こんにちは、Manachanです。今日は日本国内の収益物件ねたでいきますね。
週刊ダイヤモンドの「マンション上げ?下げ?大調査」、読まれた方多いと思いますが、面白かったですね。数年前に新築マンションを買って、値上がるエリア、値上がらないエリアの二極分化が進んでおり、かつ「有明vs東雲」みたいなミクロなレベルでも大きな差が出ていることが、とても興味深かったです。
私は千葉県柏市出身ですが、マンションのリセールバリューみたいな話題になると、一般論として千葉県はつらいですね。東京、神奈川はもちろん、宿命のライバル・埼玉にも水をあけられてしまいます。県内で元気良いのは本八幡(市川市)くらいで、松戸~柏の常磐沿線は全滅状態。
でも、地元民としてひとこと言わせてください。松戸市や柏市みたいな郊外で、「新築マンション買って、中古でリセール価格維持」みたいな考え方が、そもそも地域の実情や暮らし方に合わないです。最近、松戸や柏に越してきた方ならともかく、以前から暮らしてきた我々にとっては、「この辺住むなら、基本は土地付き戸建でしょ!」、「そもそも宅地がうなるほどあるのに、なぜマンションに住むの?」というのが正直な感覚。「マンションのリセールバリュー」という考え自体が、都会(東京)の感覚であり、郊外には合わないと思います。
逆にいうと、我々郊外民にとって、住宅の資産価値を保つには「土地付き」が基本。「所有権の土地」さえあれば、何とかなる。松戸市や柏市なら、バス便エリアでも戸建用地として十分な需要がありますし、更地の価格は将来も下がりませんから…どうしてもマンション住みたくて、かつ資産価値も気になる方が、新築買って良いのは「松戸駅、柏駅の徒歩10分圏内」のみ。あるいは、値が十分さがった中古マンションを買って住むしかないですね。築15年で1000万円みたいな激安ファミリーマンション腐るほどありますし、もともと安く買ってれば、値下がっても大した損失にならないですから。
最近、そんな「ザ・郊外」エリアで、土地値トントン、あるいは土地値以下の値段の築古アパートが、マーケットに時々出回るようになりました。特に多いのは、千葉県内の「松戸市、船橋市の新京成沿線」とか「京成本線の津田沼よりちょっと先」みたいな、首都圏の通勤利便性でいえば「中の下」くらいのエリア。他県でも、例えばさいたま市見沼区とか上尾市とか、神奈川の相鉄線の奥とか湘南の山の方などの郊外部で、そんな物件が多く出ています。
こういう物件、単純に「土地を買った」と思えばよくて、そこに「収益を生むアパートがついてくる」から儲けものだという考えがあります。大まかな考え方としてはそれで合ってますが、ひとつ注意しなくてはならないのは、
土地値(=実勢価格)で買っても、将来、いつでも同程度の価格で売れるとは限らない。
実勢価格とは、「エンド客が買う価格」とほぼ同義で、路線価から割り出す方法がよく用いられます。首都圏郊外では、だいたいこの位かな。
路線価÷0.8=公示価格
公示価格x1.2=実勢価格
例えば、松戸市あたりで路線価11万円/㎡の土地を買う場合、実勢価格は11万÷0.8x1.2=16.5万/㎡。つまり、坪55万円くらいの目安になります。
一般ピープル(エンド客)は、坪55万円の土地を40坪くらい買って(55万x40=2200万円)、そこに上物を建てて外構(カーポート、ブロック塀など)を整えた新築戸建を買います。上物・外構代の合計が1780万円とすれば、本体価格は2200万+1700万=3980万円。これで、松戸~柏エリアの平均的戸建住宅の出来上がりです。
いま不動産投資家が、松戸や柏で土地値のアパートを買うということは、最終的には、上のような「戸建ユーザー」を出口とするわけです。その土地が、地域の平均的な戸建サイズで、造成の必要もなく、すぐ上物建てられる状態であるならば、実勢価格近辺ですぐ売れるでしょうが、実際は、そうでないことがほとんどです。例えば、
・土地100坪付き(分割可能)、築古の1Kx10戸アパートが土地値トントン5500万円で売りに出る
・土地75坪(接道の関係で分割不可能)な土地で、築古2DKx4戸アパートが、土地値より15%安い3500万円で売りに出る
みたいなケースが多いですが、上記のような物件、私なら買いません。なぜか?
一つは、「グロス論」という考え方。松戸や柏あたりで、100坪の土地に新築住宅建てる人は、かなり少ないです。なぜなら、総額(グロス)がかかりすぎて、地域の一般ピープルに手が出ないからです。坪55万の土地で100坪だと、土地代だけで5500万。そこに上物建てたら、少なく見積もって7500~8000万円。それを、一般的な松戸市民や柏市民が買えるか?という問題。
松戸駅や柏駅、流山おおたかの森駅の徒歩圏なら、7000万円超の新築戸建もアリでしょうが、一般的な市内住宅地だと、高値の限界が6000万円程度になるので、彼らに100坪の土地は重すぎる。そこで、「50坪に2分割して戸建分譲する」ことになります。土地50坪なら、松戸~柏エリアの戸建としてはぴったりなサイズで、それができて初めて出口が見えてきます。
じゃ、50坪に2分割できるからといって、業者が実勢価格で買ってくれるかというと、また別の問題です。業者の立場からすれば、その土地を買った上に、「上物の解体処分費」、「分筆登記に必要な確定測量費用や登記費用」、「戸建2戸の設計・広告費用」をかけて初めて売り物になります。そこに利益も当然乗ってくるので、実際には実勢価格から2~3割も値引いた値段で買い値を言ってくることが多いでしょう。
もう一つは、「銀行の評価」。銀行は土地の価値を独自の評価で評価して、そこに掛け目を入れて融資額を算出しますが、郊外の土地は都心部と比べて、どうしても掛け目が厳しくなります。実勢価格に近い5500万円の評価が出ても、そこから7掛けした3850万円しか貸さない…みたいなことになります。最低1650万円は自己資金で出してください…となると、買える人が少なくなるので、その面からいっても、実勢価格で売るのは難しいのです。
とはいえ、土地を2分割できるのは不幸中の幸いです。上記の例「土地75坪で分割不可能な土地」というのは、さらに不利。戸建分譲するには中途半端に大きすぎるし、アパマン建てるには小さすぎる…地域の最適需要に合わないサイズゆえ、実勢価格で平米55万くらい出るエリアでも、結局、39万みたいな安い単価で叩き売られるのです。
そういう事情もあるので、「郊外で築古アパート買うなら、原則、土地値以下で買わなければならない」と私は思います。駅近立地とか、戸建実需にぴったりなサイズだったら、土地値トントンでも構わないと思いますが、そうでなければ、
・分割できる土地付きの物件を、土地値の1~2割引きで買うべし。
・それ以下の価格で買えれば、投資として成功したも同然。
松戸~柏エリアで成功する、洗練された「松柏(しょうはく)インベスターズ」は、築古アパートを土地値以下で仕込んで、戸建で出口をとるのが基本。そこに、副産物としてアパートの家賃がついてくる、みたいなイメージですね。郊外で土地がある分アパート運営にはライバルどんどん増えて厳しいエリアですが、戸建用地としての需要は、将来もずっとあるので、土地としての売却価格から逆算して、安く仕入れるのが必勝パターンと思います。
逆に、区分マンション買ってリセールにはなじまないよね。それが成り立つほど都会じゃないんだし・・。