不動産は情報で売る!

こんにちは、Manachanです。

私は2013年2月に、「ロックアウト解雇」という劇的なかたちでサラリーマン渡世に別れを告げました。その後しばらく、失業保険で露命をつなぎつつ、「不動産仲介業者」という第二の人生を歩み出しました。東京・五反田にささやかな事務所を構えたのが2013年12月、宅建業者登録をしたのが翌14年1月のこと。

独立当初は本当に、お金がありませんでした。所謂「カードローン起業」というやつで、サラリーマン時代につくったカードローンの融資枠を使って、ちょびちょび引き出しながら、仲介手数料が入る日を夢見て、頑張る日々。区役所や公庫の創業融資にもチャレンジしましたけど、結局、資金の振り込みは起業の1年近く後だったし…

14年1月に独立して、最初に決めた仲介が3月末、その後4月5月6月と、全く、成約から遠ざかり、カードローン枠もほぼ使い切りつつある頃、「このまま仕事決まらないと、まじでやばい」と思った私を土壇場で救ったのは、長年のブロガー経験で身につけた「文章力」でした。

当時、是が非でも決めたかったのが、千葉県柏市若葉町、74坪土地の仲介。アパート建売業者の買い希望額と売主の期待値と900万近いの差があり、平行線、このままではまとまらない。でも売主はとうの昔に残債を払い切っており、いくらで売っても生活には困らない。要は売る気にさせれば良い…そこで考えたのが、「手紙作戦」でした。

私は心を込めて、こんな手紙をしたためました。

 

私は先日、土地の購入申込をさせていただきました、不動産仲介業者の鈴木と申します。

私、生まれも育ちも柏です。東1丁目に住み、柏三小に通っていたので、若葉町界隈のことは、自分の裏庭のようによく知っています。

私は昨年まで都内勤めのサラリーマンをしており、副業として、不動産投資を行っていました。これまで賃貸アパートを2棟建てましたが、2棟とも、九州・福岡市の三和エステート社という、建売業者に建てていただきました。

福岡市は賃貸住宅の激戦区。業者間の競争も激しく、各社とも知恵をしぼって、入居者に支持されるアパートの間取り・デザインを考え抜く土地柄。私自身は福岡で、三和エステート社の賃貸住宅のデザインをみて、衝撃を受けました。

単身住宅ながら4m近い天井高があり、空間を上手に使って、広く快適に見せる工夫、女性入居者が1階でも安全に暮らせる工夫、巨大な床下収納スペースを設け、モノが増えてもずっと住み続けられる工夫・・・まさに知恵の結晶。福岡で生まれ、東京では誰も見たことのない素敵な住宅。

「この住宅を、私の生まれ故郷・東葛地区で建ててみたい」と思った私は、昨年、松戸市で土地を仕入れ、6戸のアパート建てました。首都圏で三和エステート社のアパートを建てたのは、私が初めてです。

ほぼ同じ時期、不本意ながら、私は勤め先会社をリストラされてしまいました。一家4人を食べさせていくために、私は不動産業者となり、都内で開業しました。

いま私は、東葛地域で、三和エステート社の賃貸住宅を建てるための土地仕入れを、業として行っています。若葉町の土地は、8戸のアパートの建設用地として、収支計算をした上で、2900万円で買い付けを入れさせていただきました、

大幅な値引きになるのはもちろん承知しておりましたが、74坪の土地は40坪2区画に分割するには狭すぎ、かといって、そのままの区画で建てると8戸しか入らない(8戸を超えると柏市では駐車場附置が義務づけられるので、戸数を増やせないのです)。

2900万円以上出せないと、回答してきた買主様に対し、私は、「若葉町は柏市内でも有数の良質住宅地で土地柄が良い。是非ここで建てたいので、もう少し頑張って欲しい」と依頼し、若干の手数料調整を経て、3000万円で再買い付けを入れました。正直、お値段的にはこれが限界です。

古家撤去、および残地物撤去は、買主様の負担でやっていただくことで、了承を得ました。ご迷惑かけませんので、是非とも、3000万円で契約させていただけませんでしょうか?

生まれ故郷の柏に、良質な賃貸住宅を増やしたい。その一念で日々、精一杯仕事をしております。私の気持ち、ご理解いただき、是非とも良いご縁を賜りますよう、お願いしたいと思います。

結局、この手紙作戦が功を奏し、私は7月、晴れて仲介手数料を手にして、ピンチを脱出!とりあえず一息ついたのでした♪

 

最近でも、こんなことがありました。台湾人の投資家に、首都圏の収益戸建を紹介していたときのこと…

・埼玉県春日部市の戸建に、340万円で買付を出していただいたが、タッチの差で、他のバイヤーに買われてしまった。

・ちょうど同じような価格帯・家賃帯の戸建が、千葉県茂原市で出たので、「320万円で買えます」と紹介したが、茂原という場所が都内から遠すぎて、全然イメージできないという理由で敬遠されていた。

 

この話、どうやってまとめようか…東陽町のカフェ・ヴェローチェで思案していたところ、ふと思い浮かんだのは、2年近く前に、私を生活苦ピンチから救った「手紙作戦」でした。

「そうだ!あれと同じことを、台湾人に対してやればいいんだ」と思い、日本語の手紙ならぬ「中国語のメール」をスマホでタイプして、買側の仲介に送りました。

 

「茂原戸建的亮点」・・・以投資人的角度來看,我自己覺得千葉縣茂原市的房子更好。
 
– 茂原市雖然離東京的距離遠一些,但它是生活機能齊全的小城市,擁有自己的產業,商圈,教育,醫療機關等等。該物件是在茂原市的中心。離開火車站,AEON Mall商場,小學,醫院都很近。而且正好在Japan Display公司的研發式旗艦工廠的前面,有大規模的雇用機會。這裡算是人家嚮往的地方之一。另外,茂原火車站有特快車直達東京,僅60分的車程。
  
-讓我比喻一下,在台灣的話,茂原市的那房子有點像中壢的市中心的房子。
 
 (茂原市戸建のハイライト…投資家の見方でいうと、千葉県茂原市の戸建はとても良いと思います。茂原市は東京から多少の距離がありますが、生活機能が一通り揃った地方都市。産業があって、商業施設、教育・医療施設が一通り揃っています。この物件は茂原市の中心にあり、鉄道駅、イオンモール、小学校、病院へのアクセスも良い。そして、すぐそばにジャパンディスプレイ社の基幹工場、研究開発拠点があり、雇用機会へのアクセスも十分。地元では皆が住みたがる場所です。そして、茂原駅は東京へ鉄道直通しており、特急列車で60分で着きます。台湾にたとえていえば、茂原市の戸建は、台北から多少の距離がある自立型都市・中壢市の中心部にある住宅に相当するかと思います。)

 

「手紙作戦」ならぬ、「中国語メール作戦」で決めた売買…昨日、契約決済を済ませてきました♪

 

 つまるところ、不動産、特に投資用不動産の売買 は、「情報産業」だと思います。買い手が数字で判断する投資家なので、彼らにいかにして適切なタイミングで必要十分な内容とクオリティのある情報を届けられるか…それで勝負が決まってしまう。つまり、投資家向けに適切な情報をつくれる人、発信できる人が勝者になるのです。

 

特に国境を超える不動産取引になると、「情報が、新しいマーケットを創出する」原動力になります。例えばの話、千葉県茂原市周辺には、数百万で買えて、年10%以上で回る収益戸建がたくさんありますが、買い手がこの地域をイメージするのが難しい。私は千葉県出身ですが、同じ県内でも茂原なんて行く機会もなければ、知識もほとんどない。西日本出身者や外国人なら尚更でしょう。

 

だからこそ、買い手のニーズにあわせたかたちで、「茂原」の情報をつくって、タイムリーに届けてあげる…そのことで、「台湾人が千葉県茂原の戸建を買う」という、これまでになかった取引・経済的価値が実現するのです。まさに情報産業そのものですね。

 

 最後に、「茨城県鉾田市の戸建も台湾人に売って欲しい」という依頼を受けたので、先ほど、こんな文章を書いて送りました。

 

日本茨城県鉾田市(Hokota City),距離東京90公里,是個富裕的農村。最出名的當地名牌農產是哈密瓜,產量躍居日本第一名。鉾田市的農業總產值539億日元,是全日本排第五。幸好它的位置離東京不遠,它的產業結構以高價值的農產品為主。這裡的田地除了當地農民以外,也有不少來自中國越南泰國的青年來工作。因此住宿需求也可觀的。
 
鉾田市並不偏遠,離成田國際機場60-70分鐘,離茨城機場30-40分鐘的車程。從東京車站有直達高速巴士到鉾田市,每天有6班。鉾田市本身有5萬人口,有5家銀行(分行),3所高中,4個超市,以及大商場Across mall。
 
用台灣的比喻,鉾田市是幾乎等於,台中市的大甲,清水,沙鹿等地吧。因為這些地方靠近大海,離大城市不遠,農業發達而生活水平不錯的小鎮,有很多與鉾田市共同之處。

(茨城県鉾田市は、東京から90キロ離れた、経済的に豊かな農村です。ここの名産はメロンで、生産量は日本一。鉾田市の農業生産額は539億円で、日本の全市町村のなかで堂々の5位。高度消費地・東京から近いおかげで、高付加価値のブランド農産物中心の産業構造になっています。ここの農業は地元農家のほか、中国、ベトナム、タイなどから来た研修生によって支えられており、住宅需要も堅いといえます。鉾田市は辺鄙な場所でありません。成田空港から車で1時間余り、茨城空港からだと30~40分です。東京駅から直通の高速バスも出ており、1日6便運航しています。鉾田市の人口は約5万人で、銀行の支店が5つ、高校3つ、スーパー4つある他、アクロスモールというショッピングセンターがあります。台湾にたとえていえば、台中市の大甲,清水,沙鹿あたりに相当する場所かと思います。海に近く、大都市からも遠くなく、農業が発達して生活も豊か、というところが似ています。) 
 

 こんな文章で、売買決まるかなあ?

 
 

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