タイ不動産

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東南アジア不動産の放置プレイ問題に思う

こんにちはManachanです。今回は海外不動産、特に「東南アジアのプレビルド(青田買い)物件」に関して、かなり辛口の意見を書きます。

先日、マレーシアの不動産で困ってる友人(物件オーナー)の相談に乗りました。マレーシア、タイ、フィリピン、カンボジア…東南アジア不動産購入後の問題で私が相談に乗った回数はすでに1ダースを超えました。

私を頼ってきた十数名の相談者が困惑し、憤っているポイントは、ほぼ共通しています。

『まだ完成前なのに、販売業者がろくにサポートしてくれない!』

なぜ満足なサポートが受けられないのか?これは、「プレビルド物件販売」という商売の構造的な問題と関わっています。プレビルド(Pre build)とは、東南アジアなど新興国に多い不動産販売の形態で、まだ更地の(多くは建築許可も取れてない)段階で、数年後の完成・引き渡しを条件に、現地デベロッパーが客に「青田売り」する物件を指します。

プレビルド自体は新興国だけでなく、イギリス、カナダ、オーストラリアといった先進国にもあります(こちらはOff the planと呼ばれます)が、先進国での販売時期は通常、完成1~2年前であるのに対し、東南アジア等では完成3~5年前という早期から売り出されることが多いです。なぜなら、

・東南アジア新興国の金利水準は概して高い(調達金利10%/年以上も多い)。

・現地デベロッパーの工程管理スキルが乏しく、許認可面でも不透明さが多いため、工期が予定より半年~2年ほど遅れるのが当たり前。

・デベロッパーとしては、工期遅れで有利子負債を抱えるよりは、完成前のできるだけ早い段階で客に売って、資金回収したい。

・その販売インセンティブとして、完成前の段階で販売価格を徐々に値上げして、「早く買った方が得する」状態をつくって売る。

例えばの話、4年後の完成時に1000万フィリピン・ペソ(約2200万円)で売値を設定する物件なら、完成4年前に750万ペソ、3年半前に800万ペソ、3年前に850万ペソ…みたいに、徐々に売値を上げていくのです。

通常、この手の物件を一番早いタイミングで安く買えるのは、「デベロッパーの関係者・縁故者」。彼らは完成前に転売して利ざやを抜きます。次に地元のエージェントが扱う。時が経ち、販売ペースが鈍ってきたな~と思った頃に、日本人を含む外国の販売会社に声がかかります。日本の販売会社は、その値段に3%とかのサポート料を乗せて、日本でセミナーやって客に売るのです。

時系列でいうと、だいたい、こんな感じになります。

2013年  デベロッパーが現地国で販売開始。

2014年  日本の販売会社が日本でセミナーやって客に売り、サポート料を回収。

2017年  物件完成・引き渡し

ここで問題は、「販売会社の利益確定(サポート料回収)」と、「物件引き渡し」との間に、3年ものタイムラグがあることです。

販売会社からすれば、2014年の時点でサポート料を回収しちゃえば、とりあえず「一丁あがり、次の客に売ろうぜ」モードになる。その後、2015年、16年、17年と、忘れた頃に客から質問やリクエストが来ても、すでにお金を回収しているからやる気にならないし、売った責任上、時間かけて真面目に対応したところで、経営視点からはどうしても「金食い虫」に見えてしまう。

でも客の立場からすれば、2014年時点では「購入の権利を得る」だけの話で、不動産のかたちになるのは2017年。それに先立ち、不動産登記やら保険加入やら鍵受け渡しやら、いろんなメールや郵送物が英語で来るので、ここで、販売業者にしっかりサポートしてほしいわけですが、

すでにその時点で、販売業者はサポート業務を他社にアウトソースしたり、もっと儲かる国に「国替え」してたり、酷い場合は転業・廃業してたりするわけで、買った客が期待するようなサポートができなくなっている…

その結果、東南アジア各国で、満足なサポートを受けられず、放置プレイされた大量の完成物件が出る。オーナーは困惑し、私みたいな人間に助けを求めてくるのです。

私の意見…問題の本質は、「販売業者の利益確定タイミング」と「客がサポートを必要とするタイミング」が何年もずれていることにある。そのタイミングを一致させる方法を考えないと、業者と客がWin-Winの関係にならないし、海外不動産の評判も悪いままでマーケットが広がらない。

そこで、私は下記を提唱します。たとえば、今から3年後の2020年に完成予定の東南アジアのプレビルド物件を売る場合、

・2017年の販売時(売買契約サイン時)に、業者がサポート料の50%を回収

・2020年の引き渡し時に、業者がサポート料の50%を回収

こうすれば、売り側買い側、お互いにとってフェアだと思いますし、販売業者も長期的視点に立って客にサービスする経営姿勢になるでしょう。また、業者が引き渡し前にしっかりサポートして客の心をつかめば、人情として「次の物件買いたい」となるので、海外不動産のマーケットが健全に発展することにもつながると思います。いかがでしょう?

そもそも、「完成の数年前にサポート料とって後は知らん」みたいな業者は、不動産の仕事しているとは到底言えない。そんな業者が自然に淘汰されるような、真っ当な海外不動産マーケットをつくりたいです。

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資産を守る東南アジア投資、何それ?

おはようございます、Manachanです。

日本に海外不動産投資なる言葉がほとんど浸透していなかった2011年2月、私は東京で、「アジア太平洋大家の会」を旗揚げしました。奇しくも、その1ヶ月後に東日本大震災が起こり、計画停電や放射能騒ぎなど、いろいろゴタゴタがあって活動は2か月ほど休止。でも世の中が落ち着いてきた6、7月頃から、ものすごい勢いで会員数が増え、海外不動産セミナーを開催すれば、全く広告費かけずに30~50名は集客できる時代が来ました(あの頃は、我々のセミナー以外に選択肢が少なかったもんね…)

会を立ち上げて6年半になりますが、いま振り返っても、震災直後のあの頃ほど、「資産を外国に出したい」日本人富裕層の燃え盛る熱気を感じた時期は他にありません。

 

当時、隆盛を極めていた話が、「マレーシア不動産投資」でした。海外不動産で「旬」な国は、東南アジアの場合「マレーシア」→「タイ」→「フィリピン」→「カンボジア」→「ベトナム」と、目まぐるしく移り変わりましたが、2011~12年頃のマレーシア投資ブームは、その後のどの時代の、どの国の不動産ブームよりもはるかに凄かったです。

ジョホールバルの新築コンドミニアムが、2日間で600戸も日本で売れた」みたいな話があった位で、まるで中国人バイヤーを彷彿させる勢いがありました。あの頃は、1ドル=80円程度の超円高時代でしたら、それも大きな要因でしたね。

 

その頃、どんな宣伝文句で、日本人にマレーシア物件を薦めていたか…今振り返ると滑稽な話です。私、当時から違和感ばりばりでした。

 

【当時の典型的なセールスレター】

1)日本経済はほとんど成長しておらずデフレ状態が続いています。日本は少子高齢化が進み、労働人口が減る一方。いずれ日本の国債も破綻すると多くの経済学者も言っています。今の時代、日本円だけで貯蓄することは、安全な方法とは言えなくなっています。

2)そこで、日本円以外の外貨で資産を持つ事をお勧めします。単純に、日本円をアメリカドルなどに換えて、外貨として資産を持つのも良いでしょう。

3)ここでは、マレーシア不動産投資をお勧めしていますがマレーシアの不動産投資をするということは、外貨で資産を持つ事を意味します。

 

【私が感じたこと】

1)と2)は、分かります。要は、「資産を守りたい」。そのために、資産を各国・各通貨に分散させたいんですよね。それはセオリー通りの判断。

でも、なぜ3)なの?「資産を守る」という目的を達成する「手段」として、どうしてマレーシアの不動産を選ぶの?その選択のどこに妥当性があるの?

 

資産を守るために外貨に換える時、普通の人は、自国通貨より信用度が高い通貨を選びます。たとえば、ニュージーランドに住んでる友人は、NZドルが貯まると、すぐ豪ドルに換えてました。でもオーストラリア人が、手持ちの豪ドルをNZドルにせっせと換える…みたいな話は、聞いたことありません。

あと、世界中どこへ行っても米ドルはたいてい通用しますね。これはアメリカ人が旅行して金を落とすからというよりは、むしろ世界各国の人が、自国通貨を米ドルに換えたい根強いニーズがあるからです。資産保全の動機が強いのは言うまでもありません。

 

それを踏まえて、日本人が資産保全の目的で、日本円の他に持つべき通貨・資産は何なのかを冷静に考えた時、本命は「米ドル」になるはずです。対抗馬として「ユーロ」があり、資源国通貨「豪ドルかカナダドル」位は持っててもいいと思うけど…そこにいきなり、「マレーシア・リンギット」みたいな新興国通貨を持ってこられても、どうなんでしょうね?

マレーシア・リンギットは、マレーシア国内と、タイ深南部の一部都市でしか流通しません。日本に、リンギットをそのまま持ってきても、換金するのさえ難しいです。一方、日本円をマレーシアに持っていけば、どの銀行・両替商でも、かなり良いレートで換えてくれます。それが、現時点での円とリンギットの信用力・通用度の差といえます。

 

日本円の価値が今後どうなるか分からないとはいえ、現時点せっかく世界的な信用度の高い日本円の資産を持ち、かつそれを「守りたい」のに、業者に乗せられて、せっせと、マレーシアリンギットやタイバーツのリスク資産に換えるのって、賢明なんだろうか?

フェアにみて、マレーシアやタイは、現時点では、「経済成長の恩恵で将来大きく育つかもしれないリスクマネーを置く国」ではあっても、「資産を安全に守る国」とはいえないはずです。

あとそれ以前に、新興国では不動産市場が発展途上、取引データも未整備でガバナンスも弱い。建設の工期管理、完成後の賃貸管理、将来時点の売却…どれをとっても確度の高い予測が難しい。首尾よく上振れする可能性は否定しませんけど、常識的に考えて、新興国不動産は「資産を守る」手段としては選定されない投資対象だと思います。要は、「値上がり期待の投資」以外の何物でもない。

 

とはいえ、2011~12年頃は、「超円高」という、資産外出しに絶好のタイミングではありました。当時、思い切って外貨資産に換えて、いま、為替の利益でウハウハな人も少なくないでしょう。

そこで、当時、たくさんの日本人が不動産を買った、「マレーシア」、「フィリピン」、「タイ」の各通貨の対円レートがどう変わったか、みてみましょう。

 

1)マレーシア(通貨:リンギット)

2011年7月 26.89円
2012年7月 25.34円

現在(2017年7月) 26.08円

あまり為替でトクしてませんね。2013年以降に買っちゃった方は露骨に為替差損。

 

2)フィリピン(通貨:ペソ)

2011年7月 1.87円
2012年7月 1.91円

現在(2017年7月) 2.21円

地味に、じわじわ上がってきたので、2011~12年円高の時代に買ってればトクしたかも。

 

3)タイ(通貨:バーツ)

2011年7月 2.64円
2012年7月 2.54円

現在(2017年7月) 3.30円

ここ5~6年で、2割強、対円レートが上がっていました。2011~12年に買ってればよい選択でしたね。

 

でも、同じ期間中、対米ドルで比べると、マレーシア、フィリピン、タイ…いずれの通貨も価値を落としています。

1)マレーシア(通貨:リンギット)

2011年7月 0.332ドル
2012年7月 0.317ドル

現在(2017年7月) 0.233ドル

 

2)フィリピン(通貨:ペソ)

2011年7月 0.02317ドル
2012年7月 0.02398ドル

現在(2017年7月) 0.01986ドル

 

3)タイ(通貨:バーツ)

2011年7月 0.03266ドル
2012年7月 0.03173ドル

現在(2017年7月) 0.02944ドル

 

信用力の低い新興国通貨で資産を持つ唯一のメリットは、「将来、経済発展して上振れする可能性」位なんですが、米ドルに対するパフォーマンスをみると、これまで5~6年間は思わしくありませんでしたね。あと5年、10年後、どう変わっていくのかは分かりませんけど…

資産保全が主目的であるならば、円のほか、「主力は米ドル」を前提に、「お金に余裕があれば新興国資産を少々」程度で組む方が良いかと思います。

もっとも、マレーシアやタイが好き、行く用事がある、いざという時セカンドホームにしてもよい…という「実需」が念頭にある方や、「リスクを承知で、それでも東南アジアの成長に賭けて、大きく育てたい」と思う方は、その限りではありませんけどね。

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タイの不動産デベから返金を勝ち取る方法

こんばんは、Manachanです。今回のブログは、「タイ不動産」について情報共有いたします。

私はここ一週間、立て続けに、日本人の投資仲間から東南アジアの不動産トラブルの相談を受けました。国も見事に散らばってまして、

・6月5日、マレーシアの件で相談
・6月7日、タイの件で相談
・6月8日、フィリピンの件で相談

この3カ国に、カンボジアを加えた4カ国は、私が相談受ける件数でいえば不動のトップで、目下史上最強の「トラブル四天王」。それだけ大勢の日本人が不動産買ってて、そして、思い通りにいかない悩みも多いのでしょう。投資家コミュニティ「アジア太平洋大家の会」(APHOC)代表として、常に世界中に情報網を張り、トラブル対応力を高めていきたいものです。

 

このうちフィリピンに関しては、2015年10月に、「フィリピン物件の損切り法」というブログ記事を書き、同国のMaceda(マセダ)法、別名「不動産の割賦購入者保護法」に基づいて、購入をキャンセルして支払済金額の一部をデベロッパーから払い戻しを受ける方法についてお知らせしました。私の記事を読んで、フィリピン物件の損切りに成功(?)した方も、私が知るだけで5~6名います。

 

今回の日記は、「タイの不動産でトラブルがあった際に、デベロッパーから返金を受けられるかもしれない方法」について書きます。最初に結論からいうと、

タイの消費者保護センター(Consumer Protection Board)経由で陳情し、デベロッパーと調停の場を持ってもらう

これが私の知る限り、最も確度の高い方法のようです。これはタイ政府の役所で、バンコクの場合ドンムアン空港近くのチェンワッタナ通り沿い、イミグレーションと同じビルにあります。ホームページ(英語)はこちら

 

なお、この方法を使うには、いくつか前提条件があります。

・売買契約書(通常は英語)に定められた最終の期日を過ぎても物件引き渡しが行われない(あるいは、引き渡しされても登記できる状態になっていない)。

・上記は当然、デベロッパー側の違約になるので、購入者はこれまで支払った全額プラス利子の返却を受けたうえでキャンセルできる旨、契約書に明記されている。

・しかしデベロッパーがその責任を履行しようとしない。

 

その場合は、誰がみても、「契約書に書かれたことを守ろうとしない」デベロッパーの方が悪いですので、タイの「お上」として、何もしないわけにはいきません。タイの上場企業や、これから不動産事業を拡大しようとしている新興デベロッパーにとって、「消費者利益を蔑ろにする悪徳企業」としてお上に目をつけられたら今後の販売活動に支障を来たすので、その観点から相手が返金に応じる可能性は低くありません。

実際、この方法で返金を勝ち取った人が知り合いにいます。外国人だからといって臆することはありません。実際、サンシリのような超一流デべが日本での物件販売に乗り出すほど、日本人はタイ不動産業界にとって、大事なお客様になりつつあるので、タイ政府も日本人の評判はそれなりに気にするはずです。相手の不手際・不誠実で客として当然の利益が得られない場合は、この方法にチャレンジする価値は十分あると思います。

逆に、最も効果が出ない方法は、間に入ってる日本人業者に文句いったり、日本での裁判に訴えることでしょうね。彼らをつついても大抵何も出てこないし、詐欺で立件しようにも、自己責任が原則の不動産投資において、詐欺を立証するのは至難の業。万が一民事で勝訴しても、お金が返ってくる保証はありません。そもそもタイにある物件なんですから、「タイ国内で、タイ企業を相手に、タイの政府機関を通じて抗議する」のが王道でしょうね。

 

もし、タイ不動産のトラブルで困っていて、上記の返金方法についてご相談したい方は、我々APHOC事務局までご連絡いただければと思います。

 

こちらもご参考までに…

フィリピン物件の損切り法

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講演なし、業者なし「勉強会」。新しい海外不動産セミナーのかたち

こんにちはManachanです。今回は「海外不動産セミナー」ねたで書きますね。

 

2011年2月に「アジア太平洋大家の会」を立ち上げて、早いもので6年が経ちました。「大家・投資家の側に立つ、海外不動産に特化したコミュニティ」の看板のもと、頑張って運営してきましたが、いま振り返ると、実現できたことと、まだ実現できてないものと、両方あります。

さすがに最近ではオペレーションも安定してきたので、大家の会として本来やるべきことや、私のやりたい活動を、一つひとつ実現していきたいと思います。

 

特に、「業者を呼んで物件販売セミナー」以外の活動を強化したいですね。創立後3~4年間、我々は海外不動産を扱う業者さんに依存して情報とらなければなりませんでした。業者さんは当然、我々のコミュニティに向けて物件売りたいわけだし、また会員の間でも「海外の物件、とりあえずひとつ買ってみたい」ニーズが高かった。その背景の中で、我々の主催するセミナーの多くが「物件販売セミナー」になるのは自然の流れでした。

しかし今では、状況が変わりました。

 

・会員の間で、「すでに買った海外物件を上手に運営したい」とか、「マーケットを見極めて賢く買いたい」といったニーズが高まってきた。

・物件販売セミナーをやりたい業者の側で、アジア太平洋大家の会以外の、他のいくつかの企業や団体に集客を依頼できるようになってきた。

 

だから今は、我々の主催するセミナーが、必ずしも「物件販売セミナー」でなくても良いわけです。物件数のバラエティも増え、ニーズも多様化してきたわけですから、

物件ありき、売る目的のセミナー」だけでなく、「会員の資産形成ニーズを深堀りして、その目的にあった海外物件を紹介していく」セミナーをやっても良いのではないかと考えるわけです。

言葉を換えれば、「物件売らなくても良い」、「場合によっては、物件購入をおすすめしない」セミナーでもあります。私も日々、たくさんの方と面談しますが、そのうちの3割くらいは「不動産投資に向かない気質」とか、「資産形成の目的と手段が一致しない」状況ゆえ、今は海外不動産買わない方が良いとアドバイスしているのが実情です。

だって、本来買うべきじゃない人に物件おすすめして、後でトラブルになっても嫌だし、本人のためにもならないじゃないですか。

 

これまでと違う、新しいスタイルの海外不動産セミナーをやりたい気持ちから、今回トライアルで取り組んだのが、「講演なし、業者なし、タイ不動産勉強会」という企画でした。これ、どういうものかというと、

 

・少人数制(8名まで)

・講演なし

・スライドや配布資料もなし

・机の配置は対面ディスカッション形式

・講師でなく、ファシリテーター(仕切り役)が議事進行する

 

その形式で、通常の講義形式セミナーと同じ2時間を、どのように使ったのかというと、

 

・参加者各人の自己紹介、タイの国や不動産に関する思いを語る。ファシリテーターが黒板にポイントを書く(30分)

・参加者全員分のポイントについて、フリーディスカッション(80分)

・最後に、今回の勉強会で学べたことを、各人が語る(10分)

 

…本当にそれだけなんですが、所定の2時間過ぎても参加者がまだ議論したいようで、数名はずっと会場に残った…それほど盛り上がりました。特に、参加者からのこんな言葉が嬉しかった。

 

・これからタイ物件購入を検討するにあたって、物件個別の優位性を見極めて判断したいと思いました。

・これまで、将来タイに住みたいという視点で物件選びを考えていたけど、タイの不動産に詳しくなるまで、当面は賃貸で良いと考えるようになりました。

 

参加者各人が、勉強会を通じて自分の意思決定に直結する「何か」を持ち帰っていただけたようで、主催者として確かな手ごたえを感じました。タイに限らず、英国、マレーシア、オーストラリアなど、いろんな国の不動産について、このスタイルの「勉強会」を仕掛けていきたいと思いました。

 

この勉強会フォーマット、他の団体に真似されたらどうする?大丈夫です。スタイルだけ真似することは簡単ですが、クオリティを真似するのは相当大変ですので。今回、ファシリテーターを務めた市川隆久氏と私Manachanは、業界のプロあるいは投資家として不動産に長年携わった上に、毎月2回ペースで出国して世界10数か国の不動産を常にみているし、タイ不動産についても相当研究を重ねてきました(研究するためにタイ語まで覚えたし…)、

参加者からどんな議論が飛び出すのか予測できない状況のなか、「どんな議論が来ても受け止める」だけのスキル・知識がないと成り立たないフォーマットの勉強会だと思います。

 

最後に、今回のファシリテーター、市川氏と私は、「国際不動産.jp」サイトで情報発信しています。


kokusaifudosan.jp

 

最近はポッドキャストの音声配信に力を入れており、

市川氏のポッドキャスト(日本語)
http://kokusaifudosan.jp/category/podcast/

私のポッドキャスト(中国語)
http://kokusaifudosan.jp/category/podcast-c/

 

今後、同サイトは英語含めて多国語での情報発信をすすめ、「世界の人々に、世界の不動産に関する情報提供」していくサイトとして成長していきます。お楽しみに。

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パタヤで「リゾート民泊」運用スタート

こんにちはManachanです。タイ出張もいよいよ最終日、日本へ帰国する同行者を横目に、私ひとり、重要なミッションのためバンコクを離れ、バスに乗ってパタヤに向かいました。そこで、

  •  私の買ったコンドミニアムの引き渡し
  • 「リゾート民泊」運用に向けて業者との打ち合わせ

を全て終え、充実感で心を満たしてバンコクに戻ったところです。

 

リゾート運営会社代表(インド出身A氏)とツーショット

 

コンドミニアムCity Center Resiences全景

 

部屋の引き渡し。北朝鮮出身ロシア人M嬢が笑顔でサポート

 

私の買ったCity Center Residenceという物件は、地元パタヤの中堅デベロッパーMatrix社が建てたものです。同社はパタヤに特化して15棟ほど建ててますが、そのほとんどを郊外のジョムティエン海岸やプラタムナック地区で建てており、

セントラルパタヤと呼ばれる市の中心地に建てたのは同社にとって初めてのこと、喜び余ってCity Centerという名をつけたようです。

 

だけど良く考えたら、「一応セントラルパタヤだけど、少し奥まった住宅地っぽい場所」で建てており、Base Condoみたいな本物の中心地に建つコンドミニアムと比べると立地が落ちるのは否めず、大通り(3rd Road)からの入り口も分かりにくいため、建つ前には、「こんな場所で、果たして賃貸運用や転売できるんだろうか?」と、正直不安でした。

パタヤに先だち、私はバンコクで所有するコンドミニアムを、日系の不動産業者に民泊運用してもらっていました(今では民泊できなくなり普通賃貸に切り替え)。しかしパタヤという場所では日系業者のプレゼンスがないため、完成数ヶ月前は、「パタヤで欧米人経営の民泊管理業者を早く探さないと、引き渡し受けても塩漬けになってしまう」と焦ったものです。

 

でも、救いの神は意外な国から現れました。その名は、「インド」。

きっかけは、2015年。インド人の富豪S氏が、City Centerを40戸まとめ買いして(すげー‼︎)、その運用方法を、バンコクで営業するインド系のホテル業者と旅行会社に打診したことに発します。

6ヶ月間のプランニングの末、ホテル業者が撤退し、旅行会社が残りました。同社代表A氏の提案は、「コンドミニアム総戸数3棟668戸のうち、半分以上の部屋を借り上げて、スケールメリットを生かした旅行者向け短期貸し」と 、「コンドミニアム付設のプールバー、レストランの運営」、「パタヤで各種ツアーの運営」…それにいたく感動した富豪S氏は、さらに40戸買い増して、全80戸のオーナーになりました(何という財力‼︎)。

 

私もA氏と何度か意見交換しましたが、彼の事業構想は、単なる「部屋をAirBnBに出して短期貸し」とは根本的に違う、旅行会社のノウハウを生かした統合リゾート運営であり、収益性も桁違いに良い。さらに、タイの法律上、違法にならない工夫も当然している。

あと試算を見ましたが、どんなに保守的にみても私の部屋の場合ネット15%は回りそうです。パタヤという立地と、旅行会社によるリゾート運営はCity Center Residencesの資産価値向上につながると期待でき、私は大いに賛同しています。

 

いま、City Center Residenceの引き渡しが続々と進み、A氏は日々、物件オーナーから借り上げ契約を取るため、パタヤにほぼ常駐している状態。かつ、リゾート運営に必要な物資の大量仕入れはバンコクで行うので、両地を行ったり来たりで大忙し。

彼が急ぐ理由は、リゾート民泊稼働を4月の「ソンクラーン休暇」に間に合わせ、利益を最大化する為です。それは当然、我々オーナーの金銭的利益にも直結します。

A氏に散々ケツを叩かれ、建築現場もこれまでのノンビリペースとはうって変わって、急ピッチで作業を進めています。タイ人は一見怠け者に見えても、やる気になればちゃんと帳尻合わせられる人たちなんだと実感。

これから民泊稼働すれば、いろいろなことが起こるでしょう。備品の破損紛失や近隣トラブル、最悪、法律が変わって、リゾート民泊運営ができなくなる事態も想定されますが、それもまあ、よかよか。タイ不動産オーナーを楽しんできます。

 

パタヤでリゾート民泊のオーナーになってみたい方、興味ある方は、私にご連絡下さい。

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バンコクでお値打ち物件を買う方法

おはようございます。Manachanです。タイ・バンコク出張、最終日の静かな朝を迎えました。

東南アジア新興国のなかで、タイは日本人のビジネス進出、駐在、旅行、ロングステイ・移住において、根強い人気を誇る国。首都バンコクは、東南アジアで(先進国シンガポールを含めて)、日本人の在住者が最も多い都市でもあります。

私は国際不動産ビジネスに関わっています。他の東南アジアの国では、不動産人気の浮き沈みが激しく、不動産投資先として人気の国はここ数年、マレーシア→フィリピン・カンボジア→ベトナムと、常に移り変わってきましたが、ひとりタイだけは分厚いファン層がいるため、他国ほど大きな浮き沈みはないという印象です。

 

東南アジアのなかで、日本から一番近いわけでもなく、英語圏でもないタイという国に、多くの日本人が魅力を覚えるのはなぜなのか?

タイに魅力を覚えるのは欧米人も一緒。白い肌をした人たちが、大勢、タイ各地に暮らしています。英語が通じやすい国とはいえないのに、なぜか?その理由として、彼らがよく言うのは、「暖かい気候、安い物価、生活利便性や医療水準の高さ、食の魅力」等々。要は「物価が安い割に、便利な近代生活ができて、メシもうまい」のが良いのだと…

日本人にとっては、これに加えて、「タイ人の国民性や、宗教観」も大きな魅力であり、文化的な親近感を感じさせる要素なのだと思います。

 

私もタイ(特にバンコク)が大好きで、この3年間で10回ほど来てます。仕事柄、いろんな国・都市に行きますが、行き先はやはりバンコクが一番多いかな。

不動産投資の面でも、いま基本的なスタンスは「新興国の物件は手じまいして、先進国の物件にシフト」ですが、新興国のなかでタイだけは、物件を増やしています。今日も午後から、パタヤで買ったコンドミニアム引き渡し、エアビー業者との詳細打ち合わせを予定しています。

タイは東南アジアのなかで、賃貸利回りがそう高いわけではないし、値上がり幅もベストではない、法制度面でも問題はまだ多く、近隣諸国と同様、住宅過剰供給の問題を抱え、人口も停滞し高齢化しつつある国ですが、それでも物件増やしているのは、単純に、タイが好きだからです。

フィリピンやマレーシアと同様、タイで不動産持っていると、日本ではありえないレベルのいろんな問題は起こります。でも、他の国で起こったら腹が立つのに、タイで起こると不思議と腹が立たないのです。その意味で、「海外の実物不動産投資は好きな国を選ぶのが大事」なんだなあと実感します。

また、「すでに都会でありながら、まだ開発・発展の余地が多いバンコク」に、不動産投資家として魅力を感じる面も大きいです。

 

タイ国内、特にバンコクで収益不動産買いたい日本人の方は、常に一定数以上います。でも海外なので、日本国内と比べて「情報の非対称性」が非常に大きいです。バンコクで暮らし不動産に興味ある方にとっての「常識」が、日本にはなかなか伝わらない、ないしは「大変歪んだ形で伝わってしまっている」ことが多い。

日本国内における、バンコク不動産に対する一番大きな誤解は、「バンコクの不動産はすでに高すぎる」…

 

いま日本のセミナーで販売されているのは、バンコク都心部、㎡単価15万バーツ以上の物件が多い。例えば、日本で誰もが知ってる財閥系不動産大手が、タイの不動産大手と組んで手がける物件の多くがその価格帯です。いま為替が1バーツ=約3.3円ですから、㎡単価15万バーツは、円換算して50万円/㎡。坪単価にすると170万円ですね。

最近販売開始された、バンコク一等地(トンロー、プロンポン、アソーク等)の高級コンドミニアムは㎡単価30万バーツ超えも珍しくありませんので、そうなると坪単価340万円超。東京都内の便利な場所とそう変わらない値段。

「バンコクで物件買うと、日本人駐在員を入居ターゲットにできますよ~」、これをセールストークにする物件も多い。駐在員が賃貸する物件は、どんなに狭くとも最低20坪は必要ですので、

「㎡単価15万バーツ→坪単価170万円x20坪=3400万円」…これがバンコク不動産の実質的な最低ラインだと思い込んでる日本人が多い。でも、それは大きな誤解です。

 

バンコクは、東京とよく似て、同じエリアにごちゃごちゃと雑多な要素が入り乱れる都市です。貧富の差は大きいけれど、お金持ちと庶民の居住エリアがそう明確に分かれているわけではありません。例えば、東京の麻布・三田界隈に何億円もする高級マンションがあって、そのすぐ隣に老朽化した木造家屋や賃貸アパートもあって混在している…それと同じことが、バンコク都心近くの各地区でも起こっています。

それに加えて、バンコクは「暑い国で人々が歩かない文化」、「都心近くでもクルマ社会、渋滞もひどい」、「住民の収入格差が非常に大きい」、「都心部は東京以上に国際社会」、「日本以上に、人々がブランド好き」など、いろんな要因が重なるため、同じエリア、同じ最寄り駅でも住宅の売買・賃貸価格に大きな価格差があります。例えば、

 

・BTSの鉄道駅近くで、平米単価30万バーツで売り出し中の大手デベロッパーのコンドミニアムのすぐそばに、築2年の比較的キレイな中古住宅が、平米10万バーツで取引されている。

・鉄道駅からの距離が同じ徒歩5分でも、北側では平米20万バーツ以上の高額物件が即日完売するのに、南側では10万バーツ以下でも全然売れない。

・同じコンドミニアム、同じ棟でも、30平米のワンルームなら坪単価15万バーツで売れるのに、55平米の2ベッドルームは坪12万バーツ以下でも売れない。

・都心近くで大きな瑕疵もないのに、平米単価5万バーツを割るような激安物件も、市場に出回っている。

 

個別の物件や間取りによって、なぜそこまで大きな格差が出るのか?駅距離、クルマの利便、デベロッパーのブランド価値、ターゲット住民の収入属性、共用施設、グロスの価格帯、ローカルな需給状況…様々な理由があります。投資家として押さえておくべきポイントは、

・バンコクでは、3000万円以上の物件もあれば、300万円以下の物件もたくさんありますよ~。

・1000万円以下の物件は、手数料取れないから、日本人の業者はまず紹介しませんよ~。

・でも、1000万円以下でも、都心近くで良質な投資物件も探せばたくさんありますよ~。

・タイにも不動産相場があって、それより割安だと思えばタイの皆さんがすぐ買ってしまいますよ~。

 

バンコクは、都心部を中心に不動産価格が上がり、賃貸相場の伸びはそれなりなので、結果、利回りがどんどん下がっています(都心近くでグロス3~6%)。特に、平米30万バーツ超みたいな高額な物件を買う場合、それ以上の価格の伸びが期待できるかどうかは一般論として疑問です。「いま買えばどこ買っても値上がる」段階ではなく、勝つエリア、負けるエリアの二極化も進んでいるため、物件選びで間違えないためには、見極め能力が大事になってきています。

そんなバンコクで、良い投資物件を買うには、どうすればよいか?私の意見は、「需給バランスと商品特性と購入ターゲット」を考えつつ、「エリアを絞って定点観測」すること。「いろんな物件、売買事例を見た上で、相場より割安だと思えば素早く飛びつくこと」だと思います。要は、洗練された不動産投資家が、日本国内の収益物件探しの際にやると同じ行動を、バンコクでやればよいのです。

 

どのエリアに絞って定点観測すればよいか…それは、予算で決めればよいと思います。

・3000万円以上出せるなら、都心一等地(アソーク~エカマイ、シーロム~サトーン等)

・予算が1000万円台なら、都心近くで次の勝ち組になれそうな場所(オンヌット~ウドムスック、ラマ9等)

・予算が数百万円台なら、タイ人ローカルに需要のある地味な場所(ラムカムヘン、シーナカリン、ノンタブリー等)

 

加えて、大事なポイントは、

・相場より割安な物件は、収益物件として優れているけど、タイ人がすぐ買ってしまう。

・それを外国人が買うには、ハンディがある。逆にいえば、外国人が買いにくい物件ほど、良い物件である可能性が高い。

 

近い将来、「アジア太平洋大家の会」で、こんなセミナーを企画できればいいなと思っています。

バンコク「買えない」良質物件セミナー 

 

その心は、

相場より割安ゆえタイ人がすぐ買ってしまい、日本人に今すぐは販売はできないけど、近い将来、転売が出た時に買えるかもしれないお値打ちな収益物件を集めて、紹介するセミナー。幸運にもお値打ち物件のオーナーになれた方には、日本語で管理もばっちりできますよ~。

 

そういうセミナー、興味ありますか?「すごく興味ある、是非企画して欲しい!」という方は、その旨、私までお知らせくださいね。

最後に、ポッドキャストで、タイ・バンコクの不動産事情について音声で解説しましたので、興味ある方は是非、聞いてください(無料です)。

 

タイの不動産事情についてーその1

goo.gl/cDw8UQ
タイの不動産事情についてーその2(私も登場します)

goo.gl/Z1nMZs

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バンコクで売れる住宅地の条件

こんにちはManachanです。タイ・バンコク出張から昨日帰ってきました。

 

私は数多い海外出張をこなしてますが、バンコクはとても馴染みのある環境なので、ラクですね。いつもの定宿に泊まると、街が「おかえり~」と言ってくれてるようで、アウェイ感がほぼありません。

 

私、海外での仕事は大抵B to C(個人のお客様相手の仕事)ですが、今回は珍しく、B to B(企業様相手の仕事)でした。東南アジア、特にタイとベトナムはここ数年、日本の不動産関連企業の進出先として人気が高まっており、私が水先案内人として活躍する機会も増えています。

 

当然ながら、個人の投資家様相手の仕事と、法人企業様相手の仕事では、ポイントや進め方が大きく違います。平たくいうと、

 

・個人の投資家様の場合、数百万円~数千万円を投じて、タイ不動産を購入します。そのお手伝いをする場合、ポイントは、個人向け資産コンサルティング力。つまり、お客様が資産形成、資産保全する上でどんな課題があり、その解決策としてタイ不動産が活用できるかどうかの見極めと、説得力が決め手になります。

 

・法人企業様の場合、数億円~数十億円という大きな額を投じて、タイ不動産ビジネスに参入します。そのお手伝いをする場合、ポイントは、タイの不動産マーケット分析や民力分析。つまり、会社様が不動産商品・サービスをタイ国内で供給するにあたって、どんな顧客層にフォーカスすべきで、彼らはどの位のお金を払って買う可能性があるのかを、データに基づき分析・説明する能力が決め手になります。

 

また、日本の個人投資家がタイ物件を買う場合、成約事例の多くはバンコク都心部の外国人マーケット向けの高額物件になり、一般のタイ人が買うローカル物件を買う人は少ないですが、法人企業の場合は、タイ現地デベと組んでローカル物件の大量供給を狙ってくる会社が少なからずあります。都心の外国人向け物件と比べて、ローカル物件はたいてい郊外なので土地の仕入価格が比較的安く、短期間で多くの戸数を供給できるし、購入できる人が大量に存在するから、資金回収の面でも魅力的だからです。

 

つまり、法人企業様相手のB to Bの場合、B to Cとは比較にならない程、タイ人の収入水準、不動産購買力の分析が重要になってくるわけです。その分析・考察が不十分だと、せっかく良い物件つくっても想定した値段で売れず、利益を得られなくなります。

 

日本の例を使って分かりやすくいうと、「1戸5000万円の新築マンション」を、東京の港区や千代田区で供給すれば普通に売れますが、同じ価格帯・グレードのマンションを葛飾区や足立区で供給してしまうと、売り切るのは難しい。そこでマンションデベロッパー各社は、事業計画を立てる前に、「民力(地域購買力)分析」を、かなり緻密なレベルでやるわけです。タイで住宅供給事業をやるなら、当然、同様の調査努力が必要になります。

 

お客様の意向を受け、私はいま市場調査をしておりますが、気を付けなくてはならないのは、タイという国、バンコクという都市が、日本人からみて「結構エグイ格差社会」であること。そして、「人々の認識も社会階層によって分断されてしまう」ことです。

 

バンコク都心部を拠点とする外国人は、往々にして、郊外のクルマ社会に住むタイ人の収入水準や暮らしぶりをよく知りません。彼らが自由に出歩けるのは、今のところ鉄道が通る都心10㎞圏内に限られ、その外の世界にアクセスするには実際問題として、自家用車とタイ語能力が必要になるので、それをあえてやる外国人の絶対数は少ない。

 

また、言葉の問題がなくても、良い家柄の家に生まれたタイ人は、一般庶民の暮らしぶりや収入水準を、驚くほど知らなかったりします。同じタイ人であっても、生まれも育ちも就職も、全く違う世界で暮らしてきたのですから当然でしょうが、その分断ぶりは見事(?)なもので、「東京都心で生まれ育った人が千葉埼玉のことを知らない」どころの話ではありません。

 

格差の固定した社会ゆえ、タイ人の民力や収入水準に関しては、誰から、どんな文脈で話を聞くのかによって、答えが全然違ってきます。今回の出張でも、不動産調査会社を中心に、いろんな方にヒアリングしましたが、「こいつ、全然分かってねえな」と思う人も相当数いました。

 

これまで得られた回答や、統計数字を総合すると、

 

・バンコク都市圏に住むタイ人の月収は、(当然ピンキリだが)平均2万バーツ台前半。
・世帯収入になると(たいてい夫婦共稼ぎなので)平均4万バーツ台前半。
・個人で5万バーツ以上の月収を得れば「富裕層」に分類されるが、彼らはバンコク住民の14~15%を占めるに過ぎない。人数にすると200万人程度。
・10万バーツ以上の月収を得る「アッパー富裕層」は、バンコク住民の2~3%。人数にすると30万人程度。
・アッパー富裕層のうち、一握りの超お金持ちはわずか数万人。彼らは想像できない程の莫大な富を手にしている。

 

バンコクの平均より収入水準が下の方々は、タイ人も、近隣諸国民(ミャンマー人、カンボジア人等)も、郊外の安アパートを賃貸するケースが多いので、

 

マイホーム購入層としてのボリュームゾーンは、バンコク平均より上、でも富裕層には届かない、世帯収入5~6万バーツあたりの方々になるかと思います。タイではマイホームローン制度が整備されており、金利は平均6~7%と安くはありませんが、年齢が若ければ30年程度の融資を受けられます、そしてサラリーは年々上がる傾向…

 

それらもろもろを考えると、タイ人ローカルを相手にする場合、世帯収入比の5倍、250~300万バーツ位の住宅を供給するのが、購買力の面では一番現実的かと思います。日本と同様少子化の国なので、子供は2人。家族はMax4~5人を想定。そうなると、次のイメージになるかと、

 

・バンコク通勤圏の郊外
・土地付き一戸建かタウンハウス
・クルマ必須なので、最低1台の敷地内駐車場(できれば2台)
・ショッピングセンターや学校、病院まで、クルマでの移動が不便でない
・家族構成からみて、ベッドルームは3つ、バスルームは2つ欲しい
・鉄道駅はなくてOKだが、将来的に駅ができる想定なら尚良い

 

それらを最低スペックとして備え、かつ、タイ人視点でみて不便な立地でなく、皆さんが買える価格であれば十分、住宅供給事業が成り立つのではないかと思います。逆に、400万バーツ超の価格帯を狙う場合、ローカルのトップ15%「富裕層」の世界になりますので、エリアも設備もセキュリティも厳選しなくてはなりません。評判の良い大手デベロッパーを選ぶのは必須でしょう。

 

タイの一般ピープル向け、250~300万バーツ台の住宅地

 

 

一方、在タイ外国人(欧米人、日本人、中国人等)マーケットを狙う場合、エリアによってはタイ人ローカルを数倍する高額価格帯での供給も視野に入ってきますが、その代わり、彼らが不便なく生活できる都心部か鉄道沿線エリアであることが必須。また競合も増えるなか、彼らに積極的に選んでもらえる内容が必要でしょう。都心部やBTS駅近の地価高騰が著しい昨今、難度も高くなってきていると思います。

 

一番やっちゃいけないのは、ローカル向けなのか外国人向けなのか、 コンセプトのはっきりしない、中途半端な企画ですね。たとえば、

 

・ローカル向けにしては価格が中途半端に高く、かといって外国人が積極的に選ぶ理由もない物件
・ローカル向けの価格帯でも、部屋が狭い、駐車場がない等、実需ニーズにあわない物件
・外国人向けを狙っても、鉄道駅から微妙に遠く、アクセスもいまいち不便で、かといってタイ人が買うには高すぎるor狭すぎる物件

 

これまで、バンコク各地でコンドミニアム、戸建、タウンハウスなど、いろんな分譲住宅地を見てきましたが、売れ行きの良い住宅地には、必ず、「売れる理由」があるものです。それが何なのか、調査でさらに明らかにしていきたいと思います。
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パタヤでエアビー管理会社を発掘

こんばんはManachanです。4日間にわたるタイ出張から帰国しました。疲れがたまっていたようで、家に帰ったらすぐ寝ました。

今回の出張は、タイへ事業進出を検討する日本の不動産企業様の用事がメインでしたが、出張ついでに、パタヤで買ったコンドミニアムの引き渡しもやってしまおうと思い、出張最終日にパタヤに向かいました。

 

私が買ったのはセントラルパタヤにある、City Center Residenceというコンドミニアム。2012年にプレビルドで購入し、4年かけてようやく完成しました。購入代金と諸費用は、すでに全額払っています。

で、現地に行ったら、びっくり!まだ完成してないんじゃん!

 

この状態で引き渡しかよ!!

 

室内はこんな感じ。エアコン、トイレ、キッチン、ベッドはあるけど家具家電類がまだ入っていませんでした(注.家具家電のオプション付けて買ってます)

 

ただ、ひいき目に見れば…室内はあと家具家電入れれば良いだけだし、また、屋外のプールもあと1~2か月すれば完成しそうな感じではありました。ものすごい数のワーカーが働いてましたし。

現地にいたデベロッパーの担当者と、雑談。

 

私:「今日引き渡しできると思ってたんだけど…まだ完成してないんだね。」

担当者:「はい、今回は最初のインスペクションで、来月後半に最終引き渡しのためのインスペクションを行います。」

私:(この状態で、インスペクションやる意味があるのかと思いつつ…)「分かった。来月後半にまたタイに来るから、その時まできれいに引き渡しできる状態にしといてね。もう全額払ってるんだから」

担当者:「了解しました。」

 

ま、私は毎月タイに行く用事があるからいいんだけど…もし、この引き渡しのために飛行機代かけて来た外国人がこの状態を見たら、たぶん怒り狂うだろうな。ま、東南アジア新興国はいろいろありますよね。幸い、フィリピンやマレーシアで散々、似たようなこと経験してきたから、私はこれしきのことでは驚きません。

相変わらずダサいなあと思いつつ…良いこともありました。

 

・City Center Residenceは、バンコクの旅行会社が借り上げて短期貸しビジネスに乗り出すことになりました。

・AirBnBのみならず、Expedia、Booking.comなどポータルサイトを駆使して、客室を旅行者向けに短期貸しするのみならず、コンドミニアム共用施設のレストランやバーも運営して、高収益を目指すようです。

・上記営業利益の10%を同社が取り、残りはオーナーに還元するようです。

 

この旅行会社(A社)は、デベロッパーであるMatrix社から紹介してもらいました。その経営者に会えることになり、大急ぎでパタヤからバンコクへとんぼ帰りしました。

経営者はインド出身、16年前にバンコクで旅行会社を創業しました。それ以前は、世界的な大手旅行会社に勤務していたそうで、起業家であるだけでなく、サラリーマン的な常識も兼ね備えた方であるよう。

A社は2年前から、客室の短期貸し事業に進出、バンコク、パタヤを舞台に拡大してきました。City Center Residenceはたまたま、インド人客が1人で40室も大人買いしており、それを全て借り上げて運営できることになったそうです。おそるべしインド人の購買力!これを契機に、パタヤに経営資源を投入して本格的に運営したい。そのために一つでも管理戸数を増やしたいと言ってました。

経営計画と、想定利回りの数字も見ましたが、オーナーとしては申し分ない数字でした。

 

私の部屋は、来年1月末に引き渡しを受けます。それからすぐ家具・備品を入れて、同社に管理をお願いすることにしました。管理スタートは2月中旬になる予定。

まだ、お金になったわけではないので何ともいえませんが、パタヤという土地柄、旅行者向けの短期貸しが一番お金になるはずなので、とりあえずやってみようと思います。

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バンコクで素晴らしい物件をみました

こんにちはManachanです。マレーシア、タイ出張から帰ってきました。

 

タイ…といえば、国民が敬愛するプミポン国王が亡くなった、ということで話題を集めていますね。いろんな報道が交で錯するなか、混乱やトラブルを避けるため、タイ渡航の予定を延期する方もいるようです。

でも実際に行ってみると、普段と何も変わらないですよ。タイの皆さんバイクや車で通勤して、ストリートフードを飲み食いして、ショッピングセンターで買い物して、夜遊びして…黒い服着てる人が、普段より若干多いかな、という程度で、

 

そりゃ、確かに…空港とかいくと、こんな広告がたくさん出てるし、

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新聞読むと、国王の追悼式典に、ものすごい数の民衆が集まったりと、尋常ない雰囲気を感じますけど(なお、これ全部、バンコクじゃなくて地方都市での出来事です)。

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でも、いまタイに渡航して危ないかというと、そんなことないと思いますよ。常識的に節度ある行動していれば、リスクは普段と同じでしょう。

 

そんな普段着のバンコクで、素晴らしい物件をみる機会に恵まれました。キーワードは3つ

 1)チャオプラヤー河に面した、リバーフロントの稀少立地 (しかも駅から歩ける!)

2)プールを中央に配置し、住居棟をプールの周囲に配した「リゾート型」(バンコクでは珍しい!)

3)値段が手頃!部屋からプールにダイレクトアクセスできる2ベッドが1200万円台、2フロア使える戸建感覚デュプレックスが1800万円台!今どき平米単価10万バーツ切ってるし…

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文字にしても魅力が伝えにくいので、写真をご覧ください。

 

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こりゃ、まじで欲しいっす。誰がみてもオンリーワン物件だから資産価値高いですね。

写真でみるように、竣工間近。いま2部屋売りが出てますけど、すぐ完売しちゃうと思います。

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タイの文化と人々が面白い…

おはようございます、Manachanです。いつもは不動産投資の話題ですが、今回は趣向を変えて、「語学と文化」ねたで書いてみます。

 

私は昨年4月に、東京・飯田橋の学校で、タイ語のプライベートレッスンを始めました。学習のきっかけは、昨年7月にバンコク、今年1月にパタヤ・シラチャーで不動産マーケット調査をするにあたって、タイ語の基本的な読み書き会話ができた方が便利という理由でした。実際、むちゃくちゃ役に立ちました。バンコク都心を少し外れると英語がほぼ通じない、タイ文字ばかりの世界になりますから。

で、蓋を開けてみれば、タイでの不動産マーケット調査が終わっても、相変わらず学習を続けています。先生にも恵まれ、楽しいから続けているんですよね。私は出張多い身ですけど、東京にいる時は、1~2週間に1度のペースで、2時間のレッスンを受け、その事前学習に2~3時間くらい費やしています。

40代半ばを過ぎると、記憶力が落ちてきて、「単語4つ覚えて、3つ忘れる」みたいな効率の悪さですが、自分のペースで学習続けていると、頑張れば文章もそれなりに読めるようになるものです。

 

私のタイ語は、いま中級レベル。「読み」を中心に学習しています。普段は、日本で出版されている「中級タイ語総合読本」と、

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タイ本国で外国人向け学習教材として出版されている「UTL (Unity Thai Language Shool、ユニティタイ語学校)」のプリントを併用しています。

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「中級タイ語総合読本」の方は、少し古風な教科書といった感じの読み物、タイの地理、気候、民族、観光地、家屋、結婚、家族、葬式など、スタンダードな内容を、当たり障りのない言葉で扱います。私が読むと、ちょっと退屈…

一方、UTLの方は対照的に、「生きたタイ語の読み物」。タイ人ライターが、皆さんの関心あるトピックについて、いま普通に使われているタイ語で書いた、1500字位のエッセイで構成されています。こちらの方は、読んでてとても面白い。ブロガーの知識欲、文章表現に対する興味を、十分満足させてくれる内容です。

これまで読んだUTLのエッセイのなかで、一番好きな文章がこれです。思い切り意訳して日本語で書きますね。

 

タイのやくざとヤンキー」(นักเลงโต)

昔、タイの農村ではどこも、「盗賊」が悩みの種でした。特に裕福な村では、いつ盗賊に襲われて大事な財産を盗られるか分からず、不安で夜も安心して眠れませんでした。警察など、ろくになかった時代でしたから、どの村にも、壮健な若者からなる「やくざ組織」があって、暴力には暴力で対抗することで、村人の財産を守っていたものです。

当時、タイの村々にいたやくざ者は、命知らずでケンカが滅法強く、人々の畏敬の的でした。また、子分や仲間がたくさんいて、ケチケチしない「気前の良さ」が身上でもありました。当然、暴力は振るいますが、村に欠かせない大事な役割を果たしていたのです。

時代は下り、社会が都市化・組織化されてくると、「古き良きやくざ者」の居場所が、だんだんなくなっていきました。今日のタイ農村では、「やくざ者」は単なる「チンピラ」「ヤンキー」の類に成り下がり、単に乱暴な連中というネガティブなイメージになりました。農村の生活は退屈で、若い身体を持て余してしまいますから、ヤンキーの兄ちゃんたちは、スリルと興奮を求めて、隣り村の水牛を盗むなどの悪さをします。なお、タイの近隣諸国でも、同じような「やくざ者」はたくさんいます。

 

読んだ感想…何だか、日本とよく似てますね。タイのやくざ者気質は、日本の「任侠の世界」を彷彿とさせます。「堅気には迷惑かけねえ」、ご近所に優しい「その筋の方々」は、今日でも日本各地にいますよね。

現代だと法律が整備されるので、彼らはどうしても「反社」指定されたりして、居心地が悪くなるものです。タイ版「農村ヤンキー」も、構図的には日本と似てますね。日本の田舎ヤンキー、さすがに水牛は盗まないけど、改造したバイク乗り回したりして、退屈な日々にスリルを求めようとしているわけで…

 

あと、この文章も好きです。

 

タイ人の教育」(การศึกษาของคนไทย)

昔、タイの農村には学校がありませんでした。子供たちは、掃除洗濯、炊事、野菜の育て方、家畜の扱い方など、生きていく上の知恵や技能を、親や年長者から自然と学んだものです。

当時は、「お寺」が教育機関の役割を果たした面もあります。タイは仏教の国ですから、仏教寺院はどの村にもあり、読み書きのできる「僧侶」がいます。男の子はお寺に住み込んで、お寺の仕事を手伝いながら、読み書きや礼儀作法を習うこともありました。なお、これは男の子だけの特権でした。女の子はお寺に住み込むことは許されず、読み書きを習う機会もほぼありませんでした。

ラーマ3世の時代(1850年頃、江戸時代末期)に、タイで初めての学校ができました。これは皇都バンコクの王宮内に設置され、王族の子女しか学ぶことはできませんでした。時代は下り、ラーマ5世の時代(1900年頃、明治後期)になって、王族だけでなく一般人男女にも学校教育の機会が開放されましたが、結局、子供に学校教育を受けさせるのは経済力のある家庭に限られました。

今のような現代的な学校制度が確立したのは、1960年頃です。今日のタイでは男女の区別なく、誰もが学校に通い、読み書きができて当たり前という状況になりました。

 

感想…教育をめぐるタイの話を聞くと、やはり、日本の風景とダブってみえます。学校制度の確立以前、農村のお寺が教育機関の役割を果たしたのも、また、教育機会が男の子に偏重していたのも、日本と似てますし、また、タイで学校制度が確立した時期や、発達の経緯も、日本と大きな差がないですね。

 

あと、「石油の値上がりで生活が苦しくなった時、学校の先生が子供たちと一生懸命エネルギー節約の方法を考える話」とか、「タイ人が憧れる職業の話」とか、「タイ人の敬愛を一身に集める王室の話」とか、「庇(ひさし)を貸して母屋をとられた話」など、UTL教材には他にも良いエッセイがいろいろあります。

これ読めば読むほど、タイの文化や人々が、自分にとって身近な存在になってきますね。西洋の読み物も好きですが、タイの場合、田畑とかお寺とか、お祭りとかがいつも出てきて、日本の風景と似ているからイメージしやすい。王室(天皇)を敬う心とか、農村が都市化されて近代住宅になっていく風景とか、どんどん複雑になっていく今日の社会、現代ならではの人々の悩みとか…いろんな意味で、タイは日本を映す鏡と言っても良い。

 

チャオプラヤー河に、上流から椰子の葉や実が流れ来る、常夏の国タイ。日本から遠く離れて気候風土も違うけど、水田農耕をベースにした、同じアジアの国で、仏教や王室など共通点も多い。タイの言葉を学んでみると、「我々に似ているんだなあ~」と、さらに親近感がわいてきます。これからも学習を続けようと思います。

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