こんばんは、Manachanです。いま東京の自宅ですが、明日の早朝から、香港・モンゴルに旅立ちます。
ここ数日、円安の進み方がスゴイですね。今や1ドル=113円台になり、約7年ぶりの円安水準。そして、ユーロ、英ポンドなど欧米主要通貨に対しても、アジア新興国通貨に対しても、円は大幅に安くなっています。タイバーツ=3.4円台、マレーシアリンギット=34円台、フィリピンペソ=2.5円台。各国通貨とも、2年前より、円に対して3~4割は高くなってます。
私が、海外不動産を意識的に買い増していたのは、2011~12年。当時は、1ドル=78~80円位でしたから、時代は、大きく変わりましたね。日本円を使って、海外で資産づくり…というのは、当時と比べて、ざっと1.5倍くらい、敷居が高い話になりました。
1ドル110円を超えたいま、「円高を利用して海外資産づくり」という言葉は、もう使いません!
円安になる、イコール、日本人の海外不動産購買力が低下します。私のところには、海外不動産を取り扱う日本人業者や、外国のデベロッパーが、毎週のように、新たな投資案件を紹介してきますが、
日本円生活者から見れば、為替は高い上に、物件価格はどんどん上がる…セミナーで紹介しにくいネタが増えました。外国のデベロッパーは、「素晴らしい投資案件をお持ちしました!」と、自信満々に言ってくるんだけど、日本人でカネなくて買えない人がどんどん増えてるんだよねえ。
とはいえ、海外資産がそこまで高くなっても、日本人の海外資産づくりニーズは止まりません。アベノミクス&日銀追加緩和で、今後、ますます円が安くなる、1ドル=120円台の時代が来ると予想する人は、1ドル=113円の今のうちに海外買っておきたい、と思うでしょう。また相続税、贈与税も上がり、日本国内に資産を置いておくことに疑問を持つ人たちは、大勢います。
円の先安予想がある限り、「アジア太平洋大家の会」の海外不動産セミナーは、当分減らないでしょう。我が多忙な日々はまだまだ続きます。
そもそも、アベノミクスの世で、なぜ、ここまで円安が進むのでしょう?
逆に、民主党の時代、なぜ、あそこまで円高になったのでしょう?
それは、簡単な経済の理屈で理解できるはずです。
すでに報道されているように、米国FRBが、数年続いた金融緩和を終了。その直後に、日本(日銀)が追加緩和を決定。その結果、日本円が各国通貨に対して値を下げました。
金融緩和…平たくいえば、中央銀行が、市場にジャブジャブ、お金を流すことです。市場に流通するモノに比べてお金の量が増えれば、当然、お金の価値は下がります。
いま、先進国で金融緩和やってるのは、アベノミクス日本くらいなものです。米国は、リーマンショック後、ずっと続けてきた金融緩和をついにやめました。欧州、特にユーロ圏は不況が深刻なのでそのうち大きな金融緩和やるでしょうけど、今のところはやっていません。いま、円が各国通貨に対して安くなるのは、自明の理。
逆に、民主党政権の時代は、日本が金融緩和を全然やれず、主要国では米国だけがやっていました。当時は物凄い量の米ドル札を刷って市場に流しまくった結果、ドル安、円高、ユーロ高になりました。いま思うと、あの時代に円を外貨資産に換えた人って、やはり賢いですね。
今後、為替がどうなるのか?…それは、「なんとなくアメリカ一人勝ち」な世界経済のなかで、日本の金融緩和が今後どうなるのか?欧州が日本以上の大幅金融緩和に踏み切るのか?あるいは、中東発の世界戦争勃発や、中国発世界経済ショックみたいなシステミックリスクが顕在化するのか?それによって大きく変わります。
アメリカ結構しっかり、アベ日本が金融緩和継続、欧州もたもたで何も決まらない…みたいな、だらだらした展開が続けば円安でしょうし、
いきなり、どこかの新興国経済がデフォルトして世界中の銀行に飛び火すれば、その震源地が東~東南アジアでない限り、リスク回避で円が買われて円高。慢性デフレになった欧州が「夢よもう一度」で、アベさんみたいなことやればユーロ安、円高…かもしれません。
当方のセミナーに来る日本の投資家の多くは、これから円安を予想しているようですが、そこまで単純な話じゃなくて、何らかの要因で、また円高に振れることは十分ありえると思います。
この円安で、国民生活も大きく影響受けますね。輸入価格高騰して物価も上がる「コストプッシュインフレ」で、ガソリンとか電気代、建材費が上がれば、特に地方在住者や低所得者がキツイ。
逆に円安で海外投資マネーの受け皿になる東京は、不動産を中心にウハウハでしょう。深夜、六本木や恵比寿のタクシー待ち行列凄いですからね。あと、人気の国内観光地は海外の観光客で賑わうでしょう。でも、日本全国が一律にその恩恵を受けることはありえない。
おカネの受け皿になれる地域だけ栄えて、そうでない地域は先細る一方…アベノミクスって、「金融緩和」「財政出動」「成長戦略」の三本柱ですけど、その中で一番手っ取り早く成果の出る「金融緩和」の論理的帰結は、結局、中国の改革開放時代の「先富論」(=先に富める条件のある地域から栄えよ)と同じだと思います。
金融緩和で、まず東京を栄えさせることができるか?次に、その恩恵を各地方に波及させることができるか?…それが、アベノミクスの鍵ですよね。
私、政策の狙いが成功するかどうかは別として、アベノミクスの基本的な考え方は、そう間違っていないと私は思います。
人口減って成長力に乏しい老化日本ですが、それでも金融緩和して円安にすれば、海外の投資マネーは東京に入ってきやすくなる。また円安にすると日本人の金持ちが海外投資できにくくなるから、(円の先安観さえ解消できれば)日本国内で消費・投資してくれると期待できる。そのカネの受け皿も東京に集中している。あとは、容積率緩和やって山手線新駅とカジノつくって…オリンピック特需もある東京を栄えさせるのは、比較的、
難易度が低い。
ただ、それを地方に波及させるには、「財政出動」と「成長戦略」が必要。1千兆円の借金ある国で「財政出動」の余地は乏しいし、「成長戦略」の効果が出るには、最低、5年や10年の時間がかかる。
円安・インフレ・増税で、地方の低所得者層を中心に生活が苦しくなる国民が増えるなか、政権支持率を落とさずに、大胆な「成長戦略」をどこまで実行できるか?ほぼ同時に、社会保障改革もやらなきゃならないから、アベ政権も、かなりタイトなロープを渡るものですよね。
日本経済が、人口減少のなかで持続的に成長するには、たぶん今が最後のチャンスと言っても良いでしょう。その環境をつくるのが「成長戦略」に他なりません。
「成長戦略」は、時代遅れになった戦後日本の法制度・規制・ビジネス慣行など、ソフト面のアップグレードが中心になるでしょう。医療・農業など「岩盤規制」の打破、公務員制度や公教育の改革、移民受け入れのシステム化など…
困難ですが、やってできないことはないでしょう。人口が減っても、持続的な経済成長は十分可能だと私は考えます。そして、いま日本人は失った経済成長を取り戻す課題に果敢にチャレンジすべきだと思います。。
アベノミクスが挫折したら、たぶん次に来るのは「経済低成長or無成長」への軌道修正でしょう。経済成長いらない、外国投資マネーいらない、移民受け入れない、借金増やさない、日本人だけで少ないパイを分け合う…
それは、年金生活者やマイルドヤンキーを含めて多くの日本人の気分に会っているのかもしれませんが、日本の相対的な国力を下げる政策は、経済成長を前提とする現実の世界政治を考えると、極めてリスキーな茨の道だと思います。たとえば、隣接する中国とのパワーバランスが完全に崩れて、アメリカは日本への興味を失い中国と手を組む、結果、日本の安全保障が難しくなる。東南アジアも日本頼りにできないから、アジア全体で中国への依存が進む…等々。
また、経済成長要らなくても日本国民の高齢化は急速に進みます。ゼロ成長経済で税収マイナスだと社会保障も財政も早晩維持できなくなり、デフォルトリスクが現実化してくるでしょう。
私は、将来の日本がそうなるのを見たくないし、「結局、日本は変われなかったんだね」と、外国人に言われたくもありません。今後も日本に住み続けたいのであれば、成功確率低いの分かってても、生活が苦しくても、今はとりあえずアベノミクスやりきる。(正しく実施されるのであれば)成長戦略を支持して、経済の変化に耐え抜くべきだと私は思います。
同時に、今の時代を生きる上で、そして、子供たちに確かな将来を与えるためにも、私たち個人としては賢く、経済ゲームを戦う必要があるでしょうね。お金の知性を身につけて、国内と海外で資産をつくることは、もはや必須でしょう。
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