こんにちは、Manachanです。今週は名古屋、大阪、福岡と出張続き、なかなか家に帰れませんね。今回の日記は、収益不動産における「上流情報」と「お客様」の関係について、業者の視点で書いてみます。
私は、業者成りした不動産投資家です。3年前に宅建業者になり日々ビジネスするなかで、所謂「上流情報」とは何なのかを、身をもって体験することができました。典型的には、
1)全国主要都市に収益物件を持つ上場企業の、決算前の「定期的な資産整理」
2)転売業者が、予期した値段で転売できなかったことで発生する「損切り物件放出」
3)不動産業者の廃業に伴い、保有物件を「底値で緊急放出」
上記は全て、宅建業者から出てくる案件です。それ以外に、金融機関や弁護士経由で任意売却物件が出てくることがありますが、弊社で現時点で取り扱うのは、主に上記3パターンがほとんど。
1)だと利回りもそれなりですが、2)や3)に関しては、現在の市況では考えられないような安値で買えたりします。
その代わり、客を選びます。「二週間後に決済、融資特約不可」みたいな条件で出てくるので、お金があってリスクが負えて、短期間で決断できる人にしか買えません。つまりプロかセミプロ級の投資家にしか買えないシロモノです。
私は、セミプロな買い顧客を多数持っていることで業者様から信頼を得ており、それゆえ緊急放出物件の情報が入ってきます。
こういう情報は、「すぐ買ってくれそうな」お客様にしか流しません。「あーでもない、こーでもない」と逡巡したり、一旦買付出した後でビビッて撤退するようなお客様に紹介すると面倒だし、話がまとまらないと結局、私の信頼も傷ついてしまうからです。たぶん、どの不動産業者も、緊急放出物件をお客様に紹介する段になれば、私と同じ判断をすると思います。
以上まとめると、上流情報をGETできるお客様とは、下記の3条件を兼ね備えた方々、ということになります。
・投資物件の収益性を見極めるスキルが高い
・決断のスピードが早い
・物件買うための「軍資金」を常に用意している
私が接するお客様は、投資家としてのスキルが比較的高く、よく勉強している人が多いですが、それでも「上流物件買える」人の割合は感覚的に5%以下ですね。県大会を勝ち抜き国体に出るアスリートの如く、少数の方だけが参入できる美味しいマーケットだと思います。
今は、不動産投資の書籍やネット情報が普及しているのか、スキルの低い初心者でも、上流情報を欲しがる現象がみられます。たとえば、
「鈴木さん。物件買いたいので、とっておきの上流情報流してください~」
みたいなことを言ってくる方がいます。でもそんな人に限って、
「手元資金がないので、フルローンで買いたい」
「都内の駅近で高利回りじゃないとパス!」
みたいなことを言ってくるので、彼らに上流情報出す価値はないと私は判断します。というより、上流情報の意味を誤解してるんでしょうね。そういう人ほど、どこぞの業者が「上流情報」と称して持ってくる、収益性の低いカス物件を掴まされてしまうリスクが高いと思います。
あと、最近ではスキル云々以前に投資のマインドセットを持っていない方々でさえも、私から上流情報を欲しがったりします。
彼らに物件を紹介した後、二言目に出てくる言葉は「不安」とか「安心」、「保証」等々。定量化しにくい言葉ばかり…
成功している(しつつある)投資家なら、不安要素があれば質問・確認して、リスクとして認識し、その発生確率や金銭面でのインパクトを評価して、自身のリスク許容度と照らし合わせて判断するものですが、私が「安心さん」と呼んでるタイプの方々は、そういう思考回路では判断しないんです。
「東証一部上場してる会社だから安心!」
「東大教授が言ってるから安心!」
そうした「箔がついているかどうか?」で判断することが多く、かつ、「少しでも損することを極度に恐れる」傾向があるので、上流物件はもちろん、弊社で扱う収益物件の多くは馴染みません。
不動産に限らず、投資とは、「誰も見たことのない将来に向けて、不確実性=リスクを自己の責任で負いつつ、収益を目指すゲーム」です。万人に向くものではありません。不動産投資はじめたことで不安で夜も眠れなくなる位なら、最初からやらない方が良い。自分がハッピーになれないことを、わざわざやる意味はないでしょう?
でも、私の知らないところで、「買っても業者の養分にしかならない低収益物件」を「きれいな箔に包んで」、巧みなトークで「安心さん」に売りつける業者がいるんだろうな。