の新築マンション」を、東京の港区や千代田区で供給すれば普通に売れますが、同じ価格帯・グレードのマンションを葛飾区や足立区で供給してしまうと、売り切るのは難しい。そこでマンションデベロッパー各社は、事業計画を立てる前に、「民力(地域購買力)分析」を、かなり緻密なレベルでやるわけです。タイで住宅供給事業をやるなら、当然、同様の調査努力が必要になります。

 

お客様の意向を受け、私はいま市場調査をしておりますが、気を付けなくてはならないのは、タイという国、バンコクという都市が、日本人からみて「結構エグイ格差社会」であること。そして、「人々の認識も社会階層によって分断されてしまう」ことです。

 

バンコク都心部を拠点とする外国人は、往々にして、郊外のクルマ社会に住むタイ人の収入水準や暮らしぶりをよく知りません。彼らが自由に出歩けるのは、今のところ鉄道が通る都心10㎞圏内に限られ、その外の世界にアクセスするには実際問題として、自家用車とタイ語能力が必要になるので、それをあえてやる外国人の絶対数は少ない。

 

また、言葉の問題がなくても、良い家柄の家に生まれたタイ人は、一般庶民の暮らしぶりや収入水準を、驚くほど知らなかったりします。同じタイ人であっても、生まれも育ちも就職も、全く違う世界で暮らしてきたのですから当然でしょうが、その分断ぶりは見事(?)なもので、「東京都心で生まれ育った人が千葉埼玉のことを知らない」どころの話ではありません。

 

格差の固定した社会ゆえ、タイ人の民力や収入水準に関しては、誰から、どんな文脈で話を聞くのかによって、答えが全然違ってきます。今回の出張でも、不動産調査会社を中心に、いろんな方にヒアリングしましたが、「こいつ、全然分かってねえな」と思う人も相当数いました。

 

これまで得られた回答や、統計数字を総合すると、

 

・バンコク都市圏に住むタイ人の月収は、(当然ピンキリだが)平均2万バーツ台前半。
・世帯収入になると(たいてい夫婦共稼ぎなので)平均4万バーツ台前半。
・個人で5万バーツ以上の月収を得れば「富裕層」に分類されるが、彼らはバンコク住民の14~15%を占めるに過ぎない。人数にすると200万人程度。
・10万バーツ以上の月収を得る「アッパー富裕層」は、バンコク住民の2~3%。人数にすると30万人程度。
・アッパー富裕層のうち、一握りの超お金持ちはわずか数万人。彼らは想像できない程の莫大な富を手にしている。

 

バンコクの平均より収入水準が下の方々は、タイ人も、近隣諸国民(ミャンマー人、カンボジア人等)も、郊外の安アパートを賃貸するケースが多いので、

 

マイホーム購入層としてのボリュームゾーンは、バンコク平均より上、でも富裕層には届かない、世帯収入5~6万バーツあたりの方々になるかと思います。タイではマイホームローン制度が整備されており、金利は平均6~7%と安くはありませんが、年齢が若ければ30年程度の融資を受けられます、そしてサラリーは年々上がる傾向…

 

それらもろもろを考えると、タイ人ローカルを相手にする場合、世帯収入比の5倍、250~300万バーツ位の住宅を供給するのが、購買力の面では一番現実的かと思います。日本と同様少子化の国なので、子供は2人。家族はMax4~5人を想定。そうなると、次のイメージになるかと、

 

・バンコク通勤圏の郊外
・土地付き一戸建かタウンハウス
・クルマ必須なので、最低1台の敷地内駐車場(できれば2台)
・ショッピングセンターや学校、病院まで、クルマでの移動が不便でない
・家族構成からみて、ベッドルームは3つ、バスルームは2つ欲しい
・鉄道駅はなくてOKだが、将来的に駅ができる想定なら尚良い

 

それらを最低スペックとして備え、かつ、タイ人視点でみて不便な立地でなく、皆さんが買える価格であれば十分、住宅供給事業が成り立つのではないかと思います。逆に、400万バーツ超の価格帯を狙う場合、ローカルのトップ15%「富裕層」の世界になりますので、エリアも設備もセキュリティも厳選しなくてはなりません。評判の良い大手デベロッパーを選ぶのは必須でしょう。

 

タイの一般ピープル向け、250~300万バーツ台の住宅地

 

 

一方、在タイ外国人(欧米人、日本人、中国人等)マーケットを狙う場合、エリアによってはタイ人ローカルを数倍する高額価格帯での供給も視野に入ってきますが、その代わり、彼らが不便なく生活できる都心部か鉄道沿線エリアであることが必須。また競合も増えるなか、彼らに積極的に選んでもらえる内容が必要でしょう。都心部やBTS駅近の地価高騰が著しい昨今、難度も高くなってきていると思います。

 

一番やっちゃいけないのは、ローカル向けなのか外国人向けなのか、 コンセプトのはっきりしない、中途半端な企画ですね。たとえば、

 

・ローカル向けにしては価格が中途半端に高く、かといって外国人が積極的に選ぶ理由もない物件
・ローカル向けの価格帯でも、部屋が狭い、駐車場がない等、実需ニーズにあわない物件
・外国人向けを狙っても、鉄道駅から微妙に遠く、アクセスもいまいち不便で、かといってタイ人が買うには高すぎるor狭すぎる物件

 

これまで、バンコク各地でコンドミニアム、戸建、タウンハウスなど、いろんな分譲住宅地を見てきましたが、売れ行きの良い住宅地には、必ず、「売れる理由」があるものです。それが何なのか、調査でさらに明らかにしていきたいと思います。
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パタヤでエアビー管理会社を発掘

こんばんはManachanです。4日間にわたるタイ出張から帰国しました。疲れがたまっていたようで、家に帰ったらすぐ寝ました。

今回の出張は、タイへ事業進出を検討する日本の不動産企業様の用事がメインでしたが、出張ついでに、パタヤで買ったコンドミニアムの引き渡しもやってしまおうと思い、出張最終日にパタヤに向かいました。

 

私が買ったのはセントラルパタヤにある、City Center Residenceというコンドミニアム。2012年にプレビルドで購入し、4年かけてようやく完成しました。購入代金と諸費用は、すでに全額払っています。

で、現地に行ったら、びっくり!まだ完成してないんじゃん!

 

この状態で引き渡しかよ!!

 

室内はこんな感じ。エアコン、トイレ、キッチン、ベッドはあるけど家具家電類がまだ入っていませんでした(注.家具家電のオプション付けて買ってます)

 

ただ、ひいき目に見れば…室内はあと家具家電入れれば良いだけだし、また、屋外のプールもあと1~2か月すれば完成しそうな感じではありました。ものすごい数のワーカーが働いてましたし。

現地にいたデベロッパーの担当者と、雑談。

 

私:「今日引き渡しできると思ってたんだけど…まだ完成してないんだね。」

担当者:「はい、今回は最初のインスペクションで、来月後半に最終引き渡しのためのインスペクションを行います。」

私:(この状態で、インスペクションやる意味があるのかと思いつつ…)「分かった。来月後半にまたタイに来るから、その時まできれいに引き渡しできる状態にしといてね。もう全額払ってるんだから」

担当者:「了解しました。」

 

ま、私は毎月タイに行く用事があるからいいんだけど…もし、この引き渡しのために飛行機代かけて来た外国人がこの状態を見たら、たぶん怒り狂うだろうな。ま、東南アジア新興国はいろいろありますよね。幸い、フィリピンやマレーシアで散々、似たようなこと経験してきたから、私はこれしきのことでは驚きません。

相変わらずダサいなあと思いつつ…良いこともありました。

 

・City Center Residenceは、バンコクの旅行会社が借り上げて短期貸しビジネスに乗り出すことになりました。

・AirBnBのみならず、Expedia、Booking.comなどポータルサイトを駆使して、客室を旅行者向けに短期貸しするのみならず、コンドミニアム共用施設のレストランやバーも運営して、高収益を目指すようです。

・上記営業利益の10%を同社が取り、残りはオーナーに還元するようです。

 

この旅行会社(A社)は、デベロッパーであるMatrix社から紹介してもらいました。その経営者に会えることになり、大急ぎでパタヤからバンコクへとんぼ帰りしました。

経営者はインド出身、16年前にバンコクで旅行会社を創業しました。それ以前は、世界的な大手旅行会社に勤務していたそうで、起業家であるだけでなく、サラリーマン的な常識も兼ね備えた方であるよう。

A社は2年前から、客室の短期貸し事業に進出、バンコク、パタヤを舞台に拡大してきました。City Center Residenceはたまたま、インド人客が1人で40室も大人買いしており、それを全て借り上げて運営できることになったそうです。おそるべしインド人の購買力!これを契機に、パタヤに経営資源を投入して本格的に運営したい。そのために一つでも管理戸数を増やしたいと言ってました。

経営計画と、想定利回りの数字も見ましたが、オーナーとしては申し分ない数字でした。

 

私の部屋は、来年1月末に引き渡しを受けます。それからすぐ家具・備品を入れて、同社に管理をお願いすることにしました。管理スタートは2月中旬になる予定。

まだ、お金になったわけではないので何ともいえませんが、パタヤという土地柄、旅行者向けの短期貸しが一番お金になるはずなので、とりあえずやってみようと思います。

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EU漫遊記〜不動産マニアの視点

こんにちはManachanです。約1週間にわたる欧州出張を終え、無事帰国しました。
欧州での不動産ビジネスは、今後長い取り組みになりそうです。

2016年7月…イギリス出張
2016年10月…ドイツ、トルコ出張 (済)
2016年11月…ドイツ、スペイン出張 (済)
2017年1月…ドイツ、ポルトガル、スペイン出張 (予定)

最近はドイツを起点に、ほぼ毎月、出張に行く生活が続いています。日本からの飛行機移動がつらいけど、それだけ、欧州不動産ビジネスに可能性と手応え、社会的意義を感じているわけです。

欧州といえば、英国のEU離脱、移民やテロの問題等、ニュースを賑わす頻度が高まっていますが、欧州各国を実際に歩いた私の体感値は、ニュース報道とは大きな隔たりがあります。

報道が「例外事象」をセンセーショナルに伝える傾向があるのに対し、私たち不動産投資家は「普段着の姿」に着目するので、認識のギャップが大きいのも無理からぬことです。

また、巷の経済評論家が「Brexit(英国EU離脱)の影響」等を論じる内容にも違和感を感じます。彼らが往々にして、グローバルなカネの流れや為替等「マクロ」を論じるのに対し、我々不動産愛好家は「ミクロ」な地域経済や賃貸市場に目が行く生き物なので、違和感もそこから来るのだと思います。

今回のブログは、不動産マニアな私が欧州各国を歩いて感じたことを独自の視点で書いてみます。分かりやすく、話をBrexitに絡めてみましょう。

 
1. いま英国で起こっていること

大陸欧州の人々と話すと、「Brexitは英国にとって失敗だった。ほら見ろ、英ポンドはあれだけ下がってしまったじゃないか。将来を不安視する英国人が、大陸(EU)側にどんどん資産を移しているぞ」みたいな声をよく聞きます。

首都ロンドンだけみれば、確かに彼らの言う通りかもしれません。今年7月に出張した時も、ロンドンに関してはどんよりした不安感を感じました。

不動産の世界でいえば、これまでロンドンを買ってた外国人は中近東、ロシア、中国の富裕層が多く、動機はもちろんキャピタルゲインでした。彼らはBrexit後に「値下がり」「英ポンド下落」のダブルパンチで大損した人も多い。それと、ロンドン(シティ)の金融センター機能がBrexitをきっかけに大陸欧州側(フランクフルト等)に移るのではないかという憶測もありました。

つまり、英国=ロンドンという枠組かつ、短期的視野で考える人たちが、Brexit後の英国の先行きについて悲観説を助長させていた気がします。

でも、不動産投資家のセンスでいえば、ロンドンの不動産市場は、Brexitがあってもなくても、いずれ調整局面を迎えていたと思います。要は英国のなかで、ロンドンだけ突出して高騰しすぎていた…

同じ英国の他都市と比べて、ロンドンの不動産価格は5倍以上、国際的にみても、ニューヨーク、東京はじめ、どの大都市よりも高い状況だったのです。

視点を英国第二、第三の都市に移せば、全く違った世界が見えてきます。

それらの都市、特にマンチェスターやバーミンガムは、Brexitのおかげで成長が期待できるでしょう。不動産価格はロンドンの5分の1、国際ビジネスが展開できる都市機能と人材が揃い、英ポンド下落のおかげでオフィス賃料や生活コストは大陸欧州のたいていの大都市より安い。言葉も英語、高速鉄道ができればロンドンと一時間以内で結ばれる…

Brexit後のマンチェスターを歩くと、ロンドンと違って雰囲気明るいですよ。同市を含むイングランド北部の多くの人が、離脱に賛成票を投じたのは、確かに理屈が通っています。

EUとの関係は今後どうなるか分かりませんが、英国はEUとだけ商売してるわけじゃありません。英語というインフラで旧英連邦諸国とビジネスできるのが彼らの強み。本命は、大陸欧州より成長余力が高い「米国」と、間もなく世界最大の人口を持つ国となる「インド」でしょう。

2016年のBrexitは、英国人が大陸欧州よりも米国インドと共に歩むことを選択したと、後世の歴史家は評価するかもしれません。

 
2. いま大陸欧州で起こっていること

いま大陸欧州の経済は、明らかにドイツが引っ張っています。

EUやシェンゲン協定の枠組で、大陸欧州の多くの国が共通通貨ユーロを採用し、人々の行き来を自由にしました。すると、どうなるか?

日本の国内で、人々が就業機会を求めて、首都圏や愛知、関西、福岡といった都市部に移動するのと同じように、大陸欧州(特に東欧、南欧)の人たちは、仕事のあるドイツに移動します。

ドイツはEUのおかげで、「大陸欧州の首都圏」となり、失業率も他国より低く、物価も安定、繁栄を手にしています。

ドイツにはロンドンのような巨大都市がないので単純比較が難しいですが、同じ位のサイズの都市(例.独デュッセルドルフと英マンチェスター)を比べると、街の発展度、先進性はドイツの方が若干勝る印象です。

ドイツの繁栄を、同じEU圏内の国々に還元できれば良いのですが、これはなかなかうまくいかない。もともと言葉や文化の違う国々の集合体なので難しいのでしょう。

大陸欧州が共に発展できるかの試金石が、南欧諸国にあると思います。ギリシャはじめ、スペイン、ポルトガル、イタリアといった国々は、リーマンショック後の6〜7年間、酷い不況に苦しめられました。どの国もドイツやフランスに比べると産業基盤が弱い上に、不動産バブルが派手に弾けて信用収縮が起こった、ユーロを採用したせいで通貨の切り下げも不可能…夥しい失業者が出て、それがいつまでも解決できませんでした。

ただスペインに関しては、ようやく経済復興の道を歩み始めたようです。2015年、16年の経済成長率が3%前後でEU圏内でトップ。失業率も徐々に改善してきました。 スペインは観光が強いだけでなく製造業の基盤もそれなりにあり、EU内では比較的安い労働コスト(月給約1000ユーロ)を活かして工場誘致が進んだようです。

イタリア、ポルトガル、ギリシャがスペインの後に続いて発展軌道に乗れるなら、ドイツ主導のEU経済圏もなんとかワークしそうだという判断になるでしょうが、

その辺は、これから南欧諸国を歩くなかで、じっくり見てきたいと思います。お楽しみに。

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バルセロナ不動産に注目する理由

こんにちは、Manachanです。欧州出張最終日、あと数時間後に長~い帰国の途に着きます。

今はスペイン・バルセロナにいます。2日前に、ドイツのデュッセルドルフから2時間のフライトで当地にやってきました。つくづく思うのは…

 

温暖な地中海性気候の地域って、むちゃくちゃ得してるよなあ。

 

11月末にして、この「陽光」と「海」

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温暖な気候が育む、豊穣な「食」と「彩り」

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先月行ったトルコ・アランヤもそうでしたが(ブログ:奇跡の地中海性気候)。ここ地中海沿岸地方は、

 

・一年のうち晴天日数300日。

・湿気が少ないため、体感的に夏は涼しく、冬は暖かい。

・とはいえ砂漠ではなく、適度な雨量があるため緑も多い。

 

という、他地域からすると垂涎ものの「快適さ」に包まれています。冬が長い英国やドイツ、ロシア、北欧諸国の人が、太陽を求めてやって来るのは、もちろん地中海ですし、また、日本(関東)で育った私からみても、ここは湿気が少ない分、身体がラクですね。

昨日の早朝、バルセロナは気温5℃まで下がり、寒さに慣れない地元っ子は震えあがってましたが、でも東京の5℃と当地の5℃は体感的に全然違う。前者は湿気が身体にまとわりついて骨に響く寒さになりますが、後者はそれがないので、私は全然寒く感じませんでした。

 

バルセロナ地元の友人が言ってました。「北欧、中欧の人が、どんなに一生懸命働いても、どんなにお金を積んでも、この気候は手に入らない」。

だから彼らは毎夏バカンスの時期、2時間くらい飛行機乗ってやって来るし、お金が溜まったら老後の住まいとして、地中海のそばで家を買うのですね。

 

スペイン、ポルトガル、イタリア、ギリシャ、トルコなど地中海地方の国々は、いずれも年間数千万人が訪れる観光大国。「すぐ北方に経済の豊かな、何億人が住む地域があり」、「彼らの求める温暖な気候風土に恵まれている」という点で、大きな優位性を持っています。

特にバルセロナは、気候温暖な地中海地方に属するのに加え、類まれな文化芸術遺産を持つ、極めて競争力の強い国際観光地です。

 

・ガウディの建築作品群(サクラダファミリア、グエル公園、カサミラ等)

・ガウディのライバル達の手による建築作品群(サンパウ病院、カタルーニャ音楽堂)

・21世紀の現代建築(トーレ・アグバル等、新宿モード学園ビルに似てる…)

・パブロ・ピカソ、サルバドール・ダリなど世界的画家の美術館群

 

ここまで凄いネタが揃った街はそうそうありません。街を歩いて楽しいし、いつまでも滞在したくなります。特に、

 

サグラダファミリアは圧巻!現代における、世界一の建築作品ではないでしょうか

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あと、バルサもあるし…

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もう少し、マクロな話をしましょう。不動産投資でキャピタルゲインを狙う上で、私はヨーロッパのなかで、スペインやポルトガルに注目しています。

 

一つは、EU主要国より賃貸利回りが高い(4~5%台)。つまり割安に買える

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また、スペイン、ポルトガルとも、リーマン後の不況を克服し、経済が回復軌道にある。

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特にスペインは、ここ2年間、経済成長率が実質3%と、EU圏のトップレベルにあります。今バルセロナの街を歩いても不況の暗い感じはありません。

但し、数年前は酷い状態でした。リーマンショック後、ドイツやフランスに比べ経済基盤の弱い南欧諸国はPIIGSと呼ばれ(Portugal, Italy, Ireland, Greece, Spain)、財政がやばい国と言われていました。毎年マイナス成長が続く絶不況期は5~6年続き、2012年頃の最悪期は、スペインの失業率25%、若年層に至っては失業率50%超えという状況でした。

当時、スペインの若者は大学出ても数年間仕事が見つからないからドイツ等に出稼ぎに行く、スペインにいた移民は仕事が見つからずに南米や東欧に帰る…という状況で、国の総人口さえ減っていました。ポルトガルも同様。

 

それが、ようやく持ち直してきたのがここ2年ほどの現象です。特にスペインの経済回復は著しく、「もはやPIIGSではない」宣言も出てきています。

そういう時期こそ、往々にして、不動産仕込みのチャンスなんですね。バルセロナ市の平均の数字は、

 

2007年まで、不動産価格の上昇が続き、ピーク時には5200ユーロ/平米に 

2007~13年まで、不動産価格の下落が続き、ボトム時には3100ユーロ/平米に

2014年から、不動産価格が再び上昇し、今は4200ユーロ/平米まで回復

 

不況期の6年間で、価格が40%下落したのを、直近の二年間で半分(20%)だけ回復したのが今の状況。まだ回復途上で不動産価格は上がり続けています。逆に月額賃料の推移をみると、

 

2007年まで、不動産価格の上昇が続き、ピーク時には12ユーロ/平米に 

2007~13年まで、不動産価格の下落が続き、ボトム時には9ユーロ/平米に

2014年から、不動産価格が再び上昇し、今は12.5ユーロ/平米まで回復、史上最高値に

市内の賃貸物件は不足気味で、空室率は1.6%

 

不動産価格がまだ上がりきっていないのに、賃料水準は過去最高を更新(つまり利回りも高い)…だから、今後も価格面で伸びる可能性が大きいと考えます。

バルセロナ市内で、いま普通に賃貸に出せば、利回りが約5%出ます。世界の大都市のなかでは、まあまあ高い水準。ちゃんとした物件をいま5%で仕込んで、貸して家賃とりつつ値上がり益を享受して、5~7年後に4%あたりで売り抜けるというシナリオでいけるのでないかと。空室リスクも今のところほぼないし…

 

もっとも不動産投資は「ミクロ8割、マクロ2割」なので、地元のパートナーと協力して、できるだけ好立地で良い物件を仕入れたいと思います。できれば、サグラダファミリアから歩ける素敵な場所で…

バルセロナでとても良いビジネスパートナーが見つかりました。これから楽しみです。

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正直な不動産、誠実なドイツ

こんにちはManachanです。3日間にわたるドイツ出張を終え、今は次の視察地・スペインのバルセロナにいます。

ドイツ(デュッセルドルフ近郊都市)では、まる2日間、日本人投資家数名の不動産視察・買付ツアーのアテンドをしてました。アテンドの仕事は、数年前から相当数こなしてますが、今回のドイツほど楽しいツアーは他にないですね。

何より心洗われる(?)のが、ドイツのパートナー企業BMG Invesetment社の仕事ぶり。社長以下全員、真面目で一生懸命。常に手を抜かず、細部まできっちり配慮してくれるのです。あの真面目さと実直さ、(良い意味で)日本人の働きぶりにそっくり。そして、不動産や投資に対する知識も相当なものでした。ツアー参加者も、異口同音にこう言ってましたね。

 

・あの人たちは、信頼できる。

・あの会社からなら、何戸でも買い増したい。

 

あの生真面目さは、ドイツ人の特性なのか、それともBMG社の社風なのかは、よく分かりません。同社は、相当な多国籍集団。社長はベラルーシ出身、社員はロシア、ウクライナ、東欧諸国の出身者が多く、我々のツアーをお世話してくれたのは、中国上海出身のY嬢(彼女も相当真面目で勉強家。私とは堅い信頼で結ばれています)。それぞれの社員が数か国語話すなかで、社内共通語はもちろんドイツ語。

たぶん社長の人柄が大きいんでしょうね。何度も商談しましたが、世の中、こんなに生真面目な人がいたのかと思うくらい。大きなビジネスを展開しているとはいえ本体は社員数15名くらいの小さな会社ですから、社長のキャラクターと仕事ぶりが全社に浸透するんでしょうね。

 

社長Michal氏と記念撮影

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今回、ツアー参加者が購入した物件。どれも収益不動産として「至極真っ当」で「真面目」な貌をしていました。

 

メンヒェングラートバッハ、3部屋88㎡、44700ユーロ、NET8.5%

駅徒歩6分、賑やかな商店街に接した、暮らし向きのファミリー居住地域。その土地柄に合った使いやすい間取りです。築40年超えてますが、都心の外国人仕様マンションみたいな「センターイン」かつ「ワイドスパン」。廊下に面積とられないので広く感じます。気候の寒い地域ということもありますが、壁厚や断熱、二重ドアなど、日本の団地よりつくりがずっと堅牢ですね。

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エッセン、1部屋21㎡、25300ユーロ、NET9.0%

この団地は、立地が素晴らしい。人口58万人、ドイツでも十指にはいる都市エッセン、その中央駅(特急電車ICE停車駅)から徒歩10分。歩きやすい道で駅と商店街まですぐ出られる上に、駅近エリアは新築が全く建たないので、部屋が空くのを待ってる人多数。

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デュイスブルク、3部屋+1部屋、117㎡、56000€、NET9.5%

珍しい「2戸一括販売」の物件。2家族から家賃とれるため利回りが高い。アパート最上階で眺望良し。目の前の道路は市電が通る、賑やかな商店街。明るい印象で、内見した全員が「ピンときた」お値打ち物件。

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また、不動産という面で、「ドイツという国の生真面目さ優秀さ」も、十分感じることができました。

デュッセルドルフを州都とする、ノルトライン・ヴェストファーレン州は、人口1800万人でドイツ最大。ヨーロッパ屈指の人口集中地域で、強い産業基盤を持つ大小の都市がたくさんあります。

デュイスブルク、エッセンのような大きな都市、ヴッパ―タール、ノイス、メンヒェングラートバッハなど中規模の都市、メットマン等小規模な街、いろいろ行きましたが、どの街をみても、空室の住宅と、空き店舗がほとんどないつまりシャッター街とは無縁な状態

ドイツが人口増えてるかといえばそうでもありません。一方、人口増加基調にある米国では、巨大ショッピングセンターに空き店舗が結構目立ちます…つまり、ドイツでは住宅や店舗の供給数がうまくコントロールされているようです。

 

空室がほぼない物件。どこ見ても、たいていこんなもん。

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ノイス(Neuss)の市電通り。500mにわたり、空き店舗ゼロ。どの街みても、こんなもん。

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また、交通インフラや運用をみても、ドイツは間違いなく欧州No.1ですね。電車は便利で近代的、時間通りに来る。ドイツ国鉄(DB)や市電(UB)との連携もばっちり・・まるで日本の都市部のような利便性と信頼性。タクシーやレンタカーに頼らず公共交通機関で移動できることは、我々海外の視察者にとっても、移動コストが安く済むのでありがたい。

 

国鉄も市電も、ドイツの電車は信頼性が高く、日本の感覚で利用できる。

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ドイツが、ここまで上手にガバナンスされた、豊かな先進国であることは、資産を置くことに関して安心感が高いですね。しかもデュッセルドルフという場所はヨーロッパの中心にあり、オランダ、ベルギーまで車で1~2時間、パリまで5時間…ヨーロッパの拠点として十分使えます。国際空港も便利だし。

そして彼らが日本人に似た真面目な国民性を持っていることは、日本人投資家とドイツ業者をつなぐ立場としても大変ありがたいです。日本人投資家の細かい要求に、きっちり応えてくれる国が非常に少ないなか、ドイツはその能力とマインドセットを備えた世界でも稀有な国。長期的視野で良いお付き合いができそうです。

 

読者の皆様も、ドイツで収益物件を持って、ユーロのお小遣いを稼いでみませんか?数百万円で買えますし…

年明け1月8~10日に、また視察ツアーやります。ちょっと寒い季節ですが、真面目なドイツと、しっかり家賃稼いでくれる正直な不動産に会いにいきましょう。

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恵まれた中国人投資家

こんばんは、Manachanです。

先ほど、東京・半蔵門で、アジア太平洋大家の会主催「カナダ不動産と融資環境セミナー」をやってきました。また、Home’s不動産投資コラムでは、「海外不動産融資シリーズ」をはじめました(第一回:「外国人でも融資がひける国、ひけない国」)。今回は「海外の不動産融資」というテーマで、グローバルな視野でひとつ書いてみます。

 

今週前半、私は中国・上海に出張しまして、そこで、「中国人エージェント向け、海外物件紹介トレーニング」に飛び入り参加する機会を得ました。

上海の都心部、某投資会社のセミナールームでは、海外不動産販売を生業とするエージェント(代理店)を対象に、欧米各国の不動産物件やプロジェクトを紹介するB to Bのトレーニングが、結構な頻度で行われます。本国からデベロッパーの担当者を呼んで、英語のプレゼンを中国語に通訳するかたちで実施されます。毎回、30~40名のエージェントが受講するそうです。

※)本国からデベロッパーの担当者を呼んで…と書きましたが、必ずしもそうする必要はありません。上海や北京は、欧米不動産の販売では世界屈指のマーケットであるため、欧米デベロッパーの販売事務所がすでに設置されているケースが多いのです。

 

この会社では、普段はオーストラリア物件の紹介が多いようですが、私が行った時は、たまたま英国物件の紹介をやっていました。参加者(エージェント)は30名程度で、英語圏に留学経験のある者も少なからずいました。

講演後の質疑応答の時間で、融資の話になった時、私はたまげました。

・英国内の中国銀行で物件価格の70%まで融資OK
・HSBCで70%まで融資OK
・Standard Chartered銀行で70%まで融資OK
・Barclays銀行で70%まで融資OK
 等々…

 

銀行名が、出てくる出てくる…「えっ、まじで!中国の投資家が英国物件買うのに、そんなにたくさん融資オプションがあるの?

日本人が同じ英国物件買う時、こんなにたくさんの選択肢があるでしょうか?早い話が、中国人は中国銀行のロンドン支店で融資相談できるけど、日本人が邦銀メガバンクのロンドン支店に相談に行ったら融資つくでしょうか?

 

中国人投資家が、かなり以前から欧米の物件をたくさん買ってて、融資実績も豊富だから、要は大勢の人が踏み慣らした道だから、すでに、中国人が利用できる融資商品が豊富にあるんですね。

一方、日本人の海外不動産購入は、まだ歴史が浅いし、融資実績も中国人と比べるとまだ全然少ない。この私も、日本人として、いろんな国の不動産融資にチャレンジしてますが、現時点では「道なき道」を切り開いてる感が強いし…

また、海外物件の情報入手にしても、中国人の方が数段恵まれていますね。欧米デベロッパーの上海事務所は多いけど東京事務所はまだ少ないし、また、海外不動産の販売エージェントを育成するトレーニングも、今回、上海で体験したようなレベルのものが、日本で実現している例を私は知らない。

私も顧問として加わっている新組織「IPC東京」(International Property Consultants)で、この種のB to Bトレーニングを、早くやれるようになりたいです。

 

海外不動産を目指す日本人投資家が、いまの中国人のような「買いやすさ」を手にするには、もう少し時間がかかるのでしょうね。

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脱・業者セミナーことはじめ

おはようございます、Manachanです。

いきなり穏やかでない話で恐縮ですが、私、たま~に、ブログで大喧嘩することがあります。覚えてらっしゃる方もおられるでしょうが、最近では昨年末にこんな文章をぶつけました。

 

その正義感、迷惑につき… (2015/12/31)

 

米国中古不動産を販売する日系業者を、割高な価格で販売している云々の理由で名指しで批判、挙句の果てに私の個人名や団体名まで晒した某ブロガーの行動に対して、マジで怒り爆発したから書いたのですが…

でも、彼の言い分のなかには、真っ当なものも含まれていました。そのひとつが、

『脱・業者セミナー』です…私は、この方向性に関しては同意します。

 

業者セミナーとは何か?平たくいうと、「海外不動産の販売業者が、物件売らんがために行うセミナー」です。

物件売るためのセミナーだから、たいてい、参加費用は無料。会場費などのコストは販売経費であり、その点は国内新築ワンルーム販売セミナーと同様。

でもって、物件売るためのセミナーだから、当然、都合の良いことばかり言う。リスクの説明もそれなりにしますが、むちゃ都合の悪いことはオブラートに包んだりする…

 

そんな業者セミナーが悪いと言いたいのではありません。物件売るためのセミナーなのだと割り切って、賢く付き合えば良いのです。なかには良い物件もありますし、また業者の担当者と付き合うことで、海外の不動産事情に関して良質な情報が得られることもあります。

そういう有用性がある上、海外物件の販売業者からセミナー開催依頼を多数受けていることもあり、私の主宰するアジア太平洋大家の会主催のセミナーは、今日時点で半数以上が、所謂「業者セミナー」です。

 

ですが、海外不動産セミナーを企画する立場からいうと、業者セミナーの問題点は、

物件の収益性が、業者の物件見極め能力に依存してしまうこと

 

海外の物件を紹介して成約に至り、その後、買い手が確実に投資利益を手にできるよう、物件の収益性やマーケットの見極めができているのか?…それは、業者のスキル次第。

それがプロのレベルでちゃんとできていれば問題ないですが、海外なので難しいこともあります。たとえば東南アジア新興国では、売買・賃貸の取引データが日本のようなレベルで揃ってないですし、中古物件の流通マーケットも発展途上。そんな状況下で、業者は想定賃料とか想定利回りとか出して売らなきゃならないのです。

それでも、彼らが物件をちゃんと見極められれば、(情報あやふやでも)買い手が利益を手にしてハッピーになるのですが、そのスキルが未熟な場合、セミナーを通して海外物件買った人が不本意な損切りを強いられ、その不平不満が我々セミナー企画者に来たり、評判に傷がつくこともあります。それがリスクです。まとめると、

 

【海外不動産の業者セミナーにおける構造的な問題点】

1)不動産は個別にひとつひとつ違うから、その収益性も現地を歩いたり賃料相場をヒアリングするなど地道な作業をして、見極めなきゃならない。

2)でも実際問題、海の向こうにある物件をひとつひとつ見る手間暇がかけられない。

3)したがって、海外にいる販売業者さんの情報や、物件見極めのスキルに依存せざるを得ない。

4)しかし、彼らにそのスキルが十分あるかどうか、見極める術がない。仮にスキルが不足していたら結果的に我々のリスクになる。

 

この構造問題を何とか突破したい、と私は常に考えてきました。それが前述「脱・業者セミナー」の構想にも沿うことになります。

その意味で、11月4日(金)に行ったドイツ不動産セミナーと、11月10日(木)に行うトルコ地中海リゾートセミナーは、「脱・業者セミナー」に向けた、記念碑的な試みだったと自負しています。この二つの案件は、

 

・日本で誰も手掛けてない、ドイツ・トルコの物件を、自分独自のルートで開拓した。

・その後、自ら現地に乗り込んで、デベロッパーと商談して、これらの物件を日本向けに売れるようにした。

・帰国後、ドイツ・トルコの不動産マーケット情報を自ら調査し、セミナーに仕上げた。

 

所謂「業者的な動き」を自らがすることで、結果的に、他の誰かの情報・スキルに頼らなくても良い状態をつくりあげたのです。

物件個別の収益性やリスクの見極めは、私自身でやりました。現地も歩いて回り、ドイツ語の情報サイトと格闘しつつ、かなりの時間・労力をかけて調査しました。その結果、

 

・ドイツ(デュッセルドルフ近郊)の物件は、空室リスクが低い環境下で長期的な賃貸収益を得るのに向く。

・トルコ(地中海岸リゾート)の物件は、投資というよりはワールドクラスのリゾート物件を、ハワイ等と比較して非常に廉価で所有できる意味がある。

 

…いずれも、日本の投資家に紹介する意味があると判断し、セミナー化しました。

今後は、スペイン(バルセロナ)、ポルトガル(リスボン)等、独自ルートで企画した案件がどんどん出てきます。「脱・業者セミナー」の動きは、今後本格化していきますので、楽しみにしていてください。

 

なお、私が独自ルートを開拓できる鍵は、「中国」にあります。以前から富裕層の出国意欲、海外資産取得意欲が強い中国では、上海、北京、広州など大都市を中心に「海外不動産の見本市」が大々的に行われます。そこは、日本とは比較にならない程、世界各国の不動産デベロッパーや販売業者が集う場であり、日本では得られない海外不動産情報が集結しています。

中国行って、見本市でブースを回り、名刺を配りまくって、物件現地を見に行くアポを取れば、独自ルートができます。今回セミナー企画したドイツ・トルコの案件も、元はといえば9月22~25日の北京不動産展で開拓したルートです。

今月下旬には、上海の不動産展にも出向いて、そこで新たなルートを開拓したいと考えています。

 

最後になりますが、いま、海外不動産の「業者セミナー」を企画する会社・団体は、我々アジア太平洋大家の会の他にも、いくつかあります。

数年前は、その種のセミナーをやる団体は、日本ではほぼ我々しかいなかったから、ある意味先頭を切って、どんどん「業者セミナー」を企画しましたが、今や、時代は変わりました。

アジア太平洋大家の会は、投資家視点に立ち、独自ルートの「脱・業者セミナー」に意欲的に取り組むことで、他団体との差別化、そして社会的意義を果たしていきたいと思います。

 

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追伸)「トルコ」をテーマとするセミナーは、今週中に2つ行われます。お楽しみに。

11/10(木)19:00~地中海リゾートを満喫! トルコ南部のリゾート地アランヤのリゾート不動産事情を徹底解説@東京半蔵門

11/13(日)13:00~ サンワード投資主催 人気投資家・鈴木学氏の中・長期グローバル投資術@東京(お茶の水)

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