こんばんは、Manachanです。今はシルバーウィーク。東京を一歩を出ることなく、家族でのんびりしてます。
ところで、S&Pの日本国債の格付けが、また下がりましたね。アベノミクス登場後、もうすぐ3年。大胆な金融緩和と円安誘導で景気浮揚をはかったものの、GDP成長率や税収の面でまだ目に見える効果が上がっていないと、よく指摘されます。確かに、消費税8%に上げた後に2期連続マイナス成長とかあったり、数字的には一進一退に見えますよねえ。
私、東京で暮らしている生活実感からいえば、景気、悪くないですよ。むちゃくちゃ良いわけじゃないけど、小康状態といいますか…品川や新宿でセミナーやった後、居酒屋とかは軒並み満員で予約しにくいし、終電後のタクシー台数も多いし、豊洲のららぽーと行ったら平日でも混んでるし、新幹線よく乗るけど、時間帯を問わず客多いし・・
仕事柄、全国、いろんな土地にいきますが、特に景気良いと感じるのは東京と、愛知あたりですね。名古屋駅の構内は訪れるたびに人が増えてるように感じるし、刈谷、岡崎~豊橋~浜松にかけての工業都市群は円安効果もあり正社員も派遣も増えてるようで、ァパートの入居が軒並み良い。
景気の良さを感じるのは、私が収益不動産という、融資マネーが真っ先に向かう世界で仕事をしているからかもしれません。金融緩和でダブついたお金はまず銀行に溜まります。いま銀行は、貸したくて仕方ないわけですが、手堅い貸し先としては、やはり不動産が上位に来るわけです。東京23区をはじめ、大阪、名古屋、福岡など国内主要都市の不動産価格が上がっているのは、直近の統計数字をみても明らかですが、実際にはもっと上がっている感があります。
マクロな経済状態が良いとはいえないのに、都市部の不動産価格が上がる現象は、世界的によくあることです。日本以外では、たとえば欧州のオーストリアとか、フィンランドなどが、似たような状態だそうです。金融緩和すれば、まず株価や不動産価格が上がる、それで潤った個人や法人が消費や設備投資を増やすことで、実体経済も潤う(トリクルダウン)。アベノミクスも、それを狙っているわけですが、日本経済には構造的な問題があり、東京が潤っても日本全体が潤うのは難しい。
そもそも、アベノミクス効果で不動産価格が上がっている地域ってどこからどこまでなんでしょう?私の肌感覚でざっくりいうと、関東では「東京都心30㎞圏内」でしょうね。
都心から20~30㎞、郊外ベッドタウンの船橋市や柏市でいま何が起こっているのかというと、中心駅(船橋駅、津田沼駅、柏駅)の徒歩圏は目に見えて上がってますが、駅から離れたバス便エリアになると全然上がらない。都心直結の鉄道沿線の駅(南柏駅、東船橋駅など)徒歩圏なら上がるけど、新京成線や東武野田線など、千葉埼玉しか走らない首都圏外周ラインだと、駅徒歩圏でも良くて横ばい。
もう少し都心から離れた40~50km圏になると、「中心駅以外は全部ダメ」になる。それも、千葉~八王子~厚木~平塚ラインが限界ですね。さらに離れて、神奈川県の伊勢原市以遠、千葉県の市原市・四街道市以遠になると、もはや上がりようがないと思います。なぜなら、
・サラリーマンに強い某金融機関の融資エリア外になる。
・いま収益物件をガンガン買ってる中間省略屋さんの買取エリア外になってしまう。
私、友人から「中古RCを高く売って欲しい」みたいな依頼も時々受けます。千葉市あたりなら築が多少古くても、満室想定で表面利回り8~9%出れば東京の中間省略業者に持ち込み売りできますが、同じ千葉県でも東金市や茂原市になると、表面10%出ても買ってくれない。個別の物件内容が良くても、エリアだけでダメ出しされるのです。
じゃ、東金や茂原の収益物件をどこに売ればいいかというと、売り先は、地元の不動産業者くらいしか知りません。彼らも商売なので、思い切り、買い叩かれます。千葉市あたりと比べて、出口が非常に限られるのです。
これ、中間省略屋さんのセイじゃないと思いますよ。彼らは、「金融機関の眼差し」を感じながら仕事してるはずで、「東金・茂原なんて頑張っても融資つかないから買い取れない」という判断なのでしょう。多くの金融機関が、融資エリアを事実上限定している(又はそのような運用をしている)のがそもそもの原因で、せっかく、日銀からあり余るマネーを供給されていても、結局、首都30㎞圏と地方ブロック中核都市しか潤わない構造になってしまっている。
「アベノミクスの恩恵が地方にいきわたらない」とか、「東京ばかり潤って地域格差を助長している」とか、よく言われますが、これはアベノミクスというより、各金融機関の融資姿勢に象徴される日本の経済構造の問題なのでしょう。
物件が東金や茂原にあっても、ちゃんと表面10%回っていれば適正価格で取引され、千葉市物件と同じような融資がつくような仕組みをつくらないと、日本全国の不動産価格が上がるなんて、夢のまた夢でしょう。この構造にメスを入れるのが、政治の仕事、「アベノミクス第三の矢」の本領だと思います。
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