海外不動産の割安or割高判定法

こんばんはManachanです。

海外不動産投資の活動、もう長年やってきました。世の中、こんなテーマを続けてる奴は少ないので、いろんな方から、よく聞かれます。

「Manachan、今から海外不動産買うなら、ぶっちゃけ、どの国がオススメですか?」

そう聞く人の気持ちはよく分かるんですけど、でも「オススメの国はどこ?」と聞かれても答えるの難しいです。なぜなら、不動産はひとつひとつ違うから・・・

 

これがFXだったら、オススメの国は比較的答えやすいですよ。通常、独立国に通貨は一種類しかない。「タイ」なら「バーツ」だし、「トルコ」なら「リラ」だし、「南アフリカ」なら「ランド」だから。

「FXやるなら、どの通貨がオススメ?」と聞かれれば、その人がスワップポイント狙いなのか変動益狙いかにもよりますが、前者であれば「高金利の通貨」をオススメし、為替が相当動いてもロスカットされない十分な証拠金を積んでおくことをアドバイスします。レバレッジは25倍までかけられるけど3~5倍程度に抑えたいですね。

 

でも不動産の場合は、一つの国、一つの都市内に、それこそ無数に存在します。東京にはお宝物件もあり、同時にカス物件も多数存在しますが、それは海外都市でも全く同じです。

ハワイやニューヨークだから安心できる、ベトナムやフィリピンだから将来キャピタルゲインが狙えるとよく言われますが、それらの国・都市にどーしようもないカス物件は山ほどあるし、カス物件だと知らずに堂々と売ってる業者だってたくさんいるのです。

 

カス物件とは何か?それは地域の不動産マーケットと比べた時の相対的な概念です。たとえ「立地」や「物件状態」が他より明らかに劣っていても、ものすごく安い価格で買えればオーナーの腕次第ではお宝物件になるかもしれません。でも、次のような物件は、投資視点でみれば明らかにカスです。

・市場価値や地域の購買力と比べて割高な物件
・地域の居住ニーズに合わない間取りやデザインの物件
・コストをかけてバリューアップしたり、新たな賃貸経営手法を導入しても収入に結びつかない物件

 
私たちは、どの国・都市の不動産を狙うにせよ、カス物件をつかまず、お宝(になりうる)物件を賢く選んでお金を増やしたいものです。「カス・お宝判定」には、「国・都市レベル」より、さらにミクロな「所在区や最寄り駅レベル」のミクロな不動産マーケットの知識・理解が欠かせません。

では、どのように調査し、考えていったら良いのでしょう?私の提唱する一つの方法は

 

「物件所在地域の㎡単価を偏差値づけ」

 

偏差値は、中、高、大学受験で皆様にお馴染みの概念かと思いますが、大勢の生徒が受けたテストの点数を上から順に並べた時に、真ん中に来るものを「偏差値50」とする。そして、点数データの分布が「偏差値50」を頂点とした左右対称の山形で表示される(=平均点付近の点数をとる生徒が一番多く、そこから離れるほど生徒数が少なくなる)と仮定した時、次のようになります。

偏差値70⇒トップから2.3%
偏差値60⇒トップから16%
偏差値50⇒トップから50%
偏差値40⇒トップから84%
偏差値30⇒トップから97.7%

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これを不動産の世界に当てはめるとどうなるでしょうか?簡単な例を考えると、たとえば「駅からの距離に応じて物件価値が決まる」街があったとします。具体的には、首都圏郊外の通勤圏の駅(例.千葉県の船橋駅や柏駅)をイメージすれば良いでしょう。前提として、

・駅利用圏は、徒歩15分圏内のみ。
・15分圏内は、同じ密度で、びっしり住宅地が広がっている。
・他の駅の存在は考慮しない。
・駅からの距離が近いほど住宅坪単価が高い。

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その場合、

1)駅5分圏内に100戸あると仮定
2)駅10分圏内の面積は1)の4倍(2x2)だから、400戸ある
3)駅15分圏内の面積は1)の9倍(3x3)だから、900戸ある

⇒この街で、駅歩ちょうど5分の物件は、坪単価の高い方から数えて11%(900戸中100位、偏差値62程度)になる。

⇒この街で、駅歩ちょうど10分の物件は、坪単価の高い方から数えて44%(900戸中400位、偏差値51~52)になる。

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前置きが長くなりましたが、この理論を、実際の東南アジア物件に当てはめてみましょう。

バンコク都心部に「トンロー」(Thonglor)という、人気の高い駅があります。このエリアはタイ人の憧れの住地で、日本人もたくさん住んでいます。この駅利用圏内の売買単価は、

㎡単価 93,571バーツなら⇒偏差値50 (トップ50%)
㎡単価 139,234バーツなら⇒偏差値60 (トップ16%)
㎡単価 184,897バーツなら⇒偏差値70 (トップ2.3%)

 

このトンローの駅歩3分のところに、Urbitiaという物件がプレビルドで売り出されました。㎡単価は16万5千バーツ。その価格は地域相場からみて割高なのか割安なのか?

単価16万5千バーツは、トンローにおける偏差値60と70の中間くらい、順位でいえばトップ7%程度です。ですのでUrbitiaが地域トップ7%に相応しい物件であればOK、そうでなければ割高という判定になります。

単純に駅距離だけで考えましょう。実際、トンロー駅は駅15分くらいまでびっしり住宅地化されてますから、

駅3分(240m)圏内⇒面積0.18km2
駅15分(1200m)圏内⇒面積4.52km2

仮に駅距離に応じて資産価値が決まるのなら、駅ちょうど3分だと、「452番中18位」(トップ4%)に入りますので、「地域トップ7%以内」という上記の条件は満たしています。よって割高ではなく、適正価格(かえって割安)という判定になります。

(実際には駅距離だけでなく、築年数とか建物構造・グレード、賃貸相場などを見ていかなくてはなりませんが、タイの不動産をそのレベルで分析できるようになるには、もう少し時間がかかるでしょう。)

urbitia

 

タイ以外の不動産でも計算してみましょう。たとえば、ベトナム・ホーチミン市。9区とトゥードゥック区の境、あと数年後に完成する鉄道駅から徒歩3分の場所で建設中のコンドミニアムLavita Gardenの場合はどうか?

lavitagarden

 

㎡単価 658~687USドルなら⇒偏差値50 (トップ50%)
㎡単価 786~800USドルなら⇒偏差値60 (トップ16%)
㎡単価 890~943USドルなら⇒偏差値70 (トップ2.3%)

 

そのLavita Garden、平均の売出価格は786.44ドル/㎡でした。つまり偏差値60、地域トップ16%に入っていれば判定OKになります。

この物件は現時点はともかく、2020年前後には「駅歩3分の優良立地物件」になりますので、間違いなく地域トップ16%には入るはず。だから割安の今のうち買っておくのは良い、という判断になります。

 

今回紹介した「地域の㎡単価を偏差値づけ」という方法の他にも、「DCF法」とか、「グロス論」とか、いろんな手法で不動産の割安・割高を判定することができます。地域特性や入手可能なデータを考え、最適なものを選んでいけば良いでしょう。

今後は、海外不動産の世界にも「客観的数値に基づいた物件分析」がもっと一般的になり、人々が収益性の良い物件を選びやすい環境が整うようになることを願ってやみません。

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