こんばんはManachanです。今日の日本時間お昼過ぎに成田からアエロフロート便に乗り、7700km、約10時間の空の旅、モスクワまで飛んできました。
今回のブログは、私が「いまの時代をどう解釈するか?」という、大きなテーマで書いてみます。
私と家族が暮らす日本の首都、東京。この巨大都市ではいま、統計数字には現れない「不思議な明るさと、安心感と、前向きな雰囲気」を感じます。
バブル崩壊以降、真綿で締められるような重苦しい「失われた20数年」がようやく終わり、日本なりの文脈で新しい、安定と発展の時代を迎えつつある…それが私の肌感覚です。そういえば「失われた○○年」という言葉、最近聞かなくなりましたね。
「新しい発展の時代」を想起させるキーワードを、いくつか挙げてみます。
1)長期安定政権
第二次安倍内閣は歴代でも稀にみる長期安定政権になり、「自民一強の時代」と呼ばれる昨今。
野党が自民に対するまともな対抗勢力として機能していない現状は、正直いかがなものかと思うけれど、お隣の韓国や、欧州や南米諸国にみる政治の混乱、リーダーシップ不在の状況をみるにつけ、いま日本の内政が安定しているのは非常に有難いことだと感じます。政治安定すれば国がやるべき仕事も推進しやすいし、民間事業者にとってもビジネスやりやすいですから…
日本戦後史を振り返ると、経済が大きく伸びた時代は、たいてい、政治も自民一強の状態でした。神武景気、岩戸景気、イザナギ景気と呼ばれた高度成長期もそうだし、バブル景気の頃も自民(中曽根さん)強かったですし…
それらの時代に比べて、今は景気が必ずしも良いとは言えないのに、なぜ自民一強なのか?それは日本人が2009〜12年にかけて「民主党政権時代」と「東日本大震災&原発事故」を経験して、ある意味、吹っ切れた、人心が一新した…いま思えば、不安定な民主党治下の3年間が、バブル後の「停滞と低迷の20年」の最後の時代だった。その後、日本人は安定感ある自民党に政権を託し、そこから新たな時代が始まったように思います。
民主党政権以前の自民党はリーダー不在、派閥闘争と政権交替だらけで、自浄作用も乏しかった。そう考えると、民主党政権と自民党の下野が、結果的に日本の歴史を前に進めたといえるでしょう。年表ふうにまとめると、こんな感じになるかな
1945〜55 戦後の混乱期
1955〜91 「ジャパンアズナンバーワン」経済発展期
1991〜2012 「失われた20年」低迷期
2012〜 いまの時代(復活期?)
アベノミクスとかは、日本の経済社会にとっては副次的な意味しかないと思います。歴史的視野でみたとき、物事の本質は「2012年に日本人が自ら長期安定政権を選び、その安定の配当を手にしつつあること」だと思います。安倍政権も内憂外患、いろいろと難問山積ですが、今なお支持率が安定しているのは、多くの人々の本音に近い政治が行われることによる安心感と、「民主党やそれ以前の時代に戻りたくない」強い気持ちがあるのでしょう。
2)雇用の改善
安倍政権になって、日本の経済が良くなったかどうかは諸説分かれます。アベノミクスを打ち出した時に数値目標とした「実質インフレ年率2%」は実現できていませんし、経済成長率も高いとはいえません。
しかしその裏で、「雇用者数が大きく増え」、「失業率が下がって完全雇用に近い数字になっている」意義は、決して小さくはないでしょう。若年層の正規雇用数もここ数年増え続けています。少子化の影響もあるのでしょうが、一言で言うと「給料上がらないけど仕事は十分ある」のが今の時代。私の身の回りでも、育児で仕事を辞めたママたちの職場復帰が相次いでいるし、人手不足に悩む同業者も多い昨今。
人手不足や、株価上昇による企業のバランスシート改善は、給与水準を上げる強い動機になります。デフレが20年以上続いた日本で、企業経営者のマインドがすぐに改善するわけはないけど、幸い、今の日本は長期安定政権なので、現政権のうちに、
「勤労者給与上昇→消費拡大→財サービスの生産拡大」
という、通常の経済拡大スパイラルが実現する可能性は十分あると思うし、もし人手不足が生産側のボトルネックになるなら、人工知能やロボット等、省力化技術への投資を今こそ強化すべきでしょう。
3)自殺者数の減少
日本の自殺者数は1997〜98年に急増して年間3万人を超え、国際的にみても自殺率の高さが問題になってきました。
その自殺者数が、ここ数年、大幅に下がっており、2016年は2万3千人程度になる見込み。ピーク時の2003年(3万4千人)と比べて1万人以上減ったことになります。
それでも、まだOECDの平均よりは自殺率高く、改善の余地は大きいですが、自殺が大幅に減ること自体は、ひとつの社会が苦難を克服し再生しつつあることの証左でもあります。プーチン治下でロシア経済が回復した時代に自殺率の低下が見られたように…
4)海外でチャレンジする日本企業の活躍
戦後日本の経済発展の裏には、世界の隅々まで果敢に進出して、必死に働いた「ジャパニーズビジネスマン」の大きな貢献がありました。
バブル崩壊後、日本人はにわかに内向きになり、海外各地ではジャパニーズに代わってコリアンビジネスマン、チャイニーズビジネスマンの進出が目立つようになりました。海外生活の長い私は、日本企業のプレゼンス低下に危機感を覚え、ブログでも懸念を表明してきましたが、2010年頃までは鳴かず飛ばず、日系大手ほどリスクを怖がって進出できない状況が続きました。
その流れが変わってきたのが、ここ数年ですね。今では日本企業も各分野で海外進出に本気になり、インドや東南アジア、北米で高速鉄道の受注を中国と争うとか、クールジャパン戦略に乗って日本の食文化や大衆文化が海外に輸出される、そんなニュースに満ちています。「君の名は」や「ポケモンGo」も世界中で大人気ですし。
私が携わる不動産の世界でも、これまで日本国内でしか商売してこなかった大手、中堅デベロッパーの東南アジア進出が目立ちます。財閥系、電鉄系、独立系、地方の中堅デベ…多様なプレイヤーがタイやベトナム、ミャンマー、インドネシアなどに進出中。私もその水先案内人のひとりとして、いろいろ困難はあっても成長の場を海外に求めていこうとする日本企業の姿に、新たな時代の息吹を感じます。株高も大いに海外進出を後押ししてますよね。
派手さはなく、変化に気づかない人も多いけど、よ〜く観察すれば徐々に明るさとやる気、自信を取り戻しつつある日本の姿が見えます。復活の足どりはまだ脆弱だし、少子高齢化や財政赤字など、将来的な不安も大きいけれど、この社会の底流では本質的な変化が起こりつつあるように思います。
これからエキサイティングな、楽しい時代が始まるのかもしれませんね。
2017年1月8日 モスクワにて