中国語が世界共通語になったら…

こんにちはManachanです。正月3が日は、いかがお過ごしでしょうか?私のブログは二回連続「語学」ねたでいきます。

最近「週刊現代」で、こんな記事がありましたね。

前代未聞! 中国が始める外国人「ABCランクづけ」制度

 

中国政府は来年4月から、中国に居住するすべての外国人を、Aランク(ハイレベル人材)、Bランク(専門人材)、Cランク(一般人員)に3分類し、それを居住ビザ発給に反映させていくようです。引用しますと、

 

Aランクの外国人は、居住地域に明るい未来をもたらす優秀な人材のことで、居住を奨励する。

Bランクの外国人は、国内市場の需給や発展に応じて増減させていく人材のことで、居住を制御する。

一方、Cランクの外国人は、臨時的、季節的、及び技術を伴わないサービス業などに従事する外国人で、今後は国家政策に基づきながら、居住を厳格に制限していく

 

週刊現代のライターはこれを「世界に例を見ない制度を突然、発表!」と書いてますが、制度の内容自体は、日本も含め世界中の多くの先進国で行われている「ポイント制」そのもので、別に「前代未聞」でも何でもありません。評価・配点の基準も「年齢」「年収」「学歴」「語学力」など、日本とよく似ています。

 

参考)日本政府が実施している「高度人材ポイント制」

 

但し、運用の仕方によっては、前代未聞になる可能性があります。ポイント制を採用している先進国では「海外から新たに居住ビザを申請する外国人」や「国内にいて居住ビザを更新しようとしている外国人」に対してポイント制を適用するものですが、もし中国政府が、2018年4月の時点で、各人のビザ更新時期に関係なく、中国にいる全ての外国人に対して一律にポイント制で篩い分けるのなら、たぶん前代未聞になるでしょう。もっとも、中国政府がまじでそういう運用をするのかは、分かりませんが。

 

上の記事では、中国政府の新制度にショックを受ける日本人駐在員の声が多く取り上げられていました。2005~07年に遼寧省大連市で、現地採用ITエンジニアとして、中国語環境しかない現場で働いた私に言わせれば、彼らの時代錯誤が甚だしくて苦笑してしまう…

 

「たしかにオレは、もうすぐ定年だし、中国語もからっきしできない。大学も私学出だ。だがここでは一応、日系企業現地法人の総経理(社長)だよ。それなのに自分の点数を算出してみたら、Cランクの国外追放対象」

⇒(独白)中国に限らず、外国の地で外国人として居住するってことは、そういうものです。現法の総経理だからといって所在国に必要とされる人材とは限らない。私だって、仲間だって、オーストラリアで、猫の目のように変わるビザ制度に翻弄されながら、歯を食いしばってスキルをつけ、ビザを保持してきたのです。

 

「今度は、駐在員のランク付けだと? 中国は一体、何様なのだ」

⇒(独白)今の中国は昔の中国ではないっすよ。別に日本だから、日本企業だからって優遇されるわけじゃない。それどころか、14億人の巨大市場を求めて、欧米、東南アジアはじめ世界中から、トップ企業が日参してきてる国だから、今さら古い頭で「何様なのだ!」と言ってるようでは他国人材との競争に負けて、そのうち中国に居られなくなりますよ。

 

ま、それはおいといて…よく考えれば、この新制度は「日本人にとって有利」ではないでしょうか?なぜなら、「中国語のペーパーテスト」で「最大10点」が配点されるからです。

この制度で、得する人も、損する人も、いるでしょうが、中国にとって必要な人材を篩い分ける制度であるならば、普通考えて、「日本人で現法の総経理」にも、「欧米人で現法の総経理」にも、等しく適用されるはずです。つまり、HSK(漢語水平考試)というペーパーテストを、中国在住の欧米人も受けなきゃならないわけ。

そうなると、母国で「漢字」を使っている日本人や韓国人がかなりのアドバンテージを得るはずです。中国に長年住んで、それなりに話せても、「漢字」見ただけで悶絶ノックアウト、食堂で昼メシの注文さえできない…という外国人は多いのです。それに比べれば、中国語学習歴ゼロでも、日本人なら漢字メニューみてメシの注文くらいはできるでしょ?

 

私は台湾の師範大学で中国語を学びましたが、学習にあたって日本人の漢字アドバンテージはむちゃくちゃ大きい…これが実感です。

 

・中国語を初めて学習する場合、日本人と韓国人なら1年、それ以外の出身者だと2年かかると言われていた。

・師範大学で実施されるペーパーテストで90点以上とると台湾政府から奨学金がもらえますが、支給されたのは日本人と韓国人がほとんどだった。

・隣の席にいたインドネシア人が「一」とか「中」とか、簡単な漢字から一生懸命書き取り練習していたのを見て、「大変だなあ~」と思った。

 

他国人に比べて、これだけアドバンテージ大きいんだから、中国現地にいる日本人駐在員も、新制度を良いチャンスと考え、とっとと中国語覚えて良いスコア取って、欧米人に差をつければいいじゃん。そういうマインドセットになれば、「中国政府が、日本人を含め東アジア人に対する優遇策をやってくれた!」と実感できるでしょう。少なくとも「言語」の側面から「世界」をみると、間違いなくそのように見えます。

 

今後、中国語が英語に代わって世界共通語(リンガフランカ)の地位を得るのかどうかは、分かりませんが、中国語の国際的地位が今より高まるのは間違いないでしょう。彼等と漢字を共有する日本人にとって、これは世界に出ていくチャンス以外の何物でもないと私は思います。

Facebook にシェア

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*