千葉、八王子、平塚~都心40~50㎞圏の憂鬱と希望~

こんばんはManachanです。

先日、アパート用地の売買仲介の仕事で、神奈川県の平塚市に行きました。平塚は「湘南」エリアということで、内陸で育った私は「海と太陽」を期待してしまいますが、天気は生憎の冷たい雨…それでも、JR平塚駅の南北をくまなく歩いて、楽しかったですよ。

そこで感じたこと、

・駅北口(山側)のアーケード商店街が寂れて、痛々しかった。
・駅南口(海側)住宅街のハイカラな雰囲気と開放感は、さすが「湘南」。

平塚の街を歩いて、私の脳裏に去来した首都圏の都市が二つありました。それが「千葉」と「八王子」。この三都市、人口規模は違えど、いろんな面で似ているのです。

・東京都心から40~50㎞圏に位置し、ベッドタウンとしては遠い部類に入る。
(※平塚は東京からの距離が約60㎞あるが、「JR東海道線」と「大都市・横浜」の存在があるため、実質40~50㎞圏相当になる)

・人口密度が、いずれも3000人/㎢台。

・いずれも長い歴史を持ち、地域の中心地として栄えてきた。

・高度経済成長期に、東京圏の拡大に伴い、人口が急増した。

・かつて「商都」として、周辺地域からの買い物客を集め、大いに賑わった時期があった。

・現在は、中心市街地に以前ほどの活気はなく、活性化が課題となっている。

・東京寄りの近隣都市に、活気を奪われている感もある。
(※千葉⇒船橋、津田沼に流出、八王子⇒立川に流出、平塚⇒藤沢に流出)

・同じ市内で、中心市街地のほか、ロードサイドや副都心と、都心開発の焦点が分散している。
(※千葉⇒幕張ベイタウン、蘇我 八王子⇒南大沢  平塚⇒R129沿い)

・人口増加が止まり、横ばい局面に入っている
(※千葉市=微増 八王子市=横ばい 平塚市=微減)

これら3市は、首都圏にあって東京の都市機能に依存できる面がありますが、「東京通勤圏としてはやや遠い」こともあり、周辺地域の中心地という「地方都市的な側面」も併せ持っています。

たとえば、千葉市の昼夜間人口比率は97.5%。東京圏ベッドタウン各市では平均80~90%位ですが、千葉市はさいたま市や横浜市と比べて都心に遠いこともあり東京流出が比較的少なく、周辺市から千葉市に働きに来る人もいるので、結果的に100%近い数字になっています。八王子市や平塚市にも同様な傾向がみられます。

(※千葉市から東京特別区部への通勤率20.8%、八王子市14.9%、平塚市18.1%…これは千葉県内東京近接部の市川市46.4%、船橋市35.7%、松戸市37.3%、柏市29.8%より低い数字で、東京ベッドタウンのなかでは自立性が高い。平成22年度国勢調査による)

これら三都市は、都市の舵取りとしては難しい局面に来ていると思います。

・日本が人口減少局面に入り、首都圏でも都心回帰が進む中、ベッドタウンとしての発展はもう期待できない。

・後背地の人口が減っているため、商業発展も難しくなっている。

・首都圏の都市間競争のなかで「東京への距離」がネックとなり、若い世代や子育て世代が、より都心寄りの地域に流出しやすい。

・市勢全体は現状維持傾向とはいえ、中心市街地が衰退傾向にあり、停滞イメージにつながってしまう。

私は不動産業者として、アパート用地仕入れの仕事も手がけていますが、千葉、八王子、平塚のような都市こそ、駅前の中心市街地に人口を定着させる意味で、良質な賃貸・分譲住宅の供給は、社会的意義が大きいと考えます。

駅前中心市街地は「市の顔」です。この場所が賑わって、商業地として充実してこそ、「活気ある都市イメージ」を市の内外に打ち出すことができます。

たとえば首都圏郊外において、「立川市」が隣接する昭島市や日野市より知名度が高いのはなぜか?「柏市」が我孫子市や流山市より知られているのはなぜか?それは「駅前中心市街地の力」に他ならないわけです。

千葉市、八王子市、平塚市…各市の勢いは、おおむね維持されていますが、後背地人口は減っています。たとえば千葉市商圏の後背地で、人口が増加傾向にあるのは四街道市くらいで、他は佐倉市、八街市、市原市、大網白里市、茂原市…人口が減る自治体の方が多い。そういう場所ほど、ロードサイド商圏に購買力が流れますので、流入人口によって千葉駅前商業を栄えさせるのは難しい。

となると、千葉駅や周辺2~3駅の徒歩圏に集合住宅を集中させて、人口密度を増やすしかないわけです。いわゆる「コンパクトシティ化」…それが、東京40~50㎞圏都市の衰退を防ぐ決め手になるはずです。

行政が手掛ける「中心市街地活性化」は、往々にして再開発とか、大規模商業施設誘致とか、大きな話になりがちですが、今後はそういうことにおカネをかける余裕も乏しくなっていきます。これからは、

・容積率緩和とか、駐車場附置義務の緩和など、ソフトな施策

の重要性が増してくると思います。特に後者は、市の条例レベルでできるので、今すぐにでもやるべきだと思います。そして、

駅徒歩圏におけるスタイリッシュな賃貸アパートの充実

は、人口増加施策としては一見地味ですが、若い住民を誘致する上でじわじわと力を発揮するはずです。彼らが単身時代、カップル時代、子供1人時代くらいまで対応できるような、賃貸アパートのラインアップを増やせば、人口の再生産にもつながっていくはず。

特に「海と太陽」のイメージに恵まれた「湘南平塚」でそれをやれば、どんどん、若い世代が住みついてくると思います。これぞ町興し!

スカスカ感の目立つ街に…

かっこいい賃貸アパ
ートを増やしたいですね

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コメント

  1. 杉並のm より:

    この記事、興味深かったです。8月に平塚に行ったのですが、商店街が昔ながらの感じで都心からも1時間ほどかかることもあって地方都市感を感じました。ただ、商店街は寂れ気味で近くのららぽーとの方が賑わっている感じでしたね。やはり遠めの東京のベッドタウンは車の保有率も高めなので今後、地方都市と同じ問題に向き合っていかなければいけないかもしれません。

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