中国不動産バブルが破裂しない理由

こんにちはManachanです。6泊7日に及んだ、実り多い中国・北京出張から帰国しました。北京での不満はネット接続と空気の悪さだけで、それ以外は快適。メシは旨いし、タクシー安くて便利だし、ホテルもコスパ良いし…何より、仲間に恵まれましたね。北京不動産展に一緒に参加した業者様の人柄が素晴らしく、最初から最後まで楽しい滞在でした。

今回の滞在期間のうち、まる1日を、北京不動産視察にあてました。インバウンド(=中国人に日本の不動産を販売)ビジネスをやる上で、北京の人たちが、どんな住環境で暮らしているのか?不動産価格や利回りはどれ位か?彼らが何を求めて日本不動産を買うのか?…それを肌感覚でつかみたいと思ったからです。

一言でいうと、「北京不動産の余りの高さに絶叫!」でしたね。

北京市内で4か所、区分のマンション・アパートを視察したけど、1億円以下の物件が一つもない!そして、中古物件は建物がボロすぎ!管理悪すぎ!昼間なのに内廊下は暗くて電灯欲しい位だし、外壁剥がれてても補修しないし、ゴミや埃がそこら中に散乱、築15年しか経過してない家が日本の築40年相当に見えましたよ…

しかも北京の人って、家を賃貸に出す時はきれいに内装するのに、売りに出す時は何もしないのも驚きでしたね。中古だと台所直してない、風呂場直してない、日本でいう「廃墟チックな激安戸建」みたいなスペックで売りに出すのに、値段は1億円以上するんです!

極めつけは、「3LDKに2段ベッド並べて、男性20名を泊まらせてる簡易宿舎を、売り物件としてそのまま見せられた」こと。別にどんな運営してもオーナーの勝手だけど、「1億5000千万の物件売るのにタコ部屋をみせる!」。その神経が、どうしても理解に苦しみます。

ま、中古をリフォームして高く売るという発想が、北京にはまだないんでしょうね。買った人が金かけて、自分の好きなようにリフォームするのが当たり前のマーケットなのでしょう。日本不動産を扱う業者の視点からみると、「こんなにボロくて汚くて、しかもタコ部屋なのに1億円以上でガンガン売れて、手数料とれるのなら美味しい商売」だと思いましたね。

北京市内は高すぎるけど、郊外に行けば安く買えるのかなと思い、市内から東30kmほど離れた「通州」という街でも物件視察しました。ここは北京の副都心として整備中、市内直通の鉄道も通る「さいたま大宮チック」な場所です。でも物件価格は大宮よりずっと高く、2部屋だと軒並み5000万円以上の世界…いま北京で家買うのは、本当に大変ですね。

北京で長年働く外国人はたくさんいるけど、友人に聞いたところ、最近、外国人で北京の物件買った人は「聞いたことない」とのこと。そりゃ、高すぎるもんねえ。

北京だけ見ていると、不動産バブルが今にも破裂するのではないか、物件価格が暴落するのではないかと言う人もいます。確かに、いま北京の北2~4環、東2~4環あたりの新築単価は、使用面積で換算すると坪700~800万円(六本木、銀座、番町の一等地相当)か、それ以上の1000万円クラス(ロンドン都心に近い価格)も出てきてますので、これ以上、値上がることは想像しにくい。しかも北京の生活物価は、タクシー初乗り200円、地下鉄60円、ビジネスランチ300円位と安く、収入水準も大卒初任給が7万円、人気料理店の店員が月給4~6万円位の世界なので、余計、不動産価格とのアンバランスが目立ちます。若い世代や、サラリーマンとかで買うのは無理でしょうねえ。

でも、そこは日本の比ではない巨大国家のこと。地方都市や農村にも目配りしないと、全貌は見えてきませんし、なぜ北京上海の不動産価格が今のレベルまで上がったのかという説明もつきません。

不動産マーケット・投資の視点で、いま中国で注目に値するのが、「二線都市」だと私は思っています。

「二線都市」とは何か?「省都」か「省都相当」の経済規模を持つ、都市圏人口300~500万クラスの地方中核都市のことです。日本でいうと、相対的なポジションは「札仙広福」ですが、人口規模は「名古屋」位あるような都市。広い中国には、二線都市が31もあります。「地方大都市」と言って良いでしょう。

中国の都市ランク

一線都市    北上広深(北京、上海、広州、深圳)+ 天津
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二線都市・上位 8都市 (杭州、南京、済南、重慶、青島、大連、寧波、厦門)
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二線都市・中位 16都市 (成都、武漢、ハルビン、瀋陽、西安、長春、長沙、福州、鄭州、石家荘、蘇州、佛山、東莞、無錫、煙台、太原)
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二線都市・下位 7都市 (合肥、南昌、南寧、昆明、温州、淄博、唐山)
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三線都市     極めて多数

二線都市の上位、中位なら、日本でもそれなりに知名度あるかと思います。中国には全部で22の省がありますが、通常は省に1つ(大きな省なら2~3の)二線都市があります。その二線都市のなかで、上位、中位を中心とするいくつかの都市が、いま中国で最も、不動産価格上昇率が高くなっており、すでに上がりきった感のある北京・上海の投資家が、熱い視線を注いでいるのです。

いま中国で不動産価格の上がり幅が著しい5都市

1.厦門 (二線都市上位)
2.蘇州 (二線都市中位)
3.合肥 (二線都市下位)
4.鄭州 (二線都市中位)
5.武漢 (二線都市中位)

そういう街は、不動産価格のみならず、都市自体も勢いよく発展しています。中国は新興国とはいえ成熟しつつあるので、どの都市でも発展するわけではなく、各地方では「省都(=二線都市)一極集中」という集約現象も起こっています。

日本の福岡市や札幌市がそうであるように、二線都市が「周りの地域の人口・経済力を吸い上げて、北京上海より速いスピードで成長する」現象も起こっているのです。

私思うに、「新幹線駅があり、北京や上海や広州に直通できる二線都市」は、不動産投資視点で注目すべきだと思います。たとえば、中国の大動脈ともいえる北京~広州間は約2200㎞、新幹線で9時間の距離ですが、その間に、4つの二線都市が存在します。

(北京)
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石家荘 (二線都市中位、河北省の省都)
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鄭州  (二線都市中位、河南省の省都)
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武漢  (二線都市中位、湖北省の省都)
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長沙  (二線都市中位、湖南省の省都)
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(広州)

また、上海から西の内陸へ向かう新幹線上にも、3つの二線都市が存在します。

(上海)

南京 (二線都市上位、江蘇省の省都)

鄭州 (二線都市中位、河南省の省都)

西安 (二線都市中位、陝西省の省都)

こうした二線級都市の不動産価格は、北京上海からみれば「4~5分の1」とかのレベルで、まさに別世界。たとえば、北京市の住宅平均価格が48,847元/平米ですが、新幹線で一時間足らずの石家荘市の価格は平均9,944元、鄭州市も11,464元。そして、かつての北京上海がそうであったように、価格の上昇スピードが速い。

特に鄭州は、南北(北京~広州)と東西(上海~西安)の国土軸が交差する「中国の交通の要衝」なので、そこの物件がまだ安く買えるならば仕込んでおく価値はあると思います。

また、中国全体をみると発展がいびつな上に、「周辺都市から二線級都市へ」、「二線級都市から北上広深へ」という、人・カネの流れが太く存在します。二線級都市の富裕層が北京上海の住宅を競って買うことで、今の超高価格が維持されている面もあり、実際に根強い実需があるからこそ、「ボロボロのタコ部屋でも北京なら1億5千万円で売れる」わけです。

そう考えると、いま二線級都市の資産価値が勢いよく上がっており、信用収縮どころか拡大している以上、北京や上海の不動産価格が暴落することは考えにくい。中国政府が極端な金融引き締めを行って不動産マーケットを人為的に壊すことでも起こらない限り、購買実需で支えられて不動産価格が維持・上昇を続けると考えます。

ファイナンスも結構充実してますしね。北京の不動産視察で見た限り、中古の住宅でも7~8割くらいの融資をひくのが当たり前のようでした。

でもって、中国のお国柄を考えると、共産党のガバナンスが効いている限り、政府が不動産マーケットを壊す可能性は低いと思います。また民意をみても、この国では「家を買えない人々のひがみ」はあっても、「家の資産価値が上がることを期待する人々の声」の方がずっと大きいでしょうから…
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コメント

  1. ホルツァ より:

    なかなかですね、
    賃貸に出す時に綺麗にして
    販売する時に汚いままと言うのはモンゴルも同じですね。

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