各国不動産事情

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ドイツと千葉戸建の共通点

こんにちは、Manachanです。

明日(11月4日)の夜から、東京と名古屋で、ドイツ不動産セミナーをやりますが、

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■2016/11/4(金) ドイツ不動産~収益性と投資のポイント徹底解説@東京(半蔵門)
http://goo.gl/OrYpPz

■2016/11/9(水) ドイツ不動産~収益性と投資のポイント徹底解説@名古屋
http://goo.gl/Ckf5hb

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セミナーで紹介する物件リストが、ドイツから送られてきました。一棟物件が6棟(全て30万ユーロ以下)、区分物件26戸。先方がやる気を出してくれて、数字的には、なかなか素晴らしいものが集まりました(我々が10月に視察行って見せていただいた物件より、ずっとイイ物件揃いじゃんかよ…)

 

【一棟物件の平均】(1€=約114円)
戸数:6.17戸
面積:400㎡
販売価格:230,833€
年間賃料:22,190€
利回り:9.49%

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【区分物件の平均】
室数:2.04室
面積:52.94㎡
販売価格:33,657€
年間賃料:3,033€
利回り:8.98%

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短期間にこれだけの物件数を集めただけあって、地域的には広域にわたっています。デュッセルドルフ~エッセンを中心に、半径40㎞圏内の各都市をカバー。関東の一都三県からブツを集めた感があります。お疲れ様です。

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ところで面白いことに、ドイツという国は、一般的な不動産賃貸利回りは決して高くありません。平均3~4%位。ユーロ圏のなかでも、下から数えた方が早い位で。

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しかも、日本と違って、ドイツでは都市による利回りの違いがあまり大きくありません(東京のような突出した巨大都市がない、という事情もあるのでしょう)。

たとえば、お互いに隣接した都市で、「都会」的な趣のあるデュッセルドルフが3.18%、「郊外・工業都市」的な位置づけのデュイスブルクが3.95%と、あまり大差はありません。

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ドイツは先進国らしく、不動産関連データは豊富で、情報公開も発達しています(但し、英語のデータは少なく、ドイツ語を読まなきゃならない)。下記はデュイスブルク各地の売買・賃貸の㎡単価ですが、単純計算しても、やはり利回り4%位にしかなりません。周辺のもっと小さな都市(ゲルゼンキルヘン、ハーゲン等)の数字調べても、似たり寄ったり。

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普通に不動産買って貸したら「せいぜい利回り4%」の世界で、なぜ「8~10%」の収益物件が出るのか?いろいろ調べてみると、次のことが分かりました。

・ドイツには、マーケットに出回る物件と、銀行流れの物件(ショートセール)との間に、二重価格構造がある。
・前者と比べて、後者は半分以下の単価で出てくることが多い。
・どちらも修繕して賃貸に出せば相場で貸せる。
・したがって、銀行流れの物件を収益物件に仕立てられれば、8~10%の高い利回りが出る。

 

そこで、「銀行流れの物件の仕入れ能力」の差がモノを言う世界。我々と提携しているドイツBMG Invest社は地元密着で社歴も長く、常時200戸以上の銀行流れ物件を扱っているので、銀行から売りが出たら大量仕入れで安く仕入れられるようです。銀行からしても、価格が多少安くても時間かけずに一気に買ってくれる会社に売った方が良いですよね。

BMG社は、そういうルートで仕立てた8~10%出る収益物件を、ロシア人や中国人など、外国人投資家にたくさん売ってるのです。

 

日本でいえば、一番近いケースは、千葉県の茂原や九十九里あたりの激安戸建を、300万円くらいで東京の投資家が買って利回り10数%で回す世界に似てるのかな、と思います。

今年3月に私の会社で、茂原市の築古戸建を300万円台で台湾投資家に売ったことがあります。土地は狭くて家もくたびれてますが現況賃貸中で、家賃は4万円ほど入るので、利回り14%とか出ます。

こういう物件、茂原現地では全く知られてないんですよね。地元の不動産屋回りましたが、一番安いものが800万円の戸建土地とかで…地元の人間は、安くて広い土地を買い、車が何台も停められる新築戸建を建てて住むようです。そういうもの建てると2000万円、貸せば月7~8万円、利回り4%位ですね。

彼らからすると、土地の狭い築古戸建には住まいとして魅力を覚えないし、また、こういう物件買って利回りで回すという発想もないのでしょう。だから、片端から東京の投資家が買っていくわけです…

 

ドイツでも、千葉県茂原に近い状況が起こっている可能性が強いようです。そうであれば、二重価格構造がいつまでも温存される理由が納得できます。

では、ドイツで収益一棟や戸建を買うことは、千葉県の地方都市で戸建や一棟アパートを買うこととほぼ同じなのか?…似ているようで、実は違うと思います。

ドイツは空室率が非常に低いのです。デュッセルドルフで1.6%、ノルトラインヴェストファーレン州平均で3.1%。貸せばすぐに賃貸がつく世界のようです。そこが、慢性的な住宅余りの日本と違うところで…

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なかなか面白いですね。ドイツの収益不動産の話、聞きに来てみませんか?

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バンコクで素晴らしい物件をみました

こんにちはManachanです。マレーシア、タイ出張から帰ってきました。

 

タイ…といえば、国民が敬愛するプミポン国王が亡くなった、ということで話題を集めていますね。いろんな報道が交で錯するなか、混乱やトラブルを避けるため、タイ渡航の予定を延期する方もいるようです。

でも実際に行ってみると、普段と何も変わらないですよ。タイの皆さんバイクや車で通勤して、ストリートフードを飲み食いして、ショッピングセンターで買い物して、夜遊びして…黒い服着てる人が、普段より若干多いかな、という程度で、

 

そりゃ、確かに…空港とかいくと、こんな広告がたくさん出てるし、

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新聞読むと、国王の追悼式典に、ものすごい数の民衆が集まったりと、尋常ない雰囲気を感じますけど(なお、これ全部、バンコクじゃなくて地方都市での出来事です)。

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でも、いまタイに渡航して危ないかというと、そんなことないと思いますよ。常識的に節度ある行動していれば、リスクは普段と同じでしょう。

 

そんな普段着のバンコクで、素晴らしい物件をみる機会に恵まれました。キーワードは3つ

 1)チャオプラヤー河に面した、リバーフロントの稀少立地 (しかも駅から歩ける!)

2)プールを中央に配置し、住居棟をプールの周囲に配した「リゾート型」(バンコクでは珍しい!)

3)値段が手頃!部屋からプールにダイレクトアクセスできる2ベッドが1200万円台、2フロア使える戸建感覚デュプレックスが1800万円台!今どき平米単価10万バーツ切ってるし…

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文字にしても魅力が伝えにくいので、写真をご覧ください。

 

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こりゃ、まじで欲しいっす。誰がみてもオンリーワン物件だから資産価値高いですね。

写真でみるように、竣工間近。いま2部屋売りが出てますけど、すぐ完売しちゃうと思います。

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11月英国不動産セミナー全国ツアー

おはようございます。Manachanです。今回は、11月に全国各地で行われる、英国不動産セミナーのご案内になります。

一連の英国不動産セミナーは、私が理事を務めるIPC (International Property Consultants)という団体が主催するもので、東京のほか、名古屋、三河(西尾市)、福岡と、全国ツアーをやります。紹介する物件は、マンチェスター都心部に登場する新築レジデンスや、買いやすい価格帯(700万円台~)の学生寮などです。

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【IPC東京セミナー告知】(2016年11月)

11月14日(月) 名古屋・名駅・18時~21時・参加費3000円

11月15日(火)三河・西尾駅・13:30~16:30・参加費3000円

11月16日(水)東京・半蔵門駅・18時~21時・参加費無料

11月17日(木)東京・麹町駅・18時~21時・参加費3000円 ⇔ 詳しくはこちら

11月19日(土)福岡・博多駅・14時~16時・参加費2000円

詳細・参加方法⇒http://ipc.tokyo/ipc/wp-content/uploads/2016/10/IPC東京11月のセミナー告知-1.pdf

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話は変わりますが、私が2011年に立ち上げた「アジア太平洋大家の会」。来月のセミナー予定が決まりましたが、ドイツ、イギリス、カナダ…見事に欧米ばかりになりましたね。もはや「アジア」でも「太平洋」でもないじゃん、と言われそう。

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11月はたまたま、こういうかたちになってしまいましたが、ニーズの高い東南アジアの物件も当然セミナーで扱っています(10月はラオスとカンボジアやったし)…

ただ、数年前に比べて、東南アジアセミナー開催の頻度やウェイトが減ってきているのは事実です。当時は我々位しか海外セミナーやる団体なかったけど、今は様変わりして、

オウチーノさんとか、

ARICさんとか、

資産デザイン研究所さんとか、

 

複数の団体が海外不動産セミナー開催するようになって、かつ、どこも東南アジア案件を主に扱ってますから、我々が必ずしも東南アジアに力を入れる必要のない時代になったのかな、という気がしています。

これからはアジアとか太平洋とか、エリアにこだわりなく、「不動産」「投資」として面白い海外案件を扱っていけば良いと思っています。他に真似されそうにないマニアックな場所も含めて…

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奇跡の地中海性気候

こんばんは、Manachanです。今日は珍しく「気候」の話題で行きますね。

海外不動産とかロングステイに関する仕事をしていると、「より良い気候を求めて移動したい」という人々のニーズに、必然的にかかわることになります。

「日本の寒い冬を逃れて、ハワイや東南アジアに移住したい」とか、逆に、「蒸し暑い関東の夏を逃れて、北海道に季節移住したい」等々…

世界的にみても、寒さが厳しい場所から気候温暖で穏やかな場所への人口移動やバカンス需要は、経済的にも無視できないものがありますね。

 

これ、私にとっては新鮮な感覚です。というのも、より良い気候の場所を求めて移動することを、自分はこれまで考えたことがなかったからです。

私、どの土地にもすぐに順応してしまう体質なのでしょうか…これまでいろんな国、いろんな気候の土地に暮らしましたが、気候面で特に不満を覚えたことがありません。たとえその場所が、冬季は氷点下20℃になる酷寒地であろうと、毎夏40℃を超える酷暑になって庭の芝生が焼け焦げる土地であろうと、「ま、そんなもんかな~」、1週間もすれば慣れてしまいます。

いくら気候が厳しくても、昔から人間が住んでいる限り、その土地で快適に暮らす知恵やインフラがあるわけですから、余程の極地でもない限り、とりあえず住める自信はあります。

 

ただ、世界中いろんな土地に行くなかで、「どの気候が、多くの人間にとって一番快適なのか?」を考えたりします。現時点での結論は、

 

世界の大多数の人が好むのは、地中海性気候!

 

地中海性(Cs)気候。中学の地理の授業で習いましたね。この気候が分布するエリアは狭く、

・地中海沿岸(南欧~北アフリカ~西アジア)
・アメリカ西海岸
・オーストラリア西・南海岸
・チリ西岸、中央アジアの一部

…それ位しかありません。世界的にみて、なかなか貴重な気候といえます。

 

下にみるように、地中海性気候の分布帯は、必ず砂漠気候に隣接しています。したがって「乾燥」気味のカラッとした天気になります。

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地中海性気候の特徴は分かりやすい。一言でいうと、「夏季少雨」、「冬季多雨」。

・夏季は、ほとんど雨が降らず、乾燥する。したがって数か月間、晴天が続く。
・その代わり、冬季に雨が降るため、緑が保たれる。

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地中海性気候の地域には、世界的に知られたリゾート地や、シニアのロングステイ先として好まれる場所が多いですね。

・スペインのコスタ・デル・ソル
・イタリアのアマルフィ海岸
・ギリシャ・トルコのエーゲ海沿岸(コルフ島、ボドルム等)
・米国カリフォルニアのサンディエゴ周辺

 

こうしたリゾート地には、北の寒い国、日の短い国から、大勢の人が太陽を求めてバカンスに来ます。オンシーズンは夏季ですが、地中海性気候は夏季にほとんど雨が降らず、晴天が続くので、バカンスにはもってこい。暑いとはいえ乾燥してますから、日本や東南アジアの蒸し暑くて不快な夏とは違って快適、海風も涼しい。

場所や緯度にもよりますが、「海水浴できる位の暖かい水温」が保たれ、かつ「海風が涼しい」時期が、年間約7~8か月続くのが、地中海性気候の良さといえます。

 

たとえば、トルコ地中海岸のアランヤ(Alanya)は典型的な地中海性気候。海に入れる時期が4~11月位まで、約8か月続きます。雨温図をみても、4~11月は最高気温が20℃を常に上回ります。冬場も東京みたいに寒くなりません。

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10月下旬の10日間天気予報をみても、ずっと晴天、傘要らず。朝から20℃超えなので半袖で過ごせますね。

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地中海性気候エリアは、年間の晴天日数が300日を超えるところが多いのが特徴。前述トルコのアランヤは300日、スペインのコスタデルソルに至っては325日あると言われています。日本の場合、一番晴天日数が多い香川県でも249日(日本平均は216日)ですから、その差は歴然ですね。、

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私は先週、トルコのアランヤに不動産視察に行ってました。朝から晩まで一日中、「天国のような快適な風」に包まれて、身体の芯まで癒されました。カラッとして、適度な湿度を含んだ風がイイんですよね。

東京に帰ってくると、地中海エリアと比べて、空気に過剰な水蒸気が含まれていると感じます。夏はサウナみたいにじめっと暑いし、冬は湿っぽくて芯まで冷える。秋の風は涼しいけどカラッとはしていない…ま、その気候にもすぐ慣れちゃうんですけど。

地中海の素晴らしく快適な気候を味わいたい方は、是非、行ってみてくださいね。

 

最後に、「トルコ」をテーマとするセミナーを二つ紹介します。興味のある方、来てくださいね。

 

1)トルコリラFXと不動産投資のコラボセミナー(11/13日曜、私が講演します)

http://www.sunward-t.co.jp/seminar/2016/20161113_ek/index.html

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2)海外不動産投資成功塾(11/10木曜)

【海外不動産投資成功塾】第8回 11月10日 19:00~21:00 「地中海リゾートを満喫! トルコ南部のリゾート地アヤンラのリゾート不動産事情を徹底解説」

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青いバナナとドイツ一人勝ちの構図

こんにちはManachanです。今回は先週不動産視察した「ドイツ」ねたで書きますね。

今回、キーワードとなるのが、「ブルーバナナ」(Blue Banana)。ヨーロッパで産業と人口が特に集積した場所を指します。具体的にはイギリス中南部から、オランダ・ベルギーを経て、ドイツの西部~南部、スイスを経て、イタリア北部に至る、バナナの形をした一帯です。

 

ヨーロッパ西部~中部の9か国に跨がり、人口1億人を超えるブルーバナナのなかで、「ドイツ」のプレゼンスが特に目立ちます。ドイツこそ、ブルーバナナの真ん中にあって、かつ一番大きな面積を占める国。名実ともにヨーロッパの産業中心地といえます。

なお、ドイツとともにEUを支える国「フランス」は、東部の一部を除いて、ブルーバナナとはほぼ無縁の位置にあります。余談ですが、ブルーバナナという言葉は、1989年にフランス人がつくったんですね(banane bleue)。

 

ブルーバナナに沿って、ドイツ国内に、4つの主要産業都市圏があります。北から順に、

・デュッセルドルフ~ケルン
・フランクフルト
・シュツットガルト
・ミュンヘン

上記の全てが、強い産業基盤を持ち、栄えています。日本でいえば、「太平洋ベルト地帯」に沿って、東京、愛知(名古屋)、大阪、福岡の4大都市圏があるのと、構造的には似ています。

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私は先週、ドイツのデュッセルドルフを中心とした「ルール地方」で、不動産視察をしていました。この一帯は、巨大都市こそないものの、人口数十万人の産業都市が多数集中する、欧州一人口密度の高いエリアの一つ。まさに「ブルーバナナの核心部」。

・大都市:人口60~100万人(ケルン、デュッセルドルフ)
・上位の中堅都市:人口40~60万人(エッセン、ドルトムント、デュイスブルク、ボーフム
・中堅都市:人口20~40万人(クレーフェルト、ヴッパ―タール、ゲルゼンキルヘン、オーバーハウゼン、ヘルネ、メンヒェングラートバッハ等、多数)

 

この辺を車で走っていると、感覚的には「愛知県」あたりと似ています。東京・大阪のように高密度に都市化されていないかわりに、10~20㎞毎くらいに比較的大きな都市があって、その間には農村地帯が広がる…という感じ。あえて言うなら、「ケルン&デュッセルドルフ」が「名古屋市」、「エッセン、ドルトムント等」が「豊田、岡崎、豊橋、刈谷、一宮などの中堅都市」に近いイメージですね。ルール地方が製造業中心という点も愛知チック。

ドイツのなかで、産業の栄えた地域はルール地方だけではありません。むしろ、それより南のミュンヘン、シュツットガルト、フランクフルト等の方が裕福で失業率も低い地域といえますが、それらと並んでルール地方も「ブルーバナナ」を構成し、相対的に雇用機会に恵まれていることは間違いありません。

 

ドイツ国内「ブルーバナナ」には、旧東独エリアから、多数の人々が移住してきます。下の地図をみると、旧東独エリアはベルリン、ドレスデン、ライプチヒなど一部を除いて、ほぼ全てのエリアで人口減少が進んでおり、統一以来の20数年で2割近くも人口を減らしています。その背景には、旧東独の失業率が10数%と高い状況があります。「職」を求めて人々は西と南へ移動するのです。

日本国内の、北海道、四国、九州といった地域から、職を求めて東京、名古屋、関西、福岡等に人々が移動すると同じ構図ですね。

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EU発足に伴う、共通通貨ユーロの採用、そしてユーロ域内における人々の自由な往来が、「ブルーバナナ」集中にさらに拍車をかける面もあります。

下の地図で、青い色の国が「ユーロ」採用国ですが、欧州内だけで19か国の通貨として採用されています。その「ユーロ圏」の中心にあるのがドイツです。

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下図の青い色の国々は、「シェンゲン協定」で入国審査なしで自由に往来できる範囲を指します。行き来が自由ならば当然、雇用機会が多くて給料水準の高い地域に人々が移動するのは自明の理。欧州のなかで、産業が遅れて雇用の乏しい東欧や南欧の人々は、職を求めて「ブルーバナナ」、特にドイツを目指します。

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こう見ていくと、EUの枠組みのなかでドイツが経済的に一人勝ちになるのは、当たり前だと思います。日本のなかで人々が東京をはじめとする都市圏に集まるのと同じことで、EUという大きな規模で、ドイツに人やビジネスが集まる構図になります。人々の往来を自由にしている以上、それが自然な流れといえましょう。

EU各国の人々がドイツ人になりたいとか、ドイツ文化が好きで来てるというよりは、ドイツに仕事があるから来るわけです。ドイツ(ブルーバナナ)側からみると、旧東独や、あるいは東欧・南欧の周辺国から、より安い賃金で労働力を雇えるわけで…こりゃ、ドイツだけ景気良くなるの当たり前ですな。

今年6月、英国人はEU脱退を選択しました。EUという「ドイツだけが得する枠組」を見限ったともいえるでしょう。北米、オセアニア、インド…世界各地に、英語経済圏を形成してきた、その自信が背景にあるのでしょうね。

 

ま、そんな感じで、EUのなかで独り勝ちしがちな昨今の独逸(ドイツ)、不動産投資の面でいえば、結構面白いと思います。デュッセルドルフ・ルール地方しか見てませんが、とにかく、ヨーロッパ中からやって来た人々の賃貸需要が強く、住宅供給が全く追いついていません。良い管理会社と巡り合えればの話ですが、マーケット的にいうと空室リスクほぼゼロですね。

そのドイツをテーマとする不動産セミナーを、11月4日(金)、東京で企画しました。利回りの良い(ネット7%以上)物件だけ紹介いたします。興味ある方は是非、お越しくださいね。

11/4 ドイツ不動産~収益性と投資のポイント徹底解説@東京

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日本人向きのドイツ不動産投資

こんばんはManachanです。欧州視察旅行2日目、いまドイツからトルコに移動中。

日本に住んでると実感しにくいですが、欧州に来るとドイツ〜トルコ間の人の移動量は半端ないですね。ドイツ国内には何百万人のトルコ人移民、労働者やその家族が暮らし、国もとの家族親戚、友人との交流で行き来する人がとても多いのです。

 

私が訪問したデュッセルドルフは、ドイツの中では大都市とは言えませんが、社会科の教科書に出てきた「ルール工業地帯」を控えた土地柄、トルコをルーツとする住民が昔から多い。デュッセルドルフの空港から、トルコの大都市のみならず、中堅都市に向けても、直航便が多数発着しています。

あと、気候の厳しいドイツに暮らす人が、地中海の陽光を求めて移動するバカンス需要も旺盛です。トルコの地中海岸は、スペインやギリシャ、イタリアと並んで、ドイツ人に人気の旅行先。ハワイに行きたがる日本人を彷彿させますね。
本題に戻って、ドイツの不動産事情。昨日、デュッセルドルフ周辺のデュイスブルク(Duisburg)、ゲルゼンキルヘン(Gelsenkirchen)、ヴッパタール(Wuppertal)の各都市で、収益不動産を7〜8ほど、視察しました。

この辺の土地勘がない方も多いと思うので、説明しますね。

 

* 州都デュッセルドルフ、最大都市ケルンを中心に、エッセン、ドルトムントなど中堅工業都市が多数連なるノルトラインヴェストファーレン(NRW)州は、ドイツ最大の人口密集地域で、ドイツ全体の20%以上、人口1800万人が暮らす大都市圏。
* とはいえ、中堅都市の集合体なので、東京みたいな密集感はない。あえて日本にたとえれば、静岡市と浜松市、豊橋市、岡崎市、豊田市が、20km毎に隣り合ってる感じかな。

 

* それぞれの都市は、鉄道、高速道路(アウトバーン)によって効率的に結ばれている。大きめの都市には地下鉄があり、中堅都市にはそれぞれ市電やモノレールがある。
* 基本的にクルマ社会で、通勤通学客の都市間移動が多い。例えばエッセンに住んでデュッセルドルフに通勤する人は多いし、その逆パターンもある。

 

都市と都市の間には農村地帯や森林も広がる

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環境の優れた美しい都市ヴッパタール、名物は逆さ吊りモノレール

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デュッセルドルフ旧市街の洗練された都市景観

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各都市間は密な鉄道網で結ばれ、利便性が高い

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NRW州はドイツのなかでは、比較的繁華で産業基盤が強い地域といえますが、州内にはバラエティ豊かな都市が連なり、土地柄も様々。デュッセルドルフなどホワイトカラーの高給取りが多い、洗練された近代都市もありますし、山と緑に囲まれ落ち着いた住環境を誇るヴッパタールもあれば、またデュイスブルクやゲルゼンキルヘンのように、工業都市的性格が強く中近東、東欧系住民が多いエリアもあります。

不動産の売買や賃貸価格でいうと、デュッセルドルフはミュンヘンやフランクフルトと並び、国内で最も高い部類に入りますが、そこから30km弱離れたデュイスブルクに行くと面積あたりの家賃が半分、売買価格が3分の1以下の世界。つまり、賃貸利回りはデュッセルドルフを出て周辺都市に行った方が高くなります。

ドイツ都市部のグロス賃貸利回りは3~7%と、先進国の平均的レベルですが、デュイスブルク、ゲルゼンキルヘン等、NRW州内の工業都市だと7~12%が当たり前になります。

 

嬉しいことに、ドイツは日本と違って、「利回りの高さ」=「空室リスクの高さ」とはなりにくい。特にNRW州は各都市に産業や雇用機会がある上に、住宅需要に対して供給が不足しているので、空室リスクが低い。人口増加率は高くないですが、環境景観規制が厳しく、旧い建物を壊したり新築住宅を建てるのが難しいのです。

またドイツ人の国民性として住宅保有意欲が概して低い。一生賃貸で良いと考える者も多く、国全体の賃貸比率が約60%(持ち家率が40%)というのも、空室率の低さに拍車をかけています。私が信頼する現地管理会社は、「管理物件200戸ほどあるが、1ヶ月以上空く住宅はほぼない」と言ってました。

またドイツ政府も、賃貸志向の強い国民が安心して暮らせるように、強い入居者保護政策を実施しています。たとえば、
「ドイツの賃貸借契約には期限が定められていない。入居者は家賃滞納等の問題を起こさない限りずっと住み続けられる」

「家主は3年間で賃料を15%以上上げてはいけない、また家賃値上げには相当の理由が必要になる」

「自分が住む場合を除き、入居者を追い出してはならない」
賃貸志向の強さと、賃借人保護の制度ゆえ、ドイツの不動産価格は周辺諸国と比べて上がり幅が緩やかになる傾向があります。マーケット特性としては、キャピタルゲインは狙いにくいが賃料収入が安定しやすい。日本に近い状態ですね。

前述の現地管理会社は、NRW州内で「年間の値上がり率2%」+「ネット利回り7〜8%」の収益物件を販売しています。これで空室や家賃下落の問題がないのなら、投資物件としてかなり良いですね。

安いものは300万円台からあるので、試しにひとつ買ってみようかな。

 

なお、今回のドイツ訪問、きっかけをつくってくれたのが、先月末、北京での不動産展に出展していたドイツ不動産会社BMG Invest社の中国人社員(女性、ドイツ在住)。

彼女は私に、「物件は良いのに、中国人にはなかなか売れないのよ」とこぼしていました。なぜなら、

 

– 中国人は移民を希望する者が多いが、ドイツは欧州のなかでも移民ビザが取りにくいことで有名。

– 中国人はキャピタルゲイン志向が強く、5年間で2倍の値上がりを期待したりするが、ドイツの状況から考えて、それは到底望めない

 

逆にいうと、賃貸収入をコツコツ稼ぐタイプが多い日本人大家にとって、ドイツ不動産は向くのではないでしょうか。

また、日本人は海外移民したい人が少ないから、ドイツの移民ビザ規制が厳しくてもデメリットにはなりませんし。

 

住宅供給不足で空室問題がなくて、家賃や不動産価値の下落リスクもほぼない。それでネット7%以上で回って、家賃はユーロで入金。しかもグロスの取得金額が低いのであれば…これが日本人に売れない理由はないと思うのです。

ドイツの場合、購入時の諸費用は高めですけど(約10%)、長期投資するならそれを補って余りあるメリットがありますね。

 

最後に、今回視察した物件をいくつか紹介します。

一棟アパート約3300万円、4階建て、ネット7.8%、6室満室賃貸中、改修したばかり

区分マンション一室約350万円、4階建の2階部分わネット8.5%、賃貸ついたばかり

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オーストラリア融資付けピンチ!

こんばんはManachanです。

今回の日記、テーマは「オーストラリアで融資ひいて不動産買うはずだったのに、突然、銀行から梯子を外された話」。主人公は私です。一体何が起こったのか?

ここ一か月の出来事は、私にとって、まさに不条理極まりない話で、思い出すだけで、心の奥底から「どす黒い怒り」がドロドロこみあげてくる程です。

とはいえ、オーストラリアの不動産でこれまで美味しい思いもさせていただきましたので、極力感情的にならず、フェアでバランスの良い書き方を心掛けたいと思います。

これまで起こったことを、箇条書きにします。

【期待に胸を高鳴らせていた頃】(~2016年3月)

☆私はオーストラリア永住権保持者で、妻はオーストラリア国籍です。

☆私と妻は2002年より、オーストラリア・シドニーに不動産を所有。購入当時に比べて評価額も約2倍になり、現在、大きな空き担保があります。

☆その空き担保を使ってファイナンスする想定で、ブリスベン西郊の新興住宅地に建設予定の戸建(予約販売)を、夫婦共同名義で、2015年8月中旬に購入申込をしました。

☆15年8月下旬、得意先の銀行(10年前から付き合いのあった、4大銀行の一つ)より、3か月有効の融資内諾を得ました。

☆15年9月、翌年1~2月の完成時に決済する想定で、売買契約(土地・建物込の単一の契約)にサインしました。
 

【突然、状況が暗転】(2016年4月~9月)

☆年が明けた後、建設会社・売主であるD社に財務的な問題が起こったことを知りました。

☆D社は2016年7月、建築を断念し、建物部分のビジネスをB社に売却。その結果、売買契約も二つに分割され、D社が売主となる土地売買契約、B社が売主となる建物売買契約の、二つに分割されました。

☆話は前後しますが、16年4月頃から、ターンブル首相は、同国の不動産バブル防止策として、外国人向けの不動産融資を大幅に制限する政策を打ち出しました。

☆その直後、預金額シェアの約9割を握る4大銀行が、「外国人購入者に対する融資を事実上ストップ」し、各州が「外国人購入者に対する印紙税追徴金の大幅値上げ」を行いました。

☆16年9月、土地部分と建物部分の契約書が完成しましたが、その時点ですでに、融資が非常に厳しい状況になっていました。
 

この辺から、私の「感情」が入ってきます。もう仕方ありません。

【まじかよ!憤る毎日】(2016年9月末~ )

☆私はオーストラリア永住権保持者ですが、外国籍(日本パスポート)という理由で、10月1日以降の契約だと印紙税追徴金がかかってしまうと聞き、9月末、急いで契約書にサインしました。

☆契約書は融資特約付で、融資承認期限が10月20日、解除期限が21日となっています。

☆まず得意先の銀行に融資を打診しましたが、外国人向けの融資は無理だと、二言目で断られました(昨年、お前らが融資内諾出したのに、その豹変ぶり何だよ!)。

☆私ではなく、オーストラリア籍の妻を前面に立てて、所有不動産の担保価値を強調して再度申請しましたが、私が自営業主という理由で、断られました(自営の場合、どんなに申告所得高くてもゼロ査定するようです>‗<)

☆外資銀行のひとつ、C行が外国人向けの融資を辛うじて行っていますが、「土地・建物セットの建売契約」なら融資出すけど、「土地」と「建物」別個の契約だと無理との回答(別々の契約になったのは俺のせいじゃないのに…)

☆10月20日のデッドラインに向け、いま、3名のローンコンサルタントを使って、ノンバンクも含めて、大急ぎで融資申請出しまくっています。

☆昨日、ノンバンクの「つなぎ融資」内諾が出る見込みとの話が来ました。ただカードローンみたいな金利で負担が重いので、土地・建物が揃った時点でC行の融資に鞍替えできるかどうか、諸条件確認中。

なお数字だけみれば、常識的に考えて、融資に全く問題ないはずです。私が机上で計算したところ、

融資/担保比率42% (自己資金比率58%)
返済/収入比率15%

申し分ない数字のはずですが、私の日本での収入・所得が、自営だという理由でゼロ査定されてしまうと、残るはオーストラリア国内の家賃収入しかなく、その場合、返済/収入比率が50%近くなり、審査を通すのが厳しいのでしょう(そんな無理な条件で、一体誰が審査通るんだよ!)

つまり、融資審査の問題というより、オーストラリアの銀行が外国人向け融資を制限する国策のなかで決めたルールの問題(欠陥)だと私は思っています。

なお、苦労しているのは私だけではありません。私と同時期に、同じ地区の戸建やタウンハウスを買った日本人の仲間も、皆、突然の梯子外しに悩んでいます。

私は、彼らの融資づけを助け、物件を無事買えるようにするという、業者的な動きもしています(実際そうしないと、回りませんし・・)

それで何人かの仲間が、日本国内の融資をひいて何とか買えることになりました。それは大変喜ばしいことですが、肝心な私の融資が通るかどうか分からないのが今の状態。歯がゆい…

ま、物件自体はとても良いので、最悪、ノンバンクのつなぎ融資経由であっても買う気でいますけど、10月20日の時点で、総合的に判断して、決めようと思っています。

私が思ったことを、正直に書きます。

☆オーストラリアは、もう、変わってしまった。以前と違う、外国人投資家を排除する国になってしまった。
 
☆私はオーストラリアの永住権保持者なのに、外国人扱いされて印紙税の課徴金とられる…そんな国は、悲しい。

☆融資審査において、自営だという理由で機械的に排除される、そんな思考停止する金融機関とは、付き合いたくない!

ですが、今のオーストラリアがこうなった背景も、理解しなくてはなりません。中国人をはじめとする外国人投資家や移住者が、シドニーやメルボルン等、大都市の不動産を買いまくって、不動産価格が何十%も高騰。現地住民の多くが家を買えなくなった…

そこで、国民の人気取りも兼ねて、現首相が、「現地住民には思い切り補助して家買いやすくする」、「その代わり外国人、外国在住者には買わせないようにする」趣旨の政策を打ち出してきた。その余波を私はいま、モロに受けているわけですが、

見方を換えれば、ここ数年外国人の爆買いがあったおかげで、私が以前買ってたシドニー物件の担保価値が思い切り上がったわけです。それを使って、あわよくば2戸目、3戸目・・・と増やしていくはずだったのですが、そうは問屋がおろさなかったわけですね。

金融機関の担当者は、上層部がダメダメ言うなかでも、一生懸命、知恵をしぼってサポートしてくれています。国のトップがこんな政策をやると、外国人相手の融資商売ができなくなるので、銀行の現場ではターンブル政権が不評だとの話もききます。来年、再来年頃には、もっとまともな状態に戻って欲しいものです。

海外不動産投資は、特に融資をひいて行う場合、その国の金融政策の影響をモロに受けます。外国人や非居住者というのは一番立場が弱いですので、これはリスクとして認識しなければなりません。

オーストラリアを含め、先進国の場合は、物件価格が安くないし、都市部ではグロス利回り5%いけばいい方、その代わり、人口増えて住宅供給不足が続くし、築年数経っても価値が毀損しないので、物件価値が底堅く上がっていく・・・そんなマーケットなので、やはり融資を使って資産を増やすのが合理的です。

とはいえ、今のオーストラリアみたいに、外国人に厳しい融資環境になってしまうと、資産を殖やしていくのも難しいし時間がかかるので、カナダはじめ、他の国への転戦も同時並行で取り組む必要性を痛感しています。

とはいえ、10月20日までは、融資づけ・物件取得に向けてベストを尽くします。こういうチャレンジを一つ一つ克服して、各局面で継続・撤退の条件を考えつつ、その時々でベストな判断をしていく。経験値を積み重ねて、グローバルで洗練された投資家になっていきたいと思います。
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海外不動産は、新興国vs先進国どっちがいい?

おはようございます。Manachanです。

海外不動産における私のビジネスパートナー、市川隆久氏による有料セミナー「海外不動産投資成功塾」が東京・半蔵門で行われていますが、次回勉強会のテーマ面白いですね。

 

第五回 10月07日(金)19:00~21:00「新興国VS先進国・徹底解説」

 

1回5000円しますが、非常に中身が濃くて実践的、洞察も深い。しかも市川氏は私と一緒に毎月、世界中回ってるので情報も新鮮。興味ある方にとっては、参加費以上の価値は確実にあると思います。

今回は、海外不動産投資における「新興国と先進国の違いやポイント」について、私の思うところを、ガッツリ本音トークいたします。

 

不動産は、言うまでもなく「個別論」の世界。同じ国、同じ都市、同じストリート上に、それぞれ全く違う築年、間取り、広さ、管理状態の物件が存在しますし、投資の効果も個々の物件スペックや運営方針次第。ですので基本的には「ミクロ」の視点で、個別に見極めできないと話になりません。

同時に、「マクロ」の視点も必要です。たとえばの話、上述の国・都市に、賃貸需要および売買需要がどれくらいあって、どの程度の価格、伸び率が期待できるのか?それを支える客観的条件(人口、産業、給与水準、空室率、法制度や商慣習…)は何なのか等々。

つまり、不動産投資は国を問わず、マクロとミクロ、両方みなければなりません。「先進国vs新興国どっち?」の議論は、言うまでもなく「マクロ論」が中心で、その観点から両者の特徴をいうと、

 

・先進国は、国民の平均所得が年間3万ドル以上の国がほとんどで、日本より給与水準や物価が高い国もたくさんある。一方で新興国は、平均所得水準が年間1千ドル~1万5千ドルと先進国より低く、かつ国・都市によってばらつきが大きい(例.同じASEAN新興国でも、マレーシアとカンボジアでは10倍程度の格差がある)。

・先進国では、平均的な賃金・物価水準が高いため、都心、郊外、地方を問わず、一般ピープルが日本と同程度かそれ以上の家賃を払えることが多い。一方新興国は、都市部の高価な物件になるほど、財力が低い一般ピープルを入居ターゲットにできず、外国人や一部の富裕層をターゲットにせざるを得ない面がある。

・今後の成長期待は、概して新興国の方が高い。先進国の多くは、移民流入が期待できる一部の新大陸国家を除けば、高齢化して人口の伸びも経済成長率も低い。一方で、新興国は人口も若く、現時点での所得水準が低いため「伸びしろ」も大きい。

 

ですので、「賃料と安定感の先進国」vs「成長期待の新興国」。それが一般的なマクロの理解になるわけです、が、ここで気を付けなければならないのが、「不動産であるがゆえにミクロ、個別論の世界」も併存していることです。この領域になるとどうしても、新興国不動産に対して厳しいことを言わざるを得なくなりますが、ハッキリ言います。

 

1)いま日本で売られている新興国物件が、現地の物価水準や賃貸・売買相場に対して割高になってないどうか、検証が必要。

いくら新興国の成長期待が大きいとはいっても、不動産には地域の相場というものがあります。それに比べて「高値掴み」をしてしまったら値上がり益を得るのは難しく、モトを取るまでに長い時間がかかります。

 

相場より割高な新興国物件が日本で紹介されやすい理由は、いくつかあります。

・平均的な所得水準や賃料水準がまだ低く、かつ賃貸、売買、管理もシステマティックになっておらず手間もかかるし、ローカル言語の能力も必要。だから、日本人業者が「一般ピープルをターゲットとする物件」を薄利多売しても商売として成り立たない。

・新興国は経済成長中で、デベロッパーも概して強気。「値段上げられるはず、上げても売れるはず」と信じ込んでいるから(というより彼らは、不動産価格が下がる局面を経験したことがないから)、分譲第一期、第二期…と進むほど、どんどん売出価格を上げてくる。その結果、市場価格と乖離してしまうリスクが高まる。

・売買・賃貸価格の客観的データも、新興国ではまだ整備途上なので、「実際、いくらで貸せるか?売れるか?」を、妥当性をもって判断する材料に乏しい。

(追伸…新興国主要都市では、CBREやSavills等、英語圏調査会社のデータはあるものの、多くの場合、調査対象が都心部の一部優良物件に限られ、そういう物件はすでに良い値段するので、日本で実際に売られている物件とはランクも収益性がそもそも違うことも少なくありません。)

 

もう一つの大事な論点は、

2)新興国の成長期待をおカネにしたい場合、実物不動産保有という手段が果たしてベストなのか、検証する必要もある。

成長期待の大きい新興国の投資でお金をつくるには、いろいろな方法があります。たとえば、

・ETFを買う

・国債や州債を買う

・代表的な大手企業の株式や社債を買

上記ような投資手法を「マクロベット」(Macro Bet)と呼びます。紆余曲折はあるものの、マクロでみて、その国が将来に向けて発展していく方に賭ける(Bet)上で、比較的確実性の高い投資方法といえるでしょう。

 

ここで、私の根源的な疑問は、新興国の成長期待に投資してお金を増やしたいなら、単純にマクロベットすればいいじゃん?そういう手段があるなかで、個別不動産を買う意味って一体何なんだろう?

たとえばの話、フィリピンでアヤラ(Ayala)という、日本を含むアジアで最古の歴史を持つスペイン系財閥があります。そのアヤラ財閥構成企業の一つ「アヤラランド」(Ayala Land)が、同国最大のデベロッパーで、かつダントツのブランド価値を持ちます。日本でいう「三菱地所」や「三井不動産」を彷彿させますが、フィリピンにおいての重要性はそれ以上でしょう。なにしろ首都マニラの都心そのもの(マカティやBGC)をデザインしてつくってしまう会社ですから…

そのアヤラランドが公開している、2015年のAnnual Reportをみると、全部53のプロジェクトを手掛け、1200億ペソ(邦貨換算2520億円)の売上があったようです。1戸あたりの平均が1000万円と仮定すれば、単純計算で25200戸を供給していることなります。

http://ir.ayalaland.com.ph/uploads/files/ALI%202015%20Annual%20Report.pdf

 

アヤラグループは住居系だけでなく、ホテル・リゾート、オフィス、商業モールなど幅広く手掛けています。そして、同社は毎年のように社債を数百億ペソ発行し、額面の利子率4~5%前後で売り出しています。

http://www.philstar.com/business/2016/07/08/1600535/ayala-corp-raises-p10-b-bond-issue

 

フィリピンや、アヤラランドの将来性について、私の考えはポジティブ。前途は明るいと思います。ここで投資家に問われてくるのは、目的と手段のバランス。

・年間何万戸供給しているリーディング企業の株式や債券を買うべきなのか?

・年間何万戸供給している中の1つを区分所有すべきなのか?

 

後者の場合、我々不動産投資家の「見極め」の領域になってきますが、新興国の区分所有は、前述したように客観的な賃貸・売買データが乏しい上、業界もシステマティックになってない分、運営の難易度が高い面がある。そして、一気に何百、何千戸供給されるから、ライバルも多い。

区分所有する場合、アヤラの平均パフォーマンスより上振れることも、下振れすることもあり、その振れ幅は大きいとみるべきでしょう。

 

その覚悟を持って、「長い目でフィリピンの成長に付き合う」ことのできる投資家とか、将来、自分で住む想定があるとか、エアビー等を使って工夫した運営をする投資家であれば、新興国の区分所有は心からおすすめできます

そうでなくて、単純に新興国の成長に乗ってお金を増やしたいというニーズであるなら、他の投資手段も併せて検討することをおすすめします。それをやった上で、個別不動産が良いということになれば、やればよい。

 

あと、日本の賃貸経営スタイルに似たノリで、賃料を得ていきたいという投資家なら、先進国の不動産を優先的に検討した方が良いと思います。先進国はとにかく賃貸・売買データが豊富、都市部では賃貸市場もしっかりしている。個別の戸建やマンションで「利回り5%」と公称される物件なら、上振れ、下振れしてもだいたい4~6%くらいにおさまるでしょう。要は投資指標が読みやすいし、ほぼ読み通りの数字が実現しやすい。

日本の新築ワンルーム投資だって、利回り低すぎて私はやりませんけど、それでも、「業者の示す想定賃料が大体そのまま実現する」という意味では先進国型だと思います。

 

でも新興国で同じことをやると、(バンコクBTSスクンビット沿線「オンヌットより都心寄りの駅近」みたいな鉄板な場所は別として)一般論として上振れも下振れも大きくなるので、確実に賃料収入を得ていきたい人には不向きかと思います。

むしろ、積極的に上振れチャンスを取りにいく方が面白いでしょうね。想定以上の上振れもありうるのが、新興国不動産の楽しさでもありますから。販売業者も、「国が成長しているから、この物件買ったら確実に値上がります」みたいなマクロなトークより、「この物件は、こういう理由で特殊ニーズを持つ人々に選ばれる、想定以上の利回りや転売益も期待できるかも」みたいなミクロなトークをした方が説得力あると思いますよ。

 

これを踏まえた上で、市川さんの「海外不動産投資塾」聞くと、十倍楽しめると思います。さあ行ってみよう!

第五回 10月07日(金)19:00~21:00「新興国VS先進国・徹底解説」

 

 

また、私が主宰する「アジア太平洋大家の会」でも、最近のビデオ対談で「先進国VS新興国の不動産投資」について語ってますので、興味あればこちらもご覧ください。

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海外不動産業界をまともにする!IPC東京始動(10/20)

こんばんは、Manachanです。

2011年2月に、海外不動産コミュニティ「アジア太平洋大家の会」を旗揚げしてから、5年半以上の歳月が経ちました。「海外の不動産に特化する投資家・大家の会」という極めてユニークな立ち位置で、これまで世界15か国・地域、200以上の不動産セミナーを日本各地で企画・開催してきました。

旗揚げのタイミング良く、社会的ニーズに乗れた面があったのでしょうね。今では2200名以上の会員と、東京、名古屋、大阪、福岡の4拠点を設けて定期的に活動するまでになりました。

 

でも5年半やってきて、不動産投資の世界ではそれなりに認知される存在になっても、海外不動産投資の世界は限りなく奥深い。日本の社会で、人々が海の向こうの不動産を買って資産形成する歴史もまだ浅く、それを支える業界も未成熟。世界で広く知られていても日本では紹介されていない優良投資案件も未だに多数ある。

海外不動産の情報普及と、投資手法の開発を提唱し続けてきた私たちの活動は、「まだまだこれから」だと思っています。

 

私思うに、海外不動産投資に関わる仕事は、本来、極めて高度な専門知識を必要とするプロフェッショナルであるべきです。だって不動産や投資が分かって、税務や法務、ファイナンスも分かって、かつ外国語能力も必要なんですから…優秀な人間が高給を目指して参入すべき仕事だと思いませんか?

また、優秀な業界人が切磋琢磨して、良いサービスや情報を日本の投資家に与えられるようになった方が、結果的に、皆様がより大きな投資利益を手にすることにつながると思います。

 

私は先週ずっと、中国・北京の不動産展に行ってました。そこで改めて、当地の海外不動産情報の豊富さ、人材の層の厚さを実感しました。もちろん、中国なりにいろんな問題はあります。でも、潤沢な中国人マネーを目指して、世界五大陸から不動産デベロッパーと販売会社が北京に参集する情景は圧巻でした。日本では、東京でさえ、ここまで豊富な情報が一同に集まる場は皆無でしょう。たとえばの話、

・スロヴェニアの不動産投資案件

・キプロスの不動産投資案件

・カリブ海のドミニカ、セントルシア、グレナダの不動産投資案件

…みたいな情報が、いま日本のどこでで入手できますか?

 

もっとメジャーな国、たとえばドイツ、イタリア、スペインあたりの西欧諸国にしたって、日本でやってる販売業者はまだ少ないですが、中国にはたくさんあるし、業者間の競争もあって選択肢が豊富。たとえば、

・スペイン・バルセロナの「ガウディ」1㎞圏内に特化した業者

・ドイツのノルトラインヴェストファーレン州の利回り10%以上の収益物件に特化した業者

・オーストリア・ウィーン圏に特化した業者

・ポルトガル・リスボン圏に特化した業者

…そんな業者が、日本にいくつありますか?

 

特に、あの「ガウディ」が見える物件だったら欲しい人、日本でも大勢いるはずだから、そういうニーズを開拓する業者が日本にもっと居てもいいと思うし、今なら参入のチャンスだと思いますが、まだ少ない…日本人にとって海外移住も、不動産投資も、中国人に比べたらまだまだ歴史が浅いんですよね。

情報の「質」の面でいっても、中国で得られる情報量がとにかく多い分、世界中の良質な投資案件情報が日本よりずっと豊富にあると感じました。

 

まだまだ未成熟で、逆にいえば伸びしろの大きい日本の海外不動産投資。私はこれから、どういう方向で、貢献していきたいのか?

 

1)投資家が、海外不動産を検討する上で欠かせない「情報」をきちんと整備したい。

2)海外不動産業界を支える、プロフェッショナルをもっと多く「育成」たい。

3)彼らがプロフェッショナルにふさわしい収入を得るために、世界中の良質な投資案件を「仕入れ」たい。

 
「情報」、「人材育成」、「物件仕入れ」の課題、これを組織的に解決していきたい。その一念で、私も発起人の一人として「IPC東京」という組織を立ち上げました。
 
IPC  = International Property Consultants
 

IPC東京は、次の3つの機能を果たす、B to Bのサポート組織です。創立者3名が、それぞれの機能で責任者になります。

「人材育成」営業指導部門:市川隆久氏

「仕入れ」対外交渉部門:小川和彦氏

「調査」部門:私

ipcfounders 

 

我々が、組織として機能することにより、日本の海外不動産投資に関わる人材が、

 

「世界中の優良投資案件を仕入れて」、

「しっかりしたリサーチ、レポートの裏付けをもって」

「顧客との適切なコミュニケーションを通じて、投資を成功に導く」

 

それによって、業界が健全に育ち、担い手もプロフェッショナルとして十分な報酬機会を得ることができる。私はせこのフォーマットを、近い将来、日本の業界標準にしたいと思っています。

 

まず手始めに、IPC東京の初セミナーを、東京・半蔵門で開催することになりました。第一期メンバー募集と、英国マンチェスターの優良投資案件の説明会を兼ねて行います。

法人の方、個人の方、参加大歓迎です。

 

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「IPC発足記念、英国投資案件説明会」

日時:2016年10月20日(木) 18~21時

場所:東京・半蔵門 (申込後にアナウンスします)

参加費:3000円/1名

申込方法:info@ipc.tokyo までメール願います。

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ipctokyo1020ipcukseminar1020

 

最後になりますが、日本の海外不動産業界を、「もっと賢く、正しく、豊かに」していくため、これからも尽力していきたいと思います。

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中国不動産バブルが破裂しない理由

こんにちはManachanです。6泊7日に及んだ、実り多い中国・北京出張から帰国しました。北京での不満はネット接続と空気の悪さだけで、それ以外は快適。メシは旨いし、タクシー安くて便利だし、ホテルもコスパ良いし…何より、仲間に恵まれましたね。北京不動産展に一緒に参加した業者様の人柄が素晴らしく、最初から最後まで楽しい滞在でした。

今回の滞在期間のうち、まる1日を、北京不動産視察にあてました。インバウンド(=中国人に日本の不動産を販売)ビジネスをやる上で、北京の人たちが、どんな住環境で暮らしているのか?不動産価格や利回りはどれ位か?彼らが何を求めて日本不動産を買うのか?…それを肌感覚でつかみたいと思ったからです。

一言でいうと、「北京不動産の余りの高さに絶叫!」でしたね。

北京市内で4か所、区分のマンション・アパートを視察したけど、1億円以下の物件が一つもない!そして、中古物件は建物がボロすぎ!管理悪すぎ!昼間なのに内廊下は暗くて電灯欲しい位だし、外壁剥がれてても補修しないし、ゴミや埃がそこら中に散乱、築15年しか経過してない家が日本の築40年相当に見えましたよ…

しかも北京の人って、家を賃貸に出す時はきれいに内装するのに、売りに出す時は何もしないのも驚きでしたね。中古だと台所直してない、風呂場直してない、日本でいう「廃墟チックな激安戸建」みたいなスペックで売りに出すのに、値段は1億円以上するんです!

極めつけは、「3LDKに2段ベッド並べて、男性20名を泊まらせてる簡易宿舎を、売り物件としてそのまま見せられた」こと。別にどんな運営してもオーナーの勝手だけど、「1億5000千万の物件売るのにタコ部屋をみせる!」。その神経が、どうしても理解に苦しみます。

ま、中古をリフォームして高く売るという発想が、北京にはまだないんでしょうね。買った人が金かけて、自分の好きなようにリフォームするのが当たり前のマーケットなのでしょう。日本不動産を扱う業者の視点からみると、「こんなにボロくて汚くて、しかもタコ部屋なのに1億円以上でガンガン売れて、手数料とれるのなら美味しい商売」だと思いましたね。

北京市内は高すぎるけど、郊外に行けば安く買えるのかなと思い、市内から東30kmほど離れた「通州」という街でも物件視察しました。ここは北京の副都心として整備中、市内直通の鉄道も通る「さいたま大宮チック」な場所です。でも物件価格は大宮よりずっと高く、2部屋だと軒並み5000万円以上の世界…いま北京で家買うのは、本当に大変ですね。

北京で長年働く外国人はたくさんいるけど、友人に聞いたところ、最近、外国人で北京の物件買った人は「聞いたことない」とのこと。そりゃ、高すぎるもんねえ。

北京だけ見ていると、不動産バブルが今にも破裂するのではないか、物件価格が暴落するのではないかと言う人もいます。確かに、いま北京の北2~4環、東2~4環あたりの新築単価は、使用面積で換算すると坪700~800万円(六本木、銀座、番町の一等地相当)か、それ以上の1000万円クラス(ロンドン都心に近い価格)も出てきてますので、これ以上、値上がることは想像しにくい。しかも北京の生活物価は、タクシー初乗り200円、地下鉄60円、ビジネスランチ300円位と安く、収入水準も大卒初任給が7万円、人気料理店の店員が月給4~6万円位の世界なので、余計、不動産価格とのアンバランスが目立ちます。若い世代や、サラリーマンとかで買うのは無理でしょうねえ。

でも、そこは日本の比ではない巨大国家のこと。地方都市や農村にも目配りしないと、全貌は見えてきませんし、なぜ北京上海の不動産価格が今のレベルまで上がったのかという説明もつきません。

不動産マーケット・投資の視点で、いま中国で注目に値するのが、「二線都市」だと私は思っています。

「二線都市」とは何か?「省都」か「省都相当」の経済規模を持つ、都市圏人口300~500万クラスの地方中核都市のことです。日本でいうと、相対的なポジションは「札仙広福」ですが、人口規模は「名古屋」位あるような都市。広い中国には、二線都市が31もあります。「地方大都市」と言って良いでしょう。

中国の都市ランク

一線都市    北上広深(北京、上海、広州、深圳)+ 天津
————————————-
二線都市・上位 8都市 (杭州、南京、済南、重慶、青島、大連、寧波、厦門)
————————————-
二線都市・中位 16都市 (成都、武漢、ハルビン、瀋陽、西安、長春、長沙、福州、鄭州、石家荘、蘇州、佛山、東莞、無錫、煙台、太原)
————————————-
二線都市・下位 7都市 (合肥、南昌、南寧、昆明、温州、淄博、唐山)
————————————-
三線都市     極めて多数

二線都市の上位、中位なら、日本でもそれなりに知名度あるかと思います。中国には全部で22の省がありますが、通常は省に1つ(大きな省なら2~3の)二線都市があります。その二線都市のなかで、上位、中位を中心とするいくつかの都市が、いま中国で最も、不動産価格上昇率が高くなっており、すでに上がりきった感のある北京・上海の投資家が、熱い視線を注いでいるのです。

いま中国で不動産価格の上がり幅が著しい5都市

1.厦門 (二線都市上位)
2.蘇州 (二線都市中位)
3.合肥 (二線都市下位)
4.鄭州 (二線都市中位)
5.武漢 (二線都市中位)

そういう街は、不動産価格のみならず、都市自体も勢いよく発展しています。中国は新興国とはいえ成熟しつつあるので、どの都市でも発展するわけではなく、各地方では「省都(=二線都市)一極集中」という集約現象も起こっています。

日本の福岡市や札幌市がそうであるように、二線都市が「周りの地域の人口・経済力を吸い上げて、北京上海より速いスピードで成長する」現象も起こっているのです。

私思うに、「新幹線駅があり、北京や上海や広州に直通できる二線都市」は、不動産投資視点で注目すべきだと思います。たとえば、中国の大動脈ともいえる北京~広州間は約2200㎞、新幹線で9時間の距離ですが、その間に、4つの二線都市が存在します。

(北京)
 ↕
石家荘 (二線都市中位、河北省の省都)
 ↕
鄭州  (二線都市中位、河南省の省都)
 ↕
武漢  (二線都市中位、湖北省の省都)
 ↕
長沙  (二線都市中位、湖南省の省都)
 ↕
(広州)

また、上海から西の内陸へ向かう新幹線上にも、3つの二線都市が存在します。

(上海)

南京 (二線都市上位、江蘇省の省都)

鄭州 (二線都市中位、河南省の省都)

西安 (二線都市中位、陝西省の省都)

こうした二線級都市の不動産価格は、北京上海からみれば「4~5分の1」とかのレベルで、まさに別世界。たとえば、北京市の住宅平均価格が48,847元/平米ですが、新幹線で一時間足らずの石家荘市の価格は平均9,944元、鄭州市も11,464元。そして、かつての北京上海がそうであったように、価格の上昇スピードが速い。

特に鄭州は、南北(北京~広州)と東西(上海~西安)の国土軸が交差する「中国の交通の要衝」なので、そこの物件がまだ安く買えるならば仕込んでおく価値はあると思います。

また、中国全体をみると発展がいびつな上に、「周辺都市から二線級都市へ」、「二線級都市から北上広深へ」という、人・カネの流れが太く存在します。二線級都市の富裕層が北京上海の住宅を競って買うことで、今の超高価格が維持されている面もあり、実際に根強い実需があるからこそ、「ボロボロのタコ部屋でも北京なら1億5千万円で売れる」わけです。

そう考えると、いま二線級都市の資産価値が勢いよく上がっており、信用収縮どころか拡大している以上、北京や上海の不動産価格が暴落することは考えにくい。中国政府が極端な金融引き締めを行って不動産マーケットを人為的に壊すことでも起こらない限り、購買実需で支えられて不動産価格が維持・上昇を続けると考えます。

ファイナンスも結構充実してますしね。北京の不動産視察で見た限り、中古の住宅でも7~8割くらいの融資をひくのが当たり前のようでした。

でもって、中国のお国柄を考えると、共産党のガバナンスが効いている限り、政府が不動産マーケットを壊す可能性は低いと思います。また民意をみても、この国では「家を買えない人々のひがみ」はあっても、「家の資産価値が上がることを期待する人々の声」の方がずっと大きいでしょうから…
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